JP2013157289A - 電極触媒の構造体の製造方法、電極触媒の構造体、膜電極ガス拡散層接合体、燃料電池および空気電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸性電解質中またはアルカリ電解質中において、高電位を含む電位サイクルを行っても性能が劣化しにくい電極触媒が担持された電極触媒の構造体の製造方法、電極触媒の構造体、膜電極ガス拡散層接合体、燃料電池および空気電池を提供する。
【解決手段】酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物の粉末を基板上に固定し前記粉末の層を形成することと、前記層が形成された基板を、貴金属元素を含む化合物を溶媒中に溶解させた溶液に浸漬し、電着法により前記層の表面に貴金属を担持させることと、を有する電極触媒の構造体の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物の粉末を基板上に固定し前記粉末の層を形成することと、前記層が形成された基板を、貴金属元素を含む化合物を溶媒中に溶解させた溶液に浸漬し、電着法により前記層の表面に貴金属を担持させることと、を有する電極触媒の構造体の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、電極触媒の構造体の製造方法、電極触媒の構造体、膜電極ガス拡散層接合体、燃料電池および空気電池に関するものである。
電極触媒は、電極、特に電極の表面部位に担持される固体触媒として用いられ、例えば水の電解、有機物の電解の他、燃料電池、空気電池などの電気化学システムに用いられている。酸性電解質中またはアルカリ電解質中で用いられる電極触媒としては、貴金属、特に白金を用いたものが、触媒活性の高さから広く用いられている。このような電極触媒は、通常、特定の形状を有する構造体として上記電気化学システムに組み込まれている。本明細書において、「電極触媒の構造体」とは、電極触媒を有する構造体のことを指す。
白金を用いた従来の電極触媒としては、カーボン等の触媒担体に白金が担持されたものが知られている。白金を担持させた電極触媒は、通常、純水と触媒担体と塩化白金酸とを混合して塩化白金酸をよく分散させた後、ヒドラジンやチオ硫酸ナトリウム等の還元剤を用いて白金を還元し、触媒担体上に担持させる方法や、これらの混合溶液を乾燥後、水素を含む雰囲気下で熱処理して白金を還元し、触媒担体上に担持させる等の方法により製造される。しかし、これらの方法により製造された電極触媒では、高電位を含む電位サイクルを行うと、劣化し性能が低下するなどの問題があった(非特許文献1参照)。
Ping Yuら、「Journal of Power Sources」、2005年、vol.144、p.11−20
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酸性電解質中またはアルカリ電解質中において、高電位を含む電位サイクルを行っても性能が劣化しにくい電極触媒が担持された電極触媒の構造体の製造方法を提供することを課題とする。また、このような製造方法により製造される電極触媒の構造体、該電極触媒の構造体を有する膜電極ガス拡散層接合体、該膜電極ガス拡散層接合体を有する燃料電池および本発明の電極触媒の構造体を有する空気電池を提供することをあわせて課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物の粉末を基板上に固定し前記粉末の層を形成する工程と、前記層が形成された基板を、貴金属元素を含む化合物を溶媒中に溶解させた溶液に浸漬し、電着法により前記層の表面に貴金属を担持させる工程と、を有する電極触媒の構造体の製造方法を提供する。
本発明の電極触媒の構造体の製造方法においては、前記電着法が、電解還元法であることが好ましい。
本発明の電極触媒の構造体の製造方法においては、前記貴金属元素を含む化合物が、Pt、Pd、Au、IrおよびRuからなる群より選ばれる貴金属元素を含むことが好ましい。
本発明は、上述の電極触媒の構造体の製造方法で得られる電極触媒の構造体を提供する。
本発明は、上述の電極触媒の構造体と、高分子電解質膜と、を備え、前記電極触媒の構造体は、基板と、前記基板の表面に形成された電極触媒の層とを有し、前記電極触媒の層と、前記高分子電解質膜とが接して設けられている膜電極ガス拡散層接合体を提供する。
本発明は、上述の膜電極ガス拡散層接合体を有する燃料電池を提供する。
本発明は、上述の電極触媒の構造体と、負極と、前記電極触媒の構造体および前記負極で挟持されたセパレータと、を有し、前記電極触媒の構造体が有する電極触媒が、前記セパレータに接して配置されている空気電池を提供する。
本発明によれば、酸性電解質中またはアルカリ電解質中において、高電位を含む電位サイクルを行っても性能が劣化しにくい電極触媒の構造体の製造方法を提供できる。また、このような製造方法で得られる電極触媒の構造体、該電極構造体を有する膜電極ガス拡散層接合体、該膜電極ガス拡散層接合体を有する燃料電池、およびこのような電極触媒の構造体を有する空気電池を併せて提供できる。
本実施形態の電極触媒の構造体の製造方法は、酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物(A)の粉末を基板上に固定し、前記粉末の層を形成することと、前記層が形成された基板を、貴金属元素を含む化合物(B)を溶媒(C)に溶解させた溶液に浸漬し、電着法により前記層の表面に貴金属を担持させることとを有する。
また、本実施形態の電極触媒の構造体は、上述の製造方法で得られるものである。
さらに、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体は、上述の電極触媒の構造体を有するものであり、本実施形態の燃料電池は、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体を有するものである。
また、本実施形態の空気電池は、上述の電極触媒の構造体と、負極と、前記電極触媒の構造体および前記負極で挟持されたセパレータと、を有し、前記電極触媒の構造体が有する電極触媒が、前記セパレータに接して配置されているものである。
なお、本実施形態における電解還元時の印加電圧、後述する実施例に記載の「(4)酸素還元能評価」における評価時の電位、後述する実施例に記載の「(6)耐久性評価」において実施される電位サイクルで採用される電位等、明細書中に記載された各電位の値は、いずれも可逆水素電極電位換算による値である。
また、本発明における「酸素還元能を有し、」とは、後述する実施例に記載の「(4)酸素還元能評価」の評価手法を用いた場合に、0.8Vにおいて−0.001mA/cm2以下の酸素還元電流密度をもつことをいう。酸素還元電流密度は、相対的に値が小さいほうが、より酸素還元能が高い物質であることを示す。
(電極触媒の構造体の製造方法)
以下、本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法について、用いる材料の説明を行った後に、具体的に操作手順について説明する。
以下、本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法について、用いる材料の説明を行った後に、具体的に操作手順について説明する。
なお、以下の説明においては、「酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物(A)」を、「化合物(A)」と称することがある。
また、「貴金属元素を含む化合物(B)」を、「化合物(B)」と称することがある。
さらに、「貴金属元素を含む化合物(B)を溶媒(C)に溶解させた溶液」を「電着液」と称することがある。
また、「貴金属元素を含む化合物(B)」を、「化合物(B)」と称することがある。
さらに、「貴金属元素を含む化合物(B)を溶媒(C)に溶解させた溶液」を「電着液」と称することがある。
(酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物(A))
本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法で用いられる化合物(A)の粉末は、後述する化合物(B)に含まれる貴金属を担持する触媒担体として機能する。化合物(A)は、酸素還元能を有しており、触媒活性を有していると評価できる物質である。
本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法で用いられる化合物(A)の粉末は、後述する化合物(B)に含まれる貴金属を担持する触媒担体として機能する。化合物(A)は、酸素還元能を有しており、触媒活性を有していると評価できる物質である。
化合物(A)としては、具体的には、
(a)長周期型周期表における4族または5族の金属元素の酸窒化物または炭窒化物の部分酸化処理により得られる化合物;
(b)FeフタロシアニンまたはCoフタロシアニン等と、窒素、硼素または酸素を含有する有機化合物との混合物を、不活性雰囲気またはアンモニア雰囲気下で焼成して得られる化合物;
(c)長周期型周期表における4族または5族の金属元素を含む水酸化物、カーボン前駆体、窒素含有化合物ならびに導電材を混合後、水熱、亜臨界または超臨界処理した後焼成することで得られる化合物;等が挙げられる。
(a)長周期型周期表における4族または5族の金属元素の酸窒化物または炭窒化物の部分酸化処理により得られる化合物;
(b)FeフタロシアニンまたはCoフタロシアニン等と、窒素、硼素または酸素を含有する有機化合物との混合物を、不活性雰囲気またはアンモニア雰囲気下で焼成して得られる化合物;
(c)長周期型周期表における4族または5族の金属元素を含む水酸化物、カーボン前駆体、窒素含有化合物ならびに導電材を混合後、水熱、亜臨界または超臨界処理した後焼成することで得られる化合物;等が挙げられる。
なお、上記(c)の化合物の説明において、「4族または5族の金属元素を含む水酸化物」としては、水酸化ジルコニウム、水酸化ハフニウム、メタチタン酸、ニオブ酸、タンタル酸などが挙げられる。
また、上記(c)の化合物の説明において、「カーボン前駆体」とは、焼成によりカーボンを生じる化合物のことを指す。具体的には、グルコース、フルクトース、スクロース、セルロース、ハイドロプロピルセルロースなどの糖類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類;アクリロニトリル、ポリアクリロニトリルなどのニトリル類;コラーゲン、ケラチン、フェリチン、ホルモン、ヘモグロビン、アルブミンなどの各種タンパク質、グリシン、アラニン、メチオニンなどの各種アミノ酸を含む生体物質;アスコルビン酸、クエン酸、ステアリン酸などの有機酸類などが挙げられる。
また、上記(c)の化合物の説明において、「窒素含有化合物」とは、例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどの複素環化合物およびその誘導体;アセトアミド、シアナミドなどのアミド化合物;ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミンなどのヒドロキシルアミン類;アンモニア、尿素などが挙げられ、アンモニア、尿素が好ましい。
また、上記(c)の化合物の説明において、「導電材」とは、例えば、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、導電性酸化物、導電性酸化物繊維または導電性樹脂などが挙げられる。
また、化合物(A)が「貴金属元素を含まない」とは、具体的には金(Au),銀(Ag),ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),オスミウム(Os),イリジウム(Ir),白金(Pt)の貴金属元素を含まないことを意味する。
本実施形態に用いられる化合物(A)の粉末は、担持する貴金属を高分散にするため、一次粒子径が、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上50nm以下である。
本実施形態に用いられる化合物(A)の粉末は、担持する貴金属を高分散にするために、BET比表面積が、好ましくは50m2/g以上1000m2/g以下、より好ましくは70m2/g以上500m2/g以下である。
本実施形態に用いられる化合物(A)として、上記(a)の化合物のうち炭窒化物の部分酸化処理により得られる化合物、または上記(c)の化合物を用いた場合、長周期型周期表における4族および5族の金属元素が炭素化合物の層により被覆された構造となる。この場合、前記金属元素を被覆する層に含まれる炭素化合物は、化合物(A)の酸素還元能を高めるために、窒素を含有していることが好ましい。本発明に用いられる化合物(A)に含まれる炭素化合物が窒素を含有する場合、その含有量は、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。
本実施形態の製造方法においては、化合物(A)の粉末は、後述する基板上に固定される。具体的には、化合物(A)の粉末を分散媒に分散させて分散液とし、得られた分散液を基板上に塗布した後に分散媒を除去して乾燥させることにより、化合物(A)の粉末が基板上に固定される。使用可能な分散媒としては、イオン交換水や、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類などを挙げることができる。
分散液の調整の際には、化合物(A)の粉末および分散媒と共に、本実施形態における電極触媒の構造体の機能を損なわない範囲で分散剤を用いることができる。分散剤としては、例えば硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸;オキシ塩化ジルコニウム等の水溶性ジルコニウム塩;ポリカルボン酸アンモニウム、ポリカルボン酸ナトリウム等の界面活性剤;エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレード等のカテキン類;ナフィオン(デュポン社の登録商標)等のフッ素系イオン交換樹脂や、スルホン酸化されたフェノールホルムアルデヒド樹脂等の炭化水素系イオン交換樹脂等が挙げられる。ナフィオン(デュポン社の登録商標)等のフッ素系イオン交換樹脂や、スルホン酸化されたフェノールホルムアルデヒド樹脂等の炭化水素系イオン交換樹脂等は、化合物(A)の粉末を基板上に固定する際にバインダーとしても機能する。分散液には、化合物(A)の粉末のバインダーとして機能するフッ素系イオン交換樹脂や炭化水素系イオン交換樹脂等を含むことが好ましい。
分散液の調整の際には、例えば超音波分散機、ビーズミル、サンドグラインダー、ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ボールミル、攪拌機等の装置を用いて化合物(A)の粉末を分散させる方法を採用することができる。
また分散液は、本実施形態における電極触媒の構造体の機能を損なわない範囲で導電材を含有してもよい。導電材としてはカーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、導電性酸化物、導電性酸化物繊維および導電性樹脂等が挙げられる。
化合物(A)の粉末を含む分散液の固形分(化合物(A)の粉末、分散剤、導電材)の濃度は、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上30質量%以下である。分散液の固形分濃度が50質量%を超えると、分散液の粘度が高くなりすぎ、分散液における化合物(A)の粉末の分散が不十分となり、分散液の塗布が困難となる。また、分散液の固形分濃度が0.1質量%未満となると、所望の量の化合物(A)を配置するために塗布を重ねる必要が生じるため、均一な膜厚の塗膜を形成することが困難となる。その結果、塗布した面において均一に固形分が分布するような良好な塗布が困難となる。
(基板)
化合物(A)の粉末が固定される基板としては、電子導電性を示す材料で形成されていればよく、例えば、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンプレート、グラッシーカーボンなどのカーボン基板や、チタン、タンタル、ステンレスなどの金属基板が用いられる。ステンレスを用いる場合は、耐食性を向上させるために表面を耐食性のある材料でめっき処理されていることが好ましい。
化合物(A)の粉末が固定される基板としては、電子導電性を示す材料で形成されていればよく、例えば、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンプレート、グラッシーカーボンなどのカーボン基板や、チタン、タンタル、ステンレスなどの金属基板が用いられる。ステンレスを用いる場合は、耐食性を向上させるために表面を耐食性のある材料でめっき処理されていることが好ましい。
上述した基板のうち、基板の一面から他面に向けて気体が透過可能な貫通孔を有するものは、例えば、燃料電池や空気電池に用いる電極触媒の構造体の製造に好適に用いることができる。
ここで「貫通孔」とは、基板の一面から他面に向けて規則的な形状や配置で形成されているものでもよく、基板内に形成されている多数の孔や隙間が互いに連通することで、基板の一面から他面に向けて貫通孔が不規則に形成されているものや、いわゆる多孔質材料で形成されたものでもよい。燃料電池や空気電池に用いる電極触媒の構造体においては、貫通孔を有する基板が、いわゆるガス拡散層として機能する。このような貫通孔を有する基板として、上述した基板のうち、カーボンクロスやカーボンペーパーを例示することができる。
また、上述した貫通孔を有さない基板は、例えば、水電解の触媒として用いる電極触媒の構造体の製造に好適に用いることができる。
(貴金属元素を含む化合物(B))
本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法で用いられる化合物(B)は、貴金属元素を含み、化合物(A)の粉末の表面に担持させる貴金属の供給源として用いられる金属塩である。具体的には、化合物(B)は、後述する溶媒(C)に溶解させることで、本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法で用いられる電解液を構成する。電着液中には、化合物(B)に由来する貴金属イオンが存在し、電着法により貴金属イオンが還元されて貴金属が析出する。
本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法で用いられる化合物(B)は、貴金属元素を含み、化合物(A)の粉末の表面に担持させる貴金属の供給源として用いられる金属塩である。具体的には、化合物(B)は、後述する溶媒(C)に溶解させることで、本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法で用いられる電解液を構成する。電着液中には、化合物(B)に由来する貴金属イオンが存在し、電着法により貴金属イオンが還元されて貴金属が析出する。
化合物(B)に含まれる貴金属元素としては、Pt、Pd、Au、IrまたはRuが好ましい。また、化合物(B)としては、上記貴金属の硫化物、塩化物、硝酸物、オキソイオン等が挙げられる。化合物(B)は、後述する溶媒(C)に可溶の化合物である。
溶媒(C)中に溶解される化合物(B)の量は、溶媒(C)100質量部に対して、0.0001質量部以上50質量部以下であることが好ましい。溶媒(C)中に溶解される化合物(B)の量が0.0001質量部より少ないと長時間の電着を要し、量が50質量部より多いと均一な電着が起こりにくい。
本発明に用いられる化合物(B)として、以下の化合物を例示することができる。
貴金属元素としてPtを含む化合物(B)としては、例えば、塩化白金(PtCl2、PtCl4)、臭化白金(PtBr2、PtBr4)、沃化白金(PtI2、PtI4)、塩化白金カリウム(K2(PtCl4))、ヘキサクロロ白金酸(H2PtCl6)、亜硫酸白金(H3Pt(SO3)2OH)、塩化テトラアンミン白金(Pt(NH3)4Cl2)、炭酸水素テトラアンミン白金(Pt(NH3)4(HCO3)2)、テトラアンミン白金リン酸水素(Pt(NH3)4HPO4)、水酸化テトラアンミン白金(Pt(NH3)4(OH)2)、硝酸テトラアンミン白金(Pt(NO3)2(NH3)4)、テトラアンミン白金テトラクロロ白金((Pt(NH3)4)(PtCl4))、ジニトロジアミン白金(Pt(NO2)2(NH3)2)等が挙げられる。
貴金属元素としてPdを含む化合物(B)としては、例えば、酢酸パラジウム((CH3COO)2Pd)、塩化パラジウム(PdCl2)、臭化パラジウム(PdBr2)、沃化パラジウム(PdI2)、水酸化パラジウム(Pd(OH)2)、硝酸パラジウム(Pd(NO3)2)、硫酸パラジウム(PdSO4)、テトラクロロパラジウム酸カリウム(K2(PdCl4))、テトラブロモパラジウム酸カリウム(K2(PdBr4))、テトラアンミンパラジウム塩化物(Pd(NH3)4Cl2)、テトラアンミンパラジウム臭化物(Pd(NH3)4Br2)、テトラアンミンパラジウム硝酸塩(Pd(NH3)4(NO3)2)、テトラアンミンパラジウムテトラクロロパラジウム酸((Pd(NH3)4)(PdCl4))、テトラクロロパラジウム酸アンモニウム((NH4)2PdCl4)等が挙げられる。
貴金属元素としてAuを含む化合物(B)としては、例えば、塩化金(AuCl)、臭化金(AuBr)、沃化金(AuI)、水酸化金(Au(OH)2)、テトラクロロ金酸(HAuCl4)、テトラクロロ金酸カリウム(KAuCl4)、テトラブロモ金酸カリウム(KAuBr4)等が挙げられる。
貴金属元素としてIrを含む化合物(B)としては、例えば、塩化イリジム(IrCl3)、臭化イリジウム(IrBr4)、沃化イリジウム(IrI4)等が挙げられる。
貴金属元素としてRuを含む化合物(B)としては、例えば、臭化ルテニウム(RuBr3)、塩化ルテニウム(RuCl3)、沃化ルテニウム(RuI3)、ニトロシル塩化ルテニウム水和物(Ru(NO)Cl3・H2O)、ニトロシル硝酸ルテニウム(Ru(NO)(NO3)3、ルテニウムポルフィリン錯体(5,10,15,20−テトラキス(2,4,6−トリメチルフェニル)ポリフィナトルテニウムカルボニル、C57H52N4ORu)等が挙げられる。
上述した化合物(B)は、1種のみを溶媒(C)に溶解して電解液とすることとしてもよく、2種以上を溶媒(C)に溶解して電解液とすることとしてもよい。
(溶媒(C))
本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法で用いられる溶媒(C)は、効果的に電着を実施するため、イオン導電性を示し、かつ電着時に安定なものであることが好ましい。溶媒(C)として、例えば硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸などを用いることができる。またこれらを希釈するためにイオン交換水を用いることができる。
本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法で用いられる溶媒(C)は、効果的に電着を実施するため、イオン導電性を示し、かつ電着時に安定なものであることが好ましい。溶媒(C)として、例えば硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸などを用いることができる。またこれらを希釈するためにイオン交換水を用いることができる。
(製造方法)
図1は、本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法を示す工程図である。まず、図1(a)に示すように、基板1の表面に上述の化合物(A)の粉末を含む分散液2を塗布する。
図1は、本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法を示す工程図である。まず、図1(a)に示すように、基板1の表面に上述の化合物(A)の粉末を含む分散液2を塗布する。
基板1上への分散液2の塗布の方法としては、通常知られた種々の方法を採用することができる。例えば、ダイコータやスプレー装置などを用いた分散液2の塗布の他、スピンコート、ロールコート、ディップコート、各種印刷、転写等の方法を用いて分散液2を塗布することができる。図1(a)では、ダイコータ3を用いて分散液2を塗布する様子を示している。
分散液2を塗布する面積は任意に設定することができ、基板1の一面全面に塗布することとしてもよく、基板1の一面のうち予め定めた領域にのみ塗布することとしてもよい。
次いで、図1(b)に示すように、分散液2から分散媒を蒸発させ、基板1上に化合物(A)の粉末を含む層4を形成することで、基板1上に化合物(A)の粉末を固定する。
基板1上に塗布した分散液2から分散媒を除去する際には、塗布した分散液2の加熱、送風、減圧等により分散媒の蒸発を促進してもよく、これらを相互に組み合わせることとしてもよい。
次いで、図1(c)に示すように、層4を表面に形成した基板1を、化合物(B)を溶媒(C)に溶解させた溶液(電解液5)に浸漬し、電着法により、層4の表面に貴金属を担持させる。
このとき、層4は化合物(A)の粉末が固定され形成されているため、微視的には多孔質な層となっている。さらに、層4の表面は、微視的には化合物(A)の粉末に応じた凹凸があり、平滑な面である場合と比べて表面積が広くなっている。そのため層4の表面に担持される貴金属量を増やすことができる。
用いられる電着法としては、電解還元法や光電着法等が挙げられ、好ましくは電解還元法である。具体的には、電解液5に浸漬させた基板1と外部電源6とを電気的に接続し、さらに、外部電源6に接続したカウンター電極6aおよび参照電極6bを電解液5に浸漬した状態で印加することで、層4を構成する化合物(A)の粉末に電子を注入し、層4の表面と電解液5との界面において電解液5に含まれる貴金属イオンを還元する。参照電極6bとしては、可逆水素電極、銀―塩化銀電極などを例示することができる。
これにより、層4を構成する化合物(A)の表面に貴金属の粒子(貴金属粒子7)が島状に析出する。
これにより、層4を構成する化合物(A)の表面に貴金属の粒子(貴金属粒子7)が島状に析出する。
なお、外部電源6からの印加を長時間行うことで、近接する複数の貴金属粒子7が互いに接触するまでに成長すると、貴金属粒子7の層が形成されることも考えられるが、図1(c)では、貴金属粒子7が均一な粒径で析出している様子を示している。貴金属粒子7は、層4の表面全体を覆うほどに析出していなくても、求める電極触媒の構造体としての機能に支障はない。
電解還元法による電着を実施する際の電位は、化合物(B)の貴金属イオンの酸化還元電位以下であればよい。電解還元法による電着は、固定した電位で行ってもよいし、電位を変化させながら行ってもよいが、固定電位で行うことが好ましい。電解還元法による電着時の電位は、0Vより高く0.8V未満であることが好ましく、0Vより高く0.7V未満であることがより好ましく、0Vより高く0.6V未満であることがさらに好ましい。0V以下であると水素が発生するため、担持された貴金属の粒径が不均一となり、また0.6V以上であると還元反応が不均一に進行するおそれがあるため、本実施形態における電極触媒の構造体の製造方法には不適である。
電解還元法による電着を実施する際の処理時間(電位印加時間)は、30秒以上3時間以下であることが好ましく、1分以上2時間以下であることがより好ましく、2分以上1時間以下であることがさらに好ましい。
電解還元法による電着を実施する際の雰囲気(図1(c)の符号8で示す気相部)は、酸素などの活性種が含まれると還元反応が不均一になるため、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気であることが好ましい。また、電解還元法による電着の実施前に、電着液に不活性ガスを流す(電着液を不活性ガスでバブリングする)ことで、電着液に溶存している酸素を不活性ガスへ置換させることができるため好ましい。
以上の操作により、図1(d)に示すような、化合物(A)の粉末を含む層4を基板1上に固定し、さらに層4の表面、すなわち層4を構成する化合物(A)の粉末の表面に、貴金属粒子7を形成し貴金属を担持させた電極触媒の構造体10を得ることができる。なお、層4と貴金属粒子7とが、電極触媒9を構成する。電極触媒の構造体10では、電極触媒9が層を形成している。
(電極触媒の構造体)
本実施形態の電極触媒の構造体10は、上述したように電着法を用いて製造され、図1(d)に示すように、基板1と、基板1の表面に形成された、化合物(A)の粉末を形成材料とする層4と、層4の表面に形成された複数の貴金属粒子7と、を有する。複数の貴金属粒子7は、層4の表面に海島状に点在して形成されている。複数の貴金属粒子7は、TEM観察によって確認することができる。
本実施形態の電極触媒の構造体10は、上述したように電着法を用いて製造され、図1(d)に示すように、基板1と、基板1の表面に形成された、化合物(A)の粉末を形成材料とする層4と、層4の表面に形成された複数の貴金属粒子7と、を有する。複数の貴金属粒子7は、層4の表面に海島状に点在して形成されている。複数の貴金属粒子7は、TEM観察によって確認することができる。
このような電極触媒の構造体10は、従来の電極触媒と比較し、例えば酸素飽和雰囲気下において酸性電解質中では、0.8V以上、または酸素飽和雰囲気下においてアルカリ電解質中では、−0.1V以上という高電位を含む電位サイクルを行っても性能が劣化しにくい。
本発明の電極触媒の構造体は、酸性電解質中またはアルカリ電解質中での水の電気分解、有機物の電気分解、空気電池の電極などに用いることもできる。
貴金属粒子7の一次粒子径は、好ましくは0.1nm以上50nm以下、より好ましくは1nm以上10nm以下である。また、層4の表面に担持させた貴金属は、層4の表面に均一に分散していることが好ましい。貴金属の一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。
層4の表面に担持させた貴金属粒子7の量は、貴金属元素換算で、化合物(A)の粉末100質量部に対して好ましくは0.01質量部以上50質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上20質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以上15質量部以下である。貴金属の担持量が多いと製造コストが上昇し、また貴金属の担持量が少ないと、得られる電極触媒の構造体10において有効に機能する電極触媒の総量が少なくなり、電極触媒の構造体としての性能が低いものとなる。貴金属の担持量は、ファラデーの法則に基づき、電解還元法による電着時の電気量(電流の時間での積分量)から逆算して算出することができる。また、電解還元法による電着の条件は、所望の貴金属の担持量に応じて設定することができる。
また、本実施形態の電極触媒の構造体10は、図1(d)において符号Aで示すような領域(層4の内部)では、化合物(A)に貴金属が担持されない、または非常に担持されにくい。これにより、以下のような効果を奏する。
電極触媒の構造体における触媒反応は、電極触媒の表面で反応基質が反応する界面反応である。すなわち、電極触媒の構造体において触媒反応に寄与する部分は、反応基質と接触する電極触媒の表面であり、電極触媒の内部は反応に寄与しない。そのため、例えば、化合物(A)の粉末の表面に貴金属を担持させた電極触媒の粉末を予め形成した後、当該電極触媒の粉末を基板上に固定して電極触媒層を形成し、電極触媒の構造体とする比較例を想定した場合、当該比較例においては、電極触媒層の内部に埋没される貴金属は反応に寄与しないこととなる。
対して、本実施形態の電極触媒の構造体10では、触媒反応に寄与する電極触媒の表面に選択的に貴金属粒子7が担持されている。そのため、本実施形態の電極触媒の構造体10は、上述の比較例と比べ、電極触媒全体として含まれる貴金属量が少なくても、比較例と同等の触媒活性が得られることとなり、使用する貴金属量の抑制が可能となる。
本実施形態の電極触媒の構造体10と、上述した比較例のような電極触媒の構造体との違いは、例えば、それぞれの電極触媒の構造体が有する電極触媒の層において、貴金属元素の濃度分布を電極触媒の層の深さ方向に測定する(デプスプロファイル)ことにより確認することができると考えられる。このような測定を行うと、電極触媒の構造体10では、貴金属元素が電極触媒の層の表面近傍で多く、内部では少ないという濃度分布を形成すると考えられる。一方で、比較例の電極触媒の構造体では、予め貴金属を有する電極触媒の粉末を形成した後に、基板上に固定することから、貴金属元素が電極触媒の層の表面近傍でも内部でも同じように存在すると考えられるためである。
以上、本実施形態の電極触媒の構造体の製造方法によれば、高電位を含む電位サイクルを行っても性能が劣化しにくい電極触媒の構造体を容易に得ることができる。
また、このような製造方法で得られる本実施形態の電極触媒の構造体は、従来の電極触媒と比較し、例えば酸素飽和雰囲気下において酸性電解質中では、0.8V以上、またはアルカリ電解質中では、−0.1V以上という高電位を含む電位サイクルを行っても性能が劣化しにくいものとなる。
(膜電極ガス拡散層接合体)
図2は、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)を示した模式図であり、上記した本実施形態の電極触媒の構造体を高分子電解質膜に圧着させたものである。
図2は、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体(MEGA)を示した模式図であり、上記した本実施形態の電極触媒の構造体を高分子電解質膜に圧着させたものである。
図2に示す膜電極ガス拡散層接合体70は、燃料電池に好適に用いることができる。膜電極ガス拡散層接合体70は、上述した本実施形態の電極触媒の構造体10a,10bと、高分子電解質膜72と、を備え、電極触媒の構造体10aが有する電極触媒9aの層と、電極触媒の構造体10bが有する電極触媒9bの層とが、高分子電解質膜72に接し、圧着されている。
高分子電解質膜72は、高分子電解質を膜状に成形したものであり、例えば、Nafion NRE211、Nafion NRE212、Nafion112、Nafion1135、Nafion115、Nafion117(いずれもデュポン社製)、フレミオン(旭硝子社製)、アシプレックス(旭化成社製)(いずれも商品名、登録商標)などを用いることができる。
上述したように、燃料電池に好適に用いることができる膜電極ガス拡散層接合体70では、電極触媒の構造体10a,10bが有する基板1a,1bとして、電子伝導性を有し貫通孔を有する基板や、電子伝導性を有する多孔質材料で形成された基板を用いる。
得られた膜電極ガス拡散層接合体70は、固体高分子形燃料電池、リン酸形燃料電池、直接メタノール型燃料電池、直接エタノール型燃料電池、アルカリ型燃料電池または空気電池等に用いることができる。
(燃料電池)
次に、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体を備えた燃料電池の好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて説明する。
次に、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体を備えた燃料電池の好ましい一実施態様について、添付の図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の好適な一実施態様の燃料電池のセルについての縦断面図である。図3では、燃料電池80は、高分子電解質膜72と、これを挟む一対の電極触媒の構造体10a,10bとから構成された膜電極ガス拡散層接合体70(すなわち、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体)を備えている。燃料電池80は、膜電極ガス拡散層接合体70の両側に、これを挟むようにセパレータ88a,88b(セパレータ88a,88bは、電極触媒の構造体10a,10b側に、燃料ガス等の流路となる溝(図示せず)が形成されていると好ましい)を備えている。なお、高分子電解質膜72、電極触媒9a,9bからなる構造体は、一般的に、膜電極接合体(MEA)と呼ばれることがある。
電極触媒9a,9bは、燃料電池における電極層として機能する層であり、これらの一方がアノード電極層となり、他方がカソード電極層となる。かかる電極触媒9a,9bには、化合物(A)の粉末、化合物(A)の粉末の表面に担持された貴金属、およびナフィオン(登録商標)に代表されるプロトン伝導性を有する電解質が含まれる。
電極触媒の構造体10a,10bが有する基板1a,1bは、電極触媒9a,9bへの原料ガスの拡散を促進するガス拡散層としての機能を有する。基板1a,1bの材料としては、原料ガスを電極触媒9a,9bへ効率的に輸送することができるため、多孔質性のカーボン不織布、カーボンペーパーが好ましい。
セパレータ88a,88bは、電子伝導性を有する材料で形成されている。前記電子伝導性を有する材料としては、例えば、カーボン、樹脂モールドカーボン、チタン、ステンレスが挙げられる。
このような燃料電池80は、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体70を、一対のセパレータ88a,88bで挟み込み、これらを接合させることで得られる。この燃料電池80は、ガスシール等で封止することもできる。
また、燃料電池80は、固体高分子型燃料電池の最小単位であるが、単一の燃料電池80(セル)の出力は限られている。そこで、必要な出力が得られるように複数の燃料電池80を直列に接続して、燃料電池スタックとして使用することが好ましい。
本発明の燃料電池は、燃料が水素である場合は固体高分子型燃料電池として、また、燃料がメタノールである場合は直接メタノール型燃料電池として動作させることができる。
本実施形態の電極触媒の構造体は、燃料電池用電極を構成する一部、または水電気電解用触媒を構成する一部として用いることができるが、燃料電池用電極を構成する一部として用いることが好ましい。本実施形態の電極触媒の構造体および膜電極ガス拡散層接合体を用いた燃料電池は、例えば、自動車用電源、家庭用電源、携帯電話、携帯用パソコン等のモバイル機器用小型電源として有用である。
(空気電池)
本実施形態の電極触媒の構造体は、空気電池の電極として用いることもできる。ここで「空気電池」とは、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属を用いる電池のことを意味する。
本実施形態の電極触媒の構造体は、空気電池の電極として用いることもできる。ここで「空気電池」とは、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属を用いる電池のことを意味する。
図4は、上述の電極触媒の構造体を正極に用いた空気電池100の断面図である。空気電池100は、正極として用いる本実施形態の電極触媒の構造体1、負極101、セパレータ102、電解液103、撥水膜104、酸素透過膜105、負極ケース106、正極ケース107及び絶縁ガスケット108を有する。
電極触媒の構造体1が有する電極触媒9は、空気電池100の正極として機能する。また、電極触媒の構造体1が有する基板1としては、多孔性のものが好適に用いられ、電極触媒9に酸素を拡散させながら供給する拡散層として、また集電体として機能する。
負極101としては、亜鉛、アルミニウム、鉄等の一般の空気電池の負極に用いられるバルク状の金属を用いることができる。
セパレータ102としては、親水処理を施したポリオレフィン系不織布やフッ素樹脂を用いることができる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。
電解液103としては、空気電池の出力密度を向上させる観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリの水溶液を用いることが好ましい。
撥水膜104は、電解液の電池外部への漏液を防止するとともに、電極触媒の構造体1へ供給される空気から水蒸気を遮断する役割も担っている。撥水膜104としては、多孔質のポリオレフィンやフッ素樹脂の膜が挙げられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。
酸素透過膜105は、空気に含まれる二酸化炭素の透過を抑制し、酸素を選択的に透過させる。これにより、正極である電極触媒の構造体1に、酸素濃度の高いガスが供給されることとなる。
負極ケース106は、例えば、ニッケル、ステンレス鋼および銅の三層クラッド材を用い、銅が内面となるようにプレス加工することにより得られる。
正極ケース107は、成型性の観点から、例えば、ステンレスもしくは鉄にニッケルメッキを施したもの等を用い、プレス加工することにより得られる。
絶縁ガスケット108は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成される。
空気電池100においては、電極触媒の構造体1と負極101との間には、セパレータ102が挟持されている。電極触媒の構造体1における電極触媒9が、セパレータ102に接して配置されている。また、電極触媒の構造体1における基板1の上には、撥水膜104、酸素透過膜105がこの順に積層されている。負極101から酸素透過膜105まで積層した積層体は、負極ケース106、正極ケース107、及び負極ケース106と正極ケース107との間に配置された絶縁ガスケット108で構成される筐体の内部空間に収容されている。
筐体内において、負極101は負極ケース106の内面に接し、酸素透過膜105は、正極ケース107の内面に接して収容されている。また、筐体の内部空間には、電解液103が貯留され、負極101とセパレータ102と電極触媒の構造体1とは、電解液103に浸漬されている。正極ケース107には、多数の貫通孔107aが設けられており、貫通孔107aを介して空気が取り込まれる。貫通孔107aを透過した空気は、酸素透過膜105を介することで酸素濃度が高まり、基板1で拡散しながら電極触媒9に供給される。
空気電池100では、空気中の酸素(O2)が空気極(正極)の触媒作用でOH−に還元されて電解液103に溶け込み、このOH−が負極101と反応して起電力を生じる。
このような空気電池は、例えば、自動車用電源、家庭用電源、携帯電話、携帯用パソコン等のモバイル機器用小型電源として有用である。
また、空気電池としては、本実施形態の膜電極ガス拡散層接合体を有し、膜電極ガス拡散層接合体に含まれる電極触媒の構造体を空気電池の電極として用いる構成も採用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例1および比較例1における評価方法は以下の通りである。
なお、実施例1および比較例1における評価方法は以下の通りである。
(1)BET比表面積:
BET比表面積(m2/g)は、BET比表面積測定装置(Mountech社製、型名:Macsorb HB1208)の装置を用い窒素吸着法により求めた。
BET比表面積(m2/g)は、BET比表面積測定装置(Mountech社製、型名:Macsorb HB1208)の装置を用い窒素吸着法により求めた。
(2)結晶構造:
結晶構造は、粉末X線回折装置(PANalytical製、装置名:X’Pert)を用い、ターゲットにCu管球、電圧:45kV、電流:40mA、測定範囲測定範囲:10°〜90°の条件にて行った。
結晶構造は、粉末X線回折装置(PANalytical製、装置名:X’Pert)を用い、ターゲットにCu管球、電圧:45kV、電流:40mA、測定範囲測定範囲:10°〜90°の条件にて行った。
(3)炭素量:
炭素量は、TG/DTA(SII製、型名:EXSTAR6000)を用い、昇温速度10℃/分、空気流通下の条件で、室温から800℃まで昇温した際の次の式により算出される炭素量の値(イグロス値)を用いた。
炭素量(質量%)=(WI−WA)/WI×100
(ここで、WIは焼成前の電極触媒質量、WAは焼成後の質量である。)
炭素量は、TG/DTA(SII製、型名:EXSTAR6000)を用い、昇温速度10℃/分、空気流通下の条件で、室温から800℃まで昇温した際の次の式により算出される炭素量の値(イグロス値)を用いた。
炭素量(質量%)=(WI−WA)/WI×100
(ここで、WIは焼成前の電極触媒質量、WAは焼成後の質量である。)
(4)酸素還元能評価:
純水10mL、イソプロピルアルコール10mLならびにナフィオン(デュポン社の登録商標)の溶液(固形分5質量%)0.6gからなる混合溶媒を作製し、この混合溶媒を0.5mL採取し、これに測定対象の化合物0.01gを混合し、超音波を照射して懸濁液とした。
純水10mL、イソプロピルアルコール10mLならびにナフィオン(デュポン社の登録商標)の溶液(固形分5質量%)0.6gからなる混合溶媒を作製し、この混合溶媒を0.5mL採取し、これに測定対象の化合物0.01gを混合し、超音波を照射して懸濁液とした。
この懸濁液30μLをグラッシーカーボン電極〔日厚計測社製、6mm径、電極面積は28.3mm2〕に塗布・自然乾燥後、真空乾燥機にて1時間処理をすることで測定対象の化合物をグラッシーカーボン電極上に担持させた修飾電極を得た。
得られた修飾電極を濃度0.1モル/Lの硫酸水溶液中に浸漬し、RRDEスピードコントローラ(日厚計測社製、型名:SC−5)、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス株式会社製、型名:Model 701C)を用い、室温(約25℃)、大気圧下、電極回転速度600rpm条件下で走印した。
まず、修飾電極に対する前処理として、窒素雰囲気において、0V〜1.0Vの電位範囲で50mV/秒の走印速度で昇圧させながら走印した後、折り返し、1.0V〜0Vの電位範囲で50mV/秒の走印速度で降圧させながら走印することを1サイクルとして、10サイクル繰り返した。
なお、「0V〜1.0Vの電位範囲」「1.0V〜0Vの電位範囲」において、下限である「0V」には0Vは含まれず、電位範囲の上限である「1.0V」には1.0Vは含まれない。
次いで、窒素雰囲気下および酸素雰囲気下にて、1.0V〜0Vの電位範囲を5mV/秒の速度にて走印し、窒素雰囲気下および酸素雰囲気下における電流値を求めた。得られた酸素雰囲気での電流値から窒素雰囲気の電流値を引くことで0V〜1.0Vの酸素還元電流を算出し、さらに0V〜1.0Vの酸素還元電流のうち0.8Vの電流値を、電極面積(28.3mm2)で割ることで、酸素還元電流密度を求めた。
得られた酸素還元電流密度の値が−0.001mA/cm2以下の場合、酸素還元能を有するとした。
(5)電極触媒の酸素還元電流密度評価:
後述する実施例に従って、グラッシーカーボン電極(日厚計測社製、6mm径、電極面積は28.3mm2)上に、触媒担持量が2.8mg/cm2になるように電極触媒を形成することで、グラッシーカーボン電極上に電極触媒を担持させた修飾電極(電極触媒の構造体)を得た。この修飾電極を用いて、上記「(4)酸素還元能評価」と同様の操作を行い、電極触媒の酸素還元電流密度を求めた。
後述する実施例に従って、グラッシーカーボン電極(日厚計測社製、6mm径、電極面積は28.3mm2)上に、触媒担持量が2.8mg/cm2になるように電極触媒を形成することで、グラッシーカーボン電極上に電極触媒を担持させた修飾電極(電極触媒の構造体)を得た。この修飾電極を用いて、上記「(4)酸素還元能評価」と同様の操作を行い、電極触媒の酸素還元電流密度を求めた。
(6)耐久性評価:
上記(5)で作製した修飾電極を用い、濃度0.1モル/Lの硫酸水溶液中に浸漬し、RRDEスピードコントローラ(日厚計測社製、型名:SC−5)、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス株式会社製、型名:Model 701C)を用い、室温(約25℃)、大気圧下、電極回転速度600rpm条件下で、0.6V〜1.0Vの電位を50mV/秒の速度で変化させ、1000回サイクル処理を行った。その後、1000回サイクル処理後の0.8Vでの酸素還元電流密度を測定し、サイクル処理前の0.8Vでの酸素還元電流密度との比(酸素還元電流密度比)を用いて評価した。酸素還元電流密度比が大きいほど、サイクル処理前後で酸素還元電流密度の変化が小さく、耐久性が高いことを示している。
上記(5)で作製した修飾電極を用い、濃度0.1モル/Lの硫酸水溶液中に浸漬し、RRDEスピードコントローラ(日厚計測社製、型名:SC−5)、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス株式会社製、型名:Model 701C)を用い、室温(約25℃)、大気圧下、電極回転速度600rpm条件下で、0.6V〜1.0Vの電位を50mV/秒の速度で変化させ、1000回サイクル処理を行った。その後、1000回サイクル処理後の0.8Vでの酸素還元電流密度を測定し、サイクル処理前の0.8Vでの酸素還元電流密度との比(酸素還元電流密度比)を用いて評価した。酸素還元電流密度比が大きいほど、サイクル処理前後で酸素還元電流密度の変化が小さく、耐久性が高いことを示している。
なお、この評価方法は酸性電解質中での耐久性評価であるが、一般に酸性電解質中においてはアルカリ電解質中より電極の劣化が促進されることから、アルカリ電解質中での耐久性は行わず、酸性電解質中での耐久性評価をもって、アルカリ電解質中および酸性電解質中での耐久性を判断した。
(7)仕事関数値:
仕事関数値は、理研計器株式会社製の光電子分光装置「AC−2」を用い、光量測定500nW、測定エネルギー4.2eV〜6.2eVで測定して得られる、電流検出時のエネルギー値から算出した。
仕事関数値は、理研計器株式会社製の光電子分光装置「AC−2」を用い、光量測定500nW、測定エネルギー4.2eV〜6.2eVで測定して得られる、電流検出時のエネルギー値から算出した。
(8)TEM、EF−TEM観察:
日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡「JEM2200FS」を用い、真空条件下、加速電圧200kVの条件下で実施した。格子間距離を測定することで、金属状態のPtが担持されていることを確認した。
日本電子株式会社製の透過型電子顕微鏡「JEM2200FS」を用い、真空条件下、加速電圧200kVの条件下で実施した。格子間距離を測定することで、金属状態のPtが担持されていることを確認した。
(実施例1)
(酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物の調整に使用した反応装置)
まず、実施例1において、本発明における「酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物」の調整に使用した反応装置について説明する。図5は実施例1で使用した連続的に水熱反応を行うための流通式反応装置を示す図であり、図6は図5に示す反応装置における反応器を示す説明図である。なお、以下の実施例の説明においても、上述の実施形態と同様に、「酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物」を「化合物(A)」と称する
(酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物の調整に使用した反応装置)
まず、実施例1において、本発明における「酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物」の調整に使用した反応装置について説明する。図5は実施例1で使用した連続的に水熱反応を行うための流通式反応装置を示す図であり、図6は図5に示す反応装置における反応器を示す説明図である。なお、以下の実施例の説明においても、上述の実施形態と同様に、「酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物」を「化合物(A)」と称する
図5に示す反応装置において、水タンク11,21は水を供給するためのタンクであり、原料タンク22は原料液を供給するためのタンクである。弁110,210,220を開けることにより、これらのタンクから液が供給される。
これら水タンク11,21および原料タンク22からは、それぞれ弁110,210,220を開けることにより、貯留されている液が装置内に供給される。弁110の下流側に設けられた送液ポンプ13は、水タンク11から加熱器14に水を送液する。
弁210,220の下流側では、水タンク21および原料タンク22から延在する配管が合流している。合流部分の下流側には送液ポンプ23が設けられ、水タンク21から供給される水、または原料タンク22から供給される原料液のいずれか一方または両方を加熱器24に送液する。
加熱器24では、送液された原料液を予備的に加熱することができるように構成されている。
加熱器14と加熱器24に送られたそれぞれの液は、混合部30で混合され、主に反応器40内で水熱反応する。
加熱器14と加熱器24に送られたそれぞれの液は、混合部30で混合され、主に反応器40内で水熱反応する。
図6は、反応器の概要を示す図である。反応器40内には、内部配管41とその配管を加熱する加熱器44があり、内部配管41は外部の配管に接続されている。反応器40においては、内部配管41の長さを調節することにより、反応器40における反応時間を調節することができる。
反応器40における水熱反応後、反応生成物を含む分散液やスラリーは、冷却器51により冷却され、フィルター52および背圧弁53を通過して、回収容器60で回収される。
(化合物(A)の粉末の調製)
市販の水酸化ジルコニウム(第一稀元素工業株式会社製、品名:R型水酸化ジルコニウム)60g、D−グルコース(和光純薬株式会社製)80g、アンモニア水(pH10.5)160g、ケッチェンブラック(品名:EC−300J、ライオン株式会社製)2g、およびポリビニルピロリドン(和光純薬工業株式会社製)0.2gを、φ0.05mmジルコニアビーズ(東ソー株式会社製)1000gと共にバッチ式レディーミル(アイメックス株式会社製、型番:RMB−08)の容器に投入し、2000rpmの周速で120分間分散した。得られた混合溶液を、粒度分布測定装置(Malvern Instruments社製、型名:Mastersizer2000)を用いて分析したところ(屈折率2.17)、中心粒子径は0.12μmであった。
市販の水酸化ジルコニウム(第一稀元素工業株式会社製、品名:R型水酸化ジルコニウム)60g、D−グルコース(和光純薬株式会社製)80g、アンモニア水(pH10.5)160g、ケッチェンブラック(品名:EC−300J、ライオン株式会社製)2g、およびポリビニルピロリドン(和光純薬工業株式会社製)0.2gを、φ0.05mmジルコニアビーズ(東ソー株式会社製)1000gと共にバッチ式レディーミル(アイメックス株式会社製、型番:RMB−08)の容器に投入し、2000rpmの周速で120分間分散した。得られた混合溶液を、粒度分布測定装置(Malvern Instruments社製、型名:Mastersizer2000)を用いて分析したところ(屈折率2.17)、中心粒子径は0.12μmであった。
得られた混合溶液50gに、pH10.5のアンモニア水1450gを混合したものを原料液として、その原料液を図5に示す流通式反応装置の原料タンク22に仕込んだ。水タンク11,21に水を仕込み、送液ポンプ13,23を起動して、弁110,210を開けて、これらの水の送液を開始した。ここで、送液ポンプ13における流量を16.7mL/分に、送液ポンプ23における流量を6.67mL/分に、それぞれ調節した。背圧弁53を用いて、配管内圧力を30MPaに調節した。加熱器14を400℃に、加熱器24を250℃に、反応器40内の加熱器44の温度を350℃に、それぞれ調節した。定常状態における混合部30の液温を測定したところ380℃であり、超臨界状態の水であることを確認した。
その後、弁210を閉め、弁220を開けることにより、水タンク21から原料タンク22に切り替えて、原料タンク22から原料スラリーを供給して、水熱反応を行い、回収容器60にて、生成スラリーを回収した。回収した生成スラリーをろ過により固液分離し、室温、真空、条件で約1日乾燥して、混合前駆体を得た。
該混合前駆体を、カーボン製るつぼに入れ、ボックス型電気炉〔型番:NP−15S、ネムス株式会社製〕中、大気圧下で、昇温前に真空引きをした後、窒素ガスを1.0L/分の流量で流通させながら、昇温速度300℃/時間で室温(約25℃)から800℃まで昇温し、800℃で1時間保持後、室温(約24℃)まで300℃/時間で降温することにより、化合物(A)の粉末を得た。
得られた化合物(A)の粉末のTEM(透過型電子顕微鏡)写真を図7に、同化合物の粉末のEF−TEM(エネルギーフィルタリング透過型電子顕微鏡)写真を図8に示す。なお、図8に示すEF−TEM写真において、白色部分が炭素を示す。
図7および図8に示す写真を用いて確認したところ、得られた化合物(A)の粉末は、炭素で被覆された、一次粒子が約10nmの酸化ジルコニウムであった。また、表面を被覆した炭素には窒素が含まれることを確認した。
さらに、得られた化合物(A)の粉末のBET比表面積は170m2/g、結晶形は正方晶、炭素量は28.1質量%であった。また、得られた化合物(A)の粉末の0.8Vでの酸素還元電流密度値は−0.384mA/cm2であり、−0.001mA/cm2以下であるため酸素還元能を有し、また仕事関数値は4.9eVであった。
(電解還元法による貴金属を電着した電極触媒の構造体の合成)
純水10mL、イソプロピルアルコール10mLならびにナフィオン(デュポン社の登録商標)の溶液(固形分5質量%)を0.6gの混合溶媒を作製し、この混合溶媒を0.5mL採取し、これに化合物(A)の粉末0.01gを混合し、超音波を照射して懸濁液とした。この懸濁液30μLをグラッシーカーボン電極(日厚計測社製、6mm径、電極面積は28.3mm2)の全面に塗布・自然乾燥後、真空乾燥機にて1時間処理をすることで化合物(A)の粉末をグラッシーカーボン電極上に固定した。
純水10mL、イソプロピルアルコール10mLならびにナフィオン(デュポン社の登録商標)の溶液(固形分5質量%)を0.6gの混合溶媒を作製し、この混合溶媒を0.5mL採取し、これに化合物(A)の粉末0.01gを混合し、超音波を照射して懸濁液とした。この懸濁液30μLをグラッシーカーボン電極(日厚計測社製、6mm径、電極面積は28.3mm2)の全面に塗布・自然乾燥後、真空乾燥機にて1時間処理をすることで化合物(A)の粉末をグラッシーカーボン電極上に固定した。
得られた電極を、ヘキサクロロ白金酸(和光純薬工業株式会社製)を、0.1モル/Lの硫酸水溶液100質量部に対してPt金属換算で0.004質量部になるように添加した水溶液に浸漬し、RRDEスピードコントローラ(日厚計測社製、型名:SC−5)、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス株式会社製、型名:Model 701C)を用い、室温(約25℃)、大気圧下、電極回転速度600rpm条件下で、0.5Vで240秒間保持してPtを電解電着により担持させることで電極触媒の構造体を合成した。観測された電流は、約−80μAだった。
電解電着に要した電気量(電流の時間での積分量)から、担持されたPtの量はPt金属換算で、貴金属元素を含まない化合物の粉末100質量部に対して、1.3質量部だった。
得られた電極触媒の構造体の酸素還元電流密度評価における電流密度の値は−2.59mA/cm2であった。また、上記「(6)耐久性評価」の手法を用いて耐久性評価を行ったところ、酸素還元電流密度値比は0.98であった。
(比較例1)
市販の白金担持カーボン触媒(E−TEK社製;Pt量20質量%、炭素量80%;電着法以外の手法を用いてカーボンブラックへ白金を担持した触媒)を、白金量が実施例1の白金量と同量となるようにグラッシーカーボン上に固定することで電極触媒の構造体とした。得られた電極触媒の構造体について、上記「(6)耐久性評価」の手法を用いて耐久性評価を行った。
なお、上記白金担持カーボン触媒に用いられているカーボンブラック(品名:VulcanXC−72、キャボット社製)は、0.8Vでの酸素還元電流密度値が0.00mA/cm2であり、−0.001mA/cm2以上であるため、酸素還元能を有しないと評価できるものである。
市販の白金担持カーボン触媒(E−TEK社製;Pt量20質量%、炭素量80%;電着法以外の手法を用いてカーボンブラックへ白金を担持した触媒)を、白金量が実施例1の白金量と同量となるようにグラッシーカーボン上に固定することで電極触媒の構造体とした。得られた電極触媒の構造体について、上記「(6)耐久性評価」の手法を用いて耐久性評価を行った。
なお、上記白金担持カーボン触媒に用いられているカーボンブラック(品名:VulcanXC−72、キャボット社製)は、0.8Vでの酸素還元電流密度値が0.00mA/cm2であり、−0.001mA/cm2以上であるため、酸素還元能を有しないと評価できるものである。
評価の結果、電極触媒の酸素還元電流密度評価における電流密度の値は−2.76mA/cm2であり、耐久性評価の結果、酸素還元電流密度比は0.76であった。
以上の結果より、本発明の電極触媒の構造体は、酸性電解質中またはアルカリ電解質中において、高電位を含む電位サイクルを行っても性能が劣化しにくいことが確認され、膜電極ガス拡散層接合体、燃料電池、空気電池に好適に用いられることが分かった。
1,1a,1b…基板、2…分散液、3…ダイコータ、4…層、5…電解液、6…外部電源、7…貴金属粒子、9,9a,9b…電極触媒、10,10a,10b…電極触媒の構造体、11,21…水タンク、22…原料タンク、13,23…送液ポンプ、14,24…加熱器、30…混合部、40…反応器、41…内部配管、44…加熱器、51…冷却器、52…フィルター、53…背圧弁、60…回収容器、70…膜電極ガス拡散層接合体、72…高分子電解質膜、80…燃料電池、88a,88b…セパレータ、100…空気電池、101…負極、102…セパレータ、103…電解液、104…撥水膜、105…酸素透過膜、106…負極ケース、107…正極ケース、107a…貫通孔、108…絶縁ガスケット、110,210,220…弁
Claims (8)
- 酸素還元能を有し、貴金属元素を含まない化合物の粉末を基板上に固定し前記粉末の層を形成することと、
前記層が形成された基板を、貴金属元素を含む化合物を溶媒中に溶解させた溶液に浸漬し、電着法により前記層の表面に貴金属を担持させることと、を有する電極触媒の構造体の製造方法。 - 前記電着法が、電解還元法である請求項1に記載の電極触媒の構造体の製造方法。
- 前記貴金属元素を含む化合物が、Pt、Pd、Au、IrおよびRuからなる群より選ばれる貴金属元素を含む請求項1または2に記載の電極触媒の構造体の製造方法。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の電極触媒の構造体の製造方法で得られる電極触媒の構造体。
- 請求項4に記載の電極触媒の構造体と、高分子電解質膜と、を備え、
前記電極触媒の構造体は、基板と、前記基板の表面に形成された電極触媒の層とを有し、
前記電極触媒の層と、前記高分子電解質膜とが接して設けられている膜電極ガス拡散層接合体。 - 請求項5に記載の膜電極ガス拡散層接合体を有する燃料電池。
- 請求項5に記載の膜電極ガス拡散層接合体を有する空気電池。
- 請求項4に記載の電極触媒の構造体と、負極と、前記電極触媒の構造体および前記負極で挟持されたセパレータと、を有し、
前記電極触媒の構造体が有する電極触媒が、前記セパレータに接して配置されている空気電池。
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-
2012
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