以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の斜視図である。図2は、図1に示される画像形成装置1の内部構造を概略的に示す図である。図1及び図2に示される画像形成装置1は、いわゆるモノクロプリンター機であるが、他の実施形態において、画像形成装置は、カラープリンター、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。
画像形成装置1は、シートPに画像を形成するための様々な装置を収容する筐体200を備える。筐体200は、筐体200の上面を規定する上壁210と、筐体200の底面を規定する底壁220と、上壁210と底壁220との間で直立する背面壁230と、背面壁230とは反対側に取り付けられた手差トレイ240と、を含む。手差トレイ240は、下端240Aを支点として、上端240B側が上下に回動可能である。手差トレイ240が下方に回動されると、筐体200に形成された開口部290が開放される。開口部290は、筐体200の内部空間260に連通する。したがって、使用者は、開口部290を介して、筐体200の内部空間260に収容された様々な装置にアクセスすることができる。手差トレイ240が上方に回動すると、開口部290は閉じられる。この結果、使用者の不必要な内部空間260へのアクセスは防止される。
画像形成装置1は、カセット110と、給紙部11と、第2給紙ローラー114と、中間ローラー115と、レジストローラー116と、画像形成部120とを備える。給紙部11は、ピックアップローラー112と、第1給紙ローラー113と、を備える。給紙部11は、シート搬送路PLにシートPを送り出す。シート搬送路PLは、給紙部11から、中間ローラー115を介して、画像形成部120内の転写ニップ部NBを通過するように配設された搬送路である。
カセット110は、内部にシートPを収容する。カセット110は、シートPを支持するリフト板111を備える。リフト板111は、カセット110に収容されるシートPの枚数に応じて、シートPの先頭縁を押し上げるように傾斜する。
ピックアップローラー112は、リフト板111によって押し上げられたシートPの先頭縁上に配置される。ピックアップローラー112が回転すると、シートPはカセット110から引き出される。
第1給紙ローラー113は、ピックアップローラー112の下流に配設される。第1給紙ローラー113は、シートPを更に下流に送り出す。第2給紙ローラー114は、手差しトレイ240の内側に配設される。第2給紙ローラー114は、手差トレイ240上のシートPを筐体200内に引き込む。使用者は、カセット110に収容されたシートP、または手差トレイ240の上に載置されたシートPを選択的に使用することができる。
中間ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114よりもシート搬送方向下流側に配設される。中間ローラー115は、第1給紙ローラー113、第2給紙ローラー114によって送り出されたシートPを更に下流へ搬送する。
レジストローラー116はシート搬送路PLの転写ニップ部NBよりも上流側に配設される。レジストローラー116は、シート搬送方向と直交する方向のシートPの位置を規定する。これにより、シートP上に形成される画像の位置が調整される。レジストローラー116は、画像形成部120による画像形成のタイミング(シートPにトナー画像が転写されるタイミング)に合わせて、シートPを転写ニップ部NBに向かって搬送する。また、レジストローラー116は、シートPの斜行(スキュー)を補正する機能を備える。
画像形成部120は、感光体ドラム121と、帯電器122と、露光装置123と、現像装置124と、トナーコンテナ125と、転写ローラー126と、クリーニング装置127とを備える。
感光体ドラム121は、略円筒体の形状を有する。感光体ドラム121は、回転駆動され、周面に静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー画像を担持する。
帯電器122は、所定の電圧が印加され、感光体ドラム121の周面を略一様に帯電させる。露光装置123は、帯電器122によって帯電された感光体ドラム121の周面に、レーザー光を照射する。該レーザー光は、画像形成装置1に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータといった外部装置(図示せず)から出力された画像データに従って、照射される。この結果、感光体ドラム121の周面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
現像装置124は、静電潜像が形成された感光体ドラム121の周面にトナーを供給する。トナーコンテナ125は、現像装置124へトナーを供給する。トナーコンテナ125は、現像装置124に順次又は必要に応じてトナーを供給する。現像装置124がトナーを感光体ドラム121に供給すると、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム121の周面に、トナー画像が形成されることとなる。現像装置は、周面にトナーを担持する現像ローラー124Aを備える。現像ローラー124Aは、現像ニップ部NA(現像位置)において、感光体ドラム121に対向して配置される。現像ローラー124Aは、回転駆動され、感光体ドラム121にトナーを供給する。
転写ローラー126(転写手段)は、転写ニップ部NB(転写位置)において、感光体ドラム121に対向して配置される。転写ローラー126は、感光体ドラム121の周面に当接するように、回転可能に配設される。レジストローラー116から搬送されたシートPが、転写ニップ部NBを通過するときに、感光体ドラム121の周面に形成されたトナー画像が、シートPに転写される。
クリーニング装置127は、シートPへトナー画像が転写された後に、感光体ドラム121の周面に残るトナーを除去する。クリーニング装置127によって、清浄化された感光体ドラム121の周面は、再度、帯電器122の下方を通過し、一様に帯電される。その後、上述のトナー画像の形成が新たに行われる。
画像形成装置1は、画像形成部120よりも搬送方向下流側に、シートP上のトナー画像を定着させる定着装置130を更に備える。定着装置130は、シートP上のトナーを溶融させる加熱ローラー131と、シートPを加熱ローラー131に密着させる圧力ローラー132と、を備える。シートPが加熱ローラー131と圧力ローラー132との間を通過すると、トナー画像は、シートPに定着される。
画像形成装置1は、定着装置130の下流に配設された複数の搬送ローラー対133と、搬送ローラー対133の下流に配設された排出ローラー対134と、を更に備える。シートPは、搬送ローラー対133によって上方に搬送され、最終的に、排出ローラー対134によって、筐体200から排出される。筐体200から排出されたシートPは、上壁210上に積み重ねられる。
更に、画像形成装置1は、第1センサー510および第2センサー511を備える。第1センサー510および第2センサー511は、シート搬送路PLにおいて、シートPの位置を検出する。第1センサー510および第2センサー511には、公知の光センサーなどが用いられる。すなわち、シート搬送路PLにおいて、第1センサー510および第2センサー511がそれぞれ対向する位置に、シートPが存在しない場合、第1センサー510および第2センサー511は、0VのLOW信号を出力する。一方、第1センサー510および第2センサー511がそれぞれ対向する位置に、シートPが存在する場合、第1センサー510および第2センサー511は、+5VのHIGH信号を出力する。このように、シートPの有無に応じて、第1センサー510および第2センサー511が、HIGH信号およびLOW信号を出力することによって、シートPの位置が検出される。
第1センサー510は、中間ローラー115よりもシート搬送方向下流側の位置であって、レジストローラー116よりも上流側の位置において、シート搬送路PLに対向して配置される。第1センサー510は、シートPの先端部を検出する。第1センサー510は、シートPの先端部が、レジストローラー116が配設される位置に到達する時間を予測するために使用される。
第2センサー511は、レジストローラー116と転写ローラー126との間のシート搬送路PLに対向して配設される。第2センサー511は、シート搬送路PLの下方に配置される。第2センサー511は、シートPの後端部を検出する。第2センサー511は、シートPの通過に伴い、レジストローラー116および現像ローラー124Aを停止させるために使用される。
次に、画像形成装置1内の主な駆動伝達に関する構成について説明する。図3(A)〜(D)は、本実施形態に係る画像形成装置1の主な駆動伝達の構造を示す図である。また、図4は、従来の画像形成装置における駆動伝達の構造を示す図である。
図3(A)を参照して、画像形成装置1は、さまざまな被駆動手段を駆動させるための駆動力を発生するメインモーター520(モーター)を備える。メインモーター520の回転駆動力は、感光体ドラム121、給紙部11、中間ローラー115、第2給紙ローラー114、レジストローラー116、現像ローラー124A、定着器130へと伝達される。なお、これらのうち、レジストローラー116と現像ローラー124Aとは、同期駆動され、他の駆動伝達用の経路は、互いに独立している。すなわち、メインモーター520から、それぞれ異なる駆動機構(ギア列など)を介して、駆動が伝達される。なお、感光体ドラム121、給紙部11、中間ローラー115、定着器130は、それぞれ、メインモーター520との間に、不図示の電磁クラッチを備え、各部材の駆動タイミングが調整される。ここで、メインモーター520から、レジストローラー116および現像ローラー124Aに回転駆動力を伝達する駆動機構が、同期駆動部S(回転駆動部)と定義される。同期駆動部Sは、現像ローラー124Aとレジストローラー116とを共通の駆動機構で駆動し、両者を同期回転させる。同期駆動部Sは、同期電磁クラッチ530(切替手段)を備える。同期電磁クラッチ530は、メインモーター520から現像ローラー124Aおよびレジストローラー116に伝達される回転駆動力の伝達および切断を切り替える。このように、本実施形態では、レジストローラー116および現像ローラー124Aは、共通の駆動機構によって、同期して回転駆動される。換言すれば、レジストローラー116および現像ローラー124Aの回転は、同期電磁クラッチ530によって、機械的に連動されている。
図4を参照して、従来の画像形成装置における駆動伝達の構造では、レジストローラー116Bは、レジスト電磁クラッチ531を介して、メインモーター520に連結される。レジストローラー116Bが回転駆動されるタイミングにあわせて、レジスト電磁クラッチ531が、メインモーター520の回転駆動力をレジストローラー116Bに伝達する。一方、現像ローラー124Bは、現像電磁クラッチ532を介して、感光体ドラム121に連結される。すなわち、メインモーター520によって回転駆動される感光体ドラム121の回転駆動力を利用して、現像電磁クラッチ532が、現像ローラー124Bに駆動力を伝達する。現像電磁クラッチ532は、現像ローラー124Bの回転タイミングにあわせて、感光体ドラム121に伝達された回転駆動力を、現像ローラー124Bに伝達させる。
このような場合、レジストローラー116Bの回転駆動および現像ローラー124Bの回転駆動のために、2つの異なるクラッチ手段が必要となる。更に、感光体ドラム121の駆動伝達経路の更に下流側に、現像ローラー124Aが配置されるため、現像電磁クラッチ532の切り替え動作に応じて、感光体ドラム121に、振動やトルク変動が生じてしまう。このため、感光体ドラム121上で実行される静電潜像の形成工程や、該潜像がトナー像に可視化される現像工程において、画像欠陥が生じてしまう。また、現像電磁クラッチ532のような切替手段を配設せずに、感光体ドラム121の駆動伝達経路に、直接、現像ローラー124Aの回転駆動機構が連結された場合、現像ローラー124Aは、感光体ドラム121の回転に同期して、回転し続ける。この場合、シート間(紙間)などにおいても、必要以上に、現像ローラー124Aが回転駆動されることとなり、現像装置124内に収容されたトナーの劣化が促進されてしまう。
一方、本実施形態(図3(A))では、レジストローラー116および現像ローラー124Aを回転させるための共通のクラッチ手段として、同期電磁クラッチ530が配設される。したがって、レジストローラー116および現像ローラー124Aのために、異なるクラッチ手段が必要とされない。更に、感光体ドラム121の駆動伝達経路の下流側に、現像ローラー124Aが連結されていないため、現像ローラー124Aの回転に伴って、感光体ドラム121に振動やトルク変動が生じることが抑止される。
なお、同期駆動部Sは、現像ローラー124Aとレジストローラー116とを共通の駆動機構で駆動し、両者を同期回転させるものであればよい。図3(B)〜(D)は、他の実施形態に係る同期駆動部Sの構造を例示した図である。図3(B)は、メインモーター520によって発生された回転駆動力が、第1ギア列551を介して、同期電磁クラッチ530に連結される。同期電磁クラッチ530は、第1ギア列551から伝達されたメインモーター520の回転駆動力を、レジストローラー116に伝達する。一方、現像ローラー124Aは、第2ギア列552を介して、レジストローラー116から回転駆動力を受ける。同様に、図3(C)では、同期電磁クラッチ530から現像ローラー124Aに伝達された回転駆動力は、第4ギア列554を介して、レジストローラー116に伝達される。このように、単一の電磁クラッチ530によって、レジストローラー116および現像ローラー124Aには、回転駆動力が伝達され、レジストローラー116および現像ローラー124Aが、同期して回転駆動される。なお、図3(D)に示すように、同期電磁クラッチ530を備えた不図示のシャフト部に直接、レジストローラー116および現像ローラー124Aが連結されてもよい。このように、本実施形態では、同期駆動部Sに配設された同期電磁クラッチ530によって、現像ローラー124Aおよびレジストローラー116の回転と停止が、同期して実行される。したがって、簡易な電磁クラッチが配設されることで、現像ローラー124Aおよびレジストローラー116の回転と停止を切り替える切替手段を、共通化することができる。
続いて、本実施形態に係る画像形成装置1の主要な電気的構成について説明する。画像形成装置1は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部500を備える。図5は、制御部500の機能ブロック図である。制御部500は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部500には、前述のメインモーター520、同期電磁クラッチ530に加え、第1センサー510、第2センサー511などが電気的に接続されている。また、制御部500は、クラッチ制御部501(駆動制御手段)、時間計測部502、記憶部503、全体駆動部504を備える。制御部500は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、クラッチ制御部501、時間計測部502、記憶部503、全体駆動部504を備えるように機能する。
クラッチ制御部501は、同期電磁クラッチ530の駆動を制御し、メインモーター520の駆動力を、レジストローラー116および現像ローラー124Aに伝達させる。これにより、レジストローラー116および現像ローラー124Aは、略同時に駆動がオン、オフされる。クラッチ制御部501は、時間計測部502がカウントする第1カウント時間TC1に応じて、同期電磁クラッチ530を制御する。また、クラッチ制御部501は、第2センサー511がシートPの搬送方向の後端部を検出するタイミングに応じて、同期電磁クラッチ530を制御する。
時間計測部502は、第1センサー510がシートPの搬送方向の先端部を検出するタイミングに応じて、第1カウント時間TC1のカウントを開始する。時間計測部502によってカウントされる第1カウント時間TC1は、クラッチ制御部501によって参照され、同期電磁クラッチ530が制御される。
記憶部503は、時間計測部502がカウントする第1カウント時間TC1を記憶する。また、記憶部503には、予め、時間閾値T1が格納されている。時間閾値T1は、第1カウント時間TC1と比較されるために使用される。
全体駆動部504は、画像形成装置1において、現像ローラー124A、レジストローラー116以外の部材の回転駆動を制御する。全体駆動部504は、感光体ドラム121、給紙部11(ピックアップローラー112、第1給紙ローラー113)、中間ローラー115、定着器130の回転駆動を制御する。
次に、レジストローラー116、現像ローラー124A、第1センサー510および第2センサー511の配置と各距離の定義について、説明する。図6は、画像形成装置1の内部断面図において、中間ローラー115から感光体ドラム121までの領域を拡大した図である。感光体ドラム121および現像ローラー124Aが対向する現像ニップ部NAから、感光体ドラム121および転写ローラー126が対向する転写ニップ部NBまでの、感光体ドラム121の周面上の距離を第1の距離Aとする。また、レジストローラー116のニップ部NCから、転写ニップ部NBまでの、シート搬送路PL上の距離を第2の距離Bとする。
また、第2センサー511が、シート搬送路PL上のシートを検出する位置CP(以後、検出位置CPと呼ぶ)から、転写ニップ部NBまでの、シート搬送路PL上の距離をEとする。この際、本実施形態では、A=Eとなるように、第2センサー511の検出位置CPが設定されている。また、第1センサー510が、シート搬送路PL上のシートを検出する位置CQ(以後、検出位置CQと呼ぶ)から、レジストローラー116のニップ部NCまでの、シート搬送路PL上の距離をLとする。
次に、本実施形態に係るレジストローラー116および現像ローラー124Aの同期駆動制御について詳述する。図7は、画像形成動作におけるレジストローラー116および現像ローラー124Aの同期駆動制御のフローチャートであり、図8および図9は、該同期駆動制御が説明されるにあたり、シートPがシート搬送路PLを搬送される様子を示す図である。
図5〜図9を参照して、制御部500は、複数枚のシートPに対する画像形成動作を実行する。全体駆動部504は、給紙部11を制御し、1枚目のシートP1を給送させる(ステップS001)。
シートP1が給送されると、第1センサー510は、シートP1の先端位置の検出動作を実行する(ステップS002)。検出位置CQ(図6)に配置された第1センサー510は、シート搬送路PL上にシートが存在しない場合は、LOW信号を出力し続ける(ステップS002でNO)。全体駆動部504によって、中間ローラー115が回転駆動され、やがて、図8(A)に示すように、第1センサー510が対向する位置CQに、シートP1の先端部が到達する。この結果、第1センサー510が、該シートP1の先端部を検出し、HIGH信号を出力する(ステップS002でYES)。
第1センサー510から、HIGH信号が出力されると、時間計測部502は、第1カウント時間TC1のカウントを開始する(ステップS003)。そして、時間計測部502は、予め記憶部503に格納された時間閾値T1を参照し、第1カウント時間TC1が時間閾値T1となるまで、カウントを継続する(ステップS004)。
ここで、記憶部503に予め格納された時間閾値T1について説明する。前述のとおり、第1センサー510がシート搬送路PL上のシートPを検出する位置CQから、レジストローラー116のニップ部NCまでの、シート搬送路PL上の距離がL(mm)とされる(図8(A))。そして、シートPが、シート搬送路PLを搬送される際の搬送速度をV(mm/sec)とすると、シートPが、前記検出位置CQから、ニップ部NCに移動するために要する時間が、T(sec)=L/Vにて算出される。ここで、本実施形態では、時間閾値T1は、T1=T+ΔTとして設定される。ΔTは予め設定された遅延時間である。該遅延時間は、シートPの先端が、ニップ部NCに到達したのち、レジストローラー116が回転駆動されるまでの時間に相当する。
該遅延時間ΔTは、レジストローラー116において、シートPの斜行(スキュー)を補正するために設定される。シートPが、シート搬送方向に対して傾斜しながらシート搬送路PLを搬送された場合、転写ニップ部NBにおいて、シートPに傾斜したトナー画像が転写されてしまう。このため、レジストローラー116において、該シートPの傾斜が矯正される。すなわち、上記の遅延時間ΔTが設定されることで、シート搬送路PLを搬送されたシートPは、回転が停止された状態のレジストローラー116に接触する。この際、傾斜していたシートPの先端縁では、シート搬送方向と直交する方向において、先に搬送されてきた領域が、レジストローラー116に接触し、停止した後、遅れて搬送されてきた領域がレジストローラーに接触する。先端縁が停止されたシートPでは、シート搬送方向の中央部に撓みが生じる。そして、レジストローラー116が回転駆動されることによって、シートPの先端縁がシート搬送方向と直交した方向に揃った状態で、再び搬送され始める。この結果、シートPの傾斜が矯正される。
第1カウント時間TC1が、上記のように、遅延時間ΔTを含んだ時間閾値T1までカウントされると(ステップS004でYES、図8(B))、クラッチ制御部501は、同期電磁クラッチ530を制御して、レジストローラー116および現像ローラー124Aを回転駆動させる。この際、時間計測部502による第1カウント時間TC1はリセットされる。
なお、現像ローラー124Aは、シートP1の先端部が、検出位置CP(図6)に到達した際に、シートP1の先端部に対応するトナー画像を感光体ドラム121上に形成し始める(∵A=E)。したがって、現像ローラー124Aは、シートP1がニップ部NCから検出位置CPまで搬送される間に、事前に、回転駆動される。このため、回転が停止され、周面上のトナーの分布が不均一となっていた現像ローラー124Aの周面上に、安定したトナー層が形成される。
回転駆動された現像ローラー124Aによって、感光体ドラム121上にトナー像が形成された後、転写ニップ部NBにおいて、シートP1に該トナー画像が転写される(ステップS006、図8(C))。また、制御部500によって、連続的な画像形成動作が制御されることにより、全体駆動部504は、給紙部11を制御し、2枚目のシートP2を給送させる(ステップS007)。この際、全体駆動部504は、1枚目のシートP1の後端部と、2枚目のシートP2の先端部との間のシート間隔が、予め設定された距離C1(シート間隔C)となるように、シートP2を給送する(図8(D)参照)。
シートP1へのトナー画像の転写が、継続されながら、第1センサー510が、シートP2の先端部を検出する(ステップS008)。
第1センサー510によってシートP2の先端部が検出される(ステップS008でYES、図9(A))と、第1センサー510が出力するHIGH信号を受けて、時間計測部502が、再び、第1カウント時間TC1のカウントを開始する(ステップS009)。
シートP2が、レジストローラー116に向かって搬送される間に、トナー画像の転写が継続されるシートP1の後端部が、検出位置CPに到達する(図9(B))。この結果、該シートP1の後端部が、第2センサー511によって検出される(ステップS010でYES)。なお、第2センサー511では、シートP1の後端部を検出する際に、出力信号が、HIGH信号からLOW信号に切り替わる。そして、該LOW信号を受けて、クラッチ制御部501は、同期電磁クラッチ530を制御して、現像ローラー124Aおよび転写ローラー126を停止させる(ステップS011)。なお、シートP1の後端部が、検出位置CPに到達した時点で、シートP1に転写されるべきトナー画像は、既に、感光体ドラム121上に形成されている(図6の距離Aに相当する領域)。したがって、現像ローラー124Aの回転が停止されても、シートP1の画像形成に影響は生じない。
一方、図9(B)に示すように、この時点で、シートP2の先端部は、未だ、レジストローラー116のニップ部NCに到達していない。このため、シートP2の先端部が、ニップ部NCに到達するまでの期間、レジストローラー116および現像ローラー124Aの回転が停止されることが可能となる。すなわち、図9(B)において、先行するシートP1の後端部が検出位置CPに位置し、かつ、後続のシートP2の先端部が、未だ、ニップ部NCに到達していないことが、レジストローラー116および現像ローラー124Aの回転が停止されるための条件となる。該条件は、前述の第1の距離A、第2の距離Bおよびシート間隔C1の定義を踏まえると、C1>B−Aであることと同義である。
レジストローラー116および現像ローラー124Aの回転が停止された後、シートP1は、シート搬送方向下流側の定着器130に向かって搬送される。そして、ステップS009において、時間計測部502によってカウントが開始された第1カウント時間TC1が、時間閾値T1までカウントされると(ステップS012でYES)、シートP2の先端部は、ニップ部NCに位置する。そして、シートP1の場合と同様に、クラッチ制御部501が、レジストローラー116および現像ローラー124Aを、再び、回転駆動させる(ステップS013)。
その後、シートP2には、シートP1と同様に、転写ニップ部NBにおいて、トナー画像が転写される(ステップS014)。制御部500は、シートP2以降に、更に画像を形成する場合は、次のシートを給紙部11に給送させる(ステップS015でNO)。シートP2が、最後のシートPである場合は、制御部500は、一連の画像形成動作を終了する(ステップS015でYES)。
以上、本実施形態によれば、レジストローラー116および現像ローラー124Aは、共通の駆動機構で駆動され、同期回転される。そして、現像ローラー124Aを回転させるための駆動伝達機構は、感光体ドラム121を回転させる駆動伝達機構の下流側に連結されていない。このため、現像ローラー124Aの回転が開始されるタイミングで、感光体ドラム121に振動が伝達されにくく、感光体ドラム121上に形成される静電潜像やトナー画像に、画質欠陥が生じにくい。
そして、シート搬送路PL上を複数のシートPが連続して搬送される場合、該複数のシートPのシート間隔C1は、レジストローラー116から転写ニップ部NBまでのシート搬送路上の距離Bから、現像ニップ部NAから転写ニップ部NBまでの感光体ドラム121の周上の距離Aを引いた距離よりも大きく設定される(C1>B−A)。この場合、先行するシートP1の後端部に対応するトナー画像の形成が終了し、現像ローラー124Aの回転が停止可能な状態となった時に、シート搬送路PL上のレジストローラー116のニップ部NCには、後続のシートP2の先端部が、未だ到達していない。したがって、レジストローラー116が後続のシートP2を転写ニップ部NBに向かって送り出す前に、現像ローラー124Aを一時的に停止させることが可能となる。この結果、現像ローラー124Aが不必要に回転されることがなく、現像装置124内に収容されたトナーの劣化が抑制される。
更に、レジストローラー116よりも、シート搬送方向上流側には、シート搬送路PLに対向して、第1センサー510が配置される。クラッチ制御部501は、第1センサー510がシートPの先端部を検出する検出結果に応じて、同期電磁クラッチ530を制御し、レジストローラー116および現像ローラー124Aを回転駆動させる。このため、レジストローラー116のニップ部NCにシートPが到達する前に、該シートPの到達を予測し、レジストローラー116を回転駆動させることが可能となる。
また、シート搬送路PLをレジストローラー116のニップ部NCに向かって搬送されるシートPの先端部は、回転が停止した状態のレジストローラー116に接触する。このため、シート搬送方向に対して傾斜しながらシートPが搬送された場合であっても、該シートPの傾斜が矯正された後、シートPが転写ニップ部NBに搬送される。
更に、レジストローラー116のニップ部NCと転写ニップ部NBとの間では、第2センサー511が、搬送されるシートPの後端部を検出する。このため、該シートPの後端部の位置に応じて、現像ローラー124Aによるトナー画像の形成が終了する時刻を予測することが可能となる。この結果、現像ローラー124Aの回転が停止可能な時刻が予測される。したがって、クラッチ制御部501によって同期電磁クラッチ530が制御され、現像ローラー124Aに伝達される回転駆動力の切断が好適に実行される。
この際、第2センサー511は、転写ニップ部NBよりも、第1の距離Aだけシート搬送方向上流側のシート搬送路PLに対向して配置される(検出位置CP)。シートPの後端部が、検出位置CPを通過する時刻は、現像ローラー124Aが、シートPに転写されるトナー画像の後端部に相当する部分を、形成し終えた時刻に相当する。このため、シートPの後端部が、第2センサー511によって検出されるに伴って、クラッチ制御部501が、同期電磁クラッチ530を制御し、現像ローラー124Aに伝達される回転駆動力を切断することができる。
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、図7〜図9において、後続のシートP2の先端部が第1センサー510によって検出されるタイミング(ステップS008)の方が、先行するシートP1の後端部が第2センサー511によって検出されるタイミング(ステップS010)よりも先である態様にて説明したが、これに限られるものではない。すなわち、C>B−Aの関係を満たすものであれば、シート間隔Cが、上記の実施形態よりも広い態様であってもよい。この場合、後続のシートP2の先端部が第1センサー510によって検出されるタイミングは、先行するシートP1の後端部が第2センサー511によって検出されるタイミングよりも後となる場合がある。
(2)上記の実施形態では、第2センサー511が、検出位置CP(図6)において、シートPの後端部を検出する態様にて説明したが、これに限られるものではない。第2センサー511Bが、上記検出位置CPとレジストローラー116との間のシート搬送路PL上に対向して配置されるものでもよい。この場合、第2センサー511Bが、シートPの後端部を検出すると、時間計測部502が、第2カウント時間TC2のカウントを開始する。ここで、第2センサー511Bから検出位置CPまでのシート搬送路PL上の距離をl(mm)とする。この場合、時間計測部502が、T2(mm/sec)=l/Vとなるまで、第2カウント時間TC2がカウントされることで、シートPの後端部が、検出位置CPに到達する時刻を算出することが可能となる。したがって、時刻T2において、クラッチ制御部501が、同期電磁クラッチ530を制御することにより、レジストローラー116および現像ローラー124Aの回転が、同時に停止され、現像ローラー124Aの無駄な回転が抑止される。
(3)更に、クラッチ制御部501は、先行するシートPの後端部が、転写ニップ部NB(図6)に到達したタイミングにおいて、レジストローラー116および現像ローラー124Aの回転を停止させてもよい。図10は、本変形実施形態におけるフローチャートである。また、図11および図12は、同変形実施形態に対応したシートPの動きを示した図である。
制御部500が複数枚のシートPに対する画像形成動作を制御すると、給紙部11によって、1枚目のシートP3が給送される(ステップS021)。第1センサー510は、シートP3の先端位置の検出動作を実行する(ステップS022)。検出位置CQ(図6)に配置された第1センサー510が、該シートP3の先端部を検出し、HIGH信号を出力する(ステップS022でYES)。
第1センサー510から、HIGH信号が出力されると、時間計測部502は、第3カウント時間TC3のカウントを開始する(ステップS023)。そして、時間計測部502は、予め記憶部503に格納された時間閾値T3を参照し、第3カウント時間TC3が時間閾値T3となるまで、カウントを継続する(ステップS024)。なお、時間閾値T3は、先の実施形態における時間閾値T1と同値である。
第3カウント時間TC3が、時間閾値T3までカウントされると(ステップS024でYES)、シートP3の先端部は、レジストローラー116のニップ部NCに位置する(図11(B))。そして、クラッチ制御部501は、同期電磁クラッチ530を制御して、レジストローラー116および現像ローラー124Aを回転駆動させる。この際、時間計測部502による第3カウント時間TC3はリセットされる。
回転駆動された現像ローラー124Aによって、感光体ドラム121上にトナー像が形成された後、転写ニップ部NBにおいて、シートP3に該トナー画像が転写される(ステップS026、図11(C)および(D))。また、制御部500によって、連続的な画像形成動作が制御されることにより、全体駆動部504は、給紙部11を制御し、2枚目のシートP4を給送させる(ステップS027)。この際、全体駆動部504は、1枚目のシートP3の後端部と、2枚目のシートP4の先端部との間のシート間隔が、予め設定された距離C2(シート間隔C)となるように、シートP4を給送する(図12(A)参照)。本変形実施形態では、距離C2は、前述の第2の距離Bよりも大きく設定される(C2>B)。
シートP2が給送された後、トナー画像の転写が継続されるシートP3の後端部が、検出位置CPに到達する(図12(A))。この結果、該シートP3の後端部が、第2センサー511によって検出される(ステップS028でYES)。この際、時間計測部502は、第4カウント時間TC4のカウントを開始する(ステップS029)。第4カウント時間TC4は、予め記憶部503に記憶された時間閾値T4までカウントされる。時間閾値T4は、速度V(mm/sec)で搬送されるシートPの後端部が、検出位置CPから転写ニップ部NBに到達するまでの時間に相当する。すなわち、T4(sec)=A(E)/Vとして算出される。
更に、シートP3へのトナー画像の転写が、継続されながら、シートP4の先端部が、シートP3と同様に、第1センサー510によって検出される(ステップS030)。
第1センサー510によってシートP4の先端部が検出される(図12(B))と、第1センサー510が出力するHIGH信号を受けて、時間計測部502が、再び、第3カウント時間TC3のカウントを開始する(ステップS031)。
ステップ029において、カウントが開始された第4カウント時間TC4が、時間閾値T4に達すると(ステップS032でYES)、シートP3の後端部は、図12(C)に示すように、転写ニップ部NBに到達する。そして、クラッチ制御部501は、同期電磁クラッチ530を制御して、現像ローラー124Aおよび転写ローラー126を停止させる(ステップS033)。
この際、図12(C)に示すように、シートP4の先端部は、未だ、レジストローラー116のニップ部NCに到達していない。このため、シートP4の先端部が、ニップ部NCに到達するまでの期間、レジストローラー116および現像ローラー124Aの回転が停止されることが可能となる。すなわち、図12(C)において、先行するシートP3の後端部が転写ニップ部NBに位置し、かつ、後続のシートP4の先端部が、未だ、ニップ部NCに到達していないことが、本変形実施形態でのレジストローラー116および現像ローラー124Aの回転が停止されるための条件となる。該条件は、前述の距離Bおよびシート間隔C2の定義を踏まえると、C2>Bであることと同義である。
レジストローラー116および現像ローラー124Aの回転が停止された後、シートP3は、シート搬送方向下流側の定着器130に向かって搬送される。そして、ステップS031において、時間計測部502によってカウントが開始された第3カウント時間TC3が、時間閾値T3までカウントされると(ステップS034でYES)、シートP4の先端部が、ニップ部NCに到達する(図12(D))。そして、シートP3の場合と同様に、クラッチ制御部501が、レジストローラー116および現像ローラー124Aを、再び、回転駆動させる(ステップS035)。
その後、シートP4には、シートP3と同様に、転写ニップ部NBにおいて、トナー画像が転写される(ステップS036)。制御部500は、シートP4以降に、更に画像を形成する場合は、次のシートを給紙部11に給送させる(ステップS037でNO)。シートP4が、最後のシートPである場合は、制御部500は、一連の画像形成動作を終了する(ステップS037でYES)。
このように、本変形実施形態では、連続して画像が形成される複数枚のシートPにおいて、シート間隔C2(シート間隔C)は、距離Bよりも大きく設定される(C2>B)。そして、シートPにトナー画像が、転写され終えたことに伴って、クラッチ制御部501が、同期電磁クラッチ530を制御し、レジストローラー116および現像ローラー124Aへの回転駆動力の伝達を切断する。したがって、同期電磁クラッチ530の切り替え動作に伴って、僅かな振動が生じた場合であっても、感光体ドラム121上のトナー画像の転写工程に、該振動が影響を与えることが抑止される。