JP2013155411A - 鉄族元素および希土類元素の回収方法、ならびに鉄族元素および希土類元素の回収装置 - Google Patents

鉄族元素および希土類元素の回収方法、ならびに鉄族元素および希土類元素の回収装置 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄族元素および希土類元素を選択的に分離して回収する、鉄族元素および希土類元素の回収方法、ならびに該回収方法に用いうる、鉄族元素および希土類元素の回収装置を提供する。
【解決手段】鉄族元素および希土類元素を含む部材M1を第一水溶液12に浸漬させて、酸溶解処理を行う工程A1と、工程A1を経た部材M2を第二水溶液15に浸漬させて、金属塩合成処理を行う工程A2と、工程A2を経た部材M3をコリン様イオン液体23に浸漬させて、電解析出法を用いて、コリン様イオン液体23から鉄族元素を回収する工程A3と、工程A3を経たコリン様イオン液体23から、電解析出法を用いて、希土類元素を回収する工程A4と、を含み、コリン様イオン液体23として、天然由来化合物であるコリンまたはコリン誘導体からなる脂肪族第四級アンモニウムカチオンを含むコリン様イオン液体を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄族元素および希土類元素の回収方法、ならびに鉄族元素および希土類元素の回収装置に関するものである。より詳しくは、イオン液体または液相状態の低温溶融物に、鉄族元素および希土類元素を溶解させて、電気化学的手法により回収する方法、ならびに回収する装置に関する。
レアメタルは高付加価値の白金族レアメタル6種、備蓄レアメタル9種、偏在性の高いレアアース(希土類元素)17種などから構成されている。レアメタルの中でも希土類元素は同周期内での化学的性質が類似しているため、分離・精製が困難な元素種である。このような希土類元素の安定供給策は国家規模で迅速な対応が望まれている。一方、レアメタルは家電製品等を構成するデバイスの材料として用いられており、近年の電気化学デバイスの高機能化の要求を受けて、その需要はさらに高まる傾向にある。そこで、地下鉱石よりも1000倍以上の高濃度で含有する廃家電製品部材から白金族レアメタル、備蓄レアメタルや希土類元素などレアメタル群ごとに回収するプロセスの開発が進められている。また、廃希土類磁石では他の製品類に比べて、希土類元素(ネオジム)の含有率が高い。そのため、希土類回収プロセスの実用化に向けて、低コスト化を重視した希土類元素の安定供給を実現する方法が注目されており、希土類元素の回収に必要な技術開発が進められている。
廃磁石等の部材には鉄族元素が含まれており、希土類元素との合金の形態をなしているため、このような部材から希土類元素を金属もしくは合金の形態で回収する方法として、従来は溶融塩電解法が用いられてきた。しかしながら、溶融塩電解法を用いる場合、電解浴をなすフッ化物系や塩化物系の融体を利用するが、特にフッ化物系希土類融体での電解回収では1500[℃]以上の高温に加熱する必要があり、そのために膨大な熱エネルギーを消費することが課題とされている。また、融体を加熱する際には不活性ガス雰囲気を用いることが多く、大掛かりで複雑な設備が必要となることが課題とされている。
ところで、近年、難燃性・難揮発性といった、従来の水溶液にはない環境調和型の物性を有するイオン液体を、希土類元素の溶剤(電解浴)として用いる研究が進められている。イオン液体には、イミダゾリウム系、ピロリジニウム系、ピリジニウム系、アンモニウム系、ホスホニウム系等の構造を有するカチオンが含まれている。電解浴として、1−オクチル−メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミド(OMPTFSA)を含むイオン液体を用いて、希土類元素(La)を電解して回収した例が、非特許文献1に記載されている。また、電解浴として、ジメチルピロリジニウム・トリフルオロメタンスルホネート(DMPT)を含むイオン液体を用いて、希土類元素(Dy)を電解して回収した例が、非特許文献2に記載されている。ただし、これらのイオン液体を構成するカチオンはほとんどが第四級脂肪族カチオンおよび芳香族カチオンであり、例えば、N,N−ジアルキルイミダゾリウムカチオン、N,N−ジアルキルピロリジニウム、アルキルピリジニウム等が用いられている。しかしながら、これらの構造を有するイオン液体は一般に高価であるため、低コストによる希土類元素の供給を阻む要因となっている。
S.Legeai et al.,Electrochem.Commun.,10(2008)1661−1664. J.Lodermeyer et al.,J.Electrochem.Soc.,153(4)(2006)C242−C248.
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものであり、鉄族元素および希土類元素を選択的に分離して回収する、鉄族元素および希土類元素の回収方法、ならびに該回収方法に用いうる、鉄族元素および希土類元素の回収装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、鉄族元素および希土類元素を塩化コリンと尿素を混合させてなる液相状態の低温溶融物に溶解させ、これらを選択的に分離して回収する、鉄族元素および希土類元素の回収方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、鉄族元素および希土類元素を含む部材を第一水溶液に浸漬させて、酸溶解処理を行う工程A1と、前記工程A1を経た部材を第二水溶液に浸漬させて、金属塩合成処理を行う工程A2と、前記工程A2を経た部材をイオン液体に浸漬させて、電解析出法を用いて、該イオン液体から前記鉄族元素を回収する工程A3と、前記工程A3を経たイオン液体から、電解析出法を用いて、前記希土類元素を回収する工程A4と、を含み、前記イオン液体が、下記一般式(1)で示されるコリンまたはコリン誘導体からなる脂肪族第四級アンモニウムカチオンを含むイオン液体(以下、コリン様イオン液体と呼ぶ)であることを特徴とする。
Figure 2013155411
(式中R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
天然由来の人体に無害な塩は既に報告されているものの、いずれも融点付近もしくは融点以下の温度で熱分解を伴う物質が多い。本発明によれば、室温で液状を示すとともに、安全性が高く、環境中に暴露した際にも環境拡散が小さく、無害なイオン液体が提供される。特にR〜Rがメチル基であり、アニオン種がビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミドの場合、室温で液状の低粘性イオン液体が提供される。R〜Rのアルキル基の炭素数の増加に応じて、イオン液体の粘性係数は上昇する傾向にある。
本発明の請求項2に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項1において、前記工程A2と前記工程A3の間に、前記工程A2を経た部材を前記工程A3に用いるイオン液体に浸漬させて陽極溶解する工程A5を含むことを特徴とする。
本発明の請求項3に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項1において、前記工程A3と前記工程A4との間に、電気泳動法を用いて、前記工程A3を経たイオン液体中に残存する前記希土類元素を濃縮する工程A6を含むことを特徴とする。
本発明の請求項4に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項2において、前記工程A4の後に残存した前記イオン液体を、前記工程A5に用いるイオン液体として再利用することを特徴とする。
本発明の請求項5に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項1において、前記工程A4において回収される前記希土類元素は、ランタン元素、セリウム元素、プラセオジム元素、ネオジム元素、サマリウム元素、ユウロピウム元素、ガドリニウム元素、ジスプロシウム元素から選択される一つまたは二つ以上の元素であることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項1において、前記工程A1において用いる前記部材がメッキ層により被覆されている場合には、前記工程A1の前に、前記メッキ層を構成する元素を分別する工程A7を含むことを特徴とする。
本発明の請求項7に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項1または6において、前記工程A1において用いる前記部材が磁性を帯びている場合には、前記工程A1あるいは前記工程A7の前に、前記部材を熱減磁処理する工程A8を含むことを特徴とする。
本発明の請求項8に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項1、6または7のいずれか一項において、前記工程A1において用いる前記部材が他の部材と接した状態にある場合には、前記工程A1、前記工程A7、あるいは前記工程A8の前に、前記他の部材を構成する元素を分別する工程A9を含むことを特徴とする。
本発明の請求項9に係る鉄族元素および希土類元素の回収装置は、鉄族元素および希土類元素を含む部材を第一水溶液に浸漬させて、酸溶解処理を行う第一処理部と、前記第一処理部において処理された部材を第二水溶液に浸漬させて、金属塩合成処理を行う第二処理部と、前記第二処理部において処理された部材をイオン液体に浸漬させて、電解析出法を用いて、前記鉄族元素を回収する第二電極を有する第四処理部と、前記第二電極による処理を経たイオン液体から、電解析出法を用いて、前記希土類元素を回収する第五電極を有する第五処理部と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
本発明の請求項10に係る鉄族元素および希土類元素の回収装置は、請求項9において、電気泳動法を用いて、前記第四処理部による処理を経たイオン液体に残存する希土類元素を、濃縮する第六処理部と、前記第六処理部にて濃縮された希土類元素を含むイオン液体から、電解析出法を用いて、希土類元素を回収する第四電極を有する第七処理部と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
本発明の請求項11に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、鉄族元素および希土類元素を含む部材を液相状態の低温溶融物に浸漬させて、該低温溶融物から、該鉄族元素を電解析出法により回収する工程B1と、前記工程B1を経た低温溶融物から、電解析出法を用いて、前記希土類元素を回収する工程B2と、を含み、前記低温溶融物として、塩化コリンと尿素との混合物を用いることを特徴とする。
本発明の請求項12に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項11において、前記工程B1の前に、該工程B1に用いる部材を、該工程B1に用いる低温溶融物中に陽極溶解させる工程B3を含むことを特徴とする。
本発明の請求項13に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項11において、前記工程B1と前記工程B2との間に、電気泳動法を用いて、前記工程B1を経た低温溶融物中に残存する前記希土類元素を濃縮する工程B4を含むことを特徴とする。
本発明の請求項14に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項11において、前記工程B1において用いる前記部材がメッキ層により被覆されている場合には、前記工程B1あるいは前記工程B3の前に、前記メッキ層を構成する元素を分別する工程B5を含むことを特徴とする。
本発明の請求項15に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項11または14において、前記工程B1において用いる前記部材が磁性を帯びている場合には、前記工程B1あるいは前記工程B3の前に、前記部材を熱減磁処理する工程B6を含むことを特徴とする。
本発明の請求項16に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法は、請求項11、14または15のいずれか一項において、前記工程B1において用いる前記部材が他の部材と接した状態にある場合には、前記工程B1、前記工程B5、あるいは前記工程B6の前に、前記他の部材を構成する元素を分別する工程B7を含むことを特徴とする。
本発明に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法によれば、イオン液体あるいは液相状態の低温溶融物に溶解させた、鉄族元素および希土類元素を選択的に回収する方法として、電解析出法を用いる。電解析出法は、比較的低温かつ大気中にて用いることができるため、従来のように溶融塩電解法を用いる場合よりも簡単な設備を用いて、安全に、鉄族元素および希土類元素の回収を行うことができる。また、イオン液体、低温溶融物の原料として、いずれも安価な塩化コリンを出発物質として利用できるため、電解浴の合成から鉄族元素および希土類元素の回収までの一連のプロセスコストを低く抑えることができる。
また、本発明に係る鉄族元素および希土類元素の回収装置によれば、第一処理部において、鉄族元素および希土類元素を含む部材に対して、酸溶解処理を行い、第二処理部において、該部材に対して金属塩合成処理を行うことができる。そして、酸溶解処理および金属塩合成処理を経た部材を、電解析出法を用いて選択的に回収し、第四処理部において、該イオン液体に残存する鉄族元素を選択的に回収し、第五処理部もしくは第七処理部において、該イオン液体に残存する希土類元素を電解析出法を用いて回収することができる。このように、本発明に係る鉄族元素および希土類元素の回収装置によれば、鉄族元素および希土類元素の回収を比較的簡便な装置構成にて実施可能であり、プロセス開発に要するコストを低く抑えることができる。
第一実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収装置の断面図である。 第一実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収方法の模式図である。 第二実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収装置の断面図である。 第二実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収方法の模式図である。 第三実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収方法の模式図である。 第四実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収方法の模式図である。 電解浴中における、希土類錯イオンNd(III)の還元過程の過電圧変化を示すグラフである。 (a)、(b)第五処理部における、電析物のEDX分析結果を示すグラフである。 (a)、(b)第五処理部における、電析物のXPS分析結果を示すグラフである。 (a)第五処理部における、電析物のEDX分析結果を示すグラフである。(b)第五処理部における、電析物のXPS分析結果を示すグラフである。 本発明のコリン様イオン液体を利用した電解析出試験を行う装置の一例の概略図である。 第四処理部における、電析物のEDX分析結果を示すグラフである。 本発明のコリン様イオン液体を利用した電気泳動試験を行う装置の一例の概略図である。 (a)、(b)第六処理部にてNd、Dyを泳動濃縮した結果を示すグラフである。 (a)、(b)第七処理部における、電析物のXPS分析結果を示すグラフである。 (a)第五処理部における、電析物のEDX分析結果を示すグラフである。(b)第五処理部における、電析物のXPS分析結果を示すグラフである。 (a)第五処理部における、電析物のEDX分析結果を示すグラフである。(b)第五処理部における、電析物のXPS分析結果を示すグラフである。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
<第一実施形態>
[鉄族元素および希土類元素の回収装置]
図1は、本発明の第一実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収装置100の構成を、模式的に示す断面図である。回収装置100は、鉄族元素および希土類元素を含む部材M1に対して酸溶解処理を行う第一処理部101と、酸溶解処理後の部材M2に対して金属塩合成処理を行う第二処理部102と、金属塩合成処理後の部材M3に対して鉄族元素の回収を行う第四処理部104と、鉄族元素回収後に希土類元素の回収を行う第五処理部105と、を備えている。
第一処理部101は、第一槽11に、第一水溶液12を収容してなる。第二処理部102は、第二槽14に、第二水溶液15を収容してなる。
第四処理部104は、第四槽22にコリン様イオン液体23を収容し、電解析出法による鉄族元素の回収に用いる直流電源25の陽極部24および陰極部26をイオン液体23に浸漬させてなる。第五処理部105は、第五槽28にコリン様イオン液体29を収容し、電解析出法による希土類元素の回収に用いる直流電源31の陽極部30および陰極部32をコリン様イオン液体29に浸漬させてなる。
なお、図1においては、鉄族元素の回収処理と希土類元素の回収処理が、それぞれ別々の処理槽において行われる場合の例を示しているが、これらの処理は同一の処理槽にて行われてもよい。
第一実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収装置によれば、第一処理部において、鉄族元素および希土類元素を含む部材に対して、酸溶解処理が行われ、第二処理部において、該部材に対して金属塩合成処理が行われる。そして、酸溶解処理および金属塩合成処理を経た部材を、第四処理部において電解析出法を用いて鉄族元素を選択的に回収し、第五処理部において、該イオン液体に残存する希土類元素を、電解析出法を用いて回収することができる。このように、本発明に係る鉄族元素および希土類元素の回収装置によれば、鉄族元素および希土類元素の回収を比較的簡便な装置構成にて実施することが可能であり、プロセス開発に要するコストを低く抑えることができる。
[鉄族元素および希土類元素の回収方法]
図2は、本発明の第一実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収方法に含まれる工程のフローを示した図である。図2に示すように、第一実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法には、図1に示す回収装置100を用いて行う工程A1〜A4が、順に含まれる。
まず、工程A1(酸溶解工程)として、第一処理部101にて、イオン液体を構成するアニオン種と同種のアニオン種から成る酸、例えばテトラフルオロホウ酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、メタンスルホン酸(CHSOH)、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、チオシアン酸(HSCN)、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド((CFSONH)(以下、アミド酸(HTFSA)と呼ぶ)などを含む第一水溶液12に部材M1を浸漬させて酸溶解処理を行う。酸溶解処理を行う際の部材M1は、希土類金属酸化物、希土類金属炭酸塩、希土類金属および希土類金属の合金のいずれの形態をとっていても良い。
酸溶解処理後に得られる希土類金属塩について、カチオン−アニオン相互作用の小さいアニオン種から成る希土類金属塩は、それよりも相互作用の大きいアニオン種から成るイオン液体に溶解できる。第一水溶液を希釈する、もしくは少量のアルカリ希薄水溶液を添加することにより、pHを調節して、所望の溶解速度(ここでは172±15[μgs−1cm−2];1.0[M]HTFSAを使用)にて酸溶解処理を行う。例えば、部材M1の溶解面積が1.79[cm]の場合、pH0.1の変化量は10分間で溶解量約0.1[g]に対応する。このようにして、第一水溶液中のpH変化量を観測することにより、部材M1の溶解量を制御する。
次に、工程A2(金属塩合成工程)として、第二処理部102にて、酸溶解処理後の部材M2を第二水溶液15に浸漬させて、金属塩合成処理を行う。第二水溶液15は、部材M1中の鉄族元素と希土類元素を含有する第一水溶液12をデカンテーション後、ろ過により不溶性物質を除去することによって得られる。第二水溶液15としては、例えばテトラフルオロホウ酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、メタンスルホン酸(CHSOH)、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、チオシアン酸(HSCN)、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオリメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド((CFSONH)などを用いることができる。ここで、酸溶解処理後の第一水溶液12に不溶性物質が生じない場合には、デカンテーションおよびろ過処理を省いてもよい。第二水溶液15に対してエバポレーションを行うことにより、部材M2を、次工程において用いるイオン液体に可溶な、鉄族および希土類金属塩(TFSA塩)M3に変える。
次に、工程A3(鉄族元素の電解析出工程)として、第四処理部104にて、電解析出法を用いて、鉄族元素および希土類元素を工程A2にて合成した金属塩を、コリン様イオン液体23に直接溶解させる。そして、鉄族元素の析出電位を適切に制御することにより、金属塩が溶解したコリン様イオン液体23から選択的に鉄族元素を分離させ、分離した鉄族元素を直流電源25の陰極部26にて選択的に回収する。なお、陰極部26としては、鉄族元素よりも電気化学的に貴な、銅族元素からなる金属電極を用いることが好ましい。また、陽極部24としては、白金族元素からなる不活性電極、もしくは多孔質カーボンからなる不溶性電極を用いることが好ましい。
次に、工程A4(希土類元素の電解析出工程)として、第五処理部105にて、鉄族元素を回収した後の希土類元素を含むイオン液体29に、第五電極31の陰極部32にて希土類元素を回収する。ここで、第五電極31の陽極部30としては、回収する希土類元素と同種の希土類元素から構成される電極、もしくは白金族元素からなる不活性電極を用いることが好ましい。陰極部32としては希土類元素よりも電気化学的に貴な銅族元素からなる金属電極を用いることが好ましい。
以上説明したように、第一実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法によれば、コリン様イオン液体に溶解させた、鉄族元素および希土類元素を選択的に回収する方法として、電解析出法を用いる。電解析出法は、比較的低温かつ大気中にて用いることができるため、従来のように溶融塩電解法を用いる場合よりも簡単な設備を用いて、安全に、鉄族元素および希土類元素の回収を行うことができる。また、イオン液体の原料として、いずれも安価な天然由来化合物であるコリンまたはコリン誘導体を用いるため、鉄族元素および希土類元素の回収にともなうコストを低く抑えることができる。
<第二実施形態>
[鉄族元素および希土類元素の回収装置]
図3は、本発明の第二実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収装置200の構成を、模式的に示す断面図である。回収装置200は、第一処理部201、第二処理部202、第三処理部203、第四処理部204、第五処理部205、第六処理部206、および第七処理部207を備えている。
本実施形態の第一処理部201、第二処理部202、第四処理部204、第五処理部205は、それぞれ第一実施形態の第一処理部101、第二処理部102、第四処理部104、第五処理部105と対応する。ただし、本実施形態は、第三処理部203、第六処理部206、および第七処理部207を備えている点において、第一実施形態と異なる。
第三処理部203は、金属塩合成工程後の部材M3および鉄族元素と希土類元素から構成される金属、合金類に対して鉄族元素および希土類元素を陽極溶解させる機能を有する。第六処理部206は、鉄族元素回収後のイオン液体に対して電気泳動処理を行う機能を有する。第七処理部207は、電気泳動処理が行われたイオン液体から希土類元素を回収する機能を有する。
第一処理部201は、第一槽11に、第一水溶液12を収容してなる。第二処理部202は、第二槽14に、第二水溶液15を収容してなる。
第三処理部203は、第三槽17にコリン様イオン液体18を収容してなる。また、第三処理部203は、鉄族元素および希土類元素を主成分とする部材M3に対して、陽極溶解を行う際に用いる直流電源20の陽極部19および陰極部21をコリン様イオン液体18に浸漬させてなる。第四処理部204は、第四槽22にコリン様イオン液体23を収容し、電解析出法による鉄族元素の回収に用いる直流電源25の陽極部24および陰極部26を、イオン液体23に浸漬させてなる。第五処理部205は、第五槽28にコリン様イオン液体29を収容し、電解析出法による希土類元素の回収に用いる直流電源31の陽極部30および陰極部32を、イオン液体29に浸漬させてなる。
第六処理部206は、第六槽34にコリン様イオン液体35を収容し、電気泳動法による希土類元素の濃縮に用いる直流電源40の陽極部39および陰極部41をイオン液体35に浸漬させてなる。第七処理部207は、第七槽43に、希土類元素が泳動濃縮したイオン液体44を収容し、電解析出法による希土類元素の回収に用いる直流電源46の陽極部45および陰極部47をイオン液体44に浸漬させてなる。
なお、図3においては、第三〜第七処理が、それぞれ別々の処理槽において行われる場合の例を示しているが、第三〜第七処理は同一の処理槽にて行われてもよい。
また、第三処理部203の陽極溶解法は鉄族元素と希土類元素から主として構成される部材M3をコリン様イオン液体18中に溶解させる必要がない場合は省いてもよい。また、第五処理部205にて、目的の希土類元素が電解析出法を用いて全て回収できる場合に限り、後続の第六処理部206による泳動濃縮工程と第七処理部207の希土類回収工程を省いてもよい。すなわち、回収対象の希土類元素種により、第三処理部から第七処理部までの構成を適切に組み合わせることにより効率的な回収工程を構築できる。
第二実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収装置によれば、第一処理部において、鉄族元素および希土類元素を含む部材に対して、酸溶解処理が行われ、第二処理部において、該部材に対して金属塩合成処理が行われる。そして、酸溶解処理および金属塩合成処理を経た部材を、第四処理部において電解析出法を用いて鉄族元素を選択的に回収し、第五処理部もしくは第七処理部において、該イオン液体に残存する希土類元素を、電解析出法を用いて回収することができる。このように、本発明に係る鉄族元素および希土類元素の回収装置によれば、鉄族元素および希土類元素の回収を比較的簡便な装置構成にて実施可能であり、プロセス開発に要するコストを低く抑えることができる。
[鉄族元素および希土類元素の回収方法]
図4は、本発明の第二実施形態に係る、鉄族元素および希土類元素の回収方法に含まれる工程のフローを示した図である。図4に示すように、第二実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法には、図3に示す回収装置200を用いて行う、工程A9、A8、A7、A1、A2、A5、A3、A6、A4が、順に含まれる。
まず、本実施形態の回収方法を適用する部材M1が他の部材と接した状態にある場合には、工程A9(解体・分別工程)として、工程A1、工程A7、あるいは工程A8の前に、部材M1から他の部材を構成する元素の解体・分別を行う。なお、部材M1が他の部材と接した状態にない場合には、工程A9は行わなくてもよい。
次に、本実施形態の回収方法を適用する部材M1が磁性を帯びている場合には、工程A8(熱減磁工程)として、後述する工程A1あるいは工程A7の前に、部材M1に対して熱減磁処理を行う。キュリー温度付近の温度(例えば310[℃])まで昇降温速度:5〜100[℃/min]の昇降条件を制御して、初期磁束密度410〜445[mT]を残留磁束密度0.01[mT]以下(減磁率99.9[%]以上)まで下げることにより、部材の取り扱いを容易にさせる。なお、部材M1が磁性を帯びていない場合には、工程A8は行わなくてもよい。
次に、本実施形態の回収方法を適用する部材M1が、鉄族元素もしくは白金族元素のメッキ層により被覆されている場合に、工程A7(メッキ層剥離工程)として、工程A1の前に、このメッキ層を構成する元素を分別(剥離)する。ここで、メッキ層が鉄族元素の場合にはアルカリ系メッキ剥離剤を使用し、メッキ層が白金族元素の場合には硝酸と塩酸の混合物もしくは王水を剥離剤として使用する。アルカリ系メッキ剥離剤もしくは王水等の酸溶液の濃度および溶解時間を調節することにより、メッキ層のみを選択的に溶解できる。特に、メッキ層がNi−Cu−Niの3層からなる場合には、中間層であるCu層は研磨処理を行って削り落とし、上層および下層のNi層はアルカリ系メッキ剥離剤を用いて剥離する。なお、部材M1が、鉄族元素もしくは白金族元素のメッキ層により被覆されていない場合には、工程A7は行わなくてもよい。
次に、工程A1(酸溶解工程)として、第一処理部201にて、イオン液体を構成するアニオン種と同種のアニオン種から成る酸、例えばテトラフルオロホウ酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、メタンスルホン酸(CHSOH)、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、チオシアン酸(HSCN)、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド((CFSONH)(以下、アミド酸(HTFSA)と呼ぶ)などを含む第一水溶液12に部材M1を浸漬させて酸溶解処理を行う。酸溶解処理を行う際の部材M1は、希土類金属酸化物、希土類金属炭酸塩、希土類金属および希土類金属の合金のいずれの形態をとっていても良い。
酸溶解処理後に得られる希土類金属塩について、カチオン−アニオン相互作用の小さいアニオン種から成る希土類金属塩は、それよりも相互作用の大きいアニオン種から成るイオン液体に溶解できる。第一水溶液を希釈する、もしくは少量のアルカリ希薄水溶液を添加することにより、pHを調節して、所望の溶解速度(ここでは172±15[μgs−1cm−2];1.0[M]HTFSAを使用)にて酸溶解処理を行う。例えば、部材M1の溶解面積が1.79[cm]の場合、pH0.1の変化量は10分間で溶解量約0.1[g]に対応する。このようにして、第一水溶液中のpH変化量を観測することで、部材M1の溶解量を制御する。
次に、工程A2(金属塩合成工程)として、第二処理部202にて、酸溶解処理後の部材M2を第二水溶液15に浸漬させて、金属塩合成処理を行う。第二水溶液15は、部材M2中の鉄族元素と希土類元素を含有する第一水溶液12をデカンテーション後、ろ過により不溶性物質を除去することによって得られる。第二水溶液15としては、例えばテトラフルオロホウ酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、メタンスルホン酸(CHSOH)、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、チオシアン酸(HSCN)、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオリメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド((CFSONH)などを用いることができる。ここで、酸溶解処理後の第一水溶液12に不溶性物質を生じない場合には、デカンテーションおよびろ過処理を省いてもよい。第二水溶液15に対してエバポレーションを行うことにより、部材M2を、次工程において用いるイオン液体に可溶な、鉄族および希土類金属塩(TFSA塩)M3に変える。
次に、工程A5(陽極溶解工程)として、第三処理部203にて、金属塩合成処理が行われた部材および鉄族元素と希土類元素から成る金属、合金類M3に対して陽極溶解処理を行う。より詳細には、鉄族元素と希土類元素から主として構成される部材M3と、部材M3に接続された直流電源20の陽極部19と、直流電源20の陰極部21と、をコリン様イオン液体18に浸漬させる。そして、直流電源20の陽極部19と陰極部21との間に導通を保持した状態にして、コリン様イオン液体18中において、部材M3を構成する鉄族元素および希土類元素の陽極溶解を行う。なお、陰極部21としては、例えば白金族元素からなる不活性電極を用いる。
鉄族元素と希土類元素から主として構成される部材は希土類磁石類の磁石材料等の使用済み部材であってもよいし、前処理によって希土類元素の含有率を高めた部材であってもよい。陽極部19に印加する酸化電位を制御することにより、目的とする鉄族元素あるいは希土類元素のいずれかを選択的に陽極溶解させることができる。希土類元素のみを選択的に溶解させる場合には、希土類イオンと安定な錯体を形成する配位子と同種のアニオン種を、予めコリン様イオン液体18中に溶解させておくことが好ましい。陰極部21においては、希土類元素よりも電気化学的に貴な不純物が、析出して回収除去される。
次に、工程A3(鉄族元素の電解析出工程)として、第四処理部204に収容されたイオン液体23に鉄族元素と希土類元素を溶解させた後、鉄族元素の析出電位を適切に制御することにより、イオン液体23から選択的に鉄族元素を分離させ、分離した鉄族元素を直流電源25の陰極部26にて選択的に回収する。なお、陰極部26としては、鉄族元素よりも電気化学的に貴な、銅族元素からなる金属電極を用いることが好ましい。また、陽極部24としては、白金族元素からなる不活性電極もしくは多孔質カーボンからなる不溶性電極を使用することが好ましい。
次に、工程A6(電気泳動工程)として、第六処理部206にて、鉄族元素を回収した後のイオン液体35に対して電気泳動法による処理を行う。より詳細には、第六処理部にて、第六槽に収容された、鉄族元素分離後のイオン液体35中に残存する希土類元素を、直流電源40の陰極部41と導通の保持が可能な泳動管37に浸透させて、直流電源40の陽極部39と陰極部41との間において通電を行う。通電を行うことにより、希土類元素が泳動管37の上部に濃縮する。濃縮された希土類元素を含むイオン液体44は、泳動管37および泳動管37から分岐した濃縮物回収用の導出管42を経由して、第七処理部207の第七槽43に送液される。
なお、工程A6においては、直流電源40の陽極部39として、例えば白金族元素からなる不活性電極を用いる。泳動管37は中空であり、内部にはアルミナ等の非導電性の多孔質粒子が充填されている(図示略)。直流電源40の陽極部39には保護管38が設けられており、保護管38は陽極部39の先端部36が浸漬されている液面部において、濃縮物回収用の導出管42が分岐している。図1には示していないが、濃縮物回収用の導出管42にはポンプ等の送液装置が備えられており、陽極部39と接した部分のイオン液体を吸引して濃縮物回収用の導出管42へ導き、第七槽43へ適宜送液することができる。
次に、工程A4(希土類元素の電解析出工程)として、第七処理部207にて、電気泳動法を用いて濃縮された、希土類元素を含むイオン液体44から、電解析出処理を行って希土類元素を回収する。ここで、電解析出処理用の直流電源46の陽極部45としては、例えば、回収する希土類元素と同種の希土類元素から構成される電極もしくは白金族元素からなる不活性電極を用いることが好ましい。陰極部47としては希土類元素よりも電気化学的に貴な銅族元素からなる金属電極を用いることが好ましい。
なお、工程A3にて鉄族元素を回収した後のコリン様イオン液体23中に含まれる希土類元素の濃度が高い場合には、工程A6による電気泳動法を適用せずに、直流電源25の陰極部26にて希土類元素を回収することができる。直流電源25の陽極部24としては、回収する希土類元素と同種の希土類元素から構成される電極もしくは白金族元素からなる不活性電極を用いることが好ましい。工程A4の処理後に残存したイオン液体は、上述した工程A1〜A5の処理に用いるイオン液体として再利用することができる。
以上説明したように、第二実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法によっても、コリン様イオン液体に溶解させた、鉄族元素および希土類元素を選択的に回収する方法として、電解析出法を用いる。電解析出法は、比較的低温かつ大気中にて用いることができるため、従来のように溶融塩電解法を用いる場合よりも簡単な設備を用いて、安全に、鉄族元素および希土類元素の回収を行うことができる。また、イオン液体の原料として、いずれも安価な天然由来化合物であるコリンまたはコリン誘導体を用いるため、鉄族元素および希土類元素の回収にともなうコストを低く抑えることができる。
<第三実施形態>
第一実施形態においては、鉄族元素および希土類元素の回収のための電解浴として、イオン液体を用いる場合を前提として説明したが、以下に説明する第三実施形態のように、電解浴として液相状態の低温溶融物を用いてもよい。第三実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法において、図5は本発明の第三実施形態に係る鉄族元素及び希土類元素の回収方法の模式図であり、工程B1、B2が順に含まれる。
まず、工程B1(鉄族元素の電解析出工程)として、電解析出処理に用いる直流電源の陽極部と陰極部とを、鉄族元素および希土類元素を含む低温溶融物中に浸漬させて通電を行う。通電の際に、鉄族元素の析出電位を適切に制御することにより、この低温溶融物から選択的に鉄族元素を分離させ、分離した鉄族元素を回収する。鉄族元素の回収に用いる直流電源の陰極部としては、鉄族元素よりも電気化学的に貴な銅族元素からなる金属電極を用いることが好ましい。また、鉄族元素の回収に用いる直流電源の陽極部としては白金族元素からなる不活性電極もしくは多孔質カーボンからなる不溶性電極を用いることが好ましい。
次に、工程B2(希土類元素の電解析出工程)として、電解析出処理に用いる直流電源の陽極部と陰極部とを、希土類元素を含む低温溶融物中に浸漬させて通電を行うことにより、陰極側にて、工程B1を経た低温溶融物から希土類元素を回収する。ここで、陽極部としては、回収する希土類元素と同種の希土類元素から構成される電極もしくは白金族元素からなる不活性電極を用いることが好ましい。
以上説明したように、第三実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法によれば、液相状態の低温溶融物に溶解させた、鉄族元素および希土類元素を選択的に回収する方法として、電解析出法を用いる。電解析出法は、比較的低温かつ大気中にて用いることができるため、従来のように溶融塩電解法を用いる場合よりも簡単な設備を用いて、安全に、鉄族元素および希土類元素の回収を行うことができる。また、低温溶融物の原料として、安価なコリン様塩化物を用いるため、鉄族元素および希土類元素の回収にともなうコストを低く抑えることができる。
<第四実施形態>
第三実施形態と同様に、鉄族元素および希土類元素の回収のための電解浴として、液相状態の低温溶融物を用いた第四実施形態について説明する。図6は本発明の第四実施形態に係る鉄族元素及び希土類元素の回収方法の模式図であり、第四実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法には、工程B5、B3、B1、B4、B2が順に含まれる。
まず、本実施形態の回収方法を適用する部材が他の部材と接した状態にある場合には、工程B5又は工程B3の前に工程B7(解体・分別工程)として、この部材から他の部材を構成する元素の解体・分別を行う。
次に、本実施形態の回収方法を適用する部材が磁性を帯びている場合に、工程B5又は工程B3の前に工程B6(熱減磁工程)として、この部材に対して熱減磁処理を行う。キュリー温度付近の温度(例えば310[℃])まで昇降温速度:5〜100[℃/min]の昇降条件を制御して、残留磁束密度0.01[mT]以下(減磁率99.9[%]以上)まで下げることにより、部材の取り扱いを容易にさせる。
次に、本実施形態の回収方法を適用する部材が鉄族元素もしくは白金族元素のメッキ層により被覆されている場合に、工程B5(メッキ層剥離工程)として、このメッキ層を構成する元素を分別(剥離)する。ここで、メッキ層が鉄族元素で構成される場合にはアルカリ系メッキ剥離剤を使用し、メッキ層が白金族元素で構成される場合には硝酸と塩酸の混合物もしくは王水を剥離剤として使用する。アルカリ系メッキ剥離剤もしくは王水等の酸溶液の濃度および溶解時間を調整することにより、メッキ層のみを選択的に溶解できる。特に、メッキ層がNi−Cu−Niの3層からなる場合には、中間層であるCu層は先に研磨処理を行って削り落とし、上層および下層のNi層はアルカリ系メッキ剥離剤を用いて剥離する。
次に、本実施形態の回収方法を適用する部材を、低温溶融物中に溶解させる必要がある場合に、工程B1の前に、工程B3(陽極溶解工程)として、部材に対して陽極溶解処理を行う。より詳細には、鉄族元素および希土類元素から主として構成される部材を、直流電源の陽極部に導通を保持した状態で設置し、塩化コリンと尿素とを混合させてなる液相状態の低温溶融物に浸漬させて、当該部材を構成する鉄族元素および希土類元素を低温溶融物中に陽極溶解させる。ここで用いる部材は、主として鉄族元素と希土類元素から構成されていればよく、希土類磁石類の磁石材料等の使用済み部材であってもよいし、前処理によって希土類元素の含有率を高めた部材であってもよい。
陽極溶解処理を行う際に、陽極部に印加する酸化電位を制御することにより、目的の鉄族元素および希土類元素のいずれかを選択的に溶解させることができる。希土類元素のみを選択的に溶解させる場合には、希土類イオンと安定な錯体を形成する配位子と同種のアニオン種を、低温溶融物中に予め溶解させておくことが好ましい。陰極部においては、低温溶融物中にて希土類元素よりも電気化学的に貴な不純物が析出して回収除去される。
次に、工程B1(鉄族元素の電解析出工程)として、電解析出処理に用いる直流電源の陽極部と陰極部とを、鉄族元素および希土類元素を含む低温溶融物中に浸漬させて通電を行う。通電の際に、鉄族元素の析出電位を適切に制御することにより、この低温溶融物から選択的に鉄族元素を分離させ、分離した鉄族元素を回収する。鉄族元素の回収に用いる直流電源の陰極部としては、鉄族元素よりも電気化学的に貴な銅族元素からなる金属電極を用いることが好ましい。また、鉄族元素の回収に用いる直流電源の陽極部としては白金族元素からなる不活性電極もしくは多孔質カーボンからなる不溶性電極を用いることが好ましい。
次に、工程B1における鉄族元素の回収後、低温溶融物中に含まれる希土類元素の濃度が低い場合に、工程B4(電気泳動工程)として電気泳動法による処理を行う。より詳細には、鉄族元素を分離させた低温溶融物中に残存する希土類元素を、電気泳動法を用いて濃縮する。泳動濃縮後の希土類元素(希土類イオン)のうち、電気泳動処理用の直流電源の陽極部上部に泳動される濃縮部分のみを、送液装置を用いて別の槽へ順次取り出す。
次に、工程B2(希土類元素の電解析出工程)として、前記電解泳動法を用いて、低温溶融物中の希土類元素を順次吸引し、濃縮された希土類元素を利用することができる。濃縮された希土類元素を含む低温溶融物中に、陽極と陰極を浸漬させ、陰極側にて希土類元素を回収する。ここで、陽極部は回収する希土類元素と同種の希土類元素から構成される電極もしくは白金族元素からなる不活性電極を使用することが好ましい。また、工程B1にて鉄族元素を回収後の低温溶融物において、希土類元素の濃度が高い場合は、工程B4による電気泳動法を適用しなくても、希土類元素を電解析出法で回収できる。ここで、陽極部は回収する希土類元素と同種の希土類元素を使用することが好ましい。
以上説明したように、第四実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法によっても、液相状態の低温溶融物に溶解させた、鉄族元素および希土類元素を選択的に回収する方法として、電解析出法を用いる。電解析出法は、比較的低温かつ大気中にて用いることができるため、従来のように溶融塩電解法を用いる場合よりも簡単な設備を用いて、安全に、鉄族元素および希土類元素の回収を行うことができる。また、低温溶融物の原料として、安価なコリン様塩化物を用いるため、鉄族元素および希土類元素の回収にともなうコストを低く抑えることができる。
本発明の実施形態に係る鉄族元素および希土類元素の回収方法に用いたコリン様イオン液体についての、確認試験1〜4について説明する。
[確認試験1]
<希土類錯イオンNd(III)の還元過程における過電圧評価試験>
希土類錯イオンNd(III)の還元過程における過電圧を電気化学的に評価する確認試験1について説明する。確認試験1では、イオン液体中に磁石成分中のNdを溶解させた後、電解析出過程でNd(III)からNdを還元させることを想定しており、この還元挙動の温度依存性を評価することで、イオン液体種によるNd電析過程の過電圧の大小を判断するものである。ここで、イオン液体中での希土類錯イオンNd(III)の調製には、NdTFSAを用いた。図7のグラフは、上述した回収方法に用いるコリン様イオン液体の一例として2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミド(ChTFSA)と、同種のアニオン種(TFSA)から構成される同程度の粘性係数を有するホスホニウム型イオン液体:トリエチルオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミド(P2228TFSA)の両イオン液体中における、希土類錯イオンNd(III)の還元過程に対する電気化学測定結果を半微分解析処理したものである。この半微分解析処理を行うことで、通常の還元ピークの位置をより鮮明に解析することが可能となる。図7の4つの曲線は、上から順に、それぞれ125[℃]に加熱したコリン様イオン液体(ChTFSA)、175[℃]に加熱したコリン様イオン液体(ChTFSA)、125[℃]に加熱したイオン液体(P2228TFSA)、175[℃]に加熱したイオン液体(P2228TFSA)の過電圧変化に対応している。すなわち、浴温度125[℃]から175[℃]における還元電位の変化量は希土類錯イオンNd(III)の還元過程に対する過電圧の変化量に相当する。
図7に示すように、イオン液体の加熱温度を125[℃]から175[℃]まで上昇させた場合に、イオン液体(P2228TFSA)による電解浴の過電圧の減少度が0.22[V]であるのに対し、コリン様イオン液体(ChTFSA)による電解浴の過電圧の減少度は0.43[V]となっている。すなわち、コリン様イオン液体(ChTFSA)は、イオン液体(P2228TFSA)に比べて、イオン液体を加熱した場合の過電圧の減少度が0.21[V]大きいことが分かる。ここで電解浴中における過電圧の減少度は、金属イオン種と相互作用を有するアニオン種との溶媒和構造や配位環境により影響されることが多い。また、イオン種の拡散過程における活性化エネルギーおよび金属析出における核生成過程での活性化エネルギーの両方が電解浴の温度上昇に伴って減少するため、金属イオン種の過電圧は減少する傾向が一般的である。ここで、温度上昇に伴い、拡散挙動と核生成過程のどちらの活性化エネルギーに寄与する割合が高いかはイオン液体を構成するカチオン、アニオン種および析出させる希土類金属種に依存する。いずれにしても過電圧の減少度が大きい電解浴組成の場合、印加電圧の設定は比較的簡素化されるため電解回収には適している。したがって、コリン様イオン液体(ChTFSA)を用いる場合、印加電圧を調節することにより、電解浴の分解が比較的少ない状態において、希土類元素の回収を行うことが適切であると予測できる。
[確認試験2]
<イオン液体からの希土類回収試験1>
ネオジム元素を回収する際に用いるイオン液体について、確認試験2を用いて説明する。イオン液体に含まれるカチオンは天然由来化合物であるコリンまたはコリン誘導体からなる脂肪族第四級アンモニウムカチオンであり、アニオンとしては、例えば、テトラフルオロボレート(BF)、ヘキサフルオロホスフェート(PF)、ビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミド(N(SOCF)、ビス(フルオロ)スルホニルアミド(N(SO)、トリフルオロメタンスルホネート(SOCF)、メタンスルホネート(SOCH)、トリフルオロ酢酸(CFCOO)、チオシアネート(SCN)などが挙げられる。これらの中で、ビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミドおよびビス(フルオロ)スルホニルアミドを用いた場合のコリン様イオン液体による電解浴は、室温付近の温度で粘性が低く、疎水性であるため好ましい。
[イオン液体の調製]
塩化コリン(ChCl)あるいは臭化コリン(ChBr)(東京化成工業製)等のコリン形カチオンを含む水溶液に対して、ビス(トリフロメチル)スルホニルアミドアニオン(TFSA)のリチウム塩(関東化学製)を蒸留水中、温度70[℃]にて攪拌して反応させることで、2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミド(ChTFSA)のイオン液体相を得た。また、ビス(フルオロ)スルホニルアミドアニオン(FSA)のカリウム塩(三菱化学工業製)を蒸留水に溶解後、陽イオン交換樹脂によりビス(フルオロ)スルホニルアミド酸(HFSA)に置換した溶液を得た。この酸溶液を48〜50[%]の2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウム溶液(東京化成工業製)と中和反応させることで、2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(フルオロ)スルホニルアミド(ChFSA)のイオン液体相を得た。上記、各反応で生じたイオン液体相を蒸留水で数回洗浄し、残留するハロゲンイオンを除去した後、100[℃]のホットプレート上で12[h]以上エバポレーションすることにより溶媒の除去を行った。そして、100[℃]で72[h]以上、真空乾燥処理を行い、水分量が50[ppm]以下のイオン液体(ChTFSAあるいはChFSA)による電解浴を得た。
[金属塩の調製]
過剰量のネオジム酸化物(Nd:和光純薬工業製)もしくはジスプロシウム酸化物(Dy:和光純薬工業製)にビス(トリフロメチル)スルホニルアミン(HTFSA:関東化学製)を加え、蒸留水中で温度70〜90[℃]で反応させた。その後、余剰の酸化物をろ過し、ろ液をエバポレーションにより濃縮した。濃縮物を真空乾燥して希土類金属塩(NdTFSAあるいはDyTFSA)を調製した。希土類金属塩の収率は90〜98[%]であった。
[ネオジム電析試験]
そして、これらの電解浴にNdTFSAを0.5[M]の濃度で溶解させ、電解浴の温度を175[℃]に加熱した上で、印加電圧3.2〜3.7[V]の定電位電解を行った。電極構成として、陽極にNdロッドを、陰極にCu基板を用いた。ChTFSAを電解浴として用いた場合には、通電時間を5.19[h]、 総電気量を104[C]にて行った。陰極析出物の収量は41.5[mg]であった。一方、ChFSAを電解浴として用いる場合には、通電時間を5.57[h]、 総電気量を216[C]にて行った。陰極析出物の収量は86.1[mg]であった。
[陰極析出物の同定]
ChTFSAあるいはChFSAの電解浴において得られる陰極析出物に対して、それぞれEDX分析を行った結果を図8(a)、(b)のグラフに示す。グラフの横軸は陰極析出物より検出されるX線のエネルギーを示し、縦軸は各エネルギーのX線の強度を示している。図8(a)、(b)のグラフによれば、高いピークを有する希土類元素(Nd)のスペクトルを確認することができた。
また、上記EDX分析から元素分析を行った結果を表1および表2に示す。表1および表2に示すように、いずれのイオン液体を電解浴としても、Nd元素の含有量が顕著に高くなっていることを確認することができた。
Figure 2013155411
Figure 2013155411
さらに、陰極析出物の酸化状態を調査するため、XPS分析を行った結果を図9(a)、(b)のグラフに示す。グラフの横軸は、希土類元素Ndの結合エネルギーを示している。グラフの縦軸はX線照射により陰極析出物から放出される、光電子のエネルギー強度を示している。
XPS分析において、酸化物や複塩ではなく金属の形態である場合、Nd(3d5/2)元素による結合エネルギーは980.5〜981.0[eV]に相当する位置にピークを生じることが知られている。また、酸化物形成の場合、Nd(3d5/2)元素による結合エネルギーはより高エネルギー側にシフトすることが知られている。図9(a)、(b)のグラフによれば、陰極析出物のNd(3d5/2)元素による結合エネルギーは980.5〜981.0[eV]に相当する位置に光電子のエネルギー強度のピークが見られた。すなわち、Nd元素による結合エネルギーを有する元素から放出される光電子のエネルギー強度が最も高くなった。したがって、図9(a)、(b)のグラフから、陰極析出物が、主にNd金属の形態によって構成されていることを確認することができた。
[確認試験3]
<イオン液体からの希土類回収試験2>
[ジスプロシウム電析試験]
ジスプロシウム元素を回収する際に用いるイオン液体について説明する。確認試験2において用いた電解浴に、DyTFSAを0.5[M]の濃度で溶解させ、電解浴の温度を175[℃]に加熱した上で、定電位電解を二回行った。電極構成として、陽極にDyロッドを、陰極にCu基板を用いた。
1回目の定電位電解処理を行った際に、印加電圧を3.7[V]、 通電時間を0.5[h]、 総電気量を100[C]とした。その結果として、各種電極は、電解浴中より引き上げるように構成されている。1回目の定電位電解処理の後に、電極表面上に黒色の電析物が得られ、1回目の陰極析出物の収量は44.9[mg]であった。
続いて2回目の定電位電解処理を行った際に、印加電圧を3.9[V]、通電時間を3.11[h]、 総電気量を560[C]とした。その結果として、2回目の定電位電解処理を行った場合にも、1回目の定電位電解処理を行った場合と同様に、電極表面上に黒色の電析物が得られ、2回目の陰極析出物の収量は251.5[mg]であった。
[陰極析出物の同定]
2回目の定電位電解処理を行った後の電解浴において得られた陰極析出物に対して、EDX分析とXPS分析を行った結果をそれぞれ図10(a)、(b)のグラフに示す。図10(a)のグラフにより、高いピークを有する希土類元素(Dy)のスペクトルを確認することができた。
また、上記EDX分析から元素分析を行った結果を表3に示す。表3に示すように、Dy元素の含有量が顕著に高くなっていることを確認することができた。
Figure 2013155411
さらに、陰極析出物の酸化状態を調査したXPS分析結果(図10(b))において、酸化物や複塩ではなく金属の形態である場合、Dy(3d5/2)元素による結合エネルギーは1295.5〜1297.0[eV]に相当する位置にピークが生じることが知られている。また、酸化物形成の場合、Dy(3d5/2)元素による結合エネルギーはより高エネルギー側にシフトすることが知られている。図10(b)のグラフによれば、陰極析出物のDy(3d5/2)元素による結合エネルギーは1296.8[eV]に相当する位置に光電子のエネルギー強度のピークが見られた。したがって、図10(b)のグラフから、陰極析出物が、主にDy金属の形態によって構成されていることを確認することができた。
[確認試験4]
<イオン液体中での希土類混合組成の電解試験>
回収される希土類元素は、ランタン元素、セリウム元素、プラセオジム元素、ネオジム元素、サマリウム元素、ユウロピウム元素、ガドリニウム元素、ジスプロシウム元素から選択される一つまたは二つ以上の元素であればよい。
そこで、複数の希土類元素で構成される金属塩をイオン液体に溶解させ、そこから所望の金属元素を回収する方法について説明する。まず、過剰量の希土類酸化物(RE、RE=La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、和光純薬工業製)およびセリウム炭酸塩(Ce(CO、和光純薬工業製)にビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミン(HTFSA、関東化学製)を加え、蒸留水中で希土類種に応じて温度70〜100[℃]に保持して反応させた。そして、希土類種に応じて、未反応の酸化物もしくは炭酸塩をろ過し、ろ液をエバポレーションにより濃縮した。濃縮物を真空乾燥して希土類金属塩を調製する。希土類金属塩の収率は、希土類種に依らず80〜95[%]程度となった。
確認試験2にしたがって合成したイオン液体(ChTFSA)に対して、化学式RETFSA(RE=La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Dy)を溶解させた。電極構成として陽極にNdロッドを、陰極にCu基板を用いた。
1回目の電解処理を行った際には、温度を175[℃]とし、印加電圧を3.7[V]、総電気量105[C]として、定電位電解を行った。引き続き2回目の定電位電解を行った際には、温度を175[℃]とし、印加電圧を3.7[V]とし、総電気量450[C]として、定電位電解を行った。2回の電解試験において、陰極析出物の収量は電析試験1回目は47.2[mg]、2回目は202.1[mg]であった。陽極溶解量から陽極側の電流効率を評価した結果、電析試験1回目は116.8[%]、2回目は105.4[%]であった。電析物をEDX分析した結果を、電解試験ごとに表4および表5に示す。
Figure 2013155411
Figure 2013155411
表4および表5から、電析物に含まれる希土類元素の割合は、1回目の電解処理を行った時点では41.4[wt%]であったのに対し、2回目の電解処理を行った時点では63.3[wt%]となっていた。すなわち、電解処理を繰り返したことにより、希土類元素の含有量が多くなった。
工程A4において回収される前記希土類元素は、ランタン元素、セリウム元素、プラセオジム元素、ネオジム元素、サマリウム元素、ユウロピウム元素、ガドリニウム元素、ジスプロシウム元素から選択される一つまたは二つ以上の元素である。
以下、第一実施形態および第二実施形態に該当する実施例1を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例1に限定されるものではない。
[実施例1]
<希土類磁石からの熱減磁処理〜鉄族金属の電解試験>
表面にNi元素からなるメッキ膜が形成された、鉄族元素および希土類元素を含む磁石試料(φ10[mm]×t5[mm])から、鉄族元素を選択的に回収する方法について説明する。まず、磁石試料(部材)に対して、熱減磁処理およびメッキ膜剥離処理を行った。
[熱減磁処理]
熱減磁処理としては、磁石試料を焼成セッター上に設置し、アルミナ製の坩堝内に保持した上で、電気炉内に投入した。熱減磁処理の温度プログラムは、キュリー温度付近の温度(ここでは310[℃]とした)に対して、昇降温速度100[℃/min]で昇温・降温処理を大気中で行った。この処置により、磁石試料の表面上に酸化物を形成することなく、初期磁束密度:410〜445[mT]を残留磁束密度:0.01[mT]以下(減磁率99.9[%]以上)まで下げることができた。
[メッキ層剥離処理]
メッキ層剥離処理としては、磁石試料表面のNiメッキ層を、アルカリ系メッキ剥離剤を用いて剥離した。アルカリ系メッキ剥離剤を含む水溶液をpH12以上に調製後、磁石試料を投入し、ホットスターラー上で50〜70[℃]で100[rpm]で攪拌し、メッキ層を溶解させた。メッキ層を溶解させた後、蒸留水でメッキ剥離剤を十分に希釈・除去した後、乾燥機内で磁石試料を乾燥させた。メッキ層が剥離された磁石試料表面は、鉄族元素と希土類元素の部材が剥き出しになっていた。大気雰囲気下での磁石成分の酸化反応を抑制するため、真空デシケーター内で保管した。なお、磁石試料表面のメッキ層がNi層(下層)、Cu層(中間層)、Ni層(上層)の順に積層された三層構造を形成している場合には、Cu層部分のみは研磨処理を行い、上層および下層のNi層はアルカリ系メッキ剥離剤を用いて剥離した。ここで得られたメッキ層剥離処理後の部材はNd、Dy、Fe、Cu、Ni元素を含み、ICP−MS分析から決定した部材の組成比を、表6に示す。
Figure 2013155411
[酸溶解処理]
イオン液体を構成するアニオン種と同種のアニオン種から成る酸、例えばテトラフルオロホウ酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、メタンスルホン酸(CHSOH)、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、チオシアン酸(HSCN)、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド((CFSONH)(以下、アミド酸(HTFSA)と呼ぶ)などを含む第一水溶液12に部材M1を浸漬させて酸溶解処理を行った。前記酸溶解処理では希土類金属酸化物、希土類金属炭酸塩、希土類金属および希土類金属の合金いずれの形態であっても良い。前記酸溶解処理後に得られる希土類金属塩について、カチオン−アニオン相互作用の小さいアニオン種から成る希土類金属塩は、それよりも相互作用の大きいアニオン種から成るイオン液体に溶解できた。
前記熱減磁処理とメッキ層剥離処理を行った試料を、アミド酸(濃度1.0[M])を含む第一水溶液に浸漬させた。ホットプレート上で50〜60[℃]の第一水溶液のpHは0.1〜1.0程度の範囲内において試料と激しく反応した。そこで、第一水溶液を希釈するかもしくは少量のアルカリ希薄水溶液を添加することにより、pHを調節して、所望の溶解速度(ここでは172±15[μgs−1cm−2];1.0[M]HTFSAを使用)にて、酸溶解処理を行った。例えば、部材M1の溶解面積が1.79[cm]の場合、pH0.1の変化量は10分間で溶解量約0.1[g]に対応する。このようにして、第一水溶液中のpH変化量を観測することで、部材M1の溶解量を制御した。
[金属塩合成]
前記酸溶解処理後、部材M1中の鉄族元素と希土類元素を含有する第一水溶液をデカンテーション後、ろ過により不溶性物質を除去した第二水溶液を金属塩合成に使用した。前記第二水溶液として、例えばテトラフルオロホウ酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、トリフルオロ酢酸(CFCOOH)、メタンスルホン酸(CHSOH)、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)、チオシアン酸(HSCN)、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド((CFSONH)などを用いることができる。ここで、酸溶解処理後の第一水溶液に不溶性物質を生じない場合はデカンテーションおよびろ過処理を省くことができる。前記金属塩合成工程ではホットプレート上で100〜150[℃]に保持し、第二水溶液中の水分および酸成分をエバポレーションにより除去することにより、鉄族元素および希土類元素を含む金属塩を得るものである。特に鉄族元素の場合、エバポレーションの温度により酸化物形成を伴う可能性があるため、温度設定を慎重に行う必要がある。ここで得られた金属塩はNd、Dy、Fe、Cu、Ni元素を含み、化学式MTFSA2.12(M=Nd、Dy、Fe、Cu、Ni)で表されるものである。ICP−MS分析から実際に得られた金属塩の組成比を、表7に示す。
Figure 2013155411
表7に示すように、金属塩に含まれる元素Nd、Dy、Fe、Cu、Niは、それぞれ11.2[mol%]、1.0[mol%]、85.1[mol%]、1.9[mol%]、0.8[mol%]の組成比をなしており、いずれも後述する2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミドに対して可溶であった。
[鉄族元素の電解析出]
続いて、この鉄族元素と希土類元素の混合金属塩を0.1[M]の濃度で2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミド(ChTFSA)に溶解させる。電解試験装置の一例を図11に示す。電解試験装置300は電解槽301に投入された電解浴となるイオン液体302に浸漬させた陽極部303及び陰極部304、直流電源305及び積算電量計306から構成される。陰極部304はCu基板を円筒状にすることで電極面積を大きくする構造とした。陽極部303に減磁処理済の磁石部材307を、陽極リード線308を用いて固定し、コリン様イオン液体もしくは同種のアニオンから形成される陽極側のイオン液体302中に磁石部材307を浸漬させる。ここで、陽極部303の先端部には多孔質ガラス部309が設置されており、この陽極側のイオン液体310はイオン液体浴302中に拡散せず、陽極部303で溶解する磁石成分および不溶性物質は陽極部303に保持される設計とした。この多孔質ガラス部309は印加電圧を高めることで電流が流れる構造となっており、イオン液体浴302との接触界面での液間抵抗は高いため、電圧11.2[V]を印加して、定電位電解を行った。すなわち、陰極側には鉄族元素の還元電位に相当する正味1.2[V]程度が印加されるように、印加電圧を高く設定した。1回目の定電位電解では125[℃]の電解浴温度に設定し、504[C]の電気量を通電させて、陰極析出物:136.0[mg]を得た。陽極側の重量減少と陰極側の重量増加から計算した陽極および陰極の電流効率はそれぞれ96.8[%]、93.2[%]であった。このように鉄族元素の析出する電位に印加電圧を制御したことで、高電流効率を維持した状態で電解析出処理を進行できた。また、2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミドが電解析出処理中に電解浴の分解を伴うことなく、繰り返し2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミドを利用できた。
[陰極析出物の同定]
図12のグラフは、この電解析出物についてEDX分析を行った結果を示す。横軸は電解析出物から検出されるX線のエネルギーを示し、縦軸は各エネルギーのX線の計数率を示している。このグラフによれば、高いピークを有する鉄族元素(Fe)のスペクトルが確認することができたのに対し、希土類元素(Nd)のスペクトルについては検出されなかった。すなわち、図12のグラフから、第一実施形態に係る回収方法の実施例1によって、鉄族元素と希土類元素とで構成される磁石試料から、鉄族元素のみを選択的に回収できたことが分かった。
<希土類磁石からの泳動濃縮および希土類回収試験>
上記のように、鉄族元素および希土類元素を含む金属塩から、定電位電解による電解析出処理を10回繰り返したことにより、鉄族元素を95[%]以上回収した後に、コリン様イオン液体(ChTFSA)中に残存する希土類元素を含む金属塩(希土類塩)を回収する方法について説明する。希土類元素を回収する方法は、電気泳動処理および電解析出処理を行うことにより実現することができる。
[電気泳動処理]
まず、電気泳動処理として、希土類元素が残存したイオン液体(ChTFSA)の温度を175[℃]に加熱し、電流密度が0.1〜0.2[mA/mm]となる電気泳動電流を、イオン液体中に通電する処理を行った。図3の第六処理部に相当する電気泳動工程では、泳動管37中にアルミナ粉末等の多孔質材料を充填させた上で、泳動管37中の希土類元素Ndの濃度が0.1[mol%]となるように、別の浴槽から溶剤を吸引することで調製した。同様に、別の泳動管37を準備した上で、泳動管37中の希土類元素Dyの濃度が0.1[mol%]となるように溶剤の吸引を行い、濃度調製を通電前に行った。
電気泳動装置400の一例を図13に示す。イオン液体浴401には泳動管402が設けられており、内部に充填層を有している。泳動管402内の充填物は、イオン液体の浸透部403の上部から陽極404が接触する位置まで充填されている。泳動管402の開口部近傍において、イオン液体と接するように陽極404が設置されている。泳動管はイオン液体に浸食されない非導電性の軟質ガラスにより形成されている。また、泳動管内の充填層はアルミナ等のセラミックス製の粒子状あるいは繊維状の物質から形成されている。粒子径の好ましい範囲は濃縮元素の拡散を抑制しつつ、泳動による濃度勾配を維持し、濃縮物の回収を効率的に実施できるような範囲75〜200μmである。陽極の構成材料はグラッシーカーボン、白金等のイオン液体中において安定であり、耐食性の物質であることが望ましい。また、陽極近傍には陽極で発生する気体を除去する廃棄手段としてコック405及びスクラバー406を設置することが望ましい。一方、対極として作用する陰極407はイオン液体浴中に設置されている。泳動管402の下部の多孔体403を通してイオン液体が浸透するので、充填層中に十分にイオン液体が浸透した状態で、イオン液体の浸透部の上部に位置するイオン液体と接した陽極と浸漬した陰極との間に直流電源408及び積算電量計409により泳動電流を通電すると、充填層内を上昇するイオンが電気泳動の作用によるイオンの移動度の相違に基づき濃縮される。電気泳動によって濃縮された希土類塩は泳動管402の陽極近傍に取り付けられた濃縮溶液排出管410から送液装置411によって吸引され、充填層上部の濃縮された部分のみが回収されて、濃縮物回収部412へ集められる。回収された濃縮物はコック413を開き、流出管414を経て回収される。このように、一定時間電気泳動処理を行った後、各フラクションごとにイオン液体を回収した。前記採取した各フラクションに含まれる希土類元素のイオン液体に対する含有量の比を、ICP−MSおよびイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析した結果を図14(a)、(b)のグラフに示す。図14(a)、(b)のグラフは、それぞれ陽極側に生じる内部移動度の差により、希土類錯イオン(Nd(III)、Dy(III))が濃縮された結果を示している。いずれのグラフも、イオン液体の溶剤として、アニオンがTFSA形の2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミドを用いたものと、アニオンがFSA形の2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(フルオロ)スルホニルアミドを用いたものとを重ねて示している。グラフの横軸は、フラクション数を示し、縦軸は希土類元素のイオン液体に対する含有量の比を示している。図14(a)、(b)のグラフにおいて、本電気泳動処理を連続して5回繰り返すことにより、希土類元素(Nd、Dy)が濃縮されている第二フラクションまでのイオン液体を随時回収し、次工程の電解液とした。
[希土類元素の電解析出]
続いて、上記の連続的な電気泳動処理で回収した希土類濃度の高いイオン液体(2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルアミド)を用いて、電解析出処理を行った。電解浴中に陽極としてNdロッドもしくはDyロッドを、陰極としてCu基板を浸漬させて、イオン液体の温度を175[℃]に加熱し、印加電圧3.7[V]に設定した上で、1回目の定電位電解を行った結果、陽極溶解量から評価した陽極側での電流効率は70.2[%]であった。この定電位電解を5回繰り返し行った結果、陰極析出物の収量:435.6[mg]から判断した希土類元素(Nd)の陰極回収率は60.4[%]であった。
[陰極析出物の同定]
希土類錯イオンNd(III)あるいはDy(III)が濃縮されたイオン液体において、それぞれ電解析出処理を行った後に生じる二種類の陰極析出物に対して、EDX分析を行った結果、二種類の陰極析出物は、それぞれNd、Dy元素の含有量が顕著に高くなっていた。
そして、これらNd、Dy元素の含有量が高い陰極析出物に対してXPS分析を行った結果を、それぞれ図15(a)、(b)のグラフに示す。グラフの横軸は、希土類元素NdあるいはDyの結合エネルギーを示している。グラフの縦軸はX線照射により陰極析出物から放出される、光電子のエネルギー強度を示している。
XPS分析において、酸化物や複塩ではなく金属の形態である場合、Nd(3d5/2)元素による結合エネルギーは980.5〜981.0[eV]に相当する位置にピークを生じることが知られている。また、酸化物形成の場合、Nd(3d5/2)元素による結合エネルギーはより高エネルギー側にシフトすることが知られている。図15(a)のグラフによれば、陰極析出物のNd(3d5/2)元素による結合エネルギーは980.5〜981.0[eV]に相当する位置に光電子のエネルギー強度のピークが見られた。したがって、図15(a)のグラフから、陰極析出物が、主にNd金属の形態によって構成されていることを確認することができた。
同様に、酸化物や複塩ではなく金属の形態である場合、Dy(3d5/2)元素による結合エネルギーは1295.5〜1297.0[eV]に相当する位置にピークを生じることが知られている。また、酸化物形成の場合、Dy(3d5/2)元素による結合エネルギーはより高エネルギー側にシフトすることが知られている。図15(b)のグラフによれば、陰極析出物のDy(3d5/2)元素による結合エネルギーは1296.9[eV]に相当する位置に光電子のエネルギー強度のピークが見られた。したがって、図15(b)のグラフから、陰極析出物が、主にDy金属の形態によって構成されていることを確認することができた。
以上の実施例1において得られた結果から、熱減磁処理、メッキ層剥離処理、酸溶解処理、金属塩合成処理を行う一連の工程を経由して、磁石試料から鉄族元素を分離・回収する処理を行った上で、電気泳動処理、電解析出処理を行うことにより、希土類元素の回収が可能であることを確認することができた。
以下、第三実施形態および第四実施形態に該当する実施例2、3により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例2]
<低温溶融物からの希土類回収試験1>
[低温溶融物の調製]
低温溶融物は、塩化コリンと尿素の混合物であり、混合モル比が塩化コリンのモル分率(xch)において、xch=0.33〜0.40の範囲内で調製された溶融物である。低温溶融物は、単一塩の融点以上熱分解温度以下にて溶融処理を行い、均一に融解させ、攪拌および混合させることにより作製することができた。このように作製された低温溶融物は室温付近の温度において、液相状態を維持することができた。この低温溶融物が共晶組成;xch=0.33の場合は、融点は室温以下であり、溶液状態とした。また、組成がxch=0.40に近づくにつれて、融点は室温付近まで上昇するものの、xch=0.33〜0.40の範囲内で液体であった。
[鉄族元素の電解析出]
上述した共晶組成;xch=0.33の低温溶融物による電解浴に、FeClとNdClをそれぞれ0.5[M]の濃度で溶解させ、電解浴の温度を140[℃]に加熱した上で、印加電圧1.2[V]の定電位電解を行った。電極構成としては、陽極にNdロッドを、陰極にCu基板を用いた。通電時間8.54[h]に対して総電気量は1350[C]となる。陽極溶解量から評価した陽極側での電流効率は89.2[%]であった。陰極析出物の収量:347.7[mg]に対して、陰極側の電流効率は82.6[%]であった。また、陰極析出物をEDX分析した結果、鉄族元素(Fe)のスペクトルを確認することができた。
[希土類元素の電解析出]
上述のように印加電圧を制御した定電位電解により鉄族元素を選択的に回収した部材から、低温溶融物を用いてネオジム(Nd)元素を回収する方法について説明する。上述した低温溶融物による電解浴に、NdClを0.5[M]の濃度で溶解させ、電解浴の温度を140[℃]に加熱した上で、印加電圧3.2[V]の定電位電解を行った。電極構成としては、陽極にNdロッドを、陰極にCu基板を用いた。通電時間3.16[h]に対して総電気量は500[C]であった。陽極溶解量から評価した陽極側での電流効率は86.8[%]であった。陰極析出物の収量:100.7[mg]に対して、陰極側での電流効率は40.4[%]であった。
[陰極析出物の同定]
陰極析出物のEDX分析を行った結果を、図16(a)のグラフに示す。グラフの横軸は陰極析出物より検出されるX線のエネルギーを示し、縦軸は各エネルギーのX線の強度を示している。図16(a)のグラフによれば、ピークを有する希土類元素(Nd)のスペクトルを確認することができた。また、OKαに相当するピークを有するスペクトルが確認されたが、スペクトルのピークが低エネルギー側で見られたことから、陰極析出物の最表面に分布する金属の一部が、酸化物の状態である可能性が示唆された。
陰極析出物の最表面をエッチング処理により除去した後のXPS分析を行った結果を、図16(b)のグラフに示す。グラフの横軸は、希土類元素の結合エネルギーを示している。グラフの縦軸はX線照射により陰極析出物から放出される、光電子のエネルギー強度を示している。
XPS分析において、酸化物や複塩ではなく金属の形態である場合、Nd(3d5/2)元素による結合エネルギーは980.5〜981.0[eV]に相当する位置にピークが生じることが知られている。また、酸化物形成の場合、Nd(3d5/2)元素による結合エネルギーはより高エネルギー側にシフトすることが知られている。図16(b)のグラフによれば、陰極析出物のNd(3d5/2)元素による結合エネルギーは980.5〜981.0[eV]に相当する位置に光電子のエネルギー強度のピークが見られた。したがって、図16(b)のグラフから、陰極析出物の最表面以外は、主にNd金属の形態によって構成されていることを確認することができた。
[低温溶融物の組成依存性試験]
なお、上記ネオジム回収処理前に塩化コリンおよび尿素から構成される低温溶融物の塩化コリンのモル分率(xch)依存性を調査するため、電解浴の組成を変えてネオジム電析を実施した結果を表8に示す。
Figure 2013155411
表8の結果から分かる、xch=0.33〜0.40の範囲外の電解浴の組成では、ネオジム電解試験中に溶融物の組成が著しく変動し、安定した電流の維持が困難になるだけでなく、電析試験中に電解浴が固化してしまうため、電解試験を中断した。また、xch=0.33〜0.40の範囲外の電解浴組成では主要な電析物が得られず、ネオジム電解回収には適していないことが明らかとなった。したがって、比較的安定した条件でネオジム電析を行う場合、xch=0.33〜0.40の範囲内の電解浴を使用することが好ましい。
[実施例3]
<低温溶融物からの希土類回収試験2>
[鉄族元素の電解析出]
実施例2と同様に共晶組成;xch=0.33の低温溶融物による電解浴に、FeClとDyClをそれぞれ0.5[M]の濃度で溶解させ、電解浴の温度を175[℃]に加熱した上で、印加電圧1.1[V]の定電位電解を行った。電極構成としては、陽極にNdロッドを、陰極にCu基板を用いた。通電時間8.16[h]に対して総電気量は1290[C]となる。陽極溶解量から評価した陽極側での電流効率は90.4[%]であった。陰極析出物の収量:332.3[mg]に対して、電流効率は85.8[%]であった。また、陰極析出物をEDX分析した結果、鉄族元素(Fe)のスペクトルを確認することができた。
[希土類元素の電解析出]
上述のように印加電圧を制御した定電位電解により鉄族元素を選択的に回収した部材から、低温溶融物を用いてジスプロシウム(Dy)元素を回収する方法について説明する。電解浴としては、実施例2と同様の方法により作製したものを用いた。この電解浴にDyClを0.5[M]の濃度で溶解させ、電解浴の温度を175[℃]に加熱した上で、印加電圧3.9[V]の定電位電解を行った。電極構成としては、陽極にDyロッドを、陰極にCu基板を用いた。通電時間2.4[h]に対して総電気量は350[C]となった。陽極溶解量から評価した陽極側での電流効率は92.7[%]であった。陰極析出物の収量:115.5[mg]に対して、陰極側での電流効率は58.8[%]であった。
[陰極析出物の同定]
陰極析出物のEDX分析を行った結果を、図17(a)のグラフに示す。グラフの横軸は陰極析出物より検出されるX線のエネルギーを示し、縦軸は各エネルギーのX線の強度を示している。図17(a)のグラフによれば、ピークを有する希土類元素(Dy)のスペクトルを確認することができた。また、OKαに相当するピークを有するスペクトルが確認されたが、スペクトルのピークが低エネルギー側で見られることから、陰極析出物の最表面に分布する金属の一部が、酸化物の状態である可能性が示唆された。
Ndの場合と同様に、酸化物や複塩ではなく金属の形態である場合、Dy(3d5/2)元素による結合エネルギーは1295.5〜1297.0[eV]に相当する位置にピークを生じることが知られている。また、酸化物形成の場合、Dy(3d5/2)元素による結合エネルギーはより高エネルギー側にシフトすることが知られている。陰極析出物の最表面をエッチング処理により除去した後のXPS分析を行った結果を、図17(b)のグラフに示す。グラフの横軸は、希土類元素の結合エネルギーを示している。グラフの縦軸はX線照射により陰極析出物から放出される、光電子のエネルギー強度を示している。図17(b)のグラフによれば、陰極析出物のDy(3d5/2)元素による結合エネルギーは1296.6[eV]に相当する位置に光電子のエネルギー強度のピークが見られた。したがって、図17(b)のグラフから、陰極析出物が、主にDy金属の形態によって構成されていることを確認することができた。
本発明の鉄族元素および希土類元素の回収方法は、希土類系磁石等から鉄族元素および希土類元素を回収するために広く利用することが可能である。
[鉄族元素および希土類元素の回収方法の模式図]
11・・・第一槽、12・・・第一水溶液、13・・・酸溶解用部材設置部
14・・・第二槽、15・・・第二水溶液、16・・・酸溶解処理後部材設置部
17・・・第三槽、18・・・コリン様イオン液体、19・・・第一電極の陽極部、
20・・・第一電極、21・・・第一電極の陰極部、
22・・・第四槽、23・・・コリン様イオン液体、24・・・第二電極の陽極部、
25・・・第二電極、26・・・第二電極の陰極部、27・・・鉄族電析物
28・・・第五槽、29・・・コリン様イオン液体、30・・・第五電極の陽極部、
31・・・第五電極、32・・・第五電極の陰極部、33・・・希土類電析物
34・・・第六槽、35・・・コリン様イオン液体、36・・・泳動管の先端部
37・・・泳動管、38・・・第三電極の陽極部保護管、39・・・第三電極の陽極部、
40・・・第三電極、41・・・第三電極の陰極部、42・・・濃縮物回収用の導出管
43・・・第七槽、44・・・希土類元素が泳動濃縮されたイオン液体、
45・・・第四電極の陽極部、46・・・第四電極、47・・・第四電極の陰極部、
48・・・希土類電析物
100、200・・・鉄族元素および希土類元素の回収装置
101、201・・・第一処理部(酸溶解工程部:A1)、
102、202・・・第二処理部(金属塩合成工程部:A2)、
203・・・第三処理部(陽極溶解工程部:A5)、
104、204・・・第四処理部(鉄族元素の電解析出工程部:A3)、
105、205・・・第五処理部(希土類元素の電解析出工程部:A4)、
206・・・第六処理部(電気泳動工程部:A6)、
207・・・第七処理部(電気泳動工程後の電解析出工程部)
M1・・・鉄族元素と希土類元素から成る部材、
M2・・・酸溶解処理後の鉄族元素と希土類元素から成る部材、
M3・・・金属塩合成工程後の鉄族元素と希土類元素から成る部材および鉄族元素と希土類元素から成る金属、合金類。

[電解析出装置]
300・・・電解試験装置、301・・・電解槽、302・・・イオン液体、
303・・・陽極部、304・・・陰極部、305・・・直流電源、
306・・・積算電量計、307・・・減磁処理済の磁石部材、
308・・・陽極リード線、309・・・多孔質ガラス部、
310・・・陽極側のイオン液体。

[電気泳動装置]
400・・・電解試験装置、401・・・イオン液体、402・・・泳動管、
403・・・多孔体(イオン液体浸透部)、404・・・陽極部、405・・・コック、
406・・・スクラバー、407・・・陰極部、408・・・直流電源、
409・・・積算電量計、410・・・濃縮溶液排出管、411・・・送液装置、
412・・・濃縮物回収部、413・・・コック、414・・・流出管。

Claims (16)

  1. 鉄族元素および希土類元素を含む部材を第一水溶液に浸漬させて、酸溶解処理を行う工程A1と、
    前記工程A1を経た部材を第二水溶液に浸漬させて、金属塩合成処理を行う工程A2と、
    前記工程A2を経た部材をイオン液体に浸漬させて、電解析出法を用いて、該イオン液体から前記鉄族元素を回収する工程A3と、
    前記工程A3を経たイオン液体から、電解析出法を用いて、前記希土類元素を回収する工程A4と、を含み、
    前記イオン液体が、下記一般式(1)で示されるコリンまたはコリン誘導体からなる脂肪族第四級アンモニウムカチオンを含むイオン液体であることを特徴とする鉄族元素および希土類元素の回収方法。
    Figure 2013155411
    (式中R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
  2. 前記工程A2と前記工程A3の間に、前記工程A2を経た部材を前記工程A3に用いるイオン液体に浸漬させて陽極溶解する工程A5を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  3. 前記工程A3と前記工程A4との間に、電気泳動法を用いて、前記工程A3を経たイオン液体中に残存する前記希土類元素を濃縮する工程A6を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  4. 前記工程A4の後に残存した前記イオン液体を、前記工程A5に用いるイオン液体として再利用する、ことを特徴とする請求項2に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  5. 前記工程A4において回収される前記希土類元素は、ランタン元素、セリウム元素、プラセオジム元素、ネオジム元素、サマリウム元素、ユウロピウム元素、ガドリニウム元素、ジスプロシウム元素から選択される一つまたは二つ以上の元素である、ことを特徴とする請求項1に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  6. 前記工程A1において用いる前記部材がメッキ層により被覆されている場合には、
    前記工程A1の前に、前記メッキ層を構成する元素を分別する工程A7を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  7. 前記工程A1において用いる前記部材が磁性を帯びている場合には、
    前記工程A1あるいは前記工程A7の前に、前記部材を熱減磁処理する工程A8を含む、ことを特徴とする請求項1または6に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  8. 前記工程A1において用いる前記部材が他の部材と接した状態にある場合には、
    前記工程A1、前記工程A7、あるいは前記工程A8の前に、前記他の部材を構成する元素を分別する工程A9を含む、ことを特徴とする請求項1、6または7のいずれか一項に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  9. 鉄族元素および希土類元素を含む部材を第一水溶液に浸漬させて、酸溶解処理を行う第一処理部と、
    前記第一処理部において処理された部材を第二水溶液に浸漬させて、金属塩合成処理を行う第二処理部と、
    前記第二処理部において処理された部材をイオン液体に浸漬させて、電解析出法を用いて、前記鉄族元素を回収する第二電極を有する第四処理部と、
    前記第二電極による処理を経たイオン液体から、電解析出法を用いて、前記希土類元素を回収する第五電極を有する第五処理部と、を少なくとも備えた、ことを特徴とする鉄族元素および希土類元素の回収装置。
  10. 電気泳動法を用いて、前記第四処理部による処理を経たイオン液体に残存する希土類元素を、濃縮する第六処理部と、
    前記第六処理部にて濃縮された希土類元素を含むイオン液体から、電解析出法を用いて、希土類元素を回収する第四電極を有する第七処理部と、を少なくとも備えた、ことを特徴とする請求項9に記載の鉄族元素および希土類元素の回収装置。
  11. 鉄族元素および希土類元素を含む部材を液相状態の低温溶融物に浸漬させて、該低温溶融物から、該鉄族元素を電解析出法により回収する工程B1と、
    前記工程B1を経た低温溶融物から、電解析出法を用いて、前記希土類元素を回収する工程B2と、を含み、
    前記低温溶融物として、塩化コリンと尿素との混合物を用いる、ことを特徴とする鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  12. 前記工程B1の前に、該工程B1に用いる部材を、該工程B1に用いる低温溶融物中に溶解させる工程B3を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  13. 前記工程B1と前記工程B2との間に、電気泳動法を用いて、前記工程B1を経た低温溶融物中に残存する前記希土類元素を濃縮する工程B4を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  14. 前記工程B1において用いる前記部材がメッキ層により被覆されている場合には、
    前記工程B1あるいは前記工程B3の前に、前記メッキ層を構成する元素を分別する工程B5を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  15. 前記工程B1において用いる前記部材が磁性を帯びている場合には、
    前記工程B1あるいは前記工程B3の前に、前記部材を熱減磁処理する工程B6を含む、ことを特徴とする請求項11または14に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
  16. 前記工程B1において用いる前記部材が他の部材と接した状態にある場合には、
    前記工程B1、前記工程B5、あるいは前記工程B6の前に、前記他の部材を構成する元素を分別する工程B7を含む、ことを特徴とする請求項11、14または15のいずれか一項に記載の鉄族元素および希土類元素の回収方法。
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