JP2013154707A - ハイブリッド自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータ装置内の結露を抑制する。
【解決手段】車両の制御モードが走行を禁止してエンジンを運転する非常時発電モードのときには(S100)、冷却装置の冷却水温Twmに基づいて冷却装置の電動ポンプの作動を禁止することにより(S110〜S130)、車両の制御モードが走行を許容する走行用モードのときに比して、冷却装置の電動ポンプの作動を制限する。これにより、非常時発電用の発電機を駆動するインバータをケース内に含むパワーコントロールユニット(PCU)の温度低下が抑制され、PCU内の結露を抑制することができる。
【選択図】図2
【解決手段】車両の制御モードが走行を禁止してエンジンを運転する非常時発電モードのときには(S100)、冷却装置の冷却水温Twmに基づいて冷却装置の電動ポンプの作動を禁止することにより(S110〜S130)、車両の制御モードが走行を許容する走行用モードのときに比して、冷却装置の電動ポンプの作動を制限する。これにより、非常時発電用の発電機を駆動するインバータをケース内に含むパワーコントロールユニット(PCU)の温度低下が抑制され、PCU内の結露を抑制することができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、ハイブリッド自動車に関し、詳しくは、エンジンと、エンジンからの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の電動機と、発電機および電動機を駆動するインバータをケースに収納してなるインバータ装置と、インバータを介して発電機および電動機に接続されたバッテリと、インバータ装置の冷却用にラジエータを含む循環流路を冷却液が循環するよう冷却液を圧送する電動ポンプを有する冷却装置と、を備えるハイブリッド自動車に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車に関する技術として、車両のトランクルームなどの搭乗空間以外に設けられたインバータ等の駆動回路を含むPCU(Power Control Unit)や走行用の二次電池などの電気機器と、搭乗空間の空気を電気機器に向けて送風する冷却ファンと、電気機器に設けられた結露センサとを備え、電気機器を冷却する車両用冷却装置であって、結露センサからの出力により電気機器に結露が発生していると判定された場合に、電気機器の温度が温度閾値以下のときには、冷却ファンの駆動を禁止するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、これにより、搭乗空間内の高湿の空気を低温の電気機器に送り込まないようにして、結露による漏電等を抑制している。
インバータを含むPCUを冷却する水冷式の冷却装置を備えるハイブリッド自動車では、PCU内の温度が低く飽和水蒸気量が小さいときに、冷却水により更にPCU内の空気が冷却されると、PCU内に結露が発生しやすくなり、インバータを構成する素子が正常に機能しなくなるなどの問題が生じる可能性があった。このため、こうしたPCU内の結露を抑制することは重要な課題の一つとされていた。
本発明のハイブリッド自動車は、インバータ装置内の結露を抑制することを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド自動車は、
エンジンと、前記エンジンからの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の電動機と、前記発電機および前記電動機を駆動するインバータをケースに収納してなるインバータ装置と、前記インバータを介して前記発電機および前記電動機に接続されたバッテリと、前記インバータ装置の冷却用にラジエータを含む循環流路を冷却液が循環するよう前記冷却液を圧送する電動ポンプを有する冷却装置と、を備えるハイブリッド自動車であって、
車両の制御モードが走行を禁止して前記エンジンを運転するモードのときには、車両の制御モードが走行を許容するモードのときに比して前記電動ポンプの作動が制限されるよう該電動ポンプを制御する制御手段、
を備えることを要旨とする。
エンジンと、前記エンジンからの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の電動機と、前記発電機および前記電動機を駆動するインバータをケースに収納してなるインバータ装置と、前記インバータを介して前記発電機および前記電動機に接続されたバッテリと、前記インバータ装置の冷却用にラジエータを含む循環流路を冷却液が循環するよう前記冷却液を圧送する電動ポンプを有する冷却装置と、を備えるハイブリッド自動車であって、
車両の制御モードが走行を禁止して前記エンジンを運転するモードのときには、車両の制御モードが走行を許容するモードのときに比して前記電動ポンプの作動が制限されるよう該電動ポンプを制御する制御手段、
を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド自動車では、車両の制御モードが走行を禁止してエンジンを運転するモードのときには、車両の制御モードが走行を許容するモードのときに比して、冷却装置の電動ポンプの作動が制限されるよう電動ポンプを制御する。ここで、「走行を禁止してエンジンを運転するモード」には、停車時にエンジンからの動力を用いて発電機により発電した電力を車外に供給するモードや、停車時にエンジンからの動力を用いて発電機により発電した電力によりバッテリを充電するモードなどが含まれる。この走行を禁止してエンジンを運転するモードのときには、走行を許容するモードのときに比して、インバータの消費電力(発熱量)が小さいため、インバータ装置のケース内の温度が低くなりやすく、結露が生じやすい。これに対し、走行を禁止してエンジンを運転するモードのときには、走行を許容するモードのときに比して、冷却装置の電動ポンプの作動を制限することにより、冷却装置のラジエータで冷却液が外気と熱交換され冷却されるのを抑制することができる。この結果、インバータ装置の温度低下が抑制され、インバータ装置のケース内(インバータ装置内)の結露を抑制することができる。また、電動ポンプの作動が制限されるから、電動ポンプの消費電力を抑制することもできる。
ここで、「電動ポンプの作動が制限される」には、電動ポンプの作動頻度が少なくなることや、電動ポンプの回転数が小さくなることなどが含まれる。また、「走行を禁止してエンジンを運転するモード」が、停車時にエンジンからの動力を用いて発電機により発電した電力を車外に供給するモードの場合、本発明のハイブリッド自動車において、前記バッテリと前記インバータとを接続する車両側電力ラインに接続され、車外の電力ラインに接続されたときに該車外の電力ラインに前記車両側電力ラインからの電力を供給する電力供給手段を備える、ものとすることもできる。
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記冷却装置の冷却液の温度を検出する温度センサを備え、前記制御手段は、車両の制御モードが走行を禁止して前記エンジンを運転するモードのときには、前記温度センサにより検出された冷却液の温度が第1の温度閾値未満となったときに前記電動ポンプの作動を禁止すると共に、前記電動ポンプの作動の禁止後に前記温度センサにより検出された冷却液の温度が前記第1の温度閾値より高い第2の温度閾値以上となったときに前記電動ポンプの作動を許可する手段である、ものとすることもできる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力するエンジン22と、エンジン22を駆動制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24と、エンジン22のクランクシャフト26にキャリアが接続されると共に駆動輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37を介して連結された駆動軸36にリングギヤが接続されたプラネタリギヤ30と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されたモータMG1と、例えば同期発電電動機として構成されて回転子が駆動軸36に接続されたモータMG2と、図示しない複数のスイッチング素子のスイッチングによってモータMG1,MG2を駆動するインバータ41,42と、インバータ41,42の複数のスイッチング素子をスイッチング制御することによってモータMG1,MG2を駆動制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40と、例えばリチウムイオン二次電池として構成されてインバータ41,42を介してモータMG1,MG2と電力をやりとりするバッテリ50と、バッテリ50を管理するバッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52と、モータMG1,MG2やインバータ41,42を冷却する冷却装置60と、インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54に接続されていると共に車両側コネクタ92に充電ケーブル100の充電コネクタ102を接続することによって家庭用電源(AC100V)などの外部電源104に接続されたときにバッテリ50を充電可能な充電器90と、車両全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70と、を備える。ここで、インバータ41,42は、図示しないDC/DCコンバータなどと共に金属製のケース48に収納された状態で、パワーコントロールユニット(以下、PCUという)49を構成している。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサからのクランクポジションθcrやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサからの冷却水温Twe,燃焼室内に取り付けられた圧力センサからの筒内圧力Pin,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブや排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサからのカムポジションθca,スロットルバルブのポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサからのスロットルポジションTP,吸気管に取り付けられたエアフローメータからの吸入空気量Qa,同じく吸気管に取り付けられた温度センサからの吸気温Ta,排気系に取り付けられた空燃比センサからの空燃比AF,同じく排気系に取り付けられた酸素センサからの酸素信号O2などが入力ポートを介して入力されており、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁への駆動信号やスロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの駆動信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの制御信号,吸気バルブの開閉タイミングの変更可能な可変バルブタイミング機構への制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、エンジンECU24は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力ポートを介して入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42の図示しないスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。また、モータECU40は、HVECU70と通信しており、HVECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の回転角速度ωm1,ωm2や回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧Vbやバッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりHVECU70に送信する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算したりしている。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電割合SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
冷却装置60は、図示しないエンジンルームの最前部に配置され冷却水(LLC(ロングライフクーラント))と外気との熱交換を行なうラジエータ62と、ラジエータ62が配置されモータMG1,MG2とインバータ41,42との冷却用に冷却水が循環する循環流路64と、冷却水が循環流路64内を循環するよう冷却水を圧送する電動ポンプ66と、循環流路64内に混入した空気(エア)を外部に排出する気液分離が可能となるよう循環流路64における所定の高さ位置(例えば循環流路64の最も高い位置)に設けられたリザーブタンク67と、電動ポンプ66と図示しない補機バッテリとの電気的な接続および接続の遮断を行なうリレー68と、を備える。なお、補機バッテリは、バッテリ50の電力を降圧する図示しないDC/DCコンバータを介してバッテリ50に接続される。
充電器90は、いずれも図示しないが、電力ライン54に接続されたリレーやAC/DCコンバータ,DC/DCコンバータを備え、AC/DCコンバータは、充電ケーブル100を介して供給される外部電源104からの交流電力を直流電力に変換可能であると共にDC/DCコンバータからの直流電力を交流電力に変換可能であり、DC/DCコンバータは、AC/DCコンバータからの直流電力の電圧を変換して電力ライン54側に供給可能であると共に電力ライン54側からの直流電力の電圧を変換可能である。したがって、充電器90は、非常時などに、車両側コネクタ92に例えば照明機器やラジオ,炊飯器などの電気機器114からの電源ケーブル(車外の電力ライン)110の放電コネクタ112を接続することによって、車外の電気機器114に電力供給が可能となっている。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、冷却装置60の電動ポンプ66の回転数を検出する回転数センサ66aからの電動ポンプ66の回転数Npや冷却装置60の冷却水の温度を検出する温度センサ69からの冷却水温Twmの他、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、HVECU70からは、冷却装置60の電動ポンプ66への制御信号やリレー68への駆動信号,充電器90のリレー,DC/DCコンバータ,AC/DCコンバータへの駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。HVECU70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36に出力すべき要求トルクTr*を計算し、この要求トルクTr*に対応する要求動力が駆動軸36に出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2との運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてがプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されて駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部がプラネタリギヤ30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード,エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力を駆動軸36に出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードとは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力が駆動軸36に出力されるようエンジン22とモータMG1とモータMG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。実施例のハイブリッド自動車20では、車両の制御モードとしては、このエンジン運転モードやモータ運転モードなどの走行を許容する走行用モードの他に、次に説明するように、走行を禁止してエンジン22の運転やモータMG1,MG2の駆動を伴わずにバッテリ50を充電する外部充電モードと、走行を禁止してエンジン22の運転を伴ってモータMG1により発電する非常時発電モードとが用意されている。
実施例のハイブリッド自動車20では、自宅や予め設定された充電ポイントで車両がシステム停止された停車状態で充電ケーブル100を介して外部電源104と充電器90とが接続されたときには、車両の制御モードを外部充電モードに設定し、充電器90を制御して外部電源104からの電力によりバッテリ50を充電する。そして、バッテリ50の充電後にシステム起動したときには、バッテリ50の蓄電割合SOCがエンジン22の始動を行なうことができる程度に設定された閾値Shv(例えば、20%や30%など)に至るまでエンジン22を停止した状態でモータMG2からの動力だけで走行する電動走行を優先して走行する電動走行優先モードによって走行し、バッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Shvに至った以降はバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から動力を用いて走行するハイブリッド走行を優先して走行するハイブリッド走行優先モードによって走行する。走行中の駆動制御については、本発明の中核をなさないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
また、実施例のハイブリッド自動車20では、非常時などに車両がシステム停止された停車状態で電源ケーブル110を介して車外の電気機器114と充電器90とが接続されたときには、車両の制御モードを非常時発電モードに設定し、エンジン22を運転してエンジン22からの動力を用いてモータMG1により発電した電力を電力ライン54に供給すると共に充電器90を制御して電力ライン54からの電力(モータMG1の発電電力)を電気機器114に供給する。非常時発電モードでは、エンジン22が発電用に予め定められた回転数とトルクとからなる運転ポイントで運転されるように、エンジン22の燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量制御などの運転制御とモータMG1の駆動制御とが行なわれると共に、モータMG1の発電により電力ライン54に供給された電力が電気機器114の定格電力に変換されるように充電器90の制御が行なわれる。
さらに、実施例のハイブリッド自動車20では、走行中に、冷却装置60の循環流路64内の冷却水の温度としての冷却水温Twmに基づいて電動ポンプ66を回転すべき目標回転数Np*を設定すると共に、目標回転数Np*に対応する駆動指令値D(例えばデューティ比)を設定し、電動ポンプ66が目標回転数Np*で回転するよう電動ポンプ66を駆動指令値Dで制御することにより、冷却水を循環流路64内で循環させてモータMG1,MG2やインバータ41,42を冷却している。ここで、電動ポンプ66の駆動指令値Dは、目標回転数Np*と駆動指令値Dとの関係を予め定めて図示しないROMに記憶したマップを用いて設定することができ、また、電動ポンプ66の目標回転数Np*は、冷却水温Twmと目標回転数Np*との関係を冷却水温Twmが高いほど目標回転数Np*が高くなるように予め定めたマップを図示しないROMに記憶しておき、冷却水温Twmが与えられると記憶したマップから対応する目標回転数Np*を導出することによって設定することができる。この目標回転数Np*は、実施例では、冷却水温Twmが高いほど3段階に最低回転数Npmin,中段回転数Npmid,最高回転数Npmaxの順で大きくなるように設定されるものとした。
次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に車両の制御モードが非常時発電モードに設定された際の冷却装置60の動作について説明する。図2は、HVECU70により実行される電動ポンプ作動許可禁止ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、車両の制御モードに拘わらず繰り返し実行される。
電動ポンプ作動許可禁止ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、まず、車両の制御モードが非常時発電モードか否かを調べ(ステップS100)、非常時発電モードでないとき、即ち、走行用モードまたは外部充電モードのときには、電動ポンプ66の作動を許可して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。このとき、電動ポンプ66は、冷却装置60の冷却水温Twmに基づく目標回転数Np*で回転するよう制御されることになる。なお、外部充電モードのときには、電動ポンプ66の作動を禁止するものとしてもよい。
車両の制御モードが非常時発電モードのときには、温度センサ69から冷却装置60の冷却水温Twmを入力し(ステップS110)、入力した冷却水温Twmを第1温度閾値Tw1と比較する(ステップS120)。ここで、第1温度閾値Tw1は、電動ポンプ66の作動を禁止すべきか否かを判定するためのものであり、実施例では、PCU49のケース48内に結露が発生しない温度範囲の下限値として予め実験などにより定められた温度(例えば、数十度)を用いるものとした。
入力した冷却水温Twmが第1温度閾値Tw1以上のときには、PCU49内に結露は発生しないと判断し、電動ポンプ66の作動を許可して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。一方、入力した冷却水温Twmが第1温度閾値Tw1未満のときには、PCU49内に結露が発生する可能性があると判断し、電動ポンプ66の作動を禁止する(ステップS130)。これにより、冷却水温Twmに基づいて例えば最低回転数Npminなどで回転していた電動ポンプ66の作動は停止される。
こうして電動ポンプ66の作動を禁止すると、温度センサ69から冷却装置60の冷却水温Twmを入力して第1温度閾値Tw1より高い第2温度閾値Tw2と比較し(ステップS140,S150)、冷却水温Twmが第2温度閾値Tw2未満のうちは、冷却水温Twmを入力して第2閾値Tw2と比較する処理を繰り替えし(ステップS140,S150)、冷却水温Twmが第2温度閾値Tw2以上になったときには、電動ポンプ66の作動を許可して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。このとき、電動ポンプ66は、冷却水温Twmに基づく目標回転数Np*で回転されるよう制御されることになる。ここで、第2温度閾値Tw2は、電動ポンプ66の作動禁止と作動許可とが短時間で頻繁に繰り返されないようにするためのものであり、第1温度閾値Tw1より例えば数度や十数度高い温度として予め実験などにより定められた温度を用いることができる。
非常時発電モードのときには、走行用モードのときに比して、インバータ41,42の消費電力(発熱量)が小さいため、PCU49のケース48内の温度は低くなりやすく、結露が生じやすい。また、非常時発電モードのときに電動ポンプ66の作動により循環流路64を冷却水が循環すると、ラジエータ62での熱交換によって冷却水が冷却されるため、冷却水温Twmは低くなりやすく、場合によっては、PCU49内に結露を発生させる直接の要因となる場合がある。このため、実施例のハイブリッド自動車20では、非常時発電モードのときには、冷却水温Twmが低下したときに電動ポンプ66の作動を禁止することにより、冷却装置60の冷却水が冷却されるのを抑制し、冷却水により冷却されるPCU49内の空気が結露を生じるほどに冷却されるのを抑制することができる。このとき、電動ポンプ66の作動を禁止するから、電動ポンプ66の消費電力を抑制することもできる。また、電動ポンプ66の作動を禁止した後に、非常時発電用のインバータ41のスイッチング等に伴う発熱により冷却水温Twmが第2温度閾値Tw2以上まで上昇したときには、電動ポンプ66の作動を許可することにより、冷却水の過度な温度上昇を抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、車両の制御モードが走行を禁止してエンジン22を運転する非常時発電モードのときには、冷却装置60の冷却水温Twmに基づいて電動ポンプ66の作動を禁止することにより、車両の制御モードが走行を許容する走行用モードのときに比して、冷却装置60の電動ポンプ66の作動を制限する(作動頻度を少なくする)から、PCU49の温度低下が抑制され、PCU49のケース48内の結露を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、車両の制御モードとして、走行用モードと外部充電モードと非常時発電モードとが用意されているものとしたが、これらに加えて、走行を禁止してエンジン22を運転するモードとして、停車状態でエンジン22からの動力を用いてモータMG1により発電した電力によりバッテリ50を充電する充電モードが用意されているものとしてもよい。この充電モードのときにも、非常時発電モードと同様に、冷却水温Twmに基づいて電動ポンプ66の作動を許可したり禁止したりしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、非常時発電モードのときには冷却水温Twに基づいて電動ポンプ66の作動を禁止することによって、走行モードのときに比して電動ポンプ66の作動を制限する(作動頻度を少なくする)ものとしたが、これに代えて、非常時発電モードのときには走行用モードのときに比して電動ポンプ66の目標回転数Np*を小さくするなどによって、走行モードのときに比して電動ポンプ66の作動を制限するものとしてもよい。この場合、非常時発電モードのときには、走行用モードのときに比して、冷却水温Twmに拘わらず電動ポンプ66の目標回転数Np*を小さくしたり、冷却水温Twmが第1温度閾値Tw1未満になってから第2温度閾値Tw2以上になるまで電動ポンプ66の目標回転数Np*を小さくしたりするものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2からの動力を駆動軸36に出力するものとしたが、図3の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2からの動力を駆動軸36が接続された車軸(駆動輪38a,38bが接続された車軸)とは異なる車軸(図3における車輪39a,39bに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。また、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22からモータMG1の駆動を伴ってプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に動力を出力すると共にモータMG2から駆動軸36に動力を出力するものとしたが、図4の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22からの動力を用いてモータMG1により発電してバッテリ50を充電すると共にバッテリ50からの電力を用いてモータMG2から駆動輪38a,38bに接続された駆動軸に動力を出力するものとしてもよい。即ち、エンジンと、エンジンからの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の電動機と、を備えるハイブリッド自動車であれば如何なるものとしても構わない。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、PCU49が「インバータ装置」に相当し、冷却装置60が「冷却装置」に相当し、車両の制御モードが非常時発電モードのときには冷却装置60の冷却水温Twmが第1温度閾値Tw1以下となったときに電動ポンプ66の作動を禁止する図2の電動ポンプ作動許可禁止ルーチンを実行するHVECU70が「制御手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、37 デファレンシャルギヤ、38a,38b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、48 ケース、49 パワーコントロールユニット(PCU)、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、60 冷却装置、62 ラジエータ、64 循環流路、66 電動ポンプ、66a 回転数センサ、67 リザーブタンク、68 リレー、69 温度センサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 充電器、92 車両側コネクタ、100 充電ケーブル、102 充電コネクタ、104 外部電源、110 電源ケーブル、112 放電コネクタ、114 電気機器、MG1,MG2 モータ。
Claims (2)
- エンジンと、前記エンジンからの動力を用いて発電可能な発電機と、走行用の電動機と、前記発電機および前記電動機を駆動するインバータをケースに収納してなるインバータ装置と、前記インバータを介して前記発電機および前記電動機に接続されたバッテリと、前記インバータ装置の冷却用にラジエータを含む循環流路を冷却液が循環するよう前記冷却液を圧送する電動ポンプを有する冷却装置と、を備えるハイブリッド自動車であって、
車両の制御モードが走行を禁止して前記エンジンを運転するモードのときには、車両の制御モードが走行を許容するモードのときに比して前記電動ポンプの作動が制限されるよう該電動ポンプを制御する制御手段、
を備えるハイブリッド自動車。 - 請求項1記載のハイブリッド自動車であって、
前記冷却装置の冷却液の温度を検出する温度センサを備え、
前記制御手段は、車両の制御モードが走行を禁止して前記エンジンを運転するモードのときには、前記温度センサにより検出された冷却液の温度が第1の温度閾値未満となったときに前記電動ポンプの作動を禁止すると共に、前記電動ポンプの作動の禁止後に前記温度センサにより検出された冷却液の温度が前記第1の温度閾値より高い第2の温度閾値以上となったときに前記電動ポンプの作動を許可する手段である、
ハイブリッド自動車。
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