近年の遊技機では、画像表示装置を中心とする視覚的な演出の重要性が増してきており、視覚効果を高めるために画像表示装置の高性能化が進んでいる。しかしながら、これとともに、遊技機価格に占める画像表示装置に係るコストが大きくなり、遊技機価格の高騰の大きな要因となっている。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、低コストで優れた視覚効果を奏する画像表示装置、及び該画像表示装置を備える遊技機の提供を目的とする。
本発明は、液晶表示器と、該液晶表示器を制御する表示制御手段と、前記液晶表示器の表示画面の前方に配設されるパネルとを備え、前記パネルは、光透過性の第一配色部と、該第一配色部と透過色の異なる光透過性の第二配色部とを備え、前記表示制御手段は、液晶表示器の表示画面に、第一配色部及び第二配色部に跨って重なる形状をなす、単一色の特定画像を表示する制御内容を備えることを特徴とする画像表示装置である。
かかる構成にあっては、液晶表示器の表示画面(以下、液晶画面という。)に表示される画像は、液晶画面前方に配設されたパネルに備える第一配色部と第二配色部を介して遊技者等に視認されることとなる。このため、液晶画面に表示される特定画像は、第一配色部と重なる部分については、特定画像の色と第一配色部の透過色とが混色した色で視認され、第二配色部と重なる部分については、特定画像の色と第二配色部の透過色とが混色した色で視認される。このように、本発明によれば、液晶画面上の単一色の特定画像を、二色の異なる色で色分けして視認させることができるため、液晶画面に表示させる画像を遊技者等に直接視認させるのに比べて視覚効果を向上させることができる。また、本発明では、液晶画面の画像にパネルを重ね合わせることにより、液晶表示器のみでは表示困難な色調の画像を遊技者等に視認させることも可能となる。一方で、本発明の機器構成は、既存の液晶表示器の前方にパネルを配設するだけで足り、液晶画面に表示する画像制御も簡単で済むため、低廉に実現できるという利点がある。このため、本発明によれば、低コストで、液晶表示器の視覚効果を向上させることが可能となる。
本発明にあって、パネルは、液晶表示器の表示画面との間に、間隔をあけて配設されていてもよいし、表示画面と接していてもよい。また、本発明に係る第一配色部及び第二配色部の形成方法は、特に限定されないが、例えば、シルクスクリーン印刷によって、パネル上に光透過性の印刷層(インキ層)を形成したり、パネルにフィルム・シートを貼付したりすることが挙げられる。また、液晶画面に表示する特定画像の色や形状は特に限定されるものではないが、パネルを介して遊技者等が視認し易い明るい色で表示することが望ましい。また、本発明にあって、第一配色部と第二配色部の透過色の組合せは特に限定されるものではなく、下記に例示するように様々な組合せを採用することができる。
第一配色部 : 第二配色部
白系統 : 黒系統
赤系統 : 青系統
黄系統 : 緑系統
なお、特定画像は、第一配色部と第二配色部の少なくとも一方と混色させれば二色に色分けして視認させることができる。このため、本発明では、第一配色部と第二配色部の一方を無色透明とし、他方を有色透明とする組合せも採用可能である。この場合、無色透明部分については、液晶画面上の特定画像の色がそのまま視認されることとなり、特定画像は、液晶画面上に表示される色と、当該表示色とは異なる色の二色に色分けされて視認されることとなる。
本発明にあって、第一配色部は、第二配色部よりも光透過性が高い構成が提案される。
かかる構成にあっては、特定画像のうち、第一配色部と重なる部分が相対的に明るく視認され、第二配色部と重なる部分が相対的に暗く視認されることとなり、液晶画面上の特定画像を、二階調に色分けして視認させることができる。
また、本発明にあって、第一配色部は略無色透明であり、第二配色部は黒色透明である構成が提案される。ここで、「黒色透明」とは、グレースモークなどの、透過性を有する黒色系統の色を意味し、透過色が厳密な無彩色であるものに限定されない。
すなわち、かかる構成とした場合、第一配色部は、周囲のその他の配色部やパネルの縁によって形作られる無色透明な領域となる。したがって、かかる構成では、特定画像を表示した時に、第一配色部では液晶画面上の特定画像の色がそのまま視認され、第二配色部では液晶画面上の特定画像の色を暗くした色が視認されることとなるため、第一配色部と第二配色部によって特定画像に明暗差を付加して視認させることができる。また、かかる構成にあっては、液晶表示器のバックライトをOFFにした時に、第一配色部と第二配色部がともに黒く視認され、二つの配色部の色の差を識別し難くなるから、液晶表示器のバックライトをOFFにすることで、第一配色部と第二配色部で形成したデザインが消失したように視認させることができる。
また、第一配色部は略無色透明であり、第二配色部は黒色透明である構成にあって、前記パネルは、略無色透明の透明板材と、該透明板材の表面に光透過性の灰色インキによって形成された光透過性インキ層とを備えており、該光透過性インキ層が形成されず、前記透明板材の表面が露出する部分に第一配色部が形成され、前記光透過性インキ層の形成部分に第二配色部が形成されている構成が提案される。
すなわち、かかる構成では、第一配色部の色(略無色透明)を、透明板材そのものの色によって実現し、第二配色部の色(黒色透明)を、透明板材上に形成された光透過性インキ層の色によって実現する。このように、パネルの板材の色のみによって第一配色部の色を実現すれば、板材にインキ層を形成する手間やインキの使用量を抑えることが可能となる。なお、パネルに形成するインキ層は、透明板材の正面側と背面側のいずれの表面にも形成できるが、透明板材の背面側の表面に形成する方が望ましい。インキ層が透明板材によって正面側から覆われる形となって、インキ層が損耗し難くなるためである。
また、本発明にあって、前記光透過性インキ層は、第一配色部と第二配色部が隣接する境界部分で、他の部分よりも肉厚となっている構成が提案される。
かかる構成にあっては、第二配色部の透過色が第一配色部との境界部分で暗くなり、境界部分において第一配色部と第二配色部のコントラストが高くなることで、第一配色部と第二配色部の境界を強調することができる。このため、かかる構成とすれば、第一配色部と第二配色部の透過色が比較的近似している場合でも、遊技者等は、二つの配色部の境界部分を確実に特定し、第一配色部と第二配色部によって形成されるデザインを把握することが可能となる。
また、本発明にあって、前記パネルは、前記透明板材の表面に、光不透過性の着色インキによって形成された不透明インキ層を備え、該不透明インキ層の形成部分に光不透過性の第三配色部が設けられており、第二配色部と第三配色部の隣接する境界部分において、前記光透過性インキ層が、不透明インキ層の背面側に重なるように形成されている構成が提案される。
かかる構成にあっては、パネルを正面から見た時に、第二配色部と第三配色部を、境界部分において隙間なく隣接させることができる。液晶画面からの透過光を介して視認される第二配色部は、単調で淡い印象を与えるのに対し、不透明な第三配色部は、外部照明の反射光を介して視認されるため、第二配色部と第三配色部とは、質感の違いによって明瞭に区別できる。このため、第二配色部と第三配色部を隙間なく隣接させた場合には、両者の質感の違いにより、第二配色部の輪郭形状を強調し、第二配色部が形成する像を明瞭に視認させることが可能となる。また、不透明インキ層と光透過性インキ層は、境界部分で重なっているため、各インキ層の端縁を境界部分で厳密一致させる必要がなく、インキ層の形成が簡単であるという利点がある。また、光透過性インキ層と不透明インキ層が重なる部分では、光透過性インキ層が不透明インキ層の背面側(液晶画面側)に隠れて正面側からは見えないため、不透明インキ層と光透過性インキ層の重なりが美観を損ねることもない。
また、第一配色部は略無色透明であり、第二配色部は黒色透明である構成にあって、前記パネルは、液晶表示器の表示画面の前方に間隔をおいて配設されるとともに、第一配色部によって形成された文字又は図形からなる第一立体表示部と、第二配色部によって形成されて、第一立体表示部の周囲で第一立体表示部を縁取る第一縁取部と、不透明黒色の第三配色部によって形成されて、第一縁取部の周囲で第一縁取部を縁取る第二縁取部とを備えており、前記表示制御手段は、液晶表示器の表示画面に、前記第一立体表示部及び第一縁取部の全体に重なるように特定画像を表示する制御内容を備え、前記特定画像が液晶表示器の表示画面に表示されることにより、前記第一立体表示部が前記第一縁取部及び前記第二縁取部に対して沈み込むように視認される構成が提案される。
かかる構成にあっては、液晶画面に特定画像を表示した時に、第一縁取部が、周囲の第二縁取部に対して沈み込むとともに、第一立体表示部が、周囲の第一縁取部に対して沈み込んでいるような立体的な視覚効果を生じさせることができる。
また、第一配色部の光透過性を第二配色部より高くした構成にあって、前記パネルは、液晶表示器の表示画面の前方に間隔をおいて配設されるとともに、第一配色部によって形成された文字又は図形からなる第二立体表示部と、該第二立体表示部の周囲で第二配色部によって形成された無地の背景部とを備えており、前記表示制御手段は、液晶表示器の表示画面に、前記第二立体表示部と重なるとともに、該第二立体表示部の周囲で前記背景部とも重なり、輪郭が前記背景部と重なるように前記特定画像を表示する制御内容を備え、前記特定画像が液晶表示器の表示画面に表示されることにより、前記第二立体表示部が前記背景部から浮き出るように視認される構成が提案される。
かかる構成にあっては、第二立体表示部の輪郭(第二立体表示部と背景部の境界)がパネルに表れるのに対し、背後の特定画像の輪郭は液晶画面上に表れるため、両眼視差によって、パネルと液晶画面の間隔分だけ、第二立体表示部の輪郭が前方にあるように視認される。ここで、パネルの背景部は無地であって距離を把握するための手掛りとなる模様は存在しないため、特定画像と背景部の重なる部分は、特定画像の輪郭を手掛りとして液晶画面上にあるように視認される。これに対して、特定画像と第二立体表示部の重なる部分は、第二立体表示部の輪郭を手掛りとしてパネル上にあるように視認される。このため、かかる構成によれば、液晶画面に特定画像を表示した時に、第二立体表示部の文字及び/又は図形が、周囲の背景部に対して、パネルと液晶画面の間隔分だけ浮き出ているような立体的な視覚効果を得ることができる。特に、かかる立体的な視覚効果は、特定画像の輪郭を、第二立体表示部周りの背景部と重ねることによって生じさせているため、第二立体表示部と特定画像の相対位置が多少ずれて見えたとしても、特定画像の輪郭が背景部と重なって見える範囲であれば、第二立体表示部を立体的に視認させることができる。このため、かかる構成では、通常とは異なる方向から見た場合でも、立体的な視覚効果を得ることができ、また、立体的な視覚効果を得るために、パネルと液晶画面の位置合わせを厳密に行う必要がないため製造も簡単となる。また、かかる構成にあっては、特定画像のうち、第二立体表示部と重なる部分の方が、背景部と重なる部分よりも明るい色で視認されるため、第二立体表示部の文字又は図形が、周囲よりも明るく視認される。明るい色は、暗い色に比べて相対的に進出色となるから、かかる構成によれば、第二立体表示部と周囲の色の違いによっても、第二立体表示部が前方に浮き出ているような立体的な視覚効果を生じさせることが可能となる。
また、上記構成にあって、 前記パネルの第二立体表示部は略無色透明であり、前記背景部は黒色透明であって、前記表示制御手段は、液晶表示器の表示画面に、前記特定画像の周囲にパネルの背景部と重なる、黒色の背景画像とを表示する制御内容を備え、前記背景部と前記背景画像が重なる部分に対して、前記背景部と前記特定画像が重なる部分が浮き出るように視認される構成が提案される。
かかる構成によれば、背景部と背景画像が重なる部分に対して背景部と特定画像が重なる部分が浮き出るように視認され、立体表示部は、その浮き出て見える部分よりも、さらに浮き出ているように視認されるため、立体表示部が浮き出て見える視覚効果を一層強調することができる。
また、本発明にあって、前記表示制御手段は、液晶表示器の表示画面に、相互に色の異なる第一の特定画像と第二の特定画像とを隣接して表示するとともに、第一の特定画像と第二の特定画像の境界部分を、相互に隣接する第一配色部と第二配色部の一方と重ね、第一の特定画像と第二の特定画像の境界部分以外の部分を、相互に隣接する第一配色部と第二配色部の他方と重ねるように表示する制御内容を備える構成が提案される。
かかる構成にあっては、第一特定画像と第二特定画像が、第一配色部と第二配色部に重なることで、各特定画像が夫々二色に色分けされて視認されることとなるため、遊技者等に合計四色の色を視認させることができる。
また、本発明の別の態様は、上記画像表示装置と、遊技の進行を制御する遊技制御手段とを備え、該遊技制御手段は、遊技の進行に合わせて前記表示制御手段を制御するものであることを特徴とする遊技機である。そして、かかる構成にあっては、前記遊技制御手段は、遊技の進行に合わせて前記表示制御手段を制御して、液晶表示器の表示画面に、該表示画面の全域にわたる演出用画像を表示させるものであり、前記特定画像は、前記演出用画像に含まれるものである構成が提案される。かかる構成とすれば、特定画像の表示によって得られる立体的な視覚効果によって、遊技機の演出効果を向上させることができる。
以上に述べたように、本発明によれば、簡易な構成によって、液晶画面に表示される単一色の特定画像を複数色に分けて視認させることができるから、画像表示装置の視覚効果を低コストで向上させることが可能となる。
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
なお、下記実施例にあって、本発明に係る画像表示装置は、画像表示部8に相当する。また、本発明に係る表示制御手段は、液晶制御基板42に相当する。また、本発明に係る遊技制御手段は、メイン制御基板40及びサブ制御基板41に相当する。また、本発明に係る特定画像は、第一〜第六ベース画像33a〜33fに相当する。また、本発明に係る第一立体表示部は、パネル10の第一デザイン部22の文字部22aに相当し、第一デザイン部22の文字部22aを沈み込んで見せるための特定画像は第六ベース画像33fに相当する。また、本発明に係る第二立体表示部は、パネル10の第三デザイン部24に相当し、第三デザイン部24を浮き出て見せるための特定画像は第一ベース画像33aに相当する。また、本発明に係る第一の特定画像と第二の特定画像は、第二ベース画像33bと第三ベース画像33cに夫々相当する。
本実施例は、本発明をスロットマシンに適用したものである。図1,2に示すように、スロットマシン1の筐体2は前方に開放しており、前方から前扉3によって覆われている。図1に示すように、前扉3の中央部には、筐体2の内部に配設された三つのリール48を視認するための視認窓4が設けられる。そして、視認窓4の上方には、本発明に係る横長矩形状の画像表示部8が配設される。また、前扉3の前面側には、視認窓4の下方に、遊技操作に用いるベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、精算スイッチ47、演出ボタンユニット54などの各種スイッチが配設される。また、前扉3の背面側には、図2に示すように、スピーカ56やメダルセレクタ58などが配設される。筐体2には、図2に示すように、リール48の上方に、メイン制御基板40やサブ制御基板41がケースに収納された状態で設置され、また、リール48の下方には、電源ボックス43やホッパーユニット50が配設される。
画像表示部8は、演出用の画像を表示するものである。この画像表示部8は、図2〜4に示すように、前扉3に設けられた矩形状の開口部9に嵌めこまれた光透過性のパネル10と、パネル10の背面側に配設される液晶ユニット11とで構成される。
液晶ユニット11は、図2,3に示すように、液晶表示器13と、液晶表示器13を制御する液晶制御基板42とをケース14に収容してなるものである。液晶表示器13は、液晶パネルやドライバ回路、バックライト等を備えてなる汎用品である。液晶表示器13の表示画面(液晶画面)36は、ケース14の正面に形成された開口部15に露出している。一方のパネル10は、凹凸のない平板であり、液晶画面16と略同じ形状をなしている。
液晶ユニット11は、図2〜4に示すように、前扉3の開口部9を背面側から塞ぐようにして前扉3に固定される。この時、液晶ユニット11は、遊技者が見やすいように、液晶画面16を5°程度前傾した姿勢で取り付けられる。一方、前扉3の開口部9を正面側から塞ぐようにして前扉3に固定される。パネル10は、液晶画面16の前方に6mm程度(5mm〜10mm)間隔をおいて、液晶画面16と正対するように配置される。パネル10は、液晶画面16と略平行となるように、5°程度前傾した姿勢で取り付けられている。
図5は、パネル10の正面図である。パネル10は、厚さ3mm程度(2mm〜5mm)の無色透明な透明板材20の背面側に着色インキによるシルクスクリーン印刷を施すことで、無色透明の第一配色部21aと、グレースモーク(黒色透明)の第二配色部21bと、不透明黒色の第三配色部21cと、の三色の配色部に色分けしてなるものである。グレースモークの第二配色部21bは、背面側の液晶画面16に表示される画像の輪郭を十分に視認可能な程度の透明度を有している。
そして、パネル10には、これらの三つの配色部21a〜21cの組合せによって、文字や図形からなるデザイン部22〜24と背景部25とが形成される。デザイン部22〜24は、パネル中央に形成された“Show Time”の文字からなる第一デザイン部22と、第一デザイン部22の両側部上下に形成された二重円弧状の第二デザイン部23と、第一デザイン部22の中央上方に形成された“Exciting”の文字からなる第三デザイン部24とで構成される。
詳述すると、まず、パネル10の背景部25は、グレースモークの第二配色部21bによって形成される。なお、図中では、配色部21a〜21cの色分けを示すために模様を付しているが、背景部25は無地の領域として形成されている。
そして、第一デザイン部22は、第一配色部21aによって形成される“Show Time”という文字部22aと、第二配色部21bによって形成され、該文字部22aの周囲を縁取る第一縁取部22bと、第三配色部21cによって形成され、第一縁取部22bの周囲をさらに縁取る第二縁取部22cとで構成される。ここで、第一縁取部22bと第二縁取部22cの縁取幅は、文字部22aの線幅と略同寸法に形成される。
第二デザイン部23は、間隔をあけて平行に配置された内側アーチ部23aと外側アーチ部23bとからなる二重円弧状の図形であり、第一配色部21aによって形成される。第二デザイン部23の周囲には、第二配色部21bからなる背景部25が形成される。
第三デザイン部24を構成する“Exciting”の文字と星形図形とは、無色透明の第一配色部21aによって形成される。第三デザイン部24の周囲には、第二配色部21bからなる背景部25が形成される。
図6(b)は、図6(a)のA−A部分の断面形状を示すものである。なお、図6(b)では、パネル10の正面側を下向きにした状態を示している。図6(b)に示すように、パネル10の背面側(液晶画面側)には、第二配色部21bと第三配色部21cを形成するインキ層27,28が設けられている。具体的には、インキ層27,28は、光透過性の灰色インキからなる光透過性インキ層27と、光不透過性の灰色インキからなる不透明インキ層28とからなり、グレースモークの第二配色部21bは、光透過性インキ層27の形成部分に形成され、不透明黒色の第三配色部21cは、不透明インキ層28の形成部分に形成される。一方、第一配色部20aは、インキ層27,28の形成されていない、透明板材20の表面が露出する部分に形成される。すなわち、第一配色部21aの色は、無色透明の透明板材20の色のみによって実現される。このように、本実施例では、パネル10に形成した三色の配色部21a〜21cのうち一つの配色部21aを、パネル10を構成する透明板材20自体の色によって実現しているため、配色部21a〜21cを形成するインキの種類や量を抑えることができる。
ここで、図6(b)に示すように、第一配色部21aと第二配色部21bが隣接する部分では、二つの配色部21a,21bの境界部分において、光透過性インキ層27に、他の部分よりも肉厚となる肉厚部27aが形成されている。かかる肉厚部27aによれば、二つの配色部21a,21bの境界部分において、第二配色部21bの透過色が局所的に暗くなって、二つの配色部21a,21bの境界が強調されるため、本実施例では、無色透明の第一配色部21aと、グレースモークの第二配色部21bの透過色が比較的近似していても、遊技者は二つの配色部21a,21bの境界を確実に特定し、二つの配色部21a,21bによって形成されるデザイン部22〜24の形状を確実に把握することができる。
また、図6(b)に示すように、第二配色部21bと第三配色部21cが隣接する部分では、二つの配色部21b,21cの境界部分において、不透明インキ層28の上(背面側)に、光透過性インキ層27が所定幅で重なっている。かかる構成によれば、光透過性インキ層27と不透明インキ層28の端縁を厳密に一致させる必要がないため、第二配色部21bと第三配色部21cとを比較的簡単に形成することができる。一方で、光透過性インキ層27と不透明インキ層28が重なる部分では、光透過性インキ層27が不透明インキ層28の背面側に隠れて見えないため、パネル10の正面側(図6(b)中の下側)からは、第二配色部21bと第三配色部21cが境界部分で混じり合うことなく、隙間なく隣接しているように見える。
次に、スロットマシンの作動を制御する制御回路を、図7を参照して説明する。
メイン制御基板40は、CPU、RAM、ROM等を備え、遊技の進行に関する制御を行うものである。メイン制御基板40の入力ポートには、電源ボックス43、投入センサ46、ベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、精算スイッチ47、設定変更スイッチ57が接続される。また、メイン制御基板40の出力ポートには、リール48、ホッパーユニット50、外部端子板53、サブ制御基板41が接続される。
電源ボックス43は、スロットマシン1の各機器に電力を供給するためのものであり、電源のON/OFFを切り替えるための電源スイッチ44と、各役への当選確率を変更(いわゆる設定変更)するための設定キースイッチ45とを備えている。
投入センサ46は、スロットマシン1に投入されたメダルを検出するものである。投入センサ46は、前扉3の裏側に備えられたメダルセレクター58内のメダル通路に配設され、メダル通路を通過するメダルを1枚ずつ検知し、メダルを検知する毎に投入信号を出力する。
ベットスイッチ5a,5bは、クレジットされているメダルを投入するためのものである。ベットスイッチ5a,5bとしては、シングルベットスイッチ5a、とマックスベットスイッチ5bとが備えられている。シングルベットスイッチ5aは、クレジットされているメダルを1枚ずつ投入する。マックスベットスイッチ5bは、1ゲーム当たりの最大投入枚数のメダルを投入する。
スタートスイッチ6は、リールの回転を開始させるものである。本実施例では、レバー式スイッチが用いられており、レバーを傾動させることで、三つのリール48が回転を開始する。
三つのストップスイッチ7は、リール48の回転を停止させるものである。各ストップスイッチ7は、別々のリール48に対応付けられており、ストップスイッチ7を押すと対応したリール48が回転停止する。
精算スイッチ47は、クレジットされているメダル及び投入されたものの未だ遊技に用いられていないメダルを返却するためのものである。
設定変更スイッチ57は、電源ボックス43の設定キースイッチ45とともに設定変更を行うためのものであり、前扉3の背面側に設けられている。
各リール48は、円筒形状をなしており、外周面には「7」「BAR」「チェリー」「スイカ」「ベル」「リプレイ」などの図柄が合計21個配されている。各リール48はステッピングモータ49を備えており、各ステッピングモータ49によって三つのリール48を回転・停止させて、予め定められた図柄組合せを揃えることで入賞か否かが決定される。
ホッパーユニット50はメダルを払い出すためのものであり、メダルを貯留するタンクと、タンクのメダルを払出口に向けて送り出す送出機構を備えている。送出機構は、駆動源となるモータ51と、送出されるメダルを検出するための払出センサ52とを備えている。
外部端子板53は、遊技情報(投入・払出情報、遊技履歴情報、エラー情報など)を外部出力し、遊技場設備によってスロットマシン1の大当り履歴などの情報を閲覧可能とするものである。
サブ制御基板41は、CPU、RAM、ROM等を備え、遊技に関する演出の制御を行うものであり、サブ制御基板41のROMには、多岐に渡る演出パターンに関する固定データが記憶されている。サブ制御基板41の入力ポートには、メイン制御基板40と演出ボタンユニット54が接続される。メイン制御基板40からサブ制御基板41には、遊技の進行に関する情報が入力される。また、演出ボタンユニット54は、遊技者が演出内容を選択するためのものである。そして、サブ制御基板41は、メイン制御基板40から入力される情報と、演出ボタンユニット54からの信号に基づいて演出パターンを選択し、選択した演出パターンを実行させるために、演出用ランプ55やスピーカ56にコマンドを送信し、さらには、液晶表示器13に所要の画像を表示させるために液晶制御基板42にコマンドを送信する。
液晶制御基板42は、CPU、RAM、ROM等を備え、液晶表示器13の表示制御を行うものである。上述のように、液晶制御基板42は、液晶表示器13とともにケース14に収納されて液晶ユニット11を構成している。液晶制御基板42のROMには、液晶画面16に表示する演出用画像を生成するためのデータが多量に記憶される。液晶制御基板42は、サブ制御基板41からコマンドを受信すると、CPUにおいて演算処理し、演出用画像のデータをRAMに書きこんで液晶表示器13に出力し、サブ制御基板41が選択した演出パターン通りの演出用画像を液晶画面16に表示させる。
次に、本発明の要部に係る構成を詳細に説明する。
上述のように、本実施例のスロットマシン1では、メイン制御基板40からサブ制御基板41に遊技に関する情報が送信され、遊技の進行状況等に応じてサブ制御基板41が演出パターンを選択し、液晶制御基板42が、サブ制御基板41からのコマンドにしたがって、液晶画面16に演出用画像を表示させる。演出用画像は、液晶画面16の全域にわたって表示される。ここで、液晶画面16の前方にはパネル10が配設されているため、遊技者は、液晶画面16に表示される演出用画像をそのまま視認するのではなく、液晶画面16に表示される演出用画像と、パネル10のデザイン部22〜24が重なり合って形成される合成画像を画像表示部8の画像として視認することとなる。この画像表示部8の合成画像は、スロットマシン1の演出の中心的な役割を果たすものであり、この合成画像が演出用ランプの明滅やスピーカからの効果音と協調することで、遊技の進行状況に応じた演出が実現される。そして、本実施例では、液晶画面16に表示する演出用画像を遊技者にそのまま見せるのではなく、演出用画像と、前方のパネル10とを重ね合わせた合成画像を遊技者に視認させることで、液晶表示器13のみでは得られない視覚効果を実現している。
具体例を挙げて説明すると、本実施例のスロットマシン1では、遊技の進行に応じて、所要タイミングで液晶画面16に、図8(a)に示す第一演出用画像30が表示される。この第一演出用画像30は、遊技者に直接視認されることはなく、遊技者は、第一演出用画像30と、パネル10(図8(b)参照)とが重なり合って得られる合成画像31(図8(c)参照)を画像表示部8の画像として視認する。
第一演出用画像30は、図8(a)に示すように、黒色の背景画像32と、複数のベース画像33a〜33fとで構成される。各ベース画像33a〜33fは、無地の単一色で所定形状を形成してなるものである。第一演出用画像30の表示状態では、これらのベース画像33a〜33fが、パネル10のデザイン部22〜24の背面側に表示され、ベース画像33a〜33fとデザイン部22〜24が重なり合うことで、視覚効果の高い合成画像31を得ることができる。なお、図8以降で図中に表れるハッチングは、ベース画像33a〜33fの色分けを示すものである。
第一ベース画像33aは、図8(a)に示すように、第一演出用画像30の中央上部に表示される。第一ベース画像33aは、ピンク色一色で形成され、黒色の背景画像32によって囲まれている。この第一ベース画像33aは、パネル10の第三デザイン部24の背面側に表示され、図9に示すように、第三デザイン部24の全域と重なるとともに、第三デザイン部24の周囲で背景部25とも重なり、第一ベース画像33aの輪郭は第三デザイン部24の周囲の背景部25と重なっている。この時、第一ベース画像33aは、二色に色分けされて視認されることとなる。すなわち、図9(c)に示すように、第一ベース画像33aと無色透明の第三デザイン部24が重なる部分34aは、第一ベース画像33aのピンク色で視認され、また、第一ベース画像33aと、グレースモークの背景部25が重なる部分34bは、第一ベース画像33aのピンク色が背景部25の色と混色することで、暗いピンク色として視認されることとなる。また、第一ベース画像33aの周囲34cは、黒色の背景画像32が、グレースモークの背景部25と重なり合って混色することで、黒色として視認される。
このように、かかる第一演出用画像30では、第一ベース画像33aを、第一配色部21aで形成された第三デザイン部24と、第二配色部21bで形成された背景部25とに跨るように表示することで、単一色の第一ベース画像33aを、二階調に色分けして視認させることができる。
また、無色透明の第一配色部21aによって形成される第三デザイン部24は、グレースモークの第二配色部21bによって形成される背景部25よりも光透過性が高くなっている。このため、図9(c)に示す合成画像31のうち、第三デザイン部24と第一ベース画像33aが重なる部分34aは、背景部25と第一ベース画像33aが重なる部分34bよりも明るいピンク色で視認される。明るい色の画像は、暗い色の画像に対して相対的に前方に配置されているように見える視覚効果が生じるため、このように、第三デザイン部24を周囲よりも明るく視認させることで、“Exciting”の文字からなる第三デザイン部24が、前方に浮き出ているような立体的な視覚効果が得られる。
さらに、図9(c)に示す合成画像31では、背景部25と第一ベース画像33aの重なる部分34bが暗いピンク色で視認されるのに対し、その周囲34cでは、背景部25と黒色の背景画像32が重なることで黒く視認される。このため、第一演出用画像30が表示された状態では、両部分の明るさの違いによって、背景部25と第一ベース画像33aの重なる部分34bが、背景部25と背景画像32が重なる部分34cに対して手前側にあるように視認される。したがって、合成画像31においては、背景部25と第一ベース画像33aの重なる部分34bが周辺部分34cよりも手前側に視認され、第三デザイン部24は、その背景部25と第一ベース画像33aの重なる部分34bよりもさらに手前側に視認されることとなり、これにより、第三デザイン部24の立体的な視覚効果が一層際立ったものとなっている。また、本実施例では、パネル10の第三デザイン部24を無色透明、背景部25をグレースモーク(黒色透明)とし、さらに、液晶画面16の背景画像32を黒色で表示するという組合せを採用することで、第三デザイン部24が、より浮き出て視認される。
また、本実施例では、パネル10が液晶画面16の前方に間隔をおいて配設されているため、第三デザイン部24が、一層前方に浮き出ているような立体的な視覚効果が得られる。すなわち、図10に示すように、第三デザイン部24の輪郭が前方のパネル10に形成されるのに対し、第一ベース画像33aの輪郭は、後方の液晶画面16に形成されているため、正面側から目視した時に、第三デザイン部24の輪郭が、第一ベース画像33aの輪郭の手前側に位置するように視認される。パネル10の背景部25や、液晶画面16の第一ベース画像33aは無地であるため、輪郭で囲まれた部分は距離を把握する手掛りとはならない。このため、図9(c)に示す合成画像31のうち、背景部25と第一ベース画像33aが重なる部分34bは、第一ベース画像33aの輪郭によって、後方の液晶画面16に形成されているように視認され、第三デザイン部24と第一ベース画像33aが重なる部分34aは、第三デザイン部24の輪郭によって、前方のパネル10上に位置するように視認されることとなり、これにより、第三デザイン部24が周囲の背景部25に対して、液晶画面16とパネル10の間隔分だけ前方に浮き出ているように見えるのである。
特に、本実施例では、第一ベース画像33aは、その輪郭が第三デザイン部24の輪郭を外側から縁取るように表示されており、第一ベース画像33aと第三デザイン部24の輪郭が相互に近接しているため、遊技者は、第一ベース画像33aの輪郭と第三デザイン部24の輪郭までの距離の差を把握し易く、立体的な視覚効果が得られ易いという利点がある。
このように、第一演出用画像30の表示時では、液晶画面16上のピンク色の第一ベース画像33aを二階調に色分けして視認させることができるため、液晶画面16の第一ベース画像33aをそのまま視認させるのに比べて視覚効果を向上させることができる。特に、かかる第三デザイン部24と第一ベース画像33aの組合せでは、第三デザイン部24の“Exciting”という文字が浮き出るような立体的な視覚効果を生じさせることができる。ここで、かかる立体的な視覚効果は、第一ベース画像33aの輪郭を、第三デザイン部24の周りの背景部25と重ねることによって生じさせているため、遊技者が、画像表示部8を斜めから覗いて、第一ベース画像33aと第三デザイン部24の重なる位置がずれた場合でも、第一ベース画像33aの輪郭が、背景部25と重なって見える限りは、第三デザイン部24を立体的に視認させることができるという利点がある。
第二ベース画像33bと第三ベース画像33cは、図8(a)に示すように、内外に隣接しながら並行するアーチ形状をなしており、パネル10の第二デザイン部23と重なるように四か所に表示される。第二ベース画像33bはオレンジ色一色で表示され、第三ベース画像33cは黄色一色で表示される。図11に示すように、第二ベース画像33bと第三ベース画像33cのアーチ形状は、第二デザイン部23のアーチ部23a,23bよりも幅広であり、第二ベース画像33bは、内側アーチ部23aを背面側から覆うように重なるとともに、内側アーチ部23aの両側に延出して、内側アーチ部23aの両側で背景部25と重なり、その輪郭は背景部25と重なっている。第三ベース画像33cは外側アーチ部23bを背面側から覆うとともに、外側アーチ部23bの両側で背景部25とも重なり、その輪郭は背景部25と重なっている。
このように、第二ベース画像33bは、第一配色部21aによって形成された内側アーチ部23aと、第二配色部21bによって形成された背景部25とに重なっている。このため、オレンジ一色の第二ベース画像33bは、無色透明の内側アーチ部23aと重なる部分では、そのままのオレンジ色で視認され、グレースモークの背景部25と重なる部分では、比較的暗いオレンジ色で視認される。したがって、かかる第二ベース画像33bについても、液晶画面16の画像をそのまま視認させるのに比べて、パネル10と重なることで視覚効果を向上させることができる。
また、黄色一色の第三ベース画像33cに関しても、第二ベース画像33bと同様に、外側アーチ部23bと重なる部分は液晶画面16に表示された黄色で視認されることとなり、背景部25と重なる部分では、液晶画面16に表示された色よりも暗い黄色として視認されることとなる。したがって、かかる第三ベース画像33cについても、液晶画面16の画像をそのまま視認させるのに比べて、パネル10と重なることで視覚効果を向上させることができる。
特に、第二ベース画像33bと第三ベース画像33cに関しては、内外に隣接して表示されて、相互に隣接する境界部分を第二配色部21b(背景部25)と重ねるとともに、相互に隣接する境界部分以外の部分で、第一配色部21a(第二デザイン部23)と重ねているため、二色の第二ベース画像33bと第三ベース画像33cを、合成画像31上では、四色のアーチ形状として視認させることが可能となっている。
また、第二ベース画像33bと第三ベース画像33cに関しては、これらのベース画像33b,33cが、内側アーチ部23aと外側アーチ部23bと重なることによって、内側アーチ部23aと外側アーチ部23bが前方に浮き出ているような立体的な視覚効果が得られる。アーチ部23a,23bが浮き出て見える原理は、第三デザイン部24が浮き出て見える原理と同じである。すなわち、パネル10に形成されるアーチ部23a,23bの輪郭と、液晶画面16上に形成されるベース画像33b,33cの輪郭までの距離の差によって、パネル10上のアーチ部23a,23bが、背景部25とベース画像33b,33cが重なる部分に対して、液晶画面16とパネル10の間隔分だけ前方に浮き出ているように見えるのである。
第四ベース画像33dと第五ベース画像33eは、図8(a)に示すように、第二デザイン部23の、第一デザイン部22の直下に当たる部分と重なるように表示される。第二ベース画像33bのアーチ形状と連続するように表示される。第四ベース画像33dは、第二ベース画像33bのアーチ形状と連続するように表示され、第二ベース画像33bよりも暗いオレンジ色で表示される。一方、第五ベース画像33eは、第三ベース画像33cのアーチ形状と連続するように表示され、第三ベース画像33cよりも暗い黄色で表示される。かかる第四ベース画像33dと第五ベース画像33eは、図8(c)に示すように、第一演出用画像30とパネル10が重なった合成画像31において、第一デザイン部22の直下で、第二ベース画像33bや第三ベース画像33cよりも暗く視認されて、第一デザイン部22の影のように見せることで、第一デザイン部22が第二デザイン部23に対して浮き出ているように見せる視覚効果を生じさせる。
第六ベース画像33fは、図8(a)に示すように、第一演出用画像30の中央に表示される、オレンジ一色の画像である。第六ベース画像33fは、第一デザイン部22の背面側に表示され、第一デザイン部22を構成する文字部22a、第一縁取部22b、及び第二縁取部22cの全てと前後に重なっている。そして、オレンジ色の第六ベース画像33fは、図12に示すように、第一デザイン部22と重なることで、合成画像31において三色に色分けして表示される。すなわち、第六ベース画像33fと無色透明の文字部22aが重なる部分では、第六ベース画像33fのオレンジ色がそのまま視認され、また、第六ベース画像33fと、グレースモークの第一縁取部22bの重なる部分では、第六ベース画像33fのオレンジ色が第一縁取部22bの色と混色することで、暗いオレンジ色として視認される。そして、第六ベース画像33fと不透明黒色の第二縁取部22cの重なる部分では、第六ベース画像33fのオレンジ色は第二縁取部22cによって遮られて黒く視認される。したがって、かかる第六ベース画像33fについても、液晶画面16の画像をそのまま視認させるのに比べて、パネル10と重なることで視覚効果を向上させることができる。
また、第六ベース画像33fに関しては、前方のパネル10に形成された透明な文字部22aと、グレースモークの第一縁取部22bと、黒色不透明の第二縁取部22cと重なることで、図12(c)に示すように、合成画像31では、文字部22aと重なる部分が最も明るい色(オレンジ色)で視認され、第一縁取部22bと重なる部分が二番目に明るい色(暗いオレンジ色)で視認され、そして、第二縁取部22cと重なる部分が最も暗い色(黒色)で視認される。そして、かかる合成画像31によれば、二番目に明るい第一縁取部22bが、最も暗い第二縁取部22cよりも奥側に視認され、最も明るい文字部22aは、第一縁取部22bよりもさらに奥側に視認されることとなり、遊技者に、文字部22aが沈み込んでいるような視覚効果を与えることができる。
以上のように、本実施例にあって、液晶画面16に演出用の第一演出用画像30が表示されると、第一演出用画像30に含まれるベース画像33a〜33fが、パネル10の配色部21a〜21cと重なり合うことで、所定形状のベース画像33a〜33fが、複数色に色分けされて視認されることとなるため、第一演出用画像30とパネル10によって合成される合成画像31は、第一演出用画像30そのものよりも視覚効果の高いものとなる。特に、本実施例では、第一演出用画像30に含まれる幾つかのベース画像33a〜33fが、パネル10のデザイン部22〜24と重なり合うことで、合成画像31において立体的な視覚効果を生じさせることができるという利点がある。そして、こうした第一演出用画像30は、遊技の進行に合わせて所定タイミングで表示されて、遊技演出に用いられるものであるから、本実施例では、かかる第一演出用画像30の表示によって、視覚効果の高い、遊技演出を実現できるという利点がある。また、こうした視覚効果は、高価な機器や複雑な制御処理を必要としないため、視覚効果を向上させるために、高性能な液晶表示器を採用したり、複雑な画像制御処理を行うのに比べて、効率的に視覚効果を向上させることができるという利点がある。なお、以上で説明した第一演出用画像30は、液晶画面16に表示される演出用画像の一つに過ぎず、液晶画面16には、第一演出用画像30以外の演出用画像も適宜表示される。
また、本実施例にあって、液晶表示器13のバックライトをOFFにすると、パネル10を背面側から透過する光がなくなることで、無色透明の第一配色部21aと、グレースモークの第二配色部21bが、いずれも黒く視認され、二つの配色部21a,21bを判別し難くなる。このため、液晶表示器13のバックライトがOFFになった状態では、第一配色部21aで形成される第二デザイン部23や第三デザイン部24は、第二配色部21bで形成される背景部25に埋没して、デザインが消失したように視認される。さらに、液晶表示器13のバックライトをOFFにした状態では、第一配色部21a及び第二配色部21bは、不透明黒色の第三配色部21cとも判別し難くなるため、第一配色部21a、第二配色部21b、及び第三配色部21cで形成される第一デザイン部22も、バックライトをOFFにした状態では黒一色で視認されて周囲の背景部25に埋没し、デザインが消失したように視認される。このように、本実施例では、液晶表示器13のバックライトをOFFにすることで、三つのデザイン部22〜24が消失したように視認させ、パネル10全面を黒色の領域として視認させることができる。
なお、本発明の遊技機は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
例えば、上記実施例は、本発明をスロットマシンに適用した例について説明しているが、本発明は、パチンコ機など、画像表示装置が搭載された遊技機全般に適用可能である。また、本発明の画像表示装置は、遊技機用に限らず、遊技機以外の画像表示装置にも適用可能である。また、本発明に係るパネルのデザインは、実施例のデザインに限らず、適宜変更可能である。なお、実施例のパネルは、無色透明の透明板材に印刷を施したものであるが、本発明に係るパネルには、板材には着色透明の板材も採用可能である。また、パネルの板材に施す印刷は、板材の背面側に限られず、板材の表面側に印刷したり、両面に印刷したりすることができる。また、印刷に替えて着色フィルムを板材に貼付するようにしてもよい。
また、上記実施例では、液晶画面に表示される第一演出用画像に、本発明に係る特定画像が含まれているが、かかる第一演出用画像は液晶画面の一表示例に過ぎず、液晶画面には、特定画像を含むその他の演出用画像を適宜表示することができる。また、本発明にあって、特定画像は液晶画面に常時表示される必要はなく、液晶画面には、特定画像を含まない演出用画像を一時的に表示することもできる。また、本発明に係る特定画像は、当然ながら、上記第一演出用画像での色で表示されるものに限定されず、パネルを介して視認した時に、パネルの透過色の違いによって色分けして見えるような色で表示されていればよい。
また、上記実施例では、パネルを液晶画面の前方に間隔をおいて配設しているが、本発明は、かかる構成に限られず、パネルを液晶画面と接するように配設することも可能である。