JP2013151750A - アルミニウム合金導体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Cuを0.1〜1mass%と、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を総量で0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金導体とその製造方法。
【選択図】なし
Description
アルミニウムの比重は銅の約1/3、アルミニウムの導電率は銅の約2/3(純銅を100%IACSの基準とした場合、純アルミニウムは約66%IACS)であり、純アルミニウムの導体線材に純銅の導体線材と同じ電流を流すためには、純アルミニウムの導体線材の断面積を純銅の導体線材の約1.5倍にする必要があるが、それでも質量では銅に比べて約半分となるので、有利な点がある。
なお、上記の%IACSとは、万国標準軟銅(International Annealed Copper Standard)の抵抗率1.7241×10−8Ωmを100%IACSとした場合の導電率を表したものである。
一般に強度の高い材料ほど疲労特性は良好と言われている。そこで、強度の高いアルミニウム線材を適用すればよいが、ワイヤハーネスはその設置時の取り回し(車体への取り付け作業)がしやすいことが要求されているために、一般的には伸びが10%以上確保できる鈍し材(焼鈍材)が使われていることが多い。
特許文献1に記載されている電線導体は、引張強度が高すぎであり、車体への取り付け作業がしにくくなることがある。
特許文献2に具体的に記載されているアルミ導電線では、仕上げ焼鈍を行なっていない。またCuが含まれていないため、伸びが低く、車体での取り付け作業にはさらに柔軟性が高いものが要望される。
特許文献3には軽量、柔軟かつ屈曲性に優れたアルミニウム導電線が開示されているが、移動体の電気配線体への特性改善の要求は強まるばかりであり、さらなる特性の向上が望まれている。
(1)Cuを0.1〜1mass%と、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を総量で0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金導体。
(2)Cuを0.1〜1mass%と、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を総量で0.01〜0.5mass%とを含有し、Fe0.01mass%〜1.0mass%と、Mg0.1〜0.35mass%とを含有し、さらにZrを0.001〜0.1mass%を含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金導体。
(3)(1)項に記載のアルミニウム合金導体に、さらにZrを0.001〜0.1mass%を含むアルミニウム合金導体。
(4)Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の含有量の総量(W1)と、Zrの含有量(W2)の質量比が、0.6〜2.6であることを特徴とする(2)または(3)項に記載のアルミニウム合金導体。
(5)前記導体が移動体内で、バッテリーケーブル、ハーネス、またはモータ用線材として用いられることを特徴とする(15)〜(18)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(6)前記導体が車両、電車、または航空機に用いられることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(7)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金組成を与えるアルミニウム合金成分を溶解後、連続鋳造圧延を施して粗棒材とし、冷間線引き加工して荒引き線材とし、熱処理を施し、伸線加工を行って線材とし、さらに焼鈍熱処理を行う工程を有してなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体を製造する方法であって、前記連続鋳造圧延を、鋳造冷却速度が1〜20℃/秒の条件で行い、前記冷間線引き加工を、加工前の線材断面積をA0、加工後の線材断面積をA1として、η=ln(A0/A1)で表される加工度が1以上6以下の条件で行い、前記熱処理を、温度300〜450℃で10分〜6時間の条件で行い、前記伸線加工を、加工度が1以上6以下で伸線速度が500〜2000m/分の条件で行い、前記焼鈍熱処理を、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理であって、下記<1>または<2>のいずれかを施すことによって行うことを特徴とするアルミニウム合金導体の製造方法:
<1>線材温度y(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
の関係を満たす連続通電熱処理;または
<2>焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理。
さらに、本発明のアルミニウム合金導体は、高温(例えば120℃)に曝されても屈曲疲労特性が低下しない優れたものであり、耐食性に優れるものである。
本発明は、Cuを0.1〜1mass%と、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を総量で0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金導体である。ここで、このアルミニウム合金導体の合金組成における不可避不純物としては、JISH2110(電気用アルミニウム合金地金)に開示されており、Fe0.25mass%以下、Si0.1mass%以下、Cu0.005mass%以下、Mn0.005mass%以下、Ti+V0.005mass%以下が挙げられる。
また、実際に工業的に製造される地金中の不可避的不純物は、一般に、Fe0.05〜0.15mass%、Si0.04〜0.1mass%の範囲にある。なお、FeやSiの含有量が0.01mass%を下回るものは、一般に高純度アルミニウムとして取り扱われるが、高純度アルミニウムそのものは、FeやSiの含有量が低いため、この好ましい範囲には含まれない。
また、このアルミニウム合金導体の合金組成は、Mg0.1〜0.35mass%を含有していてもよい。また、Feは、前記不可避不純物の含有量を超えて、1.0mass%以下の量で含有してもよい。
Cuを0.1〜1mass%としたのは、0.1mass%未満では、固溶量が少ないため耐屈曲疲労特性が良くないためであり、1mass%以上になると、以下に示す特定の製造方法においても、CuとAlの第二相粒子の形成を阻止することができず、その粒子が介在した腐食性が顕著となって耐食性が劣ると共に、その粒子により耐屈曲疲労特性の低下を招くことがあるためである。
ところで、Sn、CdおよびInは、アルミニウム合金中の空孔を捕獲する作用を有しており、すなわち空孔を伴って進行する拡散作用を抑制する、あるいは遅延する働きがあり、それによりAlとCuを成分とする第二相粒子の生成を抑制する。その結果、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の添加により、耐屈曲疲労特性をより向上させることができる。
Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の含有量を、総量で0.01〜0.5mass%とするのは、0.01mass%未満では、第二相粒子生成の抑止効果が無く、0.5mass%を超えると生成を抑止する効果が飽和するとともに伸びが低下し、また、この総量が多すぎると、伸線加工時に割れを生じやすくなり工業的な製造が成り立たないためである。
本発明のアルミニウム合金導体の引張強度は120MPa以上である。これは、引張強度が120MPa未満では取り扱いを含めて強度不足であり、工業用導体として使用することが難しいためである。引張強度は好ましくは120〜160MPaであり、さらに好ましくは120〜150MPaである。
本発明のアルミニウム合金導体の導電率は52%IACS以上である。本来、導電率が57%IACS未満では、動力線に用いる場合では数十A(アンペア)の高電流が流れるため、電流ロスが激しくなる懸念があるため、好ましくは57〜62%IACS導電率である。しかし、例えば移動体内のバッテリーケーブルやワイヤハーネス等の通信線への適用に際しては、この57%IACS以上の範囲に限るものではなく、前記52%IACS以上であればよい。
本発明のアルミニウム合金導体は、優れた耐屈曲疲労特性を有する。耐屈曲疲労特性の基準として、ひずみ振幅±0.17%で試験を行う。耐屈曲疲労特性はひずみ振幅によって変化する。ひずみ振幅が大きい場合疲労寿命は短くなり、ひずみ振幅が小さい場合疲労寿命は長くなる。ひずみ振幅は図1記載の線材(アルミニウム合金導体)1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径により決定することができるため、線材1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径は任意に設定して屈曲疲労試験を実施することが可能である。
次に、1日あたりの開閉回数を10回とし20年間の使用を想定した場合、開閉回数は73000回となる(1年365日として計算)。実際に使用される電線は単線ではなく、撚り線構造となり、さらに被覆処理がされているために電線導体への負担は数分の一となる。単線での評価値として十分な耐屈曲疲労特性が確保できる80000回以上の繰返破断回数が望ましいとし、表1に記載した。より好ましくは100000回以上であり、さらに好ましくは150000回以上である。また、自動車用途では、過酷な使用環境下、電線は高温に曝されることがある。一般に、10年の使用を想定した場合、120℃の高温にて120時間曝す加速試験が適用される。よって、120℃、120時間の放置後にも、80000回以上の繰返し破断回数であることが好ましく、90000回以上の繰返し破断回数であることがより好ましい。
次に、本発明のアルミニウム合金導体の製造方法について説明する。
本発明のアルミニウム合金導体は、[1]溶解、[2]鋳造、[3]熱間または冷間加工(溝ロール加工など)、[4]伸線加工、[5]熱処理(中間焼鈍)、[6]伸線加工、[7]熱処理(仕上げ焼鈍)の各工程を経て、所定の製造条件で製造することができる。
仕上げ焼鈍としてのバッチ式熱処理の条件は、以下の通りである。
バッチ式焼鈍炉による仕上げ焼鈍の条件は、温度は300〜450℃である。300℃未満であると、未再結晶粒が残存して、柔軟性が十分に確保できないためである。また、450℃を超えると粗大な再結晶粒が形成され、引張強度、伸びが著しく低下するためである。時間は10分〜6時間である。10分未満であると、未再結晶粒が残存して、柔軟性が十分に確保できないためである。また、6時間を超えると熱処理温度によっては粗大な再結晶粒が形成され、引張強度、伸びが著しく低下するためである。生産性の点からも6時間を越えると良くない。仕上げ焼鈍の条件は、好ましくは300〜450℃、30分〜4時間である。
仕上げ焼鈍の内、連続熱処理は、連続通電熱処理、連続走間熱処理の2つの方法のいずれかで行うことができる。
連続通電熱処理においては線材温度をy(℃)、焼鈍時間をx(秒)とすると、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
を満たすように行う。
なお、線材温度y(℃)は、線材として温度が最も高くなる、冷却工程に通過する直前の温度を表す。y(℃)は通常414〜616(℃)の範囲内である。
連続走間熱処理においては焼鈍炉温度をz(℃)、焼鈍時間をx(秒)とすると、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
を満たすように行う。
なお、焼鈍炉温度z(℃)は、線材として温度が最も高くなる、冷却工程に通過する直前の温度を表す。z(℃)は通常300〜596(℃)の範囲内である。
また、連続熱処理による仕上げ焼鈍は上記2つの方法の他に、磁場中を線材が連続的に通過して焼鈍させる誘導加熱でもよい。
後記の表1に示すように、各成分を所定量比(質量%)で用いて、合金とした。ここで、Alについては、JIS−H4040 合金番号1070であって、不可避不純物の含有量が表1の値を超えないものとした。
この合金を、プロペルチ式の連続鋳造圧延機を用いて、溶湯を水冷した鋳型で連続的に鋳造しながら圧延を行ない、約10mmφの粗棒材とした。このときの鋳造冷却速度は1〜20℃/秒であった。
次いで、表面の皮むきを実施して、9〜9.5mmφとし、これを伸線加工して、2.6mmφの荒引き線材とした。次に表1に示すように、この冷間伸線した加工材に温度300〜450℃で0.5〜4時間の中間焼鈍を施した。
この実施例では、線材の伸線速度を1500m/分とし、加工度ηを2.1とし、最終線径は0.31mmとした。また、仕上げ焼鈍としての熱処理は、表1に示したように、連続通電熱処理またはバッチ式熱処理により、表1に記載の条件で行った。
このようにして、アルミニウム合金導体を作成した。
作製した各々の実施例及び比較例のアルミニウム合金導体について、以下のように各特性を測定した。
JIS Z 2241に準じて各3本ずつ試験し、その平均値を求めた。柔軟性については引張破断伸びを用いて評価し、引張破断伸びが10%以上を合格とした。
(c)導電率(EC)
長さ300mmの試験片を20℃(±0.5℃)に保持した恒温漕中で、四端子法を用いて比抵抗を各3本ずつ測定し、その平均導電率を算出した。端子間距離は200mmとした。
(d)繰返破断回数
藤井精機株式会社(現 株式会社フジイ)製の両振屈曲疲労試験機を用い、線材(アルミニウム合金導体)に±0.17%の曲げ歪みが与えられる治具を使用して、繰り返し曲げを実施することにより、繰返破断回数を測定した。繰返破断回数は各4本ずつ測定し、その平均値を求めた。図1の説明図に示すように、線材1を、曲げ治具2及び3の間を1mm空けて挿入し、冶具2及び3に沿わせるような形で繰り返し運動をさせた。線材の一端は繰り返し曲げが実施できるよう押さえ冶具5に固定し、もう一端には約10gの重り4をぶら下げた。試験中は押さえ冶具5が動くため、それに固定されている線材1も動き、繰り返し曲げが実施できる。繰り返しは1.5Hz(1秒間に往復1.5回)の条件で行い、線材の試験片1が破断すると、重り4が落下し、カウントを停止する仕組みになっている。
また、繰り返し破断回数については、120℃に120時間放置した後の特性についても、計測した。
以上の結果を表1に示す。
これに対し、Cu添加の少なすぎたNo.213、214のアルミニウム合金導体は、繰り返し破断回数が9万回を大きく下回り、さらに120℃放置後に低下が顕著であった。また、Cu過剰のNo.215、216のアルミニウム合金導体は、120℃放置後の繰り返し破断回数低下が顕著であるとともに、塩水噴霧試験における劣化が悪かった。また、比較例No.217、218のアルミニウム合金導体は製造条件が本発明の規定範囲外となる例であるが、どちらも引張破断伸びが不足し、比較例No.218のアルミニウム合金導体では引張強度及び繰返破断回数も不足する。
2、3 曲げ治具
4 重り
5 押さえ冶具
(1)Cuを0.1〜1mass%と、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を総量で0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなり、引張破断伸びが10%以上であるアルミニウム合金導体。
(2)Cuを0.1〜1mass%と、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を総量で0.01〜0.5mass%とを含有し、Fe0.01mass%〜1.0mass%と、Mg0.1〜0.35mass%とを含有し、さらにZrを0.001〜0.1mass%を含有し、残部Alと不可避不純物からなり、引張破断伸びが10%以上であるアルミニウム合金導体。
(3)(1)項に記載のアルミニウム合金導体に、さらにZrを0.001〜0.1mass%を含むアルミニウム合金導体。
(4)Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の含有量の総量(W1)と、Zrの含有量(W2)の質量比が、0.6〜2.6であることを特徴とする(2)または(3)項に記載のアルミニウム合金導体。
(5)前記導体が移動体内で、バッテリーケーブル、ハーネス、またはモータ用線材として用いられることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(6)前記導体が車両、電車、または航空機に用いられることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(7)(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金組成を与えるアルミニウム合金成分を溶解後、連続鋳造圧延を施して粗棒材とし、冷間線引き加工して荒引き線材とし、熱処理を施し、伸線加工を行って線材とし、さらに焼鈍熱処理を行う工程を有してなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体を製造する方法であって、前記連続鋳造圧延を、鋳造冷却速度が1〜20℃/秒の条件で行い、前記冷間線引き加工を、加工前の線材断面積をA0、加工後の線材断面積をA1として、η=ln(A0/A1)で表される加工度が1以上6以下の条件で行い、前記熱処理を、温度300〜450℃で10分〜6時間の条件で行い、前記伸線加工を、加工度が1以上6以下で伸線速度が500〜2000m/分の条件で行い、前記焼鈍熱処理を、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理であって、下記<1>または<2>のいずれかを施すことによって行うことを特徴とするアルミニウム合金導体の製造方法:
<1>線材温度y(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
の関係を満たす連続通電熱処理;または
<2>焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理。
さらに、本発明のアルミニウム合金導体は、高温(例えば120℃)に曝されても屈曲疲労特性が低下しない優れたものであり、耐食性に優れるものである。
これに対し、Cu添加の少なすぎたNo.213、214のアルミニウム合金導体は、繰り返し破断回数が9万回を大きく下回り、さらに120℃放置後に低下が顕著であった。また、Cu過剰のNo.215、216のアルミニウム合金導体は、120℃放置後の繰り返し破断回数低下が顕著であるとともに、塩水噴霧試験における劣化が悪かった。また、比較例No.217、218のアルミニウム合金導体は、どちらも引張破断伸びが本発明の目標とする合格基準に達しなかった。さらに比較例No.218のアルミニウム合金導体では引張強度及び繰返破断回数も不足する。これらの比較例No.217、218は、製造条件も本発明の規定範囲外である。
Claims (7)
- Cuを0.1〜1mass%と、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を総量で0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金導体。
- Cuを0.1〜1mass%と、Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を総量で0.01〜0.5mass%とを含有し、Fe0.01mass%〜1.0mass%と、Mg0.1〜0.35mass%とを含有し、さらにZrを0.001〜0.1mass%を含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金導体。
- 請求項1に記載のアルミニウム合金導体に、さらにZrを0.001〜0.1mass%を含むアルミニウム合金導体。
- Sn、CdおよびInからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素の含有量の総量(W1)と、Zrの含有量(W2)の質量比が、0.6〜2.6であることを特徴とする請求項2または3に記載のアルミニウム合金導体。
- 前記導体が移動体内で、バッテリーケーブル、ハーネス、またはモータ用線材として用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
- 前記導体が車両、電車、または航空機に用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金組成を与えるアルミニウム合金成分を溶解後、連続鋳造圧延を施して粗棒材とし、冷間線引き加工して荒引き線材とし、熱処理を施し、伸線加工を行って線材とし、さらに焼鈍熱処理を行う工程を有してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体を製造する方法であって、前記連続鋳造圧延を、鋳造冷却速度が1〜20℃/秒の条件で行い、前記冷間線引き加工を、加工前の線材断面積をA0、加工後の線材断面積をA1として、η=ln(A0/A1)で表される加工度が1以上6以下の条件で行い、前記熱処理を、温度300〜450℃で10分〜6時間の条件で行い、前記伸線加工を、加工度が1以上6以下で伸線速度が500〜2000m/分の条件で行い、前記焼鈍熱処理を、急熱、急冷の工程を含む連続熱処理であって、下記<1>または<2>のいずれかを施すことによって行うことを特徴とするアルミニウム合金導体の製造方法:
<1>線材温度y(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
0.03≦x≦0.55、かつ
26x−0.6+377≦y≦23.5x−0.6+423
の関係を満たす連続通電熱処理;または
<2>焼鈍炉温度z(℃)と焼鈍時間x(秒)が、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
の関係を満たす連続走間熱処理。
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