JP6440476B2 - アルミニウム合金線材、アルミニウム合金撚線、被覆電線およびワイヤーハーネス、ならびにアルミニウム合金線材の製造方法 - Google Patents
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(1)アルミニウム合金線材であって、Mg:0.10〜1.00質量%、Si:0.10〜1.00質量%、Fe:0.01〜1.40質量%、Ti:0〜0.100質量%、B:0〜0.030質量%、Cu:0〜1.00質量%、Ag:0〜0.50質量%、Au:0〜0.50質量%、Mn:0〜1.00質量%、Cr:0〜1.00質量%、Zr:0〜0.50質量%、Hf:0〜0.50質量%、V:0〜0.50質量%、Sc:0〜0.50質量%、Sn:0〜0.50質量%、Co:0〜0.50質量%、Ni:0〜0.50質量%、残部:Alおよび不可避不純物である組成を有し、前記アルミニウム合金線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角が20°以内である領域の面積率が65%超であり、前記アルミニウム合金線材中に存在する、円相当径換算にて直径0.5〜5.0μmのMg−Si系化合物の分散密度が3×10−3個/μm2以下であることを特徴とするアルミニウム合金線材。なお、上記化学組成に含有範囲が挙げられている元素のうち、含有範囲の下限値が「0質量%」と記載されている元素はいずれも、必要に応じて任意に添加される選択添加元素を意味する。すなわち所定の添加元素が「0質量%」の場合、その添加元素が含まれないことを意味する。
<Mg:0.10〜1.00質量%>
Mg(マグネシウム)は、アルミニウム母材中に固溶して強化する作用を有すると共に、その一部はSiと化合して析出物を形成して引張強度を向上させる作用を有する元素である。しかしながら、Mg含有量が0.10質量%未満だと、上記作用効果が不十分であり、また、Mg含有量が1.00質量%を超えると、導電率が低下する。したがって、Mg含有量は0.10〜1.00質量%とする。なお、Mg含有量は、高強度を重視する場合には0.50〜1.00質量%にすることが好ましく、また、導電率を重視する場合には0.10〜0.50質量%とすることが好ましく、このような観点から総合的に0.30〜0.70質量%が好ましい。
Si(ケイ素)は、Mgと化合して析出物を形成して引張強度を向上させる作用を有する元素である。Si含有量が0.10質量%未満だと、上記作用効果が不十分であり、また、Si含有量が1.00質量%を超えると、導電率が低下する。したがって、Si含有量は0.10〜1.00質量%とする。なお、Si含有量は、高強度を重視する場合には0.50〜1.00質量%にすることが好ましく、また、導電率を重視する場合には0.10〜0.50質量%とすることが好ましく、このような観点から総合的に0.30〜0.70質量%が好ましい。
Fe(鉄)は、主にAl−Fe系の金属間化合物を形成することによって結晶粒の微細化に寄与すると共に、引張強度を向上させる元素である。Feは、Al中に655℃で0.05質量%しか固溶できず、室温では更に少ないため、Al中に固溶できない残りのFeは、Al−Fe、Al−Fe−Si、Al−Fe−Si−Mgなどの金属間化合物として晶出又は析出する。この金属間化合物は、結晶粒の微細化に寄与すると共に、引張強度を向上させる。また、Feは、Al中に固溶したFeによっても引張強度を向上させる作用を有する。Fe含有量が0.01質量%未満だと、これらの作用効果が不十分であり、また、Fe含有量が1.40質量%超えだと、晶出物または析出物の粗大化により伸線加工性が悪くなり、導電率も低下する。したがって、Fe含有量は0.01〜1.40質量%とし、好ましくは0.10〜0.70質量%、更に好ましくは0.10〜0.45質量%とする。
Ti(チタン)は、溶解鋳造時の鋳塊の組織を微細化する作用を有する元素である。鋳塊の組織が粗大であると、鋳造において鋳塊割れや線材加工工程において断線が発生して工業的に望ましくない。Ti含有量が0.001質量%未満であると、上記作用効果を十分に発揮することができず、また、Ti含有量が0.100質量%超えだと導電率が低下する傾向があるからである。したがって、Ti含有量は0.001〜0.100質量%とし、好ましくは0.005〜0.050質量%、より好ましくは0.005〜0.030質量%とする。
B(ホウ素)は、Tiと同様、溶解鋳造時の鋳塊の組織を微細化する作用を有する元素である。鋳塊の組織が粗大であると、鋳造において鋳塊割れや線材加工工程において断線が発生しやすくなるため工業的に望ましくない。B含有量が0.001質量%未満であると、上記作用効果を十分に発揮することができず、また、B含有量が0.030質量%超えだと導電率が低下する傾向がある。したがって、B含有量は0.001〜0.030質量%とし、好ましくは0.001〜0.020質量%、より好ましくは0.001〜0.010質量%とする。
Cu(銅)、Ag(銀)、Au(金)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、V(バナジウム)、Sc(スカンジウム)、Sn(錫)、Co(コバルト)およびNi(ニッケル)は、いずれも結晶粒を微細化する作用を有する元素であり、さらに、Cu、AgおよびAuは、粒界に析出することで粒界強度を高める作用も有する元素であって、これらの元素の少なくとも1種を0.01質量%以上含有していれば、上述した作用効果が得られ、引張強度および伸びを向上させることができる。一方、Cu、Ag、Au、Mn、Cr、Zr、Hf、V、Sc、Sn、CoおよびNiの含有量のいずれかが、それぞれ上記の上限値を超えると、該元素を含有する化合物が粗大になり、伸線加工性を劣化させるため断線が生じやすく、また、導電率が低下する傾向がある。したがって、Cu、Ag、Au、Mn、Cr、Zr、Hf、V、Sc、Sn、CoおよびNiの含有量の範囲は、それぞれ上記の範囲とする。
上述した成分以外の残部はAl(アルミニウム)および不可避不純物である。ここでいう不可避不純物は、製造工程上、不可避的に含まれうる含有レベルの不純物を意味する。不可避不純物は、含有量によっては導電率を低下させる要因にもなりうるため、導電率の低下を加味して不可避不純物の含有量をある程度抑制することが好ましい。不可避不純物として挙げられる成分としては、例えば、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、Bi(ビスマス)、Pb(鉛)などが挙げられる。
本発明は、上記化学組成を有することに加えて、アルミニウム合金線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角が20°以内である領域の面積率が65%超であることが必要である。
本発明は、上記化学組成および結晶方位の限定に加えて、さらにアルミニウム合金線材中に存在する、円相当径換算にて直径0.5〜5μmのMg−Si系化合物の分散密度が3×10−3個/μm2以下であることが必要である。アルミニウム合金線材中に円相当径換算にて直径0.5〜5μmのMg−Si系化合物が、3×10−3個/μm2の分散密度より多く存在すると、アルミニウム中にMgまたはSiが溶け込んで強化する固溶強化の効果を十分に発揮できないばかりか、後の時効熱処理にて析出強化に効果的なサイズのMg、Siなどの集合体または析出が十分に得られず、引張強度および耐振動性が低くなる。よって、アルミニウム合金線材中に存在する、円相当径換算にて直径0.5〜5μmのMg−Si系化合物の分散密度は3×10−3個/μm2以下、好ましくは1.5×10−3個/μm2以下とする。なお、「円相当径換算にて直径」とは、対象となるMg−Si系化合物の実際の面積と同じ面積となる真円を考えたときの、該真円の直径を意味する。
本発明のアルミニウム合金線材は、溶解、鋳造後に、熱間加工を経て荒引線を形成し、その後、伸線加工をする中で少なくとも一回の結晶方位形成処理を行い、次いで、溶体化処理および時効熱処理の各工程を順次行うことを含むアルミニウム合金線材の製造方法であって、結晶方位形成処理は、150℃以上250℃未満の範囲内の所定温度まで加熱することによって行なう製造方法によって製造することができる。
溶解は、上述したアルミニウム合金組成になるように各成分の分量を調整して溶製する。
次いで、鋳造輪とベルトを組み合わせたプロペルチ式の連続鋳造圧延機を用いて、溶湯を水冷した鋳型で鋳造し、連続して圧延を行い、例えば直径5〜13mmφの適宜の太さの棒材とする。このときの鋳造時の冷却速度は、Fe系晶出物の粗大化の防止とFeの強制固溶による導電率低下の防止の観点から、好ましくは1〜20℃/sであるが、これに制限されるものではない。鋳造および熱間圧延は、ビレット鋳造および押出法などにより行ってもよい。
次いで、例えば直径5〜12.5mmφの適宜の太さの棒材とし、これを冷間で伸線加工する。伸線加工前に表面の皮むきを行う場合もあり表面の清浄化がなされるが、行わなくてもよい。
冷間伸線した加工材に結晶方位形成処理を施す。従来はこの段階で、上述した中間熱処理を行っていたが、これは、伸線加工により硬くなった加工材の柔軟性を取り戻すために再結晶させ軟化させる熱処理として、伸線の中間的工程で実施するものであった。これに対し本発明の結晶方位形成処理は、従来の中間熱処理とは全く異なる考え方に基づいて行なうものであって、所望の結晶方位を形成するための処理を意味する。上記冷間伸線した加工材において中間熱処理した場合、伸線加工にて多く得られる、アルミニウム合金線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角が20°以内である領域の面積率が低下してしまい、その後の溶体化熱処理工程にてその傾向を維持し、線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角が20°以内である領域の面積率が低下してしまい、耐振動性が低くなる傾向がある。ただ、本発明においても、その後の伸線において加工限界による断線を生じさせないためにもひずみの除去を行う必要があり、回復現象を利用することによってその後の伸線工程でも断線しない条件を見出した。結晶方位形成処理は、具体的には、150℃以上250℃未満の範囲内の所定温度まで加熱する熱処理である。結晶方位形成処理の加熱時の所定温度が250℃以上であると、従来の熱処理と同様に再結晶が進行し、線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角が20°以内である領域の面積率が減少して耐振動性が低下し、また、所定温度が150℃よりも低いと、回復がなされずにその後の伸線工程で断線が生じてしまう恐れがある。なお、加熱温度が300℃より低いと、化合物粒子があまり成長せず、溶体化熱処理にて結晶粒成長の抑制が不十分となる傾向にあるが、本発明の場合、溶体化熱処理を500℃以上580℃未満の温度範囲で行なえば粗大な結晶粒成長が抑制でき、高い引張強度と、優れた耐振動性の双方を満足させることができる。
上記結晶方位形成処理の後、さらに冷間で伸線加工を施す。
冷間伸線した加工材に溶体化熱処理を行う。溶体化熱処理は、Mg及びSiなどの化合物をアルミニウム中に溶け込ませる工程である。溶体化熱処理は、結晶方位形成処理と同様、バッチ式焼鈍で行っても、また、高周波加熱、通電加熱、走間加熱などの連続焼鈍で行ってもよい。ただ、アルミニウム線材表面における酸化があまり進行しないように、1時間以内の熱処理が好ましい。
次いで、時効熱処理を施す。時効熱処理は、MgおよびSiの集合体または析出物を出現させるために行う。時効熱処理における加熱温度は、好ましくは100〜250℃である。前記加熱温度が100℃未満であると、MgおよびSiの集合体または析出物を十分に出現させることができず、引張強度および導電率が不足しがちである。また、前記加熱温度が250℃よりも高いと、MgおよびSiの析出物のサイズが大きくなるため、アルミニウム合金線材中に存在する円相当径換算にて直径0.5〜5μmのMg−Si系化合物の分散密度が3×10−3個/μm2よりも高くなって、析出強化に効果的なMg、Siなどの集合体または析出物が十分に得られない結果、導電率は上昇するものの、引張強度および耐振動性が低下する傾向にある。このため、時効熱処理における加熱温度は、好ましくは100〜250℃とし、より好ましくは100〜200℃とする。なお、加熱時間は、温度によって最適な時間が変化する。低温では長時間、高温では短時間の加熱が引張強度を向上させる上で好ましい。生産性を考慮すると短時間が良く、好ましくは15時間以下、更に好ましくは10時間以下である。なお、時効熱処理における冷却は、特性のバラつきを防止するために、可能な限り冷却速度を速くすることが好ましい。しかし、製造工程上、速く冷却できない場合は、冷却中にMgおよびSiの析出物量の変化が起こることも考慮に入れて時効条件を適宜設定することができる。
Mg、Si、Fe及びAlと、選択的に添加するTi、B、Cu、Ag、Au、Mn、Cr、Zr、Hf、V、Sc、Sn、Co、Niを、表1に示す含有量(質量%)になるようにプロペルチ式の連続鋳造圧延機を用いて、溶湯を調合し、水冷した鋳型で連続的に鋳造しながら圧延を行い、約9.5mmφの棒材とした。このときの鋳造時の冷却速度は約15℃/sとした。次に、第1伸線加工を施し、表2に示す条件で第1熱処理(結晶方位形成処理)を施し、さらに0.31mmφの線径まで第2伸線加工を行った。次に、表2に示す条件で第2熱処理(溶体化熱処理)を施した。第1熱処理及び第2熱処理とも、バッチ式熱処理では、線材に熱電対を巻きつけて線材温度を測定した。連続通電熱処理では、線材の温度が最も高くなる部分での測定が設備上困難であるため、ファイバ型放射温度計(ジャパンセンサ社製)で線材の温度が最も高くなる部分よりも手前の位置にて温度を測定し、ジュール熱と放熱を考慮して最高到達温度を算出した。高周波加熱および連続走間熱処理では、熱処理区間出口付近の線材温度を測定した。溶体化熱処理後に、表2に示す条件で第3熱処理(時効熱処理)を施し、アルミニウム合金線を製造した。
本実施例における結晶方位の解析には、電子線後方散乱回折(EBSD)法を用いた。線材の長手方向に垂直な断面において、主に直径約310μmの試料面積に対し、結晶方位を観察した。スキャンステップは試料の平均結晶粒の大きさの約1/10に設定した。線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角が20°以内である領域の面積率(%)は、(線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角が20°以内である領域の面積/試料測定面積)×100として算出した。
実施例及び比較例の線材を、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて任意の範囲を観察した。Mg―Si系化合物は、EDX(Energy dispersive X-ray spectrometry, エネルギー分散型X線分析)にて組成分析を行い、化合物種を同定した。分析装置としてはそれぞれ、JEM−3010(日本電子株式会社製)、JED−2300(T)(日本電子株式会社製)を使用した。観察されたMg―Si系化合物の断面積を求めて円相当径換算し、直径0.5〜5μmのMg―Si系化合物を観察した。Mg―Si系化合物の分散密度は10個以上をカウントできる範囲を設定して、Mg―Si系化合物の分散密度(個/μm2)=Mg―Si系化合物の個数(個)/カウント対象範囲(μm2)の式を用いて算出した。カウント対象範囲は場合によっては複数枚の写真を用いた。10個以上カウントできないほど化合物が少ない場合は、1000μm2を指定してその範囲の分散密度を算出した。
JIS Z 2241に準じて各3本ずつの供試材(アルミニウム合金線)について引張試験を行い、その平均値を求めた。従来同様、断面積が小さい細径線に適用しても断線することなく使用可能とするために、高い引張強度が求められていることから、200MPa以上を合格レベルとした。
耐屈曲疲労特性の基準として、常温におけるひずみ振幅は±0.17%とした。耐屈曲疲労特性はひずみ振幅によって変化する。一般に、ひずみ振幅が大きいほど、疲労寿命は短くなり、ひずみ振幅が小さいほど、疲労寿命は長くなる。ひずみ振幅は、図2に示す線材1の線径と、曲げ冶具2、3の曲率半径により決定することができるため、線材1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径は任意に設定して屈曲疲労試験を実施することが可能である。本実施例では、藤井精機株式会社(現株式会社フジイ)製の両振屈曲疲労試験機を用い、0.17%の曲げ歪みが与えられる治具を使用して、繰り返し曲げを実施することにより、繰返破断回数を測定した。繰返破断回数は各4本ずつ測定し、その平均値を求めた。図2に示す説明図のように、線材1を、曲げ治具2及び3の間を1mm空けて挿入し、冶具2及び3に沿わせるような形で繰り返し運動をさせた。線材の一端は繰り返し曲げが実施できるよう押さえ冶具5に固定し、もう一端には約10gの重り4をぶら下げた。試験中は押さえ冶具5が動くため、それに固定されている線材1も動き、繰り返し曲げが実施できる。繰り返しは1分間に100回の条件で行い、線材の試験片1が破断すると、重り4が落下し、カウントを停止する仕組みになっている。繰返破断回数は、20万回以上を合格とした。好ましくは40万回以上であり、更に好ましくは80万回以上である。
上記(D)と同様、図2に示す両振屈曲疲労試験機を用い、エンジンでの振動によるアルミ線に負荷される際のひずみを想定し、ひずみ振幅を±0.09%として試験を実施した。アルミ線が破断するまでの繰返回数が200万回以上であったものに関しては、表3に「○」と記載し、合格とした。繰返回数が200万回未満にて断線したものに関しては、表3に「×」と記載し、不合格とした。試験には比較的多くの時間を要するため、200万回を超えた任意のところで試験を打ち切った。
アルミニウム線材の表層に存在する酸化層の厚さ測定は、オージェ電子分光装置を用いた。具体的には、作製したアルミニウム合金線材の表層25μm×25μmの領域をアルゴンイオンにて照射しながら元素分析を実施した。深さ方向の元素分析が可能であり、得られた元素濃度プロファイルより酸素濃度がピーク時の半分となった時点を酸化層の厚さとして算出した。(SiO2換算値)測定はn=2で実施し、n=2の酸化層の平均厚さを、アルミニウム合金線材の表層に存在する酸化層の厚さとした。
2、3 曲げ治具
4 重り
5 押さえ冶具
11 線材の長手方向
12 結晶の<111>方向
13 線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角
14 結晶
15 アルミニウム合金線材
Claims (10)
- アルミニウム合金線材であって、
Mg:0.10〜1.00質量%、Si:0.10〜1.00質量%、Fe:0.01〜1.40質量%、Ti:0〜0.100質量%、B:0〜0.030質量%、Cu:0〜1.00質量%、Ag:0〜0.50質量%、Au:0〜0.50質量%、Mn:0〜1.00質量%、Cr:0〜1.00質量%、Zr:0〜0.50質量%、Hf:0〜0.50質量%、V:0〜0.50質量%、Sc:0〜0.50質量%、Sn:0〜0.50質量%、Co:0〜0.50質量%、Ni:0〜0.50質量%、残部:Alおよび不可避不純物である組成を有し、
前記アルミニウム合金線材の長手方向と結晶の<111>方向とのなす角が20°以内である領域の面積率が65%超であり、前記アルミニウム合金線材中に存在する、円相当径換算にて直径0.5〜5.0μmのMg−Si系化合物の分散密度が3×10−3個/μm2以下であることを特徴とするアルミニウム合金線材。 - 前記化学組成が、Ti:0.001〜0.100質量%およびB:0.001〜0.030質量%からなる群から選択された1種または2種を含有する、請求項1に記載のアルミニウム合金線材。
- 前記化学組成が、Cu:0.01〜1.00質量%、Ag:0.01〜0.50質量%、Au:0.01〜0.50質量%、Mn:0.01〜1.00質量%、Cr:0.01〜1.00質量%、Zr:0.01〜0.50質量%、Hf:0.01〜0.50質量%、V:0.01〜0.50質量%、Sc:0.01〜0.50質量%、Sn:0.01〜0.50質量%、Co:0.01〜0.50質量%およびNi:0.01〜0.50質量%からなる群から選択された1種または2種以上を含有する、請求項1または2に記載のアルミニウム合金線材。
- ひずみ振幅を±0.09%として両振屈曲疲労試験を行ったときの繰返破断回数が200万回以上である、請求項1、2または3に記載のアルミニウム合金線材。
- 表層に存在する酸化層の厚さが100nm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
- 直径が0.10〜0.50mmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材を複数本撚り合わせて得られるアルミニウム合金撚線。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線または請求項7に記載のアルミニウム合金撚線の外周に被覆層を有する被覆電線。
- 請求項8に記載の被覆電線と、該被覆電線の、前記被覆層を除去した端部に装着された端子とを具えるワイヤーハーネス。
- 溶解、鋳造後に、熱間加工を経て荒引線を形成し、その後、伸線加工をする中で少なくとも一回の結晶方位形成処理を行い、次いで、溶体化処理および時効熱処理の各工程を順次行うことを含むアルミニウム合金線材の製造方法であって、結晶方位形成処理は、150℃以上250℃未満の範囲内の所定温度まで加熱する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金線材の製造方法。
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