JP2013044039A - アルミニウム合金導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な引張強度と導電率を有し、耐屈曲疲労特性、柔軟性に優れたアルミニウム合金導体を提供する。
【解決手段】線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として25°以上ステレオ投影図の標準三角形の範囲内の角度で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に50%以上であり、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とするアルミニウム合金導体。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気配線体の導体として用いられるアルミニウム合金導体に関する。
従来、自動車、電車、航空機等の移動体の電気配線体として、ワイヤーハーネスと呼ばれる銅または銅合金の導体を含む電線に銅または銅合金(例えば、黄銅)製の端子(コネクタ)を装着した部材が用いられていたが、近年の移動体の軽量化の中で、電気配線体の導体として、銅又は銅合金より軽量なアルミニウム又はアルミニウム合金を用いる検討が進められている。
アルミニウムの比重は銅の約1/3、アルミニウムの導電率は銅の約2/3(純銅を100%IACSの基準とした場合、純アルミニウムは約66%IACS)であり、純アルミニウムの導体線材に純銅の導体線材と同じ電流を流すためには、純アルミニウムの導体線材の断面積を純銅の導体線材の約1.5倍にする必要があるが、それでも質量では銅に比べて約半分となるので、有利な点がある。
なお、上記の%IACSとは、万国標準軟銅(International Annealed Copper Standard)の抵抗率1.7241×10−8Ωmを100%IACSとした場合の導電率を表したものである。
そのアルミニウムを移動体の電気配線体の導体として用いるためには幾つかの課題がある。そのひとつは耐屈曲疲労特性の向上である。ドアなどに取り付けられたワイヤーハーネスではドアの開閉により繰り返し曲げ応力を受けるためである。アルミニウムなどの金属材料は、ドアの開閉のように荷重を加えたり除いたりを繰り返し行なうと、一回の負荷では破断しないような低い荷重でも、ある繰り返し回数で破断を生じる(疲労破壊)。前記アルミニウム導体が開閉部に用いられたとき、耐屈曲疲労特性が悪いと、その使用中に導体が破断することが懸念され、耐久性、信頼性に欠ける。
一般に強度の高い材料ほど疲労特性は良好と言われている。そこで、強度の高いアルミニウム線材を適用すればよいが、ワイヤーハーネスはその設置時の取り回し(車体への取り付け作業)がしやすいことが要求されているために、一般的には伸びが10%以上確保できる鈍し材(焼鈍材)が使われていることが多い。
よって、移動体の電気配線体に使用されるアルミニウム導体には、取扱い及び取り付け時に必要となる適切な引張強度、及び電気を多く流すために必要となる導電率に加えて、耐屈曲疲労特性に優れ、取り回しがしやすい柔軟な材料が求められている。
このような要求のある用途に対して、送電線用アルミニウム合金線材(JIS A1060やJIS A1070)を代表とする純アルミニウム系では、ドアなどの開閉で生じる繰り返し曲げ応力に十分耐えることはできない。また、種々の添加元素を加えて合金化した材料は強度には優れるものの、アルミニウム中への添加元素の固溶現象により導電率の低下を招くこと、アルミニウム中に過剰な金属間化合物を形成することで伸線加工中に金属間化合物に起因する断線が生じることがあった。そのため、添加元素を限定、選択して断線しないことを必須とし、導電率低下を防ぎ、強度及び耐屈曲疲労特性を向上する必要があった。
移動体の電気配線体に用いられるアルミニウム導体として代表的なものに特許文献1、2に記載のものがある。しかし、特許文献1に記載されている電線導体は、引張強度が高すぎであり、車体での取り付け作業に難がある。特許文献2には軽量、柔軟かつ屈曲性に優れたアルミニウム導電線が開示されているが、移動体の電気配線体への特性改善の要求は強まるばかりであり、さらなる特性の向上が望まれている。
特開2008−112620号公報 特開2006−253109号公報
本発明は、十分な引張強度と導電率を有し、耐屈曲疲労特性、柔軟性に優れたアルミニウム合金導体の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討を重ね、アルミニウム合金の熱処理前の伸線条件、連続熱処理などの熱処理条件を制御することにより結晶方位を制御して、優れた強度、導電率、耐屈曲疲労特性、及び柔軟性を具備するアルミニウム合金導体を製造しうることを見い出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は以下の発明により達成された。
(1)線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として25°以上ステレオ投影図の標準三角形の範囲内の角度で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に50%以上であり、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とするアルミニウム合金導体。
(2)線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(100)面から法線方向を基準として0°以上20°以下の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に50%以上であることを特徴とする(1)に記載のアルミニウム合金導体。
(3)線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上10°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のアルミニウム合金導体。
(4)線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として10°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のアルミニウム合金導体。
(5)Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.01mass%以上0.3mass%未満と、Siを0.01mass%以上0.3mass%未満と、Cuを0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(6)Feを0.4〜1.5mass%含有し、残部Alと不可避不純物からなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(7)Feを0.4〜1.5mass%と、Mgを0.01〜0.3mass%と、Siを0.01〜0.3mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(8)Feを0.01〜1.5mass%と、Mgを0.3〜1.0mass%と、Siを0.3〜1.0mass%と、Cuを0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる(1)〜(4)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(9)移動体内のバッテリーケーブル、ハーネス、またはモータ用導線として用いられることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
(10)前記移動体が自動車、電車、または航空機であることを特徴とする(9)に記載のアルミニウム合金導体。
本発明のアルミニウム合金導体は強度、柔軟性、及び導電率に優れ、移動体に搭載されるバッテリーケーブル、ハーネスあるいはモータ用導線として有用である。前記移動体としては、自動車や電車の車両、航空機があげられる。また非常に高い耐屈曲疲労特性が求められるドアやトランク、ボンネットなどにも好適に用いることができる。
線材の伸線方向に垂直な断面において円の中心から半径(3/10)Rの円、半径(7/10)Rの円の説明図である。 ダイス角の説明図である。 実施例で行なった繰返破断回数を測定する試験の説明図である。 (111)ステレオ投影図の標準三角形の範囲を表す図である。
本発明のアルミニウム合金導体は、結晶方位を以下のように規定することにより、優れた引張強度、導電率、耐屈曲疲労特性、及び柔軟性を具備したものとすることができる。
本発明では線材の伸線方向に垂直な断面を用いて結晶方位を規定する。結晶方位とは試料軸に対して結晶軸がどの方向を向いているのかを表すものである。本発明においては試料軸として線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する面を用い、記述した。
本発明の第1のアルミニウム合金導体は、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として25°以上ステレオ投影図の標準三角形の範囲内の角度で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に50%以上であり、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とする。このような再結晶集合組織とすることにより、伸線方向に対して線材を図3のように屈曲させた際に、線材内外の結晶方位の差により耐屈曲疲労特性を向上させることができる。交差すべりのしやすさが耐屈曲疲労特性に影響を与えており、線材の中心から半径(3/10)Rの円内には交差すべりのしやすい(100)面が多く出現している方が良く、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲には、交差すべりのしにくい(111)面が多く出現している方が良いと考えられる。交差すべりとは、あるすべり面から別のすべり面に乗り変わるすべりのことである。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として25°以上ステレオ投影図の標準三角形の範囲内の角度で傾いている面を有する結晶粒の面積率は、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に、好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率は、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に、好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。
ここで、ステレオ投影図の標準三角形の範囲内の角度について説明しておく。図4に(111)ステレオ投影図の標準三角形の範囲を表す図を示す。この円には<001>、<011>、<111>で囲まれる三角形が多数存在し、結晶の対象性を考えるとこの円内の結晶方位は1つの三角形で表すことができる。そこで、中心に近い1つを取り出したのが標準三角形41である。投影図であるため、この三角形の頂点は曲線で結ばれることもある。なお、アルミニウムを主成分とする合金のため、立方晶を考えた。
ある結晶面をある角度で傾けると、等価な面が現れることを考慮すると、傾きの角度は、ステレオ投影図の標準三角形の角度内に収められる。例えば、(111)面の法線方向を基準として、39.2°傾斜した(120)面と75.0°傾斜した(-120)面は等価な面として表せるため、ステレオ投影図の標準三角形の範囲内の39.2°で記述する方が良い。なお、これらの等価な面は{120}という記号を用い、1つの群として表すことができる。
すなわち、傾斜角度θは0≦θ≦標準三角形の範囲内の角度であるが、対象とする結晶面によってその最大傾斜角度は異なる。さらに、例えば(111)面を対象としても標準三角形の範囲の最大値は必ず決まるわけではなく、法線方向を基準として(111)面をどの方向に傾斜するかにより異なる。なお、(111)面での標準三角形の範囲の最大値は、(100)面に傾斜した際の54.7°となる。
本発明の第2のアルミニウム合金導体は、第1のアルミニウム合金導体に加え、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(100)面から法線方向を基準として0°以上20°以下の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に50%以上であることを特徴とする。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(100)面から法線方向を基準として0°以上20°以下の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率は、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
本発明の第3のアルミニウム合金導体は、第1または第2のアルミニウム合金導体に加え、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上10°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とする。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上10°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率は、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に、好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。
本発明の第4のアルミニウム合金導体は、第1または第2のアルミニウム合金導体に加え、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として10°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とする。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として10°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒は(111)面よりは交差すべりはしやすいが、(100)面より交差すべりはしにくい。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として10°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率は、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上である。
線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上25°未満の範囲で傾いている面とは、結晶方位で表せば、(111)面、(112)面、(122)面、(123)面、(133)面、(223)面、(233)面などを含む。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として25°以上ステレオ投影図の標準三角形の範囲内で傾いている面とは、結晶方位で表せば、(100)面、(110)面、(120)面、(130)面、(113)面などを含む。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(100)面から法線方向を基準として0°以上20°以下の範囲で傾いている面とは、(100)面、(410)面、(411)面などを含む。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上10°未満の範囲で傾いている面とは、(111)面、(334)面、(344)面などを含む。線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として10°以上25°未満の範囲で傾いている面とは、(112)面、(122)面、(123)面、(133)面、(223)面、(233)面などを含む。
本発明における各結晶方位を有する結晶粒の面積率はEBSD法によって測定した値とする。EBSD法とは、Electron BackScatter Diffractionの略で、走査電子顕微鏡(SEM)内で試料に電子線を照射したときに生じる反射電子菊池線回折を利用した結晶方位解析技術のことである。EBSDによる方位解析において得られる情報は、電子線が試料に侵入する数十nmの深さまでの方位情報を含んでいるが、測定している広さに対して充分に小さいため、本明細書中では面積率として扱う。
このような結晶方位を有するアルミニウム合金導体を得るには、アルミ合金導体の製造条件などを以下のように制御すること、さらに好ましくは、合金組成を後述のようにすることにより実現できる。好ましい製造方法と合金組成を以下に述べる。
(製造方法)
本発明のアルミニウム合金導体は、[1]溶解、[2]鋳造、[3]熱間または冷間加工(溝ロール加工など)、[4]伸線加工、[5]熱処理(中間焼鈍)、[6]伸線加工、[7]熱処理(仕上げ焼鈍)の各工程を経て製造することができる。
溶解は、後述するアルミニウム合金組成のそれぞれの実施態様の濃度となるような分量で溶製する。
次いで、鋳造輪とベルトを組み合わせたプロペルチ式の連続鋳造圧延機を用いて、溶湯を水冷した鋳型で連続的に鋳造しながら圧延を行ない、約10mmφの棒材とする。このときの鋳造冷却速度は1〜20℃/秒である。鋳造及び熱間圧延は、ビレット鋳造、及び押出法などにより行なってもよい。
次いで、表面の皮むきを実施して、9〜9.5mmφとし、これを伸線加工する。加工度は、1以上6以下が好ましい。ここで加工度ηは、伸線加工前の線材の伸線方向に垂直な断面積をA、伸線加工後の線材の伸線方向に垂直な断面積をAとすると、η=ln(A/A)で表される。このときの加工度が小さすぎると、次工程の熱処理時、再結晶粒が粗大化し強度及び伸びが著しく低下し、断線の原因にもなることがある。大きすぎると、伸線加工が困難となり、伸線加工中に断線するなど品質の面で問題を生ずることがある。表面の皮むきは、行なうことによって表面の清浄化がなされるが、行なわなくてもよい。
冷間伸線した加工材に中間焼鈍を施す。中間焼鈍は主に伸線加工で硬くなった線材の柔軟性を取り戻すために行なう。中間焼鈍温度が高すぎても低すぎても、後の伸線加工で断線を起し、線材が得られなくなる。中間焼鈍温度は好ましくは300〜450℃、より好ましくは350〜450℃である。中間焼鈍の時間は、10分以上とする。10分未満であると、再結晶粒形成及び成長に必要な時間が足りず、線材の柔軟性を取り戻すことができないためである。好ましくは1〜6時間である。また、中間焼鈍時の熱処理温度から100℃までの平均冷却速度は特に規定しないが、0.1〜10℃/分が望ましい。
さらに、好ましくは0.15mmφ〜1.0mmφの任意の線径まで伸線加工を施す。伸線工程中、線材が硬くなり頻繁に断線するようになる前に、適宜上記のような熱処理工程をはさんで軟化させても良い。
本発明のアルミニウム合金導体では、ダイス引きによって伸線加工を行い、1個のダイスの断面減少率を10%以上、かつ、ダイス半角を5°以上とする。断面減少率とは、伸線加工前後における伸線方向に垂直な断面積の差を、伸線加工前の断面積で割って100をかけたものとして与えられる。ダイス半角とは、図2に示す通り、導体がダイスに引き込まれる際の角度である。図2においてダイス21のダイス半角22がαで示されている。1個のダイスの断面減少率とダイス半角の一方または両方が規定値未満であると、材料に負荷されるせん断応力が不足し、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として25°以上ステレオ投影図の標準三角形の範囲内の角度で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に50%以上、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上でなくなる場合がある。1個のダイスの断面減少率及びダイス角は、高い方が負荷されるせん断応力が高まるため、より線材の内外で結晶方位に差が生じ、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(100)面から法線方向を基準として0°以上20°以下の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が増えたり、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が増えたりする。特に、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上10°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が増える。1個のダイスの断面減少率は、好ましくは12%以上であり、更に好ましくは15%以上である。1個のダイスの断面減少率が大きすぎると引抜力が過大となり、断線や線荒れが生じる可能性が高くなるため、30%以内であることが好ましい。ダイス半角は、好ましくは7°以上であり、更に好ましくは9°以上である。ダイス半角が大きすぎると線材に負荷されるせん断応力が過大となり、断線や線荒れが生じる可能性が高くなるため、15°以下であることが好ましい。
冷間伸線した加工材に連続熱処理により仕上げ焼鈍を行なう。連続熱処理は連続通電熱処理、連続走間熱処理の2つの方法のいずれかで行うことができる。
連続通電熱処理は、2つの電極輪を連続的に通過する線材に電流を流すことによって自身から発生するジュール熱により焼鈍するものである。急熱、急冷の工程を含み、線材温度と焼鈍時間で制御し線材を焼鈍することができる。冷却は、急熱後、水中または窒素ガス雰囲気中に線材を連続的に通過させることによって行なう。線材温度または焼鈍時間の一方または両方が低すぎる場合は車載取り付けの際に必要な柔軟性が得られず、高すぎる場合は、過焼鈍により結晶粒が粗大化し、強度、柔軟性が低下する。よって、連続通電熱処理においては線材温度をy(℃)、焼鈍時間をx(秒)とすると、
0.03≦x≦0.73、かつ
26x−0.6+377≦y≦19x−0.6+477
を満たすように行う。
なお、線材温度y(℃)は、線材として温度が最も高くなる、冷却工程に通過する直前の温度を表す。y(℃)は通常408〜633(℃)の範囲内である。
連続走間熱処理は、高温に保持した焼鈍炉中を線材が連続的に通過して焼鈍させるものである。急熱、急冷の工程を含み、焼鈍炉温度と焼鈍時間で制御し線材を焼鈍することができる。冷却は、急熱後、水中または窒素ガス雰囲気中に線材を連続的に通過させることによって行なう。焼鈍炉温度または焼鈍時間の一方または両方が低すぎる場合は車載取り付けの際に必要な柔軟性が得られず、高すぎる場合は、過焼鈍により結晶粒が粗大化し、強度、柔軟性が低下する。よって、連続走間熱処理においては焼鈍炉温度をz(℃)、焼鈍時間をx(秒)とすると、
1.5≦x≦5、かつ
−50x+550≦z≦−36x+650
を満たすように行う。焼鈍炉温度z(℃)は、は通常300〜596(℃)の範囲内である。
また、仕上げ焼鈍は上記2つの方法の他に、磁場中を線材が連続的に通過して焼鈍させる誘導加熱でもよい。
本発明のアルミニウム合金導体では、上記の[7]熱処理(仕上げ焼鈍)を行なう際、熱処理中に導体に作用する張力を1.5MPa以上、15MPa以下とすることが好ましい。張力が小さすぎる場合は、線材内外で結晶方位の差を得にくく、目的の結晶方位を有する結晶粒が得られない場合がある。大きすぎる場合は、線材が引張力に耐えられず、断線を引き起こす可能性が高くなる。張力は、線材内外で結晶方位の差を得るためには断線しない程度に高い方が良いが、その効果は高くなるほど飽和するため、好ましくは2〜12MPaであり、更に好ましくは3〜12MPaである。線材に負荷される張力は、通線される各電極輪や動力輪のサイズ、線速等により変化させることができる。
(合金組成)
本発明の好ましい第1の実施態様の成分構成は、Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.01mass%以上0.3mass%未満と、Siを0.01mass%以上0.3mass%未満と、Cuを0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる。
本実施態様において、Feの含有量を0.01〜0.4mass%とするのは、主にAl−Fe系の金属間化合物による様々な効果を利用するためである。Feはアルミニウム中には655℃において0.05mass%しか固溶せず、室温では更に少ない。残りはAl−Fe、Al−Fe−Si、Al−Fe−Si−Mg、Al−Fe−Cu−Siなどの金属間化合物として晶出または析出する。この晶出物または析出物は結晶粒の微細化材として働くと共に、強度、及び耐屈曲疲労特性を向上させる。一方、Feの固溶によっても強度が上昇する。Feの含有量が少なすぎるとこれらの効果が不十分であり、多すぎると金属間化合物の粗大化により、逆に強度、耐屈曲性を低下させ、場合によっては金属間化合物が起点となり断線が生じる。また、過飽和固溶状態となり導電率が低下する。Feの含有量は好ましくは0.1〜0.3mass%、さらに好ましくは0.15〜0.3mass%である。
本実施態様において、Mgの含有量を0.01mass%以上0.3mass%未満とするのは、Mgはアルミニウム母材中に固溶して強化すると共に、その一部はSiと析出物を形成して強度、耐屈曲疲労特性、及び耐熱性を向上させることができるためである。Mgの含有量が少なすぎると効果が不十分であり、多すぎると導電率を低下させる。また、Mgの含有量が多いと耐力が過剰となり、成形性、撚り性を劣化させ、加工性が悪くなる。Mgの含有量は好ましくは0.05〜0.3mass%、さらに好ましくは0.10〜0.25mass%である。
本実施態様において、Siの含有量を0.01mass%以上0.3mass%未満とするのは、上記したようにSiはMgと化合物を形成して強度、耐屈曲疲労特性、及び耐熱性を向上させる働きを示すためである。Siの含有量が少なすぎると効果が不十分であり、多すぎると導電率が低下する。また、Siの含有量が多いとSi単体の析出が生じ、断線が起こりやすくなる。Siの含有量は好ましくは0.02〜0.25mass%、さらに好ましくは0.04〜0.20mass%である。
本実施態様において、Cuの含有量を0.01〜0.5mass%とするのは、Cuをアルミニウム母材中に固溶させ強化するためである。また、耐クリープ性、耐屈曲疲労特性、耐熱性の向上に寄与する。Cuの含有量が少なすぎると効果が不十分であり、多すぎると耐食性及び導電率の低下を招く。Cuの含有量は好ましくは0.10〜0.45mass%、さらに好ましくは0.20〜0.40mass%である。
本発明の好ましい第2の実施態様の成分構成は、Feを0.4〜1.5mass%含有し、残部Alと不可避不純物からなる。
第2の実施態様では、Feの含有量を0.4〜1.5mass%とするのは、第1の実施態様で述べたように金属間化合物による様々な効果を利用するためである。Feの含有量が少なすぎると第2の実施態様ではCu、Mgを含まないため引張強度が低くなる。多すぎると金属間化合物の粗大化により、逆に強度、耐屈曲性を低下させ、場合によっては金属間化合物が起点となり断線が生じる。また、過飽和固溶状態となり導電率が低下する。Feの含有量は好ましくは0.6〜1.3mass%、さらに好ましくは0.8〜1.1mass%である。
本発明の好ましい第3の実施態様の成分構成は、Feを0.4〜1.5mass%と、Mgを0.01〜0.3mass%と、Siを0.01〜0.3mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる。
第3の実施態様では、上述の第1の実施態様の合金組成と比較してFeの含有量が多く、Cuが含有されていない。Feの含有量を0.4〜1.5mass%とするのは、主にAl−Fe系の金属間化合物による様々な効果を利用するためである。その効果は第1の実施態様で述べた通りである。Feの含有量が少なすぎると第3の実施態様ではCuを含まないため引張強度が低くなる。多すぎると金属間化合物の粗大化により、逆に強度、耐屈曲性を低下させ、場合によっては金属間化合物が起点となり断線が生じる。また、過飽和固溶状態となり導電率が低下する。Feの含有量は、好ましくは0.6〜1.3mass%、さらに好ましくは0.8〜1.1mass%である。
その他の合金組成とその作用については上述の第1の実施態様と同様である。
本発明の好ましい第4の実施態様の成分構成は、Feを0.01〜1.5mass%と、Mgを0.3〜1.0mass%と、Siを0.3〜1.0mass%と、Cuを0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなるアルミニウム合金導体である。
本実施態様においてFeの含有量を0.01〜1.5mass%とするのは、第1の実施態様で述べたように金属間化合物による様々な効果を利用するためである。Feの含有量が少なすぎると効果が不十分であり、多すぎると金属間化合物の粗大化により、逆に強度、耐屈曲性を低下させ、場合によっては金属間化合物が起点となり断線が生じる。また、過飽和固溶状態となり導電率が低下する。Feの含有量は好ましくは0.15〜1.1mass%、さらに好ましくは0.15〜0.9mass%である。
Mgの含有量を0.3〜1.0mass%とするのは、Mg−Si系析出物を多く析出させ、導電率を適切に保ちつつ強度を向上させるためである。Mgの含有量が少なすぎると強度の上昇があまり期待できず、多すぎると導電率を低下させる。また、Mgの含有量が多いと耐力が過剰となり、成形性、撚り性を劣化させ、加工性が悪くなる。Mgの含有量は好ましくは0.4〜0.9mass%、さらに好ましくは0.5〜0.8mass%である。
Siの含有量を0.3〜1.0mass%とするのは、上述のMgと同様、Mg−Si系析出物を多く析出させ、導電率を適切に保ちつつ強度を向上させるためである。Siの含有量が少なすぎると強度の上昇があまり期待できず、多すぎると導電率が低下する。また、Siの含有量が多いとSi単体の析出が生じ、断線が起こりやすくなる。Siの含有量は好ましくは0.4〜0.9mass%、さらに好ましくは0.5〜0.8mass%
である。
Cuの含有量を0.01〜0.5mass%とするのは、Cuをアルミニウム母材中に固溶させ強化するためである。Cuの含有量が少なすぎると効果が不十分であり、多すぎると耐食性及び導電率の低下を招く。Cuの含有量は好ましくは0.05〜0.4mass%、さらに好ましくは0.15〜0.35mass%である。
本発明を以下の実施例に基づき詳細に説明する。なお本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
実施例1、比較例1
Fe、Mg、Si、Cu、及びAlが表1に示す量(質量%)になるようにプロペルチ式の連続鋳造圧延機を用いて、溶湯を水冷した鋳型で連続的に鋳造しながら圧延を行ない、約10mmφの棒材とした。このときの鋳造冷却速度は1〜20℃/秒である。
次いで、表面の皮むきを実施して、約9.5mmφとし、これを所定の加工度が得られるように伸線加工した。次に、この冷間伸線した加工材に温度300〜450℃で0.5〜4時間の中間焼鈍を施し、さらに、所定の線径まで伸線加工を行った。伸線加工はダイス引きによって行い、1個のダイスの断面減少率を15%〜30%(比較例では8%、32%を含む)、かつ、ダイス半角を5°〜15°(比較例では4°、17°を含む)とした。
最後に仕上げ焼鈍として連続通電熱処理を温度438〜610℃、時間0.03〜0.73秒、連続走間熱処理を温度499〜523℃、時間1.5〜3.0秒行なった。
連続通電熱処理の場合、ファイバ型放射温度計(ジャパンセンサ社製)で線材の温度が最も高くなる水中を通過する直前の線材温度y(℃)を測定した。また、連続走間熱処理の場合、焼鈍炉温度z(℃)を測定した。仕上げ焼鈍時の張力は、3.5〜15.0MPa(比較例では、1.0MPa、20.0MPaを含む)とした。張力はロードセル(共和電業製)を用いて測定した。
作製した各々の実施例、比較例の線材について以下に記す方法により各特性を測定した。その結果を表2に示す。
(b)各結晶方位を有する結晶粒の面積率
本発明における結晶方位の解析には、EBSD法を用いた。線材の伸線方向に垂直な断面において、主に直径約310μmの試料面積に対し、結晶方位を観察した。測定面積は図1の範囲(半径(3/10)Rの円の内側、もしくは半径(7/10)Rの円の外側)を基に設定し、スキャンステップは試料の平均結晶粒の大きさの約1/5〜1/10に設定した。各結晶方位を有する結晶粒の面積率は、伸線方向に垂直な断面に平行に位置する結晶面に対し、図1の測定面積の中に存在する各結晶方位を有する結晶粒の面積を、図1の全測定面積で割ったものとして与えられる。
(c)引張強度(TS)及び引張破断伸び(柔軟性)
JIS Z 2241に準じて各3本ずつ試験し、その平均値を求めた。引張強度の下限は好ましくは80MPa以上であり、更に好ましくは100MPa以上である。また、引張強度の上限は好ましくは240MPa未満であり、更に好ましくは220MPa未満である。柔軟性に関する指標として、引張破断伸びは10%以上が好ましい。さらに好ましくは15%以上である。
(d)導電率(EC)
長さ300mmの試験片を20℃(±0.5℃)に保持した恒温漕中で、四端子法を用いて比抵抗を各3本ずつ測定し、その平均導電率を算出した。端子間距離は200mmとした。導電率は、特に限定はしないが、電気を流すため高い方が好ましい。
(e)繰返破断回数(耐屈曲疲労特性)
耐屈曲疲労特性の基準として、常温におけるひずみ振幅は±0.17%とした。耐屈曲疲労特性はひずみ振幅によって変化する。ひずみ振幅が大きい場合疲労寿命は短くなり、ひずみ振幅が小さい場合疲労寿命は長くなる。ひずみ振幅は図3記載の線材1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径により決定することができるため、線材1の線径と曲げ冶具2、3の曲率半径は任意に設定して屈曲疲労試験を実施することが可能である。
藤井精機株式会社(現株式会社フジイ)製の両振屈曲疲労試験機を用い、0.17%の曲げ歪みが与えられる治具を使用して、繰り返し曲げを実施することにより、繰返破断回数を測定した。繰返破断回数は各4本ずつ測定し、その平均値を求めた。図3の説明図に示すように、線材1を、曲げ治具2及び3の間を1mm空けて挿入し、冶具2及び3に沿わせるような形で繰り返し運動をさせた。線材の一端は繰り返し曲げが実施できるよう押さえ冶具5に固定し、もう一端には約10gの重り4をぶら下げた。試験中は押さえ冶具5が動くため、それに固定されている線材1も動き、繰り返し曲げが実施できる。繰り返しは1分間に100回の条件で行い、線材の試験片1が破断すると、重り4が落下し、カウントを停止する仕組みになっている。繰返破断回数は好ましくは10万回以上、より好ましくは12万回以上、更に好ましくは14万回以上である。
Figure 2013044039
Figure 2013044039
比較例1−No.1〜6は、アルミニウム合金の製造条件によって本発明の規定するアルミニウム合金導体が得られなかった例である。比較例1−No.1、3、5では、繰返破断特性が悪かった。比較例1−No.2、4では、伸線工程中に断線した。比較例1−No.6では、仕上げ焼鈍中に断線した。
これに対し実施例1−No.1〜13では、引張強度、導電率、引張破断伸び(柔軟性)、及び繰返破断特性(耐屈曲疲労特性)に優れたアルミニウム合金導体が得られた。
1 試験片(線材)
2、3 曲げ治具
4 重り
5 押さえ冶具
21 ダイス
22 ダイス半角
41 ステレオ投影図の標準三角形

Claims (10)

  1. 線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として25°以上ステレオ投影図の標準三角形の範囲内の角度で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に50%以上であり、かつ、線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とするアルミニウム合金導体。
  2. 線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(100)面から法線方向を基準として0°以上20°以下の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材の中心から半径(3/10)Rの円内に50%以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金導体。
  3. 線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として0°以上10°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金導体。
  4. 線材の伸線方向に垂直な断面に平行に位置する(111)面から法線方向を基準として10°以上25°未満の範囲で傾いている面を有する結晶粒の面積率が、線材の半径をRとすると、線材全体より線材の中心から半径(7/10)Rの円内を除いた範囲に50%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金導体。
  5. Feを0.01〜0.4mass%と、Mgを0.01mass%以上0.3mass%未満と、Siを0.01mass%以上0.3mass%未満と、Cuを0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
  6. Feを0.4〜1.5mass%含有し、残部Alと不可避不純物からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
  7. Feを0.4〜1.5mass%と、Mgを0.01〜0.3mass%と、Siを0.01〜0.3mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
  8. Feを0.01〜1.5mass%と、Mgを0.3〜1.0mass%と、Siを0.3〜1.0mass%と、Cuを0.01〜0.5mass%とを含有し、残部Alと不可避不純物からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
  9. 移動体内のバッテリーケーブル、ハーネス、またはモータ用導線として用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金導体。
  10. 前記移動体が自動車、電車、または航空機であることを特徴とする請求項9に記載のアルミニウム合金導体。
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