JP2013151691A - 混合脂肪酸セルロースエステル - Google Patents
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Abstract
ースアセテートアシレート)を提供する。
【解決手段】粘度平均重合度が130以上でかつ180以下であり、有機溶媒に溶解しろ
過して異物を減少させることなく、10μm以上の輝点異物が10個/mm3以下である
セルロース混合脂肪酸エステル、特にはセルロースアセテートアシレート。総アシル基の
平均置換度が2.0〜2.9、かつ、ポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量が10
×104〜30×104であってもよい。
【選択図】 なし
Description
成するのに有用なセルロース混合脂肪酸エステルの製造方法及びその方法により製造され
たセルロース混合脂肪酸エステル及びそのセルロース混合脂肪酸エステルを用いて作られ
た光学フィルムに関する。
されている。例えば、液晶テレビに代表されるフラットパネルディスプレイに用いられる
液晶表示装置に使用される偏光板は、一般に、セルロースエステルフィルムで形成された
偏光板用保護フィルム(偏光膜用保護フィルム)と偏光膜との貼り合わせにより得られる
。
伴って低下する。
例えば、セルロースエステルフィルムの偏光板用保護フィルムには、フィルムに適度な柔
軟性を付与するために、通常、セルロースエステルフィルム中にリン酸エステル等の可塑
剤が含有されており、このような偏光板用保護フィルムを備えた偏光板を高温高湿下で使
用した場合、薄膜にクラックが入ったり、偏光板用保護フィルムが偏光膜から剥離したり
、偏光板用保護フィルムが着色するなどの問題が発生することがあった。そのため、偏光
板では、偏光膜をカバーする偏光板用保護フィルムの特性が、その特性に大きな影響を与
え、カーナビゲーションのように車内で高温高湿に曝される場合には無論のこと、一般的
な利用においても耐湿性(又は耐湿熱性)が要求される。そして、このような吸湿による
劣化現象は、一般に使用されているセルロースエステルを用いた光学フィルム、さらには
この光学フィルムを備えた表示装置についても経時的に観察される。
面方向と厚さ方向の屈折率の制御が求められる。それらを制御する一手段として、フィル
ムの延伸が挙げられる。セルロースエステルの中で、セルロースアセテート(酢酸セルロ
ース)はそれ自体の延伸性は小さく、フィルムの面内および厚さ方向の屈折率制御の範囲
は限られる。一方、セルロースアセテートが持つアセチル基よりも炭素数の多い置換基を
導入することで、延伸性が付与される。例えばアセチル基よりも炭素数の多いプロピオニ
ル基をさらに導入した酢酸プロピオン酸セルロースなどのセルロース混合脂肪酸エステル
、特にはアセチル基を含むセルロース混合脂肪酸エステルは、高い延伸比でフィルムの延
伸が可能となる。それによって制御できる屈折率の範囲が拡大し、光学用フィルムとして
適用できる範囲も拡大する。すなわち、延伸する用途に対してはセルロース混合脂肪酸エ
ステルの方が好適に用いることができる。
知られており、特開平10−45804号公報(特許文献7)には、硫酸を触媒として、
セルロースを酢酸または無水酢酸および炭素原子数が3以上の有機酸またはその無水物と
エステル化反応させ、セルロースの水酸基がアセチル基および炭素原子数が3以上のアシ
ル基で置換されており、特定の置換度割合を有するセルロースの混酸エステルを製造する
方法であって上記エステル化反応の最高温度を35乃至50℃に調整するセルロースの混
酸エステルの製造方法が開示されている。この文献の方法では、比較的平均重合度が高い
セルロース混合脂肪酸エステルを得ることができる。
に優れるなどの良好な耐湿性(耐湿熱性)が要求される。このようなセルロースエステル
の耐湿性(耐湿熱性)は、セルロースアセテートに比べて、セルロースアセテートプロピ
オネートなどのセルロース混合脂肪酸エステルの方が優れていることが知られている。
例えば、特開2003−221455号公報(特許文献1)には、重量平均分子量Mwと
数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.8〜3.5であるセルロースエステルを含
有し、特定の輝点異物が10個以下であるセルロースエステルフィルムが開示されている
。
ジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましいこと、アセチル基の置換
度とプロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度の合計が2.4以上3.0以下であ
ること、アセチル基の置換度とプロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度の合計が
2.5以上2.85以下であることが好ましいこと、アセチル基の置換度が1.4以上2
.0以下であることが好ましいこと、プロピオニル基やブチリル基の置換度の割合を大き
くするとフィルムの水分率を小さくすることができ、耐湿熱性を向上できることが記載さ
れている。しかしながら、このようにアセチル化度を高くした場合は延伸性が低下する。
このため得られたフィルムを延伸して光学特性を所望のものにし難い。
一方、近年、液晶表示装置などの高画質化、高精細化に関する開発が進んでおり、それ
に伴って、液晶表示装置などに用いられる光学フィルム(偏光板用保護フィルムなど)に
対しても、フィルム中に含まれる異物の低減に対する要求が強くなっている。
、製造工程において混入するゴミに起因するもの、セルロースエステル中に含まれる未酢
化又は低酢化度のセルロースエステル繊維に起因するものなどが挙げられる。これらの内
、製造工程のゴミなどに起因するものは、いわゆる黒色異物として光学的欠点となる。ま
た、この黒色異物とは別に、輝点異物というものも存在する。
る。輝点異物とは、直交状態(クロスニコル)で配置した2枚の偏光子の間にセルロース
エステルフィルムを置き、一方の偏光子の外側から光を当て、他方の偏光子の外側から顕
微鏡で観察すると、異物部分で光が漏れ、輝点となって見える異物である。
さらに、特開2003−213004号公報(特許文献2)には、異物として、照射光
の反射により白色の異物として、クロスニコル状態での発光現象として観察されるいわゆ
る砂目状異物という輝点異物とは区別される光学的な欠点も指摘されている。
目され、その改善が求められているが、特に、セルロースアセテート以外のセルロースア
セテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)のよう
なセルロース混合脂肪酸エステルを製造する場合には、未反応のセルロースや低置換度の
セルロースエステルなどが生じやすくなり、前記輝点異物や砂目異物などの微小異物の問
題がより一層多く生じる。
ステルなど異物を生じやすいことは、一般的に知られており、例えば、「繊維素系樹脂(
宇多和夫、丸澤廣著 日刊工業新聞社 刊)」(非特許文献1)には、プロピオニル基を
セルロースに導入しようとした場合において、「また触媒としては通常硫酸が使用される
がアセテートブチレートの製造の場合と同様、触媒効果が弱くまた反応も緩慢であり、ま
た、セルロースの崩壊もいちじるしいので溶解性が均一良好で未反応繊維も少なく、粘度
も高いプロピネートを得るためには前処理活性化を十分に行うとともに、エステル化混酸
倍量を少なくする必要がある。」と記載されている。
そして、「熟成終了後酢酸マグネシウムで残存する硫酸を完全に中和したのち、ろ過を
行い未反応繊維や異物を除去したのち沈殿し、洗浄、安定化後脱水、乾燥、粉砕し製品と
する。沈殿や洗浄はアセテートブチレート同様、浴が疎水性であるため、アセチルセルロ
ースの場合よりむつかしい。」とも記載されている。
では、未反応繊維や中和の際に生成した無機塩が異物として残存することが技術常識であ
り、この低減のための試みも行われている。
例えば、米国特許2494143号(特許文献9)には、水には溶解するものの溶液では
溶解しない無機塩の結晶をろ過助剤として用いてろ過する方法が記載されている。この方
法によれば、これらの無機塩の結晶は中和の過程で生成する。すなわち、セルロースの混
合脂肪酸のエステル化の過程で用いられる触媒硫酸を熟成工程で酢酸マグネシウムなどの
塩で中和し、生成した硫酸マグネシウムの結晶を熟成条件の調整により成長させる。これ
らの無機塩はろ過に際して1/32インチ程度の薄い結晶を形成し濾過性能を高める。濾材の
目開きは少なくとも50メッシュ(約300μm)であることが記載されている。実施例にお
いてはセルロースアセテートブチレートにおいて硫酸マグネシウムを用いた例が記載され
ている。
やヘイズの優れたセルロースエステルを製造する方法が記載されている。この文献によれ
ば、熟成後のセルロースエステルのドープは通常は不完全にエステル化されたセルロース
ファイバー、無機塩、埃(ダスト)そしてその他の異物を含むことが記載されている。そ
して、熟成後のセルロースエステルのドープを過熱することにより長い針状の硫酸マグネ
シウムの結晶を生成させ、これをろ過助剤として用いてろ過する方法が記載されている。
実施例としてはセルロースアセテートとセルロースアセテートプロピオネートが記載され
ている。また濾材としては80×80メッシュ(目開き180μm)のステンレスワイヤ
の濾材と24×110メッシュ(目開き710μm×140μm)のステンレスワイヤの
濾材が記載されている。
この方法によれば、従来の用途である成形品や写真用フィルムに用いることができる程度
の異物の減少効果は得られる。しかしながら、液晶表示装置などに用いられる狭義の光学
フィルムとして用いことができる程度の異物の低減効果は少なく、特に輝点異物について
ろ過したとしても要求されるレベルに到達するものではなかった。
すなわち、エステル化における炭素数3以上の脂肪酸と触媒硫酸との反応性を改善するた
めに、例えば、「C.J.Malm:Svendk Kem.Tidskr,73,10
(1961)」(非特許文献2)には、前処理においてセルロースを酢酸で活性化後少量
の硫酸を含む酪酸で処理してセルロースに硫酸を収着させたのちエステル化するとともに
、エステル混酸量とセルロースの比をできるだけ小さくして、酸無水物および触媒硫酸濃
度を高める技術が記載されている。また、米国特許2097954号(特許文献6)には
、アセチル化度が高いセルロール混合脂肪酸エステルにおいて、セルロースを酢酸で活性
化した後、少量の硫酸を含む酪酸で処理する前処理工程を提案している。しかし、これら
の方法では確かに、溶融成型物や塗料のバインダーなどに用いる場合には、ドープの濾過
を行うことが前提であれば、異物を充分に少なくすることができたが、光学フィルム中で
も液晶表示装置などに用いられる光学フィルムとして用いことができなかった。
換度が高いセルロース混合脂肪酸エステルにおいては、これらの混合脂肪酸エステルが疎
水性のため、結合硫酸が脱離しにくいため、加水時に希酢酸を混合し、加温して結合硫酸
を脱離させる技術が開示されている。
階で行うことにより、結合硫酸量を減少することができることが記載されている。すなわ
ち媒硫酸量を低減することなく、分子量の低下を抑制しつつ、結合硫酸の量を低減できる
セルロースエステルの製造方法が開示されている。この方法によれば硫酸触媒の存在下、
セルロースをアシル化剤でアシル化した後、熟成工程において、連続的又は複数回(例え
ば、3回以上)に分けて間欠的に塩基(カルシウム成分など)を添加して熟成し、結合硫
酸量の少ないセルロースエステルを製造する。この方法により、結合硫酸量を10〜15
0ppm程度に低減できるので、カルシウム含量も10〜110ppm程度に低減できる
ことが記載されている。そしてこの方法で得られたセルロースエステルは、光学フィルム
(例えば、偏光板の保護フィルム)などとして有用であることも記載されている。しかし
ながら、この技術ではセルロース混合脂肪酸エステルにおける輝点異物の除去は十分では
ない。
更に、セルロース混合脂肪酸エステルではこのような微細な異物は、セルロース混合脂肪
酸エステルの有機溶媒溶液をろ過ような通常の方法では精密に除去することは困難であっ
た。
プ中には未溶解物が存在するので、ろ過処理を行うことが一般的である。このようなろ過
では、セルロースエステル溶液は粘度が高いため、ろ過材として、濾過面積の大きいフィ
ルタープレスやディスク状の金属フィルタが用いられている。このようなろ過材は、未溶
解物の捕捉により、圧力を上昇させるので定期的に交換する必要がある。
交換時には、一旦、ろ過器内にあるセルロースエステル溶液を取り除く必要がある。近
年においては、上述のようにセルロースエステルフィルムに対する要求品質がますます厳
しくなり、特に、未酢化又は低酢化度のセルロースエステルの除去方法として、従来のよ
うなセルロースエステルを溶媒に溶解した溶解液、すなわち流延ドープ液を単に濾過する
ことだけでは目標とする品質を得ることが難しくなり、より小粒径の異物を除去する必要
が生じてきた。
が報告されている。例えば、前記特許文献1には、セルロースエステルを溶媒に溶解した
ドープ液を、二段階以上の濾過工程(例えば、第一段階が濾紙による濾過工程であり、第
二段階が金属フィルタによる濾過工程である濾過工程)を経て製膜する方法が開示されて
いる。また、前記特許文献2には、セルロース製フィルターペーパーを用いたセルロース
エステル溶液の濾過方法において、該セルロース製フィルターペーパーが、保留粒子径の
最小粒子径が3μm以下0.5μm以上であり、厚みが3.5〜4.5mmであり、かつ
濾水時間が150〜350秒である濾過方法が開示されている。
直径を持つ輝点の数が1cm2当たり0個であって、そして直径が0.01〜0.05m
mの範囲の輝点数が1cm2当たり500個以下であるセルロースエステルフィルムが開
示されている。この文献には、不溶物などを除去するためには絶対濾過精度が0.005
mm以下(特に0.001〜0.005mm)の範囲の濾材が好ましく、このように濾過
精度の高い濾材で濾過することにより、エステル化されていないセルロースなどの微小の
不溶物および不純物を効果的に除去することができることが記載されている。
に溶解させたポリマー溶液の濾過方法において、前記ポリマー溶液中に含まれる不溶解物
のうち、少なくとも一の不溶解物のサイズよりも大きな孔径の孔を有する濾材を使用する
ことを特徴とするポリマー溶液の濾過方法が開示されており、特開2004−11389
7号公報(特許文献5)には、ポリマーを溶媒に溶解したドープ中の異物をろ過により除
去するドープの濾過方法において、前記ドープ中の異物を孔径の同一な焼結金属フィルタ
を備えた2基以上の濾過器を直列に配置して濾過するドープの濾過方法が開示されている
。
ム中の異物は減少するものの、また流延するドープ溶液(セルロースエステルを有機溶媒
で溶解した溶液)でろ過する場合の技術的な限界もあった。すなわち、従来の光学フィル
ムのろ過方法での異物除去方法の検討では、セルロースエステル(セルロースアシレート
、例えばセルロースアセテートあるいはセルロースアセテートプロピオネートやセルロー
スアセテートブチレートのようなアセチル基を含むセルロース混合脂肪酸エステル)など
をフィルムとして流延する前に、流延するセルロースエステル溶液(ドープ)を用いてろ
過を行っていた。この様な流延溶液に使用される溶媒は当然のことならが溶解する溶質で
あるセルロースエステルに対する良溶媒が用いられるのが基本的な技術である。すなわち
、溶解するセルロースエステルをなるべく均一に溶解し、かつなるべく濃度が高いセルロ
ースエステル溶液を得、かつ得られた溶液の溶液粘度を低下させるためには、溶質のセル
ロースエステルの良溶媒を用いるのが最も好ましい。
砂目異物の原因となる置換度の程度がことなる粒子成分であっても溶解する。特に溶質が
セルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオレートなどのセルロー
ス混合脂肪酸エステルとなった場合には、これらのセルロース混合脂肪酸エステルは各種
の溶媒に対する溶解性が良好なため、輝点異物の対象となる程度の置換度の相違であれば
容易に膨潤あるいは半溶解するためにろ過材料の目開きを小さくしたとしても膨潤あるい
は半溶解した低置換度のセルロースエステルはそのサイズや形状により濾過材を変形や分
裂し濾過材を通過し、フィルム製膜時の溶液濃度が濃くなる段階で析出して輝点異物を形
成することも考えられドープ溶液の精密ろ過での輝点異物の低減方法には限界があった。
、微小な異物をろ過するために、ろ過の目開きを小さくすればろ過効率が低下することも
あり、重合度の大きなセルロース混合脂肪酸エステルを得ることはできないし、またろ過
効率が低下を許容したとしても、濾材を通過する輝点異物や砂目異物が問題となった。
そのため、流延溶液とする前の原料としてのセルロース混合脂肪酸エステルに含まれる異
物が少なく、かつ重合度が大きなセルロース混合脂肪酸エステルが求められているが実用
化されていなかった。
ル(特に、セルロースアセテートアシレート)を提供することにある。
成分および輝点異物の少ないセルロース混合脂肪酸エステルを提供することにある。
大きなセルロース)を用いても、異物の少ない均質なセルロース混合脂肪酸エステル(特
に、セルロースアセテートアシレート)を提供することにある。 本発明の別の目的は、
支持体(金属支持体など)に対する高い剥離性を示すセルロース混合脂肪酸エステル(特
に、セルロースアセテートアシレート)を提供することにある。
学補償フィルム、偏光板保護フィルムなど)を調製するのに有用なセルロース混合脂肪酸
エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)を提供することにある。
差の変化が小さく、延伸されていてもよい光学フィルムを提供することにある。
ステルでは、エステル化剤として、無水酢酸以外に無水酪酸や無水プロピオン酸のような
長鎖の無水脂肪酸が用いられる。これらの無水酸を含むエステル化溶媒の中では触媒硫酸
の収着量も少なくなり、またこれらの長鎖の無水脂肪酸は無水酢酸に対して分子も大きく
、セルロース中でのこれらの長鎖無水脂肪酸の拡散速度も遅い。触媒硫酸の収着量が少な
いためセルロース主鎖の切断が起き易くなり、分子量も低下しやすい。そして、以上の理
由でセルロース混合脂肪酸エステルにおいては未反応繊維やエステル化度が低い低置換度
のセルロースエステルが多く含まれる。そして、このような輝点異物や不溶解物は光学フ
ィルム流延時の流延液のろ過では除去し切れない。
応セルロースの除去を目的としてセルロースアシレートの合成に続き、合成したセルロー
スアシレートが溶解している反応混合物をろ過する技術も開示されている。しかし、この
方法では光学フィルムとして用いることが可能な程度に未反応繊維やエステル化度が低置
換度のセルロースエステルを低減することはできない。その理由としては、未反応繊維や
反応触媒の中和で生じる硫酸塩が反応混合物に含まれ、これが反応溶媒に不溶であるため
、ろ過操作に対して著しい負担となる。その結果、僅少量であっても光学フィルムとして
の性能に著しく影響する低置換度のセルロースエステルを効率的に除去することが阻害さ
れるためである。
に硫酸塩を含まないセルロースアシレートを得て、これを溶媒に溶解してろ過を行い、光
学フィルムの流延に用いる方法が考えら得る。しかしこの方法では、低置換度セルロース
エステルに対する良溶媒を用いるため、低置換度セルロースエステルからなる異物のろ過
精度を満足する水準まで向上させることができない。
AP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)のようなセルロース混合脂肪酸エス
テルを製造する場合であっても、活性化処理を50℃以下の温度で少なくとも8時間以上
行うことにより異物量が少なくなることを見出した。
の第1の処理工程の後、アシル化触媒(硫酸など)及びアシル化溶媒(有機カルボン酸な
ど)による第2の処理工程とで構成すると、触媒硫酸量を過量に用いなくても異物量が少
なくなることを見出した。そしてエステル化開始からの温度を所定時間低温に保つことに
よりより一層これらの活性化処理工程の効果が向上することを見出した。さらには熟成工
程終了時のアシル化触媒(硫酸など)の中和を多段階で行うことにより前期の活性化処理
での触媒硫酸量の減少効果と併せて残存硫酸量を少なくすることができ、熟成工程終了時
の反応生成物を精密ろ過するのに好適なセルロース混合脂肪酸エステルが得られることを
見出し本発明を完成した。
えば焼結金属フィルタ、金属繊維の焼結フィルタ、樹脂フィルタ(織布、不織布)、多孔
質セラミックスフィルター、多孔質ガラスフィルターなどが使用できる。またフィルタの
平均目開きは除去しようとする異物の大きさによって適宜変動させられるが、通常0.1
〜50μmの範囲から選択される。
を活性化する工程(活性化工程、前処理工程)と、この活性化工程により活性化されたセ
ルロースを、アシル化触媒の存在下、少なくとも炭素数3以上のアシル基(特にアルキル
カルボニル基)を有するアシル化剤(又は炭素数3以上のアシル基に対応するアシル化剤
)でセルロースをアシル化(又はエステル化)する工程(アシル化工程又はエステル化工
程)とを含むセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースエステルという場合がある)の
製造方法であって、前記活性化工程が、アシル化溶媒でセルロースを活性化する第1の活
性化処理工程を含む第1の活性化工程と、アシル化溶媒およびアシル化触媒でセルロース
を活性化する第2の活性化処理工程を含む第2の活性化工程とを含む。
ギ酸、酢酸などのC1−6アルカン酸など)で構成してもよく、アシル化触媒(アシル化
酸触媒)は硫酸で構成してもよい。本発明では第1の活性化工程ではアシル化触媒を含ま
ない。第1の活性化工程では例えば酢酸などの有機カルボン酸を用いても良い。本発明で
はアシル化触媒を含まない活性化工程を50℃以下の温度(例えば25℃)で8時間以上
(例えば15から24時間)保持する工程で構成される。活性化工程は第1の活性化工程
だけで構成してもよく、アシル化触媒を含み活性化工程は必須ではないが、アシル化触媒
を添加する場合は第2の活性化工程で添加する。
などの硫酸含有有機カルボン酸(例えば、硫酸を含むC1−6アルカン酸)を用いてもよ
い。また、第2の活性化処理工程において、アシル化溶媒及びアシル化触媒の総量に対し
てアシル化触媒の濃度は1〜10重量%(例えば、2.5〜9重量%、好ましくは3〜9
重量%、さらに好ましくは4〜8.5重量%)程度であってもよい。
温度10〜40℃)で所定時間(例えば、30〜180分程度)保持する第2の保持工程
(例えば、温度10〜30℃で35〜150分程度保持する保持工程)を含んでいてもよ
い。また、アシル化剤は有機カルボン酸無水物(例えば、少なくともC3−6アルカン酸
無水物で構成された酸無水物)で構成してもよい。さらに、前記方法において、第1の活
性化処理工程でのアシル化溶媒(例えば、酢酸などのC1−6アルカン酸など)の使用量
は、セルロース100重量部に対して50〜100重量部程度であってもよく、第2の活
性化処理工程でのアシル化溶媒およびアシル化酸触媒(例えば、硫酸を含む酢酸などの硫
酸を含むC1−6アルカン酸)の使用量は、セルロース100重量部に対して15〜50
重量部程度であってもよい。また、前記エステル工程は、硫酸の存在下で炭素数3以上の
アシル基に対応するアシル化剤でセルロースをアシル化できればよく、例えば、少なくと
も硫酸およびC3−6アルカン酸無水物(特に、C3−4アルカン無水物)を使用(活性
化されたセルロースに混合、添加)してもよい。
)でセルロースを活性化させる第1の活性化処理工程を含む第1の活性化工程、および硫
酸を含む有機カルボン酸(例えば、酢酸などのC1−6アルカン酸)でセルロースを活性
化させる第2の活性化処理工程を含む第2の活性化工程で構成された少なくとも2段階の
活性化工程と、活性化されたセルロース(第2の活性化工程を経たセルロース)を、硫酸
の存在下、少なくともC3−6アルカン酸無水物(例えば、無水プロピオン酸、無水酪酸
などのC3−6アルカン酸無水物)でエステル化し、セルロース混合脂肪酸エステル(例
えば、セルロースアセテートC3−6アシレートなど)を生成させるエステル化工程と、
このエステル化工程後(又はエステル化終了後)、少なくとも前記酸無水物(残存した酸
無水物)を失活させる工程と、硫酸[例えば、硫酸(遊離の硫酸)又は結合硫酸]の存在
下、生成したセルロース混合脂肪酸エステルを熟成する熟成工程とを含んでいてもよい。
なお、通常、結合硫酸は、セルロースから加水分解により脱離したのち、熟成触媒として
作用する。
場合には、セルロースのアシル化後、反応系に存在する酢酸を利用してアセチル化しても
よく、例えば、前記方法のエステル化工程及び/又は熟成工程において、反応系に酢酸を
存在させて、セルロースアセテートアシレートを得てもよい。代表的には、前記方法にお
いて、エステル化工程で、アシル化溶媒としての酢酸およびアシル化剤としてのC3−6
アルカン酸無水物を使用し、無水酢酸を使用することなくセルロースアセテートC3−6
アシレートを得てもよい。すなわち、アセチル基に対応するアシル化剤(特に無水酢酸)
は、通常炭素数3以上のアシル基に対応するアシル化剤(無水プロピオン酸、無水酪酸な
どのC3−6アルカン酸無水物など)に比べてアシル化能力が高いため、セルロースに対
して優先的に置換する。一方、反応系に酢酸が存在すると、この酢酸により、セルロース
に置換した炭素数3以上のアシル基がアセチル基にエステル交換する。
ースアセテートアシレートを効率よく得ることができる。比較的低いアセチル置換度を有
するセルロースアセテートアシレートは、セルロースアセテートに比べて成形性や延伸性
などに優れるものの、異物が生じやすい。本発明では、このような方法を利用することに
より、アセチル置換度が小さいセルロースアセテートアシレートであっても、異物の含有
量を著しく低減できる。 本発明の方法においてはセルロース混合脂肪酸エステルの合成
工程において、エステル化開始から45分以上300分以下の間、反応器内温を10℃以下に保
つ工程を含んでも良い。
を抑制しつつ、不純物(低エステル化セルロース)の生成を防止できる。そして、触媒硫
酸量が少なくしても低反応セルロースエステルの生成を防止することができ、このため触
媒硫酸に起因する硫酸金属塩が熟成反応終了後の反応生成物のろ過の際に濾過残渣として
作用してろ過性能を損なうことがない。特に、結晶化度の高いセルロースを用いても、酢
酸に比べて反応性の低い炭素数3以上のアルカン酸無水物を結晶領域に浸透又は拡散でき
、セルロースの重合度の低下(解重合)を抑制しつつ、不純物(低エステル化セルロース
)の生成を防止できる。そのため、本発明は、α−セルロース含有量98%以上、平均重
合度1000〜3000のセルロース(例えば、精製綿リンター、リンターパルプ)を用
い、少なくともC3−6アルカン酸無水物で構成されたアシル化剤を用いてエステル化す
るのに適している。
、例えば、前記方法により得られたセルロース混合脂肪酸エステルも包含する。このセル
ロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)のうち、本発明の
セルロースアセテートアシレートは、少なくともアセチル基および炭素数3以上のアシル
基(特にアルキルカルボニル基)が置換し、アシル基全体の平均置換度が2.5〜3のセ
ルロースアセテートアシレートであって、(1)塩化メチレン及びメタノールの混合溶液
(塩化メチレン/メタノール=9/1(重量比))への不溶成分量が0.1重量%以下で
あったもより。また(2)アセチル基の平均置換度(A)と炭素数3以上のアシル基の平
均置換度(B)とが下記式(I)〜(III)を満たすセルロースアセテートアシレートで
あってもよい。
0.1 ≦ A ≦ 1.8 (II)
1.2 ≦ B ≦ 2.9 (III)
より好ましくは
0.1 ≦ A ≦ 0.7 (IV)
である。また輝点異物量を減少するのに顕著な様態としては
1.0 ≦ A ≦ 1.2 (V)
である。
前述の通りアセチル置換度(A)が小さくなるとより一層光学的な異物(輝点異物)が生じ
やすくなるが本発明のセルロース混合脂肪酸エステルを用いると光学的異物の発生を抑制
できる。光学的な異物に着目すれば式(V)のアセチル置換度の範囲にすることがより好
ましい。
(例えば、245〜330程度)であってもよく、前記炭素数3以上のアシル基は炭素数
3〜6のアルキルカルボニル基であってもよい。より具体的には、セルロースアセテート
アシレートは、セルロースアセテートC3−6アシレート、例えば、セルロースアセテー
トプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートであってもよい。
塩基)を添加して、熟成工程において、所定量の塩基(例えば、アルカリ金属化合物及び
/又はアルカリ土類金属化合物)を連続的に添加して、残存硫酸の存在下、熟成するか、
又は塩基を添加して、残存硫酸の存在下、熟成する操作を2以上の複数回に亘り繰り返す
と、触媒硫酸量を低減しなくても、あるいは使用する触媒硫酸量が同じであっても、最終
的なセルロース混合脂肪酸エステル中の結合硫酸量を含む残存硫酸量を大きく低減できる
ことを見いだした。そして、このようなセルロース混合脂肪酸エステルの合成方法により
合成されたセルロース混合脂肪酸エステルを熟成工程終了状態の反応溶液(ドープ溶液)
でろ過し、沈殿などの後処理をすることにより、光学フィルムに用いるのに更に好適なセ
ルロース混合脂肪酸エステルが得られることを見出し本発明を完成した。
の処理工程と、この第1の処理工程の後、アシル化触媒(硫酸など)及びアシル化溶媒(
有機カルボン酸など)による第2の処理工程とで構成し、かつエステル化工程が終了した
後、水又は塩基(通常、水溶液の形態の塩基)を添加して、熟成工程停止において、所定
量の塩基(例えば、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物)を連続的に
添加するか、又は塩基を添加する操作を2以上の複数回に亘り繰り返すようなセルロース
混合脂肪酸エステルを合成方法により合成されたセルロース混合脂肪酸エステルの反応溶
液を熟成工程終了状態の反応溶液(ドープ溶液)でろ過し、沈殿などの後処理をすること
により、光学フィルムに用いるのに更に好適なセルロース混合脂肪酸エステルが得られる
ことを見出し本発明を完成した。
アシル化溶媒で処理し、かつ熟成時に多段で中和するとセルロース混合脂肪酸エステルに
含まれる結合硫酸量は大きくなるものの輝点異物はより少ないものを得られる。
更には第1の前処理工程の温度を50℃以下とし、長時間処理することが光学的な異物
の発生の抑制に効果があり、さらにはエステル化の反応開始から所定時間反応容器(反応
系)を低温に保つことにより重合度が高くかつ輝点異物が少なく不溶解物が少なく更には
アシル化触媒に起因する不溶解塩類が少なく反応生成物を精密ろ過するのに適したセルロ
ース混合脂肪酸エステルが得られることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
。この成形体は、光学フィルムなどのフィルムであってもよく、例えば、偏光板の保護フ
ィルム、位相差フィルム、光学補償フィルムから選択された光学フィルムであってもよい
。特に、光学フィルムの中でも、延伸された光学フィルムであって偏光板に貼り合わせら
れるフィルムであり、位相差機能と偏光板保護機能を兼ね備えたフィルムであってもよい
。
る低置換度セルロースであって、光学的に微小異物として作用する成分を意味し、非溶解
成分、不溶解物、低エステル化セルロースなどと同義に用いる。また、酸無水物の炭素数
は、酸無水物に対応する遊離のカルボン酸の炭素数を意味する。
ルなどの硫酸基やスルホン酸基として結合した結合硫酸成分)を意味する。「総硫酸」と
は、結合硫酸、遊離の硫酸などを総称し、「残存硫酸」、「残存硫酸成分」又は単に「硫
酸」という場合がある。また、「残存硫酸」とは、(i)反応系においては、塩基の添加
により中和された硫酸塩(又は析出した硫酸塩)に対応する硫酸は含まず、遊離の硫酸お
よび結合硫酸を意味し、(ii)生成物としてのセルロース混合脂肪酸エステルに対して用
いる場合、結合硫酸、遊離の硫酸、および塩基の添加により中和された硫酸塩などに対応
する硫酸(H2SO4)を含む意味に用いる。また、本明細書において、「アシル(エス
テル)化(又はアシル化反応)の開始」とは、セルロース(活性化処理されていてもよい
セルロース)とアシル化剤(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸などのアシル基に対応
する無水カルボン酸)とを接触させた時点を意味し、「アシル化(又はアシル化反応)の
停止」とは、過剰のアシル化剤を失活させるため、失活剤(水など)を添加した時点を意
味する。
後、アシル化反応系に水、水溶液(例えば、水および有機カルボン酸類との水溶液など)
及び/又は塩基(通常、水溶液の形態の塩基)を添加してアシル化剤を分解しつつ反応系
に水を存在させ、硫酸触媒(又は残存硫酸触媒)の存在下で、脱アシル化及び脱硫酸エス
テル化を行うことを意味する。すなわち、熟成工程における「熟成反応」では、脱アシル
化反応と脱硫酸エステル反応とが、互いに競争的に進行しているようである。そのため、
本明細書において、「脱アシル化」、「脱硫酸エステル化」とは、「熟成」と同じ意味に
用いる場合があり、「脱アシル化および脱硫酸エステル化」を含む意味に用いる場合があ
る。
又は塩基(又は塩基の水溶液)を添加し、水の存在下、熟成(脱アシル化及び脱硫酸エス
テル化)を開始させることを意味する。「熟成反応」は、アシル化反応の停止とともに、
又はアシル化反応を停止し、所定の熟成温度に昇温した後、開始する場合が多く、「アシ
ル化反応の停止」と「熟成反応の開始」とを同意に用いる場合がある。また、「熟成反応
の停止」又は「熟成工程の反応停止」とは、反応系に残存する硫酸(残存硫酸)を過剰量
の塩基で完全に中和することを意味する。また、「原料セルロース」とはアシル化前の原
料セルロースを意味し、アシル化のために添加した硫酸触媒の量は、通常、塩基添加まで
の間に変動せず失われない。
シル化触媒を含む活性化剤により活性化するため、重合度が高くても不溶解物の少なくま
た輝点異物も少ないセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレ
ート)を得る。そして更にこれに混合脂肪酸セルロース混合脂肪酸エステルの製造工程に
おいて反応生成物を含む反応疎液をフィルタろ過することによって異物を除去して、異物
量の少ない混合脂肪酸セルロース混合脂肪酸エステルを得ることができる。
アシル化剤)を用いて、アシル基置換度を大きくしても、重合度が高く不溶成分および輝
点異物の少ないセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート
)を製造できる。さらに、セルロースの結晶領域に対して拡散性又は浸透性の低いアシル
化剤(特に、無水プロピオン酸、無水酪酸などの炭素数3以上のアシル基に対応するアシ
ル化剤)を用い、結晶化度の高いセルロース(特に、結晶化度及び重合度が大きなセルロ
ース)をエステル化しても、異物の少ない均質なセルロース混合脂肪酸エステル(特に、
セルロースアセテートアシレート)を製造でき、このようなセルロース混合脂肪酸エステ
ルの反応液をろ過することにより、異物を更に低減できる。
応を行うため、触媒硫酸量を低減することなく、結合硫酸(又は残存硫酸)の量を低減で
きる。また、分子量の低下を抑制しつつ、残存硫酸成分の量を低減できる。すなわち、残
存硫酸量の低減に伴って、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウ
ム)の使用量を低減できるとともに、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の含有量
が少なくても高い耐湿熱安定性を備えており、このような均質なセルロース混合脂肪酸エ
ステル(特に、セルロースアセテートアシレート)を製造でき、このようなセルロース混
合脂肪酸エステルの反応液をろ過することにより、異物を更に低減できる。 またこ
のようなセルロース混合脂肪酸エステルは光学フィルムにしたときに吸湿による光学性能
の変化が少なく好適である。
でのアシル化触媒を含む活性化剤により活性化し、連続的又は間欠的に塩基を添加し、連
続的又は複数回に亘り熟成反応を行うため、触媒硫酸量を低減することなく、結合硫酸(
又は残存硫酸)の量を低減でき、このようなセルロース混合脂肪酸エステルの反応液をろ
過することにより、異物を更に低減できる。
また、セルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)は、延
伸可能であり、かつ光学フィルム(位相差フィルム、光学補償フィルム、偏光板保護フィ
ルムなど)を調製するのに適している。さらに、セルロース混合脂肪酸エステル(特に、
セルロースアセテートアシレート)は、湿度変化に対して寸法変化が少なく、面内位相差
及び面外位相差の変化が小さく、延伸されていてもよい光学フィルムを調製するのにも適
している。
ルロースをアシル化剤でアシル化(又はエステル化)する工程とを少なくとも含んでおり
、このアシル化後、通常、生成したセルロース混合脂肪酸エステルを熟成(ケン化又は加
水分解)する工程を含む。また、セルロースエステルの一般的な製造方法は「繊維素系樹
脂」(宇多和夫、丸澤廣著 日刊工業新聞社発行)」に記載されているが、以下に本発明
を説明する。
原料セルロースとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、リンターパル
プ(コットンリンターパルプなど)などの種々のセルロース源を用いることができる。こ
れらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有している。従って、本明細書
において、用語「セルロース」は、ヘミセルロースなどの異成分も含有する意味で用いる
。
使用でき、広葉樹パルプと針葉樹パルプとを併用してもよい。また、リンターパルプ(精
製綿リンターなど)と木材パルプとを併用してもよい。本発明では重合度の高いセルロー
ス、例えば、リンターパルプ、特にコットンリンターパルプが使用でき、セルロースは、
少なくともリンターパルプで構成されたセルロースを使用するのが好ましい。セルロース
の結晶化度の指標となるα−セルロース含有量(重量基準)は、98%以上(例えば、9
8.5〜100%、好ましくは99〜100%、さらに好ましくは99.5〜100%程
度)である。
104程度であり、平均重合度(粘度平均重合度)500〜3000、好ましくは600
〜2500、さらに好ましくは700〜2000程度である。好ましいセルロースの平均
重合度は、1000〜3000程度であり、粘度平均重合度600〜1000程度のパル
プも使用できる。本発明の方法では、後述の工程(1)および(2)を組み合わせてセル
ロースを活性化するため、重合度の低下を抑制でき、高い重合度を保持しつつ異物の著し
く少ないセルロースエステルを効率よく得ることができる。なお、セルロースの平均分子
量、平均重合度はE.O.Kvaemer, W.D.Lansing, J.Phys.Chem.,39, 164 (1935)に記載され
ている。なお、前記リンターパルプと木材パルプとを併用して上記重合度範囲に調整して
もよい。
ースの結晶領域に対する浸透性又は拡散性が大きい。そのため、無水酢酸ではさほど問題
にはならないが、炭素数3以上のアシル基に対応するアシル化剤(無水プロピオン酸、無
水酪酸など)を用いると、セルロースの結晶領域に対する浸透性が低いため、均一なエス
テル化が困難となる。特に、炭素数3以上のアシル基に対応するアシル化剤の量的割合が
多いと、均一な組成のセルロース混合脂肪酸エステルを得ることが困難となる。とりわけ
、リンターパルプは結晶構造が緻密であり、アシル化剤としての無水カルボン酸が拡散又
は浸透しにくい。そのため、通常の方法により、リンターパルプと炭素数3以上のアシル
基に対応するアシル化剤とを組み合わせてエステル化すると、組成が均一なセルロース混
合脂肪酸エステルを得ることが困難となる。しかし、本発明では、後述するようにセルロ
ースに特定の活性化処理を施してエステル化することにより、炭素数3以上のアシル基を
効率よく導入(特に、高い置換度で炭素数3以上のアシル基を導入)できる。
どで多少のカルボキシル基を含有していることが知られている。このカルボキシル基含量
(濃度)は、TAPPI Standard T237 om-83などの種々の方法により定量できる。本発明で
規定するパルプ(セルロース)中のカルボキシル基含量は、このTAPPI Standard T237
om-83により定量した値である。
シル基含量の少ないセルロースを使用し、エステル化により生成するセルロースエステル
中のカルボキシル基含量(濃度)を低減化することもできる。セルロースのカルボキシル
基含量は、広葉樹パルプの場合、1meq/100g以下(例えば、0〜1meq/10
0g、特に0.001〜1meq/100g)、好ましくは0.8meq/100g以下
(例えば、0.001〜0.8meq/100g)、さらに好ましくは0.6meq/1
00g以下(例えば、0.001〜0.6meq/100g)程度である。リンターパル
プでは、カルボキシル基含量がさらに小さくなる。特に好適にはカルボキシル基含量は、
0.7meq/100g以下(例えば、0.001〜0.7meq/100g)、好まし
くは0.4meq/100g以下(例えば、0.001〜0.4meq/100g)程度
である。なお、カルボキシル基の濃度は、種類の異なるセルロース(例えば、リンターパ
ルプ及び木材パルプ)を組み合わせて調整してもよい。
活性化工程(又は前処理工程)では、セルロースを活性化剤で処理し、セルロースを活
性化させる。通常、原料セルロースはシート状の形態で供給される場合が多いため、セル
ロースを乾式で解砕処理し、活性化処理(又は前処理)する。活性化剤には、強酸(硫酸
など)が添加される場合もあるが、単純に強酸を含む活性化剤で処理すると、セルロース
の解重合が進行しやすくなり、重合度が低下する。
性化する第1の活性化工程を含む第1の活性化工程と、活性化剤(アシル化溶媒など)お
よびアシル化触媒でセルロースを活性化する第2の活性化工程を含む第2の活性化工程と
で構成する。第1の活性化工程においてアシル化溶媒で活性化処理した後、第2の活性化
工程においてアシル化触媒およびアシル化溶媒により(特に、第1の活性化工程に比べて
アシル化触媒の濃度を高めて)活性化すると、従来の方法に比べて、セルロース、特にア
シル化反応に対して抵抗性を示すセルロースの結晶部分の活性化効果が高くなり、解重合
に比べてエステル化反応の選択性が大きくなるためか、セルロースエステル(特に混合脂
肪酸セルロースエステル)の高い重合度を維持しつつ、未反応物や低エステル化反応物の
副生を低減化できる。また、後述するように、第1の活性化工程における保持時間を長く
すると、より一層高い活性化効果が得られる。
なお、本発明においては、通常、第1の活性化工程では、アシル化触媒(強酸など)を
実質的に含まない活性化剤でセルロースを処理し、第2の活性化工程(又は第2の活性化
工程以降の活性化工程)では、アシル化触媒を含む活性化剤でセルロースを処理する。
第1の活性化処理工程(又は第1の活性化剤添加工程)において、セルロースを活性化
処理する活性化剤は、通常、アシル化反応の溶媒(アシル化溶媒又は媒質)が使用される
。アシル化溶媒としては、有機カルボン酸、例えば、アルカン酸(例えば、ギ酸、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸)などの脂肪族カルボン酸(例えば、直鎖状又は
分岐鎖状C1−6アルカン酸)などが挙げられる。これらの活性化剤は単独で又は二種以
上組み合わせて使用できる。これらの活性化剤(有機カルボン酸)のうち、分子が小さい
ほどセルロース内部に浸透又は拡散しやすく、より効果的にセルロースを活性化させるこ
とができるため、C1−4アルカン酸、特に入手容易性や回収性などの観点から、C1−
2アルカン酸(ギ酸、酢酸)が好ましい。
原料としてのセルロースが水を含んでいてもよく、活性化剤(アシル化剤)として水を含
む水系媒質を使用してもよい。水系媒質はアシル化溶媒(例えば、有機カルボン酸)を含
む水系媒質であってもよく、アシル化溶媒を用いてセルロース原料から水系媒質を置換す
ることを考慮すると、経済的には高濃度のアシル化溶媒(有機カルボン酸)を含む水系媒
質を用いることが好ましい。一方、セルロースが絶乾状態である場合、アシル化溶媒(例
えば、有機カルボン酸)濃度が90%を越えると活性化効果は急激に低下し、例えば、1
00%のアシル化溶媒(有機カルボン酸など)を用いると、本発明の目的とするセルロー
スエステルが得られない場合が多い。そのため、活性化剤として、水と有機カルボン酸と
の混合液を使用してもよい。活性化剤中の水含有量は、0〜50重量%、好ましくは1〜
30重量%、さらに好ましくは5〜25重量%程度である。なお、セルロースには含水率
3〜12重量%(例えば、5〜10重量%)程度の割合で水分を含んでいる場合が多く、
このようなセルロースを使用する場合には必ずしも水を含む活性化剤を使用しなくてもよ
い。通常、第1の活性化化処理は、セルロース100重量部に対して1〜50重量(好ま
しくは2〜30重量部)程度の水の存在下で行ってもよい。このような水は前記のように
、活性化在中に含有させてもよく、セルロース自身が予め含む水分であってもよい。
100重量部に対して50〜100重量部、好ましくは55〜95重量部、さらに好まし
くは60〜90重量部程度であってもよい。
ればよく、活性化処理方法としては、セルロースと活性化剤とを均一に接触できる方法で
あれば特に限定されず、セルロースに活性化剤を噴霧してもよく、活性化剤中にセルロー
スを浸漬してもよい。浸漬による接触は攪拌下で行ってもよい。
第1の活性化工程において、活性化剤の添加時間は1〜15分程度であってもよく、処
理時間(全ての活性化剤とセルロースとの接触が終了するまでの時間)は、添加時間にも
よるが、例えば、1〜120分、好ましくは1〜60分、さらに好ましくは1〜30分程
度であってもよい。活性化処理温度は、0℃〜100℃の範囲から選択でき、通常、10
℃〜40℃、好ましくは15℃〜35℃、さらに好ましくは20〜30℃程度であっても
よい。
性化処理工程と、この活性化処理後、セルロースに対して活性化剤を十分に浸透させるた
め、セルロース(第1の活性化処理により活性化されたセルロース)を保持(又は放置又
は熟成)する保持工程(第1の保持工程)とで構成してもよい。第1の保持工程において
、保持時間(詳細には、第1の活性化処理工程終了から第2の活性化工程開始までの時間
)は、8時間以上(例えば、8時間〜36時間程度)、通常、10時間以上(例えば、1
0〜24時間程度)、好ましくは12時間以上(例えば、16〜18時間程度)であって
もよい。また、保持工程において保持温度は、0℃〜100℃の範囲から選択でき、通常
、10℃〜50℃、好ましくは15℃〜35℃、さらに好ましくは20〜30℃程度であ
ってもよい。
との総時間)は、8時間〜48時間、好ましくは8時間〜24時間(例えば、8時間〜2
0時間)、さらに好ましくは10時間〜20時間、特に15時間〜18時間程度であって
もよい。
第2の活性化工程前に、セルロースを予めアシル化溶媒(特にギ酸、酢酸などの低級カ
ルボン酸)で活性化しておく(すなわち、第1の活性化処理する)と、セルロース(特に
リンターパルプなどの結晶化の程度が大きなセルロース)であっても、アシル化溶媒がセ
ルロース内に拡散浸透し、結晶構造を緩和し、アシル化のためのアシル化触媒の内部への
浸透を促進する。しかも、第1の活性化処理工程のアシル化溶媒は通常アシル化触媒を含
んでいないため、エステル化反応に供してもセルロースの解重合が過度に進行することが
なく、このような第1の活性化工程(第1の活性化処理工程)と第2の活性化工程とを組
み合わせることにより、高い置換度のセルロースエステル(特にC3−6アルキルカルボ
ニル基などのようにアシル基の鎖長が大きく、しかも置換度の高いセルロース混合脂肪酸
エステルであっても、高い重合度と、異物(例えば、未反応セルロース)量の高レベルの
低減とを両立でき、しかも反応の活性の高さに比較してアシル化触媒(硫酸など)の残存
による反応生成物の不溶解物を減少させることができる。
活性化剤)、特に有機カルボン酸(酢酸などのC1−6アルカン酸又はC0−5アルカン
カルボン酸)が使用できる。好ましいアシル化溶媒(又は活性化剤)は、分子量が小さく
、浸透性の高い低級カルボン酸(例えば、C1−4アルカン酸、特に、ギ酸、酢酸などの
C1−2アルカン酸)である。さらに、セルロース混合脂肪酸エステルがアセチル基を含
有する場合には、アシル化溶媒は酢酸であるのが好ましい。アシル化触媒は、通常、強酸
(硫酸、スルホン酸など)、特に硫酸で構成する場合が多い。
、アシル化触媒を含むアシル化溶媒(又は媒質)で処理する工程と、アシル化触媒を含ま
ないアシル化溶媒(又は媒質)で処理する工程とで構成してもよく、アシル化触媒を含む
アシル化溶媒(又は媒質)で複数回に亘り処理する複数の工程で構成してもよい。また、
後者の複数回に亘る処理工程では、アシル化触媒濃度を段階的又は連続的に大きくしても
よく小さくしてもよい。
アシル化溶媒[例えば、硫酸を含む有機カルボン酸(例えば、C1−6アルカン酸、特に
酢酸などのC1−2アルカン酸)など]の使用量(又はアシル化溶媒およびアシル化触媒
の総使用量)は、セルロース100重量部に対して15〜50重量部(例えば、18〜4
5重量部)、好ましくは20〜40重量部、さらに好ましくは25〜35重量部程度であ
る。
ル化触媒の総量[又はアシル化触媒(特に硫酸)を含むアシル化溶媒]に対して、1〜1
0重量%程度の範囲から選択でき、通常、2〜9.5重量%、好ましくは2.5〜9重量
%(例えば、3〜9重量%)、さらに好ましくは4〜8.5重量%(例えば、5〜8重量
%程度)である。アシル化触媒の濃度が低いと、セルロースの活性化効果が小さく、エス
テル化反応が遅くなって未反応物の副生量が増加し、前記濃度が高過ぎると、アシル化触
媒によるセルロースの解重合が顕著となり、セルロースエステル(特に混合脂肪酸セルロ
ースエステル)の重合度が低下する場合がある。なお、第2の活性化工程でアシル化触媒
を高い濃度で含むアシル化溶媒(又は媒質)を用いると、第2の活性化工程の処理時間(
保持時間を含む)を効率よく短縮できる。
1.9〜2.5モル%程度であればよく、アシル化溶媒としてギ酸を用いる場合、アシル
化溶媒に対する強酸の濃度は1.9〜5.5モル%程度であってもよい。
用量は、例えば、0.1〜5重量部程度の範囲から選択でき、通常、0.5〜4重量部、
好ましくは0.6〜3.5重量部(例えば、0.7〜3重量部)、さらに好ましくは0.
8〜2.5重量部(例えば、0.85〜2.3重量部)程度であってもよい。
セルロース)をアシル化触媒を含む活性化剤で処理できればよく、活性化処理方法として
は、セルロースと活性化剤とを均一に接触できる方法であれば特に限定されず、前記第1
の活性化処理と同様の方法(噴霧、浸漬など)が挙げられる。通常、第2の活性化処理は
、アシル化触媒を含むアシル化溶媒中にセルロースを添加して行ってもよい。添加および
混合は、通常、攪拌下で行ってもよく、攪拌によりスラリー状物を調製してもよい。
理時間(全ての活性化剤とセルロースとの接触が終了するまでの時間)は、添加時間にも
よるが、例えば、1〜120分、好ましくは1〜60分、さらに好ましくは1〜30分程
度であってもよい。また、第2の活性化処理温度は、0℃〜100℃の範囲から選択でき
、通常、10℃〜40℃、好ましくは15℃〜35℃、さらに好ましくは20〜30℃程
度であってもよい。
とも含んでいればよく、通常、第2の活性化処理工程(第2の活性化剤添加工程)と、こ
の活性化処理後、セルロース(第2の活性化処理により活性化されたセルロース)を保持
(又は放置又は熟成)する保持工程(第2の保持工程)とで構成してもよい。この保持工
程(第2の保持工程)での保持温度は、10〜40℃(例えば、15〜35℃、好ましく
は20〜30℃)程度であってもよい。また、第2の保持工程において、保持時間(詳細
には、第2の活性化処理工程終了からアシル化開始(アシル化剤の添加)までの時間)は
、5分以上(例えば、10〜300分)の範囲から選択でき、例えば、20分以上(例え
ば、25〜240分程度)、好ましくは30〜180分(例えば、35〜150分)、さ
らに好ましくは40〜120分程度である。保持温度は10〜30℃程度、保持時間は4
0〜180分程度である場合が多い。また、第2の活性化処理工程において、アシル化触
媒を、比較的高濃度(例えば、アシル化溶媒及びアシル化触媒の総量に対して5重量%以
上)又は多量[例えば、セルロース100重量部に対して1重量部以上(例えば、1.2
〜3重量部程度)]で使用する場合には、比較的短い保持時間[例えば、70分以下(例
えば、35〜60分程度)]としてもよい。
との総時間)は、0.1〜72時間(10分〜24時間程度)の範囲から選択でき、例え
ば、25〜240分、好ましくは35〜180分、さらに好ましくは45〜120分程度
、通常0.1〜3時間(好ましくは90〜150分程度)であってもよい。第2の活性化
工程の時間が短すぎると活性化の効果が不充分か均一に処理を行うために不適当であり、
長すぎると工業的製造に適さない。
活性化)する工程)で構成されていればよい。また上記の第1の活性化工程および第2の
活性化工程の少なくとも二段階の工程で構成されていればよく、さらに多段階の工程(三
段階、四段階など)で構成されていてもよい。ただし、三段階以上の多段階の工程であっ
ても、第1の活性化処理工程では、通常、アシル化触媒(強酸など)を実質的に含まない
活性化剤でセルロースを処理する必要がある。
前記活性化処理(第1および第2の活性化処理)により活性化されたセルロースは、ア
シル化触媒の存在下、少なくとも炭素数3以上のアシル基を有するアシル化剤でアシル化
(又はエステル化)され、セルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテート
アシレート)を生成する。アシル化触媒としては、前記と同様に強酸、特に硫酸が使用で
きる。アシル化工程でのアシル化触媒(特に、硫酸)の使用量は、前記活性化工程でのア
シル化触媒の使用量を含めて合算で、例えば、セルロース100重量部に対して5〜20
重量部(例えば、6〜18重量部、好ましくは7〜15重量部、さらに好ましくは8〜1
2重量部)程度の範囲から選択でき、通常、8〜15重量部程度である。
、酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライドなどの有機酸ハライドであ
ってもよいが、通常、酸無水物[例えば、炭素数2以上のアルカン酸の酸無水物(有機カ
ルボン酸無水物)]、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸など
のC2−6アルカン酸無水物が使用できる。本発明では無水酢酸よりも反応性の低いアシ
ル化剤を用いても効率よくアシル化できるため、アシル化剤としては、少なくとも炭素数
3以上のアシル基(特にアルキルカルボニル基)を有するアシル化剤(例えば、少なくと
もC3−6アルカン酸無水物)が使用される。これらのアシル化剤は単独で又は二種以上
組み合わせて使用してもよい。
ば、カルボン酸(特にアルカン酸)酸無水物)を用いればよく、例えば、C2−6アルカ
ン酸に対応する酸無水物から選択され、かつ炭素数の異なる複数の酸無水物を用いてもよ
い。例えば、無水プロピオン酸及び/又は無水酪酸と無水酢酸とを組み合わせて用いても
よい。好ましいアシル化剤は、C2−4アルカンカルボン酸無水物、例えば、C3−4ア
ルカンカルボン酸無水物から選択された少なくとも一種(無水プロピオン酸及び/又は無
水酪酸)、無水酢酸と無水プロピオン酸との組み合わせ、無水酢酸と無水酪酸との組み合
わせ、無水酢酸と無水プロピオン酸と無水酪酸との組み合わせである。特に、無水酢酸と
無水プロピオン酸との組み合わせ、無水酢酸と無水酪酸との組み合わせが好ましい。なお
、無水酢酸は無水プロピオン酸などの比べて反応性が高いため、後述のように、特に、ア
セチル基の置換度が小さいセルロース混合脂肪酸エステルを得る場合には、無水酢酸を用
いないか、又は本発明の目的を損なわない範囲で少なくとも炭素数3以上にアシル基に対
応するアシル化剤と少量の無水酢酸とを組み合わせてもよい。
酢酸の存在下でアシル化及び/又は熟成できれば、アシル化剤は炭素数3以上のアシル基
に対応するアシル化剤(例えば、無水プロピオン酸、無水酪酸など)で構成すればよく、
必ずしもアセチル基に対応するアシル化剤(特に、無水酢酸)を含んでいなくてもよい。
すなわち、セルロースアセテートアシレートの製造において、エステル化工程やその後の
工程(熟成工程など)において、酢酸を用いると、エステル交換反応により他のアシル基
(C3−6アシル基)が、より置換しやすいアセチル基に置換される。
成反応で使用する溶媒などとして酢酸を用いると、セルロースが一旦炭素数3以上のアシ
ル基で置換されても、前記酢酸と、アシル化工程及び/又は熟成工程において炭素数3以
上のアシル基とがエステル交換し、最終生成物として炭素数3以上のアシル基の一部がア
セチル基に置換したセルロースアセテートアシレートが得られる。そのため、アセチル基
を導入するためには、必ずしも無水酢酸を使用する必要はなく、反応系に酢酸を存在させ
て反応させてもよい。このような酢酸は、エステル化工程及び/又は熟成工程(特に、少
なくとも熟成工程)において反応系に存在させればよく、前記活性化処理由来の酢酸のみ
で構成してもよく、エステル化工程及び/又は熟成工程において新たに添加してもよく、
通常エステル化工程でアシル化溶媒として使用してもよい。
セテートアシレート)を製造する場合、エステル化工程において、反応系には複数のアシ
ル化剤を共存させてもよく、特定のアシル化剤でセルロースをエステル化した後、他のア
シル化剤でセルロースをエステル化してもよい。また、セルロースアセテートアシレート
は、前記のように酢酸の存在下でアシル化及び/又は熟成できれば、アシル化剤を炭素数
3以上のアシル基を有する酸無水物(特に、C3−4アルカン酸無水物)のみで構成し、
必ずしも無水酢酸を用いなくてもよい。このような反応系に酢酸を存在させる方法(特に
反応系に酢酸を存在させて無水酢酸を用いない方法)を利用すると、アセチル置換度が比
較的小さいセルロースアセテートアシレート(例えば、セルロースアセテートC3−6ア
シレート)を製造することができる。
1〜4当量、好ましくは1.1〜2当量、さらに好ましくは1.3〜1.8当量程度であ
る。特に、比較的小さいアセチル置換度のセルロースアセテートアシレートを得る場合に
は、エステル化工程でのアシル化剤(特に無水酢酸)の使用量は、セルロースの水酸基に
対して0.5当量以下(例えば、0〜0.3当量程度)、好ましくは0.2等量以下(例
えば、0.01〜0.1当量程度)であってもよく、アシル化剤(特に無水酢酸)を実質
的に使用しなくてもよい。
酸、酪酸などの有機カルボン酸)が使用される。アシル化溶媒(有機カルボン酸)の使用
量は、例えば、セルロース100重量部に対して100〜900重量部、好ましくは20
0〜800重量部、さらに好ましくは200〜700重量部程度である。特に、セルロー
スアセテートアシレートを得る場合には、エステル化工程でのアシル化溶媒としての酢酸
の使用量は、セルロース100重量部に対して30〜500重量部、好ましくは80〜4
00重量部、さらに好ましくは150〜350重量部(例えば、200〜300重量部)
程度であってもよい。
らに好ましく10〜30℃程度の温度で行うことができる。なお、エステル化反応は、初
期において、比較的低温[例えば、10℃以下(例えば、0〜10℃)]で行ってもよい
。このような低温での反応時間は、例えば、エステル化反応開始から30分以上(例えば
、40分〜5時間、好ましくは60〜300分程度)であってもよい。また、エステル化
時間(総エステル化時間)は、例えば、1時間以上(例えば、2〜36時間、好ましくは
3〜24時間、さらに好ましくは6〜18時間程度)であってもよい。
となり、その後も均一系を維持するため、反応系が均一なドープ(溶液)を形成した時点
でエステル化反応が終了したと判断することができる。より厳密には、エステル化反応系
ではアシル化触媒が存在するため、エステル化反応系では、セルロースに対するアシル基
の置換度が増大するエステル化反応とグリコシド結合が開裂する解重合反応とが競争する
が、本発明ではとりわけ、前記エステル化反応が優先的に生じる。そのため、均一な反応
系が形成されると、エステル化反応が終了したと判断することができる。また、エステル
化反応の完了(又は終点)は失活工程の開始(又は開始点)でもある。
エステル化反応の終了後、反応系に残存するアシル化剤を失活(クエンチ)させるため
、反応系に反応停止剤を添加する。失活工程では少なくとも前記アシル化剤(特に酸無水
物)が失活させられる。
いる場合が多い。例えば、反応停止剤は、水と、アシル化溶媒(有機カルボン酸など)、
アルコール及び中和剤から選択された少なくとも一種とで構成してもよい。より具体的に
は、反応停止剤としては、例えば、水単独、水と有機カルボン酸との混合物、水とアルコ
ールとの混合物、水と中和剤との混合物、水と有機カルボン酸とアルコールと中和剤との
混合物などが例示できる。
金属化合物(例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化物、炭酸ナトリウ
ムや炭酸カリウムなどの炭酸塩、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムなどの有機酸塩など)、
アルカリ土類金属化合物(例えば、水酸化カルシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウムな
どの炭酸塩、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの有機酸塩など)などを用いること
もできる。これらの塩基は単独で又は2種類以上組み合わせて使用してもよい。アルコー
ルとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールな
どが例示できる。これらのアルコールも単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。こ
れらの中でも水と有機カルボン酸、特には水とアシル化溶媒の組み合わせが好ましい。
アシル化溶媒及び/又はアルコール10〜150重量部程度の範囲から選択でき、通常、
25〜120重量部、好ましくは30〜100重量部、さらに好ましくは50〜90重量
部程度であってもよい。
中和する割合で中和剤を含んでいるか、又は中和剤を含まない。好ましい反応停止剤は、
水単独であってもよいが、アシル化溶媒の濃度が低くなりすぎると、生成したセルロース
混合脂肪酸エステルが析出するため、水とアシル化溶媒(酢酸などの有機カルボン酸など
)との混合液が好ましい。このような反応停止剤を用いると、アシル化触媒を必要に応じ
て残存させることができる。
合を高くしてセルロースをエステル化すると、これらのアシル化剤は無水酢酸よりも拡散
速度が小さく、不溶解物が生成する。これに対して、前記複数の活性化工程を経てエステ
ル化し、しかも反応停止工程で反応停止剤の添加速度を大きくすると、余剰のアシル化剤
(無水カルボン酸など)を反応系から速やかに除去し、系内の水分率を高めアシル化触媒
(特に硫酸)の酸性度を速やかに低下できることにより、低エステル化セルロースを低減
しつつ、高い重合度を保ってセルロースエステル(混合脂肪酸エステルなど)を得ること
ができる。
硫酸触媒)1当量に対して、0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、さら
に好ましくは0.3〜0.7当量程度の範囲から選択できる。なお、熟成におけるアシル
化触媒(熟成触媒)濃度を所定の濃度に保持するには、部分中和しないのが好ましい。
剤(特に無水酢酸などの酸無水物)1モルに対して、0.3〜10当量/分(例えば、0
.5〜9当量/分)、好ましくは0.7〜8当量/分(例えば、1〜7当量/分)、さら
に好ましくは1.5〜6当量/分(例えば、1.7〜5当量/分)、特に2〜5当量/分
程度であってもよい。エステル化反応停止剤は、少なくとも前記酸無水物を失活させるた
め、反応系に残存する酸無水物1モルに対して、0.5〜5当量/分(例えば、1.5〜
4当量/分)程度の速度で添加する場合が多い。なお、反応系に残存するアシル化剤の量
は、セルロースの使用量をグルコース単位(モル)に換算し、全てのグルコース単位に存
在するヒドロキシル基のモル数(すなわち、グルコース単位(モル)×3)をアシル化剤
の使用モル数から減じることにより残余モル数として算出できる。
物量)などに応じて選択でき、例えば、約0.1分(6秒程度)〜3分程度の範囲から選
択してもよい。好ましい添加時間は、15秒〜2分30秒、さらに好ましくは30秒〜2
分程度であり、通常、1分以内である。なお、反応停止剤を迅速に添加するため、補助タ
ンクを設け、この補助タンクから反応系に多量にかつ短時間に添加することもできる。こ
れらの添加時間は、工業的な製造装置においても適用でき、例えば、反応系の反応混合物
1000重量部に対して反応停止剤5〜25重量部(例えば、7.5〜20重量部、好ま
しくは10〜15重量部)程度を添加する添加時間であってもよい。
鎖が切断される可能性がある。そのため、反応系に対する反応停止剤の添加は、100℃
以下(例えば、10〜75℃、好ましくは15〜60℃、さらに好ましくは20〜50℃
)程度の温度で行うのが好適である。
前記エステル化反応を停止した後、生成したセルロース混合脂肪酸エステル(セルロー
ストリアシレート)をケン化熟成(脱アシル化または加水分解)することにより、アシル
化度及び置換度分布を調整したセルロース混合脂肪酸エステルを得ることができる。この
反応において、エステル化に利用したアシル化触媒(特に硫酸)の一部を中和し、残存す
るアシル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよく、中和することなく残存し
た全てのアシル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよい。前記ケン化熟成反
応(脱アシル化反応)は、必要であれば、他の酸触媒(プロトン酸、ルイス酸)を添加し
て使用してもよいし、また、アシル化触媒(特に硫酸)の一部を中和してケン化熟成して
もよい。なお、ケン化熟成触媒としての硫酸成分は、反応系に残存する残存硫酸、例えば
、遊離の硫酸であってもよく、セルロースと接合した結合硫酸(硫酸エステルなどの形態
で結合した硫酸)であってもよい。
ス混合脂肪酸エステル(セルローストリアシレート)を脱アシル化(加水分解または熟成
)する。なお、熟成において、必要に応じて新たに溶媒(水、有機カルボン酸など)を添
加してもよい。
しくは25℃〜80℃、さらに好ましくは30℃〜70℃程度で行うことができる。脱ア
シル化反応は、不活性ガス雰囲気中で行ってもよく、空気雰囲気中で行ってもよい。
、例えば、20分以上(例えば、25分〜24時間)の範囲から選択でき、好ましくは3
0分〜18時間(例えば、40分〜12時間)、さらに好ましくは1〜10時間(例えば
、2〜4時間)程度であってもよい。なお、比較的アセチル置換度が小さいセルロースア
セテートアシレートを得る場合、熟成時間は、30〜360分、好ましくは40〜300
分、さらに好ましくは60〜240分程度であってもよい。
所定のセルロース混合脂肪酸エステルを生成させた後、アシル化触媒を中和して熟成反
応を停止させる。すなわち、前記脱アシル化反応の後、必要により前記塩基で構成された
中和剤(好ましくは前記アルカリ金属化合物及び/又は前記アルカリ土類金属化合物、特
に少なくともカルシウム化合物)を添加してもよい。
不溶物又は低溶解性成分(未反応セルロース、低エステル化セルロースなど)の生成を低
減できる。
本発明で熟成工程終了後の触媒の中和を多段階で行うことを以下多段中和と称する。本発
明においては熟成反応の停止では多段中和を採用することで、ドープろ過をした場合でも
輝点異物量が少ないセルロース混合脂肪酸を得ることができ好ましい。多段中和法につい
ては特開2006−89574号公報に詳細に記載されているが、以下多段中和につき詳
細に述べる。
上記の通りセルロース混合脂肪酸エステルの反応では、アシル化反応によりセルロースエ
ステルを生成させることができる。そして、所定のアシル化度(特に、アセチル化度)に
到達した後、アシル化反応を停止し、硫酸(残存硫酸)を熟成触媒(又は脱アシル化触媒
)として利用して、所定量の塩基(特に無機塩基)を添加して残存硫酸成分を部分中和し
つつ、熟成(又は加水分解)する。なお、本明細書において、「多段中和」とは、熟成工
程において塩基を添加して行うアシル化触媒の中和を意味し、アシル化反応の停止(およ
び熟成反応の開始)のために添加する塩基による中和を含まない。
ン酸類(特にアシル化剤に対応するカルボン酸など)との混合溶媒]を反応系に添加しま
た、前記塩基(通常、塩基の水溶液)を添加し、アシル化剤を失活させるとともに、反応
系に水を存在させる場合が多い。
水の添加量は、アシル化剤の残存量に応じて選択でき、例えば、アシル化剤の残存量1モ
ルに対して1.2〜3モル、好ましくは1.5〜2.5モル程度である。なお、高置換度
のセルロースエステルを得るためには、前記混合溶媒(例えば、酢酸水溶液)を用いるの
が有利である。混合溶媒中のカルボン酸類の含有量は、例えば、20〜80重量%、好ま
しくは30〜70重量%程度であってもよい。
モニアなどが例示できる。特に、ナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合
物、カルシウム化合物から選択された塩基(好ましくは少なくともマグネシウム化合物及
び/又はカルシウム化合物)を用いる場合が多い。本発明では、熟成工程において、反応
系に所定量の塩基を連続的に添加するか又は複数回に分けて間欠的(又は段階的)に添加
して部分中和し、連続的に又は複数回に亘り熟成反応(脱アシル化および脱硫酸エステル
反応)を行う。本発明では、連続的又は間欠的な添加(又は添加方法)により反応系の硫
酸量を低減し、セルロースエステル結合の形態で導入された硫酸(硫酸エステル基)を脱
離させることができる。本発明では特に多段中和法を用いることで反応生成物の精密ろ過
の阻害要因となる硫酸塩の生成を抑制することができ、反応生成物のろ過効率を向上させ
輝点異物を減少させることができる。
当量に対して、部分中和(又は中和操作)1回あたり0.1〜0.9当量、好ましくは0
.2〜0.8当量、さらに好ましくは0.3〜0.7当量(例えば、0.3〜0.6当量
)程度の範囲から選択できる。さらに、熟成工程では、このような部分中和をくり返すこ
とができる。 前記塩基の添加様式は特に制限されず、等量の塩基を反応系に連続的又
は間欠的に添加してもよく、熟成工程(又は熟成反応)の初期に塩基の添加量を多くし、
後期に至るにつれて塩基の添加量を連続的又は間欠的(段階的)に低減してもよく、熟成
工程の初期に塩基の添加量を少なくし、後期に至るにつれて塩基の添加量を連続的又は段
階的に増加させてもよい。 熟成工程での反応(熟成反応)は、20〜90℃程度の範囲
で行ってもよいが、アシル基の置換度を高いレベルに維持するためには温和な条件で行う
のが好ましい。そのため、熟成工程での反応(熟成反応)は、例えば、温度20〜60℃
(例えば、30〜60℃)、好ましくは25〜60℃(例えば、30〜55℃)、さらに
好ましくは30〜55℃(例えば、40〜55℃)程度で好適に行ってもよい。
、通常、残存硫酸を熟成反応の触媒として使用する場合が多い。熟成反応は、不活性ガス
雰囲気中で行ってもよく、空気雰囲気中で行ってもよい。
焼き、昇華した亜硫酸ガスを10%過酸化水素水にトラップし、規定水酸化ナトリウム水
溶液にて滴定し、SO42-換算の量として測定する。測定値は絶乾状態のセルロースエス
テル1g中の硫酸含有量としてppm単位で表される。
スエステルが得られる。なお、熟成反応を所定量の水又はアルコールの共存下で行い、グ
ルコース単位又は骨格の6−位での平均置換度をさらに高めてもよい。すなわち、特開2
002−338601号公報に記載のように、アシル化剤(又はアシル基供与体)に対す
る水又はアルコールの割合が少ない条件で熟成反応を行うと、グルコース単位又は骨格の
2−位、3−位及び6−位のアシル基の平均置換度を調整できるとともに、6−位の平均
置換度を高めることができる。熟成反応系での水又はアルコールの含有量はアシル化剤(
又はアシル基供与体)に対して10モル%未満(例えば、1〜9モル%)、好ましくは8
モル%以下(例えば、2〜8モル%)、さらに好ましくは3〜7モル%程度であり、通常
、0.5〜7モル%程度である。
ための完全中和工程を経ることにより行われる。すなわち、前記熟成反応の後、塩基(特
に金属成分)で構成された中和剤(好ましくはアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土
類金属化合物)を添加する場合が多い。通常、熟成工程(又は熟成反応)を停止させるた
め(又は反応系中の残存硫酸を中和するため)、前記塩基(特に過剰量の塩基)を添加し
て完全中和する場合が多い。なお、当初の硫酸量(触媒硫酸量、仕込み量)に対して残存
硫酸量が1〜35重量%(例えば、15〜35重量%)、好ましくは1〜15重量%(例
えば、5〜15重量%)、さらに好ましくは1〜10重量%程度(例えば、5重量%以下
)に低減したとき、完全中和のための塩基(例えば、中和用塩基の残存量)を反応系に一
括して添加してもよい。
本発明では多段中和法などを用い熟成反応の停止工程を得たものをろ過する。熟成反応
停止工程が終了した段階で、反応生成物は粘調溶液となっている。すなわち反応溶媒にセ
ルロース混合脂肪酸エステルが溶解した溶液となっている。本発明ではこの溶液である反
応生成物をろ過する。
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルのろ過については公知のさまざまなろ過装置を用
いることができる。
タとメンブレンフィルタの2つに分けられる。
デプスフィルタとは、深さのある複数層あるいは単層のフィルタメディアからなるもので
、例えばペーパーフィルタやグラスファイバーフィルタのように繊維状体で形成されるも
のであり、金網により形成されたフィルタもこの範疇に入れられる。デプスフィルタとは
ろ材表面とそのマトリックス内部で粒子を 捕捉し、除去するものである。したがって、
表面だけでなくフィルタ基質内部でも、微粒子を保持性質がある。このためデプスフィル
タは荷重容量が大きいという特性を持っている。一方で、デプスフィルタは圧力が上昇す
るに伴い、捕捉効率は初期と比較し低下し、フィルタ性能は悪くなるという問題点もある
。
を形成し、このケーキによりろ過する。そして、この方法ではろ過精度が高いフィルタメ
ディアを使用することはできない。またデイプスフィルタであっても、ケーキの形成に伴
ない、ろ過圧力は上昇してろ過精度は低下する。先行文献9(米国特許2494143号
)及び先行文献10(米国特許2522580号)に記載されている技術はこのようなデ
プスフィルタに関する技術であるが、このようなデプスフィルタではろ過精度は安定しな
いし、本発明で目的としているより小さな微粒子をろ過することはできない、更には本発
明では分離を欲しない更に小さい微粒子でも濾過材に補足されろ過圧上昇、ろ過効率低下
の原因となる。
ものである。メンブレンフィルタは一般には緻密ろ過と称されているものでもある。本発
明でメンブレンフィルタ(membrane filter)と称しているものはJISの「膜用語」の定義
では、「精密ろ過膜」の同意語として用語に並列で記述してあるものであり、 その内容
はつぎのとおりである。 「0.01〜数μm程度溶質又は粒子をろ過によって分離するため
に用いる膜。」である。
メンブレンフィルタでは孔径より大きな粒子は当然メンブレンフィルタを通過できないた
めろ過される。メンブレンフィルタの孔径よりも小さな粒子は、メンブレンを通過するか
、場合によりある種のメカニズムによってメンブレンの内部で捕捉されることもあるが、
通常は孔径がろ過精度を決定する。メンブレンフィルタは、精密さを要求される場合に使
用される。したがって、ろ過精度だけを勘案すると精密ろ過が可能であるメンブレンフィ
ルタが優れているが、濾過残渣が多いい場合にはメンブレンフィルタでろ過した場合には
目詰まりが大きくなり通常はろ過効率が非常に低くなる。Hermansらの古典的な論
文では完全閉塞モデル(Complete blocking model)と分類されている作用でろ過が行われ
る物であり、粒子が細孔をろ過材の表面で完全に塞ぐ場合のモデルである。この場合には
、いわゆるふるい分け(Size Exclusion)効果にるろ過分離が行われる。
、通常のセルロース混合脂肪酸エステルのろ過では使用ができないメンブレンフィルタを
用いることができる。ろ紙やグラスファイバーなどのいわゆるデプス型フィルタ(depth
filter)は材料が 断片的に圧縮あるいは固められてつくられている。一方、メンブレンフ
ィルタは製法からみてもあきらかなように、ろ過材の構造は連続一体となっている。それ
ゆえ、ろ過中にろ過材が外れろ液側に出てきてろ液を汚染させてしまう、いわゆる「 ろ
過材の離脱」(media migration)は起こらない。更には前記の通り、精密に必要なサイ
ズのものをろ過することができる。
のものがあるが、本発明において最も好適なものは金属繊維を焼結させたメンブレンフィ
ルタである。これらのなかでもステンレス長繊維を焼結させたフィルタが耐酸性の点から
もっとも好ましい。これらのメンブレンフィルタの表示孔径としては0.1μmから50
μm、好ましくは1μmから20μm、より好ましくは2μmから10μm、さらに好ま
しくは3μmから7μmである。表示孔径は小さすぎると、ろ過効率が低下し、表示孔径
が大きすぎると本発明で除去の対象としている輝点異物を除ききれない。
本発明では、必要に応じてデプスフィルタを付加することもできる。特にプレフィルタと
して任意のデプスフィルタを設けることができる。本発明においては加圧ろ過を用いるこ
とができる。加圧ろ過した場合のろ過圧力としては、ろ過効率と表示孔径を勘案して任意
に設定することができるが、0.01MPaから10MPaの範囲内で任意に設定すること
ができる。ろ過圧としては1MPa程度の圧力が最も好適である。
反応生成物は、通常、洗浄、沈析などの操作による精製工程に供される。代表的には、
反応生成物を水又は酢酸水溶液などに投入し、生成したセルロースエステル(沈澱物)を
分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去する場合が多い。特に、前
記熟成反応の後(完全中和の後)、セルロースエステルの耐熱安定性を高めるため、必要
に応じてさらに、前記中和剤[好ましくはアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金
属化合物、特に少なくともカルシウム化合物(水酸化カルシウムなど)]を添加してもよ
い。また、反応生成物を水又は酢酸水溶液などに投入して生成したセルロースエステルを
分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去してもよい。なお、水洗の
際に中和剤を使ってもよい。
本発明には、特定の溶媒に対する不溶成分量が著しく低減されたセルロース混合脂肪酸
エステルも含まれる。すなわち、本発明のセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロ
ースアセテートアシレート)は、少なくとも炭素数3以上のアシル基(特にアルキルカル
ボニル基)が置換したセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースアシレート)であって
、塩化メチレン及びメタノールの混合溶液(塩化メチレン/メタノール=9/1(重量比
))への不溶成分量が0.1重量%以下のセルロース混合脂肪酸エステルである。なお、
このようなセルロース混合脂肪酸エステルは、例えば、前記の製造方法により製造するこ
とができる。
少なくとも炭素数3以上のアシル基(脂肪族アシル基)、例えば、アルキルカルボニル基
(例えば、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイ
ル基などのC3−10アルキルカルボニル基、好ましくはC3−6アルキルカルボニル基
、さらに好ましくはC3−4アルキルカルボニル基)、シクロアルキルカルボニル基(例
えば、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基などのC3−8シクロ
アルキルカルボニル基など)など]などの脂肪族アシル基を含んでいてもよい。また、ア
シル基は、少なくとも炭素数3以上の脂肪族アシル基を含んでいれば、アセチル基などの
他の脂肪族アシル基、芳香族アシル基[アリールカルボニル基(ベンゾイル基、フタロイ
ル基などのC6−10アリールカルボニル基など)など]などを含んでいてもよい。これ
らのアシル基は、単独で又は2種以上組み合わせてセルロースに置換していてもよい。
ース混合脂肪酸エステルは、少なくとも2つ(例えば、2〜10、好ましくは2〜5、さ
らに好ましくは2〜3)の異なるアシル基を組み合わせて有するセルロース混合脂肪酸エ
ステルであればよい。
えば、アセチル基と、他の脂肪族アシル基(例えば、プロピオニル基、ブチリル基、ヘキ
サノイル基、シクロヘキシルカルボニル基などの脂肪族C3−7アシル基の少なくとも1
種)との組合せ]、脂肪族アシル基と芳香族アシル基との組合せ[例えば、C2−6アシ
ル基(アセチル基など)と芳香族アシル基(ベンゾイル基など)との組合せなど]などが
挙げられる。
3〜6のアルキルカルボニル基)を有するセルロースアセテートアシレート、例えば、セ
ルロースアセテート脂肪族アシレート(例えば、セルロースアセテートプロピオネート、
セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セ
ルロースアセテートヘキサノエートなどのセルロースアセテートC3−10アシレート(
又はアルカノエート)、好ましくはセルロースアセテートC3−6アルカノエート)など
が挙げられ、特に、セルロースアセテートC3−4アシレート(セルロースアセテートプ
ロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど)が好ましい。
いて、総平均置換度(セルロースを構成するグルコース単位の2,3および6位に置換す
るアシル基の総平均置換度)は、充分な耐湿性を付与できる範囲で選択でき、3以下(例
えば、2.5〜3程度)の範囲から選択でき、例えば、好ましくは2.0〜2.99、好
ましくは2.30〜2.98、さらに好ましくは2.50〜2.97、特に2.60〜2
.96(例えば、2.64〜2.95)程度であってもよい。総平均置換度が高いと、加
湿による光学特性の変化を防止できる。
応じて適宜選択できる。例えば、セルロースアセテートアシレートにおいて、アセチル基
の平均置換度は、例えば、0.01〜1.9(例えば、0.1〜1.8)、好ましくは0
.1〜0.7、さらに好ましくは0.1〜0.5、程度であってもよい。なお、セルロー
スアセテートアシレートにおいて、アセチル基の置換度を比較的大きくする場合は、未反
応セルロースの低減効果をより一層向上できるが延伸性が劣る。この様態の場合にはアセ
チル基の平均置換度は、例えば、1.0〜1.2(例えば、1.1〜1.15)、また、
アセチル基の置換度を小さくした場合は、延伸性を向上できる。さらに、本発明では未反
応セルロースの生成を低く制御できる。このため、アセチル置換度は、目的とするリタデ
ーションなどに応じて選択することができるが、アセチル置換度が低いものが好ましい。
のアシル基)の平均置換度は、例えば、0.60〜2.90(例えば、0.8〜2.7)
、好ましくは1.00〜2.5、さらに好ましくは1.30〜2.00、特に1.40〜
1.90程度であってもよい。
、C3−6アルキルカルボニル基など)との割合(モル比)は、前者/後者=50/50
〜1/99(例えば、55/45〜2/98)、好ましくは30/70〜3/97、さら
に好ましくは20/80〜5/95(例えば、25/75〜10/90)程度であっても
よい。モル比が30/70〜97/3程度であると、延伸した場合の厚み方向のレタデー
ションの調整が容易となる。
著しく低減できる。このような比較的アセチル置換度が小さいセルロースアセテートアシ
レートは、アセチル基の置換度(A)と炭素数3以上のアシル基の置換度(B)とが下記
式(I)〜(III)を満たすセルロースアセテートアシレートであってもよい。
(好ましくは2.55≦A+B≦2.95、さらに好ましくは2.6≦A+B≦2.9)
0.1≦ A ≦1.8 (II)
(好ましくは0.5≦ A ≦1.6、さらに好ましくは0.1≦ A ≦0.7)
1.2≦ B ≦2.9 (III)
(好ましくは1.2≦ B ≦2.5、さらに好ましくは1.4≦ A ≦2)
置換度(アシル化度)は慣用の方法で測定でき、例えば、酢化度(アセチル化度)は、
ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化
度に準じて単位重量あたりのアシル基のモル数を測定するとともに、さらに、ケン化によ
って遊離した各アシル基の比率を薄層クロマトグラフィーで測定することにより算出でき
る。また、アシル化度は、1H−NMR、13C−NMRで分析することもできる。
[粘度平均重合度]
本発明のセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースアセテートアシレートなど)の粘
度平均重合度は、100以上(例えば、120〜800)の範囲から選択でき、例えば、
150〜500、好ましくは150〜400、さらに好ましくは150〜250程度であ
ってもよい。
第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。なお、溶媒はセルロース混
合脂肪酸エステルの置換度などに応じて選択できる。例えば、メチレンクロライド/メタ
ノール=9/1(重量比)の混合溶液にセルロース混合脂肪酸エステルを溶解し、所定の
濃度c(2.00g/L)の溶液を調製し、この溶液をオストワルド粘度計に注入し、2
5℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定する。一方、前記混合溶媒単
独についても上記と同様にして通過時間t0(秒)を測定し、下記式に従って、粘度平均
重合度を算出できる。
[η]=(lnηrel)/c
DS=[η]/(6×10−4)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロー
ストリアセテート濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DSは平均重
合度を示す)。
[不溶解物量]
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルは、著しく高いレベルで異物(非溶解性成分)
の含有量が少ない。本明細書では、このような非溶解性成分(微小な異物)を、メチレン
クロライド/メタノール(重量比)=9/1の混合溶媒に対して溶解しない成分であると
定義する。このような非溶解性成分としては、前記混合溶媒に溶解しなければ特に限定さ
れないが、通常、原料のセルロース又はセルロース由来の副生物、主に、セルロース混合
脂肪酸エステルの合成において反応しなかった未反応セルロース、低置換度のセルロース
エステル、セルロースエステル同士が結合硫酸および金属成分(カルシウムなど)を介し
て結合した結合形成物、これらの混合物などが挙げられる。
化メチレン/メタノール=9/1(重量比))に対する不溶成分量(不溶解物量)は、0
.1重量%以下(例えば、0〜0.09重量%)であればよく、好ましくは0.0001
〜0.010重量%、さらに好ましくは0.0003〜0.010重量%であり、0.0
09重量%以下とすることもできる。なお、セルロース混合脂肪酸エステル中の不溶解物
量は、例えば、次のようにして測定できる。
ステルを所定の固形分濃度(例えば、1〜3重量%程度)に溶解し、得られた溶液を、ガ
ラスフィルター(例えば、孔径5〜10μm程度)を使用して濾過する。ガラスフィルタ
ーとしては相互理化学硝子製作所製の「G―4」などを使用できる。フィルタに付着して
いる残渣及びドープを塩化メチレン:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒で洗浄す
る。濾過残渣をガラスフィルターごと恒量になるまで乾燥する。濾過前後でのガラスフィ
ルター重量を測定し、次式より不溶解物量を算出する(式中、W1は濾過前ガラスフィル
ター重量(g)、W2は濾過後ガラスフィルター重量(g)を示し、Sはセルロースエス
テル重量(g)を示す)。
不溶解物量(重量%)=[(W2−W1)/S]×100
本発明のセルロースエステルは熟成反応停止工程での反応生成物をろ過工程で精密ろ過す
ることにより輝点異物が著しく減少させられたセルロース混合脂肪酸エステルである。本
発明のセルロース混合脂肪酸エステルは下記の輝点異物測定方法で測定した場合に10μ
mという微小な大きさの輝点異物が10個/mm3以下である。輝点異物量は好ましくは
8個/mm3以下、より好ましくは6/mm3以下特に好ましくは5/mm3以下である
。輝点異物が少ないセルロース混合脂肪酸エステルを得るためには、本発明のドープろ過
の技術に、セルロース混合脂肪酸エステルの前処理において二段酸前処理を組み合わせる
と共に、エステル化時の温度を10℃以下に保つことそして、セルロース混合脂肪酸エス
テルのアセチル基の置換度を1.1から1.2程度になるようにアシル化時の無水酢酸と
他の無水カルボン酸量を調整することで得ることができる。輝点異物の測定は下記の方法
で行える。
混合脂肪酸セルロースエステルをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)
混合溶媒に溶解し、20重量%(固形分濃度)の溶液(ドープ)を得る。このドープをス
ライドグラス上に流延・乾燥し、厚さ100μm程度のフィルム状サンプルを得る。この
サンプルを偏光顕微鏡で暗視野下で観察し、面積6.4mm2内にある最大長さが10μ
m以上の輝点異物を数え、別途測定した正確なフィルムの厚みで補正し、単位体積(1m
m3)あたりの異物数を求める。異なるドープから製膜したフィルム5枚について同様の
測定を行い、それらの平均値を算出し、輝点異物の数とする。
セルロース混合脂肪酸エステルは、溶媒に溶解してセルロース混合脂肪酸エステル溶液
(ドープ)を調製してもよい。溶媒としては、有機溶媒、例えば、ハロゲン化炭化水素類
(塩化メチレンなど)、ケトン類(アセトンなど)、エステル類(酢酸メチルなど)など
が例示できる。本発明のセルロースエステルは、塩化メチレンなどのハロゲン含有溶媒へ
の溶解性に優れるのみならず、非ハロゲン系溶媒を用いてもドープの調製が可能である。
の調製方法および装置を用いて調製することができる。比較的低濃度の溶液は常温で攪拌
することにより得ることができる。高濃度の溶液では、加圧および加熱条件下で攪拌して
調製することが好ましい。具体的には、セルロースエステルと溶媒を加圧容器に入れて密
閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱し
ながら攪拌する。加熱温度は、通常、60℃以上、好ましくは80℃乃至110℃である
。
。添加剤としては、可塑剤、紫外線防止剤や劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物
分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類)などが例示できる。
フェート、トリクレジルホスフェート(TCP)などのリン酸エステル系可塑剤、ジオク
チルフタレート(DOP)などのフタル酸系可塑剤、O−アセチルクエン酸トリブチル(
OACTB)およびクエン酸アセチルトリエチルなどのクエン酸系可塑剤などが含まれる
。本発明のセルロースエステルは、従来のセルロースエステルと比較して、可塑剤の添加
量が少なくても済むという利点がある。このため、可塑剤の量が15重量%以下でも、可
塑効果が得られる。
セルロース混合脂肪酸エステルフィルムを製造する方法および設備は、従来のセルロー
ストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法と溶液流延製膜装置が使用でき
る。例えば、セルロース混合脂肪酸エステル溶液を、支持体としての平滑なバンド上或い
はドラム上に流延する。複数のセルロースエステル液を、逐次流延あるいは共流延して二
層以上のセルロース混合脂肪酸エステルフィルムを製造してもよい。
成形性にも優れる。そのため、上記溶液流延法に限らず、溶融流延法、押出成形法なども
利用でき、環境上有用である。
流延して本発明の光学フィルムを得る場合には、セルロース混合脂肪酸エステルを有機
溶媒に溶解して溶液(流延液)とする必要がある。流延液には、その用途に応じて、添加
剤を添加してもよい。添加剤としては、可塑剤、紫外線防止剤や劣化防止剤(例えば、酸
化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類)な
どが例示できる。
フェート、トリクレジルホスフェート(TCP)などのリン酸エステル系可塑剤、ジオク
チルフタレート(DOP)などのフタル酸系可塑剤、O−アセチルクエン酸トリブチル(
OACTB)およびクエン酸アセチルトリエチルなどのクエン酸系可塑剤などが含まれる
。本発明のセルロースエステルは、従来のセルロースエステルと比較して、可塑剤の添加
量が少なくても延伸性が良好であるという利点がある。このため、可塑剤の量が15重量
%以下でも、可塑効果が得られる。
上記の操作で得られた流延液をステンレスプレート均一に流延した。プレートの温度は2
2℃に保温した。膜を形成した時点でステンレスプレートからで剥離し、40℃の熱風乾燥
期中で乾燥した。フィルムの厚み方向のレタデーションは下記の式で算出する。
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、アルカリ
鹸化処理前の試料を、23℃、55%RHの環境下で、590nmの波長において、3次
元屈折率測定を行い、屈折率Nx、Ny、Nzを求めた。下記式に従って、厚み方向のレ
タデーション値Rtを算出した。
Rth=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
(式中、Nx、Ny、Nzはそれぞれ屈折率楕円体の主軸x、y、z方向の屈折率を表し
、且つ、Nx、Nyはフィルム面内方向の屈折率を、Nzはフィルムの厚み方向の屈折率
を表す。また、Nx≧Nyであり、dはフィルムの厚み(nm)を表す。)
本発明の光学フィルムは配向度0.7でフィルム厚みが100μmの場合であれば、Rt
hは−40nmから300nmであり、かつ偏光顕微鏡下で測定した輝点異物は1.0個/m
m2程度となる。
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルフィルムは延伸されていてもよい。延伸方法は
特に制限されず、フィルムの延伸には、一軸延伸又は二軸延伸が採用できる。フィルムの
延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、10〜600%であってもよ
く、好ましくは10〜300%(例えば、15〜100%)、さらに好ましくは10〜7
0%(例えば、20〜50%)、特に10〜30%程度である。なお、延伸倍率は、フィ
ルムの特性(光学的特性など)を考慮して選択できる。一般的な光学フィルムでは延伸倍
率20〜40%(例えば、25〜35%)程度であってもよい。
ム、例えば、偏光板の保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、カラーフィル
タ、視野角拡大フィルム、反射防止フィルム、写真感光材料のフィルム、液晶表示装置用
フィルムなどとして使用できる。特に、偏光板の保護フィルム(例えば、ポリビニルアル
コールとヨウ素との錯体で構成された偏光膜の保護フィルム)、位相差フィルム、光学補
償フィルム(液晶表示装置用光学補償フィルムなど)から選択された光学フィルムとして
有用である。光学補償フィルムについて言及すると、本発明のセルロースエステルフィル
ムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、O
CBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを
有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、ASM(Axially Symmetric Al
igned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの
支持体として好ましく用いられる。
り限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において各特性は次のように
して測定した。
[セルロース混合脂肪酸エステルの平均置換度およびその分布]
セルロース混合脂肪酸エステルのDSester(アシル置換度)は、測定溶媒として
重クロロホルム(CDCl3)を用い1H−NMR(核磁気共鳴)法により測定した。
メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液にセルロース混合脂肪
酸エステルを溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製し、この溶液をオス
トワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定
した。一方、前記混合溶媒単独についても上記と同様にして通過時間(秒)t0を測定し
、下記式に従って、粘度平均重合度を算出した。
[η]=(lnηrel)/c
DP=[η]/(6×10−4)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液の混合脂肪
酸セルロースエステル濃度(g/L)、ηr e lは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは
粘度平均重合度を示す)。
乾燥したセルロースエステルを1300℃の電気炉で焼き、生成した亜硫酸ガスを10
%過酸化水素水にトラップし、このトラップ液を規定水酸化ナトリウム水溶液で滴定した
。得られた値は、絶乾セルロースエステル当たりのH2SO4換算の量としてppm単位(
重量基準)で表示した。
塩化メチレン:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、セルロース混合脂肪酸エス
テルを秤量したうえで固形分濃度1重量%の濃度に溶解し、得られた溶液を、相互理化学
硝子製作所製の「G―4」のガラスフィルタでろ過する。
フィルタに付着している残渣及びドープを濾液量と同量の塩化メチレン:メタノール=9
:1(重量比)の混合溶媒で、洗浄する。濾過残渣をガラスフィルターごと恒量になるま
で乾燥する。濾過前後でのガラスフィルター重量を測定し、次式より不溶解物量を算出す
る
(式中、W1は濾過前ガラスフィルター重量(g)、W2は濾過後ガラスフィルター重量
(g)を示し、Sはセルロースエステル重量(g)を示す)。
不溶解物量(重量%)=[(W2−W1)/S]×100
混合脂肪酸セルロースエステルをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混
合溶媒に溶解し、20重量%(固形分濃度)の溶液(ドープ)を得る。このドープをスラ
イドグラス上に流延・乾燥し、厚さ100μm程度のフィルム状サンプルを得る。このサ
ンプルを偏光顕微鏡で暗視野下で観察し、面積6.4mm2内にある最大長さが10μm
以上の輝点異物を数え、別途測定した正確なフィルムの厚みで補正し、単位体積(1mm
3)あたりの異物数を求める。異なるドープから製膜したフィルム5枚について同様の測
定を行い、それらの平均値を算出し、輝点異物の数とする。
2.2gの試料を2mlの1−メチル−2−ピロリジノンに溶解し液晶状態の溶液を得た
。アッべ型屈折率計を用いて20℃〜100℃の範囲の種々の温度の面方向(プラーナー
配向)と平行方向及び垂直方向の屈折率を測定し、Hallerの方法(Prog. SolidState Che
m.,10,103 (1975))により秩序度(配向度)を求め、次式により固有複屈折を算出した。
固有複屈折 = 2×(複屈折)/{(配向度)×(試料の体積分率)}
ここに、複屈折:面に平行な屈折率と垂直屈折率の差
なお、試料の体積分率算出に際しては、試料と溶媒の混合による体積変化は無視した。試
料の密度は定容積膨張法(アキュピック法)により測定した。
(活性化工程)
活性化工程は二段階でおこなった。
第1段の活性化工程:原料:コットンリンター解砕物424.1g(うち水分34.1g
)に対して前処理剤として、酢酸296.4gを噴霧。25℃で16時間静置することに
より第1段の前処理をおこなった。
第2段の活性化工程:第1段の活性化処理を終えた処理物に対して、酢酸123.4g、
硫酸3.82g混合液を噴霧。25℃で45分静置し第2段の活性化処理を行った。
活性化工程を終了した処理物に対して下記の組成のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化
触媒を添加してアシル化反応を行った。
アシル化溶媒:酢酸943.5g、酪酸1851.9g
アシル化剤:無水酪酸3724.5g
アシル化触媒:硫酸42.35g
上記の量のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化触媒をガラス反応器で混合・冷却してお
き、前処理した原料セルロースの前処理物を投入して反応開始した。50分10℃以下に
保持した後、20分かけて30℃に昇温し、130分30℃で保持することによりアシル
化反応を行った。
反応開始200分時点で、酢酸112.4g、水458.3gを反応液に添加し、アシル
化剤(無水物)を中和(クエンチ)した。
アシル化剤の中和後、熟成反応に移行した。反応容器を60℃に昇温して240分保持し
た。
反応触媒の中和は多段(二段)で行った。一段目で酢酸2565.2g、水118.9g
、24%酢酸マグネシウム水溶液179.3gを添加し、その30分後に二段目(酢酸1
26.9g、24%酢酸マグネシウム水溶液126.9g)を添加して、反応を終了した
。反応生成物として粘調な液を得た。
反応生成物約200gを入れた金属製加圧ろ過器を用いて圧力0.20MPaの圧力でろ
過した。ろ過フィルタとしては金属焼結フィルタを(日本精線株式会社製 ファインポア
品番NF-06N表示孔径 5μm)を用いた。
沈殿:ドープ100重量部に対して300重量部の70%酢酸水溶液を練り込んだ後、3
0%酢酸水溶液100重量部を添加して、反応性生物を沈殿させる。その後200重量部
の水を添加して、30分室温以上で保持して生成物を固化させた。
洗浄:脱液した沈殿ケーキに水を添加し、80℃まで昇温して60分バッチ処理する。そ
の後、多量の水で攪拌水洗を2時間行った。
安定化:濃度30ppmの水酸化カルシウム水溶液に室温で30分浸漬し、遠心脱水すた
。
乾燥:80℃送風乾燥し、乾燥試料を得た。
上記の実施例1でろ過工程を行わず、熟成反応停止工程から直ちに、沈殿工程を行ったこ
と以外は実施例1と同様にしてセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
(活性化工程)
活性化工程は一段階でおこなった。
第1段の活性化工程:原料:コットンリンター解砕物425.7g(うち水分35.7g
)に対して前処理剤として、酢酸296.4gを噴霧。25℃で16時間静置することに
より第1段の前処理をおこなった。
第2段の活性化工程は行っていない。
活性化工程を終了した処理物に対して下記の組成のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化
触媒を添加してアシル化反応を行った。
アシル化溶媒:酢酸1066.9g、酪酸1837.0g
アシル化剤:無水酪酸3737.9g
アシル化触媒:硫酸46.16g
反応溶媒、反応試薬、反応触媒をガラス反応器で混合・冷却しておき、前処理した原料を
投入して反応開始。50分10℃以下に保持した後、20分かけて25℃に昇温し、21
0分30℃で保持することでアシル化を行った。
反応開始280分時点で、酢酸112.4g、水458.3gを反応液に添加し、反応試
薬(無水物)をクエンチして、熟成反応に移行した。
以降実施例1と同じ工程を行った。
上記の実施例2でろ過工程を行わず、熟成反応停止工程から直ちに、沈殿工程を行ったこ
と以外は実施例2と同様にしてセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
(活性化工程)
活性化工程は二段階でおこなった。
第1段の活性化工程:原料:コットンリンター解砕物423.6g(うち水分33.6g
)に対して前処理剤として、酢酸296.4gを噴霧。25℃で16時間静置することに
より第1段の前処理をおこなった。
第2段の活性化工程:第1段の活性化処理を終えた処理物に対して、酢酸123.4g、
硫酸3.82g混合液を噴霧。25℃で45分静置し第2段の活性化処理を行った。
活性化工程を終了した処理物に対して下記の組成のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化
触媒を添加してアシル化反応を行った。
アシル化溶媒:酢酸6.7g、プロピオン酸3543.5g
アシル化剤:無水酢酸288.1g、無水プロピオン酸2692.7g
アシル化触媒:硫酸32.0g
反応溶媒、反応試薬、反応触媒をガラス反応器で混合・冷却しておき、前処理した原料を
投入して反応開始。60分10℃以下に保持した後、60分かけて35℃に昇温し、15
0分35℃で保持することでアシル化を行った。
反応開始270分時点で、酢酸1637.8g、水756.1gを反応液に添加し、反応
試薬(無水物)をクエンチして、熟成反応に移行した。
アシル化剤の中和後、熟成反応に移行した。反応容器を60℃に昇温して275分保持し
た。
反応触媒の中和は多段(二段)で行った。一段目で酢酸2785.5g、水28.4g、
24%酢酸マグネシウム水溶液118.0gを添加、その30分後に二段目(酢酸306
.7g、24%酢酸マグネシウム水溶液306.7g)を添加して、反応を終了した。反
応生成物として粘調な液を得た。
以降実施例1と同じ工程を行った。
上記の実施例3でろ過工程を行わず、熟成反応停止工程から直ちに、沈殿工程を行ったこ
と以外は実施例3と同様にしてセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
(活性化工程)
活性化工程は二段階でおこなった。
第1段の活性化工程:原料:コットンリンター423.8g(うち水分33.8g)に対
して前処理剤として、酢酸296.4gを噴霧。25℃で16時間静置することにより第
1段の前処理をおこなった。
第2段の活性化工程:第1段の活性化処理を終えた処理物に対して、酢酸123.3g、
硫酸3.81g混合液を噴霧。25℃で45分静置し第2段の活性化処理を行った。
活性化工程を終了した処理物に対して下記の組成のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化
触媒を添加してアシル化反応を行った。
アシル化溶媒:酢酸29.4g、プロピオン酸3440.2g
アシル化剤:無水プロピオン酸3061.1g
アシル化触媒:硫酸32.0g
反応溶媒、反応試薬、反応触媒をガラス反応器で混合・冷却しておき、前処理した原料を
投入して反応開始。60分10℃以下に保持した後、60分かけて30℃に昇温し、21
0分30℃で保持することでアシル化を行った。
反応開始440分時点で、酢酸2070.4g、水781.4gを反応液に添加し、反応
試薬(無水物)をクエンチして、熟成反応に移行した。
アシル化剤の中和後、熟成反応に移行した。反応容器を60℃に昇温して270分保持し
た。
反応触媒の中和は多段(二段)で行った。一段目で酢酸2925.3、水33.2g、2
4%酢酸マグネシウム水溶液118.0gを添加、その30分後に二段目(酢酸306.
7g、24%酢酸マグネシウム水溶液306.7g)を添加して、反応を終了した。反応
生成物として粘調な液を得た。
以降実施例1と同じ工程を行った。
上記の実施例4でろ過工程を行わず、熟成反応停止工程から直ちに、沈殿工程を行ったこ
と以外は実施例4と同様にしてセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
る。表−1から明らかな通り本発明のセルロース混合脂肪酸エステルは微小な輝点異物が
少なく光学フィルムとして優れた特性を有している。
Claims (8)
- 炭素数2以上の脂肪族アシル基を有する混合脂肪酸セルロースエステルであって、総アシ
ル基の平均置換度が2.0〜2.9、かつ、
ポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量が10×104〜30×104であり、かつ
下記方法で測定した10μm以上の輝点異物が12個/mm3以下であるセルロース混合
脂肪酸エステルフレーク。
(輝点異物の測定方法)
セルロース混合脂肪酸エステルをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混
合溶媒に溶解し、20重量%(固形分濃度)の溶液(ドープ)を得る。このドープをスラ
イドグラス上に流延・乾燥し、厚さ100μm程度のフィルム状サンプルを得る。このサ
ンプルを偏光顕微鏡で暗視野下で観察し、面積6.4mm2内にある最大長さが10μm
以上の輝点異物を数え、別途測定した正確なフィルムの厚みで補正し、単位体積(1mm
3)あたりの異物数を求める。異なるドープから製膜したフィルム5枚について同様の測
定を行い、それらの平均値を算出し、輝点異物の数とする。 - 粘度平均重合度が130以上でかつ180以下であり、有機溶媒に溶解しろ過して異物を
減少させることなく、10μm以上の輝点異物が10個/mm3以下である請求項1記載
のセルロース混合脂肪酸エステルフレーク。 - 炭素数2〜5のアシル基で構成されかつ、
下記の測定方法で測定した不溶解物量が0.010重量%以下である、請求項1記載のセ
ルロース混合脂肪酸エステルフレーク。
(不溶解物量測定方法)
塩化メチレン:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、セルロース混合脂肪酸エス
テルを秤量したうえで固形分濃度1重量%の濃度に溶解し、得られた溶液を、相互理化学
硝子製作所製の「G―4」のガラスフィルターでろ過する。
フィルタに付着している残渣及びドープを濾液量と同量の塩化メチレン:メタノール=9
:1(重量比)の混合溶媒で、洗浄する。濾過残渣をガラスフィルターごと恒量になるま
で乾燥する。濾過前後でのガラスフィルター重量を測定し、次式より不溶解物量を算出す
る
(式中、W1は濾過前ガラスフィルター重量(g)、W2は濾過後ガラスフィルター重量
(g)を示し、Sはセルロースエステル重量(g)を示す)。
不溶解物量(重量%)=[(W2−W1)/S]×100 - アセチル基の平均置換度が0.1〜1.8である請求項1から3何れかに記載のセルロー
ス混合脂肪酸エステルフレーク。 - アセチル基と、プロピオニル基及びブチリル基から選択された少なくとも一方の基との割
合が、前者/後者=2/98〜60/40(モル比)である請求項4記載のセルロース混
合脂肪酸エステルフレーク。 - 総アシル基の平均置換度が2.3〜2.9であり、アセチル基と、プロピオニル基及びブ
チリル基から選択された少なくとも一方の基との割合が、前者/後者=2/98〜40/
60(モル比)である請求項4記載のセルロース混合脂肪酸エステルフレーク。 - 固有複屈折率△n0が−0.0057〜0.043である請求項4記載のセルロース混合
脂肪酸エステルフレーク。 - 少なくとも一部が請求項1から7の何れかに記載のセルロース混合脂肪酸エステルフレー
クからなる光学フィルム。
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