(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、例えば、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すとパチンコ機10の本体が開放する。
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
上皿部28の周縁壁部32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
一体皿24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像の変化や可動役物の動作等に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
この結果、上部演出部52と下部演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
この演出部56は、上部演出部52及び下部演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示部62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
また、前記上部演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という場合がある。
また、スピーカ60L、60Rの周縁の一部には、ランプユニット62が配設されている。このランプユニット62は、遊技仕様上の演出にも適用されるが、例えば、エラーが発生した場合に、点灯状態(連続点灯、点滅等)、並びに点灯色等の組み合わせによって、エラー内容を報知する場合がある。
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっている。なお、遊技盤18の最前面(釘が打ち込まれる面)となる部材として透明のアクリル板を適用し、当該アクリル板の裏面側に、セルの代替であるレンズ面が設けられた電飾装置(セット板)が配置される場合もある。
遊技盤18は、その盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図4参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域(「通常遊技領域」という場合がある)18Aとされている。
遊技盤18の遊技領域には、釘19(符号は、数カ所の釘に対して指標した)及び風車21が点在して設けられている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105(役物装置)が配置されている(図3参照)。ここで、遊技盤18において、センター役物105の周囲の遊技盤面が通常遊技領域18Aとされ、センター役物105の内側の領域は、この通常遊技領域とは区画された役物領域105Aとなる。センター役物105には一部に入賞流入口110が形成され、開閉部材としての羽根部材112が取り付けられ、この羽根部材112が開放しているときにかぎり、通常遊技領域18Aにある遊技球PBを役物領域105Aへ入賞させることが可能となっている。なお、センター役物105の構造については、後述する。
センター役物105の左右には、それぞれ一般入賞口114が設けられている。センター役物105よりも下部には、その中央にセンター特定入賞口118Cが設けられ、その左右に一対のサイド特定入賞口118L、118Rが設けられている。なお、センター特定入賞口118C、サイド特定入賞口118L、118Rを総称する場合、単に、特定入賞口118という場合がある。また、サイド特定入賞口118L、118Rのさらに外側には、それぞれ一般入賞口114が設けられている。すなわち、遊技盤18には、4個の一般入賞口114が存在する。
ここで、4個の一般入賞口114はそれぞれ入賞すると、所定数(例えば、10〜15球)の賞球払い出しが実行されるようになっている。
一方、特定入賞口118は、それぞれ入賞すると、所定数(例えば1〜5球)の賞球払い出しが実行されると共に(賞球払い出しがない場合もある)、前記羽根部材112を所定期間開放する契機となる。
また、遊技盤18の通常遊技領域18Aの最下位置には、何れの入賞口にも入賞しない外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口120が設けられている。
(センター役物105)
図3に示される如く、本実施の形態に係るセンター役物105は、左右対称形状とされ、その左右には、それぞれ縦壁部122が形成され、前記遊技盤18の通常遊技領域18A(図2参照)とは区画された役物領域105Aが形成されている。また、センター役物105の天井部は、遊技機18のテーマに即した形状の飾り部材124が取り付けられている。
一対の縦壁部122の上端部と、前記飾り部材124との間は開口しており、センター役物105内の役物領域105Aへの一対の入賞流入口110とされ、羽根部材112が取り付けられている。
羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112SL(図4参照)への励磁制御によって、回転軸を中心に回転される。例えば、羽根部材ソレノイド112SLが非励磁の場合は縦位置となって入賞流入口110を閉鎖し、励磁の場合は横位置となって入賞流入口110を開放する。なお、一対の羽根部材112は、リンク機構によって単一の羽根部材ソレノイド112SLの励磁制御によって、同期して開閉動作がなされるが、それぞれ独立した駆動源を持ち、左右の羽根部材を非同期に開閉してもよい。また、羽根部材ソレノイド112SLの代わりにモータ等の他の駆動系を用いてもよい。
一対の羽根部材112は、前記特定入賞口118(図2参照)に遊技球PBが入賞すると所定の条件が成立して開放するようになっている。一例として、遊技球PBが、一対のサイド特定入賞口118L、118Rの何れかに入賞すると、これをサイド特定入賞口用検出センサ118LS、118RSで検出して羽根部材112が1回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放するように羽根部材ソレノイド112SLを駆動制御する。また、遊技球PBがセンター特定入賞口118Cに入賞すると、これをセンター特定入賞口用検出センサ118CSで検出して羽根部材112が2回、所定時間(約0.5秒〜1.0秒間)開放するように羽根部材ソレノイド112SLを駆動制御する。
図5は、前記図3に示すセンター役物105内の全体的な機能を模式的に示した概略図である。また、図6〜図11は、センター役物105の各部における遊技球PBの流れを示す正面図である。
図3及び図5に示される如く、羽根部材112の開放により、左右の何れかの入賞流入口110から入賞した遊技球PBは、左右の何れかの球検出センサ112S(図5では1個のみ図示)を通過して、案内流路125を介して、センター役物105の最下部に設けられた回転体振分部126へ落下するようになっている。
案内流路125の途中には、ミニタワー状のサブ部材200が設けられており(図6参照)、サブ部材モータ200M(図4参照)の駆動力で回転する。サブ部材200は、遊技球PBが特定入賞口118に入賞して、羽根部材112が開放することを契機に回転を開始するようになっている。なお、遊技球PBの入賞有無に関係なく、電源投入を契機に常時回転するようにしてもよい。
センター役物105内に入賞した遊技球PBは、当該サブ部材200の真下に到達するようになっており、このときのサブ部材200の回転位置により、遊技球PBは2つのルートA又はルートBの何れかに選択的に案内されるようになっている。
ルートA及びルートBは、それぞれ遊技球PBを回転体振分部126へ案内するが、その案内位置が異なっている。
回転体振分部126は、回転体振分部モータ126M(図4参照)の駆動によって、常時回転するようになっている。なお、本実施の形態では、常時回転するようにしたが、例えば、羽根部材112の開放から所定時間だけ回転させてもよい。また、回転速度や回転方向を適宜変更してもよい。
回転体振分部126には、均等に振り分けられた3方向に向けて収容溝126Aが形成されている。この収容溝126Aは、順次、特定領域確定口(「V入賞口」という場合がある)に対向するようになっており、収容溝126Aに収容されることで約1/3の確率で、特定領域を通過することが確実となる当たり流路130に案内される(「V入賞」という場合がある)。V入賞は、中間位置検出センサとしてのV入賞センサ130Sによって検出される。なお、このV入賞センサ130Sによる検出信号は、後述する特定領域(第1〜第3の特定領域の何れか)への案内がほぼ確定したことを報知する演出開始の契機として適用されるようになっている。
前記ルートAは当該収容溝へ回転体振分部126の直上から回転中心軸に沿って直接案内するルートとなっている。
一方、ルートBは回転体振分部126の周縁に案内するルートであり、遊技球PBの到達時期と、回転体振分部126の回転位置とに基づく所定の確率で、収容溝に収容されるか否かの選択が実行されることになる。
すなわち、ルートAとルートBとは、特定領域を通過する難易度が異なるように構成され、回転体振分部126へ到達するまでの道程によっても、遊技者への期待感が異なるように設定されている。なお、以下において、「特定領域を通過する」ことを、『特定領域へ入賞』という場合があるが、これらは同義として扱う。
ここで、V入賞した遊技球PBと、V入賞しなかった遊技球PBとは、それぞれ異なる方向(外れ流路128、当たり流路130)へ案内されるようになっている。前記V入賞センサ130Sは、当たり流路130の途中に設けられている。
回転体振分部126において、外れ流路128に案内された遊技球PBは、センター役物105及び遊技盤18から排出される。なお、外れ流路128の途中には外れ口用球検出センサ128Sが設けられている。
一方、図7に示される如く、回転体振分部126において、当たり流路130に案内された遊技球PBは、V入賞センサ130Sで検出された後、センター役物105の図3に向かって右側の縦壁部122に沿って設けられ、遊技球PBを第1〜第3の特定領域の何れかへ案内するためのスクリューコンベア機構132へ案内されるようになっている。
なお、当たり流路130の下流端末には、スクリューコンベア機構132が起動していないときに、図示しない開閉機構によって開閉する、遊技球PBを遊技盤18から排出する排出路が設けられている。例えば、大当たり処理中に当たり流路130を通過する遊技球PBは、特定領域へ案内する必要がないので、この排出路から排出する場合がある。
(スクリューコンベアの構造)
図8に示される如く、スクリューコンベア機構132は、センター役物105内の役物領域105Aにおいて、最下端部から最上端部まで延設された円筒部材132Aを備える。
円筒部材132Aの最下部には、前記当たり流路130が突き当てられており、遊技球PBを受け入れる初期受入口204(第1の受入口)が形成されている。
円筒部材132Aの内部には、回転軸132Bの周囲に渦巻き状に案内ペラ132Cが取り付けられたスクリュー部132Dが収容されており、スクリュー部132Dは、スクリューモータ132M(図4参照)によって一方向に回転するようになっている。
また、円筒部材132Aには、スクリュー部の回転を妨げないように、円筒部材132Aの外方向に向けて突出した半円弧状の第1のストッパ部132Eが形成されている。第1のストッパ部132Eは、円筒部材132Aの内方からみると、樋状に凹陥されており、このため、前記初期受入口204から受け入れられた遊技球PBは、当該凹陥された第1のストッパ部132Eに一部が収容されることで、スクリュー部132Dの螺旋傾斜による落下転動が阻止されるようなっている。この結果、この第1のストッパ部132Eに収容され、かつ保持された遊技球PBは、スクリュー部132Dの回転によって、徐々に上昇されるようになっている。
円筒部材132Aには、その中間位置に第1の遊技球排出口133Aが設けられている。第1の遊技球排出口133Aは、前記第1のストッパ部132Eの延長上に設けられている。なお、第1のストッパ部132Eは前記初期受入口204から上方に向けて前記スクリュー部132Dの軸線に沿って形成され、前記第1の遊技球排出口133Aに至るまでに当該軸線周りにクランク状(図8の矢印K参照)に屈曲された後、最終的に軸線に沿うように形成されている。言い換えれば、遊技球PBが第1の遊技球排出口133Aまで上昇する過程において、軸線周りに約10°〜15°程度回転するようになっている。
また、円筒部材132Aには、その高さ方向中間部(前記第1の遊技球排出口133Aよりもスクリュー部132Dの回転による遊技球PBの上昇高さにおいて約1回転〜2回転分低く、かつ軸線周りにずれた位置)に遊技球受入口133B(第2の受入口)が設けられている。
遊技球受入口133Bを起点として、円筒部材132Aの上方には、スクリュー部の回転を妨げないように、円筒部材132Aの外方向に向けて突出した半円弧状の第2のストッパ部132Fが形成されている。第2のストッパ部132Fは、前記第1のストッパ部132Eとほぼ同一構造であり、円筒部材132Aの内方からみると、樋状に凹陥されており、このため、前記遊技球受入口133Bから受け入れられた遊技球PBは、当該凹陥された第2のストッパ部132Fに一部が収容されることで、スクリュー部132Dの螺旋傾斜による落下転動が阻止されるようなっている。この結果、この第2のストッパ部132Fに収容され、かつ保持された遊技球PBは、スクリュー部132Dの回転によって、徐々に、遊技球受入口133Bよりもさらに上昇されるようになっている。
円筒部材132Aにおける第2のストッパ部132Fの上端位置には、第2の遊技球排出口133Cが設けられている。
すなわち、スクリューコンベア機構132では、前記センター役物105の下端部の初期受入口204から受け入れ、上昇していく遊技球PBを、一旦中間位置の第1の遊技球排出口133Aから排出し、後述する周回路206での動向に依存する所定の確率で戻ってくる遊技球PBを遊技球受入口133Bから受け入れて再度上昇させ、上端位置の第2の遊技球排出口133Cから排出する。
(メイン部材)
図3及び図5に示される如く、前記回転体振分部126の周囲には、センター役物105のメイン部材134の脚部134Aが固定されている。メイン部材134は、前記脚部134Aからセンター役物105の役物領域105Aの最上部まで延びるタワー形状であり、上部に行くに従い所謂「先細り」とされた円錐(或いは角錐、或いはこれらの組み合わせ)の立体構造とされている。なお、前述したサブ部材200(ミニタワー)に比べてその高さ寸法が大きい。
図5、図9に示される如く、前記スクリューコンベア機構132の中間位置と、メイン部材134の高さ方向の中間位置との間には、遊技球PBが前記スクリューコンベア機構132からメイン部材134に流れるように第1の連絡流路135が設けられている。この第1の連絡流路135の案内先には、メイン部材134の前記中間位置を周回する輪状の周回路206が設けられている。この周回路206は、メイン部材134がタワー形状とした場合に、中間展望台をイメージさせる構造となっている。
前記スクリューコンベア機構132の中間位置の第1の遊技球排出口133Aから排出された遊技球PBは、第1の連絡流路135により第1の特定領域を備えている周回路206に案内される。周回路206では、遊技球PBが第1の特定領域を通過せずにメイン部材134の回りをほぼ1周して、流路208を介してスクリューコンベア機構132の遊技球受入口133Bに戻るルート(図5に示すルートC)に案内される場合がある。
一方、前記周回路は、周回している遊技球PBの一部を第1の特定領域を通過させるルート(図5に示すルートD)に案内させることができるようになっている。このルートDでは、遊技球PBは、案内流路138を通過するようになっている。
第1の特定領域の通過が確定(第1の到達検出センサ138Sによる球検出)した場合は、羽根部材112の所定時間、かつ所定回数の開放を1ラウンドとしたときに、最少ラウンド(本実施の形態では、3ラウンド)の大当たり処理が実行される(第1の大役処理:第1の特別遊技状態)。
また、前記スクリューコンベア機構132の遊技球受入口133Bに戻るルートCに案内された場合は、構造的には、必ず第2〜第3の特定領域へ行き着く状態であるが、大当たりは確定しているが、前記第1の特定領域に設定した最少ラウンド(例えば3R)よりも多いラウンド数が設定された特定領域(第2の特定領域又は第3の特定領域)に移行するようになっている(スクリューコンベア機構132による再上昇)。
また、図5、図10、図11に示される如く、前記スクリューコンベア機構132の上端位置(遊技球排出口133C)と、メイン部材134の高さ方向の上端位置との間には、遊技球PBが前記スクリューコンベア機構132からメイン部材134の上端位置に流れるように第2の連絡流路136が設けられている。この第2の連絡流路136の案内先には、メイン部材134の前記上端位置で遊技球PBを収容する選択路210が設けられている。この選択路210は、メイン部材134がタワー形状とした場合、最上展望台をイメージさせる構造となっており、ドーナツ状に周回する周回路が形成されている。
前記スクリューコンベア機構132の上端位置の遊技球排出口133Cから排出された遊技球PBは、第2の連絡流路136により選択路210に案内される。選択路210では、約1/2の確率で第2の特定領域(図5に示すルートE)又は第3の特定領域(図5に示すルートF)の何れかへ案内(振分)されるようになっている。
ルートEでは、遊技球PBは、案内流路140を通過(第2の到達検出センサ140Sによる球検出)するようになっている(第2の到達検出センサ140Sによる球検出)。また、ルートFでは、遊技球PBは、案内流路212を通過するようになっている(第3の到達検出センサ212Sによる球検出)。
第2の特定領域(V入賞口)の通過が確定した場合は、羽根部材112の所定時間、かつ所定回数の開放を1ラウンドとしたときに、最少ラウンドよりも多いが最多ラウンドよりも少ない中間ラウンド(本実施の形態では、7ラウンド)の大当たり処理が実行される(第2の大役処理:第2の特別遊技状態)。
第3の特定領域(V入賞口)の通過が確定した場合は、羽根部材112の所定時間、かつ所定回数の開放を1ラウンドとしたときに、最多ラウンド(本実施の形態では、16ラウンド)の大当たり処理が実行される(第3の大役処理:第3の特別遊技状態)。
なお、前記第1の特定領域〜第3の特定領域は、V入賞した遊技球PBの最終の目的位置であり、第1の特定領域〜第3の特定領域の何れかを通過してセンター役物105及び遊技盤18から排出される案内流路138、140、212には、それぞれ別々に到達検出センサ(第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212S)が設けられている(図5参照)。
(制御系の構成)
次に、図4を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、図4に示されるように、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号)が送信される。
主制御部150には、通常遊技領域18Aにおける入力系として、一般入賞口114(本実施の形態では4箇所)に入賞する遊技球PBを検出する一般入賞用の球検出センサ114S、センター特定入賞口118Cに入賞する遊技球を検出するセンター特定入賞口用のセンター球検出センサ118CS、サイド特定入賞口118L、118Rに入賞する遊技球PBを検出するサイド特定入賞口用のサイド球検出センサ118LS、118RSが接続されている。
なお、一般入賞用の球検出センサ114Sは、各入賞口毎でもよいし、2以上の入賞口を合流させて兼用してもよい。
また、サイド特定入賞口用の球検出センサ118LS、118RSは、各特定入賞口毎でもよいし、2つのサイド特定入賞口118L、118Rを合流させて兼用してもよい。
また、主制御部150には、センター役物105の役物領域105Aにおける入力系として、羽根部材112が開放したときに役物領域105A内に入賞する遊技球PBを検出する特定遊技部入賞用の2個の球検出センサ112S、第1の特定領域を通過する遊技球PBを検出する第1の到達検出センサ138S、第2の特定領域を通過する遊技球PBを検出する第2の到達検出センサ140S、第3の特定領域を通過する遊技球PBを検出する第3の到達検出センサ212S、回転体振分部126の外れ溝に収容され、その後センター役物105及び遊技盤18から排出される遊技球PBを検出する外れ口用球検出センサ128Sが接続されている。
なお、2個の球検出センサ112Sは、左右の球流入口毎としたが、左右の球流入口が合流した後に設けることで、単一の球検出センサ112Sとしてもよい。
また、主制御部150には、通常遊技領域18における出力系として、ガイドランプユニット109が接続されている。ガイドランプユニット109は、遊技の進行を複数のランプ(LED)点灯、消灯、点滅、点灯時の色等によって識別するものであり、遊技者から認識できる位置に設けることが好ましい(本実施の形態の図2では図示省略)。
また、主制御部150には、センター役物105の役物領域105Aにおける出力系として、羽根部材112を開閉するための羽根部材ソレノイド112SL、回転体振分部126を回転させる回転体振分部モータ126M、スクリューコンベア機構部132のスクリュー部132Dを回転させるスクリューモータ132M、サブ部材200を回転させるサブ部材モータ200Mが接続されている。
演出制御部152には、入力系として、前記操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、パチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137、スピーカ60(60L、60C、60R、60U)が接続されている。なお、遊技盤18面にLCD表示部やLED表示部等の表示部材を設ける場合には、演出制御部152に接続すればよい。
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
(異常振動監視制御)
本実施の形態の主制御部150には、遊技盤18上の遊技球PBの各部への入賞を検出するセンサ以外に、振動検出センサ142が接続されている。振動検出センサ142は、遊技盤18、ひいてはパチンコ機10全体に加わる振動を検出する機能を有している。
本実施の形態のセンター役物105では、遊技球PBの動向によって、継続するラウンド数が決まるため、遊技者の心理状態から、外部からの衝撃によって、遊技球PBの動向に変化を加えるべく、パチンコ機10の枠体やガラス枠16を叩く場合がある。このような、外部からの衝撃は、現実に遊技球PBの動向に変化があろうとなかろうと、不正に相当する。
そこで、本実施の形態では、パチンコ機10に振動検出センサ142を配置し、主制御部150でこれを監視すると共に、振動検出センサ142により、予め定めた異常信号検出があった場合に、原則として、ある期間の特定領域(第1の特定領域〜第3の特定領域)の通過を無効にする、或いは、一部又は全部の電気部品への通電を止めるといった不正防止処理が実行されるようになっている。
図13には、振動検出センサ142の構成の一例が示されている。図13に示す振動検出センサ142は、所謂振り子式構造であり、皿状(円弧面状)の受け台142Aと、受け台142Aに載せられて自由状態となっている金属製の球体142Bとを備えている。
受け台142Aには、LC発振回路143に接続されたコイル部142Cが埋設されている。LC発振回路143には、電源回路144が所定の電圧の電源が供給され、通常状態で一定の発振周波数で発振されており、その信号は信号処理回路145へ送出されるようになっている。
ここで、前記金属製の球体142Bは、パチンコ機10の振動に応じて受け台142A上で動くようになっており、この球体142Bが動くことで、LC発振回路143に磁界の変化に応じて変化する電流が入力されることで、発振周波数に変化が生じ、信号処理回路145では、予め定めたしきい値を超える信号が入力されると、トランジスタ146のベースにH(ハイレベル)信号を出力してオン状態とし、出力信号(OUT端子148OUT)を反転させるようになっている。
この出力信号が前記主制御部150に入力されると、主制御部150では、「異常振動検出」と判断し、不正防止処理を実行する。
(到達検出センサの有効/無効制御)
本実施の形態では、第1の特定領域、第2の特定領域、第3の特定領域を遊技球PBが到達し、通過すると、それぞれラウンド数が異なるものの、遊技者にとって通常遊技よりも有利な大当たり処理が実行される。
このため、第1の特定領域には遊技球PBが当該第1の特定領域に到達し、通過したことを検出する第1の到達検出センサ138Sが設けられ、第2の特定領域には遊技球PBが当該第2の特定領域に到達し、通過したことを検出する第2の到達検出センサ140Sが設けられ、第3の特定領域には遊技球PBが当該第3の特定領域に到達し、通過したことを検出する第3の到達検出センサ212Sが設けられている。
しかしながら、遊技球PBが第1〜第3の特定領域の何れかに到達し、通過するには、前述したセンター役物105において、羽根部材112が開放している間に流入口110から遊技球PBが流入したことを球検出センサ112Sで検出し、かつ、当たり流路130に遊技球PBが送り込まれたことをV入賞センサ130で検出するという過程(以下、「遊技球流動過程」という)を経るようになっている。
言い換えれば、上記遊技球流動過程を経ないで第1〜第3の特定領域の何れかに到達し、通過するということは、何らかの不具合、或いは不正によるものであり、到達したと認識しないことが好ましい。そこで、本実施の形態では、前記第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sに対して、特定の条件に基づいて、検出自体或いは検出した信号の有効化/無効化の選択制御を実行するようにした。特定の条件とは、基本的には、前記遊技球流動過程を経たか否かを指す。
図12は、主制御部150における、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sの有効化/無効化制御を主体とした機能ブロックである。なお、図12の各ブロックは機能的に分類したものであり、ハード構成を限定するものではない。
主制御部150には、遊技実行制御部250が設けられている。遊技実行制御部250では、通常遊技の制御、特別遊技の制御の他、図4に示す演出制御部152に対する演出指示、図4に示す払出制御部154に対する払出指示を行う。
遊技実行制御部250には、入力系として、一般入賞用球検出センサ114S、外れ口用球検出センサ128S、センター特定入賞口用球検出センサ(C)118CS、サイド特定入賞口用球検出センサ(L)118LS、サイド特定入賞口用球検出センサ(R)118RS、球検出センサ112S、V入賞センサ130Sがそれぞれ接続されている。また、遊技実行制御部250には、出力系として、羽根部材ソレノイド112SL、振分回転部モータ126M、スクリューモータ132M、サブ部材モータ200Mがそれぞれ接続されている。
ここで、球検出センサ112Sの出力信号線は分岐され、第1の判定部252に接続されている。第1の判定部252は遊技実行制御部250にも接続されている。第1の判定部252は、遊技実行制御部250から開閉指示信号が入力されると起動され、球検出センサ112Sからの球検出信号が受信可能となる。
第1の判定部252は、第2の判定部254に接続されている。また、前記V入賞センサ130Sの出力信号線は分岐され、前記第2の判定部254に接続されている。
第1の判定部252では、前記球検出センサ112Sからの球検出信号を受信すると、第2の判定部254に対して第1の許可信号を出力する。第2の判定部254は、第1の判定部252から第1の許可信号が入力されると起動され、V入賞センサ130Sからの球検出信号が受信可能となる。
第2の判定部254は、到達検出センサ管理制御部256に接続されている。到達検出センサ管理制御部256には、タイマt1、t2が具備されており、前記球検出センサ112Sによる球検出によってそれぞれリセット・スタートする。
また、到達検出センサ管理制御部256には、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sがそれぞれ接続されている。
第2の判定部254では、前記V入賞センサ130Sからの球検出信号を受信すると、到達検出センサ管理制御部256に対して第2の許可信号を出力する。到達検出センサ管理制御部256は、第2の判定部254から第2の許可信号が入力されると起動され、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sからの球検出信号が受信可能となる。第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sからの球検出信号が受信可能な状態が「有効期間」となる。
言い換えれば、第2の許可信号が入力されない期間は、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sからの球検出信号は受信しない受信不可状態となる。第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sからの球検出信号が受信不可の状態が「無効期間」となる。なお、「無効期間」中、到達検出センサ管理制御部256では、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sからの球検出信号を受信してもよく、当該受信を無視する(何らアクションを起こさない)ようにしてもよい。
到達検出センサ管理制御部256では、前記「有効期間」中は、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sから受信した球検出信号を遊技実行制御部250へ送出する。一方、到達検出センサ管理制御部256では、前記「無効期間」中は、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sから受信した球検出信号を遊技実行制御部250へ送出しない。
(異常振動監視制御と有効/無効制御との相関関係)
以下に、振動検出センサ142による異常振動監視制御と、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sの有効/無効制御との相関関係について説明する。
異常振動監視制御では、前述したように、原則として、ある期間の特定領域(第1の特定領域〜第3の特定領域)の通過を無効にする、或いは、一部又は全部の電気部品への通電を止めるといった不正防止処理が実行される。
ところが、振動検出センサ142は、取り付けられたパチンコ機10(以下、「自パチンコ機10」という)の振動以外に、隣接するパチンコ機やパチスロ機、背中合わせで対峙する同一島のパチンコ機やパチスロ機等の他の遊技機からの振動を受けて、異常判定する場合がある。
このような、当該自パチンコ機10で遊技している遊技者からすれば不可抗力の振動検出で、タイミングよく特定領域を通過しようとしている遊技球PBが無効になるのは、所謂理不尽な状況に陥ることになる。
しかしながら、振動検出センサ142では、自パチンコ機10の振動であるのか、他の遊技機から伝わってきた振動であるのかは不明であるため、店側からすれば、不正行為があったとして、不正防止処理を実行することが望ましい。
すなわち、遊技者と店側とでは、1つの手段(異常振動による不正防止対策)に対して、二律背反の関係にある。
そこで、本実施の形態では、特定領域が複数存在(第1の特定領域〜第3の特定領域)することに着目し、何れかの特定領域を選択し、異常振動による不正防止対策から排除するようにした。すなわち、振動検出センサ142による異常信号検出の際、当該選択された特定領域に設けられた到達検出センサの無効化を禁止する。
本実施の形態では、最もラウンド数の少ない第1の特定領域が選択され、無効化禁止対象は、第1の到達検出センサ138Sとしている。
図12に示される如く、振動検出センサ142は、不正行為処理部258に接続されている。不正行為処理部258では、振動検出センサ142から異常信号を受け付けると、遊技実行制御部250に対して遊技の進行を制限する信号を出力すると共に、必要に応じて、電源系統を司る制御部(図示省略)に対して異常発生を知らせる信号を出力する。
また、不正行為処理部258は、センサ除外部260を介して到達検出センサ管理制御部256に接続されている。このため、到達検出センサ管理制御部256では、振動異常が発生すると、原則として、不正行為処理部258から異常信号を受け、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sを無効化する。
一方委、センサ除外部260には、禁止対象センサ記憶部262が接続されている。この禁止対象センサ記憶部262には、予め振動検出時に無効化を禁止する特定領域に対応する到達検出センサ(第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sの何れか)を識別する識別符号が記憶されている。
センサ除外部260では、禁止対象センサ記憶部262に記憶された識別符号を読み出し、当該識別符号に該当する到達検出センサ(ここでは、第1の到達検出センサ138S)を除外して、到達検出センサ管理制御部256へ異常信号を送出する。
以下に本実施の形態の作用を説明する。
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口120からパチンコ機10内に回収される。
また、遊技球PBが通常遊技領域18A内に設けたセンター特定入賞口118C又はサイド特定入賞口118L、118Rに入賞すると、センター役物105の羽根部材112が開閉動作され(約0.5秒〜1.0秒間の開放を1回又は2回実行)、遊技球PBがセンター役物105内の役物領域105Aへ入賞することが可能となる。また、一般入賞口114に入賞すると、予め定めた賞球(払い出し)が実行される。
(センター役物105における遊技仕様の概要)
以下に、羽根部材112の開放によって遊技球PBがセンター役物105の役物領域105Aに入賞した場合の遊技球PBの動向について詳細に説明する。
通常遊技領域18Aに設けられたサイド特定入賞口118L、118Rに入賞すると、羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112SLの励磁制御によって、0.5秒〜1.0秒程度の開放を1回だけ実行する。また、センター特定入賞口118Cに入賞すると、羽根部材112は、羽根部材ソレノイド112SLの励磁制御によって、0.5秒〜1.0秒程度の開放を2回だけ実行する。何れにしても、羽根部材112の開放中は、通常遊技領域18Aを落下している遊技球PBが、センター役物105の役物領域105Aへ入賞することが可能となる。
役物領域105Aに入賞したか否かは、球検出センサ112Sによって検出される。
この検出は、センター役物105内への、IN(流入)/OUT(流出)を監視することが目的であり、例えば、特定遊技部入賞用の球検出センサ112Sによって遊技球PBが検出されると、その都度タイマが起動して、所定時間経過しても流出がない(第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212S、外れ口用球検出センサ128Sで検出しない)場合に、球噛み、球詰まりや、不正行為の発生を予測(判定)して、エラー報知を行う。
前記役物領域105Aに入賞した遊技球PBは、まず、サブ部材200において、ルートA又はルートBに振り分けられて、回転体振分部126へ至る。
回転体振分部126において、遊技球PBはV入賞(ここでは、仮V入賞:疑似確定入賞)か否かが振り分けられる。この場合、収容溝126Aに収容されるか否かによってV入賞の確率が異なる。
この回転体振分部126による振り分けで、外れとなった遊技球PB(仮V入賞しなかった遊技球PB)は、センター役物105及び遊技盤18から排出され、以後の遊技の進行に変化はない。
一方、V入賞した遊技球PBは、この時点で特別遊技状態が確定しているわけではないが、構造的には、実質的なV入賞が確定する第1〜第3の特定領域へ案内される。但し、振動等が発生した場合は、当然V入賞が確定されているわけではないので、一旦遊技が中止されて、構造的にV入賞が確定している遊技球PBが滞留している状態で遊技が再開できたとしても、その遊技球のV入賞は無効となる場合がある。
なお、本実施の形態では、回転体振分部126により仮V入賞し(演出のためのセンサが設けられている場合がある)、その後、スクリューコンベア132による第1〜第3の特定領域への案内後にV入賞確定としたが、仮V入賞時を本V入賞とする遊技仕様してもよい。
前記演出のためのセンサが設けられている場合、当該センサによって遊技球PBを検出すると、演出制御部152では、視覚及び/又は聴覚を通じて、特別遊技状態が確定したかのような確定先行演出を実行する。
V入賞した遊技球PBは、スクリューコンベア機構132へと案内され、スクリュー部132Dの案内ペラ132Cの回転によって円筒部内を上昇する。
この上昇中、遊技球PBは、必ず、一旦、中間位置の第1の遊技球排出口133Aから排出され、メイン部材134の中間位置の周回路206を周回する。この周回中に、遊技球PBは、第1の特定領域を通過する場合(ルートD)と、当該周回路206を周回して、流路208を介して遊技球受入口133Bへ至る場合(ルートC)とがある。
遊技球PBがルートDに案内された場合は、第1の大役処理の実行が確定する。
また、遊技球PBがルートCに案内された場合は、通過する特定領域が確定していない状態で、遊技球受入口133Bから、再びスクリューコンベア機構132の円筒部材132A内に入り、さらに上昇する。
スクリューコンベア機構132の上端部には、第2の遊技球排出口133Cが設けられ、遊技球PBは第2の遊技球排出口133Cから排出され、メイン部材134の上端部に位置する選択路210へ案内される。この選択路210では、第2の特定領域へ案内するルートEと、第3の特定領域へ案内するルートFとが設けられ、遊技球PBは必ず第2の特定領域又は第3の特定領域の何れかを通過する(第2の大役処理又は第3の大役処理の実行確定)。
本実施の形態では、第1の特定領域を通過〜第3の特定領域を通過するとV入賞確定となり、羽根部材112を、通常遊技状態に比べて、その開放回数、開放時間が長い動作(1ラウンド)を複数ラウンド繰り返す、特別遊技状態となる。
本実施の形態では、第1の特定領域の通過では特別遊技状態として実行されるラウンド数を3ラウンドとし、第2の特定領域の通過では7ラウンド、第3の特定領域の通過では16ラウンドとしている。この特別遊技状態では、球検出センサ112Sで検出した遊技球の数に応じて賞球払い出しがなされるため、通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態ということができ、ラウンド数が多ければ多いほど、その有利な遊技状態の度合いが高く(獲得できる賞球数が多く)なる。なお、ラウンドが更新される条件は、入賞した遊技球が再度V入賞したときとしてもよく、多くの入賞が期待できる特別遊技状態中では、振分回転部126からV入賞する確率は、ほぼ100%に近くなるため、ラウンド更新はほぼ確実となる。
ここで、通常は遊技球PBが遊技盤18の最上部に発射され、その後、自重で遊技盤面に沿って落下していく過程において、遊技が進行する。その後、所定の確率で特定入賞口118に遊技球PBが入賞し、センター役物105の役物領域105Aに遊技球PBが受け入れられると、最初は遊技球PBの自重により落下していくが、最下端部からは、一部の遊技球PBがスクリューコンベア機構132の動作で自重に逆らって上昇する構成とした。
このとき、遊技球PBが上昇する時点で(スクリューコンベア機構に到達した時点)V入賞は確定し、かつ、上昇すればするほど、遊技者にとって有利度合いが高くなる構成とした(第1の特定領域通過時のラウンド数<第2の特定領域通過時のラウンド数<第3の特定領域通過時のラウンド数)。
すなわち、役物領域105Aの最下端部において、V入賞か否かの振り分けが実行され、V入賞が確定すると、役物領域105Aの中間位置まで上昇して、第1の特定領域か否かの振り分けが実行され、第1の特定領域ではない場合は、さらに役物領域105Aの最上端位置まで上昇して、第2の特定領域又は第3の特定領域の振り分けを行う。このため、遊技球PBが上昇すればするほど(遊技球の振分工程が進めば進むほど)、遊技者は期待感をもって遊技の進行を楽しむことができる。
また、本実施の形態では、遊技球PBがスクリューコンベア機構132に到達(すなわち、V入賞確定)するまでの間にも振分機構(図5に示す、サブ部材200によるルートA又はルートBの選択、回転体振分部126による当たり/外れの選択)を設けているため、遊技全体として、変化に富んだ遊技球PBの動向を楽しむことができ、さらに、その変化に富んだ遊技球PBの動向の途中以降(遊技球PBがスクリューコンベア機構132に到達後)は、遊技者は安心して当該遊技球PBの動向を楽しむことができる。
上記のように、本実施の形態では、振分工程の移行の際に、軸線を天地方向に向けたスクリューコンベア機構132を適用したため、次工程が必ず前工程よりも遊技盤18上の上側となる。これは、例えば、本実施の形態の遊技盤18におけるテーマ(高層タワー構造)に即して、上に行けばいくほど、優越感を持つという、遊技者の感性に合わせることができる。
(球検出センサの有効/無効制御)
ここで、遊技球PBが第1〜第3の特定領域の何れかに到達し、通過するには、前述したセンター役物105において、羽根部材112が開放している間に流入口110から遊技球PBが流入したことを球検出センサ112Sで検出し、かつ、当たり流路130に遊技球PBが送り込まれたことをV入賞センサ130で検出するという過程(遊技球流動過程)を経ることが前提である。そこで、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sに対して、特定の条件(遊技球流動過程を経たか否か)に基づいて、検出自体或いは検出した信号の有効化/無効化の選択制御を実行している。
図14は、本実施の形態に係る到達検出センサの有効/無効制御ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ300では、まず、初期設定として、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sの無効化処理を実行し、ステップ302へ移行する。なお、無効化は、検出自体をしない、或いは検出した信号を受け付けない、の何れであってもよい。
次のステップ302では、羽根部材112の開閉指示信号を受信したか否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。また、ステップ302で肯定判定されると、遊技球PBがセンター役物105内に流入する可能性があると判断し、ステップ304へ移行して、図12の第1の判定部252を起動し、次いでステップ306へ移行してタイマt1、タイマt2を共にリセット・スタートする。なお、タイマt1、タイマt2は、その計時時間がタイマt1<タイマt2の関係にある。
次のステップ308では、球検出センサ112Sでセンター役物105内に遊技球PBが流入したことを検出したか否かが判断され、否定判定されるとステップ310へ移行して羽根部材112が閉止状態となったか否か判断される。なお、この判定は、羽根部材112の閉止後所定時間経過した後に行ってもよい。ステップ310で否定判定されるとステップ308へ戻り、肯定判定されると遊技球PBがセンター役物105内に流入しなかったと判断し、このルーチンは終了する。
また、ステップ308で肯定判定されるとステップ312へ移行して、図12の第1の判定部252は第1の許可信号を出力し、ステップ314へ移行する。
ステップ314では、第1の許可信号に基づいて、図12の第2の判定部254を起動させ、次いでステップ316へ移行して、V入賞センサ130Sにより遊技球PBが当たり流路130への進入したことを検出したか否かが判断される。
ステップ316で否定判定された場合は、ステップ318へ移行して外れ口用球検出センサ128Sで遊技球PBを検出したか否かが判断され、否定判定された場合はステップ316へ戻り、肯定判定された場合は、このルーチンは終了する。
また、ステップ316で肯定判定されるとステップ320へ移行して、図12の第2の判定部254は第2の許可信号を出力し、ステップ322へ移行する。
次のステップ322では、タイマt1が経過したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ324へ移行して、タイマt1の経過及び前記第2の許可信号に基づいて、第1の到達検出センサ138Sを有効とし、ステップ326へ移行する。これにより、第1の特定領域を遊技球PBが通過すると、これを第1の到達検出センサ138Sで検出し大当たり処理を実行することができる。
ステップ326では、タイマt2が経過したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ328へ移行して、タイマt2の経過及び前記第2の許可信号に基づいて、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sを有効とし、ステップ330へ移行する。これにより、第2又は第3の特定領域を遊技球PBが通過すると、これを第2の到達検出センサ148S又は第3の到達検出センサ212Sで検出し大当たり処理を実行することができる。
ステップ330では、センター役物105内に流入した遊技球PBの数におけるIN/OUT、すなわち、流入数と排出数とが合致したか否かが判断され、肯定判定されると、センター役物105内に遊技球PB(正規の遊技球)は残って以内と判断し、ステップ332へ移行して、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sの無効化処理を実行し、このルーチンは終了する。
(異常振動監視制御)
ここで、本実施の形態のセンター役物105では、遊技球PBの動向によって、ラウンド継続されるか否かが決まるため、遊技者の心理状態から、外部からの衝撃によって、遊技球PBの動向に変化を加えるべく、パチンコ機10の枠体やガラス枠16を叩く場合がある。そこで、パチンコ機10に振動検出センサ142を配置し、主制御部150でこれを監視している。すなわち、振動検出センサ142により、予め定めた異常信号検出があった場合に、原則として、ある期間の特定領域(第1の特定領域〜第3の特定領域)の通過を無効にする、或いは、一部又は全部の電気部品への通電を止めるといった不正防止処理が実行される。
ところが、振動検出センサ142は、取り付けられたパチンコ機10の振動以外に、隣接するパチンコ機やパチスロ機、背中合わせで対峙する同一島のパチンコ機やパチスロ機等の他の遊技機からの振動を受けて、異常判定する場合がある。
このような、当該自パチンコ機10で遊技している遊技者からすれば不可抗力の振動検出で、タイミングよく特定領域を通過しようとしている遊技球PBが無効になるのは、所謂理不尽な状況に陥る反面、店側からすれば、不正行為があったとして、不正防止処理を実行することが望ましい。
そこで、本実施の形態では、遊技者と店側との妥協点として、第1の特定領域に設けられた第1の到達検出センサ138Sを、異常振動による不正防止対策から排除するようにした。すなわち、振動検出センサ142による異常信号検出の際、第2の到達検出センサ140Sと第3の到達検出センサ212Sは無効化されるため、仮に遊技球PBが第2の特定領域又は第3の特定領域を通過したとしても、大役処理は獲得されない。
一方、第1の到達検出センサ138Sは無効化が禁止されるため、仮に遊技球PBが第1の特定領域を通過すると、3ラウンドの大役処理を獲得する。
図15は、異常振動監視制御ルーチンを示すフローチャートである。
ステップ350では、振動監視時期か否かが判断され、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。また、ステップ350で肯定判定された場合は、ステップ352へ移行して、振動検出センサ142から信号を取り込み、次いでステップ354へ移行して、異常判定処理を実行する。例えば、取り込んだ信号のピーク値を予め設定したしきい値と比較することによって、異常振動を検出する。なお、判定要素として、ノイズ除去のため、数回の判定の平均をとる、或いは、しきい値を超えた信号が一定時間内に複数回発生した等を加えてもよい。
次のステップ356では、異常があったか否かを判断し、否定判定された場合は、このルーチンは終了する。また、ステップ356で肯定判定された場合は、ステップ358へ移行して禁止対象の到達検出センサを読み出す。本実施の形態では、禁止対象センサ記憶部262(図12参照)には、第1の到達検出センサ138Sの識別符号が記憶されている。
次のステップ360では、不正防止処理の対象から、前記ステップ358で選択された到達検出センサ(例えば、第1の到達検出センサ138S)を除外する。すなわち、これにより、第1の到達検出センサ138Sは、振動による無効化が禁止される。
次のステップ362では、不正防止処理を実行する。例えば、遊技の根幹である発射装置165(図4参照)の機能を無効としたり、遊技の進行に必要な主たる電源を遮断するといった直接的不正防止処理や、ランプの点灯、警告音の出力等間接的不正防止処理、或いはこれらの組み合わせにより不正防止処理が実行される。
このように、第1の到達検出センサ138Sが、不正防止処理から除外されることで、例えば、遊技中において、V入賞センサ130によって遊技球PBを検出、すなわち、当たり流路130に入っており、何れかの特定領域を通過することが確定しているときに、隣接するパチンコ機等からの振動を受けて不正防止処理が実行されたとしても、理論上1/3の確率で第1の特定領域へ到達し、3ラウンドの大役処理を獲得することができる。なお、第2の特定領域又は第3の特定領域の通過は無効となるが、一部のルート(第1の特定領域)は有効が維持されるので、遊技者と店側との妥協点とすることができる。
なお、本実施の形態では、第1〜第3の特定領域を遊技球PBが通過することとし大役処理の確定の契機としたが、当該契機に加え、入賞口と同様に入賞と判断し、賞球を行ってもよい
以下に、図12〜図15による球検出センサの有効/無効制御と、異常振動監視制御を用いた実際の動作例として、実施例を示す。
図16は、実施例に係り、単発流入(遊技球PBが1個流入し、入賞する例)のときの球検出センサの有効/無効制御及び異常振動監視制御のタイミングチャートである。
羽根部材ソレノイド112SLがオンすると、羽根部材が開放し、同時にタイマt1、タイマt2がリセットスタートする。
羽根部材112が開放中は、遊技球PBがセンター役物105内に流入可能であり、図14では、1個の遊技球PBが流入したことを球検出センサ112Sで検出している。
その後、流入した遊技球PBは、センター役物105内を流動し、当たり流路130に至ると、この遊技球PBはV入賞センサ130Sによって検出される。
タイマt1がタイムアップになると、上記球検出センサ112Sの検出及びV入賞センサ130Sの検出を条件として、無効状態であった第1の到達検出センサ138Sが有効となる。また、タイマt2(>t1)がタイムアップになると、上記球検出センサ112Sの検出及びV入賞センサ130Sの検出を条件として、無効状態であった第2の到達検出センサ140S及び第3の到達検出センサ212Sが有効となる。
ここで、振動検出センサ142により異常振動を検出すると、第2の到達検出センS140S、第3の到達検出センサ212Sが、再度無効となる。一方、第1の到達検出センサ138Sは有効状態が維持される。
このため、遊技球PBは、第1の特定領域、第2の特定領域、第3の特定領域の何れかへ到達し、通過するが、第1の到達検出センサ138Sでは検出可能であり、3ラウンドの大役処理が獲得される(図14の矩形斜線部参照)。一方、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sは無効化されているため、第2の特定領域、第3の特定領域に到達し、通過ても大役処理は獲得できない。
なお、図16では示していないが、センター役物105内の遊技球PBのIN/OUTが合致すると、第1の到達検出センサ138S、第2の到達検出センサ140S、第3の到達検出センサ212Sは、再度無効状態となり、次の羽根部材112の開放を待つ。
なお、本実施の形態(実施例を含む)では、無効化が禁止される対象として、第1の到達検出センサ138Sを選択し、異常振動があっても、最も遊技者への有利度が少ない3ラウンドの大役処理は獲得できる可能性を残したが、無効化が禁止される対象として、第2の到達検出センサ140S、又は第3の到達検出センサ212Sを選択してもよい。或いは、3個の到達検出センサの内、何れか2個の到達検出センサを選択してもよい。要するに、通常(常態)よりも不利な状況を作ることで、遊技者側と店側との妥協点の設定という本願発明の目的は達成できる。