JP2013150703A - 木質積層体、この木質積層体を用いた卓球ラケット及び上記木質積層体に用いる無溶剤一液型接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の無溶剤一液型接着剤組成物は、(A)イソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマーと、(B)ポリイソシアネート化合物から誘導される3つのイソシアネート基を有するビュレット体及び/又はイソシアヌレート体との質量比が5:95〜40:60である。上記ポリイソシアネート化合物は脂肪族イソシアネート化合物であることが好ましく、脂肪族ジイソシアネートであることがより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートであることがさらに好ましい。また、上記(B)成分は、イソシアヌレート体であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明の無溶剤一液型接着剤組成物は、(A)イソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマーと、(B)ビュレット体及び/又はイソシアヌレート体とを含有する。
ウレタンプレポリマーは、通常の一液型ウレタン樹脂組成物に使用されるものであればよく、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、ポリオール化合物のOH基に対してポリイソシアネート化合物のNCO基が過剰になる量混合して得られる反応生成物である。
ビュレット体及び/又はイソシアヌレート体は、ポリイソシアネート化合物から誘導される3つのイソシアネート基を有する。イソシアネート基が2つ以下であると、適切な接着性が付与されない可能性がある点で好ましくない。
本発明の無溶剤一液型接着剤組成物は、(C)硬化触媒を入れなくても充分に硬化するが、硬化時間を短くするために(C)硬化触媒を入れても良い。
本発明の無溶剤一液型接着剤組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、カーボンブラック、可塑剤、充填剤、反応遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、接着付与剤、帯電防止剤等の各種添加剤等を含有することができる。
本発明の無溶剤一液型接着剤組成物は、取扱い性の点から、さらに、可塑剤を含有していてもよい。可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソノニルフタレート(DINP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、ブチルアセチルリシノレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
充填剤としては、各種形状の有機又は無機の充填剤が挙げられる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;ケイソウ土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;これらの脂肪酸処理物、樹脂酸処理物、ウレタン化合物処理物、脂肪酸エステル処理物が挙げられる。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
揺変性付与剤としては、具体的には、例えば、アエロジル(日本アエロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明の無溶剤一液型接着剤組成物は、卓球ラケットに用いることが好ましい。卓球ラケットに用いることで、(ア)部材間の高い接着性、(イ)無溶剤系であること、(ウ)臭気の低減等、作業環境の向上といった課題を克服しつつ、(エ)合板にしたときの反りを抑制し、打感等に悪影響を及ぼさない。
木板は、卓球ラケットのブレードに用いられるものであればどのようなものであってもよく、例えば、アユース、シナ、檜、柳等が挙げられる。木板は、柾目板を用いることが好ましい。柾目板は、木目が略平行にそして均等に並んでいるため、卓球ラケットに用いることで、反りづらく割れにくい卓球ラケットを得ることができる。
高剛性材料層は、上記木板よりも剛性が高い材料からなる層であればどのようなものであってもよく、例えば、炭素繊維、アリレート(ベクトランファイバー)、ケブラー、ガラス繊維、チタン、ザイロン等からなる層が挙げられる。
木板どうし又は木板と高剛性材料層との間は、接着剤層を介して接着される。接着剤の塗布量は、基材の片面に対して40g/m2以上120g/m2以下であることが好ましい。40g/m2未満であると、十分な接着性が得られない可能性があるため、好ましくない。120g/m2を超えると、合板工程において接着剤のはみ出しが生じ、作業性が悪化するため、好ましくない。
ブレードを構成する木板及び高剛性材料層の数は、いくつであってもよい。例えば、木板/接着剤層/木板の層構成であってもよいし、木板/接着剤層/高剛性材料層/接着剤層/木板の層構成であってもよい。また、木板/接着剤層/高剛性材料層/接着剤層/木板/接着剤層/高剛性材料層/接着剤層/木板の層構成であってもよい。複数の木板を用いる場合、それぞれ同じ種類の木板であってもよいし、異なる種類の木板であってもよい。高剛性材料層についても同様に、複数の高剛性材料を用いる場合、それぞれ同じ種類の高剛性材料であってもよいし、異なる種類の高剛性材料であってもよい。
本発明の無溶剤一液型接着剤組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混練する方法を用いることができる。
本発明の卓球ラケットの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、木板/接着剤層/高剛性材料層/接着剤層/木板の層構成からなる卓球ラケットを製造する場合、第1に、矩形の木板上に上記無溶剤一液型接着剤組成物をアプリケータ等により全面塗工し、接着剤層を形成する。第2に、高剛性材料層を積層する。第3に、高剛性材料層の表面に上記接着剤組成物をアプリケータ等により全面塗工し、新たな接着剤層を形成する。第4に、第1の工程で用いた木板と略同じ大きさの新たな木板を積層する。第5に、空気中の湿気によって2つの接着剤層を硬化させる。第6に、第1から第5の工程によって得られた積層体を卓球ラケットの形状に切り抜く。これら第1から第6の工程を経ることで、本発明の卓球ラケットを得ることができる。
温度計を備えた攪拌機中に、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール(商品名:アクトコールD−1000,三井化学社製)90質量部を脱水処理した後、特殊ポリメリックMDI(商品名:コスモネートM−300,三井化学社製)210質量部を添加し、窒素気流下70〜90℃で3時間反応させて、末端イソシアネート含有量が19.2質量%のMDI末端プレポリマーaを得た。なお、MDIは、ジフェニルメタンジイソシアネートの略称である。
温度計を備えた攪拌機中に、数平均分子量3000のポリプロピレングリコール(商品名:アクトコールD−3000,三井化学社製)70質量部を脱水処理した後、上記コスモネートM−300を230質量部添加し、窒素気流下70〜90℃で3時間反応させて、末端イソシアネート含有量が23.2質量%のMDI末端プレポリマーbを得た。
温度計を備えた攪拌機中に、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール(商品名:アクトコールD−2000,三井化学社製)180質量部とトリレンジイソシアネート(商品名:コスモネートT−80,三井化学社製)120質量部とを添加し、窒素気流下70〜90℃で3時間反応させて、末端イソシアネート含有量が16.8質量%のTDI末端プレポリマーを得た。なお、TDIは、トリレンジイソシアネートの略称である。
温度計を備えた攪拌機中に、ヘキサメチレンジイソシアネート(商品名:タケネート700,三井化学社製)300質量部と、触媒であるカプリン酸カリウム0.3質量部とを入れ、フラスコ中の空気を窒素で置換し、攪拌しながら40℃に加温した。同温度で6時間反応しNCO含量を測定したところ42.5%であった。反応液は淡黄色透明の液体であった。この反応液に停止剤としてリン酸0.21質量部を加え、反応温度で1時間攪拌後、分子蒸留装置により遊離HDIを除去した。これにより、末端イソシアネート含有量が21.0質量%のHDIイソシアヌレート変成体を得た。なお、HDIは、ヘキサメチレンイソシアネートの略称である。
[無溶剤一液型接着剤組成物の調製]
上記MDI末端プレポリマーaを5質量部と、上記HDIイソシアヌレート変性体95質量部とを均一に混合し、実施例1の無溶剤一液型接着剤組成物を得た。
続いて、出願人は、実施例1に係る第1の卓球ラケット1を得た。その過程を、図1を参照しながら説明する。まず、第1の木板11(矩形の柾目木板,柾目の方向は長手方向,厚さ:0.5mm)上に、上記接着剤組成物を塗布量が80g/m2となるようにアプリケータを用いて全面塗工し、厚さ0.1mm以下の接着剤層21を形成した。そして、第2の木板12(矩形の柾目木板,柾目の方向は短手方向,厚さ:0.5mm)を積層した。
第1の卓球ラケット1のほか、第2の卓球ラケット2も得た。その過程を、図2を参照しながら説明する。上記第1の木板11上に、同じ塗布量で上記接着剤層21を再び形成した後、高剛性材料層31(矩形の炭素繊維硬化板、厚さ:0.2mm)を積層した。そして、同じ塗布量で上記接着剤層21を再び形成した後、上記第3の木板13を積層した。さらに、同じ塗布量で上記接着剤層21を再び形成し、上記高剛性材料層31を積層し、同じ塗布量で上記接着剤層21を再び形成した後、上記第1の木板11を積層した。その後、コールドプレス(24℃、5MPa)を20時間することにより、実施例1に係る、第1の木板/高剛性材料層/第3の木板/高剛性材料層/第1の木板からなる第2の木質積層体を得た。
上記MDI末端プレポリマーaが10質量部であり、上記HDIイソシアヌレート変性体が90質量部であること以外は、実施例1と同じ方法にて実施例2の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
上記MDI末端プレポリマーaが30質量部であり、上記HDIイソシアヌレート変性体が70質量部であること以外は、実施例1と同じ方法にて実施例3の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
上記MDI末端プレポリマーaが40質量部であり、上記HDIイソシアヌレート変性体が60質量部であること以外は、実施例1と同じ方法にて実施例4の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
上記MDI末端プレポリマーaの代わりに上記MDI末端プレポリマーbを30質量部用い、上記HDIイソシアヌレート変性体の量を70質量部としたこと以外は、実施例1と同じ方法にて実施例5の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
上記MDI末端プレポリマーaの代わりに上記TDI末端プレポリマーを30質量部用い、上記HDIイソシアヌレート変性体の量を70質量部としたこと以外は、実施例1と同じ方法にて実施例6の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
上記MDI末端プレポリマーaが50質量部であり、上記HDIイソシアヌレート変性体が50質量部であること以外は、実施例1と同じ方法にて比較例1の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
上記MDI末端プレポリマーaを用いず、上記HDIイソシアヌレート変性体を100質量部としたこと以外は、実施例1と同じ方法にて比較例2の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
上記HDIイソシアヌレート変性体を用いず、上記MDI末端プレポリマーaを1000質量部としたこと以外は、実施例1と同じ方法にて比較例3の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
上記MDI末端プレポリマーa及び上記HDIイソシアヌレート変性体を用いず、上記TDI末端プレポリマーを100質量部としたこと以外は、実施例1と同じ方法にて比較例4の無溶剤一液型接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
実施例1に記載の接着剤組成物の代わりに市販の無溶剤二液型エポキシ樹脂系接着剤組成物(製品名:EセットL,コニシ社製)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法にて、参考例としての無溶剤二液型エポキシ樹脂系接着剤組成物、木質積層体及び卓球ラケットを得た。
実施例、比較例及び参考例の積層体及び卓球ラケットについて、以下の評価を行った。
作業性は、上記コールドプレス(20時間)直後における、矩形の第1及び第2の積層体を、側面から手はく離で剥がしたときの状態をみることによって評価した。結果を表2に示す。手はく離では剥がれない場合又は材料の破壊が生じる場合を“○”とし、力を加えれば剥がれる場合を“△”とし、ほとんど力を加えることなく容易に剥がれる場合を“×”とした。
反りの評価は、次のようにして行った。上記コールドプレス(20時間)直後における、第1及び第2の卓球ラケットを略水平な台の上に置き、図3に示すAの位置に100gの重りを載せた。そして、Aに対向するBの位置の浮きの長さを測定した。結果を表3に示す。1.0mm以下である場合を“○”とし、1.0mmを超え2.0mm以下である場合を“△”とし、2.0mmを超える場合を“×”とした。また、図3に示すBの位置に100gの重りを載せたときのBに対向するAの位置の浮きの長さ、Cの位置に100gの重りを載せたときのCに対向するDの位置の浮きの長さ、及びDの位置に100gの重りを載せたときのDに対向するCの位置の浮きの長さについても同様に測定した。
打球時の衝撃感についての評価は、次のようにして行った。実施例1〜6及び比較例1〜4並びに参考例の卓球ラケットの両面に卓球用ラバーを接着し(フォア側:テナジー・05 トクアツ,バック側:ラウンデル トクアツ,両方ともタマス社製)、4人の卓球選手による試打を行った(選手の技術レベルについては、日本代表レベル:1人、都道府県代表レベル:2人、市区町村代表レベル:1人)。そして、参考例のラケットを基準として、打球感(硬い・柔らかい)及び弾み(弾む・弾まない)を評価した。結果を表2に示す。試打をした4人の全てが打球感及び弾みに違和感を感じない場合を“○”とし、1人以上が違和感を感じる場合を“×”とした。
2 第2の卓球ラケット
11 第1の木板
12 第2の木板
13 第3の木板
21 接着剤層
31 高剛性材料層
Claims (8)
- 無溶剤一液型接着剤組成物からなる接着剤層を介して木板と木板又は該木板よりも剛性が高い材料からなる高剛性材料層とが積層され、
前記無溶剤一液型接着剤組成物は、(A)イソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマーと、(B)ポリイソシアネート化合物から誘導される3つのイソシアネート基を有するビュレット体及び/又はイソシアヌレート体との質量比が5:95〜40:60である木質積層体。 - 前記ポリイソシアネート化合物が脂肪族イソシアネート化合物である、請求項1に記載の木質積層体。
- 前記脂肪族イソシアネート化合物が脂肪族ジイソシアネートである、請求項2に記載の木質積層体。
- 前記脂肪族ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項3に記載の木質積層体。
- 前記(B)成分がイソシアヌレート体である、請求項1から4のいずれかに記載の木質積層体。
- 請求項1から5のいずれかに記載の木質積層体を備える卓球ラケット。
- (A)イソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマーと、(B)ポリイソシアネート化合物から誘導される3つのイソシアネート基を有するビュレット体及び/又はイソシアヌレート体との質量比が5:95〜40:60である無溶剤一液型接着剤組成物。
- 卓球ラケットに用いられる、請求項7に記載の無溶剤一液型接着剤組成物。
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