JP7082010B2 - 熱可塑性ウレタン樹脂 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性ウレタン樹脂に関する。
半導体デバイスの製造が行われるクリーンルーム内は、シリコンウエハへの汚染を防止するために、水分や化学物質等の汚染物質の発生を極力防止することが要求される。特に、シリコンウエハに吹き付ける純水やクリーンエアを流通させるチューブにおいては、発生するアウトガスの抑制が極めて重要である。
低アウトガス性のチューブとしては、フッ素樹脂製やポリエステル系樹脂製のチューブが知られている。しかしながら、フッ素樹脂製やポリエステル系樹脂製のチューブは、柔軟性に劣っており、折れ等が発生した後に元の形状に戻りにくくなる性質(耐キンク性)に劣っていた。一方、柔軟性や耐キンク性に優れる従来のウレタン樹脂製のチューブは、アウトガス量が多かった。
ウレタン樹脂のアウトガス量を低減する方法としては、例えば、ウレタン樹脂を構成するポリオール成分としてネオペンチルグリコールを用いることで、紫外線照射による硬化後の残存モノマーを低減する方法が知られている(特許文献1参照)。また、ポリウレタン樹脂組成物を発泡させた軟質ポリウレタンフォームに過熱蒸気を当てることで、原料に含まれていた揮発性有機化合物質の残存物を低減させる方法が知られている(特許文献2参照)。
特許5110228号公報 特開2006-45443号公報
しかしながら、特許文献1に開示の方法では、残存モノマーの低減は可能であるものの、より厳しい基準が求められるクリーンルーム内での使用を前提としたトータルのアウトガス量の低減は不充分であった。また、特許文献2に開示の方法では、ウレタンフォーム形成後に過熱蒸気を当てるという追加の工程が必要となるため、生産性に劣る。
従って、本発明の目的は、柔軟性及び低アウトガス性に優れ、且つ成形品の生産性に優れる熱可塑性ウレタン樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定値以下の弾性率を有し、且つ特定値未満の拡散係数を有する熱可塑性ウレタン樹脂によれば、柔軟性及び低アウトガス性に優れ、且つ成形品の生産性に優れることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、厚さ1.7mmの樹脂シートとしたときの、引張弾性率(引張速度200mm/min)が3.3MPa以下であり、拡散係数が1.00×10-112/s未満である熱可塑性ウレタン樹脂を提供する。
上記熱可塑性ウレタン樹脂は、貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度[℃]とガラス転移温度[℃]の差が180℃以上であることが好ましい。
上記熱可塑性ウレタン樹脂はガラス転移温度が-10℃以下であることが好ましい。
上記熱可塑性ウレタン樹脂は、長鎖ポリオールに由来する構成単位、ポリイソシアネートに由来する構成単位、及び鎖延長剤に由来する構成単位を含み、上記長鎖ポリオール、上記ポリイソシアネート、及び上記鎖延長剤以外の成分に由来する構成単位の含有量が1質量%以下であることが好ましい。
上記長鎖ポリオールはポリアルキレングリコールであり、上記ポリイソシアネートは芳香族イソシアネートであることが好ましい。
上記長鎖ポリオールの数平均分子量は900~3000であることが好ましい。
また、本発明は、上記熱可塑性ウレタン樹脂を用いたチューブを提供する。
また、本発明は、上記熱可塑性ウレタン樹脂を用いてチューブを製造する方法を提供する。
また、本発明は、長鎖ポリオールに由来する構成単位、ポリイソシアネートに由来する構成単位、及び鎖延長剤に由来する構成成分を含む熱可塑性ウレタン樹脂を用い、上記熱可塑性ウレタン樹脂以外の成分の含有量が20質量%以下であり、厚さ1.7mmの樹脂シートとしたときの、引張弾性率(引張速度200mm/min)が3.3MPa以下であり、拡散係数が1.00×10-112/s未満であるチューブを提供する。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は低アウトガス性に優れる。このため、クリーンルーム内で用いるチューブとして本発明の熱可塑性ウレタン樹脂を用いたチューブを採用した場合、シリコンウエハへの汚染を極めて低いレベルとすることができる。また、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は柔軟性に優れるため、チューブとした際には耐キンク性に優れる。また、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、低アウトガス性に優れるため、過熱蒸気の接触等の追加の工程を行わずとも低アウトガス性に優れる成形品を製造できるため、成形品の生産性にも優れる。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、厚さ1.7mmの樹脂シートとしたときの、引張弾性率(引張速度200mm/min)が3.3MPa以下であり、好ましく3.0MPa以下、より好ましくは2.5MPa以下、さらに好ましくは2.2MPa以下である。上記引張弾性率が3.3MPa以下であることにより、柔軟性及び低アウトガス性に優れ、成形品の生産性にも優れる。上記引張弾性率が3.3MPaを超えると、アウトガス量は低減するものの、柔軟性が損なわれ、成形品の耐キンク性が低下する。また、上記弾性率の下限は、例えば0.5MPaである。上記引張弾性率が0.5MPa以上であると、トータルのアウトガス量がより低下する。上記弾性率は常温下で測定される値である。
上記引張弾性率は、以下のようにして測定することができる。まず、熱可塑性ウレタン樹脂を、230℃、20秒の条件で加熱プレスをして厚さ1.7mmの樹脂シートを得る。加熱プレスの条件は樹脂の特性に応じて適宜変更してもよい。この樹脂シートから平行部分の幅5mmのJIS K6251に規定されるダンベル状8号型を打ち抜いて試験片を作製する。作製したダンベル状試験片を用い、JIS K6251に基づいて引張試験を行い、引張弾性率を測定する。引張弾性率の測定は、例えば、商品名「オートグラフ AGS-5kNX」(株式会社島津製作所製)を用いて行うことができる。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、拡散係数が1.00×10-112/s未満であり、好ましくは8.00×10-122/s以下、より好ましくは4.90×10-122/s以下である。上記拡散係数が1.00×10-112/s未満であることにより、低アウトガス性に優れる。これは、熱可塑性ウレタン樹脂の結晶性が向上し、自由体積が小さくなることで、熱可塑性ウレタン樹脂内部のガスの移動を抑制し、アウトガスが外部に排出されにくいためと推測される。上記拡散係数の下限は0m2/sである。
上記拡散係数は、JIS K7126-1(2006)に基づいて差圧法により、熱可塑性ウレタン樹脂の試験片についてプロパンガスを用いてガス透過曲線を作成し、ガス透過曲線から遅れ時間(θ)を導出し、拡散係数D[m2/s]=h2/6θの式から算出することができる。上記式中、hは試験片の厚さ[m]、θは遅れ時間[s]を示す。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度[℃]とガラス転移温度[℃]の差が180℃以上であることが好ましく、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは210℃以上である。上記の温度差が180℃以上であると、柔軟性及び低アウトガス性の両方により優れる傾向がある。上記の温度差の上限は、例えば300℃、好ましくは270℃である。
上記貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度は、公知乃至慣用の動的粘弾性測定装置(DMA)により測定することができる。上記貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度は、例えば180~250℃、好ましくは180~200℃である。上記貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度が180℃以上であると、樹脂の耐熱性が良好である。上記貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度が250℃以下であると、溶融成型が比較的容易である。
上記ガラス転移温度は、公知乃至慣用の動的粘弾性測定装置(DMA)により測定することができる。上記ガラス転移温度は、例えば-80~0℃、好ましくは-70~-10℃である。ガラス転移温度が-80℃以上であると、樹脂の耐熱性が良好である。ガラス転移温度が0℃以下であると、常温における柔軟性がより優れる。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、少なくともポリイソシアネートと長鎖ポリオールとを反応させることにより得られるものが好ましい。すなわち、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、ポリイソシアネートに由来する構成単位と長鎖ポリオールに由来する構成単位を含むことが好ましい。ウレタン樹脂から発生するアウトガスは、熱可塑性ウレタン樹脂内部に残存するアウトガスが分子鎖の間を移動して樹脂表面に達し、樹脂表面から外部に放出されると推測される。そして、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂をポリイソシアネートに由来する構成単位からなる硬質相(ハードセグメント)と長鎖ポリオールに由来する構成単位からなる軟質相(ソフトセグメント)とを有する構成とした場合、樹脂内部のアウトガスの移動を制御し、柔軟性に優れながらアウトガス量を容易にコントロールすることができる。
上記ポリイソシアネートとしては、分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限されない。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。上記ポリイソシアネートは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-トリメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,2’ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン、1,3-ビス(α,α-ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
なお、ポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートによる二量体や三量体、反応生成物又は重合物(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等)等も用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、中でも、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、より好ましくは芳香族ジイソシアネートである。芳香族ポリイソシアネート(特に、芳香族ジイソシアネート)を用いた場合はウレタン樹脂においてハードセグメントとなる部分においてアウトガスの移動が抑制されるためと推測され、トータルのアウトガス量が低減しやすい。芳香族ジイソシアネートの中でも、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
上記長鎖ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリルポリオール等が挙げられる。上記長鎖ポリオールは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)等のポリアルキレンエーテルグリコールの他、エチレンオキシド-プロピレンオキシド共重合体等のモノマー成分として複数のアルキレンオキシドを含む(アルキレンオキシド-他のアルキレンオキシド)共重合体等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸、及び環状エステルの3種類の成分による反応物等が挙げられる。多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物において、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4-シクロヘキサンジオール等)、シクロヘキサンジメタノール類(1,4-シクロヘキサンジメタノール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトール等)等が挙げられる。多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また、環状エステルの開環重合物において、環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等が挙げられる。3種類の成分による反応物において、多価アルコール、多価カルボン酸、環状エステルとしては、上述のもの等を用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアルキルカーボネート、又はジアリールカーボネートとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネート等)の開環重合物等が挙げられる。具体的には、多価アルコールとホスゲンとの反応物において、多価アルコールとしては、上述の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール等)が挙げられる。また、環状炭酸エステルの開環重合物において、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。ポリカーボネートポリオールの代表的な例として、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールにラクトンを開環付加重合して得られるジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールとポリエステルジオール又はポリエーテルジオールとの共縮合物等が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールは、オレフィンを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシ基を少なくとも2つ有するポリオールである。上記オレフィンとしては、末端に炭素-炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等のα-オレフィン等)であってもよく、また末端以外の部位に炭素-炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、イソブテン等)であってもよく、さらにはジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン等)であってもよい。ポリオレフィンポリオールの代表的な例として、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン-スチレンコポリマー、ブタジエン-イソプレンコポリマー、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン-2-エチルヘキシルアクリレートコポリマー、ブタジエン-n-オクタデシルアクリレートコポリマー等のブタジエン若しくはイソプレン系ポリマーの末端をヒドロキシル基に変性したものが挙げられる。
ポリアクリルポリオールは、(メタ)アクリレートを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールである。(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル等]が挙げられる。
長鎖ポリオールとしては、中でも、ポリエーテルポリオールが好ましく、より好ましくはポリアルキレングリコール、さらに好ましくはポリC2-6アルキレングリコールである。ポリエーテルポリオールを用いた場合はウレタン樹脂においてソフトセグメントとなる部分において移動するアウトガス量のコントロールが容易である。ポリエーテルポリオールの中でも、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが特に好ましい。
長鎖ポリオールの数平均分子量は、500~10000が好ましく、より好ましくは600~6000、さらに好ましくは900~3000である。上記数平均分子量が500以上であると、熱可塑性ウレタン樹脂中のポリイソシアネートとの架橋点の数が適度となり、柔軟性により優れる。上記数平均分子量が10000以下であると、ポリイソシアネートとの反応性が向上するため、残存ポリオールが少なくなる傾向にあり、トータルのアウトガス量がより低減する。上記数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリテトラヒドロフラン換算の数平均分子量である。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート及び長鎖ポリオールに加えて、鎖延長剤を用いて反応させて得られるものであることが好ましい。すなわち、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、鎖延長剤に由来する構成単位を含むことが好ましい。上記鎖延長剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
上記鎖延長剤としては、熱可塑性ウレタン樹脂の製造に用いられる公知乃至慣用の鎖延長剤を使用することができる。上記鎖延長剤としては、特に限定されないが、低分子量のポリオール、ポリアミン等が挙げられる。鎖延長剤の分子量は、例えば500未満、好ましくは300以下である。
上記鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等のジオール;ヘキサメチレンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-メチレンビス-2-クロロアニリン等のジアミン等が挙げられる。これらの中でも、ジオールが好ましく、1,4-ブタンジオールが特に好ましい。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数と、長鎖ポリオール及び鎖延長剤が有するイソシアネート反応性基(水酸基、アミノ基等)のモル数との比[NCO/イソシアネート反応性基]が、好ましくは0.9~1.3、より好ましくは0.95~1.1、さらに好ましくは1.0~1.1となる範囲で反応させて得られたものが好ましい。すなわち、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、イソシアネート基に由来する構造部のモル数とイソシアネート反応性基に由来する構造部のモル数の比が上記範囲内であることが好ましい。モル数の比が0.9以上(特に、1.0以上)であると、イソシアネート反応性基に対してイソシアネート基が充分に熱可塑性ウレタン樹脂に取り込まれるため、ポリイソシアネートに由来する構成単位からなるハードセグメントにより分子内のアウトガスの移動が抑制されるものと推測される。また、熱可塑性ウレタン樹脂に取り込まれなかった残存長鎖ポリオールや鎖延長剤が少なくなると推測される。これらのことから、トータルのアウトガス量が低減する傾向がある。上記モル数の比が1.3以下(特に、1.1以下)であると、熱可塑性ウレタン樹脂に取り込まれなかった残存ポリイソシアネートが少なくなり、トータルのアウトガス量が低減する傾向がある。
長鎖ポリオールに由来する構成単位のモル数と鎖延長剤に由来する構成単位のモル数の比[長鎖ポリオール/鎖延長剤]は、熱可塑性ウレタン樹脂の引張弾性率を特定の範囲内とし且つトータルのアウトガス量を少なくする観点から、例えば0.05~10、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.2~0.5、特に好ましくは0.2~0.4である。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、他の成分(ポリイソシアネート、長鎖ポリオール、及び鎖延長剤以外の成分)に由来する構成単位を実質的に含まないことが好ましい。なお、本明細書において、実質的に含まないとは、原料に含まれる不純物を除き積極的に添加しないことを意味し、例えば1質量%以下であってもよい。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、中でも、芳香族ポリイソシアネートに由来する構成単位とポリエーテルポリオールに由来する構成単位と鎖延長剤に由来する構成単位からなるものであることが好ましく、他の成分(他のポリイソシアネート及び他の長鎖ポリオール)に由来する構成単位を実質的に含まないことが好ましい。特に、芳香族ジイソシアネート(特に、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)に由来する構成単位とポリアルキレングリコール(好ましくはポリC2-6アルキレングリコール、特に好ましくはポリテトラメチレングリコール)に由来する構成単位と鎖延長剤としてのジオール(特に1,4-ブタンジオール)に由来する構成単位からなり、他の成分(他のポリイソシアネート、他のポリオール、及び他の鎖延長剤)に由来する構成単位を実質的に含まないことが好ましい。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、重量平均分子量Mwが、通常5,000~1,000,000であり、押出成形、射出成形、熱プレス成形等の一般的な熱可塑性樹脂用成形機にて成形加工できる。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は、1.7mm×2mm×50mmの試験片を30℃で60分間加熱した際のフェノール類のアウトガス量がヘキサデカン換算で1000μg/m2以下であることが好ましく、より好ましくは800μg/m2以下、さらに好ましくは700μg/m2以下である。上記アウトガス量は、公知乃至慣用のガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。なお、熱可塑性ウレタン樹脂から発生するアウトガスには、未反応のポリオール、ポリイソシアネート、及び鎖延長剤、並びに酸化防止剤や紫外線吸収剤などの添加剤などが含まれる。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂から得られる成形品は、柔軟性及び低アウトガス性に優れる。このため、平ベルトやVベルト等のベルト、チューブ、ホースを始め、吸着パッド、防振ダンパー、防振継ぎ手、ショックアブソーバ、キャスター、パッキン、靴底ソール、スイッチ、バルブ、弁、フィルタ、ロール、ローラー(排紙用ローラー、給紙用ローラー等)、クリップ、フィルム、シート、タイヤ、キャスター、マット、手袋、絆創膏、ローブ、表皮、バッグ、インパネスノーチェーン、スキーブーツ、バネカバー、ポンプ、身体機能材料(人工心臓等)の部材として特に有用である。
中でも、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂が柔軟性及び低アウトガス性に優れ、さらに成形品の耐キンク性に優れる観点から、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂を用いた成形品としては、チューブが好ましく、より好ましくはクリーンルーム内のチューブ、特に好ましくは半導体製造工場のクリーンルーム内のチューブである。特に、半導体製造工場のクリーンルーム内における冷却水配管用チューブ、冷却不凍液用配管チューブ、クリーンドライエアー配管、窒素ガス配管であることが好ましい。なお、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂を用いたチューブを「本発明のチューブ」と称する場合がある。
本発明のチューブは、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂を用いたチューブである。本発明のチューブは、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂を用いて製造することができる。本発明のチューブは、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂以外の他の成分を含有していてもよい。上記他の成分としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、安定剤、離型剤、界面活性剤、帯電防止剤、導電材、着色剤(顔料、染料)、難燃剤、発泡剤、滑剤、潤滑剤、充填剤、架橋剤、溶剤、展開液、増量剤、ワックス、オイル、グリース、加工助剤、加工剤、補強材、フィラー、ブロッキング防止剤、老化防止剤等が挙げられる。上記他の成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
本発明の熱可塑性ウレタン樹脂は柔軟性に優れるため、本発明のチューブは、柔軟性を付与するための他の成分、例えば可塑剤や、可塑剤として機能し得る難燃剤等の使用量を最低限とすることができる。また、可塑剤や難燃剤はアウトガスを発生し得るため、使用量を最低減とすることにより、本発明のチューブは柔軟性に優れ且つ低アウトガス性に極めて優れる。
本発明のチューブ中の本発明の熱可塑性ウレタン樹脂の含有量は、本発明のチューブ100質量%に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。上記含有量が50質量%以上であると、柔軟性及び低アウトガス性により優れる。
本発明のチューブ中の本発明の熱可塑性ウレタン樹脂以外の成分の含有量は、本発明のチューブ100質量%に対して、50質量%未満が好ましく、より好ましくは20質量%未満、さらに好ましくは10質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満、特に好ましくは1質量%未満である。上記含有量が50質量%未満であると、柔軟性及び低アウトガス性により優れる。
本発明のチューブは、厚さ1.7mmの樹脂シートとしたときの引張弾性率(引張速度200mm/min)が0.5~3.3MPaであることが好ましく、より好ましくは0.6~3.0MPaである。上記引張弾性率が0.5MPa以上であると、低アウトガス性により優れる。上記引張弾性率が3.3MPa以下であると、柔軟性により優れ、耐キンク性がより優れる。なお、上記チューブの引張弾性率は、チューブから樹脂シートを試験片として採取すること以外は上述の熱可塑性ウレタン樹脂の引張弾性率の測定と同様にして測定することができる。
本発明のチューブは、1.7mm×2mm×50mmの試験片を30℃で60分間加熱した際のフェノール類のアウトガス量がヘキサデカン換算で1000μg/m2以下であることが好ましく、より好ましくは800μg/m2以下、さらに好ましくは700μg/m2以下である。上記アウトガス量は、公知乃至慣用のガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。なお、チューブから発生するアウトガスには、上述の熱可塑性ウレタン樹脂に含まれ得るアウトガスとして例示されたものが挙げられる。
本発明のチューブは、特に、長鎖ポリオールに由来する構成単位、ポリイソシアネートに由来する構成単位、及び鎖延長剤に由来する構成成分を含む熱可塑性ウレタン樹脂を用い、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂以外の成分の含有量が20質量%以下であり、厚さ1.7mmの樹脂シートとしたときの引張弾性率(引張速度200mm/min)が0.5~3.3MPaであることが好ましい。
本発明のチューブは、本発明の熱可塑性ウレタン樹脂と、必要に応じて他の成分とを含む樹脂組成物を混練し、その後、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、注型等の公知乃至缶用の成形法により製造することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。ここで実施例1~3は参考例1~3と読み替えるものとする。
実施例1
撹拌機と温度計を備えた反応容器に、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)(商品名「PTMG2000」、三菱ケミカル株式会社製)及び1,4-ブタンジオール(1,4-BD)を、表1に示すモル比で均一に混合した。得られた混合液を100℃に加熱した後、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を表1に示すモル比(PTMGのモル数と1,4-ブタンジオールのモル数の合計に対するモル数の比)となる量で添加し、ウレタン化反応を行った。MDIを投入後、5分間撹拌したところでバット上に流し込み固化させた。得られた固形物を100℃の電気炉で48時間熟成させ、冷却した後、固形物を粉砕しフレーク状の熱可塑性ウレタン樹脂を得た。
実施例2~4、比較例1~3
長鎖ポリオールの種類及びポリイソシアネートのモル比を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして熱可塑性ウレタン樹脂を得た。なお、表に示す原料は以下のとおりである。
PTMG850:商品名「PTMG850」、三菱ケミカル株式会社製、数平均分子量850
PTMG1000:商品名「PTMG1000」、三菱ケミカル株式会社製、数平均分子量1000
PTMG1500:商品名「PTMG1500」、三菱ケミカル株式会社製、数平均分子量1500
PTMG2000:商品名「PTMG2000」、三菱ケミカル株式会社製、数平均分子量2000
1,4-BD:1,4-ブタンジオール
1,6-HD:1,6-ヘキサンジオール
MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
HDI:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート
実施例及び比較例で得られた熱可塑性ウレタン樹脂について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1に示す長鎖ポリオール、鎖延長剤、及びポリイソシアネートの配合量の単位は相対的なモルである。
(1)引張弾性率
実施例及び比較例で得られた熱可塑性ウレタン樹脂を、230℃の条件で加熱プレスをして厚さ1.7mmの樹脂シートを得た。次に、得られた樹脂シートから、平行部分の幅5mmのJIS K6251に記載のダンベル状8号形に打ち抜いてダンベル状試験片を作製した。作製したダンベル状試験片を用い、23℃、標線距離10mm、引張速度200mm/minの条件で、商品名「オートグラフ AGS-5kNX」(株式会社島津製作所製)を用いて引張試験を行い、引張弾性率を測定した。
(2)アウトガス量
上記引張弾性率の評価において作製した樹脂シートから、1.7mm×2mm×50mmの形状に打ち抜いて試験片を作製した。得られた試験片を30℃で1時間加熱し、発生したガスを-30℃でコールドトラップし、このトラップされたガス成分について、加熱脱着法により注入し、ガスクロマトグラフによる測定を行った。そして、フェノール類のアウトガス量を抽出した。また、キャリアガスとしてヘリウム、カラムはDB-1(1.0μm、0.32mmφ×60m)を使用し、カラム温度は40℃(2min.)→10℃(1min.)→250℃(10min.)と変化させた。カラム圧力は80kPa、イオン源温度は200℃とした。
(3)拡散係数
実施例及び比較例で得られた熱可塑性ウレタン樹脂を、230℃の条件で加熱プレスをして厚さhが0.4mmの樹脂シートを得た。次に、得られた樹脂シートを用いて、JIS K7126-1(2006)を参考にして差圧法にてガス透過曲線を作成した。具体的に、得られた樹脂シートを圧力センサ付きのガス透過性試験機にセットし、高圧側セルをプロパンガスを用いて100kPaに加圧し、経時によって高圧側セルから樹脂シートを介して低圧側セルへ気体を通過させた。そして経過時間を横軸、低圧側セルの圧力を縦軸としてプロットし、ガス透過曲線を作成した。得られたガス透過曲線における定常状態部分の傾きから、遅れ時間θ[s]を導出し、拡散係数D[m2/s]=h2/6の式から拡散係数Dを算出した。
(4)貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度
上記引張弾性率の評価において作製した樹脂シートから、1.7mm×5mm×50mmの形状に打ち抜いて試験片を作製した。得られた試験片について、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて、昇温速度3℃/min.、周波数1Hz、温度範囲-130~250℃の測定条件で、貯蔵弾性率E’を測定し、貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度を読み取った。
(5)ガラス転移温度
上記貯蔵弾性率測定の評価において、損失正接tanDのピークトップの温度をガラス転移温度とした。
Figure 0007082010000001
表1に示すとおり、実施例1~4の熱可塑性ウレタン樹脂は、引張弾性率が3.3MPa以下であり、且つ拡散係数が1.00×10-112/s未満であり、柔軟性及び低アウトガス性の両方に優れていた。また、熱可塑性ウレタン樹脂の低アウトガス性に優れるため、当該熱可塑性ウレタン樹脂を用いた成形品を製造する際にはアウトガス量を低減させるための過熱蒸気を当てる工程が不要であり、成形品の生産性に優れる。一方、引張弾性率が3.3MPaを超えるか、又は拡散係数が1.00×10-112/s以上である場合(比較例1~3)、アウトガス量が800μg/m2以上となるか、柔軟性が不充分であった。

Claims (5)

  1. 厚さ1.7mmの樹脂シートとしたときの、引張弾性率(引張速度200mm/min)が3.3MPa以下であり、拡散係数が1.00×10-112/s未満であり、
    長鎖ポリオールに由来する構成単位、及びポリイソシアネートに由来する構成単位を含み、前記長鎖ポリオールの数平均分子量が500~850である熱可塑性ウレタン樹脂。
  2. 貯蔵弾性率E’が1MPaとなる温度[℃]とガラス転移温度[℃]の差が180℃以上である請求項1に記載の熱可塑性ウレタン樹脂。
  3. ガラス転移温度が-10℃以下である請求項1又は2に記載の熱可塑性ウレタン樹脂。
  4. 延長剤に由来する構成単位を含み、前記長鎖ポリオール、前記ポリイソシアネート、及び前記鎖延長剤以外の成分に由来する構成単位の含有量が1質量%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性ウレタン樹脂。
  5. 前記長鎖ポリオールがポリアルキレングリコールであり、前記ポリイソシアネートが芳香族イソシアネートである、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性ウレタン樹脂。
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