JP2013150648A - 人工軟骨の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】グリコサミノグリカン/プロテオグリカン/コラーゲン複合体からなる人工軟骨を、着色させず、使用時に弾性率の低下を招かないように架橋処理する方法を提供する。
【解決手段】コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる成形体を105〜110℃及び0 Pa〜大気圧で16〜23時間熱脱水架橋する工程を有することを特徴とする、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる人工軟骨を製造する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、生体軟骨の成分を原料とした着色のない弾力性に富んだ人工軟骨を製造する方法に関し、詳しくは、着色が発生せずに、十分な架橋が可能な熱脱水架橋処理の方法に関する。
軟骨組織は軟骨細胞と軟骨基質(マトリックス)とからなる。軟骨細胞は、高度に分化した細胞であり、軟骨組織中の約10%を占めるに過ぎず、また細胞分裂によって増殖することはほとんどないが、軟骨組織内で軟骨基質成分を産生し、軟骨組織の約90%を占める軟骨基質の維持を担っている。
軟骨細胞を用いて人工的に軟骨組織を再現し、軟骨の破壊・変性に対する治療に利用する試みがなされているが、軟骨様組織を形成するためには、軟骨細胞自体に軟骨基質成分を産生させるプロセスが不可欠である。しかしながら、現状の技術では、欠損部補填に十分な量の軟骨基質を軟骨細胞に効率よく作らせることは困難であり、未だ解決すべき問題が多く存在している。
軟骨組織を模した組織再生用材料を化学的に調製する研究もなされている。例えば、特開2002-80501号(特許文献1)は、グリコサミノグリカンとポリカチオンを縮合反応により架橋した組織再生マトリックス用グリコサミノグリカン−ポリカチオン複合体を開示しており、軟骨、肝臓、血管、神経等、さまざまな組織の優れた再生材料として有用であると記載している。しかしながら、特許文献1に記載の複合体は、製造過程で架橋剤及び縮合剤を使用しているため、これらの架橋剤、縮合剤、及びこれらの副生成物を洗浄除去する必要があり、多くの手聞がかかってしまう。またこれらを体内に移植した場合は、化学物質の残留問題が生じるリスクがある。さらには、架橋剤や縮合剤を用いて作られた上記複合体の構造がナノレベルで、生体組織を模したものにならないため、軟骨の機能として必要な低摩擦性、耐荷重性や生体親和性を満たすことができない恐れがある。
国際公開第2007/032404号(特許文献2)は、(a)グリコサミノグリカンとプロテオグリカンとを混合し、グリコサミノグリカンプロテオグリカン凝集体を調製する工程、及び(b)前記グリコサミノグリカンプロテオグリカン凝集体にコラーゲンを混合する工程を含む、自己組織化グリコサミノグリカン/プロテオグリカン/コラーゲン複合体の製造方法を開示しており、このグリコサミノグリカン/プロテオグリカン/コラーゲン複合体は、軟骨再生医療のバイオマテリアルとして極めて適した性質を有するとともに、自己組織化によって製造されるため架橋剤等の化学物質を使用しないで製造することができると記載している。しかしながら、特許文献2に記載の方法によって得られる複合体は、架橋処理を行っていないため、生体内に使用したときの強度低下が大きく、改良が望まれている。
特開2011-36320号(特許文献3)は、気孔率の低い多孔質ゼラチン層と、気孔率の高い多孔質ゼラチン層とが積層されてなる多層構造のブロック状軟骨用移植材を開示しており、凍結乾燥後の発泡ゼラチン溶液を常圧にて熱架橋する方法を記載している。しかしながら、特許文献3に記載の熱架橋方法を、引用文献2のグリコサミノグリカン/プロテオグリカン/コラーゲン複合体に適用したところ、前記複合体が着色してしまい、また弾力性が著しく低下してしまった。
Haugh et al., “Novel Freeze-Drying Methods to Produce a Range of Collagen-Glycosaminoglycan Scaffolds with Tailored Mean Pore Sizes,” Tissue Engineering: Part C, vol. 16, No. 5, pp. 887-894.(非特許文献1)は、コラーゲン/グリコサミノグリカン足場材の架橋方法として、0.05 bar及び105℃の条件で24時間水熱処理する方法が記載されている。しかしながら、非特許文献1に記載の方法を人工軟骨の架橋に適用した場合でも、材料の着色の発生、及び弾力性の低下を完全に防止することができない。
特開2002-80501号公報 国際公開第2007/032404号パンフレット 特開2011-36320号公報
従って、本発明の目的は、グリコサミノグリカン/プロテオグリカン/コラーゲン複合体からなる人工軟骨を、着色させず、使用時に弾性率の低下を招かないように架橋処理する方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、グリコサミノグリカン/プロテオグリカン/コラーゲン複合体からなる人工軟骨を、105〜110℃で16〜23時間熱脱水架橋することにより、人工軟骨の着色が起こらず、かつ使用時に弾性率が低下しないような架橋度で架橋処理することが可能であることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる人工軟骨を製造する本発明の方法は、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる成形体を105〜110℃及び0 Pa〜大気圧で16〜23時間熱脱水架橋する工程を有することを特徴とする。
前記成形体は、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる組成物を凍結乾燥して得るのが好ましい。
前記組成物は、15〜95質量%のコラーゲン、4.9〜70質量%のプロテオグリカン及び0.1〜20質量%のヒアルロン酸を含むのが好ましい。
架橋後の人工軟骨にガンマ線照射処理するのが好ましい。
[1]人工軟骨
人工軟骨は、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなり、15〜95質量%のコラーゲン、4.9〜70質量%のプロテオグリカン及び0.1〜20質量%のヒアルロン酸を含むのが好ましい。コラーゲン線維に、ヒアルロン酸及び/又はプロテオグリカンを添加することにより、柔軟性に優れた人工軟骨を得ることができる。人工軟骨中のコラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸の量は、それぞれ45〜65質量%、20〜40質量%及び2〜5質量%であるのがより好ましい。
コラーゲン含有量が15質量%未満の場合、生体中に挿入したときの膨張率が増加し、軟骨欠損部へ適合させにくくなり、また膨張により気孔率が低下する傾向となる。コラーゲン含有量が95質量%超の場合、着色が大きくなる。プロテオグリカン含有量が4.9質量%未満の場合、弾性率が低下して軟骨としての性能が低下する。プロテオグリカン含有量が70質量%超の場合、膨張による大きさの変化が大きくなり、気孔率が低下する傾向となる。ヒアルロン酸含有量が0.1質量%未満の場合弾性率が低下して軟骨としての性能が低下するとともに、人工軟骨表面の潤滑性(低摩擦性)が低下する。ヒアルロン酸含有量が20質量%超の場合、生体軟骨に含まれている割合を大きく超え、生体軟骨とは異なる成分の材料になってしまうため、適用部位によっては、コラーゲンとプロテオグリカンの所望の含有割合を確保することが難しくなる。
コラーゲンとしては特に限定されず、動物等から抽出したものを使用できる。また由来する動物の種、組織部位、年齢等も特に限定されない。一般的には哺乳動物(例えばウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ネズミ等)や鳥類(例えばニワトリ等)の皮膚、骨、軟骨、腱、臓器等から得られるコラーゲンが使用できる。また魚類(例えばタラ、ヒラメ、カレイ、サケ、マス、マグロ、サバ、タイ、イワシ、サメ等)の皮、骨、軟骨、ひれ、うろこ、臓器等から得られるコラーゲン様蛋白を使用してもよい。なおコラーゲンの抽出方法は特に限定されず、一般的な抽出方法を使用することができる。また動物組織からの抽出ではなく、合成コラーゲンや遺伝子組み替え技術によって得られたコラーゲンを使用してもよい。
グリコサミノグリカンとは、アミノ糖とウロン酸又はガラクトースが結合した2糖の繰り返し構造からなる酸性多糖類である。本発明において用いられるグリコサミノグリカンとしては、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヒアルロン酸いずれでも良いが、ヒアルロン酸を用いるのが好ましい。
プロテオグリカンとは、一つの核となるタンパク質に、一本又は多数のグリコサミノグリカン鎖が結合したものである。プロテオグリカンとしては特に制限はなく、アグリカン、バーシカン、ニューロカン、ブレビカン、デコリン、ビグリカン、セルグリシン、パールカン、シンデカン、グリピカン、ルミカン、ケラトカン等が挙げられるが、アグリカンを用いるのが好ましい。
プロテオグリカンの由来に特に制限はなく、複合体の使用目的に応じて、ほ乳類(ヒト、ウシ、ブタ等)、鳥類(ニワトリ等)、魚類(サメ、鮭等)、甲殻類(カニ、エビ等)等の各種動物由来の中から適宜選択することができる。特に本発明の人工軟骨をヒトの軟骨欠損又は変性の治療用として用いるのであれば、ヒトにおける免疫原性の低い由来の中から選択するのが望ましい。
人工軟骨中のコラーゲンは、UV吸収の測定、HPLC等により定量できる。ヒアルロン酸は、カルバゾール硫酸法、ヒアルロン酸結合性タンパク質を利用した阻害法、HPLC等により定量できる。プロテオグリカンは、色素DMMBを用いた比色法、HPLC等により定量できる。
人工軟骨は、機械的強度を高めるとともに、体内に挿入された人工軟骨を長期間に渡って保持し得るようにするため、熱脱水架橋処理が施されている。また人工軟骨はガンマ線処理等の方法により滅菌処理されているのが好ましい。
[2]製造方法
人工軟骨を製造する本発明の方法は、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる成形体を105〜110℃及び0 Pa〜大気圧で16〜23時間熱脱水架橋する工程を有する。コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる成形体は、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸の混合物を得る工程、及び前記混合物を凍結乾燥する工程からなるのが好ましい。なお、前記凍結乾燥物を粉砕し水に分散させた後、その分散物を再度凍結乾燥する工程を有しても良い。
(a)調液及び混合
コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸の混合物を得る工程は、ヒアルロン酸及びコラーゲンからなる第1の組成物を得る工程と、プロテオグリカン及びコラーゲンからなる第2の組成物を得る工程と、前記第1及び第2の組成物を混合する工程とからなるのが好ましい。
前記第1の組成物を得る工程において、ヒアルロン酸及びコラーゲンの混合比は、10000:1〜1:10000(質量比)であるのが好ましく、5000:1〜1:5000(質量比)であるのがより好ましく、15:1〜1:15(質量比)であるのが最も好ましい。コラーゲンはあらかじめ希塩酸(5〜50 mM程度の濃度)に0.1〜20質量%の濃度で溶解したものを用いるのが好ましい。またヒアルロン酸は、あらかじめ無菌水(注射用水等)に0.1〜20質量%の濃度で溶解したものを用いるのが好ましい。ヒアルロン酸及びコラーゲンの水溶液の混合は3〜25℃で行うのが好ましい。
前記第2の組成物を得る工程において、プロテオグリカン及びコラーゲンの混合比は、10000:1〜1:10000(質量比)であるのが好ましく、5000:1〜1:5000(質量比)であるのがより好ましく、10:1〜1:10(質量比)であるのが最も好ましい。コラーゲンはあらかじめ希塩酸(5〜50 mM程度の濃度)に0.1〜20質量%の濃度で溶解したものを用いるのが好ましい。またプロテオグリカンは、あらかじめ無菌水(注射用水等)に0.1〜20質量%の濃度で溶解したものを用いるのが好ましい。プロテオグリカン及びコラーゲンの水溶液の混合は3〜25℃で行うのが好ましい。
ヒアルロン酸及びコラーゲンの水溶液の混合(第1の組成物)及びプロテオグリカン及びコラーゲンの水溶液の混合(第2の組成物)は、特に高いせん断を必要とするものではないので通常用いられているスターラー、ミキサー等の器具を用いて行うことができる。混合は、ヒアルロン酸及びコラーゲン、又はプロテオグリカン及びコラーゲンが均一に混合されるように、3〜25℃で、1秒〜3分程度行う。
第1及び第2の組成物の混合比は、混合後に15〜95質量%のコラーゲン、4.9〜70質量%のプロテオグリカン及び0.1〜20質量%のヒアルロン酸を含む組成となるように行う。第1及び第2の組成物の混合は、ホモジナイザー、ディゾルバー等の器具を用いて、せん断力を有する方法により行うのが好ましい。例えば、ホモジナイザーを使用する場合、1,000〜12,000 rpmの回転数で、30秒〜3分の攪拌を1〜5回繰り返して行うのが好ましい。混合時の試料は、3〜25℃程度に保温して行うのが好ましい。第1及び第2の組成物を別々に用意し、その後、混合することで、合成の進行をより促すことができる。
なおコラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸の混合物は、前述のように第1及び第2の組成物を調製しそれらを混合する方法ではなく、以下に記載するように、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸を直接混合して作製しても良い。
コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸の混合比は、混合後に15〜95質量%のコラーゲン、4.9〜70質量%のプロテオグリカン及び0.1〜20質量%のヒアルロン酸を含む組成となるように行う。コラーゲンはあらかじめ水又は希塩酸(5〜50 mM程度の濃度)に0.1〜20質量%の濃度で溶解したものを用いるのが好ましい。プロテオグリカンは、あらかじめ無菌水(注射用水等)に0.1〜20質量%の濃度で溶解したものを用いるのが好ましい。ヒアルロン酸は、あらかじめ無菌水(注射用水等)に0.1〜20質量%の濃度で溶解したものを用いるのが好ましい。
コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸の各溶液は、ホモジナイザー、ディゾルバー等の器具を用いて、せん断力をかけて混合するのが好ましい。例えば、ホモジナイザーを使用する場合、1,000〜12,000 rpmの回転数で、30秒〜3分の攪拌を1〜5回繰り返して行うのが好ましい。コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸の水溶液の調製及び混合は3〜25℃に保温して行うのが好ましい。
(b)第1の凍結乾燥
得られた混合物は、熱伝導性のよい容器(金属のバット等)に入れ、-80〜-60℃で一晩以上凍結する。凍結した混合物は、棚温度-50〜-5℃程度(好ましくは-40〜-5℃)で混合物の水分(氷)がほぼなくなるまで10時間〜10日程度真空引きし(第1の乾燥)、真空引きしたまま棚温度を20〜40℃程度(好ましくは25〜40℃)に上げてさらに3〜24時間乾燥(第2の乾燥)する。このように、二段階に温度を変化させて凍結乾燥することにより、結合水までもが除去され、より乾燥されたものとなり、得られる凍結乾燥物は保存性に優れたものとなる。
得られた凍結乾燥物は後述の架橋及び滅菌を施し、そのまま人工軟骨としても良いが、さらに後述の粉砕、分散及び凍結乾燥を施してもよい。このように粉砕工程を経ることにより、高密度の人工軟骨が得られる。
(c)粉砕
得られた凍結乾燥物はミル等の固体粉砕器で粉砕する。粉砕の方法は特に限定されるものではないが、凍結乾燥物があまり高い温度にならないように行うのが好ましい。
(d)分散
粉砕した凍結乾燥物は3〜20質量%の濃度となるように生理食塩水と混合し、ホモジナイザー等の器具を用いて、3〜25℃及び1,000〜15,000 rpmの条件で、30秒〜3分間×1〜5回分散する。
(e)ゲル化
得られた分散物は、シャーレ等の容器に入れフタをし、30〜40℃で1〜5時間静置してゲル化させる。
(f)第2の凍結乾燥
ゲル化させた分散物は再度凍結乾燥し成形体とする。ゲル化させた分散物を2〜10℃で1〜20時間冷蔵し、さらに-20〜-60℃程度で一晩凍結する。凍結する際には、ステンレスバット内に置いた網皿の上に容器をのせて行うのが好ましい。凍結した分散物は、前述の第1の凍結乾燥の場合と同様にして乾燥する。
(g)架橋
凍結乾燥後の分散物は、機械的強度を高めるとともに、体内に挿入された人工軟骨を長期間に渡って保持し得るようにするため、熱脱水架橋処理を行いコラーゲン及び/又はプロテオグリカンを架橋する。熱脱水架橋は、凍結乾燥後の分散物を105〜110℃及び0 Pa〜大気圧の真空オーブン中に16〜23時間保持することにより行う。保持時間は、好ましくは16〜20時間である。
110℃超の高い温度又は23時間超の長い時間の条件で熱脱水処理を行うと人工軟骨の着色が発生し、105℃未満の低い温度又は16時間未満の短い時間の条件では架橋が不十分であるため、含水により人工軟骨が収縮してしまう。なお人工軟骨の架橋度は、例えば含水後の弾性率が時間の経過によって低下する度合いによって評価することができる。弾性率の低下が少ないものほど架橋度が高いといえる。
(h)滅菌処理
人工軟骨は紫外線、γ線、電子線、乾燥加熱等により滅菌処理するのが好ましい。特に、25 kGy以下のガンマ線を照射することにより滅菌するのが好ましい。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)原料溶液の調製
5m M塩酸にコラーゲンを溶解し、1質量%コラーゲン溶液を作製した。また注射用水にプロテオグリカンを溶解し、1質量%プロテオグリカン溶液を作製し、さらに、注射用水にヒアルロン酸を溶解し、0.2質量%ヒアルロン酸溶液を作製した。なおこれらの調製は全て4℃で行った。
(2)原料の混合
前記コラーゲン溶液及びプロテオグリカン溶液を、1:1(質量比)で混合し、ミキサーで攪拌し混合液Aを得た。同様に、前記コラーゲン溶液及びヒアルロン酸溶液を、2:1(質量比)で混合し、ミキサーで攪拌し混合液Bを得た。混合液A及びBを1.5:1(質量比)で混合し、ホモジナイザーで2,OOO rpmの回転数で1分間の攪拌を30秒のインターバルをおいて3回行った。なお攪拌は試料の温度を5℃に保温して行った。
(3)第1の凍結乾燥
得られた混合物をバットに流し込み-80℃で6日間凍結した後、棚温度-5℃で8日間真空引きし第1の乾燥を行った。この第1の乾燥で、混合物の水分(氷)はほぼなくなった。引き続き真空引きしたまま棚温度を25℃に上げてさらに4時間第2の乾燥を行い、凍結乾燥物を得た。
(4)粉砕及び分散
得られた凍結乾燥物をミルで粉砕した後、粉砕した凍結乾燥物を1O.7質量%となるように生理食塩水を混合し、ホモジナイザーで10,OOO rpmの条件で、1分間の分散を5回(インターバル:1分)行った。なお、ホモジナイザーによる分散は5℃に保温して行った。
(5)脱泡
得られた分散物を、自転・公転ミキサー(シンキー社製、あわとり練太郎ARE-250)で1分攪拌し、分散物中に含まれる気泡を取り除いた。
(6)ゲル化
得られた分散物をガラス製のシャーレに入れフタをし、37.5℃で3時間静置してゲル化した後、5℃で3時間冷蔵した。
(6)第2の凍結乾燥
ステンレスパット内に置いた網皿の上に前記冷蔵した材料をシャーレごと置き-60℃で3日間凍結した後、棚温度-40℃で7日間真空引きし第1の乾燥を行った。この第1の乾燥で、混合物の水分(氷)はほぼなくなった。引き続き真空引きしたまま棚温度を25℃に上げてさらに4時間第2の乾燥を行い、凍結乾燥物を得た。
(7)架橋処理
得られた凍結乾燥物を、直径4.2 mm及び厚さ4 mmに成形し、真空オーブンで真空下(0 Pa)で105℃、110℃、115℃、及び表1に示す時間条件で熱脱水架橋処理し人工軟骨を得た。
得られた人工軟骨の着色及び架橋度を下記の通り評価した。着色は、目視で判断し、着色がないものを○、やや着色したものを△、着色したものを×として評価した。また架橋度は、得られた人工軟骨の含水直後と4週間後の弾性率を粘弾性測定装置(wave cyber社製、ベスメーター, E-200DT)により測定し、4週間後の弾性率が含水直後の70%以上のものを○、50%以上70%未満のものを△、50%未満のものを×として評価した。着色及び架橋度の評価がともに○である場合に、人工軟骨として実用性を有する。結果を表1に示す。
Figure 2013150648
表1から明らかなように、105〜110℃の間で、16時間以上24時間未満で熱脱水架橋処理したときに、着色せずに十分な架橋度を有する人工軟骨が得られた。
実施例2
実施例1と同様にして得られた凍結乾燥物を、直径4.2 mm及び厚さ4 mmに成形し、真空オーブンで大気圧下で105℃20時間で熱脱水架橋処理して人工軟骨を得た。得られた人工軟骨は、真空下で105℃20時間で熱脱水架橋処理した人工軟骨と同様の着色及び架橋度の評価であった。

Claims (4)

  1. コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる人工軟骨を製造する方法であって、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる成形体を105〜110℃及び0 Pa〜大気圧で16〜23時間熱脱水架橋する工程を有することを特徴とする人工軟骨の製造方法。
  2. 請求項1に記載の人工軟骨の製造方法において、前記成形体は、コラーゲン、プロテオグリカン及びヒアルロン酸からなる組成物を凍結乾燥して得ることを特徴とする方法。
  3. 請求項2に記載の人工軟骨の製造方法において、前記組成物が、15〜95質量%のコラーゲン、4.9〜70質量%のプロテオグリカン及び0.1〜20質量%のヒアルロン酸を含むことを特徴とする方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の人工軟骨の製造方法において、架橋後の人工軟骨にガンマ線照射処理することを特徴とする方法。
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