JP2013149806A - 積層セラミック電子部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】積層セラミック電子部品の耐湿信頼性を高める。
【解決手段】積層された複数のセラミック層7およびセラミック層7間の界面に沿って配置された内部電極8,9を含む、部品本体2と、部品本体2上に形成された、外部電極11とを備え、内部電極8,9は、卑金属を主成分として含み、かつ外部電極11と接続されるように部品本体2の表面に露出する露出端部12と部品本体2の内部に位置する内蔵端部13とを有する、積層セラミック電子部品1において、内部電極8,9の少なくとも内蔵端部13には、セラミック層7との界面に沿って、上記卑金属を含む酸化物層14が形成され、内蔵端部13の先端から20μmまでの領域において、内部電極8,9の両面に沿う酸化物層14の合計厚みは、内部電極8,9の厚みの2〜50%の範囲内にあるようにされる。
【選択図】図2

Description

この発明は、積層セラミック電子部品およびその製造方法に関するもので、特に、積層セラミック電子部品の耐湿信頼性を向上させるための改良に関するものである。
積層セラミックコンデンサに代表される積層セラミック電子部品は、積層された複数のセラミック層およびセラミック層間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された複数の内部電極を含み、内部電極の各端部が端面に露出している、部品本体を備えている。部品本体の端面上には、外部電極が形成される。外部電極は、部品本体の端面に露出した内部電極の各露出端部と接続される。
このような積層セラミック電子部品を、機械的、電気的、あるいは熱的な衝撃に対する耐性に優れた信頼性の高いものとするため、特許第3716746号公報(特許文献1)には、内部電極の露出端部を与える引出し部の両主面とセラミック層との界面に、内部電極を構成する卑金属の酸化物層を設け、それによって、少なくとも内部電極の引出し部とセラミック層との間に強い接合力を持たせるようにすることが記載されている。
しかしながら、上述のような対策を講じた積層セラミック電子部品であっても、耐湿信頼性の点では、十分な効果を発揮し得ない場合があることがわかった。耐湿信頼性の劣化は、たとえば耐湿信頼性試験時において、絶縁抵抗(IR)といった電気的特性の劣化として現れるものであるが、その原因を追究すると、内部電極の引出し部ではなく、部品本体の内部に位置する端部、すなわち内蔵端部での内部電極とセラミック層との間での剥離が起点となって生じ得ることが確認された。このような内蔵端部での内部電極とセラミック層との間での剥離は、特に、内蔵端部において残留応力や電圧印加時の電界が集中しやすく、これが原因で内部電極とセラミック層との界面でクラックが生じやすいためにもたらされるものと推測される。
そこで、内蔵端部での内部電極とセラミック層との界面部分での強度を高め得ることが望まれる。
特許第3716746号公報
この発明の目的は、上述したような要望を満たし得る、積層セラミック電子部品およびその製造方法を提供しようとすることである。
この発明は、積層された複数のセラミック層およびセラミック層間の界面に沿って配置された内部電極を含む、部品本体と、部品本体上に形成された、外部電極とを備え、内部電極は、卑金属を主成分として含み、かつ外部電極と接続されるように部品本体の表面に露出する露出端部と部品本体の内部に位置する内蔵端部とを有する、積層セラミック電子部品にまず向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、内部電極の少なくとも内蔵端部には、セラミック層との界面に沿って、卑金属を含む酸化物層が形成され、内蔵端部の先端から20μmまでの領域において、内部電極の両面に沿う酸化物層の合計厚みは、内部電極の厚みの2〜50%の範囲内にあることを特徴としている。
この発明は、好ましくは、次のような構成を有する積層セラミック電子部品に対して適用される。すなわち、部品本体は、相対向する第1および第2の主面と相対向する第1および第2の側面と相対向する第1および第2の端面とを有する直方体形状をなし、セラミック層は主面と平行に延び、内部電極は、露出端部を第1の端面側に位置させる複数の第1の内部電極と、セラミック層を介して第1の内部電極と対向するように第1の内部電極と交互に配置され、かつ露出端部を第2の端面側に位置させる第2の内部電極とを含む。特に、このような構成の積層セラミック電子部品では、内蔵端部において残留応力や電圧印加時の電界が集中しやすいため、この発明が有利に適用され得る。
この発明に係る積層セラミック電子部品において、セラミック層が、ABOで表わされるペロブスカイト構造を有する誘電体セラミックを主成分としているとき、酸化物層は、ABOにおけるBサイト元素をさらに含むことが好ましい。これにより、内部電極とセラミック層との界面での共有結合力が増し、内部電極とセラミック層との界面部分での強度のさらなる向上が期待される。
内部電極の主成分となる卑金属は、コストの点で、ニッケルであることが好ましい。
この発明は、上述した積層セラミック電子部品を製造する方法にも向けられる。この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、上述した部品本体の生の状態のものを用意する工程と、生の状態の部品本体を焼成する工程と、焼成後の部品本体上に、内部電極の露出端部と接続されるように外部電極を形成する工程とを備える。そして、特徴とするところは、焼成工程にある。すなわち、焼成工程は、焼成温度を常温からトップ温度まで上昇させる昇温過程と、次いで、トップ温度に達した時点で当該トップ温度をキープするトップ温度キープ過程と、次いで、トップ温度から常温まで降下させる降温過程とを含むとともに、降温過程の途中で、焼成雰囲気の酸素分圧を制御しながら、内部電極の内蔵端部にまで酸化が及ぶようにトップ温度より低い温度でキープする途中キープ過程を含むことを特徴としている。
この発明によれば、内蔵端部での内部電極とセラミック層との界面部分での強度を高めることができ、よって、積層セラミック電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
前述したように、内部電極の内蔵端部は、ここに残留応力や電圧印加時の電界が集中しやすい傾向にある。そのため、たとえば耐湿信頼性試験時には、内蔵端部において内部電極とセラミック層との界面を起点に剥がれが生じ、その結果、IR劣化が生じていると推測される。そこで、本件発明者は、上記耐湿信頼性試験時に発生する、内蔵端部での内部電極とセラミック層との剥がれを抑制する手段として、内蔵端部の先端から少なくとも20μmまでの領域にあるセラミック層と接する内部電極に対して、酸化物層を形成することが有効であることを見出した。このように、上記酸化物層を形成することにより、内蔵端部での内部電極とセラミック層との界面部分の強度が向上し、その結果、内部電極とセラミック層との間での剥がれを抑制し、ひいては、IR劣化を抑制することができ、積層セラミック電子部品の耐湿信頼性の向上につながったものと推測される。
この発明が適用される積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を示す断面図である。 図1に示した積層セラミックコンデンサ1の部分Aに相当する部分を拡大して示す断面図である。 この発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法において採用される焼成プロファイルを説明するための図である。
図1を参照して、この発明が適用される積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1について説明する。
積層セラミックコンデンサ1は、積層構造の部品本体2を備えている。部品本体2は、相対向する第1および第2の主面3および4と相対向する第1および第2の側面(図示されない。)と相対向する第1および第2の端面5および6とを有する直方体形状をなしている。
部品本体2は、主面3および4と平行に延びる積層された複数のセラミック層7と、セラミック層7間の界面に沿って配置された各々複数の第1および第2の内部電極8および9とを備えている。第1の内部電極8と第2の内部電極9とは、セラミック層7を介して各々の一部において互いに対向し、積層方向に見て交互に配置される。内部電極8および9は、たとえば、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金のような卑金属を主成分としている。好ましくは、内部電極8および9の主成分として、ニッケルが用いられる。
部品本体2の第1および第2の端面5および6上には、それぞれ、第1および第2の外部電極10および11が形成されている。外部電極10および11は、たとえば、銅を含む導電性ペーストを焼き付けて形成される厚膜と、その上に形成されるニッケルめっき膜と、その上に形成される錫めっき膜とから構成される。
内部電極8および9は、外部電極10または11と接続されるように部品本体2の表面に露出する露出端部12と部品本体2の内部に位置する内蔵端部13とを有する。第1の内部電極8は、露出端部12を第1の端面5側に位置させている。他方、第2の内部電極9は、露出端部12を第2の端面6側に位置させている。
このような積層セラミックコンデンサ1において、その特徴とするところは、図2に、第1の内部電極8について図示されているように、内部電極8および9の少なくとも内蔵端部13には、セラミック層7との界面に沿って、酸化物層14が形成されていることである。酸化物層14は、内部電極8および9に含まれている卑金属を含み、内蔵端部13の先端から20μmまでの領域15において、内部電極8および9の各々の両面に沿う酸化物層14の合計厚みt1+t2は、内部電極8および9の各々の厚みTの2〜50%の範囲内にあるようにされる。
上記のように、酸化物層14を備えることにより、内蔵端部13での内部電極8および9とセラミック層7との界面部分での強度を高めることができ、よって、積層セラミックコンデンサ1の耐湿信頼性を向上させることができる。
この積層セラミックコンデンサ1において、セラミック層7が、ABOで表わされるペロブスカイト構造を有する誘電体セラミックを主成分としているとき、酸化物層14は、ABOにおけるBサイト元素、たとえばTiまたはZrをさらに含むことが好ましい。これにより、内部電極8および9とセラミック層7との界面での共有結合力が増し、内部電極8および9とセラミック層7との界面部分での強度をさらに向上させることができる。
図1に示した積層セラミックコンデンサ1を製造するにあたっては、まず、部品本体2の生の状態のものが用意される。生の状態の部品本体は、誘電体セラミック材料を含むセラミックグリーンシートを用意し、次いで、セラミックグリーンシート上に、所定のパターンをもって内部電極8および9となるべき卑金属を含む導電性ペースト膜を形成し、次いで、導電性ペースト膜が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層することによって、生の状態のマザーブロックを得、次いで、マザーブロックを切断することによって得られる。
次に、生の部品本体が焼成される。この焼成工程では、図3に示すように、焼成温度を常温からトップ温度まで上昇させる昇温過程21と、次いで、トップ温度に達した時点で当該トップ温度をキープするトップ温度キープ過程22と、次いで、トップ温度から常温まで降下させる降温過程23とが実施される。そして、通常の焼成工程と異なるのは、上記降温過程23の途中で、焼成雰囲気の酸素分圧を制御しながら、内部電極8および9の内蔵端部13にまで酸化が及ぶようにトップ温度より低い温度でキープする途中キープ過程24が実施され、この途中キープ過程24において、内部電極8および9の主成分となる卑金属の酸化物からなる酸化物層14が形成されることである。
たとえば、トップ温度キープ過程22において、1200℃のトップ温度で、10-9〜10-10MPaの酸素分圧にキープされるとき、降温過程23の途中の途中キープ過程24では、1000℃の温度で、10-7〜10-10MPaの酸素分圧に制御されながら、内部電極8および9の内蔵端部13にまで酸化が及ぶように、2〜3時間キープされる。ここで、酸素分圧が制御されるのは、酸化が進みすぎることによって、内部電極8および9において電極切れ等が生じないようにするためである。
上述した途中キープ過程24では、図2に示した酸化物層14の形成のための酸素は、部品本体2の外表面を通して部品本体2の内部に供給される。この酸素の多くは、部品本体2の端面5および6に露出する内部電極8および9の露出端部12とセラミック層7との隙間から部品本体2の内部に進入することになる。したがって、酸化物層14は、内部電極8および9の内蔵端部13だけでなく、露出端部12にも形成され、その結果、図2に示すように、内部電極8および9の、セラミック層7との界面部分の全域にわたって酸化物層14が形成されることになる。
この場合、第1の内部電極8の内蔵端部13における、露出端部12とは逆側に位置する部分にある酸化物層14の形成のための酸素は、主として、これに対向する第2の内部電極9の露出端部12側からセラミック層7を通して供給されるものと推測される。他方、第2の内部電極9の内蔵端部13における、露出端部12とは逆側に位置する部分にある酸化物層14の形成のための酸素は、主として、これに対向する第1の内部電極8の露出端部12側からセラミック層7を通して供給されるものと推測される。
なお、セラミック層7が、ABOで表わされるペロブスカイト構造を有する誘電体セラミックを主成分としているとき、上述した焼成工程の結果、酸化物層14は、ABOにおけるBサイト元素、たとえばTiまたはZrをさらに含む組成となる。
次に、焼成後の部品本体2の端面5および6上に、それぞれ、内部電極8および9の露出端部12と接続されるように外部電極10および11が形成される。このとき、内部電極8および9の露出端部12での酸化物層14が、外部電極10および11との電気的導通を阻害しないようにするため、前もって、部品本体2の端面5および6に対して研磨工程を実施し、内部電極8および9の露出端部12側での酸化物を除去しておくことが好ましい。外部電極10および11の形成にあたっては、たとえば、銅を含む導電性ペーストを焼き付けて厚膜を形成した後、ニッケルめっきおよび錫めっきを順次施し、銅からなる厚膜上にニッケルめっき膜および錫めっき膜が形成される。
以上のようにして、積層セラミックコンデンサ1が完成される。
積層セラミック電子部品が、図1に示したような積層セラミックコンデンサ1である場合、セラミック層7は、誘電体セラミックから構成される。この発明が適用される積層セラミック電子部品は、その他、インダクタ、サーミスタ、圧電部品などであってもよい。したがって、積層セラミック電子部品の機能に応じて、セラミック層は、誘電体セラミックの他、磁性体セラミック、半導体セラミック、圧電体セラミックなどから構成されてもよい。
また、図示した積層セラミックコンデンサ1は、2個の外部電極10および11を備える2端子型のものであるが、この発明は多端子型の積層セラミック電子部品にも適用することができる。
[実験例]
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
まず、ABOで表わされるペロブスカイト構造を有する誘電体セラミック粉末として、表1の「誘電体セラミック主成分」および「A/B比」に示すように、チタン酸バリウムのA/B比を0.9〜1.1の範囲で変えたもの、およびジルコン酸カルシウム(A/B=1)の各粉末を用意した。
次に、上記誘電体セラミック粉末に対し、有機バインダ、有機溶剤、可塑剤、および分散剤を所定の割合で混合することによって、セラミックスラリーを作製した。
次に、上記セラミックスラリーを樹脂フィルム上で、乾燥後の厚みが4.0μmになるようにシート状に成形し、セラミックグリーンシートを得た。
次に、このセラミックグリーンシート上に、乾燥後の厚みが2μmになるように、内部電極となるべき導電性ペースト膜をスクリーン印刷により形成した。ここで、導電性ペーストとして、平均粒径0.3μmのニッケル粉末50重量部と、ブチルカルビトール100重量部にエチルセルロース10重量部を溶解した樹脂溶液45重量部と、分散剤および増粘剤の合計5重量部とを配合したものを用いた。
次に、上記のように、導電性ペースト膜を形成したセラミックグリーンシートを樹脂フィルムから剥離した後、これらセラミックグリーンシートを350枚重ねて、圧着することにより、積層体を形成し、この積層体を所定の大きさにカットすることによって、個々の積層セラミックコンデンサのための生の状態の複数の部品本体を得た。
次に、生の部品本体を、窒素雰囲気中、400℃、10時間の条件で脱脂処理した後、窒素‐水素‐水蒸気混合雰囲気中、トップ温度1200℃、酸素分圧10-9〜10-10MPaの条件で焼成した。その後、焼成温度を1200℃のトップ温度から常温に降下させる過程で、1000℃に達したとき、酸素分圧を表1の「途中キープ過程での酸素分圧」の欄に示すような範囲で変えて、3時間キープした。
次に、上述のように焼成工程を終えて得られた部品本体に、銅粉末70重量部と、ホウケイ酸亜鉛系ガラスフリット3重量部と、ブチルカルビトール100重量部にエチルセルロース20重量部を溶かした樹脂溶液27重量部とを含有する導電性ペーストを、乾燥後の厚みで50μmになるようにディップ法により塗布し、乾燥した後、800℃の温度で焼き付けて、外部電極の下地となる銅焼付厚膜を形成した。次いで、銅焼付厚膜の上に、ニッケルめっきおよび錫めっきを順次施すことにより、銅焼付厚膜、ニッケルめっき膜および錫めっき膜からなる3層構造の外部電極を形成し、試料となる積層セラミックコンデンサを得た。
次に、得られた積層セラミックコンデンサについて、以下のような評価を行なった。
(酸化物層の形成状態)
内部電極の内蔵端部の先端から20μmまでの領域において、内部電極とセラミック層との界面での酸化物層の形成状態を調べるために、FIB(Focuced Ion Beam)を用いて該当部分を研磨処理した後、SIM(Secondary Ion Microscopy)を用いて観察した。
観察したSIM像から、内部電極の厚みと酸化物層の厚みを読み取り、内部電極の厚みに対する、内部電極の両面に沿う酸化物層の合計厚みの比を算出した。その結果が、表1の「厚み比」の欄に示されている。
(酸化物層の元素特性)
内部電極の内蔵端部の先端から20μmまでの領域において、内部電極とセラミック層との界面での酸化物層の組成を調べるために、FIBを用いて該当部分を加工処理した後、TEM(Transmission Electron Microscope)を用いて観察した。
TEM測定から、酸化物層において内部電極ペーストの卑金属成分(Ni)の検出と、誘電体セラミック材料の主成分となるチタン酸バリウムまたはジルコン酸カルシウムのBサイト元素成分(TiまたはZr)の検出とを行なった。表1において、卑金属成分の検出結果が「卑金属の有無」の欄に、Bサイト元素成分の検出結果が「B元素の有無」の欄にそれぞれ示されている。
(耐湿信頼性試験)
耐湿信頼性試験には、PCBT(Pressure Cooker Bias Test)装置を使用した。条件は、温度125℃、湿度95%、圧力0.2MPa、電圧10V、直流、試験時間200時間とした。絶縁抵抗(IR値)を測定し、IR値が初期から4桁劣化したものを、IR劣化品と判定した。表1の「IR劣化数」の欄に、試料数1000個中において、IR劣化品と判定された試料数が示されている。
(クラック観察)
上記耐湿信頼性試験後の試料を、金属顕微鏡により外観観察し、クラック発生の有無を調べた。表1の「クラック発生数」の欄に、試料数1000個中でのクラック発生試料数が示されている。
Figure 2013149806
表1において、試料1については、「厚み比」を求めるための酸化物層が確認できるレベルではなかったため、「卑金属の有無」および「B元素の有無」を求めるためのTEM測定を行なわなかった。
試料6〜8については、内部電極と外部電極とが電気的に接続されず、初期的な電気的特性が得られなかったため、不良品と判定され、「卑金属の有無」および「B元素の有無」の評価のためのTEM測定、ならびに「IR劣化数」および「クラック発生数」の評価のための耐湿信頼性試験を行なわなかった。
「厚み比」が2〜50%の範囲内にある試料2〜5によれば、耐湿信頼性に関連する「IR劣化数」および「クラック発生数」がいずれも「0」であり、耐湿信頼性が高いことが確認された。また、これら試料2〜5では、「卑金属の有無」および「B元素の有無」がいずれも「有」であり、酸化物層は内部電極の卑金属成分とABOで表わされるセラミックのBサイト元素とを含有していることが確認された。
1 積層セラミックコンデンサ
2 部品本体
3,4 主面
5,6 端面
7 セラミック層
8,9 内部電極
10,11 外部電極
12 露出端部
13 内蔵端部
14 酸化物層
15 先端から20μmまでの領域
21 昇温過程
22 トップ温度キープ過程
23 降温過程
24 途中キープ過程
t1,t2 酸化物層の厚み
T 内部電極の厚み

Claims (5)

  1. 積層された複数のセラミック層および前記セラミック層間の界面に沿って配置された内部電極を含む、部品本体と、
    前記部品本体上に形成された、外部電極と
    を備え、
    前記内部電極は、卑金属を主成分として含み、かつ前記外部電極と接続されるように前記部品本体の表面に露出する露出端部と前記部品本体の内部に位置する内蔵端部とを有し、
    前記内部電極の少なくとも前記内蔵端部には、前記セラミック層との界面に沿って、前記卑金属を含む酸化物層が形成され、前記内蔵端部の先端から20μmまでの領域において、前記内部電極の両面に沿う前記酸化物層の合計厚みは、前記内部電極の厚みの2〜50%の範囲内にある、
    積層セラミック電子部品。
  2. 前記部品本体は、相対向する第1および第2の主面と相対向する第1および第2の側面と相対向する第1および第2の端面とを有する直方体形状をなし、前記セラミック層は前記主面と平行に延び、前記内部電極は、前記露出端部を前記第1の端面側に位置させる複数の第1の内部電極と、前記セラミック層を介して前記第1の内部電極と対向するように前記第1の内部電極と交互に配置され、かつ前記露出端部を前記第2の端面側に位置させる第2の内部電極とを含む、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
  3. 前記セラミック層は、ABOで表わされるペロブスカイト構造を有する誘電体セラミックを主成分としており、前記酸化物層は、前記ABOにおけるBサイト元素をさらに含む、請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
  4. 前記内部電極の主成分となる卑金属はニッケルである、請求項1ないし3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の積層セラミック電子部品を製造する方法であって、
    前記部品本体の生の状態のものを用意する工程と、
    生の状態の前記部品本体を焼成する工程と、
    焼成後の前記部品本体上に、前記内部電極の前記露出端部と接続されるように前記外部電極を形成する工程と
    を備え、
    前記焼成工程は、焼成温度を常温からトップ温度まで上昇させる昇温過程と、次いで、トップ温度に達した時点で当該トップ温度をキープするトップ温度キープ過程と、次いで、トップ温度から常温まで降下させる降温過程とを含むとともに、前記降温過程の途中で、焼成雰囲気の酸素分圧を制御しながら、前記内部電極の前記内蔵端部にまで酸化が及ぶように前記トップ温度より低い温度でキープする途中キープ過程を含む、
    積層セラミック電子部品の製造方法。
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