JP2013149630A - 溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法 - Google Patents

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将洋 吉川
Hiroshi Morita
寛 森田
Yoshihiro Mugikura
良啓 麦倉
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Abstract

【課題】 電解質板に繊維を混入させてその補強を行う場合において、その最適化を図り得る溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法を提供する。
【解決手段】 アルミナ繊維を10kg/cmプレスで裁断した後、この繊維を、水に溶融させた水溶性結合剤に投入して攪拌するとともに、その後リチウムアルミネートを投入して攪拌することによりスラリー組成物を形成し、さらにこのスラリー組成物をシート状に成形して乾燥することによりグリーンシートを形成し、その後前記グリーンシートを熱処理することにより前記水溶性結合剤を焼失させて多孔質体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法に関し、特に電解質板の高強度化方策として電解質板に繊維を混入する場合に適用して有用なものである。
溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)は、リチウムアルミネート(LiAlO)電解質板に、炭酸リチウム(LiCO)と炭酸ナトリウム(NaCO)もしくは炭酸カリウム(KCO)を溶融含浸させた電解質板、多孔質ニッケルで形成されたアノード、多孔質酸化ニッケルで形成されたカソード、各電極に反応ガスを供給するアノードガス流路室及びカソードガス流路室などで構成され、約650℃の動作温度で電気エネルギーを発生する。
MCFCの電解質板は約650℃の温度域において炭酸リチウムと炭酸ナトリウム等の混合炭酸塩を含浸保持する目的で使用されるため、このような混合炭酸塩に対する高い保持性や、耐アルカリ性、耐熱性などの特性が要求される。さらに電解質板はアノードガス流路室とカソードガス流路室とのガスの拡散を防ぎ且つ溶融塩の良好なイオン導電性を阻害しない特性を有することが要求される。特に、アノード及びカソード間でのガスリークを可及的に低減し得る構造とすることが肝要である。
ところで、MCFCの立ち上げ運転時において、セルの温度が410℃乃至500℃の間では溶融していない炭酸塩を含浸している固い電極と脱脂済みで含浸されていない脆い多孔質の電解質板をある一定の締付圧で押している状態であり、最も電解質板の破断が生じ易い状況にある。ちなみに、初期電圧が低くガスクロスリークを生起しているセルのほとんどが前述の温度域で何らかの破損を生じているものと推察される。そこで、セルの締め付け圧を低下させる等の対策を検討したが根本的な解決策とはならず、かえって締付圧を低下させることにより電極の変形等の要因で電解質板の破損などが生じることも明らかになった。そこで、ガスリークを低減するには電解質板の強度自体を上げることが肝要であることが分かった。
電解質板の高強度化方策として繊維を添加する方法が知られている。ところが、どのような性状の繊維が最も効果的に強度補強に貢献し得るかという点に関しては分かっておらず、効果的にガスリークを防止するには繊維長等の最適化が必要になる。
なお、電極と電解質板との接触を改善するとともに、電解質板の割れ発生を低減することによりガスクロスオーバーの発生を抑制することを目的として,補強材として繊維を添加する溶融炭酸塩形燃料電池を開示する公知文献として特許文献1がある。
特開平11−273698号公報
本発明は、上記従来技術に鑑み、電解質板に繊維を混入させてその補強を行う場合において、その最適化を図り得る溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は次の知見を基礎とするものである。すなわち、繊維が短すぎる場合、お互いが絡まないので強度の向上は望めない。また、長すぎる場合には、繊維のだまができてしまう等、成形性に難があると考えられる。そこで、綿状の繊維塊となっている市販のアルミナ繊維を用いて最適な長さ等の条件を調べた。まず、市販のアルミナ繊維は数百μmと長いので、これを最適な長さとすることを試みた。ここで、繊維の最適な長さとは、電解質板の機械的な強度を補完すべく電解質板の面的な広がりの中で繊維のお互いが分離されることなく絡み合っている状態を形成し得る長さである。このためには、ある範囲の長さの繊維が均等に分布していることが肝要であると考えられる。相対的に短い繊維を相対的に長い繊維が取り込むことで繊維同士が絡まって一体的に繋がった状態になると考えられるからである。
この結果、電解質板の板厚が350μmのとき50μm乃至200μmの長さのアルミナ繊維がほぼ均等に分布する長さのものとし、これを当該繊維強化電解質板の10wt%混入させた繊維強化電解質板を作製し、これを組み込んだ溶融炭酸塩形燃料電池セルを作製するとともに、繊維を混入させていない従来形の電解質板を組み込んだ同様のセルを作製し、両者のアノード・カソード間のガスリーク量を調べた。この結果、アノード出口ガス中のNリーク量について、繊維強化を行わない従来形では単セル当り9.8%が検出されたが、前述の如き繊維強化電解質板を用いた場合には単セル当たり1.3%と激減していた。これは、この場合の繊維長が50μmから200μmの範囲でほぼ均等に分布することにより長繊維に短繊維が良好に絡まって電解質板の面内で連続する状態となっているからであると考えられる。すなわち、繊維長の下限を50μmとすることにより短すぎて長繊維に絡むことができないということもなく、また上限を200μmとすることにより当該繊維強化電解質板の成型時にシートの表面から突出したり、だまを形成してしまうということもないからである。
そこで、上述の如き長さが50μm乃至200μmのアルミナ繊維の製造方法を検討した。市販のアルミナ繊維(電気化学工業(株)、B97N2)のバルクを用いた場合、当該アルミナ繊維は数百μmと長繊維であるため、これを解して50μm乃至200μmの範囲に分布する繊維を得ることから始めた。解すための手段としては乳鉢による繊維の切断や、プレスによる繊維の切断がある。乳鉢により切断した場合、図1(a)にSEM像を示すように、50μm乃至200μmの範囲で均等に分布する繊維とすることができる。したがって、状態としては理想的な繊維が得られるが、これを大量に作るには難がある。
そこで、プレスによるバルク繊維の切断を行うこととし、最適なプレス圧を検討した。図1(b)乃至図1(d)は図1(a)の場合と同様のアルミナ繊維のバルクをそれぞれ212kg/cm、10kg/cm、6kg/cmの圧力でプレスした場合のSEM像である。また、図2(a)及び図2(b)はそれぞれ212kg/cm、10kg/cmの圧力でプレスした場合の画像解析による繊維長分布を示す分布特性図である。
図1(b)及び図2(a)を参照すれば明らかな通り、212kg/cmでプレスした場合には20μm乃至30μm及び30μm乃至40μmの繊維長が全体の半分以上の割合を占めており、短繊維が狭い範囲に集中していることが分る。これでは短繊維を繋ぐ長繊維が存在しないため、繊維同士が絡んで発揮される補強機能が十分ではない。一方、図1(d)を参照すれば明らかな通り、6kg/cmの圧力でプレスした場合には200μm以上の繊維が多く存在していることが分る。これでは繊維がはみ出したり、だまを形成したりして成形性が悪化する。
これに対し、図1(c)及び図2(b)に示すように、10kg/cmの圧力でプレスした場合には図1(a)に示す場合と同様の状態となっていることが分る。そして、特に図2(b)を参照すれば明らかな通り、特定繊維長(50μm乃至60μm)の繊維が最大でも15%以下で50μm程度から200μmに至る広い範囲の繊維長に分布しており、最も図1(a)に示す状態に近似していることが分る。すなわち、10kg/cmの圧力でプレスした場合に好適なアルミナ繊維が得られている。さらに、図1(e)は図1(c)に示す繊維をさらに乳鉢処理した場合のSEM像である。同図に示すように、乳鉢処理をすることにより繊維が解されてより図1(a)に示す状態に近似していることが分る。すなわち、10kg/cmの圧力でプレスするとともに、これを乳鉢処理した場合に最適なアルミナ繊維が得られている。かかる最終的な乳鉢処理は図1(c)に示す状態に切断した後、これを輸送した場合等において輸送中に絡まった繊維を解すのに特に有効であると考えられる。
かかる知見を基礎とする本発明の第1の態様は、
アルミナ繊維を10kg/cmプレスで裁断した後、この繊維を、水に溶融させた水溶性結合剤に投入して攪拌するとともに、その後リチウムアルミネートを投入して攪拌することによりスラリー組成物を形成し、さらにこのスラリー組成物をシート状に成形して乾燥することによりグリーンシートを形成し、その後前記グリーンシートを熱処理することにより前記水溶性結合剤を焼失させて多孔質体とすることを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法にある。
本態様によれば、最適な長さ分布の繊維が混入され、リチウムアルミネートが均一に分散された所望の空隙率の繊維強化電解質板を良好に作製し得る。
本発明の第2の態様は、
第1の態様に記載する溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法において、
前記繊維は、特定の長さの繊維が、その全体の本数に対して最大でも15%を超えないように前記繊維強化電解質板の本体である電解質板の板厚の1割から6割の長さの範囲に分布する長さの繊維を混入させたことを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法にある。
本態様によれば、長繊維に短繊維が良好に絡まって電解質板の面内で連続する状態となっている結果、電解質板の十分な補強を行うことができる。この結果、アノード・カソード間のガスリークを良好に防止することができる。
本発明の第3の態様は、
第1または第2の態様に記載する溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法において、
前記電解質板の板厚を350μmとするとき前記繊維はその長さが50μmから200μmの範囲で分布していることを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法にある。
本態様によれば、繊維長が50μmから200μmの範囲でほぼ均等に分布することにより長繊維に短繊維が良好に絡まって電解質板の面内で連続する状態となっている。すなわち、繊維長の下限を50μmとすることにより短すぎて長繊維に絡むことができないということもなく、また上限を200μmとすることにより当該繊維強化電解質板の成型時にシートの表面から突出したり、だまを形成してしまうということも回避することができる。当該板厚における最適な長さ及び状態の繊維で良好な電解質板の補強を行うことができる。
本発明の第4の態様は、
第1乃至請求項3の何れか一つに記載する溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法において、
前記繊維は当該繊維強化電解質板の10wt%になるように混入させたことを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法にある。
本態様によれば、繊維により十分な電解質板の補強を行うことができる。
本発明によれば、電解質板に混入する繊維の長さ分布の最適化を図ることができる。この結果、電解質板の良好な補強が可能となり、当該繊維強化電解質板を適用するアノード・カソード間のガスリークを可及的に低減することができる。
繊維強化電解質板に混入するアルミナ繊維のSEM像を示す写真である。 繊維強化電解質板に混入するアルミナ繊維の長さ毎の分布の状態を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るMCFCを示す分解斜視図である。
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図3は本発明の実施の形態に係るMCFCを示す分解斜視図である。同図に示すように、本形態に係るMCFCは、カソードガスホルダ1、流路板2、SUSメッシュ板3、カソード4、繊維強化電解質板5、アノード6、流路板7及びアノードガスホルダ8を有している。ここで、カソードガスホルダ1には空気(O)と二酸化炭素(CO)が供給される。また、アノードガスホルダ8には燃料としての水素(H)と一酸化炭素(CO)とが供給される。カソード4は多孔質の導電体の板である酸化ニッケル板で形成されており、SUSメッシュ板3及び流路板2を介してカソードガスホルダ1内に収納してある。ここで、SUSメッシュ板3は脆い酸化ニッケル板であるカソード4の機械的な補強を行うとともに、カソード4に作用する面圧分布を均一化するためのものである。また、アノード6は多孔質の導電体の板であるニッケル板で形成されており、流路板7を介してアノードガスホルダ8内に収納してある。繊維強化電解質板5は炭酸塩を浸漬させたセラミック多孔質板で形成してあり、アノード6とカソード4との間に挟持してある。かかる繊維強化電解質板5はその本体であるα−リチウムアルミネートからなる電解質板に補強剤として炭酸塩との反応性に乏しいアルミナ繊維を混入させたものである。アルミナ繊維は、電解質板のスラリーを形成する際に混入させて一体化する(その作製方法に関しては後に詳述する。)が、その長さは特定の長さの繊維が最大でも15%を超えないように前記電解質板の板厚の1割から6割の長さの範囲に分布するように調整してある。例えば、前記電解質板の板厚を350μmとするとき前記繊維はその長さが50μmから200μmの範囲で分布しているものが望ましい(図1(c)にSEM像を示す繊維)。かかる繊維は、市販のアルミナ繊維(電気化学工業(株)、B97N2)のバルクを用い、これを10kg/cmの圧力でプレスすることにより容易に得ることができる。また、混入させる繊維の量は、繊維強化電解質板5の10wt%程度が好ましい。
かかるMCFCにおけるカソード側では、カソードガスホルダ1を介して供給された空気(O)と二酸化炭素(CO)が流路板2及びSUSメッシュ板3を介してカソード4に接触する。この結果、カソード4では外部回路から供給された電子と反応して炭酸イオンが生成され、この炭酸イオンが繊維強化電解質板5を移動してアノード側に至る。
一方、アノード側では、アノードガスホルダ8を介して供給された燃料としての水素(H)と一酸化炭素(CO)とが流路板7を介してアノード6に接触する。この結果、アノード6では繊維強化電解質板5を移動してきた電子と水素が反応して二酸化炭素、水及び電子を生成する。かくして生成された電子が外部回路を介してカソード側へ移動して同様の反応が繰り返されることにより外部回路には連続的に電流を流すことができる。
ここで、本形態に係るカソード4とアノード6との細孔率の関係は、前記細孔率を、アノード6とカソード4とで同じにするか、又はアノード6の細孔率よりもカソード4の細孔率が大きくなるように構成してある。例えば、アノード6の細孔率が57%に対し、カソード4の細孔率を59%にする、アノード6の細孔率が58%に対し、カソード4の細孔率を61%にする等が好適である。なお、細孔率とはカソード4及びアノード6の体積に占める孔の割合(%)である。
また、本形態に係るアノード6及びカソード4にはプレ含浸法により予め炭酸塩を仕込んである。ここで、アノード6及びカソード4に含浸させる炭酸塩は、ガスの透過性を考慮してアノード6及びカソード4の各細孔体積の75%に含浸し、残りの必要な炭酸塩はカソード側の流路に仕込んである。具体的には、溶剤(例えば、エタノール乃至水)に溶かし込んだ炭酸塩をカソード側の流路板2に塗布することにより構成している。
かかる本形態によればアノード側により多くの炭酸塩が残るような構造となって、大きな出力電圧を得ることができる。
また、本形態によれば、繊維長が50μmから200μmの範囲でほぼ均等に分布するアルミナ繊維を混入させた繊維強化電解質板5を用いているので、長繊維に短繊維が良好に絡まって電解質板の面内で連続する状態となっている。すなわち、繊維長の下限を50μmとすることにより短すぎて長繊維に絡むことができないということもなく、また上限を200μmとすることにより当該繊維強化電解質板5の成型時にシートの表面から突出したり、だまを形成してしまうということも回避することができる。この結果、アノード6及びカソード4間のガスリークを可及的に低減し得る。
次に、上述の如き繊維強化電解質板5を製造するための製造方法の一例を説明する。本例に係る繊維強化電解質板用のスラリー組成物は、図1(c)に示すように長さを調整したアルミナ繊維と、α−リチウムアルミネートと、水溶性結合剤と、水とを含有し、pH10−13に調整してある。
ここで、α−リチウムアルミネートは、α型のアルミン酸リチウムで、BET比表面積が、1〜10m/gである粉末で製造可能であるが、BET比表面積が、5〜9m/gである粉末を用いるのが好ましい。水に対して安定で、所望の空隙率及び細孔径を有する電解質保持板を得ることができるからである。このようなα−リチウムアルミネートは、平均粒子径としてはサブミクロンオーダーであり、例えば、特開2000−195531号公報に開示された製造方法により製造することができる。
また、本例では、有機溶媒を用いず、溶媒として水を用いる。水としては、脱イオン水、蒸留水、純水等が好適である。水溶性結合剤とは、水溶性のバインダーであり、α−リチウムアルミネートと反応せず、所望の温度で焼失することができるものであれば、公知のものを用いることができる。α−リチウムアルミネートとの親和性やスラリーの安定性、並びに500℃以下の温度で焼失(脱脂ともいう)することができるものとしては、メチルセルロールやポリビニルアルコールが好ましいが、エチルセルロールやポリビニルアセタールなどを用いることもできる。
このような水溶性結合剤の分子量なども特に限定されないが、形成されるスラリーの粘度に影響するので、電解質保持板形成用スラリーの用途、成形法などに適した粘度となるように選定すればよい。メチルセルロールを用いた場合には、重合度が4〜1500のメチルセルロースを用いることができるが、重合度が15程度のものが好ましい。
水溶性結合剤の含有量は、α−リチウムアルミネートの粉末同士の接着力に影響し、少なすぎると、グリーンシートとしたときの強度が十分では無くなる傾向となる。メチルセルロースを用いた場合には、2重量%のメチルセルロース水溶液を用いた場合には接着力が低すぎる傾向が確認されたので、これ以上の濃度とするのが好ましい。すなわち、3〜7重量%のメチルセルロース水溶液を、α−リチウムアルミネート100重量部に対して、150重量部程度又はそれより少ない量を添加するのが好ましい。α−リチウムアルミネートの凝集を防止し且つグリーンシートの製造効率を向上させ、また、グリーンシートとしたときに析出物などの不都合が生じないために好ましいからである。
また、水や水溶性結合剤の含有量は、水溶性結合剤の分子量と同様にスラリー粘度に影響する。
当該繊維強化電解質板5を形成するためのスラリー組成物は、α−リチウムアルミネートを凝集させないで均一に分散させたものとするためには、一般的にはボールミル混合やビーズミル混合により製造されるが、このような混合方法が適用できるスラリー濃度とするのが好ましい。ボールミル混合に最適なスラリー粘度は50〜500mPa・sであり、ビーズミル混合に最適なスラリー濃度は50〜1000mPa・sであるが、グリーンシートを製造する上では水溶媒が少ない方が効率的であるので、500〜1000mPa・sのスラリー粘度とし、ビーズミル混合を採用するのが好ましい。勿論、これに限定されず、他のスラリー粘度、他の混合方法を採用してもよい。
本例におけるスラリー組成物は、必要に応じて、可塑剤、分散剤、消泡剤など他の添加剤を含有してもよいが、pHが10〜13の範囲に調整されている必要がある。
α−リチウムアルミネートは、製造方法によっては、原料である炭酸リチウムが不純物として含有される可能性があり、これによりアルカリ性を呈する。本例における組成物は、このアルカリ性を維持するような、水溶性結合剤や他の添加剤を混合したものである。例えば、可塑剤、分散剤や消泡剤を選定する場合には、中性又はアルカリ性を呈するものを用いるのが好ましい。また、スラリーのpH10〜13の範囲となるように、アルカリ成分を添加してもよいが、スラリーの安定性を考慮すると、炭酸リチウムをアルカリ成分として添加するのが好ましい。
また、本発明の電解質保持板形成用スラリー組成物は、必要に応じて可塑剤を添加してもよい。このような可塑剤は、形成したグリーンシートの柔軟性や表面の平滑性を改善するものであり、例えば、グリセリンなどを挙げることができる。さらに、分散剤、消泡剤なども必要に応じて添加してもよい。これら分散剤、消泡剤は、α−リチウムアルミネートと反応せず、またアルカリ性又は少なくとも中性を呈するものを用いるのが好ましい。
ここで、分散剤は、原料粉をできるだけ1次粒子まで分散させ、原料粉同士を密な状態として結合剤で結合させるために有効であり、これにより空隙率を高めることができ、また、平均空孔径を低下させることができる。
また、消泡剤としては、上述したおとり、原料粉と反応する物質は不向きであり、原料粉のある無しに無関係でpHが一定であることが好ましい。
かかるスラリー組成物は、上述した原料を均一に分散させてスラリー組成物としたものであるが、好ましくは、水溶性結合剤を水溶液とし、アルミナ繊維、α−リチウムアルミネートの粉末及び必要に応じて他の添加剤を混合し、ボールミル混合やビーズミル混合などの公知の方法により混合して均一なスラリーとしたものである。
上述の如きスラリー組成物は、シート状に成形し、乾燥することにより、繊維強化電解質板5のグリーンシートを製造することができる。
かかるグリーンシートを製造するには、各種塗布法などにより塗布し、乾燥する必要がある。塗布法としては、ドクターブレード法、スピンコート法など各種方法を挙げることができ、また、乾燥は自然乾燥や加熱乾燥などにより行えばよい。
本例におけるグリーンシートは、400℃〜500℃で熱処理して少なくとも水溶性結合剤を焼失させることにより、空隙率が50〜66%、平均細孔径が0.2〜0.5μmの多孔質体である繊維強化電解質板5とすることができる。空隙率は上述した範囲より小さいとMCFCとしての性能を十分に発揮できず、一方、大きいほどMCFCの性能を向上させることができるが、上述した範囲を超えると機械的強度が十分でない傾向となる。
また、平均細孔径は、小さいほど炭酸溶融塩などの電解質の保持力が向上し、上述した範囲の平気細孔径を有することにより、長期間運転においても炭酸塩を良好に保持することができる。何れにしても、電池の高電圧化という観点とすると高い空孔率が望ましく、長寿命化という観点からすると低い平均空孔径が望ましい。
ここで、熱処理の方法は特に限定されないが、400℃〜500℃の熱処理で水溶性結合材を焼失させて多孔質体とすることができるので、アノード6、カソード4及びグリーンシートとを組み合わせてMCFCを構成し、MCFCの昇温過程において熱処理をすることにより繊維強化電解質板5とすることができる。勿論、通常の製造工程でグリーンシートを熱処理して繊維強化電解質板5としてもよい。また、この場合、500℃以上の温度で熱処理しても良いことはいうまでもない。
かかる本例によれば、最適化したアルミナ繊維で補強した繊維強化電解質板5を得ることができる。
本発明は電力設備の製造、販売、運用を行う産業界において有効に利用し得る。
1 カソードガスホルダ
2 流路板
3 SUSメッシュ板
4 カソード
5 繊維強化電解質板
6 アノード
7 流路板
8 アノードガスホルダ

Claims (4)

  1. アルミナ繊維を10kg/cmプレスで裁断した後、この繊維を、水に溶融させた水溶性結合剤に投入して攪拌するとともに、その後リチウムアルミネートを投入して攪拌することによりスラリー組成物を形成し、さらにこのスラリー組成物をシート状に成形して乾燥することによりグリーンシートを形成し、その後前記グリーンシートを熱処理することにより前記水溶性結合剤を焼失させて多孔質体とすることを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法。
  2. 請求項1に記載する溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法において、
    前記繊維は、特定の長さの繊維が、その全体の本数に対して最大でも15%を超えないように前記繊維強化電解質板の本体である電解質板の板厚の1割から6割の長さの範囲に分布する長さの繊維を混入させたことを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載する溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法において、
    前記電解質板の板厚を350μmとするとき前記繊維はその長さが50μmから200μmの範囲で分布していることを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載する溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法において、
    前記繊維は当該繊維強化電解質板の10wt%になるように混入させたことを特徴とする溶融炭酸塩形燃料電池の繊維強化電解質板の製造方法。
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JP7197752B1 (ja) * 2021-07-14 2022-12-27 積水化学工業株式会社 全固体電池製造用スラリー組成物及び全固体電池の製造方法
WO2023286717A1 (ja) * 2021-07-14 2023-01-19 積水化学工業株式会社 全固体電池製造用スラリー組成物及び全固体電池の製造方法

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