JP2013149348A - 積層型固体酸化物形燃料電池のリード線接続構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】アノードとカソードが固体酸化物からなる電解質を介して交互に積層した直方体形状を成すチップ状素子である積層型固体酸化物形燃料電池を使用し、直接火炎を用いて発電する固体酸化物形燃料電池システムにおいて、アノード側端子電極リード線の線接続構造を提供する。
【解決手段】チップ状素子の対向する一対の面の一方にアノード側端子電極11を、他方にカソード側端子電極12を備え、アノード側端子電極11と接続する表面電極13を形成し、カソード側端子電極12近傍で表面電極13と第1リード線16とを接続し、カソード側端子電極12と第2リード線17とを接続し、アノード側端子電極11に接続した第1リード線16を炎の反対側から取り出す構造をとることで、第1リード線16を1000℃以上の高温および還元雰囲気から遠ざける。
【選択図】図4

Description

本発明は、炎を用いて発電する際の、積層型固体酸化物形燃料電池のリード線接続構造に関する。
固体酸化物形燃料電池は、他の方式の燃料電池に比べエネルギー効率が高く、また、触媒として貴金属を使用しなくとも動作可能であるので、低コストで製造できるといった利点がある。
固体酸化物形燃料電池の構成の一例としては、電解質としての平板状の固体酸化物基板(以下、電解質としての固体酸化物を「固体電解質」ということがある)の一面にカソード(空気極)が、その反対面にアノード(燃料極)が形成され、固体酸化物基板、カソードおよびアノードによって、一つの固体酸化物形燃料電池セルが構成される。
通常、固体酸化物形燃料電池セル(以下、電解質を介してカソードおよびアノードが対向する構成を「単セル」ということがある)1個当たりの発電量は小さいので、インターコネクタ等を用いて単セルを集積化することで発電装置が形成される。しかし、単セルを集積化することにより、アノードおよびカソードからの集電構造、ならびに、燃料ガス配管および酸素(もしくは空気等酸素含有ガス)配管の取り回しが複雑化し、また、小型化することが困難となるという問題がある。
これに対し、直接火炎を用いた比較的単純な固体酸化物形燃料電池システムが提案されている。炎の中には未燃焼の可燃性ガスが残存しているため、炎は安定的に供給される燃料ガス源と考えることができる。また、その炎の近傍には酸素を十分に含む新鮮な空気が存在している。さらに、炎は1000℃以上の部分を持つ高温場でもある。ゆえに、固体酸化物形燃料電池の発電に必要な要素をすべて満たしているため、直接火炎を利用した固体酸化物形燃料電池による小型の発電システムが成り立っている。
例えば、特許文献1には、直接火炎を利用した平板型の固体酸化物形燃料電池について記載されている。また、特許文献2に記載された発電装置は、直接火炎を利用した平板型の固体酸化物形燃料電池による発電装置であり、単セルを複数組み合わせ、リード線で単セルを任意の傾斜角で支持するものである。また、特許文献3には直接火炎を利用した発電装置の別の形態が記載されており、ガスバーナーの炎に平行に、平板型の固体酸化物形燃料電池を配置するものである。特許文献2、特許文献3に記載の発電装置の形態をとることにより、直接火炎を利用した、比較的単純な小型酸化物形燃料電池システムが得られると考えられる。
ところが、平板型の固体酸化物形燃料電池の単セルは、その薄さゆえに、加熱時に割れやすいという問題がある。特に直接火炎を用いる場合には、加熱時の昇温レートが大きいため、単セル内で温度ムラが生じ、割れ易くなると考えられる。この問題に対し、特許文献1では、単セルを金属メッシュで覆うことにより、割れた場合でも単セルがバラバラにならず、発電を継続させることが出来るとしている。しかし、割れた部分から燃料ガス、および空気が漏れるため、発電効率の低下が避けられないことは容易に予想できる。
これに対し、特許文献4に記載の固体酸化物形燃料電池は、上記の平板型の固体酸化物形燃料電池素子とは異なり、複数のアノードと複数のカソードとが、固体電解質を介して交互に積層されて一体化されたチップ形状としていることを特徴としている。以下、この構成を積層型固体酸化物形燃料電池と呼ぶ。この構造をとることで、薄い単セル1枚から成る従来の平板型の固体酸化物形燃料電池に比べ、耐熱衝撃性に優れたチップ状素子が得られることになる。また、この積層型固体酸化物形燃料電池は電気回路的には複数の単セルが並列に接続したものであり、複数のアノードと複数のカソードとが、固体電解質を介して交互に積層されて一体化されているので、その積層数を増やすことにより、単位体積あたりの単セルの表面積を大きくすることが可能となる。
特許文献4に記載の積層型固体酸化物形燃料電池を用いて発電を行うには、積層型固体酸化物形燃料電池のアノード側の端子に燃料ガスを供給し、カソードの端子に空気を供給すればよい。さらに、直接火炎を用いて発電を行う場合には、アノード側の端子のみを火炎中に配置し、カソード側の端子を火炎の外に出せばよい。なお、片方の端子のみを火炎中に配置した場合においても、熱伝導により積層型固体酸化物形燃料電池全体が加熱されるため、発電に必要な温度は十分に得ることが出来る。
特許文献4に記載の積層型固体酸化物形燃料電池は、耐熱衝撃性に優れるため、直接火炎を用いた場合においても、平板型の固体酸化物形燃料電池に比べ割れが生じにくいという利点がある。また、積層型固体酸化物形燃料電池は、電極(アノードおよびカソード)を複数積層することにより、単位体積当たりの電極面積が大きく取れるため、チップ状素子が小さくても比較的大きな発電量が得られることが期待される。さらに、積層型固体酸化物形燃料電池は、このチップ状素子を複数個集積することで発電量を増やすことが可能となる。
特開2004−139936号公報 特開2007−26942号公報 特開2007−42354号公報 特開2011−34688号公報
固体酸化物形燃料電池は、直接火炎を使用して発電を行う際、燃料および空気の配管は不要であるが、リード線等の導電部材と固体酸化物形燃料電池との電気的な接続は必要である。その際、炎が高温であること、炎の部位によって還元性〜酸化性と大きく雰囲気が異なっていることが問題となる。しかし、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4のいずれにおいても、固体酸化物形燃料電池と電流を取り出すためのリード線等の導電部材との接続方法についての具体的な記載はなされていない。
特に、特許文献4に記載の積層型固体酸化物形燃料電池においては、アノード側の端子の全面が、火炎中に存在する必要があるため、リード線と積層型固体酸化物形燃料電池の接続は困難となることが予想される。
特許文献4に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線との接続方法を考える場合、ごく一般的には、アノード側とカソード側の両端からリード線を反対方向に引き出す構造、すなわちアキシャル(Axial)構造が考えられる。その際、リード線は、炎の外側(外炎)および中心付近(内炎)両方を通過することになるが、外炎は1000℃以上の高温であり、内炎は還元雰囲気であるためリード線を構成する金属は還元劣化しやすい。ゆえに火炎にあるリード線は断線の懸念が大きい。例えばφ0.1mmのリード線では比較的低温の拡散炎中であっても容易に断線を生じてしまう。特にリード線に力がかかる状態で加熱された場合は断線が生じやすい。
上記の問題に対する対策としては、太いリード線の使用が考えられるが、リード線が太いほどリード線を通じ積層型固体酸化物形燃料電池から熱が大きく奪われ、発電特性が低下するという問題があるため、むやみに太いリード線を使うことには問題がある。また、リード線の部材を多く使用することにより、コスト増につながるという問題も生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、炎を用いて発電するのに適した、積層型固体酸化物形燃料電池のリード線接続構造を提供するものである。
本発明は、一対のリード線を備えた積層型固体酸化物形燃料電池のリード線接続構造であって、前記積層型固体酸化物形燃料電池は、アノードとカソードを固体酸化物からなる電解質を介して交互に積層した直方体形状を成すチップ状素子であり、前記アノードは、前記チップ状素子の対向する一対の面の一方に露出し、前記カソードは、前記対向する一対の面の他方に露出しており、第1端子電極は、前記アノードに電気的に接続し、第2端子電極は、前記カソードに電気的に接続しており、前記対向する一対の面と異なる面の少なくとも1つには、表面電極が、前記第1端子電極に接続し、前記第2端子電極近傍まで形成され、前記表面電極の前記第2端子電極近傍において、第1リード線と接続し、前記第2端子電極は、第2リード線と接続することを特徴とする。このことにより、積層型固体酸化物形燃料電池において、火炎中の端部とは異なる反対側の端部近傍からからリード線を取り出す構造となるので、リード線を炎の高温および還元雰囲気から遠ざけることが可能となる。
リード線の接続部分の最高温度を1000℃以下に抑え、かつこの部分を炎の還元雰囲気からも遠ざけることで、リード線の断線を防ぎ、積層型固体酸化物形燃料電池モジュールの寿命を延ばすことが可能となる。
燃料電池の動作原理を示す概略図である。 燃料電池を火炎中で使用している様子を示す図である。 本発明の実施形態で用いた積層型固体酸化物形燃料電池の断面図である。 本発明の実施形態で用いた積層型固体酸化物形燃料電池の外観図である。 本発明の実施形態(実施形態1)に係る積層型固体酸化物形燃料電池の外観図である。 本発明に係る積層型固体酸化物形燃料電池の使用方法の説明図である。 本発明の別の実施形態(実施形態2)に係る積層型固体酸化物形燃料電池の外観図である。 本発明の別の実施形態(実施形態3)に係る積層型固体酸化物形燃料電池の外観図である。 本発明の別の実施形態(実施形態4)に係る積層型固体酸化物形燃料電池の外観図である。 本発明の別の実施形態(実施形態5)に係る積層型固体酸化物形燃料電池の外観図である。 従来技術を示す積層型固体酸化物形燃料電池の外観図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記の実施形態における構成要素は適宜組み合わせることが可能である。図面はあくまでも例示を目的としたものであって、必ずしも実寸法を示すものではない。図面をより明瞭にする目的またはある部分を目立たせる目的で、他の部分とは相対的に誇張された部分もある。また、実施形態と図面においてそれぞれ対応する部材には同一の符号を付してある。
図1は、燃料電池の動作原理を示す概略図である。図1を用いて、燃料電池FCの一般的な動作原理を説明する。本実施形態で対象とする燃料電池FCは固体酸化物形燃料電池である。燃料電池FCは、燃料ガスと空気等酸素含有ガス中の酸素を電気化学的に反応させ、燃料ガスのもつ化学的なエネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電装置である。例えば、燃料ガスとして水素Hを用いた場合には、カソードCaでは、空気中の酸素(O)が外部回路から電子eを受け取り、酸素イオンO2−となって、固体酸化物からなる電解質Eを伝ってアノードAnへ移動する。アノードAnでは、酸素イオンO2−と外部から供給された燃料ガス(水素H)とが反応して、2個の電子eを外部回路へ送り出す。この電子eは、負荷を通って反対側のカソードCaに流れる。そして水素Hは、酸素イオンO2−と結合し、水HOとなる。これを化学式で示せば、
カソード:(1/2)O+2e→O2−・・・・・(1)
アノード:O2−+H→HO+2e・・・・・(2)
全体:(1/2)O+H→HO・・・・・(3)
となる。電子eの流れる方向と反対方向に電流Iが流れる。となる。なお、固体酸化物形燃料電池では、H以外(例えば、CO)も燃料として使用できる。
図2は、燃料電池を火炎中で使用している様子を示す。ガスバーナー等の炎FLは単なる高熱の場ではなく、未燃焼の可燃性ガスが残存している場であるため、安定して供給される高温の燃料ガス源と考えることができる。チップ状の燃料電池1は、発電する際に燃料ガスおよび酸素が必要であるが、燃料ガスは炎FLの中にあり、その近傍には酸素を十分に含む新鮮な空気が存在している。このため、ガスバーナー等の炎を燃料ガス源として発電を行うことができる。この場合、図2に示すように、燃料電池1のアノードAnを炎FL内に配置し(特に、内炎部が好ましい)、カソードCaを炎FLの外部に配置する。このようにすることで燃料電池1のアノードAnは、炎FLから燃料ガスFの供給を受け、カソードCaは外部の空気から酸素の供給を受けて発電する。
燃料電池1から電力を十分に取り出すためには、発電に寄与する電極面積(以下、「電極有効面積」という)の増加および固体電解質の薄層化が必要である。本実施形態における燃料電池1は、電極(アノードAnおよびカソードCa)と固体電解質Eとを交互に積層して一体とした積層構造をとることにより、単位体積あたりの電極有効面積を増加させ、発電効率を向上させている。このように積層構造をとる積層型固体酸化物形燃料電池の詳細な構造について以下に述べる。
<積層型固体酸化物形燃料電池>
図3(a)は、本発明の実施形態に用いる積層型固体酸化物形燃料電池((以下、「積層型SOFC」という)の断面図である。図3(a)に示すように、積層型SOFC1は、複数のアノード2と、複数のカソード3と、各アノード2と各カソード3との間に配置される固体電解質4と、アノード2またはカソード3を介して隣接する固体電解質4同士の間に配置される仕切り部5aおよび仕切り部5cとからなり、一体に構成されて積層型SOFC1となる。積層型SOFC1は、各アノード2および各カソード3が固体電解質4を介して交互に対向して積層されている。各アノード2および各カソード3の一部は、両者が重ならない非重なり部6を有して配置されている。また、図3(b)に示すように、積層型SOFC1は、略直方体形状に形成されており、各アノード2は前記略直方体の対向する端面の一方に引き出するように形成されており、各カソード3は前記略直方体の対向する端面に他方(すなわち各アノード2の引き出されている端面と対向する端面)に引き出すように形成されている。さらに、積層型SOFC1は、複数のアノード2の引き出された各端部と共通に電気的に接続される第1端子電極11および複数のカソード3の引き出された各端部と共通に電気的に接続される第2端子電極12とを有する。以下、図3(b)に示すように、積層型SOFC1は、第1端子電極から第2端子電極までの端面方向の距離を長さL、積層方向の距離を厚みT、端面方向並びに積層方向と直行する方向の距離を幅Wとすることがある。
積層型SOFC1は、一つのアノード2と一つのカソード3と両者の間の固体電解質4との組み合わせ(以下、「発電単位」という)で電力を発生する。図3(a)に示すように、本実施形態に用いる積層型SOFC1においては、複数のアノード2と、複数のカソード3と、アノード2とカソード3との間に配置される固体電解質4とが一体に構成されて、アノード2およびカソード3が固体電解質4を介して交互に対向して積層されている。これにより複数の発電単位が積み重ねられた構造となる。なお、積層型SOFC1全体は、第1端子電極11で電気的に接続された複数のアノード2、および第2端子電極12で電気的に接続された複数のカソード3がそれぞれ並列に接続したものである。これにより、一対の端子電極、すなわち、第1端子電極11と第2端子電極12とによって、アノード2とカソード3が一体に構成された燃料電池とみなすことができる。また、複数の発電単位間それぞれには、いわゆるインターコネクタに相当するものは有していない。このため、積層型SOFC1は、一対の端子電極(アノードとカソード)が固体電解質上に形成されている一般的な燃料電池でいう単セル構造と見なすことができる。
積層型SOFC1を動作させるには、燃料ガスを複数のアノード2に、酸素を複数のカソード3にそれぞれ供給する供給系統が必要である。本実施形態の積層型SOFC1では、複数のアノード2が第1端子電極11に、複数のカソード3が第1端子電極11とは反対側に配置される第2端子電極12に接続されている。これによって、燃料ガスの供給系統と酸素の供給系統とを簡便に形成することができる。
<固体電解質>
本実施形態に用いる積層型SOFC1において、固体電解質4の材料は、Zr0.810.192−δに示すようなイットリアドープジルコニア(YSZ)を用いる。固体電解質4の材料としてはYSZ等の安定化ジルコニア系のほか、Ce0.85Sm0.152−δに示すようなサマリアドープセリア(SDC)等のセリア系、La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.23−δに示すようなLSGM等のペロブスカイト型酸化物系の材料を用いることができる。なお、固体電解質4の材料は、上述したものに限定されるものではなく、固体酸化物形燃料電池の固体電解質として適用可能な材料全般を使用できる。
<アノードおよびカソード>
本実施形態に用いる積層型SOFC1において、複数のアノード2および複数のカソード3の材料は、白金(Pt)で構成された多孔質材料を用いる。各アノード2は燃料ガスを、各カソード3は酸素をそれぞれの内部に行き渡らせる必要があるため、多孔質体や気体通路を持つ構造である必要がある。また、各アノード2および各カソード3を多孔質体とするために、アノード用およびカソード用ペーストは電子伝導性を示す材料のほかに空隙形成剤を含むと良い。空隙形成剤は、例えばアクリル系のポリマー等、焼成時に消失するものを用いることができる。このように、焼成時に消失する空隙形成剤を用いることにより、多孔質体のアノードやカソードを簡単に作製できる。尚、アノード2とカソード3とは異なる材料であってもよい。各アノード2は、Ptの他、高温還元雰囲気で電子伝導性を示す材料が使用できる。このようなアノード2の材料としては、ニッケル(Ni)、上述したYSZやSDC等の固体電解質とNiとのサーメット等がある。各カソード3は、Ptの他、高温酸化雰囲気で電子伝導性を示すものが使用できる。このようなカソード3の材料としては、例えば、CoFe、MnFe、NiFe、BSCF等がある。ここで、BSCFとは、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)の酸化物である。なお、アノード2およびカソード3の材料は、上述したものに限定されるものではなく、固体酸化物形燃料電池のアノードおよびカソードとして適用可能な材料全般を使用することができる。
<第1端子電極および第2端子電極>
本実施形態に用いる積層型SOFC1において、図3(a)に示すように、第1端子電極11は、複数のアノード2を電気的に接続しており、第2端子電極12は複数のカソード3を電気的に接続している。これにより複数のアノード2および複数のカソード3はそれぞれ並列に接続したものとみなすことができる。また、第1端子電極11および第2端子電極12は、Pt多孔質体で構成される。これは、第1端子電極11側から供給された燃料ガスを各アノード2の内部に、第2端子電極12側から供給された酸素を各カソード3の内部にそれぞれ行き渡らせるためである。また、第1端子電極11および第2端子電極12を多孔質体とするために、第1端子電極用および第2端子電極用ペーストは導電性粉末粒子のほかに空隙形成剤を含むと良い。空隙形成剤は、例えばアクリル系のポリマー等、焼成時に消失するものを用いることができる。このように、焼付け時に消失する空隙形成剤を用いることにより、多孔質体の第1端子電極11および第2端子電極12を簡単に作製できる。
第1端子電極11に用いることが出来る材料としては、アノード2に使用できる材料のほか、貴金属(例えば、Pt、Au、Ag)が好適である。また、第2端子電極12に用いることが出来る材料としては、カソード3に使用できる材料のほか、貴金属(例えば、Pt、Au、Ag)が好適である。
<仕切り部>
アノード2とカソード3との間で電流や気体(燃料ガスや酸素)の漏れが発生すると、積層型SOFC1の単位体積あたりの発電効率が低下する。これを防止するため、図3(a)に示すように、アノード2とカソード3との間にある固体電解質4および隣接する固体電解質4同士の間に配置される仕切り部5a、5cは、電流を絶縁し、ガスタイト(気体を透過させない構造)であることが好ましい。
固体電解質4と仕切り部5a、5cとを同じ材料とすると、積層型SOFC1の製造が容易になるという利点がある。また、固体電解質4と仕切り部5a、5cとは異なる材料で構成してもよい。より絶縁やガスタイトを確保しやすい材料を用いることで、電流やガス漏れによる積層型SOFC1の性能低下を効果的に抑制することも可能である。
仕切り部5a、5cに用いることができる材料としては、固体電解質4の材料以外では、例えば、ジルコニア(二酸化ジルコニウム、ZrO)、アルミナ(酸化アルミニウム、Al)、シリカ(二酸化ケイ素、SiO)、マグネシア(酸化マグネシウム、MgO)を用いることができる。特に、仕切り部5a、5cは、固体電解質4よりも電子伝導度が低い材料で構成することが発電効率を向上させる観点から好ましく、このような材料としては、ジルコニアが好ましい。
<各部材の大きさ>
固体電解質4の厚みは、できる限り薄い方が好ましく、1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜20μmとすることができる。また、アノード2の厚みおよびカソード3の厚みは、燃料ガスや酸素を通過させる必要があることから、あまり薄くすることができないため、10μm〜100μm程度とすることができる。さらに、仕切り部5a、5cは、アノード2の厚みおよびカソード3の厚みと同等になるようにすればよい。
積層型SOFC1において、一つの発電単位において電極有効面積は、非重なり部6を除くアノード2とカソード3とが重なり合う部分の面積である。積層型SOFC1は、この発電単位を複数積層した構造であり、モノリシックな構造となっている。このような構造によって、積層型SOFC1全体の電極有効面積を大きくすることができる。すなわち、積層型SOFC1は、同じ体積であれば、平板型や円筒型等のSOFCと比較して、高い電力密度を実現できる。
積層型SOFC1は、チップ状素子の形状として外形寸法を例えば長さLを4.5mm、幅Wを3.2mm、厚みTを1.0mmとすることが出来る。そして、チップ状素子の内部のアノード2およびカソード3の枚数をそれぞれ2枚とすることが出来る。この形状をとる場合、アノード2とカソード3の間の固体電解質4の枚数は3枚となるため、本実施形態における発電単位は3組とみなすことが出来る。例えば、直火の例としてライターの炎を用いて発電を行う場合、積層型SOFC1の長さLが4.5mmであれば、第1端子電極11が炎の中心近傍に配置し、第2端子電極12が炎の外側に露出するという形態をとることが可能であり、積層型SOFC1と火炎を用いた発電が可能であることが分かる。
<強度>
また、積層型SOFC1は、複数のアノード2と、複数のカソード3と、複数の固体電解質4との層が一体となってモノリシックな構造となり全体の強度を受け持つので、変形に対して強い構造となる。このため、固体電解質4を薄くしたとしても、複数のアノード2および複数のカソード3により、積層型SOFC1全体の強度を確保できる。このように、積層型SOFC1は、固体電解質4を薄くすることが可能であるため、より大きな電力を取り出しやすい構造であるといえる。
また、アノード2およびカソード3を多孔質体とした場合には、加熱時において、空隙が電子伝導性材料の熱膨張を吸収し、アノード2、または、カソード3と、固体電解質4との間に働く応力を緩和する。ゆえに、アノード2およびカソード3を多孔質体とした場合、アノード2と、カソード3と、固体電解質4とのそれぞれの材料の線膨張係数がある程度異なっていても、アノード2、カソード3、固体電解質4の割れ等を抑制できる。
さらに、積層型SOFC1は、アノード2と、カソード3と、固体電解質4とをそれぞれ複数層積層した構造なので、加熱時において、積層型SOFC1は、全体的には均一に熱膨張し、局所的に大きな変形が発生しにくくなる。このような構造によって、積層型SOFC1は、熱膨張を均一化できるので、全体の反りを抑制できる。これらの作用によって、積層型SOFC1は、耐熱衝撃性に優れる。このように、積層型SOFC1は、耐熱衝撃性に優れるため、急な温度上昇に曝すことが可能となり、迅速な起動が可能になるという利点が得られる。
<炎による発電>
積層型SOFC1は、発電する際に燃料ガスおよび酸素のほかに高温の場が必要であるが、火炎はそのすべてを兼ね備えているため、火炎を用いた発電が可能である。火炎を用いて発電を行う際には、積層型SOFC1が外部回路と接続されている必要があり、そのためには積層型SOFC1の端子電極とリード線が電気的に接続されている必要がある。アノード側の端子電極である第1端子電極11はその発電原理上、炎の内炎中に存在する必要がある。しかし、第1端子電極11に接続されるリード線が直接炎に晒されると、炎の内炎部は燃料ガスに由来する還元雰囲気であるためリード線を構成する金属は還元劣化しやすい。また、炎の外炎部は1000℃を超す高温であるため、リード線は断線の懸念が大きい。リード線の断線への対応策としては、太いリード線を使用する方法も考えられる。しかしながら、リード線が太いほどリード線を通じチップ状素子から熱が大きく奪われ、発電特性が低下するという問題がある。このため、むやみに太いリード線を使うことには問題がある。
以上のことから、上記リード線は、直接火炎に触れることなく、アノード側の端子電極である第1端子電極11と電気的に接続する必要がある。その手段としては、積層型SOFC1の第1端子電極11からカソード側の端子電極である第2端子電極12近傍まで、チップ状素子の表面上に導電ルートを形成し、炎の外にあるカソード近傍でリード線と導電ルートを接続するという構造が考えられる。
<実施形態1>
図4は、本発明による一実施形態(実施形態1)に係る積層型SOFCとリード線の接続形態の外観図である。アノード側の端子電極である第1端子電極11からカソード側の端子電極である第2端子電極12近傍まで伸びる表面電極13が積層型SOFC1のチップ状素子表面に形成されている。表面電極13は、カソード側の端子電極である第2端子電極12近傍でアノード側の第1リード線16と第1接続部14により接合される。カソード側の第2リード線17は、チップ状素子の表面電極13とは異なる面において、第2端子電極12と第2接続部15によって接合される。さらに、第1リード線16は、カソード側に伸張し引き出されている。これにより第1リード線16は、直接火炎に晒されることがなくなる。
表面電極13の形成方法について説明する。表面電極13は積層型SOFC1のチップ状素子表面に表面電極用ペーストを塗布して形成する。表面電極用ペーストは、導電性粉末粒子に溶剤およびバインダーを添加して作製する導電性ペーストである。溶剤およびバインダーの含有量には制限はないが、例えば、溶剤の含有量は10質量%以上50質量%以下、バインダーの含有量は1質量%以上10質量%以下程度の範囲で設定することができる。表面電極用ペースト中には、必要に応じて分散剤、可塑剤等を10質量%以下の範囲で含有させてもよい。
表面電極用ペーストの作製に用いる導電性粉末粒子としては、第1端子電極11と同じ材料を用いることが出来る。その際、第1端子電極11と表面電極13は同時に形成してもよいし、第1端子電極11の焼成後に、表面電極13を形成しても良い。
また、導電性粉末粒子の材料としては、第1端子電極11とは異なる材料を用いることも出来る。この場合、第1端子電極11の焼成後に、表面電極13を形成することになる。また、上記第1端子電極11とは異なる材料の導電性粉末粒子としては、貴金属(例えば、Pt、Au、Ag)が好ましい。
表面電極用ペーストの作製には、上記のほか、40vol%以下のガラスやセラミックスを混合しても良い。これらは、炎の中央付近の還元雰囲気にも、炎の外側の酸化雰囲気にも強く、炎のどこにおいても安定に存在し得るので好適である。
表面電極用ペーストの作製に用いる溶剤としては、例えば、アセトン、トルエン、イソブチルアルコール、メチルエチルケトン、ターピネオール等の有機溶剤を用いることができる。また、バインダーとしては、例えば、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂等を用いることができる。表面電極用ペーストを第1端子電極11と接続するようにチップ状素子表面上にパターン形成し、焼結することで、表面電極13が完成する。
次いで、第1リード線16と表面電極13との接続方法、ならびに第2リード線17と第2端子電極12との接続方法について説明する。本実施形態において第1リード線16および第2リード線17は、耐熱性および耐酸化性を有する導電性の高い金属線(例えば、Pt、Au、Ag)が用いられる。また、導電性は前述の金属に比べ劣るが、耐熱合金(インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)、ステライト(登録商標)等)も使用可能である。第1リード線16と表面電極13との接続方法、ならびに第2リード線17と第2端子電極12との接続方法としては、表面電極用ペーストに用いた導電性ペーストを用いて表面電極13上の第1リード線16の接続部分に第1接続部14を形成し、また第2端子電極12上の第2リード線17接続部分に第2接続部15を形成し、焼成してそれぞれを接合する方法がある。第1接続部14および第2接続部15と表面電極13とを同時焼成して接合させても良い。第1リード線16はカソード側に伸張させる。または、第1リード線16の途中を曲げることによりカソード側に伸張する形態でもかまわない。
図5は本発明の実施形態1に係る積層型SOFCの使用方法の説明図である。積層型SOFC1は発電時には第1端子電極11が炎の中央付近に挿入される必要があるが、本実施形態1においては、第1リード線16が表面電極13を介して接続されているので、直接炎に晒されることは無い。第1リード線16は炎の外にあるので、炎の中央付近の還元雰囲気にも、1000℃以上の高温にも晒されることがなくなり、第1リード線16の劣化は抑えられる。本実施形態1にある第1リード線16および第2リード線17のような接続構造をとった積層型SOFC1を、支持体(図示しない)に取り付けることで、炎を用いた発電に好適なモジュールを作製することが可能となる。
<実施形態2>
図6は本発明の別の実施形態(実施形態2)に係る積層型SOFCの外観図である。直方体形状をなす積層型SOFC1の6面のチップ状素子表面のうち、同一の表面において第1リード線16および第2リード17線が取り出されている。この実施形態2も第1リード線16がある場所は炎の外になるので、炎の中央付近の還元雰囲気にも、1000℃以上の高温にも晒されることもなく、第1リード線16の劣化は抑えられる。
<実施形態3>
図7は本発明のさらに別の実施形態(実施形態3)に係る積層型SOFCの外観図である。図7は、複数の積層型SOFC1を並列に接続する構成を示している。ここでは3つのチップ状素子を接続する例を示す。複数の積層型SOFC1において、実施形態1と同様に、それぞれのチップ状素子表面に表面電極13が各々形成されており、表面電極13それぞれが1本の第1リード線16とカソード側の端子電極である第2端子電極12近傍において各第1接続部14により接続されている。またそれぞれの第2端子電極12も同様に1本の第2リード線17と各第2接続部15により接続されている。それぞれの積層型SOFC1における第1リード線16と表面電極13との接続方法ならびに第2リード線17と第2端子電極12との接続方法は実施形態1と同様である。この実施形態3も第1リード線16がある場所は炎の外になるので、炎の中央付近の還元雰囲気にも、1000℃以上の高温にも晒されることはなく、第1リード線16の劣化は抑えられる。
<実施形態4>
図8は本発明のさらに別の実施形態(実施形態4)に係る積層型SOFCの外観図である。図8は、複数の積層型SOFC1を並列に接続する別の構成を示している。ここでは3つのチップ状素子を接続する例を示す。複数の積層型SOFC1において、第1端子電極11同士が第1端子電極間接続部18により接続され、また、第2端子12電極同士が第2端子電極間接続部19により接続される。さらに、図8において上側の積層型SOFC1の第1端子電極11からカソード側の端子電極である第2端子電極12近傍まで伸びる表面電極13が積層型SOFC1のチップ状素子表面に形成されている。実施形態1と同様に、表面電極13はカソード側の端子電極である第2端子電極12近傍で第1リード線16と第1接続部14により接続される。さらに、第2リード線17は図8において下側の積層型SOFC1の第2接続部15で第2端子電極12と接続される。この実施形態4も第1リード線16がある場所は炎の外になるので、炎の中央付近の還元雰囲気にも、1000℃以上の高温にも晒されることはなく、第1リード線16の劣化は抑えられる。
<実施形態5>
図9は本発明のさらに別の実施形態(実施形態5)に係る積層型SOFCの外観図である。図9は複数の積層型SOFC1を直列に接続する構成を示している。ここでは3つのチップ状素子を接続する例を示す。図9において下側(最外部)の第1の積層型SOFC1の第1端子電極11から図9において中間の第2の積層型SOFC1の第2端子電極12への導電ルートが端子電極間接続部20により形成され、さらに第2の積層型SOFC1の第1端子電極11から図8において上側(最外部)の第3の積層型SOFC1の第2端子電極12への導電ルートが端子電極間接続部20により形成される。さらに、最外部の第3の積層型SOFC1の第1端子電極からカソード側の端子電極である第2端子電極12近傍まで伸びる表面電極13が第3の積層型SOFC1のチップ状素子表面に形成されており、実施形態1と同様に、表面電極13はカソード近傍で第1リード線16と第1接続部14により接続される。さらに、第2リード線17は最外部の第1の積層型SOFC1の第2端子電極12と接続される。この実施形態5も第1リード線16がある場所は炎の外になるので、炎の中央付近の還元雰囲気にも、1000℃以上の高温にも晒されることはなく、第1リード線16の劣化は抑えられる。
<比較形態>
図10は、従来技術を示す比較形態の外観図である。アノード側の第1リード線16が第1端子電極11近傍から導電ルートとなる表面電極13を介さずに取り出される。これにより第1リード線16が直接的に炎に晒されるため、リード線は炎の中央付近の還元雰囲気にも、1000℃以上の高温に晒されることになり、極めて溶断しやすい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
<実施例1〜5(実施形態1)>
まず、積層型SOFC1を作製した。積層型SOFC1の固体電解質4の材料としてはZr0.810.192−δを、アノード2およびカソード3には多孔質Ptを選択した。固体電解質4を介してアノード2およびカソード3が対向するようにそれぞれ2枚積層し、アノード2とカソード3とが重なる電極有効面積は30mmとした。
固体電解質4の材料としてのZr0.810.192−δ粉末:51質量%と、バインダーとしてのブチラール:5質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):3質量%と、溶媒としてのアルコール:41質量%とをボールミルで混合・分散し、固体電解質用スラリーを得た。次いで、得られた固体電解質用スラリーを用いて、ドクターブレード法により、固体電解質グリーンシートを焼成後厚み20μmとなるよう作製した。
次いで、アノード2の材料、およびカソード3の材料としてのPt粉末:49質量%と、空隙形成剤としてのアクリルビーズ:8質量%と、バインダーとしてのブチラール:3質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):1質量%と、溶媒としてのアルコール:39質量%とを三本ロールで混合・分散して電極用多孔質Ptペーストを得た。得られた電極用多孔質Ptペーストを用いて、スクリーン印刷により固体電解質グリーンシート上に、焼成後の電極厚みが50μmとなるように電極パターンを形成した。仕切り部は上述した固体電解質用スラリーを用いて電極パターンと逆のパターンでスクリーン印刷を行い形成した。
次いで、アノードおよびカソード電極用多孔質Ptペーストが印刷されたグリーンシートを4枚交互に積層し、さらにその上下に電極用多孔質Ptペーストの印刷されていない固体電解質グリーンシートを積層した。その際、略直方体形状でチップ状素子となる積層型SOFC1の対向する一方の端面にアノードが露出するように、また、他方の端面にカソードが露出するようにグリーンシートを積層した。こうすることにより、2つのアノード、2つのカソードを有する積層型SOFC用のシート積層体を得た。なお、シート積層体の焼成後の厚みTが1.0mmになるよう、電極用多孔質Ptペーストの印刷されていない固体電解質グリーンシートの積層数を調整した。次いで、上記で作製したシート積層体を、焼成後に長さLが4.5mm、幅Wが3.2mmのサイズとなるように切り出し、部品単位グリーン積層体を得た。
得られた部品単位グリーン積層体を、600℃で脱バインダー処理し、次いで、焼成温度:1350℃、保持時間:2時間、焼成雰囲気:大気中の条件で焼成し、積層型SOFCの焼結体を得た。
上述した電極用多孔質Ptペーストを用いて、第1端子電極11および第2端子電極12を形成した。電極用多孔質Ptペーストを積層型SOFCの焼結体の対向する端面、すなわち、アノード2およびカソード3が露出する端面にそれぞれ塗布し、600℃で脱バインダー処理し、次いで、焼成温度:1350℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:大気中の条件で焼き付けし、積層型SOFC1が完成した。
次いで、表面電極用Agペーストを作製した。Ag粉末:53質量%と、バインダーとしてのブチラール:4質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):2質量%と、溶媒としてのアルコール:41質量%とを三本ロールで混合・分散して表面電極用Agペーストを得た。
次いで、表面電極13が積層型SOFC1のチップ状素子表面に第1端子電極11と接続するように表面電極用Agペーストを塗布して形成した。第1リード線16と第2リード線17が異なる面から取り出される実施形態1の構成となるように、各リード線を接続した。3種類のリード線(Pt線(φ0.1mm):実施例1および2、Pt線(φ0.2mm):実施例3および4、インコネル(登録商標)600線(φ0.1mm):実施例5)をそれぞれ積層型SOFC1に接続した。表面電極13と第1接続部14および第2接続部15は表面電極用Agペーストを用いて形成し、600℃で脱バインダー処理した後、焼成温度:850℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:大気中の条件で焼き付けることにより第1リード線16および第2リード線17を固定した。
<実施例6、7(実施形態2)>
第1リード線16と第2リード線17を同一面から取り出される実施形態2の構成となるようにリード線を接続した。使用した積層型SOFC1は実施例1〜5で使用したものと同じであるが、表面電極13には表面電極用Agペーストに換えて端子電極と同じ電極用多孔質Ptペーストを使用した。第1リード線16と第2リード線17はPt線(φ0.1mm)を使用した。実施例6では第1端子電極11および第2端子電極12の形成時と同時に電極用多孔質Ptペーストを塗布し、焼き付けして表面電極13を形成した。実施例7においては第1端子電極11および第2端子電極12の形成の後に、別途電極用多孔質Ptペーストを塗布し、焼き付けして表面電極13を形成した。いずれも、600℃で脱バインダー処理した後、焼成温度:1350℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:大気中の条件で焼き付けた。第1接続部14および第2接続部15は電極用Agペーストを用いて形成し、600℃で脱バインダー処理した後、焼成温度:850℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:大気中の条件で焼き付けることにより第1リード線16および第2リード線17を固定した。
<実施例8(実施形態3)>
3個の積層型SOFC1を用い、実施形態3の構成となるよう接続した。使用した積層型SOFC1は実施例1〜7で使用したものと形状は同じであるが、第1端子電極11として第1端子電極用多孔質Niペーストを使用した。第1リード線16と第2リード線17はPt線(φ0.2mm)を使用した。第2端子電極12は実施例1〜7と同様に電極用多孔質Ptペーストを用いた。表面電極13および第1接続部14および第2接続部15としては表面電極用Ptペーストを使用した。
積層型SOFCの焼結体を形成後、第2端子電極12を実施例1〜7と同様の手法で作製した。次いで、Ni粉末:49質量%と、空隙形成剤としてのアクリルビーズ:8質量%と、バインダーとしてのブチラール:3質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):1質量%と、溶媒としてのアルコール:39質量%とを三本ロールで混合・分散して第1端子電極用多孔質Niペーストを得、積層型SOFCの焼結体のアノード2の露出面に塗布した。次いで、600℃で脱バインダー処理し、焼成温度:1000℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:窒素−水素1%の条件で焼き付け、第1端子電極11を形成した。
Niは高温酸化雰囲気中では酸化しNiOとなってしまうため、酸化雰囲気となるカソード側近傍での使用は困難となる。したがって、表面電極13は貴金属であるPtを使用した表面電極用Ptペーストにて形成した。表面電極用Ptペーストは、Pt粉末:53質量%と、バインダーとしてのブチラール:4質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):2質量%と、溶媒としてのアルコール:41質量%とを三本ロールで混合・分散して得た。表面電極13と第1接続部14および第2接続部15は表面電極用Ptペーストを用いて形成し、600℃で脱バインダー処理した後、焼成温度:1350℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:窒素−水素1%の条件で焼付け、第1リード線16および第2リード線17を固定した。
<実施例9(実施形態4)>
3個の積層型SOFC1を用い、実施形態4の構成となるよう接続した。使用した積層型SOFC1は実施例8で使用したものと同じである。リード線はPt線(φ0.2mm)を使用した。表面電極13と第1接続部14および第2接続部15ならびに第1端子間接続部18および第2端子間接続部19には表面電極用Auペーストを用いた。
実施例8と同様の手法で、第1端子電極11および第2端子電極12までを作製したのち、表面電極13は貴金属であるAuを使用した表面電極用Auペーストにて形成した。表面電極用Auペーストは、Au粉末:53質量%と、バインダーとしてのブチラール:4質量%と、可塑剤としてのベンジルブチルフタレート(BBP):2質量%と、溶媒としてのアルコール:41質量%とを三本ロールで混合・分散して得た。表面電極用Auペーストを用いて積層型SOFC1の第1端子電極11同士、および第2端子電極12同士を接合し、第1端子間接続部18および第2端子間接続部19を形成した。次いで表面電極13と第1接続部14および第2接続部15を表面電極用Auペーストを用いて形成した。次いで、600℃で脱バインダー処理した後、焼成温度:900℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:窒素−水素1%の条件で焼付け、第1リード線16および第2リード線17を固定した。
<実施例10(実施形態5)>
3個の積層型SOFC1を用い、実施形態5の構成となるよう接続した。使用した積層型SOFC1は実施例8で使用したものと同じである。リード線はPt線(φ0.2mm)を使用した。表面電極13と第1接続部14および第2接続部15ならびに端子間接続部20には実施形態1で使用した表面電極用Agペーストを用いた。
実施例8と同様の手法で第1端子電極11および第2端子電極12までを作製したのち、端子間接続部20を、表面電極用Agペーストを用いて形成し、第1の積層型SOFC1の第1端子電極11と第2の積層型SOFC1の第2端子電極12とを、および第2の積層型SOFC1の第1端子電極11と第3の積層型SOFC1の第2端子電極12とを、それぞれ接合した。次いで、表面電極13と第1接続部14および第2接続部15を表面電極用Agペーストを用いて形成し、600℃で脱バインダー処理した後、焼成温度:850℃、保持時間:10分、焼成雰囲気:窒素−水素1%の条件で焼付け、第1リード線16および第2リード線17を固定した。
<比較例1〜5(比較形態)>
また、比較例として図10に示す比較形態の構成で接続する以外、すなわち表面電極13を形成していないこと以外は実施例1〜5(実施形態1)と同じ手法・材料で比較例1〜5を作製した。
(評価方法)
ライターとガスバーナー、二種類の炎に積層型SOFC1の第1端子電極11を晒したときのリード線断線までの時間を計測した。ライターの炎はブタンガス流量:10ml/minの拡散炎とし、ガスバーナーの炎はブタンガス流量:10ml/minと空気流量:90ml/minとの予混合炎とした。実施例1および実施例3と比較例1および比較例3においては、ライターの炎を使用した。また、その他の実施例および比較例においては、ガスバーナーの炎を使用した。各第1端子電極11を、炎の中央部分に配置し、第1リード線16および第2リード線17をテスターに接続して抵抗を測定することによって断線の有無を判断した。第1リード線16の劣化が進むにつれて抵抗が上昇し、断線し抵抗値が無限大とる時間を計測した。第1端子電極11を炎に晒すことによって、積層型SOFC1が破壊されることはいずれにおいても確認されなかった。第1端子電極11を炎に晒すことによって、チップ状素子が破壊されることは実施例および比較例のいずれにおいても確認されなかった。結果を表1に示す。
Figure 2013149348














上限を180分として実験を行ったが、実施例においてはいずれも第1リード線16および第2リード線17に断線は見られなかった。比較例においてはいずれも180分未満で第1リード線16および第2リード線17は断線した。
以上の結果から、リード線の接続構成において上記の各実施形態をとることにより、炎を用いて発電するのに適したリード線接続構造を得ることができ、リード線の断線が防止され、積層型固体酸化物形燃料電池をリード線接続するモジュールの寿命が著しく延びることが確認された。
以上のように、本発明に係る積層型固体酸化物形燃料電池のリード線接続構造は、炎を利用した発電に有効である。積層型固体酸化物形燃料電池またはこれらのモジュールを搭載した発電装置、さらにこの発電装置を搭載した赤外線ストーブ、小型給湯器、ビルトインコンロなどの火炎燃焼部を有するガス器具において、ガス器具に付随するファンやセンサ、電子表示機器など電子機器を電池レスで駆動させたいという要望なども実現出来る。
1 積層型SOFC(積層型固体酸化物形燃料電池)
2 アノード
3 カソード
4 固体電解質
5a、5c 仕切り部
6 非重なり部
11 第1端子電極
12 第2端子電極
13 表面電極
14 第1接続部
15 第2接続部
16 第1リード線
17 第2リード線
18 第1端子間接続部
19 第2端子間接続部
20 端子間接続部
FC 燃料電池
An アノード
Ca カソード
FL 炎

Claims (9)

  1. 一対のリード線を備えた積層型固体酸化物形燃料電池のリード線接続構造であって、
    前記積層型固体酸化物形燃料電池は、アノードとカソードを固体酸化物からなる電解質を介して交互に積層した直方体形状を成すチップ状素子であり、
    前記アノードは、前記チップ状素子の対向する一対の面の一方に露出し、前記カソードは、前記対向する一対の面の他方に露出しており、
    第1端子電極は、前記アノードに電気的に接続し、第2端子電極は、前記カソードに電気的に接続しており、
    前記対向する一対の面と異なる面の少なくとも1つには、表面電極が、前記第1端子電極に接続し、第2端子電極近傍まで形成され、
    前記表面電極は、前記第2端子電極近傍において、第1リード線と接続し、
    前記第2端子電極は、第2リード線と接続する
    ことを特徴とする積層型固体酸化物形燃料電池のリード線接続構造。
  2. 上記第2リード線が、上記第1リード線と異なる面で接続する
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線の接続構造。
  3. 上記第2リード線が、上記第1リード線と同一面で接続する
    ことを特徴とする請求項1に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線の接続構造。
  4. 上記第1端子電極、上記第2端子電極および上記表面電極はAg、Au、Ptから選ばれる少なくとも1種からなる
    ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線の接続構造。
  5. 上記第1端子電極と上記表面電極が同じ材料である
    ことを特徴とする請求項4に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線の接続構造。
  6. 上記第1端子電極と、上記表面電極が同時に形成される
    ことを特徴とする請求項5に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線の接続構造。
  7. 上記第1端子電極が、上記表面電極形成後に形成される
    ことを特徴とする請求項5に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線の接続構造。
  8. 上記第1端子電極と上記表面電極が異なる材料である
    ことを特徴とする請求項4に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線の接続構造。
  9. 上記第1端子電極が、上記表面電極形成後に形成される
    ことを特徴とする請求項8に記載の積層型固体酸化物形燃料電池とリード線の接続構造。
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