JP2013148439A - 電流センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】高い検出精度を確保しつつ、検出可能な電流の大きさの範囲を拡大する。
【解決手段】電流センサ1は、コア11と、コアに巻回された励磁検出コイル12に励磁信号を印加し、かつ励磁検出コイルを流れる検出信号に基づき導線61を流れる被検出電流を検出する励磁検出回路13と、コアに巻回されたオフセットコイル14にオフセット信号を印加するオフセット回路15とを有する。励磁信号は、コアを正側で飽和させる電流値と負側で飽和させる電流値との差よりも電流のピークツーピーク値が大きい交流信号であり、オフセット信号は被検出電流によりコアに与えられる直流磁界を打ち消す方向の磁界をコアに与える直流信号である。励磁信号およびオフセット信号の印加により、コアが正側で飽和した時点と引き続き負側で飽和した時点との時間差に基づき被検出電流を検出し、オフセット信号の電流値を変更することで被検出電流の検出可能範囲を切り換える。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検出物を流れる電流を検出する電流センサに関する。
電流センサは、磁界の強さおよび方向を検出することにより、被検出物を流れる被検出電流の大きさおよび向きを検出することができるセンサである。電流の検出方法には様々な方法が考えられ、これに応じ、様々なタイプの電流センサが存在する。中でも、軟磁性コアに巻回された励磁コイルに交流電流を流すことで周期的にコアを磁気飽和させ、被検出電流によって生じる磁界の影響を受けて変化するコアの磁気飽和の態様を検出することで被検出電流を検出するタイプの電流センサが、例えばフラックスゲートセンサ等として広く知られている。
このようなタイプの電流センサにおいて、いずれも励磁コイルに交流電流を流して周期的にコアを磁気飽和させる点は共通しているが、被検出電流によって生じる磁界の影響を受けて変化するコアの磁気飽和の態様を検出する方法については、いくつかの異なる方法がある。
例えば、下記の特許文献1には、電流センサを適用した漏電検出器が記載されている。この漏電検出器は、環状の磁性材料からなる磁気検知素子に1次励振巻線と2次検出巻線を巻回し、1次励振巻線に励磁信号を印加することにより磁気検知素子が充分に飽和されるように磁気検出素子を励磁し、2次検出巻線に生じる電圧に含まれる偶数次高調波の振幅の大きさに基づいて漏電電流の大きさを検出する。
また、下記の特許文献2には、電流センサを適用した電流検出装置が記載されている。この電流検出装置は、保持力が小さく磁気ヒステリシス曲線が角形を示す鉄心に交流励磁コイルと検出コイルを巻回し、磁気ヒステリシス曲線の飽和領域まで磁界の正負両方向に同一条件で交流励磁しておき、鉄心の近傍を通る導体を流れる被検出電流により生ずる磁界が加わることにより、鉄心の磁束が反転する位相を変化させ、その変化分から被検出電流の値を求める。
実開昭59−92532号公報 特開平5−10980号公報
ところで、コアの磁気特性は、コアの寸法誤差または周囲の温度等によってばらつく。上述した特許文献1に記載の漏電検出器において、コア(磁気検知素子)の磁気特性のばらつきによりコアが飽和する磁界の強さまたは飽和磁束密度がばらつくと、このばらつきのために、2次検出巻線から得られる偶数次高調波の振幅の大きさが変動し、この結果、漏電電流の検出精度が低下するという問題がある。
また、上述した特許文献2に記載の電流検出装置においては、コア(鉄心)の磁気特性のばらつきによりコアの磁束が反転する磁界の強さ(特許文献2の図2中のH、H)がばらつくと、このばらつきのために、コアの磁束が反転する位相の変化分(特許文献2の図4または図5中のt−t)が変動し、この結果、被検出電流値の検出精度が低下するという問題がある。
このように、特許文献1、2に記載のいずれの技術によっても、コアの磁気特性のばらつきに起因して被検出電流の検出結果が変動してしまい、被検出電流の検出精度を高めることが困難である。
これに対し、本出願の発明者が開発した新しい型の電流センサ(以下、これを「新型電流センサ」という。)は、コアの磁気特性のばらつきに起因する被検出電流の検出結果の変動を防止することができる。
すなわち、当該新型電流センサは、コアと、コアに巻回されたコイルと、各ピーク時における電流の大きさがコアを飽和する電流の大きさを超える三角波の励磁信号をコイルに印加する励磁手段と、コアが正側および負側のうちの一方の側で飽和した時点とこれに引き続いてコアが正側および負側のうちの他方の側で飽和した時点との時間差に基づいて被検出電流を検出する検出手段とを備えている。当該新型電流センサによれば、コアの磁気特性のばらつきによりコアが飽和する磁界の強さまたは飽和磁束密度がばらついても、このばらつきによって、コアが正側および負側のうちの一方の側で飽和した時点とこれに引き続いてコアが正側および負側のうちの他方の側で飽和した時点との時間差は変動しない。そして、この時間差に基づいて被検出電流を検出するので、コアの磁気特性のばらつきに起因する被検出電流の検出結果の変動を排除することができる。
ここで、当該新型電流センサの電流検出動作について図10を参照しながら簡単に説明する。すなわち、励磁手段により励磁信号をコイルに印加すると、コアに磁界M1が与えられる。励磁信号は三角波なので、磁界M1の大きさは三角波状に周期的に変化する。横軸に時間をとり縦軸に磁界の強さをとったグラフ上に磁界M1を描くと、図10中の実線に示すような三角波となる。励磁信号は、その各ピーク時における電流の大きさがコアを飽和する電流の大きさを超えるので、図10に示すように、磁界M1の大きさは、その各ピークHp、−Hp時においてコアを飽和する磁界の強さHs、−Hsを超える。すなわち、磁界M1の大きさが0からHpに向かって増加する過程においてHsを上回った時点taでコアが飽和する。続いて、磁界M1の大きさがさらに増加してHpに達し、その後減少に転ずる。そして、磁界M1の大きさが−Hpに向かって減少する途中でコアが非飽和状態になる。続いて、磁界M1の大きさが−HPに向かってさらに減少して−Hsを下回った時点tbでコアが再び飽和する。続いて、磁界M1の大きさがさらに減少してHpに達し、その後増加に転ずる。そして、磁界M1の大きさがHpに向かって増加する途中でコアが非飽和状態になる。磁界M1の大きさの変化は周期的なので、コアに与えられている磁界が磁界M1のみである限り、時点taと時点tbとの間が一定の時間となる。以下、この時間を「基準時間R」という。
被検出物(例えば環状のコアの内側を貫通するように設置された電線)に直流の被検出電流が流れると、この被検出電流の大きさおよび向きに応じた磁界M2がコアに与えられる。これにより、コアに与えられる磁界は磁界M1と磁界M2とを合わせたものになる。この結果、磁界M1を示す三角波は、図10中に破線で示すように上方または下方にシフトする。この三角波のシフトの量は被検出電流の大きさに対応し、三角波のシフト方向は被検出電流の向きに対応する。磁界M1を示す三角波が上方にシフトすると、時点taと時点tbとの間の時間が基準時間Rよりも長くなり、一方、磁界M1を示す三角波が下方にシフトすると、時点taと時点tbとの間の時間が基準時間Rよりも短くなる。したがって、時点taと時間tbの時間に基づいて、被検出電流の大きさと向きを認識することができる。
さて、当該新型電流センサの性能を向上させるに当たり、次のような問題がある。すなわち、当該新型電流センサにおける電流検出動作を実現するためには、磁界M1の大きさがピークHpとなったときにコアが飽和しており、かつ磁界M1の大きさがピーク−Hpとなったときにコアが飽和しているという状態が確保されていなければならず、すなわち、Hp>Hs、かつ−Hs>−Hpの条件を常に充たしていなければならない。被検出電流が正・負いずれか一方の方向に大幅に変化すると、磁界M1を示す三角波が上方または下方に大幅にシフトし、Hp>Hsまたは−Hs>−Hpの条件を充たさなくなる。したがって、当該新型電流センサによって検出可能な被検出電流の範囲は、被検出電流が変化してもHp>Hs、かつ−Hs>−Hpの条件の充足を維持し得る範囲に制限される。この結果、検出可能な被検出電流の範囲を拡大することが難しいという問題がある。
この点、励磁手段からコイルに印加する励磁信号の電流を大きくし、またはコイルの巻数を増やすことで磁界M1の振幅を大きくすることができ、これにより検出可能な被検出電流の範囲を拡大することができる。しかしながら、コイルの巻数を増やすと、コイルのインダクタンスが増加し、この結果、励磁信号の三角波の波形がなまってしまい、上述した時点ta、tbの検出精度が低下するおそれがある。また、励磁信号の波形がなまると、必要な検出精度を確保しつつ励磁信号の周波数を高めることが困難になり、検出の応答性を高めることが難しくなる。また、磁界M1の振幅を大きくすると、磁界M1に対応する電流が被検出物に流入する程度が大きくなってしまう。また、磁界M1の振幅を大きくすると、被検出電流の変化量に対する、時点ta−tb間の時間の変化量が相対的に小さくなるため、電流検出の分解能(精密度)を高めることが難しくなる。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みされたものであり、本発明の課題は、高い検出精度を確保しながら、検出可能な電流の大きさの範囲を拡大することができる電流センサを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の電流センサは、被検出物を流れる被検出電流を検出する電流センサであって、コアと、前記コアに巻回された第1のコイルと、前記コアを正側で飽和させる電流値と前記コアを負側で飽和させる電流値との差よりも電流のピークツーピーク値が大きい交流の励磁信号を前記第1のコイルに印加する励磁回路と、前記コアに巻回された第2のコイルと、直流のオフセット信号を前記第2のコイルに印加するオフセット回路と、前記励磁信号の印加により、または前記励磁信号および前記オフセット信号の印加により前記コアが正側および負側のうちの一方の側で飽和した時点とこれに引き続いて前記コアが正側および負側のうちの他方の側で飽和した時点との時間差に基づいて前記被検出電流を検出する検出回路とを備えていることを特徴とする。
本発明の第1の電流センサにおいて、励磁回路により励磁信号を第1のコイルに印加する。励磁信号は、コアを正側で飽和させる電流値とコアを負側で飽和させる電流値との差よりも電流のピークツーピーク値が大きい交流信号である。したがって、励磁信号を第1のコイルに印加したときに、被検出物に被検出電流が流れておらず、かつオフセット信号の電流値が0である場合には、励磁信号の正側のピーク値がコアを正側で飽和させる電流値よりも大きくなり、かつ励磁信号の負側のピーク値がコアを負側で飽和させる電流値よりも小さくなる(負方向において大きくなる)。これにより、励磁信号の振幅の変化に応じて変化する磁界がコアに与えられ、コアの正側での飽和と負側での飽和が励磁信号の周期に応じて生じる。このとき、コアが正側(または負側)で飽和した時点とこれに引き続いてコアが負側(または正側)で飽和した時点との時間差、すなわち、コアが飽和した時点とコアがその後いったん非飽和となり再び飽和した時点との時間差はある一定の値になる。
被検出物に被検出電流が流れると、被検出電流が流れたことによって生じる磁界がコアに与えられる。これにより、コアには、励磁信号による磁界と被検出電流による磁界とが与えられることとなる。これにより、コアが正側で飽和する時点と負側で飽和する時点がそれぞれ変化し、この結果、コアが正側(または負側)で飽和する時点とこれに引き続いてコアが負側(または正側)で飽和する時点との時間差が変化する。この時間差は被検出電流の向きおよび大きさに応じて定まる。したがって、この時間差に基づいて被検出電流の向きおよび大きさを検出することができる。
被検出物を一方向または他方向に流れる被検出電流が大幅に大きくなると、被検出電流によりコアに与えられる磁界が大幅に大きくなるため、オフセット信号の電流値が0である場合には、コアが正側および負側のいずれか一方で飽和しなくなるといった現象が起こり得る。このような現象が起こると、コアが正側(または負側)で飽和した時点とこれに引き続いてコアが負側(または正側)で飽和した時点との時間差を得ることができなくなる。
例えばこのような現象の起こることが予想される場合には、オフセット信号の電流値を0以外の所定の電流値に設定する。当該オフセット信号は第2のコイルに印加され、これにより、オフセット信号により生じた磁界がコアに与えられる。この結果、コアには、励磁信号による磁界と、被検出電流による磁界と、オフセット信号による磁界とが与えられることとなる。ここで、オフセット信号によりコアに与えられる磁界の方向が、被検出電流によりコアに与えられる磁界の方向と反対方向となるように、オフセット信号に設定する電流値を選択する。これにより、被検出電流によりコアに与えられている磁界からオフセット信号によりコアに与えられている磁界が差し引かれるため、被検出電流によりコアに与えられる磁界が小さくなる。この結果、コアが正側および負側のいずれか一方で飽和しなくなるといった現象が起こらなくなり、コアが正側(または負側)で飽和した時点とこれに引き続いてコアが負側(または正側)で飽和した時点との時間差を得ることが可能になる。
オフセット信号の電流値を0以外の所定の電流値に設定した場合には、上記時間差に基づいて被検出電流の向きおよび大きさを検出する際に、オフセット信号によるコアの磁界の変化分を考慮する。これにより、被検出物を流れる被検出電流が大幅に大きくなった場合でも、この被検出電流の向きおよび大きさを検出することができる。
このように、本発明の第1の電流センサによれば、被検出電流の大きさに応じてオフセット信号の電流値の選択・設定を適切に行うことにより、広範囲の被検出電流を検出することができる。したがって、検出可能な被検出電流の範囲を拡大するために励磁信号の振幅を大きくする必要がなく、励磁信号の電流を大きくする必要がなく、また、第1のコイルの巻数を増やす必要がない。第1のコイルの巻数の増加を抑えることができれば、第1のコイルのインダクタンスの増加をも抑えることができ、励磁信号の波形のなまりを少なくすることができる。波形のなまりが少ない励磁信号によれば、コアが飽和する各時点の検出精度を高めることができ、被検出電流の向きおよび大きさに応じた両時点間の時間差を高精度に検出することができ、被検出電流の検出精度を向上させることができる。また、第1のコイルのインダクタンスを低くすることができれば、励磁信号の周波数を上げても、波形のなまりが少ない励磁信号を実現することができるので、励磁信号の周波数を上げて被検出電流の検出精度をより向上させ、また、応答性を良くすることができる。また、励磁信号の印加によりコアに与えられる交流の磁界の振幅を抑えることができるので、励磁信号の印加に起因する交流電流の被検出物への流入を抑えることができる。
また、本発明の電流センサによる検出方法では、被検出物を流れる被検出電流の大きさが変化すると、コアが正側(または負側)で飽和する時点とこれに引き続いてコアが負側(または正側)で飽和する時点との時間差が変化し、被検出電流の変化量に対応して上記時間差の変化量が定まる。このため、仮に励磁信号の周波数を維持したまま、励磁信号によりコアに与える磁界の振幅を大きくすると、被検出電流の変化量に対する上記時間差の変化量が相対的に小さくなり、被検出電流の検出の分解能(精密度)が低くなる。この点、本発明の第1の電流センサによれば、励磁信号によりコアに与えられる磁界の振幅を小さい振幅に留めることができるので、被検出電流の変化量に対する上記時間差の変化量を相対的に大きくすることができ、被検出電流の検出の分解能(精密度)を向上させることができる。すなわち、本発明の第1の電流センサによれば、被検出電流の検出分解能の向上と検出可能な被検出電流の範囲の拡大とを同時に実現することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第2の電流センサは、上述した本発明の第1の電流センサにおいて、前記オフセット回路は前記オフセット信号を生成する定電流源を備えていることを特徴とする。
本発明の第2の電流センサによれば、理想的には無限大の内部インピーダンスを有する定電流源を備えることにより、オフセット回路の内部インピーダンスを理想的に無限大とすることができる。これにより、励磁信号を出力する励磁回路の消費電流を抑えることができる。また、励磁信号の影響によるオフセット信号の変動を抑えることができ、被検出電流の検出の高精度化を容易に図ることが可能になる。
すなわち、仮にオフセット回路の内部インピーダンスが低い場合には、励磁回路に接続された第1のコイルとオフセット回路に接続された第2のコイルとの間の磁気的な結合により、励磁回路側から見たときにオフセット回路が励磁回路の負荷となるため、励磁回路の消費電流が増加する。また、励磁信号の第1のコイルへの印加によって第2のコイルに生じる起電力により、励磁信号に応じた信号がオフセット回路に流れてしまい、このためにオフセット信号が変動してしまう。オフセット信号が励磁信号に応じて変動すると、コアが飽和する各時点も変動するため、被検出電流を精度良く検出することが困難になる。本発明の第2の電流センサによればこのような不都合を防止することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第3の電流センサは、上述した本発明の第1の電流センサにおいて、前記オフセット回路は演算増幅器を備え、前記演算増幅器の反転入力端子には入力電圧が印加され、前記演算増幅器の非反転入力端子はグランド側に接続され、前記演算増幅器の出力端子と前記反転入力端子との間を接続する経路の途中には前記第2のコイルが接続されていることを特徴とする。
本発明の第3の電流センサによれば、理想的に無限大の内部インピーダンスを有するオフセット回路を容易に形成することができる。これにより、励磁回路の消費電流を抑えることができると共に、被検出電流の検出の高精度化を容易に図ることができる。
上記課題を解決するために、本発明の第4の電流センサは、上述した本発明の第1ないし第3の電流センサにおいて、前記オフセット回路は、前記オフセット信号の電流値を一の電流値から他の電流値へ切り換える電流値切換回路を備えていることを特徴とする。
本発明の第4の電流センサによれば、オフセット信号の電流値を切り換えることにより、被検出電流の検出可能範囲を変えることができる。
上記課題を解決するために、本発明の第5の電流センサは、上述した本発明の第4の電流センサにおいて、前記電流値切換回路は、前記被検出電流の予め定められた複数の検出可能範囲にそれぞれ対応する複数の設定電流値の中から1つの設定電流値を選択し、当該選択した設定電流値を前記オフセット信号の電流値として設定することで前記被検出電流の検出可能範囲を切り換えることを特徴とする。
本発明の第5の電流センサによれば、オフセット電流の設定電流値を選択することにより、被検出電流の検出可能範囲を選択することができる。これにより、広範囲の被検出電流を検出することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第6の電流センサは、上述した本発明の第1ないし第5の電流センサにおいて、前記励磁信号は三角波または疑似三角波であることを特徴とする。
本発明の第6の電流センサによれば、被検出電流の検出精度を高めることができる。すなわち、励磁信号を三角波とすることにより、励磁信号の一方のピークから他方のピークにかけての電流の変化をリニアにすることができる。したがって、三角波の励磁信号を第1のコイルに印加により、一方のピークから他方のピークにかけてリニアに変化する磁界をコアに与えることができる。上述したように、本発明の電流センサによる検出方法では、被検出物を流れる被検出電流の大きさが変化すると、コアが正側(または負側)で飽和する時点とこれに引き続いてコアが負側(または正側)で飽和する時点との時間差が変化し、被検出電流の変化量に対応して上記時間差の変化量が定まる。励磁信号の印加によりコアに与える磁界を、一方のピークから他方のピークにかけてリニアに変化する磁界とすることにより、被検出電流の変化に対する上記時間差の変化がリニアになる。これにより、被検出電流に対応した上記時間差を容易にかつ高精度に検出することができ、したがって、被検出電流の検出精度を向上させることができる。また、励磁信号が疑似三角波である場合でも、被検出電流の検出精度を、励磁信号が三角波である場合における被検出電流の検出精度に近づけることができる。
上記課題を解決するために、本発明の第7の電流センサは、上述した本発明の第1ないし第6の電流センサにおいて、前記検出回路は、前記励磁信号の印加により、または前記励磁信号および前記オフセット信号の印加により前記第1のコイルに生じる誘導起電力を示す検出信号を出力する検出処理部と、前記検出信号のピーク、または前記検出信号においてそのピークから振幅の中間に向かって変化する間に前記検出信号の出力値の絶対値が所定の基準値に達する点を検出点とすると、前記検出信号において連続する2つの前記検出点間の時間差を示す出力信号を出力する出力処理部とを備えていることを特徴とする。
本発明の第7の電流センサによれば、出力処理部から出力される出力信号を用いることにより、被検出電流の向きおよび大きさを高精度に検出することができる。
本発明によれば、高い検出精度を確保しながら、検出可能な電流の大きさの範囲を拡大することができる。
本発明の実施形態による電流センサを示す回路図である。 本発明の実施形態による電流センサにおけるコアの磁気特性を示す特性線図である。 本発明の実施形態による電流センサの基本的な検出動作(被検出電流が流れておらず、オフセット信号の電流値が0である場合)を示すタイミングチャートである。 本発明の実施形態による電流センサの基本的な検出動作(被検出電流が流れており、オフセット信号の電流値が0である場合)を示すタイミングチャートである。 本発明の実施形態による電流センサにおいてコアの磁気特性のばらつきによる被検出電流の検出誤差を解消する仕組みを示す説明図である。 本発明の実施形態による電流センサのオフセット回路の具体例を示す回路図である。 本発明の実施形態による電流センサにおける被検出電流の検出可能範囲を示す説明図である。 本発明の実施形態による電流センサのオフセット回路の別の具体例を示す回路図である。 本発明の実施形態による電流センサのオフセット回路のさらに別の具体例を示す回路図である。 コアに与えられる磁界を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(電流センサの基本的な構成)
図1は本発明の実施形態による電流センサを示している。図1において、本発明の実施形態による電流センサ1は、例えば被検出物としての導線61を流れる被検出電流の大きさおよび向きを検出することができる。電流センサ1は、コア11と、コア11に巻回された励磁検出コイル12と、励磁検出コイル12に励磁信号を印加すると共に被検出電流を検出する励磁検出回路13と、コア11に巻回されたオフセットコイル14と、オフセットコイル14にオフセット信号を印加するオフセット回路15とを備えている。そして、励磁検出回路13は、励磁信号を生成する励磁部16と、励磁検出コイル12を流れる電流を検出信号として出力する検出処理部17と、検出処理部17から出力された検出信号に対して所定の信号処理を行い、被検出電流の大きさおよび向きを示す出力パルス信号を出力する出力処理部18とを備えている。
図2はコア11の磁気特性を示すB−H曲線を示している。図2に示すように、コア11の磁気特性はヒステリシスを有する。また、コア11において、磁界の強さが正方向において増加して一定値Ha1に達したときに磁束密度が飽和磁束密度Baとなり、コア11が図2中の点P1で飽和する。また、コア11が点P1で飽和した後、磁界の強さが正方向において減少し、0に達した後、負方向において増加した場合、この過程において、磁界の強さがHa2に達する点P2でコア11が非飽和となる。そして、コア11において、磁界の強さが一定値−Ha1に達したときに磁束密度が飽和磁束密度−Baとなり、コア11が点P3で飽和する。ここで、コア11がいったん点P2で非飽和となってから点P3で飽和するまでの間、磁界の強さと磁束密度との関係がほぼ線形であり、磁界の強さの変化に比例して磁束密度が変化する。それゆえ、図2中のB−H曲線において点P2から点P3までの間は実質的にみて傾きを有する直線である。一方、コア11が点P3で飽和した後、磁界の強さが負方向において減少し、0に達した後、正方向において増加した場合、この過程において、磁界の強さが−Ha2に達する点P4でコア11が非飽和となる。ここで、コア11がいったん点P4で非飽和となってから点P1で飽和するまでの間において、磁界の強さと磁束密度との関係がほぼ線形であり、それゆえ、図2中のB−H曲線において点P4から点P1までの間は実質的にみて傾きを有する直線である。
なお、磁界の強さが一定値に達したときに、磁束密度が正側(負側)の飽和磁束密度から負側(正側)の飽和磁束密度へ瞬時に変化する磁気特性を有するコアをコア11として利用することも可能である。しかしながら、図2に示すように、磁界の強さが一定の区間P2−P3(P4−P1)で変化する間において、磁束密度が正側(負側)の飽和磁束密度Ba(−Ba)から負側(正側)の飽和磁束密度−Ba(Ba)へ磁界の強さに比例して漸次変化する磁気特性を有するコアをコア11として利用することもできる。本実施形態では後者のコアをコア11として利用している。
コア11は、図2に示すような磁気特性を有する磁性材料、例えばアモルファス金属により形成されている。また、コア11は、図1に示すように、真円の円形であり環状であることが望ましいが、楕円形の環状、あるいは陸上競技が行われるトラックのように互いに平行な2本の直線とそれらをつなぐ2本の曲線とを有する形状でもよい。また、製造の容易性を考慮してコア11を四角形の環状とすることもできる。また、被検出電流が流れる導線61がコア11の中心を貫くように、コア11と導線61との位置関係が設定されている。
図1中の励磁検出回路13において、励磁部16は、励磁信号を生成する発振回路を備えている。励磁信号は、コア11を正側で飽和させる電流値とコア11を負側で飽和させる電流値との差よりも電流のピークツーピーク値(ピークピーク値)が大きい交流信号である。また、励磁信号は、三角波、疑似三角波、または正弦波等の信号を用いることができる。しかしながら、励磁信号は、正側(または負側)のピークとこれに引き続く負側(または正側)のピークとの間における電流の変化がリニア(1次変化)であることが望ましく、この点から、正弦波よりも疑似三角波が望ましく、疑似三角波よりも三角波が望ましい。本実施形態における励磁信号は三角波である。三角波の励磁信号を励磁検出コイル12に印加することにより、正側(または負側)のピークとこれに引き続く負側(または正側)のピークとの間における変化がリニアである磁界をコア11に与えることができる。後述するように、電流センサ1による検出方法では、被検出電流の大きさが変化すると、コア11が正側で飽和する時点とこれに引き続いてコア11が負側で飽和する時点との時間差が変化し、被検出電流の変化量に対応して上記時間差の変化量が定まる。励磁信号の印加によりコア11に与える磁界を、正側(または負側)のピークとこれに引き続く負側(または正側)のピークとの間における変化がリニアである磁界とすることにより、被検出電流の変化に対する上記時間差の変化がリニアになる。これにより、被検出電流に対応した上記時間差を容易にかつ高精度に検出することができ、したがって、被検出電流の検出精度を向上させることができる。
検出処理部17は、励磁信号の印加により励磁検出コイル12に生じる誘導起電力を示す信号を検出信号として出力する回路である。検出処理部17は、演算増幅器21を備え、演算増幅器21の反転入力端子には抵抗22を介して励磁部16が接続され、演算増幅器21の出力端子と反転入力端子との間を接続する帰還経路の途中には、コア11に巻回された励磁検出コイル12が接続されている。励磁部16において生成された励磁信号は演算増幅器21の反転入力端子に入力される。そして、演算増幅器21の出力端子から検出信号が出力される。検出処理部17は、抵抗22の抵抗値をR1とし、励磁検出コイル12のインピーダンスをZとすると、|Z/R1|の増幅率を有する反転増幅回路と同等の構成を有している。
出力処理部18は、検出信号において連続する2つの検出点間の時間差に対応するパルス幅を有する出力パルス信号を生成する回路である。検出点とは、検出処理部17から出力された検出信号において、検出信号の振幅の中間を0とした場合に、検出信号のピークから振幅の中間に向かって変化する間に当該検出信号の出力値の絶対値が所定の基準値に達する点である。検出信号において連続する2つの検出点間の時間差は、励磁信号の印加によってコア11が正側で飽和する時点とこれに引き続いてコア11が負側で飽和する時点との時間差に相当する。そして、この時間差は、導線61を流れる被検出電流の大きさおよび向きに応じて変化する。したがって、出力パルス信号のパルス幅またはパルスデューティ比は、導線61を流れる被検出電流の大きさおよび向きを示す。出力処理部18は、検出信号の振幅の中間よりも正側に位置する検出点を検出する比較回路25と、検出信号の振幅の中間よりも負側に位置する検出点を検出する比較回路26と、正側の検出点において立ち上がり、負側の検出点において立ち下がる出力パルス信号を生成するネガティブエッジトリガのフリップフロップ回路27とを備えている。検出処理部17から出力された検出信号は比較回路25、26にそれぞれ入力される。そして、フリップフロップ回路27から出力パルス信号が出力される。
オフセット回路15は、オフセットコイル14に印加するオフセット信号の電流値を切り換えることにより被検出電流の検出可能範囲を切り換える回路である。オフセット回路15については後述する。
(基本的な検出動作)
図3は、電流センサ1において、後述のオフセット信号の電流値が0であり、かつ導線61に被検出電流が流れていない場合のコア11の磁界の強さ、検出信号の電圧および出力パルス信号のレベルを示すタイミングチャートである。
図3において、励磁信号を励磁検出コイル12に印加すると、励磁信号により生じた磁界がコア11に与えられる。これにより、励磁信号に応じてコア11における磁界の強さが特性線S1のように変化する。このとき、コア11における磁界の強さは励磁信号の電流の大きさに比例する。励磁信号は三角波なので、コア11における磁界の強さも三角波を描くように変化し、それゆえ特性線S1は三角波となる。励磁信号は、コア11を正側で飽和させる電流値とコア11を負側で飽和させる電流値との差よりも電流のピークツーピーク値が大きい交流信号であるので、オフセット信号の電流値が0であり、かつ被検出電流が流れていない場合には、励磁信号において各ピーク時における電流の大きさがコア11を飽和する電流の大きさを超える。このため、励磁信号が印加されている間、コア11は次に述べるように飽和、非飽和を繰り返す。
すなわち、図3において、時点t0から時点t1に達する直前までの間、励磁信号の電流が正方向において増加すると、これに応じて磁界の強さが正方向において増加する。そして、時点t1において磁界の強さが一定値Ha1に達すると、コア11が飽和する。
続いて、時点t1から時点t2に達する直前までの間、励磁信号の電流が正方向においてさらに増加し、ピークに達した後、正方向において減少すると、これに対応し、磁界の強さが正方向において増加し、ピークHkに達した後、正方向において減少する。そして、時点t2において磁界の強さがHa2に達したとき、コア11が非飽和の状態となる。
続いて、時点t2から時点t3に達する直前までの間、励磁信号において電流が正方向においてさらに減少し、0に達した後、負方向において増加すると、これに対応し、磁界の強さも、正方向において減少し、0に達した後、負方向において増加する。そして、時点t3において磁界の強さが一定値−Ha1に達したとき、コア11が飽和する。
続いて、時点t3から時点t4に達する直前までの間、励磁信号において電流が負方向においてさらに増加し、ピークに達した後、負方向において減少すると、これに対応し、磁界の強さが負方向において増加し、ピーク−Hkに達した後、負方向において減少する。そして、時点t4において磁界の強さが−Ha2に達したとき、コア11が非飽和の状態となる。
続いて、時点t4から時点t5に達する直前までの間、励磁信号において電流が負方向においてさらに減少し、0に達した後、正方向において増加すると、磁界の強さもこれに対応し、負方向において減少し、0に達した後、正方向において増加する。続いて、時点t5から時点t9直前までの間およびそれ以降においても、時点t1から時点t5直前までの間と同様に、コア11の飽和、非飽和が繰り返される。
図3において、コア11における磁界の強さが特性線S1のように変化すると、これに応じて、励磁検出コイル12に流れる電流の大きさが変化し、この結果、検出信号S2の電圧が変化する。
すなわち、時点t0から時点t1に達する直前までの間、磁界の強さの増加に伴って検出信号S2の電圧が増加する。そして、時点t1においてコア11が飽和したとき、コア11の飽和により励磁検出コイル12に電流が流れなくなるので、検出信号S2の電圧は0となる。しかも、コア11は磁界の強さが一定値Ha1に達した時点で直ちに飽和するので、時点t1で磁界の強さが一定値Ha1に達すると、検出信号S2の電圧が直ちに0になる。この結果、時点t1における検出信号S2の波形は時間軸に対してほぼ垂直となる。
続いて、時点t1から時点t2に達する直前までの間は、コア11が飽和しているので、検出信号S2の電圧は0を維持する。続いて、時点t2から時点t3に達する直前までの間は、コア11が非飽和の状態であるので、磁界の強さが正方向において減少し、0に達した後、負方向において増加するのに伴って、検出信号S2の電圧は負方向に増加する。そして、時点t3においてコア11が飽和したとき、コア11の飽和により励磁検出コイル12に電流が流れなくなるので、検出信号S2の電圧が0になる。しかも、コア11は磁界の強さが一定値−Ha1に達した時点で直ちに飽和するので、時点t3で磁界の強さが一定値−Ha1に達すると、検出信号S2の電圧が直ちに0になる。この結果、時点t3における検出信号S2の波形は時間軸に対してほぼ垂直となる。
続いて、時点t3から時点t4に達する直前までの間は、コア11が飽和しているので、検出信号S2の電圧は0を維持する。続いて、時点t4から時点t5に達する直前までの間は、コア11が非飽和の状態であるので、磁界の強さが負方向において減少し、0に達した後、正方向において増加するのに伴って、検出信号S2の電圧は正方向に増加する。続いて、時点t5から時点t9直前までの間およびそれ以降においても、時点t1から時点t5直前までの間と同様に検出信号S2の電圧が変化する。
図3において、検出信号S2は出力処理部18に入力され、出力処理部18により、検出信号S2において連続する2つの検出点間の時間差に対応するパルス幅Wを有する出力パルス信号S3が生成される。
ここで、検出信号S2の振幅の中間(電圧0)よりも正側に位置するピークから振幅の中間に向かって変化する間に検出信号S2の電圧(出力値)が所定の基準値Vr1に達する点が正側の検出点Dpである。検出点Dpが位置する時点は、励磁信号の印加によってコア11が飽和した時点であり、例えば時点t1、t5である。また、検出信号S2の振幅の中間よりも負側に位置するピークから振幅の中間に向かって変化する間に検出信号S2の電圧が所定の基準値Vr2に達する点が正側の検出点Dnである。検出点Dnが位置する時点は、正側で飽和していたコア11がその後いったん非飽和となり引き続き負側で再び飽和した時点であり、例えば時点t3、t7である。なお、基準値Vr1と基準値Vr2は、検出信号S2の振幅の中間からそれぞれ正側と負側に同じ大きさ離れている。すなわち、本実施形態においては、検出信号S2の振幅の中間が電圧0なので、基準値Vr1の絶対値と基準値Vr2の絶対値とが等しくなる。
出力処理部18において、比較回路25は、検出信号S2の電圧が、検出信号S2の振幅の中間から振幅の正側のピークに向かって変化する間に、基準値Vr1に達した時点で立ち上がり、検出信号S2の電圧が、検出信号S2の振幅の正側のピークから振幅の中間に向かって変化する間に基準値Vr1に達した時点、すなわち検出点Dpに対応する時点で立ち下がるパルス信号を生成する。また、比較回路26は、検出信号S2の電圧が、検出信号S2の振幅の中間から振幅の負側のピークに向かって変化する間に基準値Vr2に達した時点で立ち上がり、検出信号S2の電圧が、検出信号S2の振幅の負側のピークから中間に向かって変化する間に基準値Vr2に達した時点、すなわち検出点Dnに対応する時点で立ち下がるパルス信号を生成する。そして、ネガティブエッジトリガのフリップフロップ回路27は、比較回路25により生成されたパルス信号の立ち下がりによりセットされ、比較回路26により生成されたパルス信号の立ち下がりによりリセットされる。この結果、フリップフロップ回路27は、検出点Dpでセットされ、検出点Dnでリセットされることとなり、それゆえ、フリップフロップ回路27からは、検出信号S2において連続する2つの検出点Dp、Dn間の時間差に対応するパルス幅Wを有する出力パルス信号S3が出力される。
図4は、電流センサ1において、オフセット信号の電流値が0であり、導線61に被検出電流が流れている場合のコア11の磁界の強さ、検出信号の電圧および出力パルス信号のレベルを示すタイミングチャートである。
図4において、励磁信号の印加によりコア11における磁界の強さが三角波を描くように変化している間に、導線61に被検出電流が流れると、被検出電流により生じた磁界(外部磁界)がコア11に与えられる。したがって、コア11には、励磁信号による磁界と被検出電流による磁界が与えられることとなる。この結果、コア11における磁界の強さを示す特性線S1が、導線61を流れる被検出電流の大きさおよび向きに応じて正方向(上方向)または負方向(下方向)にシフトする。
図4は、導線61に被検出電流が流れたことにより、コア11における磁界の強さを示す特性線S1が負方向にシフトした状態を示している。コア11における磁界の強さを示す特性線S1が負方向にシフトすると、コア11が飽和するタイミングが変化する。コア11が飽和するタイミングが変化すると、検出信号S2において、検出点Dpが位置する時点が例えば図3中の時点t1から図4中の時点t11に変化すると共に、検出点Dnが位置する時点が図3中の時点t3から図4中の時点t13に変化する。この結果、出力パルス信号S3のパルス幅Wが変化する。
出力パルス信号S3のパルス幅Wの変化量および変化の方向は、コア11における磁界の強さを示す特性線S1のシフト量およびシフト方向に対応し、特性線S1のシフト量およびシフト方向は、導線61に流れた被検出電流の大きさおよび向きに対応するので、出力パルス信号S3のパルス幅Wまたはパルスデューティ比から、導線61に流れた被検出電流の大きさおよび向きを認識することができる。
図5は、電流センサ1において、オフセット信号の電流値が0であり、導線61に被検出電流が流れていない状態で、コア11の磁気特性が変化した場合のコア11の磁界の強さ、および出力パルス信号のレベルを示すタイミングチャートである。図5中の上段の特性線S1は、励磁部16により三角波の励磁信号が印加されたコア11における磁界の強さを示し、図3中の上段に示すものと同じである。図5中の中段の出力パルス信号S3は、コア11が飽和する磁界の強さがHa1、−Ha1である場合に出力処理部18から出力される出力パルス信号であり、図3中の下段に示すものと同じである。図5中の下段の出力パルス信号S31は、コア11の磁気特性が変化し、コア11が飽和する磁界の強さがHb1、−Hb1となった場合に出力処理部16から出力される出力パルス信号である。
コア11の磁気特性は、コア11の寸法誤差や周囲の温度の変化等によってばらつく。例えば、コア11の周囲の温度の変化によって、図2中の二点鎖線で示すようにコア11の磁気特性が変化し、このため、コア11が飽和する磁界の強さがHa1、−Ha1からHb1、−Hb1にそれぞれずれたとする。コア11が飽和する磁界の強さがこのようにずれると、図5に示すように、三角波の励磁信号の励磁によってコア11が飽和する時点がずれる。例えば、正側でコア11が飽和する時点が時点t1から時点t21にずれ、負側でコアが飽和する時点が時点t3から時点t23にずれる。また、同様に、正側でコア11が飽和する時点が時点t5から時点t25にずれ、負側でコアが飽和する時点が時点t7から時点t27にずれる。
しかしながら、Ha1からHb1へのずれ量と−Ha1から−Hb1へのずれ量とが同等である場合には、励磁信号が三角波であるため、正側でコア11が飽和する時点のずれ方向およびずれ量と、負側でコア11が飽和する時点のずれ方向およびずれ量とは等しくなる。この結果、検出点Dpと検出点Dnとの間の時間差は、コア11の磁気特性に変化が生じていない場合と生じている場合とで変わらず、それゆえ、出力パルス信号S3(S31)におけるパルス幅Wは、コア11の磁気特性に変化が生じていない場合と生じている場合とで変わらない。すなわち、コア11の寸法誤差や周囲の温度の変化等によって、コア11の磁気特性が変化しても、励磁信号の印加によってコア11が正側で飽和した時点とこれに引き続いてコア11が負側で飽和した時点との時間差は変化しない。
したがって、コア11の磁気特性の変化によってコア11が飽和する磁界の強さが正側で正方向に増加し、かつ負側で負方向に同等量増加した場合でも、または、コア11の磁気特性の変化によってコア11が飽和する磁界の強さが正側で正方向に減少し、かつ負側で負方向に同等量減少した場合でも、導線61を流れる被検出電流の検出に誤差は生じない。すなわち、コア11の磁気特性がコア11の寸法誤差や周囲の温度の変化等によってばらついても、このコア11の磁気特性のばらつきは、導線61を流れる被検出電流の検出に影響しない。このように、本発明の実施形態による電流センサ1によれば、コア11の磁気特性のばらつきのために、被検出電流の検出精度が低下することを防止することができる。
(オフセット回路の構成、検出可能範囲の切換)
電流センサ1は、被検出電流の検出可能範囲を切り換える機能を備えている。例えば図4に示すように、励磁信号が印加され、オフセット信号の電流値が0である間に、導線61に被検出電流が流れると、励磁信号による磁界と被検出電流による磁界とがコア11に与えられ、コア11における磁界の強さを示す特性線S1が、導線61を流れる被検出電流の大きさおよび向きに応じて正方向または負方向にシフトする。電流センサ1は、上述したように、コア11が正側で飽和した時点とこれに引き続いてコア11が負側で飽和した時点との時間差に基づいて被検出電流を検出するため、被検出電流の検出を実現するためには、励磁信号が1周期進む間に、コア11において正側での飽和と負側での飽和が生じなければならない。このためには、コア11における磁界の強さが正側においてピークHkとなったときにコアが正側で飽和しており、かつコア11における磁界の強さが負側においてピーク−Hkとなったときにコアが負側で飽和しているという状態が確保されていなければならず、すなわち、特性線S1において、Hk>Ha1かつ−Hk>−Ha1の条件を常に充たしていなければならない。この結果、オフセット信号の電流値が0である限り、特性線S1がシフト可能な範囲は、Hk>Ha1かつ−Hk>−Ha1の条件を充たす範囲に制限され、そして、被検出電流の検出可能範囲が、この制限された特性線S1のシフト可能範囲に制限される。ところが、本発明の実施形態による電流センサ1は、オフセット回路15を備えており、オフセット回路15により、オフセット信号の電流値を0だけでなく、0以外の他の電流値に設定することで、被検出電流の検出可能範囲を切り換えることができる。
オフセット回路15は、所定の電流値の直流のオフセット信号を生成する定電流源である。具体的には、オフセット回路15は、図1に示すように、検出可能範囲設定部31および演算増幅器32を備え、検出可能範囲設定部31は抵抗33を介して演算増幅器32の反転入力端子に接続されている。また、演算増幅器32の非反転入力端子はグランド側に接続され、演算増幅器32の出力端子と反転入力端子との間を接続する帰還経路の途中にオフセットコイル14が接続されている。ここで、図6はオフセット回路15の内部構造をより具体的に示している。図6に示すように、オフセット回路15の検出可能範囲設定部31は、マイクロコンピュータ35およびDA(デジタル−アナログ)コンバータ36を備えている。
マイクロコンピュータ35は、予め定められた互いに異なる複数の被検出電流の検出可能範囲にそれぞれ対応する複数の指定信号(デジタル信号)を、外部からの入力に従って選択的に出力する機能を備えている。この機能は、所定のプログラムをマイクロコンピュータ35に読み込ませて実行することにより実現することができる。マイクロコンピュータ35から出力された指定信号はDAコンバータ36に入力される。当該指定信号がDAコンバータ36に入力されると、DAコンバータ36から出力される電圧が、当該指定信号に対応した直流の設定電圧になり、この設定電圧が抵抗33を介して演算増幅器32の反転入力端子に入力される。ここで、抵抗33の抵抗値をR2とし、設定電圧の値をVsとすると、演算増幅器32の帰還経路に流れる電流値は−Vs/R2となる。この電流値がオフセット信号の電流値(設定電流値)となる。
オフセット信号は直流であり、また、オフセット信号の電流値は、オフセット信号の向きが被検出電流の向きと逆となるように設定(選択)される。オフセット信号がオフセットコイル14に印加されると、オフセット信号により生じた磁界がコア11に与えられる。このとき、励磁信号が励磁検出コイル12に印加され、かつ導線61に被検出電流が流れている場合には、励磁信号による磁界と、オフセット信号による磁界と、被検出電流による磁界がコア11に与えられる。被検出電流とオフセット信号とはいずれも直流であり、互いに向きが逆であるため、被検出電流によりコア11に与えられる磁界と、オフセット信号によりコア11に与えられる磁界とは互いに逆向きとなる。この結果、コア11における磁界の直流成分の強さは、被検出電流による磁界の強さからオフセット信号による磁界の強さを差し引いた強さとなる。
このように、オフセット信号に設定する電流値により、コア11における磁界の直流成分の強さを変化させることができるので、例えば予想される被検出電流の範囲に応じてオフセット信号の電流の向きおよび大きさを適切に設定することにより、被検出電流の向きおよび大きさに応じた特性線S1のシフト範囲をHk>Ha1、かつ−Hk>−Ha1の条件を充たす範囲内に留めることができる。すなわち、オフセット信号の電流値を切り換えることで、被検出電流の検出可能範囲を切り換えることができる。
被検出電流の検出可能範囲、オフセット信号に設定すべき電流値等は、コア11の磁気特性、励磁検出コイル12の巻数、励磁信号の電流値、オフセットコイル14の巻数等を考慮して定めることができる。
図7は、電流センサ1において予め定められた被検出電流の複数の検出可能範囲等の一例を示している。図7に示す例では、以下に示す如く、被検出電流の11通りの検出可能範囲(No.1〜No.11)が定められている。
No.1: −2.75A〜−2.25A
No.2: −2.25A〜−1.75A
No.3: −1.75A〜−1.25A
No.4: −1.25A〜−0.75A
No.5: −0.75A〜−0.25A
No.6: −0.25A〜0.25A
No.7: 0.25A〜0.75A
No.8: 0.75A〜1.25A
No.9: 1.25A〜1.75A
No.10: 1.75A〜2.25A
No.11: 2.25A〜2.75A
各検出可能範囲の上限と下限との差は0.5Aであり、それぞれの検出可能範囲は連続する。検出可能範囲を切り換えることによりトータルで−2.75Aから2.75Aまでの被検出電流を検出することができる。また、図7中の特性線S41は、各検出可能範囲における被検出電流と出力パルス信号のパルスデューティ比との関係を示している。ここでは、パルスデューティ比が20%から80%までの範囲を被検出電流の検出に使用することを想定している。
また、被検出電流の各検出可能範囲の中間の電流値の被検出電流が導線61に流れたことによりコア11に与えられる磁界の強さをSnとすると、オフセット信号の印加によりコア11に与える磁界が−Snとなるように、各検出可能範囲に対応するオフセット信号の電流値を定める。例えば、No.1の検出可能範囲の中間の電流値(−2.50A)の被検出電流が導線61に流れたことによりコア11に与えられる磁界の強さをS1とすると、No.1の検出可能範囲が選択されたときには、図7に示すように、オフセット信号の印加によりコア11に与える磁界が−S1となる電流値I1がオフセット信号の電流値として設定されるようにする。また、No.2の検出可能範囲の中間の電流値(−2.00A)の被検出電流が導線61に流れたことによりコア11に与えられる磁界の強さをS2とすると、No.2の検出可能範囲が選択されたときには、オフセット信号の印加によりコア11に与える磁界が−S2となる電流値I2がオフセット信号の電流値として設定されるようにする。同様に、No.3〜No.5の検出可能範囲が選択されたときには、電流値I3〜I5がオフセット信号の電流値としてそれぞれ設定されるようにする。また、No.6の検出可能範囲が選択されたときには、電流値I6がオフセット信号の電流値としてそれぞれ設定されるようにする。No.6の検出可能範囲の中間の電流値は0Aであるので電流値I6は0Aである。また、No.7〜11の検出可能範囲が選択されたときには、電流値I7〜I11がオフセット信号の電流値としてそれぞれ設定されるようにする。
例えば、導線61を流れる被検出電流が−2.75A〜−2.25Aの範囲内であることが予想される場合には、No.1の検出可能範囲に対応する指定信号を出力すべき旨の指令をマイクロコンピュータ35に入力する。これに応じ、マイクロコンピュータ35は、No.1の検出可能範囲に対応する指定信号をDAコンバータ36に出力し、DAコンバータ36は当該指定信号に対応した設定電圧を演算増幅器32に出力する。この結果、オフセット信号の電流値が電流値I1に設定され、このオフセット信号がオフセットコイル14に印加されることにより、−S1の磁界がコア11に与えられる。この結果、電流センサ1にNo.1の検出可能範囲が設定され、被検出電流が−2.75A〜−2.25Aの範囲内で変化する限り、被検出電流の向きおよび大きさを検出することが可能になる。
また、導線61を流れる被検出電流が−2.25A〜−1.75Aの範囲内であることが予想される場合には、No.2の検出可能範囲に対応する指定信号を出力すべき旨の指令をマイクロコンピュータ35に入力する。これに応じ、マイクロコンピュータ35は、No.2の検出可能範囲に対応する指定信号をDAコンバータ36に出力し、DAコンバータ36は当該指定信号に対応した設定電圧を演算増幅器32に出力する。この結果、オフセット信号の電流値が電流値I2に設定され、このオフセット信号がオフセットコイル14に印加されることにより、−S2の磁界がコア11に与えられる。この結果、電流センサ1にNo.2の検出可能範囲が設定され、被検出電流が−2.25A〜−1.75Aの範囲内で変化する限り、被検出電流の向きおよび大きさを検出することが可能になる。
また、導線61を流れる被検出電流が−0.25A〜0.25Aの範囲内であることが予想される場合には、No.6の検出可能範囲に対応する指定信号を出力すべき旨の指令をマイクロコンピュータ35に入力する。これに応じ、マイクロコンピュータ35は、No.6の検出可能範囲に対応する指定信号をDAコンバータ36に出力し、DAコンバータ36は当該指定信号に対応した設定電圧(0V)を演算増幅器32に出力する。この結果、オフセット信号の電流値が電流値I6(0A)に設定される。この場合、オフセット信号の印加による磁界はコア11に与えられない。これにより、電流センサ1にNo.6の検出可能範囲が設定され、被検出電流が−0.25A〜0.25Aの範囲内で変化する限り、被検出電流の向きおよび大きさを検出することが可能にある。
同様に、導線61を流れる被検出電流が−1.75A〜−1.25A、−1.25A〜−0.75A、−0.75A〜−0.25A、0.25A〜0.75A、0.75A〜1.25A、1.25A〜1.75A、1.75A〜2.25Aまたは2.25A〜2.75Aの範囲内であることが予想される場合にも、同様に、オフセット信号の電流値がI3、I4、I5、I7、I8、I9、I10またはI11に設定され、これにより電流センサ1にNo.3、No.4、No.5、No.7、No.8、No.9、No.10またはNo.11の検出可能範囲が設定され、被検出電流がその設定された検出可能範囲内で変化する限り、被検出電流の向きおよび大きさを検出することが可能になる。
以上説明した通り、本発明の実施形態による電流センサ1によれば、全体的見て、検出可能な被検出電流の範囲を拡大することができる。また、検出可能な被検出電流の範囲の拡大を、オフセット信号の電流値を変更して被検出電流の検出可能範囲を切り換えることにより実現している。これにより、励磁信号の振幅を大きくすることなく、励磁信号の消費電流を増すことなく、励磁検出コイル12の巻数を増やすことなく、検出可能な被検出電流の範囲を拡大することができる。
また、励磁検出コイル12の巻数が増加しないので、励磁検出コイル12のインダクタンスの増加を防止することができ、励磁信号のなまりを少なくすることができる。これにより、検出点Dp、Dn(図3参照)の検出精度を維持しつつ励磁信号の周波数を高めることができ、被電流検出の精度および応答性を向上させることができる。
また、励磁信号の振幅を大きくしないので、励磁信号の印加によりコア11に与えられる交流磁界の振幅を抑えることができ、この交流磁界に起因する交流電流の被検出物への流入を抑えることができる。
また、電流センサ1によれば、オフセット信号の電流値を変更することによって被検出電流の検出可能範囲を切り換える構成としたので、被検出電流の検出の分解能(精密度)を高めることができる。すなわち、励磁信号の消費電流または励磁検出コイル12の巻数を増加させて励磁信号によりコア11に与えられる交流磁界の振幅を大きくすると、オフセット信号を印加しなくても、被検出電流の検出可能範囲をある程度大きくすることができる。しかしながら、この場合、励磁信号の周波数を低くしない限り、励磁信号の印加によってコア11が正側で飽和した時点とこれに引き続いてコア11が負側で飽和した時点との時間差の変化量と被検出電流の変化量との比が小さくなる。当該時間差の変化量と被検出電流の変化量との比が小さいと、被検出電流が変化しても、出力パルス信号のパルス幅が小幅にしか変化しないことになるので、出力パルス信号のパルス幅(パルスデューティ比)に基づいて被検出電流の大きさを精密に検出することが困難になる。
また、電流センサ1によれば、オフセット回路15を定電流源としたことにより、オフセット回路15の内部インピーダンスを理想上無限大(実際上略無限大)にすることができる。これにより、励磁信号がオフセット回路15に流入するのを抑制することができ、励磁信号の影響によるオフセット信号の変動を抑えることができると共に、励磁信号の消費電流の増加を抑えることができる。
なお、上記実施形態では、図6に示すオフセット回路15のように、演算増幅器32の反転入力端子に入力する電圧を可変することによりオフセット信号の電流値を変更する回路を採用した。しかしながら、本発明はこれに限らない。オフセット回路として、演算増幅器32の反転入力端子に接続する抵抗の抵抗値を可変にすることによりオフセット信号の電流値を変更する回路を採用することもできる。例えば、オフセット回路15に代え、図8に示すオフセット回路41を採用してもよい。図8において、オフセット回路41は、演算増幅器32の反転入力端子にラダー抵抗を接続することにより構成されている。すなわち、オフセット回路41は、一定の電圧を出力する複数の出力ポートP0〜Pnを有するマイクロコンピュータ42を備え、出力ポートP0〜Pnと演算増幅器32の反転入力端子との間にラダー抵抗の回路43が形成されている。マイクロコンピュータ42によりそれぞれの出力ポートP0〜Pnにおける電圧出力のON、OFFを設定・変更することにより、オフセット信号の電流値を切り換えることができる。
また、オフセット回路15に代え、図9に示すオフセット回路51を採用することもできる。すなわち、図9において、オフセット回路51は、スイッチ55および1対の定電流ダイオード56が設けられた複数の経路と、スイッチ55のみが設けられた1つの経路とからなる1対の回路52、53をオフセットコイル14の端部にそれぞれ接続する構成である。各スイッチ55のON、OFFを切り換えることにより、オフセット信号の電流値を切り換えることができる。
また、上記実施形態では、図7に示すように、被検出電流の11通りの検出可能範囲を定める場合を例にあげたが、被検出電流の検出可能範囲の定め方はこれに限定されない。検出可能範囲の個数は2つ以上10個以下でもよいし、12個以上でもよい。また、個々の検出可能範囲の上限と下限との差は0.5Aに限らず、他の値に定めてもよい。また、例えば被検出電流の変動範囲の中間点が0Aから離れており、かつ被検出電流の変動範囲が小さい場合には、当該被検出電流の検出のみが可能となるように被検出電流の検出可能範囲を1つに設定してもよい。この場合には、当該被検出電流の検出を適切に行うことができるように、1つの一定の電流値を、オフセット信号の電流値として定めるようにオフセット回路を設計する。
また、上記実施形態において図1に示す出力処理部18は、コア11が正側および負側のうちの一方の側で飽和した時点とこれに引き続いてコア11が正側および負側のうちの他方の側で飽和した時点との時間差を検出するのに適した出力パルス信号を生成する回路であるが、上記時間差の検出を実現するための手段は出力処理部18に限らない。例えば、比較回路25、26から出力されたパルス信号をマイクロコンピュータに入力し、マイクロコンピュータにより、上記時間差を検出してもよい。また、検出処理部17から出力された検出信号を、AD(アナログ−デジタル)コンバータによりデジタル信号に変換した後、デジタル信号処理ユニットにおいて、当該デジタル信号を用いて上記時間差を算出する構成としてもよい。この場合、例えばデジタル信号処理ユニットは、デジタル化された検出信号の波形におけるエッジ判定を行う飽和エッジ判定回路と、飽和エッジ判定回路によるエッジ判定の結果に基づいて検出信号に対応するデジタル信号におけるデューティ比を算出するデューティ算出回路とを設ける構成とする。
また、上述した実施形態では、導線61を流れる被検出電流を検出する電流センサ1を例にあげたが、本発明はこれに限らない。本発明の電流センサは、その構造上、電流の検出だけでなく、磁界の検出にも広く適用することができる。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電流センサもまた本発明の技術思想に含まれる。
1 電流センサ
11 コア
12 励磁検出コイル(第1のコイル)
13 励磁検出回路(励磁回路、検出回路)
14 オフセットコイル(第2のコイル)
15、41、51 オフセット回路
16 励磁部
17 検出処理部
18 出力処理部
31 検出可能範囲設定部(電流値切換回路)
32 演算増幅器
33 抵抗
35 マイクロコンピュータ
36 DAコンバータ
61 導線(被検出物)

Claims (7)

  1. 被検出物を流れる被検出電流を検出する電流センサであって、
    コアと、
    前記コアに巻回された第1のコイルと、
    前記コアを正側で飽和させる電流値と前記コアを負側で飽和させる電流値との差よりも電流のピークツーピーク値が大きい交流の励磁信号を前記第1のコイルに印加する励磁回路と、
    前記コアに巻回された第2のコイルと、
    直流のオフセット信号を前記第2のコイルに印加するオフセット回路と、
    前記励磁信号の印加により、または前記励磁信号および前記オフセット信号の印加により前記コアが正側および負側のうちの一方の側で飽和した時点とこれに引き続いて前記コアが正側および負側のうちの他方の側で飽和した時点との時間差に基づいて前記被検出電流を検出する検出回路とを備えていることを特徴とする電流センサ。
  2. 前記オフセット回路は前記オフセット信号を生成する定電流源を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  3. 前記オフセット回路は演算増幅器を備え、前記演算増幅器の反転入力端子には入力電圧が印加され、前記演算増幅器の非反転入力端子はグランド側に接続され、前記演算増幅器の出力端子と前記反転入力端子との間を接続する経路の途中には前記第2のコイルが接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
  4. 前記オフセット回路は、前記オフセット信号の電流値を一の電流値から他の電流値へ切り換える電流値切換回路を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電流センサ。
  5. 前記電流値切換回路は、前記被検出電流の予め定められた複数の検出可能範囲にそれぞれ対応する複数の設定電流値の中から1つの設定電流値を選択し、当該選択した設定電流値を前記オフセット信号の電流値として設定することで前記被検出電流の検出可能範囲を切り換えることを特徴とする請求項4に記載の電流センサ。
  6. 前記励磁信号は三角波または疑似三角波であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電流センサ。
  7. 前記検出回路は、
    前記励磁信号の印加により、または前記励磁信号および前記オフセット信号の印加により前記第1のコイルに生じる誘導起電力を示す検出信号を出力する検出処理部と、
    前記検出信号のピーク、または前記検出信号においてそのピークから振幅の中間に向かって変化する間に前記検出信号の出力値の絶対値が所定の基準値に達する点を検出点とすると、前記検出信号において連続する2つの前記検出点間の時間差を示す出力信号を出力する出力処理部とを備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電流センサ。
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