JP2013147961A - エンジン制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スタータ駆動回路の故障を検出し、故障に応じた適切な処置を施すこと。
【解決手段】エンジンのスタータ機構に備わるプランジャおよびモータの一方を、リレー間スイッチを用いて所定の遅延時間をおいて他方に後行させて駆動させるエンジン制御装置にて、異常判定部が、エンジンの始動時に、リレー間スイッチが実際に遅延した時間に基づき、かかるリレー間スイッチが異常であるか否かを判定するようにエンジン制御装置を構成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジン制御装置に関する。
従来、所定の停止条件が成立した場合にエンジンを自動的に停止させ、所定の再始動条件が成立した場合に自動的に再始動させる、いわゆるアイドリングストップ制御を行うエンジン制御装置が知られている。
かかるエンジン制御装置は、たとえば、赤信号などによって自動車が一時的に停車している間のみエンジンを停止状態とすることで、燃料のロスや排気ガスの排出などを抑える働きをする。
また、かかるエンジン制御装置は、たとえば、ドライバによる発進操作を検知することによって自動的にエンジンを再始動する。このとき、エンジンの再始動ができなければ渋滞などを誘発するおそれがある。
このため、エンジン制御装置では、エンジンの自動停止前に、スタータモータを回転させないようにスタータ制御回路の各部の通電チェックを行うことで、故障検出を行い、スタータ制御回路等の故障によってエンジンの自動始動ができないような場合には、エンジンの自動停止を行わないようにしている。
また、特許文献1には、スタータの耐久性や静粛性を向上させることを目的として、プランジャを駆動させるプランジャ用リレーと、スタータモータ(以下、「モータ」と記載する)を駆動させるモータ用リレーとを所定の時間差をつけて駆動する手法が開示されている。
なお、プランジャは、エンジンのスタータ機構(始動機構)に含まれ、モータのピニオンギアをクランクシャフトのリングギアへ噛合させる構成部品である。したがって、特許文献1の技術によれば、かかるピニオンギアとリングギアとを確実に噛み合わせたうえでモータを駆動するので、ギアの噛み合わせ時の異音の発生やギアの磨耗を抑えることができる。
なお、前述の時間差は、プランジャ用リレーおよびモータ用リレーの間に配置されるリレー間スイッチを、所定の遅延時間をおいて導通させる(すなわち、オンにする)ことによって設けられる。以下では、かかるリレー間スイッチを含むスタータ駆動のための回路を「スタータ駆動回路」と記載する。
特開2010−90874号公報
しかしながら、前述のリレー間スイッチは、モータを回転させない状態での通電チェックができないため、故障検出をしていなかった。このため、かかるリレー間スイッチがオン故障した場合には、遅延時間をおくことなくプランジャとモータとが同時に駆動してしまい、リングギアへピニオンギアを回転させながら噛み合わせてしまう構成となっていた。
なお、かかるギアを回転させながらの噛み合わせは、短期的にみればエンジンを始動させることはできるものの、長期的にみればギアの摩耗または欠損を招くため、スタータ機構を、エンジンを始動することができないという深刻な故障に陥らせかねない。
これらのことから、スタータ駆動回路の故障を検出し、故障に応じた適切な処置を施すことができるエンジン制御装置をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、スタータ駆動回路の故障を検出し、故障に応じた適切な処置を施すことができるエンジン制御装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、エンジンの始動を行うための第1の負荷と第2の負荷とを、別々に駆動制御することが可能な始動機構を備えた車両に設けられ、所定の停止条件が成立した場合にエンジンを自動停止させる自動停止制御と、所定の始動条件が成立した場合に前記エンジンを自動始動させる自動始動制御とを行うエンジン制御装置であって、前記第1の負荷と前記第2の負荷のいずれか一方が駆動された場合に、所定の遅延時間をおいて他方を駆動させる遅延手段と、前記エンジンの始動時に、前記第1の負荷と前記第2の負荷のいずれか一方が駆動されてから所定時間が経過する間に、他方の駆動を検出した場合に、前記遅延手段が異常であると判定する異常判定手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、エンジンのスタータ機構に備わるプランジャおよびモータの一方を、遅延手段を用いて所定の遅延時間をおいて他方に後行させて駆動させるエンジン制御装置にて、異常判定部が、エンジンの始動時に、遅延手段が実際に遅延した遅延時間に基づき、かかる遅延手段が異常であるか否かを判定することとしたので、スタータ駆動回路の故障を検出し、故障に応じた適切な処置を施すことができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る故障検出手法の概要を示す図である。 図2は、スタータ機構の概略図である。 図3は、実施例に係るエンジン制御装置の構成を示すブロック図である。 図4は、プランジャ先駆動時における正常時の動作を示すタイミングチャートである。 図5は、プランジャ先駆動時における異常時の動作を示すタイミングチャートである。 図6は、モータ先駆動時における異常時の動作を示すタイミングチャートである。 図7は、変形例に係るプランジャ駆動回路の構成を示すブロック図である。 図8は、エンジン制御装置が実行する故障検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る故障検出手法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る故障検出手法の概要について図1および図2を用いて説明した後に、本発明に係る故障検出手法を適用したエンジン制御装置についての実施例を、図3から図8を用いて説明することとする。
まず、本発明に係る故障検出手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る故障検出手法の概要を示す図である。
従来、エンジンのスタータ機構が備えるプランジャ(第1の負荷)とモータ(第2の負荷)とを所定の時間差を設けて駆動させ、エンジン始動の耐久性や静粛性を向上させる手法が知られている。
かかる手法では、たとえば、図1に示すように、プランジャを駆動させるプランジャ用リレー40とモータを駆動させるモータ用リレー50との接続経路の間にリレー間スイッチ15を配置し、かかるリレー間スイッチ15を所定の遅延時間をおいてオンとすることによって、両リレーへ電圧が印加されるタイミングをずらしている。
ここで、説明を分かりやすくするために、スタータ機構について図2を用いて簡単に説明しておく。図2は、スタータ機構の概略図である。図2に示すように、スタータ機構は、プランジャ60と、モータ70と、アイドルギア80と、オーバランニングギア90と、ピニオンギア100とを備えている。
プランジャ60は、コイル(図示せず)の中へ通された移動体であり、コイルが励磁されることにより、図2の(1)の矢印方向へ移動する。プランジャ用リレー40は、電圧の印加を受けて駆動されることにより、プランジャ60のコイルへの励磁を行い、プランジャ60を移動させる。
また、ピニオンギア100は、かかるプランジャ60へ連結されており、プランジャ60が移動するのにともなって、リングギア110へ噛み合わせられる(図2の(2)参照)。なお、リングギア110は、クランクシャフト120の端部に固定された環状歯車であり、回転することによってクランクシャフト120を回転させる。
また、モータ70は、モータ用リレー50が電圧の印加を受けて駆動されることより通電されて駆動し、ギア71を回転軸まわりに回転させる(図2の(3)参照)。かかるギア71の回転は、アイドルギア80、オーバランニングギア90およびピニオンギア100などを介して伝達され、リングギア110を回転させる。これにより、クランクシャフト120が回転され、エンジンが始動されることとなる。
図1の説明に戻る。そして、上述したように、プランジャ用リレー40およびモータ用リレー50へ電圧が印加されるタイミングをずらすことにより、プランジャ60が、ピニオンギア100とリングギア110とを確実に噛み合わせたうえでモータ70を駆動するといった制御を行うことができる。
なお、かかるタイミングをずらす制御は、ドライバによる手動始動時には、所定の遅延時間をハードウェア実装した遅延回路によってハードウェア的に、アイドリングストップ制御における自動始動時には、マイコン上のプログラムなどによってソフトウェア的に、それぞれ行われる。
なお、図1には、プランジャ用リレー40を先行して駆動する場合を示しているが、モータ用リレー50を先行して駆動してもよい。かかるモータ用リレー50を先行して駆動する場合は、エンジン停止制御(燃料噴射停止)後、かつ、エンジンの回転が停止する前に、ドライバによる加速操作などを受け付けた際に、速やかな再始動を行わせたい場合などに有効である。
なお、以下では、プランジャ用リレー40およびモータ用リレー50のいずれを先行して駆動するか、すなわち、プランジャ60およびモータ70のいずれを先に駆動するかを「駆動モード」という用語で示すこととする。
また、以下では、プランジャ60が先に駆動する場合の「駆動モード」を「プランジャ先駆動」と、モータ70が先に駆動する場合の「駆動モード」を「モータ先駆動」と、それぞれ記載することとする。
しかしながら、従来の手法では、リレー間スイッチ15は、モータ70を回転させない状態での通電チェックができないため、故障検出をしていなかった。これは、手動での始動時にはマイコンを介さずに始動が行えるように、遅延駆動させるための機能を回路で構成しているが、このような回路を、検査時に負荷を駆動させない範囲内で、回路を構成する素子が通電/非通電状態に動作させることが難しいためである。
このため、特に、リレー間スイッチ15がオン故障した場合には、プランジャ用リレー40およびモータ用リレー50へ同時に電圧が印加され、プランジャ60とモータ70とが同時に駆動し、ピニオンギア100とリングギア110とを回転させながら噛み合わせる構成となっていた。
なお、かかる場合、異音などが生じるもののエンジンの始動自体は行えるため、かかる故障は放置されがちである。しかしながら、いずれはピニオンギア100およびリングギア110の摩耗または欠損を招くため、スタータ機構を、エンジンの始動ができないという深刻な故障に陥らせかねない。
また、特に、アイドリングストップ制御によってエンジンの自動停止制御および自動始動制御を繰り返した場合、スタータ機構が深刻な故障に陥るのを加速してしまう可能性が高い。
そこで、本発明に係る故障検出手法では、手動および自動に関わらず、エンジンの始動時に、リレー間スイッチ15の構成部品について、特にオン故障が生じているか否かを検出し、オン故障が生じている場合には、故障部位に応じて、アイドリングストップ制御における禁止事項を決定することとした。
具体的には、本発明に係る故障検出手法では、図1に示すように、エンジンの始動時に、リレー間スイッチ15において実際に遅延する時間に対応する所定時間dTが経過するまでの間にモータ用リレー50のオン状態が検出されたならば、リレー間スイッチ15の構成部品のいずれかにオン故障が生じていると判定する。
たとえば、図1には、所定時間dT(図中の時間t1〜t2参照)が経過するまでの間に、モータ用リレー50のオン状態が検出されるごとにカウントアップされる異常判定カウンタの値が所定の閾値を超える例を示している。かかる場合、本発明に係る故障検出手法によれば、リレー間スイッチ15の構成部品のいずれかにオン故障が生じていると判定される。
そして、本発明に係る故障検出手法では、リレー間スイッチ15の構成部品のいずれかにオン故障が生じていると判定した場合、故障部位に応じて、アイドリングストップ制御における禁止事項を決定する。禁止事項の詳細については、後述する。
これにより、リレー間スイッチ15にオン故障が生じている場合であっても、かかるオン故障を適切に検出し、検出結果をアイドリングストップ制御へ反映しつつ、スタータ機構が深刻な故障に陥るのを防止することができる。
なお、リレー間スイッチ15のオン故障を検出しても、上述のようにエンジンの始動自体は行えるため、ドライバによる手動始動については許可することができる。
また、リレー間スイッチ15のオン故障は、この故障状態が発生したとしてもエンジンの始動自体は行うことができ、かつ、このリレー間スイッチ15のオン故障を検出させるためには必ずスタータ機構を駆動させる必要があることから、リレー間スイッチ15のオン故障の検出タイミングは、エンジンの始動時が好ましい。なお、かかる「始動」には、手動始動および自動始動のいずれもが含まれる。
これに対して、スタータ駆動回路に含まれ、かつ、リレー間スイッチ15を除く回路、たとえば、エンジンの自動始動時にプランジャ用リレー40を駆動させるプランジャ駆動回路(図示せず)などの故障は、始動自体を阻害する可能性が高いため、エンジンの自動停止前に行われるのが好ましい。かかる点については、図7を用いて後述する。
ところで、所定時間dT経過後にだいぶ遅れてモータ用リレー50がオンする状態も考えられるが、最終的にリレー間スイッチ15が導通するならば、エンジンを始動することができるので、特に問題とならない。また、最終的にリレー間スイッチ15が導通しない、すなわち、オフ故障であるならば、そもそもエンジンを始動することができない深刻な故障を検出したということなので、インジケータランプを点灯させる等して故障の報知を行い、ドライバにかかる故障に応じた措置をとらせるようにすればよい。
このように、本発明に係る故障検出手法では、エンジンの始動時に、スタータ駆動回路に含まれるリレー間スイッチ15の構成部品について、特にオン故障が生じているか否かを検出することとした。そして、オン故障が生じている場合には、故障部位に応じて、アイドリングストップ制御における禁止事項を決定することとした。
したがって、本発明に係る故障検出手法によれば、スタータ駆動回路の故障を検出し、故障に応じた適切な処置を施すことができる。以下では、図1および図2を用いて説明した故障検出手法を適用したエンジン制御装置についての実施例を詳細に説明する。
図3は、実施例に係るエンジン制御装置10の構成を示すブロック図である。なお、図3では、エンジン制御装置10の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
図3に示すように、エンジン制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、プランジャ駆動回路13(第1の駆動スイッチ)と、モータ駆動回路14(第2の駆動スイッチ)と、リレー間スイッチ15(遅延手段)と、トランジスタTR1とを備えている。
また、制御部11は、STA(STArter)モニタ部11aと、STA2モニタ部11bと、異常判定部11cと、駆動モード取得部11dと、異常判定基準設定部11eと、禁止事項決定部11fと、アイドリングストップ制御部11g(エンジン始動制御手段)とをさらに備えている。そして、記憶部12は、異常判定基準12aと、始動/停止禁止情報12bと、始動/停止条件情報12cとを記憶する。
また、エンジン制御装置10の外部には、クランク角度センサ20、アクセル開度センサ30などの検出デバイスと、プランジャ用リレー40、モータ用リレー50、プランジャ60およびモータ70を備えるスタータ機構とがそれぞれ配置される。
ここで、エンジン制御装置10の外部に配置される各デバイスについて説明する。クランク角度センサ20は、クランクシャフト120の回転角であるクランク角度を検出して、かかるクランク角度をエンジン制御装置10へ出力するデバイスである。なお、エンジン制御装置10では、かかるクランク角度から演算でエンジン回転数を算出する。
アクセル開度センサ30は、ドライバのアクセル操作によるアクセル開度を検出して、かかるアクセル開度をエンジン制御装置10へ出力するデバイスである。
プランジャ用リレー40は、プランジャ60を駆動させるリレースイッチである。なお、プランジャ用リレー40は、ドライバによるエンジンの手動始動時には、イグニッションスイッチIGおよびスタータスイッチSTのオンにより、固定的にモータ用リレー50に先行して駆動される。すなわち、手動始動時の駆動モードは、固定的にプランジャ先駆動となる。
モータ用リレー50は、モータ70を駆動させるリレースイッチである。プランジャ60およびモータ70については図2を用いて既に説明したため、ここでの記載を省略する。
つづいて、エンジン制御装置10内部の構成要素について説明する。まず、トランジスタTR1、プランジャ駆動回路13、モータ駆動回路14およびリレー間スイッチ15について説明する。
トランジスタTR1は、プランジャ駆動、モータ駆動の両方の開始を許可するメインスイッチである。
プランジャ駆動回路13は、プランジャ60を駆動させるスイッチであるトランジスタTR2を有する。かかるプランジャ駆動回路13は、プランジャ先駆動によるエンジンの自動始動時に、後述するアイドリングストップ制御部11gから入力する制御信号に応じてトランジスタTR2をオンにし、電源BATTの電圧をプランジャ用リレー40へ印加して駆動させる。
同様に、モータ駆動回路14は、トランジスタTR3を有しており、モータ先駆動によるエンジンの自動始動時に、アイドリングストップ制御部11gから入力する制御信号に応じてトランジスタTR3をオンにし、電源BATTの電圧をモータ用リレー50へ印加して駆動させる。
リレー間スイッチ15は、プランジャ用リレー40およびモータ用リレー50を含む、プランジャ60およびモータ70の接続経路間で直列に接続されたトランジスタTR4およびトランジスタTR5と、遅延回路15aおよびダイオードを含むトランジスタTR6とを有する。
かかるリレー間スイッチ15は、たとえば、ドライバの手動始動によってトランジスタTR4側から電源BATTの電圧が印加された場合には、トランジスタTR6によって所定の遅延時間をおいた後、かかるトランジスタTR6からの制御信号によってトランジスタTR4およびトランジスタTR5を導通し、トランジスタTR5側へ継電してモータ用リレー50を駆動させる。
なお、エンジンの自動始動時には、所定時間dTがアイドリングストップ制御部11gによって制御されるように構成しており、アイドリングストップ制御部11gは、トランジスタTR2またはトランジスタTR3を導通させる制御を行うと、所定時間後に、トランジスタTR2またはトランジスタTR3の他方のトランジスタを導通させる制御を行う。
また、上記のような制御を行うエンジンの自動始動時には、遅延回路15aが動作してリレー間スイッチ15が導通状態とならないように、遅延回路15aの動作を禁止する制御が制御部11によって行われる。
また、リレー間スイッチ15は、モータ先駆動によってトランジスタTR5側から電源BATTの電圧が印加された場合には、同様に、トランジスタTR4側へ継電してプランジャ用リレー40を駆動させる。
次に、制御部11について説明する。制御部11は、エンジン制御装置10の全体制御を行う制御部であり、マイコンなどによって構成することができる。STAモニタ部11aは、STAコネクタ13CからSTAポート13Pを介して入力されるプランジャ60側のモニタ電圧値を取得する処理を行う処理部である。
また、STAモニタ部11aは、プランジャ先駆動である場合には、取得したモニタ電圧値が所定電圧値以上であるならばSTAフラグをオン状態とし、異常判定部11cへ通知する処理をあわせて行う。
また、STAモニタ部11aは、モータ先駆動である場合には、取得したモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを検出するごとに、異常判定カウンタを増加させる処理をあわせて行う。
STA2モニタ部11bは、STA2コネクタ14CからSTA2ポート14Pを介して入力されるモータ70側のモニタ電圧値を取得する処理を行う処理部である。
また、STA2モニタ部11bは、プランジャ先駆動である場合には、取得したモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを検出するごとに、異常判定カウンタを増加させる処理をあわせて行う。
また、STA2モニタ部11bは、モータ先駆動である場合には、取得したモニタ電圧値が所定電圧値以上であるならばSTA2フラグをオン状態とし、異常判定部11cへ通知する処理をあわせて行う。
異常判定部11cは、エンジンの始動制御が開始された場合に、異常判定実施カウンタを用いて所定時間dTを計測する処理を行う処理部であり、例えば、STAモニタ部11aからSTAフラグのオン状態の通知を、または、STA2モニタ部11bからSTA2フラグのオン状態の通知を受けた場合に処理を行なう。
また、異常判定部11cは、所定時間dTの経過後に、異常判定基準12aに含まれる所定の閾値と異常判定カウンタとを対比して、異常判定カウンタが所定の閾値を上回る場合に、リレー間スイッチ15の構成部品のいずれかにオン故障が生じていると判定する。
なお、異常判定基準12aは、異常判定カウンタの所定の閾値や所定時間dTなどを含む異常判定に関する基準情報であり、エンジン回転数などに基づいて補正されることがある始動制御における遅延時間に応じて、後述する異常判定基準設定部11eにより適宜調整可能な可変情報である。
ここで、STAモニタ部11a、STA2モニタ部11bおよび異常判定部11cの動作について説明しておく。まず、図4を用いて、プランジャ先駆動時における正常時の動作について説明する。図4は、プランジャ先駆動時における正常時の動作を示すタイミングチャートである。
図4に示すように、プランジャ先駆動時においては、プランジャ60を駆動するためのスイッチ(TR1、TR2)をオンにする制御を時間t0の時点で行うと、STAコネクタ13CからSTAポート13Pへモニタ電圧値がオン信号として入力される状態となる。
そして、時間t0にてプランジャ60を駆動するためのスイッチをオンにする制御を行った後に、実際にSTAコネクタ13Cがオン状態となっていることの確認を行う。具体的には、STAモニタ部11aが、所定間隔Tの間にSTAポート13Pを所定回数(例えば2回)モニタして、STAポート13Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを複数回連続して検出するとSTAフラグをオン状態とし、異常判定部11cへ出力する(図中の時間t1参照)。なお、このように複数回のモニタを行うことによって誤検出を防止することができる。
そして、異常判定部11cにおいて、かかる時間t1から異常判定実施カウンタによる所定時間dT(正常であれば遅延制御によって遅延されると想定される時間)の計測が開始される。なお、異常判定実施カウンタは、プログラム内に実装してもよいし、タイマICなどを用いることとしてもよい。
また、ここまでの間、STA2モニタ部11bは、STAモニタ部11aの場合と同様に、所定間隔T毎にSTA2ポート14Pの電圧のモニタを繰り返してSTA2ポート14Pを監視している。そして、STA2ポート14Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを検出するごとに異常判定カウンタの値を増加させる。
なお、正常時であれば、所定の間は、モータ70側がオン状態になることを遅延させる遅延制御が行われているため、STA2モニタ部11bによってオン信号は検出されない。図4に示した例では、時間t1からの経過時間を計測するための異常判定実施カウンタの値が所定値(図4では「閾値」と記載)となる時間t2にて、異常判定実施カウンタとは関係なく別途制御されている遅延制御においてモータ70側がオン状態となるように制御されるため、STA2コネクタ14CとSTA2ポート14Pはともにオン状態となっている。
そして、時間t1からの経過時間を計測するための異常判定実施カウンタの値が所定値となる時間t2が経過した時点で、異常判定カウンタの値が異常と判定する所定の閾値(例えば2)となっていない場合には、時間t2以後にSTA2コネクタ14Cがオン状態となっていることの確認を行う。
具体的には、STA2モニタ部11bは、所定間隔T毎にSTA2ポート14Pを所定回数(例えば2回)モニタして、STA2ポート14Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを複数回連続して検出すると、STA2フラグをオン状態とし、異常判定部11cへ出力する(図中の時間t3参照)。なお、この処理でSTA2ポート14Pがオン状態にならない(オフ状態が継続して検出される)場合には、リレー間スイッチ15のオフ故障と判断するようにしてもよい。
なお、図中ではSTA2コネクタ14CとSTA2ポート14Pがオン状態となるタイミングと、異常判定実施カウンタの値が所定値(図中の「閾値」)を超えるタイミングとが全く同じタイミングとなっているが、異常判定実施カウンタの「閾値」は、正常に動作した場合に最も遅延時間が短くなるケースを想定した値(時間)が設定されているため、実際には、異常判定実施カウンタの値が「閾値」に達するタイミングよりも、STA2コネクタ14CとSTA2ポート14Pがオン状態となるタイミングの方が若干遅くなる可能性がある。
ここで、異常判定実施カウンタの「閾値」(図4に示す「閾値」)について述べておく。手動でイグニッションスイッチIGとスタータスイッチSTが操作されることによるエンジンの始動の際に主に用いられる上述したリレー間スイッチ15内の遅延回路15aは、ハードウェア実装された所定の遅延時間を有している。
これに対して、アイドリングストップからの自動始動時には、プランジャ駆動回路13(TR2)とモータ駆動回路14(TR3)との間で所定の遅延時間をおいた通電制御が後述するアイドリングストップ制御部11gによって行われる。
このようなアイドリングストップ制御部11gによる制御の場合にはソフトウェアによる制御であるので、遅延時間は容易に変更が可能である。よって、始動性等を向上させるために、始動時の状況(エンジン回転数やエンジン水温等)に応じて遅延時間を最適な値に調整する機能を設けることが可能である。そして、異常判定部11cは、かかる遅延時間が変更された場合には、かかるアイドリングストップ制御部11gの始動制御における遅延時間(アイドリングストップ制御部11gの制御値)に基づいて、異常判定制御における異常判定実施カウンタの「閾値」(所定時間dTに対応する値)を最適な値に調整することができる。
次に、図5を用いて、プランジャ先駆動時における異常時の動作について説明する。図5は、プランジャ先駆動時における異常時の動作を示すタイミングチャートである。なお、時間t1から異常判定実施カウンタによる所定時間dTの計測が開始されるまでは、図4の場合と同様である。
図5に示すように、所定間隔T毎にSTA2ポート14Pの電圧のモニタを繰り返すSTA2モニタ部11bが、時間t1において、STA2ポート14Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを検出したものとする。
このとき、STA2モニタ部11bは、STA2フラグをオン状態とするとともに、異常判定カウンタの値を1増加させる。そして、図5に示すように、STA2モニタ部11bは、かかる所定間隔TごとのSTA2ポート14Pの状態検出を、異常判定実施カウンタが所定値(図中の「閾値」)に達するまで、すなわち、所定時間dTが経過する時間t2まで繰り返す。
なお、図5は、かかるSTA2モニタ部11bによる状態検出ごとにSTA2ポート14Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であることが検出され、最終的に異常判定カウンタが4まで増加されたことをあらわしている。
そして、異常判定部11cは、時間t1からの経過時間を計測するための異常判定実施カウンタの値が所定値となる時間t2が経過した時点で、異常判定カウンタの値が異常と判定する所定の閾値(例えば2)以上であるか否かを判定する。
なお、図5では、異常判定カウンタは所定の閾値とした2を上回る4であるので、異常判定部11cは、リレー間スイッチ15の構成部品のいずれかについてオン故障が生じていると判定する。
なお、異常判定カウンタの値は、処理の振り分けに利用することができる。たとえば、異常判定カウンタの値によってインジケータランプを点灯させたり、ログ出力を行ったりすることとしてもよい。かかる点については、後述する。
次に、図6を用いて、モータ先駆動時における異常時の動作について説明する。図6は、モータ先駆動時における異常時の動作を示すタイミングチャートである。なお、図6では、図5に示したプランジャ先駆動時の場合と異なる点について説明することとし、それ以外についての説明は省略するか簡単な説明にとどめることとする。
図6に示すように、モータ先駆動時においては、モータ70を駆動するためのスイッチ(TR1、TR3)をオンにする制御を時間t0の時点で行うと、STA2コネクタ14CからSTA2ポート14Pへモニタ電圧値がオン信号として入力される状態となる。
そして、時間t0にてモータ70を駆動するためのスイッチをオンにする制御を行った後に、実際にSTA2コネクタ14Cがオン状態となっていることの確認を行う。具体的には、STA2モニタ部11bが、所定間隔T毎にSTA2ポート14Pを所定回数(例えば2回)モニタして、STA2ポート14Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを複数回連続して検出するとSTA2フラグをオン状態とし、異常判定部11cへ出力する(図中の時間t1参照)。
そして、異常判定部11cにおいて、かかる時間t1から異常判定実施カウンタによる所定時間(正常であれば遅延制御によって遅延されると想定される時間)の計測が開始される。
また、ここまでの間、STAモニタ部11aは、所定間隔T毎にSTAポート13Pの電圧のモニタを繰り返し、異常判定実施カウンタが所定値(図中の「閾値」)に達する時間t2までの間で、STAポート13Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であるごとに、STAフラグをオン状態としながら異常判定カウンタの値を1ずつ増加させる。
そして、異常判定部11cは、時間t2が経過した時点で、異常判定カウンタの値(図中では4)が異常と判定する所定の閾値を上回るか否かを判定し、かかる所定の閾値を上回るのであれば、リレー間スイッチ15の構成部品のいずれかについてオン故障が生じていると判定する。
図3の説明に戻り、引き続き、異常判定部11cについて説明する。上述したように、異常判定部11cは、リレー間スイッチ15の構成部品のいずれかにオン故障が生じていると判定した場合、後述する駆動モード取得部11dから入力した駆動モードに応じて故障部位を特定する。
具体的には、駆動モードがプランジャ先駆動である場合、異常判定部11cは、リレー間スイッチ15のトランジスタTR5か、あるいは、遅延回路15aを含むトランジスタTR6が異常であると判定する。
これは、たとえば、トランジスタTR4にボディダイオードが組み込まれている場合、かかるボディダイオードを介して電流をまわせるので、駆動モードがプランジャ先駆動であるときの実質的な導通スイッチはトランジスタTR5であるからである。
同様に、駆動モードがモータ先駆動である場合、異常判定部11cは、トランジスタTR4か、あるいは、トランジスタTR6が異常であると判定する。すなわち、異常判定部11cは、トランジスタTR4およびトランジスタTR5のうち、時間的に後行して導通する一方か、あるいは、トランジスタTR6が異常であると判定する。
また、異常判定部11cは、プランジャ先駆動およびモータ先駆動のいずれにおいてもリレー間スイッチ15が異常であると判定した場合、トランジスタTR6のみが異常であると判定する。そして、異常判定部11cは、判定結果を禁止事項決定部11fに対して出力する。
なお、図示していないが、異常判定部11cは、判定結果を報知あるいは記録することができる。たとえば、報知の例としては、エンジン制御装置10がインジケータランプなどを備えている場合、かかるインジケータランプを点灯させることとしてもよい。また、かかる際、判定結果に応じてインジケータランプの点灯パターンを複数設けてもよい。
また、記録の例としては、判定結果を、いわゆるダイアグノシス通信のプロトコルに沿ったログとして出力することとしてもよい。いずれの場合も、車両整備における故障診断の際などに、故障部位の切り分けを容易に行うことができるというメリットがある。
駆動モード取得部11dは、クランク角度センサ20から入力したクランク角度に基づいて算出するエンジン回転数や、アクセル開度センサ30から入力したアクセル開度などから駆動モード(アイドリングストップからの再始動時におけるプランジャ先駆動やモータ先駆動、または手動始動といったモード)を取得し、異常判定部11cおよび異常判定基準設定部11eに対して出力する処理を行う処理部である。なお、出力内容に算出したエンジン回転数などを含んでもよい。また、駆動モードをアイドリングストップ制御部11gから取得するように構成してもよい。
異常判定基準設定部11eは、駆動モード取得部11dから入力した駆動モードやエンジン回転数などに応じて、異常判定基準12aを適宜調整する処理を行う処理部である。
禁止事項決定部11fは、異常判定部11cから入力した判定結果に応じてアイドリングストップ制御における禁止事項を決定し、始動/停止禁止情報12bを更新する処理を行う処理部である。なお、始動/停止禁止情報12bは、たとえば、プランジャ先駆動による自動始動を禁止し、モータ先駆動による自動始動のみを許可するといったような、アイドリング制御における禁止事項を示す情報である。
具体的には、禁止事項決定部11fは、異常判定部11cからリレー間スイッチ15のトランジスタTR5か、あるいは、トランジスタTR6が異常である旨の判定結果を受けた場合、以降は、プランジャ先駆動によるエンジンの自動始動を禁止し、モータ先駆動によるエンジンの自動始動のみを許可するように、始動/停止禁止情報12bを更新する。
一方、異常判定部11cからトランジスタTR4か、あるいは、トランジスタTR6が異常である旨の判定結果を受けた場合、以降は、モータ先駆動によるエンジンの自動始動を禁止し、プランジャ先駆動によるエンジンの自動始動のみを許可するように、始動/停止禁止情報12bを更新する。
また、禁止事項決定部11fは、異常判定部11cからトランジスタTR6のみが異常である旨の判定結果を受けた場合、すなわち、プランジャ先駆動およびモータ先駆動のいずれにおいてもリレー間スイッチ15が異常であると判定された場合、以降は、エンジンの自動停止を禁止するように、始動/停止禁止情報12bを更新する。
なお、かかる禁止事項決定部11fによる禁止事項決定処理は、上述したパターンに制限されるものではない。たとえば、駆動モードごとに処置を変え、プランジャ先駆動に関しては、異常判定部11cから少なくともリレー間スイッチ15が異常であるとの判定結果を受けた場合には、無条件にエンジンの自動停止を禁止するようにしてもよい。
アイドリングストップ制御部11gは、クランク角度センサ20から入力したクランク角度に基づいて算出するエンジン回転数や、アクセル開度センサ30から入力したアクセル開度などが、所定の停止条件を満たした場合にエンジンを自動停止させ、所定の始動条件を満たした場合にエンジンを自動始動させる処理を行う処理部である。
なお、所定の停止条件および所定の始動条件は、始動/停止条件情報12cにあらかじめ登録されており、アイドリングストップ制御部11gは、かかる始動/停止条件情報12cを参照する。
また、アイドリングストップ制御部11gは、あわせて始動/停止禁止情報12bを参照し、始動/停止禁止情報12bにおいて禁止されていない自動始動または自動停止についてのみ処理を行う。
そして、アイドリングストップ制御部11gは、プランジャ先駆動によってエンジンを自動始動させる場合、トランジスタTR1およびトランジスタTR2をオンとする制御信号を出力する。そして、所定時間dTをおいた後、モータ駆動回路14へトランジスタTR3をオンとする制御信号を出力する。
また、アイドリングストップ制御部11gは、モータ先駆動によってエンジンを自動始動させる場合、トランジスタTR1およびトランジスタTR3をオンとする制御信号を出力する。そして、所定時間dTをおいた後、プランジャ駆動回路13へトランジスタTR2をオンとする制御信号を出力する。
また、アイドリングストップ制御部11gは、エンジンを自動始動させる場合には、リレー間スイッチ15(遅延回路15a)に対して、動作を禁止する制御信号を出力する。
記憶部12は、ハードディスク、不揮発性メモリあるいはレジスタといった記憶デバイスで構成される記憶部である。記憶部12へ記憶される異常判定基準12a、始動/停止禁止情報12b、始動/停止条件情報12cのそれぞれについては既に述べたため、ここでの記載を省略する。
なお、これまでの説明では、エンジンの自動始動時には、マイコンなどの制御部11側で遅延動作を制御する(遅延回路15aの動作を禁止する)場合について説明したが、自動始動時も遅延回路15aを用いて動作させる構成としてもよい。
また、これまでの説明で、図3に示した回路図や、手動始動時の駆動モードが固定的にプランジャ先駆動であることによれば、リレー間スイッチ15の遅延回路15aはプランジャ先駆動の場合のみ動作する構成となっているが、自動始動時におけるモータ先駆動の場合でも動作するように構成してもよい。
ところで、これまでは、エンジンの始動時にリレー間スイッチ15の故障を検出する機能について主に説明してきたが、プランジャ駆動回路13またはモータ駆動回路14について故障を検出する機能を追加で設けることとしてもよい。
そこで、かかる変形例について、図7を用いて説明する。図7は、変形例に係るプランジャ駆動回路13aの構成を示すブロック図である。なお、図7では、図3のプランジャ駆動回路13へトランジスタTR1ほかを含めた構成をプランジャ駆動回路13aとして説明する。また、モータ駆動回路14についても同様に適用することができるため、ここでの記載を省略する。
図7に示すように、変形例に係るプランジャ駆動回路13aは、電源BATTとSTAコネクタ13Cとの間に配置され、直列に接続されたトランジスタTR1およびトランジスタTR2、分圧用の2つの抵抗Rを有する。
トランジスタTR1およびトランジスタTR2は、制御部11からの制御信号に応じて導通される。かかるトランジスタTR1およびトランジスタTR2があわせて導通されると、電源BATTからダイオードを通じてプランジャ用リレー40(図3参照)へ通電され、プランジャ60(図3参照)が駆動されることとなる。
2つの抵抗Rは、電圧がトランジスタTR1およびトランジスタTR2に分けて印加されるように、トランジスタTR1の電源BATT側とグラウンドとの間で直列に接続されているとともに、2つの抵抗Rの中継点は、トランジスタTR1とトランジスタTR2との中継点に電気的に接続されている。なお、2つの抵抗Rは、非常に大きな抵抗値を有しており、電流をほとんど流さない。
かかる構成により、制御部11には、トランジスタTR1およびトランジスタTR2の中継点のモニタ電圧値MV1が入力されるとともに、トランジスタTR2のプランジャ用リレー40側のモニタ電圧値MV2が入力されることとなる。
そして、制御部11は、通電チェック用の制御信号を、トランジスタTR1へ送出したときのモニタ電圧値MV1およびトランジスタTR2へ送出したときのモニタ電圧値MV2に基づいて、トランジスタTR1またはトランジスタTR2が故障しているか否かを判定する。
かかる故障判定は、オン故障判定およびオフ故障判定のいずれについても行うことができる。ただし、トランジスタTR1およびトランジスタTR2の一方のチェックを行っている間は、他方をオフあるいはオン禁止としてプランジャ用リレー40の駆動を避ける制御を行う必要がある。
このような構成とすることにより、エンジン制御装置10は、プランジャ60を駆動させることなく(言い換えれば、駆動対象の負荷が駆動しない範囲で)プランジャ駆動回路13aの故障検出を行うことができる。すなわち、エンジン始動時とは異なるタイミングで故障検出を行うことができる。なお、かかる故障検出は、仮に故障が検出された場合には、エンジンの再始動が困難であることから、アイドリングストップ制御によるエンジン停止が行われる前に行われる。なお、トランジスタTR1やトランジスタTR2のオン/オフ時に生じる音の気づかれにくさなどを考慮すれば、走行開始時や減速時といったタイミングが好ましく、また、実際にエンジンの自動停止制御や自動始動制御を行うタイミングに近い、車両が停止する直前といったエンジンを停止する直前のタイミングが好ましい。
また、かかる故障検出タイミングは、手動操作によるエンジン始動時、および、アイドリングストップ制御によるエンジン再始動時の少なくとも一方で故障判定を行うリレー間スイッチ15とは、特に異なる点である。
次に、エンジン制御装置10が実行する故障検出処理の処理手順について図8を用いて説明する。図8は、エンジン制御装置10が実行する故障検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、図8には、リレー間スイッチ15のオン故障検出処理を示している。なお、図8に示すのは、手動操作によるエンジン始動時、および、アイドリングストップ制御によるエンジン再始動時の両方で実行される処理である。
図8に示すように、エンジン制御装置10は、まず、駆動モードが、プランジャ先駆動であるか、モータ先駆動であるかを判定する(ステップS101)。ここで、プランジャ先駆動である場合(ステップS101,プランジャ)、エンジン制御装置10は、プランジャ60側スイッチをオンにする制御を行う(ステップ102)。
具体的には、トランジスタTR1およびトランジスタTR2をオンにした後、STAポート13Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを確認してSTAフラグをオン状態とする。そして、STA2モニタ部11bが、モータ70側のSTA2ポート14Pの電圧をモニタする(ステップS103)。
一方、モータ先駆動である場合(ステップS101,モータ)、エンジン制御装置10は、モータ70側スイッチをオンにする制御を行う(ステップ104)。
具体的には、トランジスタTR1およびトランジスタTR3をオンにした後、STA2ポート14Pのモニタ電圧値が所定電圧値以上であることを確認してSTA2フラグをオン状態とする。そして、STAモニタ部11aが、プランジャ60側のSTAポート13Pの電圧をモニタする(ステップS105)。
そして、STA2モニタ部11bまたはSTAモニタ部11aは、モニタ電圧値が所定電圧値を超える場合(ステップS106,Yes)、異常判定カウンタを1増加する(ステップS107)。なお、ステップS106の判定条件を満たさない場合(ステップS106,No)、ステップS108へ制御を移す。
そして、STA2モニタ部11bまたはSTAモニタ部11aは、所定の遅延時間に対応する所定時間dTが経過したか否かを判定する(ステップS108)。ここで、所定時間dTが経過している場合(ステップS108,Yes)、ステップS109へ制御を移す。また、所定時間dTが経過していない場合(ステップS108,No)、あらたなモニタ電圧値に基づいてステップS106からの処理を繰り返す。
つづいて、異常判定部11cが、異常判定カウンタが閾値を上回るか否かを判定する(ステップS109)。ここで、異常判定カウンタが閾値を上回る場合(ステップS109,Yes)、異常判定部11cは、駆動モードが、プランジャ先駆動であるか、モータ先駆動であるかを判定する(ステップS110)。
ここで、プランジャ先駆動である場合(ステップS110,プランジャ)、異常判定部11cは、リレー間スイッチ15のトランジスタTR5またはトランジスタTR6が異常であると判定する(ステップS111)。そして、禁止事項決定部11fが、プランジャ先駆動での再始動を禁止するように決定する(ステップS112)。
一方、モータ先駆動である場合(ステップS110,モータ)、異常判定部11cは、リレー間スイッチ15のトランジスタTR4またはトランジスタTR6が異常であると判定する(ステップS113)。そして、禁止事項決定部11fが、モータ先駆動での再始動を禁止するように決定する(ステップS114)。
また、異常判定部11cは、いずれの先駆動でもリレー間スイッチ15が異常であると判定されたか否かを判定する(ステップS115)。
ここで、ステップS115の判定条件を満たす場合(ステップS115,Yes)、異常判定部11cは、リレー間スイッチ15のトランジスタTR6が異常であると判定する(ステップS116)。そして、禁止事項決定部11fが、エンジンの自動停止を禁止するように決定し(ステップS117)、処理を終了する。
なお、ステップS109の判定条件を満たさなかった場合(ステップS109,No)、あるいは、ステップS115の判定条件を満たさなかった場合(ステップS115,No)、処理を終了する。
なお、図8のフローチャートでは、リレー間スイッチ15の詳細な故障部位を判別して適切なフェールセーフ制御を行うために、プランジャ先駆動とモータ先駆動の両方のモードで駆動した場合にそれぞれ動作する処理構成にしているが、処理を簡略化し、手動始動時にのみ動作するように構成してもよい。
上述してきたように、本実施例では、スタータ機構に備わるプランジャおよびモータの一方を、リレー間スイッチを用いて所定の遅延時間をおいて他方に後行させて駆動させるエンジン制御装置にて、異常判定部が、エンジンの始動時に、リレー間スイッチが実際に遅延した時間に基づき、かかるリレー間スイッチが異常であるか否かを判定するようにエンジン制御装置を構成した。したがって、スタータ駆動回路の故障を検出し、故障に応じた適切な処置を施すことができる。
なお、上述した実施例では、自動車のエンジンを制御するエンジン制御装置に適用する場合について主に説明したが、これに限られるものではなく、種々の異なる内燃機関を制御する内燃機関制御装置にて実施されてもよい。
以上のように、本発明に係るエンジン制御装置は、スタータ駆動回路の故障を検出し、故障に応じた適切な処置を施したい場合に有用であり、特に、高精度なアイドリングストップ制御を企図して開発されるエンジン制御装置への適用に適している。
10 エンジン制御装置
11 制御部
11a STAモニタ部
11b STA2モニタ部
11c 異常判定部
11d 駆動モード取得部
11e 異常判定基準設定部
11f 禁止事項決定部
11g アイドリングストップ制御部
12 記憶部
12a 異常判定基準
12b 始動/停止禁止情報
12c 始動/停止条件情報
13 プランジャ駆動回路
13C STAコネクタ
13P STAポート
14 モータ駆動回路
14C STA2コネクタ
14P STA2ポート
15 リレー間スイッチ
15a 遅延回路
20 クランク角度センサ
30 アクセル開度センサ
40 プランジャ用リレー
50 モータ用リレー
60 プランジャ
70 モータ
80 アイドルギア
90 オーバランニングギア
100 ピニオンギア
110 リングギア
120 クランクシャフト
TR1〜6 トランジスタ

Claims (7)

  1. エンジンの始動を行うための第1の負荷と第2の負荷とを、別々に駆動制御することが可能な始動機構を備えた車両に設けられ、所定の停止条件が成立した場合にエンジンを自動停止させる自動停止制御と、所定の始動条件が成立した場合に前記エンジンを自動始動させる自動始動制御とを行うエンジン制御装置であって、
    前記第1の負荷と前記第2の負荷のいずれか一方が駆動された場合に、所定の遅延時間をおいて他方を駆動させる遅延手段と、
    前記エンジンの始動時に、前記第1の負荷と前記第2の負荷のいずれか一方が駆動されてから所定時間が経過する間に他方の駆動を検出した場合に、前記遅延手段が異常であると判定する異常判定手段と
    を備えたことを特徴とするエンジン制御装置。
  2. 前記第1の負荷を駆動する第1の駆動スイッチと、
    前記第2の負荷を駆動する第2の駆動スイッチと、
    前記自動始動制御を行う場合に、前記第1の駆動スイッチと前記第2の駆動スイッチの少なくとも一方を導通状態に制御することによってエンジンの始動を行なうエンジン始動制御手段と
    をさらに備え、
    前記異常判定手段は、
    前記エンジンの停止前に、前記第1の駆動スイッチと前記第2の駆動スイッチの少なくとも一方が異常であるか否かを判定するために、駆動対象の負荷が駆動しない範囲で各駆動スイッチを導通状態に制御する通電チェックを行うことを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
  3. 前記遅延手段は、
    前記第1の負荷および前記第2の負荷の接続経路の間で直列に接続された2つのトランジスタと、
    前記所定の遅延時間をおいて前記2つのトランジスタを導通させる遅延回路と
    を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン制御装置。
  4. 前記異常判定手段は、
    前記第1の負荷と前記第2の負荷のいずれか一方が駆動されてから取得された他方側のモニタ電圧値が所定電圧値を上回るごとに増加される異常判定カウンタに基づき、前記所定時間が経過した後の前記異常判定カウンタの値が所定の閾値を上回るならば、前記遅延手段が異常であると判定することを特徴とする請求項1、2または3に記載のエンジン制御装置。
  5. 前記異常判定手段は、
    前記遅延手段が異常であると判定した場合に、前記2つのトランジスタのうち、時間的に後行して導通する一方か、あるいは、前記遅延回路が異常であると判定することを特徴とする請求項3または4に記載のエンジン制御装置。
  6. 前記異常判定手段の判定結果に基づいて前記自動停止制御および前記自動始動制御における禁止事項を決定する禁止事項決定手段
    をさらに備え、
    前記禁止事項決定手段は、
    前記異常判定手段によって前記遅延手段が異常であると判定された場合に、前記第1の負荷および前記第2の負荷のうち、今回の前記エンジンの始動において後行して駆動された一方を先行して駆動させる自動始動のみを以降は許可することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のエンジン制御装置。
  7. 前記禁止事項決定手段は、
    前記第1の負荷および前記第2の負荷のいずれを先行して駆動させた場合にも、前記異常判定手段によって前記遅延手段が異常であると判定されたならば、前記エンジンの自動停止を禁止することを特徴とする請求項6に記載のエンジン制御装置。
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