JP2013146655A - 複合酸化物触媒及び共役ジエンの製造方法 - Google Patents

複合酸化物触媒及び共役ジエンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】n−ブテン等の炭素原子数4以上のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応でブタジエン等の共役ジエンを、高収率、高選択率で製造するのに用いられる複合酸化物触媒を提供する。
【解決手段】炭素原子数4以上のモノオレフィンと酸素を含む混合ガスから気相接触酸化脱水素反応により共役ジエンを製造する際に用いられる複合酸化物触媒であって、該複合酸化物触媒の組成が組成式(1)で表され、且つ該触媒中の酸量が0.010mol/kg以下であることを特徴とする共役ジエン製造用の複合酸化物触媒。
【選択図】 なし

Description

本発明は気相接触酸化脱水素反応により炭素原子数4以上のモノオレフィンから共役ジエンを製造する際に用いられる複合酸化物触媒に関する。
n−ブテン等のモノオレフィンを触媒の存在下に酸化脱水素反応させてブタジエン等の共役ジエンを製造する方法は、従来公知である。
この反応は例えば以下の反応式に従って進行し、水が副生する。
+1/2O→C+H
n−ブテンの気相接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造は、工業的にはナフサ分解で副生するC留分(C炭化水素混合物。以下、「BB」と称す場合がある。)からのブタジエンの抽出分離プロセスにおいて、抽出蒸留塔でブタジエンを分離して得られた、1−ブテンの他、2−ブテン、ブタン等を含む混合物(以下、この混合物を「BBSS]と称す場合がある。)中に含まれるブテンからブタジエンを製造する方法が行われている。
このブテンの気相接触酸化脱水素反応によるブタジエン製造に用いられる触媒として、モリブデン(Mo)及びビスマス(Bi)を主成分とした複合酸化物触媒が有効な触媒であることが知られており、例えば、特許文献1には、n−ブテンを分子状酸素により気相接触酸化脱水素してブタジエンを製造する複合酸化物触媒として、モリブデン、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一種及びシリカを必須成分とする複合酸化物触媒の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、モリブデン(Mo)、ビスマス(Bi)及び鉄(Fe)を必須成分として含有し、且つその他の必須成分として、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)の中から選ばれる1種以上の元素、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)からなる群より選ばれる1種以上の元素並びにシリカを含有し、触媒中のシリカ成分の含有量が3〜10重量%である複合酸化物触媒が記載されている。
また、特許文献3には、ブテンの気相接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造方法が記載され、酸化脱水素反応前後での固体触媒の外径変化率をある範囲に制御しながら反応を行うことが記載されている。
特開2003−220335号公報 特開2011−178719号公報 特開2011−241208号公報
上記特許文献3に記載の複合酸化物触媒は、モリブデン、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一種を必須成分として含み、シリカは含んでいても含んでいなくてもどちらでも良い旨が記載されているが、実際に行われた複合酸化物触媒の調製(製造例1)には、シリカが必須成分として含まれる触媒が調製された例のみが記載されている。
本発明者等の検討によれば、特許文献1、特許文献2及び特許文献3の製造例1に記載されているシリカを必須成分として含む複合酸化物触媒を使用して、気相接触酸化脱水素反応によりブテンからブタジエンを製造する場合、ブタジエンの収率が十分ではないこと
がわかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、n−ブテン等のモノオレフィンの気相接触酸化脱水素反応によりブタジエン等の共役ジエンを製造するための複合酸化物触媒において、高いブタジエン収率を得ることができ、工業規模でブタジエンを製造する場合でも高い活性を安定的に維持できる複合酸化物触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、モリブデン(Mo)及びビスマス(Bi)を主成分とした複合酸化物触媒をブテンの気相接触酸化脱水素反応によるブタジエン製造用の触媒として使用する場合、複合酸化物触媒中の酸量と触媒活性の相関よりも、酸量とブタジエンの選択率の相関の方が強いことがわかった。そして、従来の複合酸化物触媒中の酸量を低減させ、且つ、従来の複合酸化物触媒中のシリカ含有量よりも更に少ない割合の複合酸化物触媒若しくはシリカが含まれない複合酸化物触媒が、従来の複合酸化物触媒を使用した場合に比べて、ブタジエンの収率を飛躍的に向上させ、且つ活性も維持できることを見出した。
即ち、本発明の要旨は[1]〜[5]に存する。
[1] 炭素原子数4以上のモノオレフィンと酸素を含む混合ガスから気相接触酸化脱水素反応により共役ジエンを製造する際に用いられる複合酸化物触媒であって、該複合酸化物触媒の組成が下記組成式(1)で表され、且つ該触媒中の酸量が0.01mol/kg以下であることを特徴とする共役ジエン製造用の複合酸化物触媒。
MoBiCoNiFeSi (1)
(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=0〜20の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
[2]前記組成式(1)において、a=12のとき、b=0.1〜2であることを特徴とする[1]に記載の複合酸化物触媒。
[3]前記炭素原子数4以上のモノオレフィンがブテンであり、前記共役ジエンがブタジエンであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の複合酸化物触媒。
[4]比表面積20m/g以下であることを特徴とする[1]〜[3]に記載の複合酸化物触媒。
[5][1]〜[4]に記載の触媒による炭素原子数4以上のモノオレフィンからの共役ジエン製造方法。
本発明によれば、n−ブテン等の炭素原子数4以上のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応でブタジエン等の共役ジエンを製造する際に、高収率且つ高選択率で共役ジエンを製造できる。
以下において、この発明について詳細に説明する。
[複合酸化物触媒]
本発明の複合酸化物触媒は、下記一般組成式(1)で表され且つ酸量0.010mol/kg以下であることを特徴とする。
MoBiCoNiFeSi (1)
(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=0〜20の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
また、この複合酸化物触媒は、この複合酸化物触媒を構成する各成分元素の供給源化合物を水系内で一体化して加熱する工程を経て製造する方法であって、モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種と必要に応じてシリカを含む原料化合物水溶液又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、該触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有する方法で製造されたものであることが好ましい。
次に本発明に好適な複合酸化物触媒の製造方法について説明する。
この複合酸化物触媒の製造方法においては、前記前工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a)相当のモリブデンであり、前記後工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)からaを差し引いた残りの原子比(a)相当のモリブデンである。また、前記aが0.5<a/(c+d+e)<3を満足する値であることが好ましい。さらに、前記aが0<a/b<8を満足する値であることが好ましい。
また、本発明の複合酸化物触媒の製造にあたり、ビスマス(Bi)の添加量は、a=12のとき、b=0.1〜7となるように添加されるが、好ましくはb=0.1〜2がであり、より好ましくはb=0.2〜1.5であり、更に好ましくはb=0.3〜1.0となるように添加する。このとき、bが7を越えると共役ジエンの選択率が低下する傾向にあり、一方、bが0.1を下回るとブテン転化率が低下する傾向にある。
Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であれば特に限定されないが、ナトリウム(Na)及び/又はカリウム(K)を含むことが好ましい。Y成分にナトリウム(Na)及び/又はカリウム(K)を含むことで、活性を低下させずに、ブタジエン選択率を増加させることができる。Yの添加量は、a=12のときに、g=0.04〜2となるように添加する。
シリカ(Si)の添加量は、a=12のとき、i=0〜20となるように添加されるが、好ましくはi=0〜15であり、更に好ましくはi=0〜2であるように添加される。iが20を越えると、得られる複合酸化物触媒の酸量が多くなる傾向にあり、それに伴って、ブタジエンの選択率が低下する傾向にある。
上記成分元素の供給源化合物としては、成分元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、水素酸、アセチルアセテート、アルコキシド等が挙げられ、その具体例としては、下記のようなものが挙げられる。
Moの供給源化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等が挙げられる。
Feの供給源化合物としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等挙げられる。
Coの供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。Coの供給量は、a=12のときに、c=0〜10となるように供給される。
Niの供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。Niの供給量は、a=12のときに、d=0〜10となるように供給される。ただし、c+d=1〜10となるように調整される。
Siの供給源化合物としては、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
Biの供給源化合物としては、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。
また、X成分(Mg,Ca,Zn,Ce,Smの1種又は2種以上)やY成分(Na,K,Rb,Tlの1種又は2種以上)を固溶させた、BiとX成分やY成分との複合炭酸塩化合物として供給することもできる。X成分の供給量は、a=12のときに、f=0〜2となるように供給される。
例えば、Y成分としてNaを用いた場合、BiとNaとを複合炭酸塩化合物は、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液等に、硝酸ビスマス等の水溶性ビスマス化合物の水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
また、BiとX成分との複合炭酸塩化合物は、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの水溶液等に、硝酸ビスマス及びX成分の硝酸塩等の水溶性化合物からなる水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
上記炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの代わりに、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを用いると、Bi、Na及びX成分との複合炭酸塩化合物を製造することができる。
その他の成分元素の供給源化合物としては、下記のものが挙げられる。
Kの供給源化合物としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム等が挙げられる。
Rbの供給源化合物としては、硝酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、酢酸ルビジウム等が挙げられる。
Tlの供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等が挙げられる。
Bの供給源化合物としては、ホウ砂、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸等が挙げられる。
Pの供給源化合物としては、リンモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等が挙げられる。
Asの供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等が挙げられる。
Wの供給源化合物としては、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステン、タングステン酸、リンタングステン酸等が挙げられる。
Mgの供給源化合物としては、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
Caの供給源化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
Znの供給源化合物としては、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。
Ceの供給源化合物としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸セリウム等が挙げられる。
Smの供給源化合物としては、硝酸サマリウム、硫酸サマリウム、塩化サマリウム、炭酸サマリウム、酢酸サマリウム等が挙げられる。
前工程において用いる原料化合物水溶液は、触媒成分として少なくともモリブデン(全原子比aの内のa相当)、鉄、ニッケル及びコバルトを含む水溶液、水スラリー又はケーキである。なお、この水溶液、水スラリー又はケーキは必要に応じてシリカを含んでいても良い。
この原料化合物水溶液の調製は、供給源化合物の水性系での一体化により行われる。ここで各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一括に、あるいは段階的に混合及び/又は熟成処理を行うことをいう。即ち、(イ)上記の各供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)上記の各供給源化合物を一括して混合し、そして熟成処理する方法、(ハ)上記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)上記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせる方法のいずれもが、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化という概念に含まれる。ここで、熟成とは、工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等を図る操作をいい、一定時間とは、通常10分〜24時間の範囲であり、一定温度とは通常室温〜水溶液又は水分散液の沸点範囲をいう。
上記の一体化の具体的な方法としては、例えば、触媒成分から選ばれた酸性塩を混合して得られた溶液と、触媒成分から選ばれた塩基性塩を混合して得られた溶液とを混合する方法等が挙げられ、具体例としてモリブデン化合物の水溶液に、鉄化合物とニッケル化合物とコバルト化合物との混合物を加温下添加し混合する方法等が挙げられる。なお、必要に応じてシリカの添加、混合もこの前工程で行うのが好ましい。
このようにして得られた原料化合物水溶液(スラリー)を60〜90℃に加温し、熟成する。
この熟成とは、上記触媒前駆体用スラリーを所定温度で所定時間、攪拌することをいう。この熟成により、スラリーの粘度が上昇し、スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程での成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより良好となる。
上記熟成における温度は、60〜90℃が好ましく、70〜85℃がより好ましい。熟成温度が60℃未満では、熟成の効果が十分ではなく、良好な活性を得られない場合がある。一方、90℃を越えると、熟成時間中の水の蒸発が多く、工業的な実施には不利である。更に100℃を越えると、溶解槽に耐圧容器が必要となり、また、ハンドリングも複雑になり、経済性及び操作性の面で著しく不利となる。
上記熟成にかける時間は、2〜12時間がよく、3〜8時間が好ましい。熟成時間が2時間未満では、触媒の活性及び選択性が十分に発現しない場合がある。一方、12時間を越えても熟成効果が増大することはなく、工業的な実施には不利である。
上記攪拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、攪拌翼を有する攪拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。
熟成されたスラリーは、そのままで、又は乾燥した後、加熱処理を行う。乾燥する場合の乾燥方法及び得られる乾燥物の状態については特に限定はなく、例えば、通常のスプレードライヤー、スラリードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉体状の乾燥物を得てもよいし、また、通常の箱型乾燥機、トンネル型焼成炉を用いてブロック状又はフレーク状の乾燥物を得てもよい。
上記の原料塩水溶液又はこれを乾燥して得た顆粒あるいはケーキ状のものは空気中で200〜400℃、好ましくは250〜350℃の温度域で熱処理を行う。その際の炉の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば、通常の箱型加熱炉、トンネル型加熱炉等を用いて乾燥物を固定した状態で加熱してもよいし、また、ロータリーキルン等を用いて乾燥物を流動させながら加熱してもよい。
前記の後工程では、上記の前工程において得られる触媒前駆体とモリブデン化合物(全原子比aからa相当を差し引いた残りのa相当)とビスマス化合物の一体化を、水性溶媒下で行う。この際、アンモニア水を添加するのが好ましい。X,Y,Z成分の添加もこの後工程で行うのが好ましい。触媒製造原料としてのこれらの化合物は粉末より大きな粒子のものであってもよいが、その熱拡散を行わせるべき加熱工程を考えれば小さい粒子である方が好ましい。従って、原料としてのこれらの化合物がこのように粒子の小さいものでなかった場合は、加熱工程前に粉砕を行うべきである。
次に、得られたスラリーを充分に攪拌した後、乾燥する。このようにして得られた乾燥品を、押出成型、打錠成型、あるいは担持成型等の方法により任意の形状に賦形する。これらの型の形状に賦形された触媒の大きさは、固定床や流動床などの反応形式に応じた大きさに適宜変更されることが可能である。次に、このものを、好ましくは450〜650℃の温度条件にて1〜16時間程度の最終熱処理に付す。以上のようにして、高活性で、且つ目的とする共役ジエンを高い収率で与える複合酸化物触媒が得られる。
このようにして得られる複合酸化物触媒は、通常、反応活性を調整するためのイナートボールと共に反応器に充填されて固定床が形成される。
イナートボールとしては、アルミナ、ジルコニア等のセラミックの球状体が用いられる。イナートボールは通常、複合酸化物触媒と同等の大きさであり、その粒径は2〜10mm程度である。
本発明の複合酸化物触媒の比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)により測定する場合、2〜20m/gであることが好ましく、さらに好ましくは3〜15m/gである。この値が大きいほど、触媒の活性が高くなり、この値が小さいほど、逐次反応による選択率の低下が起こりにくい。
本発明の複合酸化物触媒の酸量は、昇温脱離法(プローブ分子:ピリジン)により測定する場合、0.010mol/kg以下であり、好ましくは0.008mol/kg以下である。この値が小さいほど、燃焼などの副反応を抑制することができる。
本発明の複合酸化物触媒の酸量は、シリカの添加量により調整することが可能である。シリカの添加量を少なくすることで、酸量の増加を抑制することができる。
[共役ジエン製造方法]
本発明の共役ジエンの製造方法は、ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン等のn−ブテン、イソブテン)、ペンテン、メチルブテン、ジメチルブテン等の炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応による対応する共
役ジエンの製造に有効に適用することができる。この中でも、ブテン、更には、n−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)からのブタジエンの製造に最も好適に用いられる。
本発明の原料ガスは、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含むが、原料ガスとしては、単離した炭素原子数4以上のモノオレフィンそのものを使用する必要はなく、必要に応じて任意の混合物の形で用いることができる。例えばブタジエンを得ようとする場合には高純度のn−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)を原料ガスとすることもできるが、前述のナフサ分解で副生するC留分(BB)からブタジエン及びイソブテンを分離して得られるn−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)を主成分とするブテン留分を使用することもできる。また、エチレンの2量化により得られる高純度の1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン又はこれらの混合物を含有するガスを原料ガスとして使用しても差し支えない。尚、このエチレンはエタン脱水素、エタノール脱水、又はナフサ分解などの方法で得られるエチレンを使用することができる。更に、石油精製プラントなどで原油を蒸留した際に得られる重油留分を、流動層状態で粉末状の固体触媒を使って分解し、低沸点の炭化水素に変換する流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking)から得られる炭素原子数4の炭化水素類を多く含むガス(以下、FCC−C4と略記することがある)をそのまま原料ガスとする、又は、FCC−C4からリンや砒素などの不純物を除去したものを原料ガスとして使用しても差し支えない。ここでいう、主成分とは、原料ガスに対して、通常40体積%以上、好ましくは60体積%以上、より好ましくは75体積%以上、特に好ましくは99体積%以上をいう。
また、本発明の原料ガス中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の不純物を含んでいても良い。n−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)からブタジエンを製造する場合、含んでいても良い不純物として、具体的には、イソブテンなどの分岐型モノオレフィン;プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタンなどの飽和炭化水素;プロピレン、ペンテンなどのオレフィン;1,2−ブタジエンなどのジエン;メチルアセチレン、ビニルアセチレン、エチルアセチレンなどのアセチレン類等が挙げられる。この不純物の量は、通常40体積%以下、好ましくは20体積%以下、より好ましくは10体積%以下、特に好ましくは1体積%以下である。この量が多すぎると、主原料である1−ブテンや2−ブテンの濃度が下がって反応が遅くなったり、目的生成物の収率が低下する傾向にある。
本発明の分子上酸素含有ガスは、通常、分子状酸素が10体積%以上、好ましくは、15体積%以上、更に好ましくは20体積%以上含まれるガスのことであり、具体的に好ましくは空気である。なお、分子状酸素含有ガスを工業的に用意するために必要なコストという観点から、分子状酸素が、通常50体積%以下、好ましくは、30体積%以下、更に好ましくは25体積%以下である。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、分子状酸素含有ガスには、任意の不純物を含んでいても良い。含んでいても良い不純物として、具体的には、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、CO、CO、水等が挙げられる。この不純物の量は、窒素の場合、通常90体積%以下、好ましくは85%体積以下、より好ましくは80体積%以下である。窒素以外の成分の場合、通常10体積%以下、好ましくは1体積%以下である。この量が多すぎると、反応に必要な酸素を供給するのが難しくなる傾向にある。
本発明では、反応器に原料ガスを供給するにあたり、原料ガスと酸素を含む混合ガスを反応器に供給するが、混合ガスと共に、窒素ガス、及び水(水蒸気)を反応器に供給してもよい。窒素ガスは、混合ガスが燃焼範囲に入らないように可燃性ガスと酸素の濃度を調整するという理由から、水(水蒸気)は窒素ガスと同様に可燃性ガスと酸素の濃度を調整するという理由と触媒のコーキングを抑制するという理由から、混合ガスに水(水蒸気)
と窒素ガスとを更に混合し反応器に供給するのが好ましい。
反応器に供給する混合ガス(原料ガス、分子状酸素含有ガス、窒素ガス、及び水(水蒸気))中のモノオレフィンの濃度は特に限定されないが、通常1〜20vol%、好ましくは3〜17vol%、更に好ましくは6〜13vol%である。モノオレフィンの濃度が大きいほど、対応する共役ジエンの回収コストが低いというメリットがあり、小さいほど重合や燃焼などの副反応が起き難いというメリットがある。
また、原料ガス、分子状酸素含有ガス、窒素ガス、及び水(水蒸気)を供給する方法は特に限定されず、別々の配管で供給してもよいが、爆鳴気の形成を確実に回避するために、混合ガスを得る前に、予め原料ガスに窒素ガスを供給しておく、又は、分子状酸素含有ガスに窒素ガスを供給しておき、その状態で、原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合して混合ガスを得ることが好ましい。
本発明の酸化脱水素反応に用いられる反応器は特に限定されないが、具体的には、管型反応器、槽型反応器、又は流動床反応器が挙げられ、好ましくは、固定床反応器、より好ましくは固定床の多管式反応器やプレート式反応器であり、最も好ましくは固定床の多管式反応器である。
また、反応器が固定床反応器の場合、反応器には、上述の酸化脱水素反応触媒を有する触媒層が存在する。その触媒層は、触媒のみからなる層から構成されていても、触媒と該触媒と反応性の無い固形物とを含む層のみから構成されていても、触媒と該触媒と反応性の無い固形物とを含む層と触媒のみからなる層の複数の層から構成されていてもよいが、触媒層が、触媒と該触媒と反応性の無い固形物とを含む層を含むことで、反応時の発熱による触媒層の急激な温度上昇を抑制できるので、触媒層に反応性の無い固形物を有することが好ましい。
本発明の酸化脱水素反応は発熱反応であり、反応により温度が上昇するが、本発明では、通常、反応温度は250〜450℃、好ましくは、280〜400℃の範囲に調整される。この温度が大きくなるほど、触媒活性が急激に低下しやすい傾向にあり、小さくなるほど、目的生成物である共役ジエンの収率が低下する傾向にある。反応温度は、熱媒体(例えば、ジベンジルトルエンや亜硝酸塩など)を使用して制御することができる。なお、ここでいう反応温度は熱媒体の温度のことである。
また、本発明における反応器内温度は、特に限定されないが、通常、250〜450℃、好ましくは、280〜400℃、更に好ましくは、320〜395℃である。触媒層の温度が450℃を超えると、反応を継続するに従って、急激に触媒活性が低下する恐れがある傾向にあり、一方、触媒層の温度が250℃を下回ると、目的性生物である共役ジエンの収率が低下する傾向にある。反応器内温度は、反応条件によって決定されるが、触媒層の希釈率や混合ガスの流量等で制御することができる。なお、ここでいう反応器内温度とは、反応器出口での生成ガスの温度、又は触媒層を有する反応器の場合は、その触媒層の温度のことである。
本発明の反応器内の圧力は、特に限定されないが、上限は、0.5MPaG(ゲージ圧)以下であり、好ましくは、0.3MPaG以下、更に好ましくは、0.1MPaG以下である。この値が小さくなるほど、爆発範囲が狭くなる傾向にある。
本発明における空間速度(Space Velocity)とは、次式で示される値である。
・空間速度SV(h−1)=反応器に供給する混合ガス(原料ガス、分子状酸素含有ガ
ス、窒素ガス、及び水(水蒸気))の0℃、1気圧での体積流量/反応器に充填された触媒の体積(反応性の無い固形物は含まない)
空間速度は特に限定されないが、下限は、好ましくは500h−1以上、更に好ましくは1300h−1以上である。この値が大きくなるほど、反応器に供給できる原料ガス中のモノオレフィンの量を多くすることができるメリットがある。一方、上限は、好ましくは9000h−1以下、更に好ましくは7500h−1以下である。この値が小さいほど、原料ガス中のモノオレフィンの転化率が高くなるというメリットがある。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中のn−ブテン転化率、ブタジエン選択率、ブタジエン収率は次式に従って算出した。
・n−ブテン転化率(モル%)=(反応した1−ブテン+シス−2−ブテン+トランス−2−ブテンのモル数)/(供給した1−ブテン+シス−2−ブテン+トランス−2−ブテンのモル数)×100
・ブタジエン選択率(モル%)=(生成したブタジエンのモル数)/(反応した1−ブテン+シス−2−ブテン+トランス−2−ブテンのモル数)×100
・ブタジエン収率(モル%)=(生成したブタジエンのモル数)/(供給した1−ブテン+シス−2−ブテン+トランス−2−ブテンのモル数)×100
[実施例1]
(a)触媒前駆体の調製
パラモリブデン酸アンモニウム446gを純水4.4Lに投入し、80℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄190g、硝酸コバルト395g及び硝酸ニッケル213gを純水760mlに投入し、80℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に攪拌しながら徐々に混合した。
このスラリーを80℃に加温し、4時間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
(b)触媒の調製
パラモリブデンアンモニウム7.83g、硝酸カリウム0.74gを純水120ml、アンモニア水14mlの混合液に加え溶解した溶液に、熱処理で得られた触媒前駆体の粒状固体を粉砕したもののうち191gを加え、分散した。
次に、Naを0.5%固溶した次炭酸ビスマス8.31gを加えて、攪拌混合した。このスラリーを130℃、12時間加熱乾燥した後、得られた粒状固体を、小型成型機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃、4時間の焼成を行って、触媒を得た。
仕込み原料から計算される複合酸化物触媒の原子比を表1に示す。
(c)酸量の測定
測定装置は、日本ベル社製、全自動昇温脱離スペクトル装置TPD−1−ATwを使用した。
上記で製造された複合酸化物触媒を粉砕したもの300mgを、真空下で150℃まで昇温し、1時間保持して前処理を行った。次に、150℃を維持しながら、系内にピリジン蒸気を導入し、30分間吸着させた。その後、真空排気を行った後、この処理を行った複合酸化物触媒をヘリウム50ml/min下で100℃から610℃まで10℃/minで昇温し、脱離したピリジンスペクトルから酸量を測定した。結果を表1に示す。
(d)比表面積の測定
測定装置は、マウンテック社製、マックソーブHM Model−1201を使用した

上記で製造された複合酸化物触媒を粉砕したものを、窒素流通下で250℃まで昇温し、15分間保持して前処理を行った。前処理を行ったサンプルに−196℃で窒素を吸着させ、BET1点法にて比表面積の測定を行った。結果を表1に示す。
(e)1,3−ブタジエン製造
内径23.0mm、長さ500mmのステンレス製反応管に、上記で製造された複合酸化物触媒10.0mlとイナートボール(チップトン製)10.0mlと混合して充填した。
これらの反応管には外径2.0mmの挿入管を設置し、挿入管の中に熱電対を設置して反応器内温度を測定した。なお、熱媒体は電気炉を使用した。
そして、予め窒素を5.8L/hr、空気を17.3L/hr、及び水蒸気を3.0L/hrで予熱器に供給しておき、その後、表2に示す組成の原料ガスを3.9L/hr供給し、予熱器内で混合して混合ガスとして反応温度350℃に昇温した(反応器導入ガス組成=窒素:19.2vol%、空気:57.8vol%、水蒸気:10.0vol%、原料ガス:13.0vol%)。原料ガスに含まれる代表的な組成(mol%)を表2に示す。反応の詳細な条件を表2に示す。
その混合ガスを上記の反応器に供給し、酸化脱水素反応を行った。圧力はゲージ圧で2kPaであった。ガスクロマトグラフィー(GL Science社製 型番:GC−4000)で分析した結果を表1に示す。
[比較例1]
(a)触媒前駆体の調製
パラモリブデン酸アンモニウム300gを純水3.0Lに投入し、80℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄128g、硝酸コバルト266g及び硝酸ニッケル143gを純水500mlに投入し、80℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に攪拌しながら徐々に混合した。
次にシリカ197gを純水890mlに加え、充分に混合した溶液を、上記の溶液に加えて、充分に攪拌した。
このスラリーを80℃に加温し、4時間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
(b)触媒の調製
比較例1(a)で得られた触媒前駆体を使用した以外は、実施例1(b)と同様の操作によって目的の組成となる仕込み原料から複合酸化物触媒を調製した。
仕込み原料から計算される複合酸化物触媒の原子比を表1に示す。
(c)酸量の測定
実施例1(c)と同じ方法で、酸量の測定を行った。結果を表1に示す。
(d)比表面積の測定
実施例1(d)と同じ方法で、比表面積の測定を行った。結果を表1に示す。
(e)1,3−ブタジエンの製造
実施例1(e)と同じ方法で、本比較例1の複合酸化物触媒を使った1,3−ブタジエンの製造を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
(a)触媒の調製
パラモリブデン酸アンモニウム424g、硝酸カリウム2.00gを純水3.0Lに投入し、80℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄146g、硝酸コバルト303g及び硝酸ニッケル163gを純水1000mlに投入し、25℃に加温して溶解させ、さ
らに、硝酸ビスマス165gを純水200ml、濃硝酸25mlに投入し、溶解させた溶液を混合した。これらの溶液を、充分に攪拌しながら徐々に混合した。
このスラリーを80℃に加温し、4時間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
得られた粒状固体を、小型成型機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃、4時間の焼成を行って、触媒を得た。
仕込み原料から計算される複合酸化物触媒の原子比を表1に示す。
(b)酸量の測定
実施例1(c)と同じ方法で、酸量の測定を行った。結果を表1に示す。
(c)比表面積の測定
実施例1(d)と同じ方法で、比表面積の測定を行った。結果を表1に示す。
(d)1,3−ブタジエンの製造
実施例1(e)と同じ方法で、実施例2の複合酸化物触媒を使った1,3−ブタジエンの製造を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
(a)触媒前駆体の調製
パラモリブデン酸アンモニウム422gを純水4.2Lに投入し、80℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄179g、硝酸コバルト374g及び硝酸ニッケル201gを純水720mlに投入し、80℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に攪拌しながら徐々に混合した。
次にシリカ25gを純水110mlに加え、充分に混合した溶液を、上記の溶液に加えて、充分に攪拌した。
このスラリーを80℃に加温し、4時間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
(b)触媒の調製
実施例3(a)で得られた触媒前駆体を使用した以外は、実施例1(b)と同様の操作によって目的の組成となる仕込み原料から複合酸化物触媒を調製した。
仕込み原料から計算される複合酸化物触媒の原子比を表1に示す。
(c)酸量の測定
実施例1(c)と同じ方法で、酸量の測定を行った。結果を表1に示す。
(d)比表面積の測定
実施例1(d)と同じ方法で、比表面積の測定を行った。結果を表1に示す。
(e)1,3−ブタジエンの製造
実施例1(e)と同じ方法で、実施例3の複合酸化物触媒を使って1,3−ブタジエンの製造を行った。結果を表1に示す。
[参考例1]
(a)触媒前駆体の調製
パラモリブデン酸アンモニウム403gを純水940mlに投入し、80℃に加温して溶解させた。次に18wt%シリカスラリーを徐々に加え、攪拌混合した。
別の容器で、硝酸第二鉄169g及び硝酸コバルト382gを純水520mlに投入し、16℃で溶解させた。これらの溶液を、充分に攪拌しながら徐々に混合した。
次に、純水530mlと濃硝酸46mlを混合した溶液に硝酸ビスマス19gを16℃で溶解させ、充分に攪拌しながら、上の溶液に混合し、さらに純水40mlに50%水酸化セシウム30gを16℃で溶解させ、攪拌混合した。このスラリーを80℃に加温し、
4時間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
得られた粒状固体を、小型成型機にて底面の直径5mm、高さ4mmの円筒状の錠剤に打錠成型し、次に500℃、4時間の焼成を行って、固体触媒を得た。 仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物であった。 Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:K:Cs:B:Si=12:2.1:6.9:0:2.2:0:0:0.5:0:3
(b)酸量の測定
実施例1(c)と同じ方法で、酸量の測定を行った結果、0.006mol/kgの酸量を有していた。
(d)1,3−ブタジエンの製造
実施例1(e)と同じ方法で、参考例1の複合酸化物触媒を使って1,3−ブタジエンの製造を行った。
n−ブテン転化率(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの合計での転化率)は25.5mol%、ブタジエン選択率は85.3mol%、ブタジエン収率は21.8mol%であった。
Figure 2013146655
Figure 2013146655
実施例1〜3と比較例1を比較すると、実施例1〜3のブタジエン収率が、比較例1よりも高くなっており、シリカの添加量を少なくすることで、全酸量が0.010以下に低下し、ブタジエン収率の低下を抑制することが出来る。
実施例1と実施例2を比較すると、実施例1のn-ブテン転化率及びブタジエン選択率
が、実施例2よりも高くなっており、ビスマスの添加量を少なくすることで、活性、及び選択率を向上する効果があることがわかる。

Claims (5)

  1. 炭素原子数4以上のモノオレフィンと酸素を含む混合ガスから気相接触酸化脱水素反応により共役ジエンを製造する際に用いられる複合酸化物触媒であって、該複合酸化物触媒の組成が下記組成式(1)で表され、且つ該触媒中の酸量が0.010mol/kg以下であることを特徴とする共役ジエン製造用の複合酸化物触媒。
    MoBiCoNiFeSi (1)
    (式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.1〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=0〜20の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
  2. 前記組成式(1)において、a=12のとき、b=0.1〜2であることを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物触媒。
  3. 前記炭素原子数4以上のモノオレフィンがブテンであり、前記共役ジエンがブタジエンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合酸化物触媒。
  4. 比表面積が20m/g以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合酸化物触媒。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合酸化物触媒を使用して、炭素原子数4以上のモノオレフィンと酸素を含む混合ガスから気相接触酸化脱水素反応により共役ジエンを製造する、共役ジエンの製造方法。
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