JP2014189543A - 共役ジエンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合して得られる混合ガスを反応器に供給する工程と、触媒の存在下、前記炭素原子数4以上のモノオレフィンの酸化脱水素反応により生成した対応する共役ジエンを含む生成ガスを得る工程とを有する共役ジエンの製造方法において、前記混合ガス中の直鎖状の炭素原子数4以上のモノオレフィンの濃度が1体積%以上であって、かつ、前記反応器に窒素と二酸化炭素を含む不活性ガスを供給することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
C4H8+1/2O2→C4H6+H2O
すなわち、本発明は下記の共役ジエンの製造方法に関する。
[1]炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合して得られる混合ガスを反応器に供給する工程と、触媒の存在下、前記炭素原子数4以上のモノオレフィンの酸化脱水素反応により生成した対応する共役ジエンを含む生成ガスを得る工程とを有する共役ジエンの製造方法において、前記混合ガス中の直鎖状の炭素原子数4以上のモノオレフィンの濃度が1体積%以上であって、かつ、前記反応器に窒素と二酸化炭素を含む不活性ガスを供給することを特徴とする共役ジエンの製造方法。
[2]前記触媒が、少なくともモリブデン、ビスマス及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることを特徴とする[1]に記載の共役ジエンの製造方法。
[3]前記原料ガスが、エチレンの2量化により得られる1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン若しくはこれらの混合物を含有するガス、n−ブタンの脱水素若しくは酸化脱水素反応により生成するブテン留分、又は重油留分を流動接触分解する際に得られる炭素原子数が4の炭化水素を含むガスであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の共役ジエンの製造方法。
本発明では、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを触媒層を有する反応器に供給し、酸化脱水素反応により対応する共役ジエンを製造する。
本発明の原料ガスは炭素原子数4以上のモノオレフィンを含むが、炭素原子数4以上のモノオレフィンとしては、ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン等のn−ブテン、イソブテン)、ペンテン、メチルブテン、ジメチルブテン等の炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6のモノオレフィンが挙げられ、接触酸化脱水素反応による対応する共役ジエンの製造に有効に適用することができる。この中でも、n−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン等のn−ブテン)からのブタジエンの製造に最も好適に用いられる。
また、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスとしては、単離した炭素原子数4以上のモノオレフィンそのものを使用する必要はなく、必要に応じて任意の混合物の形で用いることができる。例えばブタジエンを得ようとする場合には高純度のn−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)を原料ガスとすることもできるが、前述のナフサ分解で副生するC4留分(BB)からブタジエン及びi−ブテン(イソブテン)を分離して得られるn−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)を主成分とする留分(BBSS)やn−ブタンの脱水素又は酸化脱水素反応により生成するブテン留分を使用することもできる。また、エチレンの2量化により得られる高純度の1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン又はこれらの混合物を含有するガスを原料ガスとして使用しても差し支えない。
次に、本発明で好適に用いられる酸化脱水素反応触媒について説明する。本発明で用いる酸化脱水素触媒は、少なくともモリブデン、ビスマス及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることが好ましい。そして、この中でも、下記一般式(1)で表される複合酸化物触媒であることがより好ましい。
なお、式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
さらに、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。
その中でも、モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種とシリカとを含む原料化合物の水溶液若しくは水分散液、又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、この触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有する方法で製造するのが好ましい。この方法を用いると、得られた複合酸化物触媒は、高い触媒活性を発揮するので、高収率でブタジエン等の共役ジエンを製造することができ、アルデヒド類含有量の少ない反応生成ガスを得ることができる。なお、水性溶媒とは、水、又はメタノール、エタノール等の水と相溶性を有する有機溶媒、又はこれらの混合物をいう。
まず、この複合酸化物触媒の製造方法においては、前記前工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a1)相当のモリブデンであり、前記後工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)からa1を差し引いた残りの原子比(a2)相当のモリブデンであることが好ましい。そして、前記a1が1<a1/(c+d+e)<3を満足する値であることが好ましく、さらに、前記a2が0<a2/b<8を満足する値であることが好ましい。
前記成分元素の供給源化合物としては、成分元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、水素酸、アセチルアセトナート、アルコキシド等が挙げられ、その具体例としては、下記のようなものが挙げられる。
Feの供給源化合物としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられる。
Coの供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。
Niの供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
Siの供給源化合物としては、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
例えば、Y成分としてNaを用いた場合、BiとNaとの複合炭酸塩化合物は、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液等に、硝酸ビスマス等の水溶性ビスマス化合物の水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
また、BiとX成分との複合炭酸塩化合物は、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの水溶液等に、硝酸ビスマス及びX成分の硝酸塩等の水溶性化合物からなる水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
前記炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの代わりに、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを用いると、Bi、Na及びX成分との複合炭酸塩化合物を製造することができる。
Kの供給源化合物としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム等を挙げることができる。
Rbの供給源化合物としては、硝酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、酢酸ルビジウム等を挙げることができる。
Tlの供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等を挙げることができる。
Bの供給源化合物としては、ホウ砂、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸等を挙げることができる。
Asの供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等を挙げることができる。
Wの供給源化合物としては、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステン、タングステン酸、リンタングステン酸等を挙げることができる。
Caの供給源化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
Znの供給源化合物としては、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。
Smの供給源化合物としては、硝酸サマリウム、硫酸サマリウム、塩化サマリウム、炭酸サマリウム、酢酸サマリウム等が挙げられる。
この熟成とは、前記触媒前駆体用スラリーを所定温度で所定時間、撹拌することをいう。この熟成により、スラリーの粘度が上昇し、スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程での成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより良好となる。
前記熟成にかける時間は、2〜12時間がよく、3〜8時間が好ましい。熟成時間が2時間未満では、触媒の活性及び選択性が十分に発現しない場合がある。一方、12時間を超えても熟成効果が増大することはなく、工業的な実施には不利である。
灼熱減量(%)=[(W0−W1)/W0]×100
・W0:触媒前駆体を150℃で3時間乾燥して付着水分を除いたものの重量(g)
・W1:付着水分を除いた前記触媒前駆体を更に500℃で2時間熱処理した後の重量(g)
次に、このものを、好ましくは450〜650℃の温度条件にて1〜16時間程度の最終熱処理に付す。以上のようにして、高活性で、かつ目的とする酸化生成物を高い収率で与える複合酸化物触媒が得られる。
本発明の分子状酸素含有ガスとは、通常、分子状酸素が10体積%以上、好ましくは、15体積%以上、更に好ましくは20体積%以上含まれるガスのことであり、具体的に好ましくは空気である。なお、分子状酸素含有ガスを工業的に用意するのに必要なコストが増加するという観点から、分子状酸素の含有量の上限としては、通常50体積%以下であり、好ましくは、30体積%以下、更に好ましくは25体積%以下である。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、分子状酸素含有ガスには、任意の不純物を含んでいても良い。
本発明では、反応器に原料ガスを供給するにあたり、原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合し、その混合されたガス(以下、「混合ガス」呼ぶことがある)を反応器に供給する必要がある。なお、本発明の混合ガス中の、原料ガスの割合としては、通常、5.0体積%以上であり、好ましくは8.0体積%以上、更に好ましくは9.0体積%以上である。この下限値が大きくなるほど、反応器のサイズを小さくでき、建設費および運転に要するコストが低減する傾向にある。また、一方、上限は、25.0vol%以下であり、好ましくは、20.0vol%以下、更に好ましくは、15.0vol%以下である。この上限値が小さくなるほど、原料ガス中の触媒上へのコーキングの起因物質も低減するため、触媒のコーキングが発生しにくく好ましい。
可燃性ガス(主に原料ガス)と分子状酸素含有ガスの供給量を増やしていくときに窒素及び水蒸気のうち少なくとも一方の供給量を減らして混合ガスの供給量が一定となるようにしてもよい。こうすることで、配管および反応器における混合ガスの滞留時間を一定に保ち、圧力の変動を抑えることができる。
本発明では、可燃性ガス濃度が爆発上限界以上である混合ガスを反応器に供給して、触媒の存在下、酸化脱水素反応を行うことで生成ガスを得るが、反応器の入り口混合ガスの組成において、可燃性ガスが爆発上限界以上である場合、酸化脱水素反応により可燃性ガス濃度が低下しないので、反応器出口の組成も通常は爆発上限界以上であり、爆発の恐れはない。
生成ガス中の酸素濃度は、磁気ダンベル式などの公知の酸素濃度計やガスクロマトグラフィーを使用して、反応器出口若しくは反応の後工程にて測定することができる。
本発明の酸化脱水素反応に用いられる反応器は特に限定されないが、具体的には、管型反応器、槽型反応器、又は流動床反応器が挙げられ、好ましくは、固定床反応器、より好ましくは固定床の多管式反応器やプレート式反応器であり、最も好ましくは固定床の多管式反応器である。
本発明の酸化脱水素反応は発熱反応であり、反応により温度が上昇するが、本発明では、通常、反応温度は250〜450℃、好ましくは、280〜400℃の範囲に調整される。この温度が大きくなるほど、触媒活性が急激に低下しやすい傾向にあり、小さくなるほど、目的生成物である共役ジエンの収率が低下する傾向にある。反応温度は、熱媒体(例えば、ジベンジルトルエンや亜硝酸塩など)を使用して制御することができる。なお、ここでいう反応温度は熱媒体の温度のことのことである。
なお、本発明では、反応器の後段に後工程として、冷却工程、脱水工程、溶媒吸収工程、精製工程なども必要に応じて設けても良い。
以下に、図面を参照して、本発明の共役ジエンの製造方法に関するプロセスの実施形態について、ブタジエンを製造する例を挙げて説明する。
図1において、1は反応器(反応塔)、2はクエンチ塔、3,6,13は冷却器(熱交換器)、4,7,14はドレンポット、8A,8Bは脱水塔、9は加熱器(熱交換器)、10は溶媒吸収塔、11は脱気塔、12は溶媒分離塔を示し、符号100〜126は配管を示す。
なお、図1においては、BBSSとしてブテンを用い、得られる共役ジエンとしてブタジエンを用いた場合を示す。
パラモリブデン酸アンモニウム54gを純水250mlに70℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト31.8g及び硝酸ニッケル31.8gを純水60mlに70℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合した。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:5:2.5:2.5:0.4:0.35:0.2:0.08:24
また、調製の際のモリブデンの原子比a1とa2は、それぞれ6.9と5.1であった。
[不活性ガス−空気−可燃性ガス爆発範囲の測定]
不活性ガス、空気、可燃性ガスの混合割合を種々変更した混合ガスを用意し、それらを点火プラグと圧力計を備えた1Lの耐圧容器に導入し、点火プラグでスパークを飛ばして爆発するかどうかを調べた。爆発の判定は以下の基準で実施し、不爆または境界と判定された可燃物濃度をもって爆発範囲とした。
・不爆:爆発圧力上昇率が8%未満
・境界:爆発圧力上昇率が8%を超えて10%未満
・爆発:爆発圧力上昇率が10%を超える
[結果]
不活性ガス−空気−可燃性ガス爆発範囲の測定によって、反応器に供給する不活性ガスを窒素と二酸化炭素にすることで、不活性ガスの種類を窒素と二酸化炭素の混合ガスで得られた爆発範囲図(図4)から、生成ガスの爆発限界の領域が狭まることが分かった。
上部が内径6mm長さ175mm、下部が内径4mm長さ125mmのパイレックス製反応管の内径6mm部分に製造例で調製した触媒を0.38g充填した。この反応管には外径1.6mmの挿入管を設置し、挿入管の中に熱電対を設置して反応器内温度を測定した。加熱源としては電気ヒータを利用した。
不活性ガスとして窒素を1.37L/hr、酸素を0.29L/hr、水蒸気を0.200L/hr、及び表1に示す組成の原料ガスを0.23L/hr供給し、ヒータで触媒層最高温度を387℃に昇温した。この際、触媒量0.6gに対して、合計ガス流量は2.00L/hであった。また、混合ガス中の原料ガスの割合は11.3体積%であり、混合ガス中のn−ブテン(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン)の割合は8.6体積%であった。なお、反応器出口での生成ガス中の酸素濃度は6.4体積%とした。
反応器出口からの生成ガスは冷却した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。n−ブテン転化率(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの合計での転化率)は85.8mol%、ブタジエン選択率は84.7mol%であった。133時間反応継続後の触媒層へのコーク付着量は0.8wt%だった。
製造例1において、触媒の充填量を0.4gに変更して反応器出口での生成ガス中の酸素濃度を7.0体積%とした以外は、全て同様に実施した。反応器出口からの生成ガスは冷却した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。n−ブテン転化率(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの合計での転化率)は81.7mol%、ブタジエン選択率は89.0mol%であった。200時間反応継続後の触媒層へのコーク付着量は0.4%であった。
製造例1と製造例2の結果から、反応器出口の生成ガス中の酸素濃度を高くする事により触媒のコーク付着量が半減しており、触媒のコーキングが抑制出来る事が明確に示された。また、図5に、製造例1と製造例2それぞれの反応器出口生成ガス中の組成を、図4の上にプロットした図を示す。この図から、製造例2で得られた反応器出口ガスから反応器後段の溶媒吸収等の操作により可燃性物質(ブテン、ブタジエンなど)を除去した場合、当該操作で得られる無機ガスを主とする混合ガス中の可燃性物質濃度は低下することから、窒素を不活性ガスとして用いた場合の爆発範囲を横切る恐れがある。一方、窒素―二酸化炭素混合物を不活性ガスとして用いる場合には、爆発範囲が狭くなるため結果として可燃性物質濃度が低下しても爆発範囲を横切らないので、窒素―二酸化炭素混合物を不活性ガスを使用すれば、爆発範囲を横切る恐れが無く、安全に反応器の出口での生成ガス中の酸素濃度を高くして触媒のコーキングを抑制できることが期待される。
不活性ガスとして窒素を1.08L/hr、酸素を0.21L/hr、水蒸気を0.5L/hr、及び表1に示す組成の原料ガスを0.26L/hr供給し、ヒータで触媒層最高温度を390℃に昇温した。この際、触媒量0.8gに対して、合計ガス流量は2.00L/hであった。また、混合ガス中の原料ガスの割合は13.1体積%であり、混合ガス中のn−ブテン(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン)の割合は10.1体積%であった。なお、反応器出口での生成ガス中の酸素濃度は2.8体積%とした。反応器出口からの生成ガスは冷却した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。n−ブテン転化率(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの合計での転化率)は90.5mol%、ブタジエン選択率は85.4mol%であった。150時間反応継続後の触媒層へのコーク付着量は7.8wt%であった。
製造例3において、触媒の充填量を0.5gに変更して反応器出口での生成ガス中の酸素濃度を7.0体積%とした以外は、全て同様に実施した。反応器出口からの生成ガスは冷却した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。n−ブテン転化率(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの合計での転化率)は88.0mol%、ブタジエン選択率は87.3mol%であった。130時間反応継続後の触媒層へのコーク付着量はわずかに0.3wt%であった。
製造例3と製造例4の結果から、反応器出口の生成ガス中の酸素濃度を高くする事により触媒のコーキングが抑制出来る事が明確に示された。また、図6に、製造例3と製造例4それぞれの反応器出口生成ガス中の組成を、図4の上にプロットした図を示す。この図から、製造例4で得られた反応器出口ガスから反応器後段の溶媒吸収等の操作により可燃性物質(ブテン、ブタジエンなど)を除去した場合、当該操作で得られる無機ガスを主とする混合ガス中の可燃性物質濃度は低下することから、窒素を不活性ガスとして用いた場合の爆発範囲を横切る恐れがある。一方、窒素―二酸化炭素混合物を不活性ガスとして用いる場合には、爆発範囲が狭くなるため結果として可燃性物質濃度が低下しても爆発範囲を横切らないので、窒素―二酸化炭素混合物を不活性ガスを使用すれば、爆発範囲を横切る恐れが無く、安全に反応器の出口での生成ガス中の酸素濃度を高くして触媒のコーキングを抑制できることが期待される。
不活性ガスとして窒素を0.50L/hr、酸素を0.18L/hr、水蒸気を0.28/hr、及び表1に示す組成の原料ガスを0.18L/hr供給し、ヒータで触媒層最高温度を390℃に昇温した。この際、触媒量0.3gに対して、合計ガス流量は1.1L/hであった。また、混合ガス中の原料ガスの割合は18.4体積%であり、混合ガス中のn−ブテン(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン)の割合は13.4体積%であった。なお、反応器出口での生成ガス中の酸素濃度は5.4体積%とした。反応器出口からの生成ガスは冷却した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。n−ブテン転化率(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの合計での転化率)は85.5mol%、ブタジエン選択率は85.0mol%であった。200時間反応継続後の触媒層へのコーク付着量は14.2wt%であった。
製造例5において、触媒の充填量を0.5g、混合ガス流量を2.0L/hr、反応器出口での生成ガス中の酸素濃度を6.9体積%とした以外は、全て同様に実施した。反応器出口からの生成ガスは冷却した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。n−ブテン転化率(1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの合計での転化率)は83.7mol%、ブタジエン選択率は88.0mol%であった。133時間反応継続後の触媒層へのコーク付着量は0.6wt%であった。
製造例5と製造例6の結果から、反応器出口の生成ガス中の酸素濃度を高くする事により触媒のコーキングが抑制出来る事が明確に示された。また、図7に、製造例5と製造例6それぞれの反応器出口生成ガス中の組成を、図4の上にプロットした図を示す。この図から、製造例6で得られた反応器出口ガスから反応器後段の溶媒吸収等の操作により可燃性物質(ブテン、ブタジエンなど)を除去した場合、当該操作で得られる無機ガスを主とする混合ガス中の可燃性物質濃度は低下することから、窒素を不活性ガスとして用いた場合の爆発範囲を横切る恐れがある。一方、仮に、窒素―二酸化炭素混合物を不活性ガスとして用いる場合には、爆発範囲が狭くなるため結果として可燃性物質濃度が低下しても爆発範囲を横切らないので、窒素―二酸化炭素混合物を不活性ガスを使用すれば、爆発範囲を横切る恐れが無く、安全に反応器の出口での生成ガス中の酸素濃度を高くして触媒のコーキングを抑制できることが期待される。
2 クエンチ塔
3,6,13 冷却器
4,7,14 ドレンポット
5 圧縮機
8A,8B 脱水塔
9 加熱器(熱交換器)
10 溶媒吸収塔
11 脱気塔
12 溶媒分離塔
100〜126 配管
Claims (3)
- 炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合して得られる混合ガスを反応器に供給する工程と、触媒の存在下、前記炭素原子数4以上のモノオレフィンの酸化脱水素反応により生成した対応する共役ジエンを含む生成ガスを得る工程とを有する共役ジエンの製造方法において、
前記混合ガス中の直鎖状の炭素原子数4以上のモノオレフィンの濃度が1体積%以上であって、かつ、前記反応器に窒素と二酸化炭素を含む不活性ガスを供給することを特徴とする共役ジエンの製造方法。 - 前記触媒が、少なくともモリブデン、ビスマス及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエンの製造方法。
- 前記原料ガスが、エチレンの2量化により得られる1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン若しくはこれらの混合物を含有するガス、n−ブタンの脱水素若しくは酸化脱水素反応により生成するブテン留分、又は重油留分を流動接触分解する際に得られる炭素原子数が4の炭化水素を含むガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の共役ジエンの製造方法。
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