[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態である車両用前照灯10について図面を参照しながら説明する。
図1は、車両前端の右側に配置された車両用前照灯10の例である。
車両用前照灯10は、少なくとも一つのスポット配光ユニット20(図1中、車両中央寄りに配置された2つのスポット配光ユニット20を例示)、少なくとも一つの拡散配光ユニット30(図1中、車両側面寄りに配置された2つ拡散配光ユニット30を例示)、各ユニット20、30の前方に配置されたアウターレンズL等を備えている。なお、各ユニット20、30は、求められる配光パターンの明るさに応じて適宜その数を増減することが可能である。各ユニット20、30には、それぞれの光軸調整が可能なように公知のエイミング機構(図示せず)が連結されている。
[スポット配光ユニット20]
図2は、スポット配光ユニット20をその光軸AX20を含む水平面で切断した横断面図である。
本実施形態のスポット配光ユニット20は、いわゆるダイレクトプロジェクション型の灯具ユニットであり、図2に示すように、車両前後方向に延びる光軸AX20上に配置された投影レンズ21、投影レンズ21の後方に配置された光源ユニット22等を備えている。
投影レンズ21は、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が凹面のメニスカスレンズである。本実施形態では、集光性が高いスポット配光パターンを形成する観点から、光源のサイズを考慮して、投影レンズ21として、車両後方側焦点距離が50[mm]、光取り込み角θ1が60°(全角)の投影レンズを用いている。投影レンズ21は、レンズホルダー23に保持されて光軸AX20上に配置されている。なお、光取り込み角θ1とは、投影レンズ21の車両後方側焦点F21近傍に配置された光源から放射される光束が当該投影レンズ21(有効径)に入射する角度(全角)のことである。
投影レンズ21の車両前方側表面(凸面)は、車両後方側焦点F21近傍に配置された光源から放射されて当該投影レンズ21を透過する光束が、鉛直方向より水平方向に大きく拡散して、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前端部前方約25mに配置されている)上にカットオフラインを含むスポット配光パターンを形成するように、投影レンズ21を透過する光束を予め定められた方向に屈折させて出射する非球面のレンズ面とされている(例えば、特開2010−153402号公報参照)。なお、投影レンズ21は、メニスカスレンズに限定されず、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が平面の平凸レンズであってもよい。
図3は、光源ユニット22をその光軸AX22eを含む水平面で切断した横断面図である。
図3に示すように、光源ユニット22は、励起光源22a、集光レンズ22b、波長変換部材22c、リフレクタ22d及びこれらを保持するホルダー22e等を備えている。励起光源22a、集光レンズ22b、波長変換部材22c及びリフレクタ22dは、ホルダー22eに保持されて、光軸AX20上に配置されている。
ホルダー22eは、アルミ等の金属製筒部(例えば、円筒型筒部)であって、その前端開口を閉塞するプレート部22fを含んでいる。ホルダー22eは、その軸AX22eを光軸AX20に一致させるとともに、プレート部22fを投影レンズ21側に向けた状態でレンズホルダー23に固定されている(図2参照)。
プレート部22fのうちホルダー22eの軸AX22e上(例えば、円筒型筒部の中心軸上)の部分には貫通穴H22fが形成されている。当該貫通穴H22fは波長変換部材22cで覆われている。
励起光源22aは、励起光を発生する励起光源で、LEDやLD等の半導体発光素子が望ましく、特に、光利用効率の観点から、LD(レーザーダイオード)が望ましい。本実施形態では、励起光源として、発光波長が450[nm]程度のLDを用いている。なお、励起光源22aの波長は、450[nm]に限定されず、例えば、近紫外発光(405[nm])のLDであってもよい。この場合、波長変換部材22cとして、RGB発光の蛍光体を混合させた蛍光体が用いられる。
励起光源22aは、その軸AX22aをホルダー22eの軸AX22eに一致させるとともに、その発光面をプレート部22fに向けた状態でホルダー22eの後端側に固定されている。
集光レンズ22bは、励起光源22aから放射される励起光が入射するように、ホルダー22eに固定されて励起光源22aの前方に配置されている。
波長変換部材22cは、励起光を吸収し、波長変換して所定の波長域の光を放出する波長変換部材(本実施形態ではYAG蛍光体)である。
波長変換部材22cは、集光レンズ22bで集光された励起光源22aからの励起光が照射されるように(すなわち、励起光源22aの光源像が投影されるように)、プレート部22f(に形成された貫通穴H22f)に固定されて集光レンズ22bの前方に配置されている。
本実施形態では、波長変換部材22cとして、光軸AX20上に中心を持つ円形の蛍光体セラミックス(厚み:80μm、直径:0.6mm、YAGの濃度:20%、アルミナ等のセラミックス材料の濃度:80%)を用いている。なお、蛍光体セラミックスの厚み、直径、YAGの濃度、アルミナ等のセラミックス材料の濃度はこれらに限定されず、適宜調整することが可能である。なお、波長変換部材22cの形状は、円形に限られず、例えば、車両左右方向(車幅方向)が長手の楕円又は矩形形状であってもよい。
プレート部22fに形成された貫通穴H22fは、投影レンズ21側(車両前方側)の大径穴、その反対側(車両後方側)の小径穴を含んでいる(いずれも図示せず)。大径穴と小径穴との境界には、段差部が形成されている。大径穴は、波長変換部材22cと略同一の直径とされている。波長変換部材22cは、段差部に当接するまで貫通穴H22f内(大径穴内)に挿入されるとともに、接着剤等の公知の手段を用いてプレート部22f(大径穴内)に固定されている。波長変換部材22cは、投影レンズ21の車両後方側焦点F21より後方に位置している。
波長変換部材22cは、これを透過する励起光源22aからの励起光と励起光源22aから入射する励起光で励起されて発光した波長変換部材22cからの光との混色による白色光(疑似白色光)を放射する。波長変換部材22c及び励起光源22aから発生する熱量は、アルミ等の金属製筒部であるホルダー22eの作用により放熱される。
波長変換部材22cの表面のうち励起光源22a側には、励起光源22aからの励起光の反射を防止するための反射防止膜(ARコート)や、励起光源22aからの励起光を透過させ、波長変換部材22cからの黄色光を反射するダイクロコートを施してもよい。反射防止膜を施した場合には、励起光源22aからの励起光を効率よく波長変換部材22c内に入射させることが可能となるため、光利用効率を向上させることが可能となる。ダイクロコートを施した場合には、波長変換部材22cから励起光源22a側へ向かう黄色光を投影レンズ21側へ反射させることが可能となるため、光利用効率を向上させることが可能となる。
波長変換部材22cから放射される光束の指向特性は略ランバーシアンになる。ランバーシアンとは、波長変換部材22cの軸上光度を100%(I0)とした場合の(θ=0)、波長変換部材22cに対して所定角度θ傾いた方向の光度の割合のことであり、I(θ)=I0×cosθで表される。これは、波長変換部材22cが放射する光束の広がりを表している。
上記のように波長変換部材22cから放射される光束の指向特性が略ランバーシアンであるため、投影レンズ21の光取り込み角θ1が60°(全角)である場合、波長変換部材22cを投影レンズ21の車両後方側焦点F21近傍に配置すると、当該波長変換部材22cから放射された光束のうち約25%が投影レンズ21を透過するにすぎず、約75%は投影レンズ21を透過しない。この場合、光利用効率は約25%となる。
本実施形態では、投影レンズ21を透過する光束を増やすために、波長変換部材22cの前方にリフレクタ22dを配置してある。
図3に示すように、リフレクタ22dは、一端側開口である入射口22d2とその反対側の他端側開口である出射口22d3とを含むとともに、投影レンズ21の車両後方側焦点F21近傍に配置された出射口22d3から波長変換部材22c近傍に配置された入射口22d2に向かうにつれ錐体状に狭まるように延びる貫通穴を含んでいる。
本実施形態では、リフレクタ22dの貫通穴は、光源ユニット22の軸AX22eを回転軸とする円錐型の貫通穴とされている(図3参照)。リフレクタ22dは、例えば、樹脂(アクリルやポリカーボネイト等)を、金型に注入し、冷却、固化させることで成形されている。そして、リフレクタ22dの貫通穴の内周面には、アルミ蒸着等の鏡面処理を施すことで、投影レンズ21の車両後方側焦点F21近傍に配置された出射口22d3から波長変換部材22c近傍に配置された入射口22d2に向かうにつれ円錐状に狭まるように延びる錐体筒状反射面22d1が形成されている。本実施形態では、錐体筒状反射面22d1は、反射率が例えば0.85で、光源ユニット22の軸AX22eを含む鉛直断面に直線を含む円錐筒状反射面とされている。
入射口22d2及び出射口22d3は、波長変換部材22cの形状に合わせて、光源ユニット22の軸AX22e上に中心を持つ円形とされている。
入射口22d2は、波長変換部材22cから放射される光束がリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)内に漏れなく入射するように、波長変換部材22cと略同一サイズ(本実施形態では、直径:0.6mm)とされている。出射口22d3には、これを通過する波長変換部材22cからの光束によって仮想の光源像が形成される。出射口22d3は、これに形成される仮想の光源像を前方に投影するために、投影レンズ21の車両後方側焦点F21近傍に配置されている。
リフレクタ22dは、入射口22d2とプレート部22fに形成された貫通穴H22fとを略一致させるとともに略密着させた状態で、ネジ、接着剤等の公知の手段を用いてプレート部22fに固定されている。なお、波長変換部材22cは、入射口22d2に対して車両後方側に配置されていてもよいし、入射口22d2内(錐体筒状反射面22d1内)に配置されていてもよい。
リフレクタ22dの入射口径(直径)と出射口径(直径)の比率は、以下の観点から1:2とされている。
本出願の発明者は、リフレクタ22dの出射口径/入射口径を変化させた場合、指向角内光束/光源光束がどのように変化するかについて、シミュレーションを行った。図4は、そのシミュレーションの結果をプロットしたグラフである。横軸がリフレクタ22dの出射口径/入射口径、縦軸が指向角内光束/光源光束を表している。
このシミュレーションは、入射口22d2、出射口22d3、波長変換部材22cがそれぞれ円形、入射口径=波長変換部材22cの径(=0.6mm)、テーパー角度α=出射口22d3において指向角内光束が最大になる角度という条件の下で、指向角40°、60°、80°、100°ごとに行った。なお、テーパー角度αとは、光源ユニット22の軸AX22eを含む錐体筒状反射面22d1の鉛直断面(直線)と光軸AX20とがなす角度のことである(図3参照)。光源光束とは、波長変換部材22cから放射される全光束のことである。
図4を参照すると、指向角が60°の場合、リフレクタ22dの出射口径/入射口径が約4以上のときに、指向角内光束/光源光束が最大(約75%)となることが分かる。なお、図4中、指向角が60°かつ出射口径/入射口径=1のときの指向角内光束/光源光束(約25%)は、リフレクタ22dを省略した場合の指向角内光束/光源光束を表している。
スポット配光ユニット20の小型化を考慮すると、出射口径/入射口径をできる限り小さくすることで出射口径を小さくするのが望ましい。しかしながら、出射口径/入射口径を小さくするとそれにつれ指向角内光束/光源光束も小さくなってしまう(図4参照)。
車両用前照灯の光源としては、光源サイズが小さくかつ光束が大きい方が望ましく、この観点からは、車両用前照灯として有効活用できる指向角全角40〜100°の範囲で、図4中の変曲点付近の倍率1.5〜4.0を用いるのが望ましい。
本実施形態では、以上を考慮して、スポット配光ユニット20の小型化を実現しつつ、なおかつ、スポット配光パターンに求められる光束を確保する観点から、入射口径と出射口径の比率として、1:2を選定してある。
リフレクタ22dのテーパー角度αは、以下の観点から15°とされている。
本出願の発明者は、テーパー角度αを変化させた場合、指向角内/光源光束がどのように変化するかについて、シミュレーションを行った。図5は、そのシミュレーションの結果をプロットしたグラフである。横軸がテーパー角度α、縦軸が指向角内/光源光束を表している。
このシミュレーションは、出射口径/入射口径=2、入射口22d2、出射口22d3、波長変換部材22cがそれぞれ円形、入射口径=波長変換部材22cの径(=0.6mm)という条件の下で、指向角40°、60°、80°、100°ごとに行った。
図5を参照すると、テーパー角度αが特定の角度のときに、指向角内光束/光源光束が最大となること、例えば、指向角が60°の場合、テーパー角度αが15°のときに、指向角内光束/光源光束が最大となることが分かる。
このように、テーパー角度αが特定の角度のときに、指向角内光束/光源光束が最大となるのは、例えば、指向角(全角)80°の光束を取りたい場合、テーパー角度αが小さい領域では光源(波長変換部材22c)からの直射光の指向角(全角)80°内の光束も反射されるため反射ロスが発生すること、また、出射口22d3のサイズが定まっているため、テーパー角度αが大きいとリフレクタ22dの長さが短くなり錐体筒状反射面22d1に当たらない光束が増加し効率が低下すること、が原因と考えられる。
なお、出射口径/入射口径=2以外の場合でも、テーパー角度αが特定の角度のときに、指向角内光束/光源光束が最大となることが、本出願の発明者が行ったシミュレーションにより判明している(図6参照)。図6は、出射口径/入射口径を変化させた場合の、指向角内光束/光源光束が最大となるテーパー角度αを、指向角40°、60°、80°、100°ごとにプロットしたグラフである。横軸がリフレクタ22dの出射口径/入射口径、縦軸が指向角内光束/光源光束が最大となるテーパー角度αを表している。
図6を参照すると、入射口径と出射口径との比率が、1:1.5〜1:4.0の間において、テーパー角αを15〜40°内に設定することで、車両用前照灯として有効活用できる指向角40〜100°(全角)内の光束を最大化することが可能となることが分かる。
本実施形態では、より明るいスポット配光パターンを形成する観点から、リフレクタ22dのテーパー角度αとして、投影レンズ21の光取り込み角θ1に対応する指向角内光束/光源光束が最大となる角度15°を選定してある。
なお、リフレクタ22dの光軸AX20方向寸法は、リフレクタ22dの入射口径と出射口径の比率及びテーパー角度αを上記のように選定することで、自動的に定まる。
上記構成のスポット配光ユニット20によれば、励起光源22aから放射された励起光は、集光レンズ22bの作用により集光されて波長変換部材22cに照射される(すなわち、励起光源22aの光源像が、波長変換部材22cに投影される)。本実施形態では、波長変換部材22cに投影される励起光源22aの光源像は、波長変換部材22cと略同一の円形とされている。円形の光源像は、例えば、集光レンズ22bの焦点位置を調整することで形成可能である。
励起光が照射された波長変換部材22cは、その表面(及び/又は内部)で散乱した励起光源22aからの励起光(散乱光)と励起光源22aから入射する励起光で励起されて発光した波長変換部材22cからの光との混色による白色光(擬似白色光)を放射する。
波長変換部材22cから放射された光束は、入射口22d2から錐体筒状反射面22d1内に入射し、当該反射面22d1で反射されて出射口22d3から出射し(又は当該反射面22d1で反射されること無く直接出射口22d3から出射し)、投影レンズ21を透過して、前方に照射される。すなわち、出射口22d3を通過する光束によって当該出射口22d3に仮想の光源像が形成されて、この仮想の光源像が前方に投影される形となる。
これにより、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前端部前方約25mに配置されている)上に、合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中のホットゾーンHzを照射するスポット配光パターンP1aが形成される(図7参照)。スポット配光パターンP1aは、投影レンズ21(車両前方側表面)の作用により形成されるカットオフラインCL1aをその上端縁に含んでいる。シェードで光束の一部を遮光してカットオフラインを形成する場合と比べ、光束の損失無く、カットオフラインCL1aを形成することが可能となる。
なお、スポット配光ユニット20は、スポット配光パターンP1aが合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中のホットゾーンHzを照射するように公知のエイミング機構(図示せず)により光軸調整されている。
以上のように、本実施形態のスポット配光ユニット20によれば、波長変換部材22cの前方に配置されたリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)の作用により、波長変換部材22cから放射される光束の指向角を狭めることが可能となるため、従来、投影レンズ21に入射させることができなかった光束を、投影レンズ21に入射させることが可能となる。これにより、光利用効率の高い車両用前照灯を構成することが可能となる。
本実施形態のスポット配光ユニット20によれば、上記のように入射口径と出射口径の比率及びテーパー角度αが設定されたリフレクタ22dを、波長変換部材22cの前方に配置することで、波長変換部材22cから放射された光束のうち約65%が、投影レンズ21を透過することとなる(図4参照)。すなわち、本実施形態のスポット配光ユニット20によれば、リフレクタ22dを配置しない場合と比べ、約2.5倍の光束をスポット配光パターンP1aの形成に用いることが可能となる、光利用効率の極めて高いスポット配光ユニット20を構成することが可能となる。
また、本実施形態のスポット配光ユニット20によれば、波長変換部材22cの前方に配置されたリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)の作用により、波長変換部材22cから放射される光束の指向角を狭めることが可能となるため、投影レンズ21等のサイズを小さくしても、十分な明るさのスポット配光パターンP1aを形成することが可能となる。
なお、出射口22d3の面積は2[mm2]以下が望ましい。このようにすれば、LEDと同等の発光面積で、LEDより指向角が狭い仮想の光源を出射口22d3に形成することが可能となる。このように、LEDと同等の発光面積とすることが可能となるため、LED用に設計された光学系と本実施形態の光源ユニット22とを組み合わせることで、光利用効率の高い車両用前照灯を構成することが可能となる。
また、本実施形態のスポット配光ユニット20によれば、励起光源22aと波長変換部材22cとが離間して配置されているため、リフレクタ22dに励起光源22aの熱が直に伝わることが無い。このため、リフレクタ22dを樹脂等で成形したとしても、リフレクタ22dが励起光源22aの熱の影響を受けて損傷するのを抑えることが可能となる。
[拡散配光ユニット30]
次に、左右方向に大きく拡散するワイド配光パターンを形成する拡散配光ユニット30について説明する。
図8は、拡散配光ユニット30をその光軸AX30を含む水平面で切断した横断面図である。
拡散配光ユニット30と上記構成のスポット配光ユニット20とを比較すると、前者の投影レンズ31の車両後方側焦点距離及び光取り込み角θ2がそれぞれ10[mm]及び100°(全角)であるのに対して、後者の投影レンズ21の車両後方側焦点距離及び光取り込み角θ1がそれぞれ50[mm]及び60°(全角)である点で、両者は相違する。
また、前者のリフレクタ22dの入射口径と出射口径の比率及びテーパー角度αが1:2及び25°であるのに対して、後者のリフレクタ22dの入射口径と出射口径の比率及びテーパー角度αが1:2及び15°である点で、両者は相違する。
上記相違点以外、スポット配光ユニット20と同様の構成である。以下、スポット配光ユニット20との相違点を中心に説明し、スポット配光ユニット20と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の拡散配光ユニット30は、いわゆるダイレクトプロジェクション型の灯具ユニットであり、図8に示すように、車両前後方向に延びる光軸AX30上に配置された投影レンズ31、投影レンズ31の後方に配置された光源ユニット22等を備えている。光源ユニット22は、第1実施形態で説明したものと同様である。
投影レンズ31は、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が凹面のメニスカスレンズである。本実施形態では、左右方向(例えば、左右50°の範囲)に大きく拡散するワイド配光パターンを形成する観点から、光源のサイズを考慮して、投影レンズ31として、車両後方側焦点距離が10[mm]、光取り込み角θ2が100°(全角)の投影レンズを用いている。投影レンズ31は、レンズホルダー33に保持されて光軸AX30上に配置されている。なお、光取り込み角θ2とは、投影レンズ31の車両後方側焦点F31近傍に配置された光源から放射される光束が当該投影レンズ31(有効径)に入射する角度(全角)のことである。
投影レンズ31の車両前方側表面(凸面)は、車両後方側焦点F31近傍に配置された光源から放射されて当該投影レンズ31を透過する光束が、鉛直方向より水平方向に大きく拡散して、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前端部前方約25mに配置されている)上にカットオフラインを含むワイド配光パターンを形成するように、投影レンズ31を透過する光束を予め定められた方向に屈折させて出射する非球面のレンズ面とされている(例えば、特開2010−153402号公報参照)。なお、投影レンズ31は、メニスカスレンズに限定されず、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が平面の平凸レンズであってもよい。
上記のように波長変換部材22cから放射される光束の指向特性が略ランバーシアンであるため、投影レンズ31の光取り込み角θ2が100°(全角)である場合、波長変換部材22cを投影レンズ31の車両後方側焦点F31近傍に配置すると、当該波長変換部材22cから放射された光束のうち約60%が投影レンズ31を透過するにすぎず、約40%は投影レンズ31を透過しない。この場合、光利用効率は約60%となる。
本実施形態では、投影レンズ31を透過する光束を増やすために、波長変換部材22cの前方にリフレクタ22dを配置してある。
図8に示すように、リフレクタ22dは、一端側開口である入射口22d2とその反対側の他端側開口である出射口22d3とを含むとともに、投影レンズ31の車両後方側焦点F31近傍に配置された出射口22d3から波長変換部材22c近傍に配置された入射口22d2に向かうにつれ錐体状に狭まるように延びる貫通穴を含んでいる。
本実施形態では、リフレクタ22dの貫通穴は、光源ユニット22の軸AX22eを回転軸とする円錐型の貫通穴とされている(図8参照)。
入射口22d2は、波長変換部材22cから放射される光束がリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)内に漏れなく入射するように、波長変換部材22cと略同一サイズ(本実施形態では、直径:0.6mm)とされている。出射口22d3には、これを通過する波長変換部材22cからの光束によって仮想の光源像が形成される。出射口22d3は、これに形成される仮想の光源像を前方に投影するために、投影レンズ31の車両後方側焦点F31近傍に配置されている。
リフレクタ22dの入射口径(直径)と出射口径(直径)の比率は、以下の観点から1:2とされている。
図4を参照すると、指向角が100°の場合、リフレクタ22dの出射口径/入射口径が約2以上のときに、指向角内光束/光源光束が最大(約88%)となることが分かる。なお、図4中、指向角が100°かつ出射口径/入射口径=1のときの指向角内光束/光源光束(約60%)は、リフレクタ22dを省略した場合の指向角内光束/光源光束を表している。
本実施形態では、ワイド配光パターンに求められる光束を確保する観点から、入射口径と出射口径の比率として、1:2を選定してある。
リフレクタ22dのテーパー角度αは、以下の観点から25°とされている。
図5を参照すると、指向角が100°の場合、テーパー角度αが25°のときに、指向角内光束/光源光束が最大となることが分かる。
本実施形態では、より明るいワイド配光パターンを形成する観点から、リフレクタ22dのテーパー角度αとして、投影レンズ31の光取り込み角θ2に対応する指向角内光束/光源光束が最大となる角度25°を選定してある。
なお、リフレクタ22dの光軸AX30方向寸法は、リフレクタ22dの入射口径と出射口径の比率及びテーパー角度αを上記のように選定することで、自動的に定まる。
上記構成の拡散配光ユニット30によれば、励起光源22aから放射された励起光は、集光レンズ22bの作用により集光されて波長変換部材22cに照射される(すなわち、励起光源22aの光源像が、波長変換部材22cに投影される)。本実施形態では、波長変換部材22cに投影される励起光源22aの光源像は、波長変換部材22cと略同一の円形とされている。円形の光源像は、例えば、集光レンズ22bの焦点位置を調整することで形成可能である。
励起光が照射された波長変換部材22cは、その表面(及び/又は内部)で散乱した励起光源22aからの励起光(散乱光)と励起光源22aから入射する励起光で励起されて発光した励起光源22aからの光との混色による白色光(擬似白色光)を放射する。
波長変換部材22cから放射された光束は、入射口22d2から錐体筒状反射面22d1内に入射し、当該反射面22d1で反射されて出射口22d3から出射し(又は当該反射面22d1で反射されること無く直接出射口22d3から出射し)、投影レンズ31を透過して、前方に照射される。すなわち、出射口22d3を通過する光束によって当該出射口22d3に仮想の光源像が形成されて、この仮想の光源像が前方に投影される形となる。
これにより、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前端部前方約25mに配置されている)上に、合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中の拡散領域Aを照射するワイド配光パターンP1bが形成される(図7参照)。ワイド配光パターンP1bは、投影レンズ31(車両前方側表面)の作用により形成されるカットオフラインCL1bをその上端縁に含んでいる。シェードで光束の一部を遮光してカットオフラインを形成する場合と比べ、光束の損失無く、カットオフラインCL1bを形成することが可能となる。
なお、拡散配光ユニット30は、ワイド配光パターンP1bが合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中の拡散領域Aを照射するように公知のエイミング機構(図示せず)により光軸調整されている。
以上のように、本実施形態の拡散配光ユニット30によれば、波長変換部材22cの前方に配置されたリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)の作用により、波長変換部材22cから放射される光束の指向角を狭めることが可能となるため、従来、投影レンズ31に入射させることができなかった光束を、投影レンズ31に入射させることが可能となる。これにより、光利用効率を向上させることが可能となる。
本実施形態の拡散配光ユニット30によれば、上記のように入射口径と出射口径の比率及びテーパー角度αが設定されたリフレクタ22dを、波長変換部材22cの前方に配置することで、波長変換部材22cから放射された光束のうち約88%が、投影レンズ31を透過することとなる(図4参照)。すなわち、本実施形態の拡散配光ユニット30によれば、リフレクタ22dを配置しない場合と比べ、約1.5倍の光束をワイド配光パターンP1bの形成に用いることが可能となる、光利用効率の極めて高い拡散配光ユニット30を構成することが可能となる。
また、本実施形態の拡散配光ユニット30によれば、波長変換部材22cの前方に配置されたリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)の作用により、波長変換部材22cから放射される光束の指向角を狭めることが可能となるため、投影レンズ31等のサイズを小さくすることが可能となる。
なお、出射口22d3の面積は2[mm2]以下が望ましい。このようにすれば、LEDと同等の発光面積で、LEDより指向角が狭い仮想の光源を出射口22d3に形成することが可能となる。このように、LEDと同等の発光面積とすることが可能となるため、LED用に設計された光学系と本実施形態の光源ユニット22とを組み合わせることで、光利用効率の高い車両用前照灯を構成することが可能となる。
また、本実施形態の拡散配光ユニット30によれば、励起光源22aと波長変換部材22cとが離間して配置されているため、リフレクタ22dに励起光源22aの熱が直に伝わることが無い。このため、リフレクタ22dを樹脂等で成形したとしても、リフレクタ22dが励起光源22aの熱の影響を受けて損傷するのを抑えることが可能となる。
[合成配光パターンP1]
次に、上記構成のスポット配光ユニット20と拡散配光ユニット30とを組み合わせて構成される車両用前照灯10により仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前端部前方約25mに配置されている)上に形成される合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1について説明する。
図7は、スポット配光ユニット20により形成されるスポット配光パターンP1aと拡散配光ユニット30により形成されるワイド配光パターンP1bとを合成した合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1の例である。
カットオフラインは、灯具正面方向の消点であるH−Vを通る鉛直線であるV−V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V−V線よりも右側が、対向車線側カットオフラインCLRとして水平方向に延びるようにして形成されるとともに、V−V線より左側が、自車線側カットオフラインCLLとして対向車線側カットオフラインCLRよりも段上がりで水平方向に延びるようにして形成されている。そして、この自車線側カットオフラインCLLにおけるV−V線寄りの端部は、斜めカットオフラインCLSとして形成されている。この斜めカットオフラインCLSは、対向車線側カットオフラインCLRとV−V線との交点から左斜め上方の傾斜角(例えば45°程度)で延びている。
すれ違いビーム用配光パターンP1においては、対向車線側カットオフラインCLRとV−V線との交点であるエルボ点Eは、H−Hの0.5〜0.6°程度下方に位置しており、このエルボ点Eをやや左寄りに囲むようにして高光度領域であるホットゾーンHzが形成されている。そして、その外側にホットゾーンHzより拡散した拡散領域Aが形成されている。ホットゾーンHzには、スポット配光ユニット20からの光束が照射され、拡散領域Aには、拡散配光ユニット30からの光束が照射される。これにより、ホットゾーンHzがより明るい遠方視認性に優れた車両用前照灯に最適のすれ違いビーム用配光パターンP1を形成することが可能となる。
以上説明したように、上記構成のスポット配光ユニット20と拡散配光ユニット30とを組み合わせて構成される車両用前照灯10によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本実施形態の車両用前照灯10によれば、LEDと同等の発光面積で、LEDより指向角が狭い仮想の光源である出射口22d3からの光束でホットゾーンHzを照射する構成であるため、これと同等の発光面積を持つLEDからの光束でホットゾーンHzを照射する場合と比べ、ホットゾーンHzがより明るい遠方視認性に優れた車両用前照灯に最適の合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1を形成することが可能となる。
また、本実施形態の車両用前照灯10によれば、LEDと同等の発光面積で、LEDより指向角が狭い仮想の光源である出射口22d3からの光束でホットゾーンHzを照射する構成であるため、これと同等の発光面積を持つLEDからの光束でホットゾーンHzを照射する場合と比べ、より少ない数のスポット配光ユニット20でホットゾーンHzを十分明るく照射することが可能となる。このように、本実施形態の車両用前照灯10によれば、スポット配光ユニット20の数を減らしてもホットゾーンHzを十分明るく照射することが可能となるため、その分、車両用前照灯10の省スペース化を実現することが可能となる。
同様に、本実施形態の車両用前照灯10によれば、LEDと同等の発光面積で、LEDより指向角が狭い仮想の光源である出射口22d3からの光束で拡散領域Aを照射する構成であるため、これと同等の発光面積を持つLEDからの光束で拡散領域Aを照射する場合と比べ、より少ない数の拡散配光ユニット30で拡散領域Aを十分明るく照射することが可能となる。このように、本実施形態の車両用前照灯10によれば、拡散配光ユニット30の数を減らしても拡散領域Aを十分明るく照射することが可能となるため、その分、車両用前照灯10の省スペース化を実現することが可能となる。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、スポット配光ユニット20により形成されるスポット配光パターンP1aと拡散配光ユニット30により形成されるワイド配光パターンP1bとを合成した合成配光パターンが、すれ違いビーム用配光パターンP1である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、スポット配光ユニット20により形成される配光パターンP2aと拡散配光ユニット30により形成される配光パターンP2bとを合成した合成配光パターンは、図9に示すように、走行ビーム用配光パターンP2であってもよい。例えば、各ユニット20、30の投影レンズ21、31の車両前方側表面を調整することで、走行ビーム用配光パターンP2を形成することが可能である。
また、上記実施形態では、入射口22d2及び出射口22d3の形状が円形であるように説明したが、入射口22d2及び出射口22d3の形状は、波長変換部材22cの形状に合った形状であればよく、円形に限定されない。
例えば、円形の波長変換部材22cに代えて、アスペクト比(例えば1:2〜1:5)の矩形又は楕円形状の波長変換部材22cを用いる場合には、入射口22d2及び出射口22d3の形状も、アスペクト比(例えば1:2〜1:5)の矩形又は楕円形状を用いることが可能である。
このようにすれば、車両左右方向(車幅方向)に長い光源を実現することが可能となるため、車両用前照灯として最適な配光パターンを形成することが可能となる。
なお、図4〜図6は、入射口22d2、出射口22d3、波長変換部材22cがそれぞれ円形の場合のシミュレーションの結果であるが、入射口22d2、出射口22d3、波長変換部材22cがそれぞれ円形以外(例えば矩形又は楕円形状)であっても、円形の場合と同様の結果となることが判明している。
また、上記実施形態では、錐体筒状反射面22d1の、光源ユニット22の軸AX22eを含む鉛直断面が直線であるように説明したが、錐体筒状反射面22d1の、光源ユニット22の軸AX22eを含む鉛直断面は、当該円錐筒状反射面22d1で反射された波長変換部材22cからの光束が投影レンズ21に入射する形状であればよく、直線に限定されない。
例えば、錐体筒状反射面22d1の、光源ユニット22の軸AX22eを含む鉛直断面は、指向角内及び指向角外の光束が投影レンズ21に入射するように、波長変換部材22cから見て外側に凸の曲線であってもよい。このようにすれば、指向角内の光束に加え、指向角外の光束が投影レンズ21に入射することとなるため、その分、光利用効率がさらに向上することとなり、より高い明るいスポット配光パターン、ワイド配光パターンを形成することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、スポット配光ユニット20の第2実施形態として、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット40(ダイレクトプロジェクション型)について説明する。
図10(a)はライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット40(ダイレクトプロジェクション型)をその光軸を含む鉛直面で切断した断面図、図10(b)は共通ライトガイド41と個別ライトガイド42との接合部付近を拡大した断面図である。図11は、共通ライトガイド41と個別ライトガイド42との接合部付近を拡大した斜視図である。
本実施形態のスポット配光ユニット40は、第1実施形態のスポット配光ユニット20と比べ、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えている点、矩形形状の波長変換部材22cを用いている点が相違する。それ以外、第1実施形態のスポット配光ユニット20と同様の構成である。以下、第1実施形態のスポット配光ユニット20との相違点を中心に説明し、第1実施形態のスポット配光ユニット20と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のスポット配光ユニット40は、いわゆるダイレクトプロジェクション型の灯具ユニットであり、図10(a)に示すように、車両前後方向に延びる光軸AX40上に配置された投影レンズ21、共通ライトガイド41、個別ライトガイド42、第1フェルール43、第2フェルール44、波長変換部材22c、光源ユニット22A、リフレクタ22d等を備えている。
投影レンズ21は、レンズホルダー23に保持されて光軸AX40上に配置されている。
図10(b)、図11に示すように、共通ライトガイド41は、第1入光面41aと第1出光面41bとを含み、第1入光面41aから内部に導入された励起光を第1出光面41bまで導光(又は伝送)し、第1出光面41bから出射させる導光部材であり、例えば、中心部のコアとその周囲を覆うクラッドとを含む光ファイバである。本実施形態では、共通ライトガイド41として、コア断面のアスペクト比が1:2=高さH(例えば0.4[mm]):幅W(例えば0.8[mm])の矩形で、NAが0.22の光ファイバを用いている(図11参照)。なお、共通ライトガイド41のクラッドの外形は円形である。共通ライトガイド41のNAは個別ライトガイド42のNA以上が望ましい。
なお、コア断面のアスペクト比は1:2以上であればよく、矩形以外の例えば楕円であってもよい。このようにコア断面のアスペクト比が1:2以上の共通ライトガイド41を用いることで、車両用灯具の配光パターン(例えば、ハイビーム用配光パターンやロービーム用配光パターン)を形成するのに適した、左右方向(車幅方向)が長い光源像を形成することが可能となる。
コアは、クラッドと比較して屈折率が高い。従って、共通ライトガイド41の第1入光面41aから共通ライトガイド41内に導入された励起光は、コアとクラッドとの境界の全反射を利用してコア内部に閉じこめられた状態で第1出光面41bまで導光されて、第1出光面41bから出射する。
共通ライトガイド41の基端部は、第1フェルール43に形成されたライトガイド用貫通穴43aに挿入されて第1フェルール43に固定されている。共通ライトガイド41と第1フェルール43とは接着により固定されている。共通ライトガイド41の基端面(第1入光面41a)と第1フェルール43の基端面とは、第1フェルール43の基端面を研磨することで、ライトガイド用貫通穴41aの軸に直交する同一平面とされている。
第1フェルール43は、その基端部がレセプタ45のスリーブ45aの一端側に挿入されてこれに嵌合している。
第1フェルール43は、上記のようにレセプタ45のスリーブ45aに嵌合した状態で第1コネクタ46をレセプタ45にネジ止め固定することにより、レセプタ45に固定されている。第1コネクタ46としては、例えば、JIS規格のFCコネクタやSCコネクタ等の公知のものを用いることが可能である。
共通ライトガイド42の先端部は、保持部材47に形成されたライトガイド用貫通穴47aに挿入されて保持部材47に固定されている。
個別ライトガイド42は、第2入光面42aと第2出光面42bとを含み、第2入光面42aから内部に導入された励起光を第2出光面42bまで導光(又は伝送)し、第2出光面42bから出射させる導光部材であり、例えば、中心部のコアとその周囲を覆うクラッドとを含む光ファイバである。本実施形態では、個別ライトガイド42として、コア断面が直径d(例えば0.2[mm])の円形で、NAが0.22の三本の光ファイバを用いている(図11参照)。なお、個別ライトガイド42のクラッドの外形は円形である。
コアは、クラッドと比較して屈折率が高い。従って、個別ライトガイド42の第2入光面42aから個別ライトガイド42内に導入された励起光は、コアとクラッドとの境界の全反射を利用してコア内部に閉じこめられた状態で第2出光面42bまで導光されて、第2出光面42bから出射する。なお、個別ライトガイド42は、2つ以上であればよく、3つに限定されない。
個別ライトガイド42の先端部は、第2フェルール44に形成されたライトガイド用貫通穴44aに挿入されて第2フェルール44に固定されている。個別ライトガイド42と第2フェルール44とは接着により固定されている。個別ライトガイド42の先端面(第2出光面42b)と第2フェルール44の先端面とは、第2フェルール44の先端面を研磨することで、ライトガイド用貫通穴44aの軸に直交する同一平面とされている。なお、第1フェルール43と第2フェルール44は同径である。
共通ライトガイド41の第1入光面41aと個別ライトガイド42の第2出光面42bとは、次のように配置されている。
第2フェルール44は、その先端面(個別ライトガイド42の第2出光面42b)が第1フェルール43の基端面(共通ライトガイド41の第1入光面41a)に突き当たるまでレセプタ45のスリーブ45aの他端側に挿入されてこれに嵌合している。これにより、個別ライトガイド42の第2出光面42bと共通ライトガイド41の第1入光面41aとが対向し、面接触した状態でかつ同軸に配置されている。個別ライトガイド42の第2出光面42bは、共通ライトガイド41の第1入光面41a内に位置している(図11参照)。なお、レセプタ45は、スリーブ構造によって第1フェルール43と第2フェルール44とを精度よく接続でき、接続損失が少ないものが望ましい。
以上のように共通ライトガイド41の第1入光面41aと個別ライトガイド42の第2出光面42bとが配置されているため、個別ライトガイド42の第2出光面42bから出射する励起光を、共通ライトガイド41の第1入光面41aから共通ライトガイド41内部に効率よく導入することが可能となる。
第2フェルール44は、上記のようにレセプタ45のスリーブ45aに嵌合した状態で第2コネクタ48をレセプタ45にネジ止め固定することにより、レセプタ45に固定されている。第2コネクタ48としては、例えば、JIS規格のFCコネクタやSCコネクタ等の公知のものを用いることが可能である。
個別ライトガイド42の基端部は、保持部材22gに形成されたライトガイド用貫通穴22g1に挿入されて保持部材22gに固定されている。個別ライトガイド42の基端面(第2入光面42a)は、励起光源22aの前方近傍に配置されている。励起光源22aからの励起光が効率よく入光するように、個別ライトガイド42の第1入光面42aと励起光源22aとの間には、集光レンズ22bが配置されている。
保持部材22g、集光レンズ22b及び励起光源22aは、ホルダー22eに保持されて、光源ユニット22Aを構成している。
各ライトガイド41、42は、励起光源22aからの励起光を導光することができるものであればよく、単線ファイバであってもよいし、多線ファイバであってもよい。また、共通ライトガイド41は多モードファイバであり、個別ライトガイド42は単一モードファイバであってもよいし、多モードファイバであってもよい。また、各ライトガイド41、42の材質は特に問わない。例えば、各ライトガイド41、42は、石英ガラス製であってもよいし、プラスチック製であってもよいし、透明樹脂からなる導光部材(例えば導光棒)であってもよい。なお、各ライトガイド41、42は、単線ファイバ、多モードファイバが好ましい。
各フェルール43、44は、ステンレス製、ニッケル製、ジルコニア製であってもよいし、その他の金属製、樹脂製、ガラス製であってもよく、その材質は特に問わない。
各励起光源22aの波長(中心波長)は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。励起光源22aとしての半導体レーザー光源はスペクトル幅が狭いため、互いに異なる波長の複数の励起光源22aを用いることで、色再現性の高い車両用灯具の配光パターン(例えば、ハイビーム用配光パターンやロービーム用配光パターン)を形成することが可能となる。なお、各励起光源22aの波長(中心波長)は、それぞれのスペクトルの半値幅以上異なっていることが望ましい(例えば、図10(a)中上段の励起光源22aの波長:440[nm]、中段の励起光源22aの波長:445[nm]、下段の励起光源22aの波長:450[nm])。なお、励起光源22aとしての半導体レーザー光源には、図示しないペルチェ素子やヒートシンクが備えられており、スポット配光ユニット40と切り離すことが可能となっている。
励起光源22aからの励起光は、集光レンズ22bで集光され、個別ライトガイド42の第2入光面42a(コア)から個別ライトガイド42内に導入され第2出光面42bまで導光されて、第2出光面42bから出射し、さらに、共通ライトガイド41の第1入光面41a(コア)から共通ライトガイド41内に導入され第1出光面41bまで導光されて、第1出光面41bから出射する。
個別ライトガイド42は中心部のコアとその周囲を覆うクラッドとを含んでいるため、複数の個別ライトガイド42の第2出光面42bはコアがクラッドを挟んで配置されることとなり、その結果、クラッドが影となって、その第2出光面42bに強度ムラが発生する。
これに対して、本出願の発明者は、共通ライトガイド41の長さL(図10(b)、図11参照)を長くすることで、共通ライトガイド41の第1出光面41bの強度ムラが改善されて強度分布が均一(又は略均一)となることを確認した。
図12(a)〜図12(c)は、長さLが異なる共通ライトガイド41それぞれに三本の個別ライトガイド42から出射される同質の励起光を導入した場合の、共通ライトガイド41の第1出光面41bの強度分布を表している。
図12(a)〜図12(c)を参照すると、共通ライトガイド41の長さLを、2.5[mm](図12(a)参照)→5[mm](図12(b)参照)→10[mm](図12(c)参照)のように長くするに従って強度ムラが次第に改善され、長さL=10[mm]で強度分布が均一(又は略均一)となることが分かる。これは、共通ライトガイド41の長さLが長くなると、三本の個別ライトガイド42で導光(伝送)される励起光が共通ライトガイド41内で内部反射を繰り返す回数が増えて均一化され、この均一化された励起光が共通ライトガイド41の第1出光面41bから出射するためである。
また、本出願の発明者は、共通ライトガイド41の長さLを長くすることで、共通ライトガイド41の第1入光面41aに対する個別ライトガイド42の第2出光面42bの位置にかかわらず、共通ライトガイド41の第1出光面41bの強度ムラが改善されて強度分布が均一(又は略均一)となることを確認した。
図13(a)〜図13(d)は、長さLが異なる共通ライトガイド41それぞれに中央の個別ライトガイド42から出射される励起光を導入した場合の、共通ライトガイド41の第1出光面41bの強度分布を表している。図14(a)〜図14(e)は、長さLが異なる共通ライトガイド41それぞれに左端の個別ライトガイド42から出射される励起光を導入した場合の、共通ライトガイド41の第1出光面41bの強度分布を表している。
図13(a)〜図13(d)を参照すると、共通ライトガイド41の長さLを、2.5[mm]→5[mm]→10[mm]→20[mm]のように長くするに従って、強度ムラが次第に改善され、長さL=20[mm]で強度分布が均一(又は略均一)となることが分かる。これは、共通ライトガイド41の長さLが長くなると、中央の個別ライトガイド42で導光(伝送)される励起光が共通ライトガイド41内で内部反射を繰り返す回数が増えて均一化され、この均一化された励起光が共通ライトガイド41の第1出光面41bから出射するためである。
図14(a)〜図14(e)を参照すると、共通ライトガイド41の長さLを、2.5[mm]→5[mm]→10[mm]→20[mm]→30[mm]のように長くするに従って、強度ムラが次第に改善され、長さL=30[mm]で強度分布が均一(又は略均一)となることが分かる。これは、共通ライトガイド41の長さLが長くなると、左端の個別ライトガイド42で導光(伝送)される励起光が共通ライトガイド42内で内部反射を繰り返す回数が増えて均一化され、この均一化された励起光が共通ライトガイド42の第1出光面42bから出射するためである。
以上のように、共通ライトガイド41の長さLを長くすることで、共通ライトガイド41の第1入光面41aに対する個別ライトガイド42の第2出光面42bの位置にかかわらず、共通ライトガイド41の第1出光面41bの強度ムラが改善されて強度分布が均一(又は略均一)となることが分かる。
上記知見に基づき、共通ライトガイド41の長さLは、共通ライトガイド41の第1出光面41bの強度分布が均一(又は略均一)となる長さ(本実施形態では、長さL=10[mm])に設定されている。
波長変換部材22cは、共通ライトガイド41の第1出光面41bの全面を覆っている。例えば、波長変換部材22cは、共通ライトガイド41の第1出光面41bに接着剤で貼り付けられて共通ライトガイド41の第1出光面41bの全面を覆っている。
本実施形態の波長変換部材22cは、第1実施形態の波長変換部材22cと比べ、共通ライトガイド41の第1出光面41bの形状に合わせて、共通ライトガイド41の第1出光面41bと同じアスペクト比(1:2)の矩形とされている点が相違する。それ以外、第1実施形態の波長変換部材22cと同様の構成である。
波長変換部材22cは、共通ライトガイド41の第1出光面41b(0.8×0.4[mm]の矩形)よりやや大きい矩形とされている。従って、波長変換部材22cの周囲は、共通ライトガイド41の第1出光面41bの周囲より若干はみ出ている。従って、共通ライトガイド41の第1出光面41bから出射する励起光は全て波長変換部材22cに照射される。これにより、共通ライトガイド41の第1出光面41bから出射する励起光が波長変換部材22c内を伝搬し色ムラが発生するのを防止することが可能となる。
リフレクタ22dは、その出射口22d3を投影レンズ21に向けた状態でレンズホルダー23に固定された保持部材47の前面にネジ、接着剤等の公知の手段を用いて固定されて、光軸AX40上に配置されている。
本実施形態のリフレクタ22dは、第1実施形態のリフレクタ22dと比べ、入射口22d2及び出射口22d3が、波長変換部材22cの形状に合わせて、共通ライトガイド41の第1出光面41bと同じアスペクト比(1:2)の矩形とされている点が相違する。それ以外、第1実施形態のリフレクタ22dと同様の構成である。
リフレクタ22dの入射口22d2は、波長変換部材22cの前方近傍に配置されている。リフレクタ22dの入射口22d2の外形と波長変換部材22cの外形とは、一致している。従って、波長変換部材22cから放射される光束は全てリフレクタ22dの入射口22d2からリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)内に入射する。なお、波長変換部材22cは、入射口22d2内(錐体筒状反射面22d1内)に配置されていてもよいし、入射口22d2に対して車両後方側に若干離れた位置に配置されていてもよい。リフレクタ22dの出射口22d3は、投影レンズ21の後側の焦点F21近傍に配置されている。
上記構成のスポット配光ユニット40によれば、励起光源22aからの励起光は、集光レンズ22bで集光され、個別ライトガイド42の第2入光面42a(コア)から個別ライトガイド42内に導入され第2出光面42bまで導光されて、第2出光面42bから出射し、さらに、共通ライトガイド41の第1入光面41a(コア)から共通ライトガイド41内に導入され第1出光面41bまで導光されて、強度分布が均一(又は略均一)の励起光として第1出光面41bから出射し、波長変換部材22cを照射する。
励起光が照射された波長変換部材22cは、その表面(及び/又は内部)で散乱した励起光源22aからの励起光(散乱光)と励起光源22aから入射する励起光で励起されて発光した波長変換部材22cからの光との混色による白色光(擬似白色光)を放射する。
波長変換部材22cから放射された光束は、図15に示すように、リフレクタ22dの入射口22d2からリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)内に入射し、当該反射面22d1で反射されて出射口22d3から出射し(又は当該反射面22d1で反射されること無く直接出射口22d3から出射し)、投影レンズ21を透過して、前方に照射される。すなわち、リフレクタ22dの出射口22d3を通過する光束によって当該出射口22d3に仮想の光源像が形成されて、この仮想の光源像が前方に投影される形となる。
これにより、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前端部前方約25mに配置されている)上に、合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中のホットゾーンHzを照射するスポット配光パターンP1aが形成される(図7参照)。スポット配光パターンP1aは、投影レンズ21(車両前方側表面)の作用により形成されるカットオフラインCL1aをその上端縁に含んでいる。シェードで光束の一部を遮光してカットオフラインを形成する場合と比べ、光束の損失無く、カットオフラインCL1aを形成することが可能となる。
上記のように、共通ライトガイド41の作用により、その第1出光面41bの強度ムラが改善され、強度分布が均一(又は略均一)となるため、リフレクタ22dの出射口22d3に形成される仮想の光源像の強度分布も均一(又は略均一)となる。その結果、スポット配光パターンP1aも強度ムラが改善され、強度分布が均一(又は略均一)の配光パターンとなる。
なお、スポット配光ユニット40は、スポット配光パターンP1aが合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中のホットゾーンHzを照射するように公知のエイミング機構(図示せず)により光軸調整されている。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の個別ライトガイド42で導光(伝送)される励起光が共通ライトガイド41内で内部反射を繰り返すことで均一化され、この均一化された励起光が共通ライトガイド41の第1出光面41bから出射することとなるため、クラッドが影となって、複数の光ファイバの他端面(出光面)に強度ムラが発生する従来(図18参照)とは異なり、ライトガイドの出光面(共通ライトガイド41の第1出光面41b)の強度ムラが改善された(その結果、スポット配光パターンP1aの強度ムラが改善された)スポット配光ユニット40を構成することが可能となる。
また、本実施形態によれば、複数の励起光源22aからの励起光が、複数の個別ライトガイド42内及び共通ライトガイド41内を導光されて、共通ライトガイド41の第1出光面41bから出射する構成であるため、高出力のスポット配光ユニット40を構成することが可能となる(車両用灯具ユニットの個数を減らすことが可能となる)。
また、本実施形態によれば、励起光源22aとしてLED光源に比べ指向性の狭い半導体レーザー光源を用いているため、効率よく励起光を導光(伝送)することが可能なスポット配光ユニット40を構成することが可能となる。
また、励起光源22aとしての半導体レーザー光源の発光点(数十[μm])はLED光源(例えば1[mm])等に比べ小さく高出力であるため、本実施形態によれば、小型の光源像を実現でき、スポット配光ユニット40を小型化することが可能となる。
また、本実施形態によれば、中心部が単一コアの光ファイバ42を用いているため、複数の細い光ファイバをファイババンドルして1本とした光ファイバを用いる場合と比較し、光の利用効率を高めることが可能となる(ファイババンドルして1本とした光ファイバはクラッドに入射した光がロスとなる)。
また、本実施形態によれば、車両用灯具の配光パターン(例えば、ハイビーム用配光パターンやロービーム用配光パターン)を形成するのに適した、左右方向(車幅方向)が長い光源像を形成することが可能となる。
また、本実施形態によれば、共通ライトガイドのコア断面の面積が1[mm2]以下とすることにより(LED光源に比べ発光面積を小さくすることにより)、スポット配光ユニット40の小型化が可能となる。
また、本実施形態によれば、スポット配光ユニット40本体と光源ユニット22A(励起光源22a等)とを分離したため(図10(a)参照)、光源ユニット22A(励起光源22a等)を車両内又は車室内の雰囲気温度が安定した場所に設置することが可能となる。すなわち、光源ユニット22A(励起光源22a等)の設置場所の自由度が増す。
また、本実施形態によれば、スポット配光ユニット40本体と光源ユニット22A(励起光源22a等)とを分離したため(図10(a)参照)、光源ユニット22A(励起光源22a等)をスポット配光ユニット40本体内部に配置した場合と比べ、スポット配光ユニット40本体の軽量化、エイミング機構等の簡素化が可能となる。
また、本実施形態によれば、上記のようにスポット配光ユニット40本体の軽量化が可能となるため、スポット配光ユニット40本体に公知のエイミング機構を連結した場合に、当該エイミング機構に加わる重量負荷を低減することが可能となる。これにより、エイミング機構に加わる重量負荷に起因する各種不具合を低減することが可能となる。また、エイミング機構を構成するアクチュエータの小型化・省電力化も期待できる。
また、本実施形態によれば、波長変換部材22cの前方に配置されたリフレクタ22d(錐体筒状反射面22d1)の作用により、波長変換部材22cから放射される光束の指向角を狭めることが可能となるため、従来、投影レンズ21に入射させることができなかった光束を、投影レンズ21に入射させることが可能な、光利用効率の高いスポット配光ユニット40を構成することが可能となる。
以上、スポット配光ユニット20の第2実施形態として、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット40(ダイレクトプロジェクション型)を構成する例について説明したが、拡散配光ユニット30についても、同様にして、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えた拡散配光ユニット(ダイレクトプロジェクション型)を構成することが可能である。
[第3実施形態]
次に、スポット配光ユニット20の第3実施形態として、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット50(リフレクタ型)について説明する。
図16は、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット50(リフレクタ型)をその光軸を含む鉛直面で切断した断面図である。
本実施形態のスポット配光ユニット40は、第2実施形態のスポット配光ユニット40と比べ、リフレクタ型の灯具ユニットである点、及び、リフレクタ22dを備えていない点が相違するが、第2実施形態のスポット配光ユニット40と同様の構成(共通ライトガイド41、個別ライトガイド42、第1フェルール43、第2フェルール44、波長変換部材22c、光源ユニット22A)を備えている。以下、第2実施形態のスポット配光ユニット40との相違点を中心に説明し、第2実施形態のスポット配光ユニット40と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のスポット配光ユニット50は、リフレクタ型の灯具ユニットであり、図16に示すように、第2実施形態のスポット配光ユニット40と同様の構成(共通ライトガイド41、個別ライトガイド42、第1フェルール43、第2フェルール44、波長変換部材22c、光源ユニット22A)、放物面系の反射面51等を備えている。
保持部材47は、図16に示すように、波長変換部材22c(発光面)を下向きとした状態で、車両側(例えば、ハウジングや車体フレーム等)に固定されている。
反射面51は、焦点F51が波長変換部材22c近傍に設定され、車両前後方向に延びる光軸AX50(回転軸)を持つ放物面系の反射面(回転放物面又はこれに類する自由曲面等)である。反射面51は、波長変換部材22cから入射する光を予め定められた方向へ反射(配分)して、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前方約25mに配置されている)上に、図7に示すように、カットオフラインCL1aを含むスポット配光パターンP1aを形成するように構成されている。
上記構成のスポット配光ユニット50によれば、励起光源22aからの励起光は、集光レンズ22bで集光され、個別ライトガイド42の第2入光面42a(コア)から個別ライトガイド42内に導入され第2出光面42bまで導光されて、第2出光面42bから出射し、さらに、共通ライトガイド41の第1入光面41a(コア)から共通ライトガイド41内に導入され第1出光面41bまで導光されて、強度分布が均一(又は略均一)の励起光として第1出光面41bから出射し、波長変換部材22cを照射する。
励起光が照射された波長変換部材22cは、その表面(及び/又は内部)で散乱した励起光源22aからの励起光(散乱光)と励起光源22aから入射する励起光で励起されて発光した波長変換部材22cからの光との混色による白色光(擬似白色光)を放射する。
波長変換部材22cから放射された光束は、反射面51で反射されて前方に照射される。
これにより、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前端部前方約25mに配置されている)上に、合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中のホットゾーンHzを照射するスポット配光パターンP1aが形成される(図7参照)。
上記のように、共通ライトガイド41の作用により、その第1出光面41bの強度ムラが改善され、強度分布が均一(又は略均一)となるため、波長変換部材22cの強度分布も均一(又は略均一)となる。その結果、スポット配光パターンP1aも強度ムラが改善され、強度分布が均一(又は略均一)の配光パターンとなる。
なお、スポット配光ユニット50は、スポット配光パターンP1aが合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中のホットゾーンHzを照射するように公知のエイミング機構(図示せず)により光軸調整されている。
以上説明したように、本実施形態のスポット配光ユニット50によっても、第2実施形態のスポット配光ユニット40と同様、ライトガイドの出光面(共通ライトガイド41の第1出光面41b)の強度ムラが改善された(その結果、スポット配光パターンP1aの強度ムラが改善された)スポット配光ユニット50を構成することが可能となる。
なお、波長変換部材22cは、図16に示すように、その光軸AX22cが鉛直方向に延びるように配置されていてもよいし、あるいは、その光軸AX22c(の下方)が車両後方側に傾斜した方向に延びるように配置されていてもよい。波長変換部材22cを、その光軸AX22c(の下方)が後方に傾斜した方向に延びるように配置した場合、波長変換部材22cから放射される光束の指向分布も車両後方側に傾くため、光利用効率をさらに向上させることが可能となる。
以上、スポット配光ユニット20の第3実施形態として、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット50(リフレクタ型)を構成する例について説明したが、拡散配光ユニット30についても、同様にして、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えた拡散配光ユニット(リフレクタ型)を構成することが可能である。
[第4実施形態]
次に、スポット配光ユニット20の第4実施形態として、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット60(プロジェクタ型)について説明する。
図17は、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット60(プロジェクタ型)をその光軸を含む鉛直面で切断した断面図である。
本実施形態のスポット配光ユニット60は、第2実施形態のスポット配光ユニット40と比べ、プロジェクタ型の灯具ユニットである点、及び、リフレクタ22dを備えていない点が相違するが、第2実施形態のスポット配光ユニット40と同様の構成(共通ライトガイド41、個別ライトガイド42、第1フェルール43、第2フェルール44、波長変換部材22c、光源ユニット22A)を備えている。以下、第2実施形態のスポット配光ユニット40との相違点を中心に説明し、第2実施形態のスポット配光ユニット40と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のスポット配光ユニット60は、プロジェクタ型の灯具ユニットであり、図17に示すように、第2実施形態のスポット配光ユニット40と同様の構成(共通ライトガイド41、個別ライトガイド42、第1フェルール43、第2フェルール44、波長変換部材22c、光源ユニット22A)、車両前後方向に延びる光軸AX60上に配置された投影レンズ61、反射面62、シェード63等を備えている。
保持部材57は、図17に示すように、波長変換部材22c(発光面)を上向きとした状態で、シェード63に固定されている。波長変換部材22cは、投影レンズ61の焦点F61よりも車両後方側かつ光軸AX60近傍に配置されている。
投影レンズ61は、車両前方側表面が凸面で車両後方側表面が平面の平凸非球面レンズである。投影レンズ61は、例えば、レンズホルダー64に保持されて光軸AX60上に配置されている。
反射面62は、第1焦点F162が波長変換部材22c近傍に設定され、第2焦点F262が投影レンズ61の車両後方側焦点F61近傍に設定された回転楕円系の反射面(回転楕円面又はこれに類する自由曲面等)である。
反射面62は、波長変換部材22cから略上向きに放射される光束が入射するように、波長変換部材22cの側方(図17中、車両後方側の側方)から投影レンズ61に向かって延びて、波長変換部材22cの上方を覆っている。
シェード63は、投影レンズ61の車両後方側焦点F61から波長変換部材22c側に延びるミラー面63aを含んでいる。ミラー面63aの前端縁は、投影レンズ61の車両後方側の焦点面に沿って凹に湾曲している。ミラー面63aに入射し上向きに反射される光は投影レンズ61で屈折して路面方向に向かう。すなわち、ミラー面63aに入射した光がカットオフラインを境に折り返されてカットオフライン以下の配光パターンに重畳される形となる。これにより、図7に示すように、カットオフラインCL1aを含むスポット配光パターンP1aが形成される。
上記構成のスポット配光ユニット60によれば、励起光源22aからの励起光は、集光レンズ22bで集光され、個別ライトガイド42の第2入光面42a(コア)から個別ライトガイド42内に導入され第2出光面42bまで導光されて、第2出光面42bから出射し、さらに、共通ライトガイド41の第1入光面41a(コア)から共通ライトガイド41内に導入され第1出光面41bまで導光されて、強度分布が均一(又は略均一)の励起光として第1出光面41bから出射し、波長変換部材22cを照射する。
励起光が照射された波長変換部材22cは、その表面(及び/又は内部)で散乱した励起光源22aからの励起光(散乱光)と励起光源22aから入射する励起光で励起されて発光した波長変換部材22cからの光との混色による白色光(擬似白色光)を放射する。
波長変換部材22cから放射された光束は、反射面62で反射されて、投影レンズ61の後方側焦点F61近傍で収束した後、投影レンズ61を透過して前方に照射される。
これにより、仮想鉛直スクリーン(例えば、車両前端部前方約25mに配置されている)上に、合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中のホットゾーンHzを照射するスポット配光パターンP1aが形成される(図7参照)。スポット配光パターンP1aは、シェード63(ミラー面63a)の作用により形成されるカットオフラインCL1aをその上端縁に含んでいる。
上記のように、共通ライトガイド41の作用により、その第1出光面41bの強度ムラが改善され、強度分布が均一(又は略均一)となるため、波長変換部材22cの強度分布も均一(又は略均一)となる。その結果、スポット配光パターンP1aも強度ムラが改善され、強度分布が均一(又は略均一)の配光パターンとなる。
なお、スポット配光ユニット60は、スポット配光パターンP1aが合成配光パターンであるすれ違いビーム用配光パターンP1中のホットゾーンHzを照射するように公知のエイミング機構(図示せず)により光軸調整されている。
以上説明したように、本実施形態のスポット配光ユニット60によっても、第2実施形態のスポット配光ユニット40と同様、ライトガイドの出光面(共通ライトガイド41の第1出光面41b)の強度ムラが改善された(その結果、スポット配光パターンP1aの強度ムラが改善された)スポット配光ユニット60を構成することが可能となる。
なお、波長変換部材22cは、図17に示すように、その光軸AX22cが鉛直方向に延びるように配置されていてもよいし、あるいは、その光軸AX22c(の上方)が車両後方側に傾斜した方向に延びるように配置されていてもよい。波長変換部材22cを、その光軸AX22c(の上方)が後方に傾斜した方向に延びるように配置した場合、波長変換部材22cから放射される光束の指向分布も車両後方側に傾くため、光利用効率をさらに向上させることが可能となる。
以上、スポット配光ユニット20の第4実施形態として、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えたスポット配光ユニット60(プロジェクタ型)を構成する例について説明したが、拡散配光ユニット30についても、同様にして、ライトガイド(共通ライトガイド41及び個別ライトガイド42)を備えた拡散配光ユニット(プロジェクタ型)を構成することが可能である。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものでは無い。本発明はその精神又は主要な特徴から逸脱すること無く他の様々な形で実施することができる。