以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置5の概略構成を示した図である。図1に示すように、画像形成装置5は、画像を形成する画像形成部100、画像を読み取る画像読取部200、利用者が操作入力するための操作部と操作画面等を表示する表示部とを備えた操作パネル部250を備えている。また。画像形成装置5は、画像形成部100や画像読取部200の動作を制御すると共に、操作パネル部250に対する表示制御を行ったり、操作パネル部250を介して指示入力された情報を受け取ったりする制御部300も備えている。
図2は、画像形成部100の概略構成を示した図である。画像形成部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色毎の画像データを生成し、各画像データに基づいて記録媒体(本実施形態では記録用紙P)に画像を形成する。なお、以下では、画像形成部100で行われる画像形成を、印刷と呼称する場合もある。画像形成部100は、画像形成定着部102、給紙部104、及び排紙部106を含んで構成されている。
画像形成定着部102は、Y、M、C、Kの各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、支持ロール34と複数のロール32によって支持された無端状の中間転写ベルト30の進行方向Wに一列に並んで配列されている。また、中間転写ベルト30は、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの感光体12Y,12M,12C,12Kと、各感光体12Y,12M,12C,12Kそれぞれに対向して配設される一次転写ロール16Y、16M,16C,16Kと、の間を挿通している。
なお、以降、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kの何れかを付し、YMCKを区別する必要がない場合は、Y、M、C、Kを省略する(図3においても同様)。
各画像形成ユニット10は、感光体12、帯電器13、露光部14、現像器15、及び一次転写ロール16を備えている。
感光体12は、回転駆動され、帯電器13によりその表面が帯電される。本実施形態では、帯電器13が帯電ブラシにより構成されているものとするが、回転体である帯電ロールにより構成されていてもよい。
露光部14は、後述する露光制御部164(図3も参照)の駆動によりレーザ光を発光するレーザ光源を備え、帯電された感光体12にレーザ光を照射して露光し、感光体12の表面に静電潜像を形成する。なお、本実施形態では、レーザ光源を備えた露光部14を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、LED(発光ダイオード)を備え、感光体12に対してLEDから露光光を照射する露光部であってもよい。
感光体12に形成された静電潜像は、現像器15によって現像剤を用いて現像され、YMCK何れかの色のトナー画像となる。なお、本実施形態では、現像剤が、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤である場合について説明するが、現像剤は、一成分現像剤であってもよく、更に又、一成分現像剤が、磁性のトナーであってもよいし、非磁性のトナーであってもよい。
本実施形態に係る現像器15は、外側に回転する現像スリーブを有すると共に、現像スリーブの内側に磁極を備え、トナーを保持して回転し、現像領域まで搬送する2つの現像ロール150a、150b(図3も参照)を含んで構成されているものとする。本実施形態の現像ロール150a、150bは、各々略等しい径の回転体であり、通常の画像を形成する際の回転周期(基準周期)も略同一とされる。
一次転写ロール16は、感光体12との間で中間転写ベルト30を挟みつつ搬送し、転写バイアスが印加されることによって静電吸着力を発生させて、感光体12に形成されたトナー画像を中間転写ベルト30に一次転写する。一次転写後、感光体12に残留した未転写残留トナーは、不図示のクリーニング装置で除去される。そして、感光体12の表面は、不図示の除電装置によって除電された後、つぎの画像形成サイクルのため、帯電器13で再び帯電される。
本画像形成部100では、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの相対的な位置の違いを考慮したタイミングで、上記画像形成工程が各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K毎に行われ、中間転写ベルト30上に、順次、Y,M,C,Kの各色トナー画像が重ねられ、カラーのトナー画像が形成される。また、白黒画像を形成する場合には、K色の単色のトナー画像が中間転写ベルト30上に転写される。
中間転写ベルト30に形成されたトナー画像は、二次転写ロール36によって記録用紙Pに二次転写される。二次転写ロール36は、二次転写位置Aに搬送された記録用紙Pを支持ロール34に支持された中間転写ベルト30とで挟み、印加された転写バイアスによって静電吸着力を発生させて、中間転写ベルト30上のトナー画像を記録用紙Pに二次転写する。
記録用紙Pは、画像形成定着部102の前段に配置された給紙部104の給紙カセット60、61に収容されている。そして、記録用紙Pが、給紙カセット60、61の何れか一方から画像形成定着部102に給紙される。給紙された記録用紙Pは、搬送機構64の複数の搬送ロール66及び位置合わせロール68によって、二次転写位置Aに送られる。そして、前述したように、支持ロール34と二次転写ロール36とによって、中間転写ベルト30からトナー画像が一括して記録用紙Pに転写される。
二次転写の際に記録用紙Pに転写されなかった中間転写ベルト30上の未転写の残留トナーは、クリーニング装置40のクリーニングブレード42で掻き取られ、除去される。
中間転写ベルト30からトナー画像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト30から分離した後、二次転写位置Aの下流側に配設された搬送ベルト38によって定着部50へと搬送される。
定着部50は、熱伝導性を有する金属性コアの内部にハロゲンランプなどの発熱体を有する加熱定着ロール52を備えている。また、加熱定着ロール52と対になって搬送された記録用紙Pに圧力をかける加圧ロール56も備えている。
そして、未定着のトナー画像が転写された記録用紙Pの面が加熱定着ロール52側となって、記録用紙Pが加熱定着ロール52と加圧ロール56とで把持搬送される際に、熱と圧力とでトナー画像が記録用紙Pに定着する。
定着部50でトナー画像が定着された記録用紙Pは、排紙部106に送られる。そして、排紙部106の排紙機構110によって、記録用紙Pが排紙台72に排出される。
また、本画像形成部100は、一方の面にトナー画像が定着された記録用紙Pの表裏を反転し、再び記録用紙Pを二次転写位置Aへと搬送し、他方の面にも中間転写ベルト30から新たなトナー画像を転写し、記録用紙Pの両面に印刷可能な機構を備えている。
具体的には、記録用紙Pは排紙部106の反転搬送機構70で反転された後、搬送路74を介して搬送機構64に搬送され、再度、搬送機構64によって記録用紙Pの他方の面が中間転写ベルト30側となって二次転写位置Aに送られる。
そして、記録用紙Pの他方の面にトナー画像が転写された後、定着装置50で同様に他方の面にもトナー画像が定着され、排紙部106の排紙機構110によって排紙台72に排出される。
なお、4つの画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの下流側における、中間転写ベルト30の近傍には、中間転写ベルト30の回転方向と交差する方向に沿ってライン状に受光素子が配列されたラインセンサ120も設けられている。ラインセンサ120は、受光素子と共に光源も有し、光源を発光させて読取光を画像に照射し、その反射光を受光素子により受光することにより、中間転写ベルト30に形成された画像を読み取る。ラインセンサ120からは、読取結果としてRGBの各色毎の画像データが出力される。ラインセンサ120は、後述するように、濃度むらの二次元的な分布を示す濃度むら分布情報を抽出するときの抽出用画像を読み取る際に用いられる場合もある。
また、図示は省略するが、中間転写ベルト30近傍には、濃度検出用センサも設けられている。濃度検出用センサは、光源及び受光部を備え、光源を発光させて読取光を画像に照射し、その反射光を受光部により受光することにより、中間転写ベルト30に形成された画像を読み取る。濃度検出用センサからは、読取結果としてRGBの各色毎の画像データが出力される。濃度検出用センサは、例えば、色ずれ調整や現像剤の供給量を調整するための調整処理を行う場合等に用いられる。調整処理は、具体的には、予め定められた調整用の画像を画像形ユニット10によって形成し、濃度検出用センサによって該形成された画像を読み取り、色ずれの具合や濃度等を解析して、4つの露光部14の露光タイミングを調整したり、現像器15に補給する現像剤の量を調整したりする処理をいう。また、濃度検出用センサを、上記濃度むら分布情報を抽出するときの抽出用画像を読み取る際の読み取り手段として、ラインセンサ120の代わりに使用してもよい。
図3は、画像形成装置5の制御系の構成を示す構成図である。
図3に示すように、画像形成部100は、帯電制御部160、感光体制御部162、現像ロール制御部170、現像ロール制御部172、一次転写ロール制御部174、二次転写ロール制御部176、定着制御部178、搬送制御部180、及びセンサ制御部184を備えている。帯電制御部160、感光体制御部162、現像ロール制御部170、現像ロール制御部172、一次転写ロール制御部174、二次転写ロール制御部176、定着制御部178、搬送制御部180、及びセンサ制御部184の各々は、制御部300に接続され、制御部300からの制御信号により動作する。
帯電制御部160は、帯電器13に対して帯電バイアス電圧を印加する。なお、帯電器13が回転体である帯電ロールを含んで構成されている場合には、帯電制御部160に帯電ロールを回転させるモータを設けて構成する。
感光体制御部162は、感光体モータを備えている。感光体モータは、画像形成ユニット10毎に設けられており、それぞれ対応する各画像形成ユニット10内の感光体12に接続されている。感光体モータが駆動されると、その回転力が感光体12に伝達されて、感光体12の図2で示した矢印方向への回転が行われる。
露光制御部164は、画像形成ユニット10毎に設けられており、それぞれ対応する画像形成ユニット10内の露光部14と接続されている。露光制御部164は、駆動部166及び露光量制御部168を備えている。制御部300は、画像形成部100によって形成すべき画像を表す画像データを記憶するための記憶部を内蔵しており、記憶部に記憶された画像データは、画像形成部100によって画像が形成される際に露光制御部164の駆動部166に供給される。
駆動部166は、制御部300から供給された画像データに基づいて、露光部14のレーザ光源から射出される光ビームをオンオフさせるタイミングを規定する変調信号を生成し、該生成した変調信号に応じたタイミングで露光部14のレーザ光源をオンオフする。また、駆動部166は、オン時の光ビームの光量(露光量)を、露光量制御部168から供給される設定信号に対応する光量にするための駆動電流を生成し、レーザ光源に供給する。
露光量制御部168は、駆動部166の露光量を補正する補正値データを記憶するための記憶部を備えている。制御部300は、補正値データを露光量制御部168に入力し、該記憶部に補正値データを記憶させる。露光量制御部168は、記憶部に記憶された補正値データに応じて露光部14の露光量を補正する。露光量制御部168は基準となる露光量に応じた駆動量設定信号を上記補正値データに応じて変更した駆動量設定信号を生成し、駆動部166に供給する。駆動部166は、供給された駆動量設定信号応じた駆動電流を露光部14に供給する。
ここで、露光量を補正する場合には、基準となる露光量を示す値から補正値データが示す補正値を減算して補正してもよいし、基準となる露光量を示す値に補正値を乗算、加算、或いは除算してもよく、その補正方法は限定されない。ただし、補正値データの各補正値を、補正方法に応じて定める必要がある。露光量制御部168は、補正値で補正した露光量で露光されるように駆動量設定信号を生成して駆動部166に供給する。
なお、露光量の調整は、駆動電流の電流量により調整してもよいが、パルス信号により駆動させるときのパルス幅の変更により調整してもよい。また、露光量の調整を、電圧値により調整してもよい。
現像器15は、前述したように2つの現像ロール150a、150bを含んでいる。現像ロール150aには、現像ロール制御部170が接続され、現像ロール150bには、現像ロール制御部172が接続されている。
現像ロール制御部170は、接続された現像ロール150aに回転力を与える現像モータと、現像ロール150aに現像バイアス電圧を印加するバイアス印加部とを備えている。また、現像ロール制御部172も、接続された現像ロール150bに回転力を与える現像モータと、現像ロール150bに現像バイアス電圧を印加するバイアス印加部とを備えている。なお、現像ロール150aの回転方向及び現像ロール150bの回転方向は各々等しいものとしてもよいが、異なるものとすることもできる。
一次転写ロール制御部174は、画像形成ユニット10毎に設けられており、一次転写ロール16に回転力を与える転写モータを備えている。印刷中は、この転写モータの回転によって、それぞれ対応する画像形成ユニット10内の一次転写ロール16が感光体12の周面に押圧・接触される。また、一次転写ロール制御部174は、バイアス印加部も有している。このバイアス印加部により一次転写ロール16に対して一次転写のためのバイアス電圧が印加される。
二次転写ロール制御部176は、二次転写ロール36に回転力を与える転写モータと、二次転写ロール36に二次転写バイアス電圧を印加するバイアス印加部を有している。印刷中は、二次転写ロール制御部176の転写モータの回転によって、二次転写ロール36が中間転写ベルト30の周面に押圧・接触される。また、二次転写ロール制御部176のバイアス印加部により、二次転写ロール36に対して二次転写のためのバイアス電圧が印加される。
更に、定着制御部178は、定着部50を制御する。具体的には、加熱定着ロール52に含まれる発熱体を発熱させ、また、加熱定着ロール52と加圧ロール56とで記録用紙Pが挟まれて搬送されるように、加熱定着ロール52と加圧ロール56とを駆動する。
搬送制御部180は、搬送モータを備えている。搬送制御部180は、図2を用いて説明した搬送ロール60や位置合わせロール68、支持ロール34等の搬送系182に接続されており、搬送モータが駆動されると、その回転力が搬送系182に伝達されて、中間転写ベルト30の図2で示した矢印W方向への移動、二次転写ロール36を介して排出部106から排出されるまでの搬送経路に沿った記録用紙Pの一連の搬送が行われる。
センサ制御部184は、ラインセンサ120を制御して、中間転写ベルト30上に形成された画像の読取動作を行わせる。読取結果は、制御部300に供給される。
画像読取部200は、読取制御部202と、読取部204とを備えている。読取部204は、光源及び受光部を備え、読取制御部202により制御される。読取部204は、光源を発光させて読取光を画像に照射し、その反射光を受光部により受光することにより、画像形成装置5の予め定められた部分(例えば、不図示のプラテンガラス等)に利用者がセットした原稿の画像を読み取る。画像読取部200からは、読取結果としてRGBの各色毎の画像データが出力される。なお、原稿を読取部204の読取位置まで搬送する搬送機構が設けられている場合には、読取制御部202の制御により該搬送機構を制御して原稿を読取位置まで搬送し、読取部204で原稿の画像を読み取る。読取結果は、制御部300に供給される。
制御部300は、例えば、電子回路等で実現することができる。また、制御部300を、例えば半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現してもよい。更に又、制御部300を、コンピュータにより実現してもよい。本実施形態では、制御部300をコンピュータにより実現する場合について説明する。
図4に、制御部300を実現するコンピュータ302のハードウェア構成図を示す。コンピュータ302は、CPU(Central Processing Unit)304、ROM(Read Only Memory)306、RAM(Random Access Memory)306、画像形成部IF(Interface)310、画像読取部IF312、操作パネル部IF314、及び通信IF316がバス318を介して接続されて構成されている。
CPU304は、ROM306に記憶されているプログラム(後述する濃度むら抽出処理、変換情報生成処理、及び濃度むら補正処理のプログラムも含まれる)を実行する。ROM306には、CPU304が実行するプログラムやCPU304の処理に必要なデータ等が記憶されている。RAM308は、ワークメモリ等として使用される。
なお、CPU304が実行するプログラムを記憶するための記憶媒体は、ROM306に限定されない。例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフレキシブルディスクやDVDディスク、光磁気ディスクやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等(不図示)であってもよいし、コンピュータ302に通信IF316を介して接続された他の装置の記憶装置であってもよい。
画像形成部IF310は、画像形成部100と接続するためのインタフェースである。また、画像読取部IF312は、画像読取部200と接続するためのインタフェースである。操作パネル部IF314は、操作パネル部250と接続するためのインタフェースである。通信IF316は、通信手段(例えば、電話回線やLAN等のネットワーク等)に接続された他の装置と通信するためのインタフェースである。
本実施形態の画像形成装置5では、画像形成部100が有する複数の回転体(例えば、感光体12や、現像ロール150a、150b、一次転写ロール16など)の回転により生じる濃度むらを補正する濃度むら補正処理が行われる。
ここで、回転体の回転により生じる濃度むらについて説明する。例えば、感光体12や一次転写ロール16等の回転体を、回転体の回転中心と回転体の断面中心とのずれ(回転軸の偏り)、及び回転体の断面形状の真円形状からのずれ(形状の偏り)等を完全になくした状態で製造するのは困難であり、そうした偏りにより、形成される画像の濃度に変動が生じて二次元的なムラになる。また、回転体を画像形成部100に取り付ける際の取り付け精度により、濃度むらが生じることもある。こうした濃度むらは、回転体の回転に応じて周期的に発生する。本実施形態では、この周期的な濃度むらを補正するために、まず、濃度むらを抽出するための濃度むら抽出用画像(以下、抽出用画像)を形成し、該抽出用画像から各回転体毎の濃度むらの分布を表わす濃度むら分布情報(以下、濃度むらプロファイル)の各々を抽出する。そして、抽出した濃度むらプロファイルから各回転体毎の補正値を生成し、これを合成した合成値により補正する。濃度むらの補正は、例えば、画像データを補正することにより補正してもよいし、露光部14の露光量を補正することにより補正してもよい。
以下、本実施形態で行われる各処理について詳細に説明する。
図5は、制御部300で実行される濃度むら抽出処理ルーチンの流れを示すフローチャートである。
ステップ400において、利用者が操作パネル部250を操作し、濃度むら抽出モードを選択したか否かを判断する。なお、濃度むら抽出モードの選択を、利用者が操作パネル部250を操作して行う例について説明したが、これに限定されず、例えば、予め定められた条件(予め定められた枚数印刷する毎、或いは予め定められた時間間隔経過毎等)を満たした場合に、濃度むら抽出モードが選択されたと判断されるようにしてもよいし、画像形成装置5のカスタマエンジニア等がメンテナンスする場合に操作パネル部250を操作して選択するようにしてもよい。
ステップ402において、各回転体が、濃度むら抽出対象の回転体の濃度むらプロファイル抽出のため各回転体に対して予め設定された濃度むら抽出用回転周期で回転するよう、画像形成部100に含まれる各回転体の回転を制御する制御信号を出力する。感光体制御部162、現像ロール制御部170、172、一次転写ロール制御部174、二次転写ロール制御部176の各々は、該制御信号に応じて回転制御を行う。なお、濃度むら抽出用回転周期は、抽出用画像を形成するときの回転周期として回転体毎に予め設定されている回転周期である。濃度むら抽出用回転周期は、画像形成装置5毎、且つ回転体毎に予め設定されている。濃度むら抽出用回転周期は、濃度むら抽出モード時以外に利用者が指定した画像を形成するときの通常の回転周期(基準周期)に対応する速度に比べて、速くしてもよいし、遅くしてもよい。また、二次転写ロール36等の、大きな濃度むらが生じにくいと考えられる回転体については、濃度むら抽出の際でも基準周期が維持されよう制御するようにしてもよい。
また、各回転体の濃度むら抽出用回転周期は、少なくとも濃度むらプロファイルの抽出対象である回転体の周期を表わす関数(以下、周期関数)に対して他の回転体の周期関数が直交する(回転周波数が直交するともいう)ように設定されている。従って、抽出対象である回転体以外の他の回転体同士の周期関数が直交している必要はない。なお、濃度むらプロファイルの抽出対象である回転体の周期関数に対して他の回転体の周期関数が直交する状態にできれば、全ての回転体の回転を変更しなくてもよく、例えば、1つの回転体の回転だけを変更することでそれが実現するのであれば、複数の回転体の少なくとも1つの回転を制御すればよいこととなる。
更に又、1回の抽出用画像の形成によって抽出可能な濃度むらプロファイルの抽出対象の回転体は1つである必要はなく、2以上であってもよい。この場合には、抽出対象の回転体の周期関数が、抽出対象以外の各回転体の周期関数に直交するように回転制御するだけでなく、抽出対象の回転体同士の周期関数が互いに直交するように回転制御する必要がある。
なお、濃度むらプロファイルの抽出対象の回転体を変えながら複数回抽出用画像を形成するようしてもよいが(この場合、抽出対象の回転体は1つであっても2つ以上であってもよい。)、画像形成部100に含まれる複数の回転体の全ての周期関数が、互いに直交するように各回転体の回転を制御できるのであれば、濃度むらプロファイルの抽出対象の回転体を全ての回転体として、回転を制御し抽出用画像を形成するようにしてもよい。前者のように複数の抽出用画像を形成する場合には、抽出用画像毎に各回転体の濃度むら抽出用回転周期が設定されているものとする。
なお、本実施形態の画像形成部100は複数の画像形成ユニットを備え、カラー画像の印刷が可能な構成となっているが、本実施形態では、濃度むらプロファイルの抽出は、各色毎に行う。従って、画像形成ユニット10毎に抽出用画像を形成し、各画像形成ユニットの回転体の各々の濃度むらプロファイルを波形分離するものとする。従って、濃度むら抽出対象の回転体を含む画像形成ユニット10以外の他の画像形成ユニット10の回転体の回転については、考慮しなくてもよいものとする。
ここで、周期関数が直交する関係について、詳細に説明する。
各回転体の周期を表わす周期関数を図6(A)に示す。xは回転体の回転方向の位置を示す。この周期関数が、周期だけでなく回転体の形状も表わす関数であってもかまわない。そして、図6(B)及び(C)の関係式を満したとき、該2つの関数が直交しているという(相関が0であるといってもよい)。なお、理論上無限に繰り返される周期のうち、1周期分だけに着目して内積をとっても問題はないため、aからbで表わされた積分区間を、1周期分の区間としてもよい。このように、積分区間は少なくとも1周期分あればよいが、2つの回転体の周期が異なる場合には、長いほうの周期を積分区間とすればよい。
直交関係にある関数はお互いに影響を及ぼし合わない。すなわち、直交した2つの関数の重ね合わせであれば、一方の波形の影響を受けずに他方の波形分離が可能である。
本実施形態では、各回転体を表わす周期関数は予め定められており、該周期関数に応じて、上記関係を満たす濃度むら抽出用回転周期が予め定められている(ROM306等の記憶手段に予め記憶しておく)。また、抽出対象を変更しながら抽出用画像を複数回形成する場合には、各抽出用画像毎の濃度むら抽出用回転周期を予め定めておき、ROM306等の記憶手段に予め記憶しておく。制御部300は、該記憶しておいた濃度むら抽出用回転周期の情報に基づいて、回転制御する。
ここで、本実施形態では、抽出用画像形成の際に、回転周期に着目して回転を制御したが、抽出用画像形成時の回転速度を各回転体毎に定めておき、該回転速度となるように回転を制御してもよい。また、抽出用画像形成時の抽出対象の回転体と他の回転体との周速比を予め定めておき、該周速比となるように回転を制御してもよい。また、位相に着目し、抽出用画像形成時の各回転速度の位相が予め定められた位相となるように回転を制御してもよい。何れの制御方法であっても、上記説明したように、回転周波数の直交性が担保されている必要がある。
ステップ404において、上記のように回転を制御した状態で、抽出用画像が形成されるように画像形成部100を制御する。具体的には、制御部300は、上記のように回転を制御するための制御信号を、感光体制御部162や、現像ロール制御部170、172、一次転写ロール制御部174等の回転体の各制御部に出力した後、抽出用画像を形成するための画像データを駆動部166に供給する。また、画像形成に必要なバイアス電圧の印加を指示する指示信号も帯電制御部160や現像ロール制御部170、172、一次転写ロール制御部174、二次転写ロール制御部176等に出力する。また、制御部300は、予め定められた基準の露光量で露光するための駆動量設定信号が露光量制御部168から駆動部166に供給されるように、露光量制御部168に制御信号を出力する。
ここで、抽出用画像は、例えば、A3サイズ全面の単色(Y,M,C,Kの各色)のハーフトーン画像としてもよい。また、A3サイズと異なる他のサイズ(例えばA4サイズ)であってもよい。また、抽出用画像を形成するための画像データは、制御部300のROM306に予め保持されているものとする。なお、制御部300がASICや半導体集積回路等のハードウェアにより実現される場合には、制御部300を構成する内部回路に予め保持させておけばよい。
また、抽出用画像の濃度は複数であっても、特定の1つの濃度だけでも良い。前者の場合は、濃度(画素値)が異なる複数の画像データが駆動部166に供給され、該濃度の異なる複数枚の抽出用画像がそれぞれ形成されることとなる。
複数の濃度に対応する複数の抽出用画像を形成して、複数の濃度についての濃度むらプロファイルを取得するほうが、濃度むらの形状の変化や感度変化等に細かく対応でき、抽出用画像を単一の濃度のみ形成した場合に比べて補正効果が高い。
抽出用画像を形成した後は、ステップ406において、利用者或いはカスタマエンジニア等が操作パネル部250を操作し、画像読取を指示したか否かを判断する。本実施形態では、抽出用画像の読取処理は、オフラインにて、画像形成装置5に搭載されている画像読取部200を用いて行われる。従って、利用者が、記録用紙に形成された画像を読み取らせるために、該記録用紙をプラテンガラスなどの原稿読取部にセットした状態で、操作パネル部250を操作して読取指示をする必要がある。
ステップ406において肯定判断した場合には、ステップ408で、制御部300から画像読取部200に制御信号を出力し、形成された抽出用画像として記録用紙に形成された画像を読み取らせる。前述したように、複数濃度の画像を形成した場合には、各々の画像を読み取らせる。
なお、本実施形態では、画像読取部200により画像を読み取らせる例について説明したが、画像形成装置5に搭載された画像読取部200でなくても、例えば、通信IF316により接続された通信手段上の他の読取装置で読み取らせてもよい。読取結果(読取画像を表わすデータ)は、RGB各色毎の画素値の分布として表わされた画像データであって、制御部300に供給される。
ステップ410において、読取画像から、抽出対象の回転体の回転による濃度むらの分布を示す濃度むらプロファイルを抽出する。濃度むらプロファイルは、波形分離(具体的には、フーリエ変換等の演算処理)を行って、回転体毎に抽出する。ここで抽出した濃度むらプロファイルも、RGB各色毎の画素値の分布として表わされている。なお、読取画像が複数の場合には、各濃度毎に濃度むらプロファイルを抽出する。
なお、本実施形態では、波形分離を行う前に、まず、読取画像の各画素値について、各回転体の回転方向(以下、副走査方向という)と交差する方向(以下、主走査方向という)に配列された複数の画素値を平均化した平均値を求め、二次元状に画素値が分布する読取画像(図7(A)も参照。)を、副走査方向に平均値が配列された一次元状の画像に変換する。そして、この一次元状の画像に対してフーリエ変換を行って、波形分離を施し、抽出対象の濃度むらプロファイルを抽出する(図7(B)も参照)。読取画像を一次元状の画像に変換することによって、演算量が少なくなる。
次に、ステップ412において、上記抽出した濃度むらプロファイル(RGB各色毎の画素値により表わされたデータ)を、該濃度むらプロファイルが示す濃度むらを補正するための補正値の分布情報である補正値データに変換する。ここでいう補正値とは、露光部14の露光量を補正するための補正値(露光補正値)、又は画像データを補正するための補正値(画像データ補正値)をいう。補正値への変換は、読取画像の画素値(スキャナ出力)と露光補正値との関係(図8(A)も参照)を示す情報、又は読取画像の画素値と画像データ補正値との関係(図8(B)も参照)を示す情報を、読取画像の画素値から補正値へ変換するための変換情報として、予め或いは濃度むらプロファイル抽出の都度求めておき、この変換情報を用いて行う。
図9に、読取画像の画素値と補正値との関係を示す情報(変換情報)を生成する変換情報生成処理ルーチンのフローチャートを示す。ここでは、読取画像の画素値と露光量を補正するための補正値との関係を示す変換情報を生成する場合を例に挙げて説明する。
ステップ600において、制御部300は、変換情報生成用画像を形成するための画像データを露光制御部164に供給して画像形成部100に変換情報生成用画像を形成させる。変換情報生成用画像を形成するための画像データは、制御部300のROM306に予め保持されているものとする。なお、制御部300がASICや半導体集積回路等のハードウェアにより実現される場合には、制御部300を構成する内部回路に予め保持させておけばよい。
変換情報生成用画像は、例えば、図21(A)及び(B)に例示するように、画像データにおける画素値(濃度)が各々同一の複数の小画像(以下、パッチという)を複数個並べた画像とすることができる。なお、各パッチの画像データ上の画素値(濃度)は同一とするが、ここでは露光量の補正値を異ならせて濃度を異ならせる。また、仮に、濃度むら抽出用画像を形成するための画像データ上の画素値を網点面積率Cinで表わしたときの値が50%である場合には、図21(C)に示すように、変換情報生成用画像の各パッチの画像データ上の濃度もCin50%とする(濃度むらの抽出用画像の濃度に合わせる)。このように、ベースとなる画像データの濃度は変えずに、各パッチの露光量の補正値を互いに異ならせる。図21(C)に示す例では、パッチP1〜P5のそれぞれの補正値は、-10、-5、0、+5、+10とされている。なお、基本的には、図21(C)に示すように、各補正値は、何も補正をしない場合の補正値(ここでは0)を基準(中心)として、上下に複数個の補正値を複数のパッチに割り当てるのが好ましいが、割り当て方法をこれに限定するものではない。
制御部300は、駆動部166に対して変換情報生成用画像の画像データを露光制御部164に供給すると共に、変換情報生成用画像に含まれる各パッチの露光量が各々異なるように各パッチの補正値を示す制御信号を露光量制御部168に供給する。
なお、図21(A)、(B)に示す変換情報生成用画像のパッチの並べ方はあくまで一例であって、特に本例に限定されない。また、パッチの個数は5つでなくてもよい。パッチ数が多ければ、トナーの消費量は増えるが、補正の精度は上がる。また、露光量の補正値は、前述したように、露光量の補正方法に応じた値とする。前述したように、基準となる露光量を示す値から補正値データが示す補正値を減算して補正してもよいし、基準となる露光量を示す値に補正値を乗算、加算、或いは除算してもよく、その補正方法は限定されない旨説明した。従って、補正値は、補正方法に応じた値となるように定める必要がある。
また、ここでは、補正が全くなされない場合の補正値を0としたが、補正が全くなされない場合の補正値を100としてもよいし、特に限定されない。更に又、上記例では、各パッチの補正値を、-10、-5、0、+5、+10のように、複数のパッチに均等な間隔で補正値を割り振る例について説明したが、各補正値を均等な間隔で割り振る必要もない。
なお、変換情報生成用画像を形成する際、複数の回転体を、濃度むら抽出用画像を形成するときの回転周期で回転させる必要はなく、通常の画像を形成するときの基準となる基準周期で回転させる。
ステップ602においては、利用者或いはカスタマエンジニア等が操作パネル部250を操作し、画像読取を指示したか否かを判断する。ステップ602において肯定判断した場合には、ステップ604で、制御部300から画像読取部200に制御信号を出力し、記録用紙に形成された画像の各々を読み取らせる。読取結果(読取画像を表わすデータ)は、RGB各色毎の画素値の分布として表わされた画像データであって、制御部300に供給される。なお、ここでは、記録用紙に形成された変換情報生成用画像を読み取る例について説明したが、ラインセンサ120により中間転写ベルト30上に形成された変換情報生成用画像を読み取るようにしてもよい。
ステップ606では、読取画像の画素値と補正値との関係を示す変換情報を生成する(図8(A)も参照)。具体的には、まず、制御部300は、上記得られた読取結果から、各パッチの領域の読取画素値を平均した平均値を求める。そして、上記パッチ形成の際に与えた補正値を横軸(X軸)にとり、上記求めた平均値を読取画像の画素値として縦軸(Y軸)にとってプロットすれば、補正値と画素値の関係が求められる。なお、この変換情報を、ルックアップテーブル形式で保存してもよいし、関数形式で表わすことができる場合には関数形式で表わすようにしてもよい。なお、補正値を段階的に変化させてテスト画像を形成したため、補正値や読み取って得られた画素値が離散的な値となり、その間のデータが不足する場合がある。この場合には、補間処理等を行うことで不足しているデータを補間してもよい。
なお、ここでは、複数のパッチを含む変換情報生成用画像を形成する例について説明したが、図21(D)に示すように、変換情報生成用画像を、全面ハーフトーン画像(画像データの画素値が全画素同一の1頁分の画像)を、複数枚(図ではG1〜G5の5枚が例示されている)形成するようにしてもよい。この場合には、1枚1枚、露光量が異なるように補正値を異ならせる。そして、ステップ606では、全面ハーフトーン画像の読取結果から、各画素値を平均した平均値を求め、該平均値と補正値との関係を求めればよい。
上記説明した処理により、画素値と補正値との関係を示す変換情報が生成される。なお、ここでは、補正値が露光補正値である場合について説明したが、これに限定されず、例えば、補正値が画像データ補正値であっても上記と同様に、各パッチ(或いは各全面ハーフトーン画像)の画像データの画素値を画像データ補正値により段階的に変化させて駆動部166に供給して、変換情報生成用画像を形成し、該形成された画像を読み取って得られた画素値と補正値との関係を示す変換情報を生成すればよい(図8(B)も参照)。画像データを補正する場合には、出力する画像データから画像データ補正値を減算して補正してもよいし、出力する画像データに画像データ補正値を乗算、加算、或いは除算してもよく、その補正方法は限定されない。ただし、画像データ補正値が、補正方法に応じた値となるようにする必要がある。
変換情報生成処理は、前述したように予め(例えば画像形成装置5の製造出荷時や、画像形成装置5の使用開始から予め定められた時間が経過する毎、予め定められた枚数の記録媒体が形成される毎等に)生成しておくようにしてもよいが、経時的な変化に細やかに対応するため、濃度むら抽出モードを実行する度に行うようにしてもよい。濃度むら抽出モードを実行する度に変換情報生成処理を行う場合には、図5のステップ412の前に変換情報生成処理が実行されればよい。従って、例えば、ステップ400とステップ402との間に変換情報生成処理が実行されるようにしてもよいし、ステップ410とステップ412との間に変換情報生成処理が実行されるようにしてもよい。
ステップ412では、このように生成された変換情報を用いて濃度むらプロファイルを補正値に変換する。前述したように濃度むらプロファイルは、主走査方向に画素値を平均化した一次元状のプロファイルとされているため、これをそのまま補正値に変換すると補正値が副走査方向に沿って一次元状に並んだ補正値データに変換されることになる。そこで、本実施形態では、この一次元状の補正値データを複数列主走査方向に並べて、二次元状の補正値データを生成する(図7(C)も参照)。
ステップ412により補正値データを作成した後は、図5のステップ414において、変換した補正値の副走査方向の倍率を調整する。抽出用画像を形成したときの、濃度むら抽出対象の回転体についての濃度むら抽出用回転周期が、基準周期と異なる場合には、抽出された濃度むらプロファイルの副走査方向の倍率が、基準周期で抽出用画像を形成したときの倍率(基準倍率)と異なることとなる。従って、補正値データの副走査方向の倍率も本来の基準倍率と異なるものとなる。この場合には、上記求めた補正値データの副走査方向の倍率が本来の基準倍率となるように調整する処理(副走査方向に拡大又は縮小する処理)をステップ414で行う。なお、抽出対象の回転体の回転を基準周期で回転させて抽出用画像を形成した場合には、ステップ414の処理はスキップされる。
ステップ416では、複数の回転体の回転周期を各回転体の本来の基準周期に戻し、濃度むら抽出モードを終了する。
上記説明した濃度むら抽出処理を繰り返して(1度の処理で、濃度むらプロファイルの抽出対象の回転体の各々について、他の回転体との直交性を満たすことができれば、1度の処理でよい)、各回転体毎の濃度むらプロファイルを抽出し、各回転体毎の補正値データを生成する。
その後、利用者により指定された印刷を行う場合には、制御部300は、上記生成した補正値データを用いて濃度むらを補正して画像を形成する。図10に、露光補正値に基づいて補正する場合の濃度むら補正処理ルーチンのフローチャートを示す。
ステップ500において、制御部300は、回転体(要因)毎の補正値データを合成し、1つの補正値データを生成する。ここでは、例えば、補正値データに対応する回転体の各々の、現在の回転位置(位相)を不図示の検出手段により検出し、補正値データが、現在の位相に対応するように補正値データの各補正値を並べ替えた上で、合成する。
ステップ502において、制御部300は、合成した光量の補正値データを、露光制御部164(の露光量制御部168の記憶部)に書き込む。
ステップ504において、制御部300は、利用者により指定された印刷を行うための画像データを駆動部166に供給すると共に、露光量制御部168を制御し、上記書き込まれた補正値データに応じて駆動量設定信号を生成させて、駆動部166に供給させる。これにより、駆動部166の露光量が補正される。
なお、露光量ではなく画像データを補正する場合には、以下のように行う。図11に、画像データ補正値に基づいて補正する場合の濃度むら補正処理ルーチンのフローチャートを示す。
ステップ520において、制御部300は、回転体(要因)毎の補正値データ(画像データ補正値の補正値データ)を合成し、1つの補正値データを生成する。
ステップ522において、制御部300は、合成した補正値データで、出力する画像データの画素値を補正する。出力する画像データとは、利用者により印刷が指定された画像データ(例えば、他の装置から送信され印刷指示された画像データや複写指定された原稿を読み取って得られた画像データ)のことであり、制御部300は、この画像データを、上記合成した補正値データの補正値を用いて補正する。
ステップ524において、制御部300は、補正した画像データに基づいて露光が実施されるよう、該補正した画像データを駆動部166に供給する。
ここで、具体例を挙げて説明する。例えば、3つの回転体(濃度むらを発生させる要因)による濃度むらが合成されて、最終的な濃度むらを形成している場合(図12(A)も参照)、該最終的な濃度むらの波形は複雑な形状を有している(図12(B)(C)も参照)。本実施形態では、上記の如く抽出対象の回転体の周期関数が他の回転体の周期関数と直交するように回転制御して抽出用画像を形成し、各要因1〜3のそれぞれに対応した濃度むらを各々波形分離して抽出して、各要因毎の濃度むらプロファイルを求め、各濃度むらプロファイルに対応する補正値データを生成して合成し、最終的に3つの要因の濃度むらの各々を補正する2次元状の補正値データを作成する(図12(D)も参照)。そして、画像形成の際には、該作成した補正値データを用いて補正する。
なお、特定濃度(特定画素値)の全面ハーフトーン画像の抽出用画像のみを形成して補正値データを求めた場合には、該特定濃度以外の他の濃度に対応する補正値データは存在しない。この場合には、利用者が印刷指定した画像データにおける各画素値に対して同じ補正値データの補正値を用いるようにしてもよいが、画素値に応じて、補正値に予め定められた係数を乗じて用いてもよい。補正値に乗じる係数は、抽出用の全面ハーフトーン画像とは別に、互いに濃度が異なる複数の小画像を含む階調画像を形成し、小画像の各々を読み取って、基準となる全面ハーフトーン画像の濃度(特定濃度)と比較し、特定濃度と各小画像の濃度との比率に対応する係数の各々を、各小画像の濃度の上記補正値に乗算する係数として設定する。そして、利用者が印刷指定した画像データを印刷したときの各画素値(濃度値)に対応して設定された係数を補正値に乗算して用いる。
また、複数濃度の抽出用画像を形成して該複数濃度の各々に対応する補正値データを求めた場合にも、該形成した濃度以外の濃度について、上記と同様に予め係数を求めて用いればよい。
なお、回転制御して抽出用画像を形成し、各回転体毎の濃度むらプロファイルを抽出する本実施形態の手法は、複数の回転体を有する画像形成装置であれば、どの画像形成装置にも適用される。また、前述したように、本実施形態の画像形成部100の現像器15は、略同径の2つの現像ロール150a、150bを含んで構成されている。通常の画像形成時の周期(基準周期)も比較的近い周速比であるならば、画像形成部100で生じる濃度むらには、近い周期の濃度むらが少なくとも2つ存在することとなる。ここで、2つの現像ロール150a、150bの各々のCin(入力画素値)に対する現像の感度が異なる場合などにおいては(図13も参照)、現像ロール毎に濃度むらプロファイルを抽出して各々に適した補正値データを設定するほうが補正の効果が高くなる。
上記構成において、複数の回転体の回転を上記のように制御せず、通常の画像形成時の回転と同様に基準周期で回転させて抽出用画像を形成した場合には、回転体の回転周期が近いと波形分離(フーリエ変換等)が困難となるが、本実施形態で説明したように、回転体の周期関数が直交するように回転制御して抽出用画像を形成することで、基準周期が近く略同径の回転体が複数存在していても、これら回転体毎の濃度むらプロファイルを抽出することができるようになる。略同期して回転する略同径の回転体が複数存在している場合も同様に、本実施形態で説明したように処理することで、個々の濃度むらプロファイルが抽出される。
なお、上記実施形態では、図5に示すステップ414において、補正値データの副走査方向の倍率を基準倍率に調整する例について説明したが、これに限定されず、例えば、補正値データを生成する前に濃度むらプロファイルの副走査方向の倍率を基準倍率に調整し、その後に該調整後の濃度むらプロファイルから補正値データを生成してもよい。図14に、補正値データを生成する前に濃度むらプロファイルの倍率を調整する場合の濃度むら抽出処理ルーチンのフローチャートを示す。なお、図14において、図5に示す処理と同じ処理を実行するステップには同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
ステップ410において、濃度むらプロファイルを抽出した後、ステップ411において、抽出した濃度むらプロファイルの副走査方向の倍率を、本来の基準倍率となるように調整する。なお、抽出対象の回転体の回転を基準周期で回転させて抽出用画像を形成した場合には、ステップ411の処理はスキップされる。
ステップ413では、調整した濃度むらプロファイルを補正値データに変換する。変換方法は上記説明した通りであるため、説明を省略する。なお、ステップ411で倍率が調整されなかった濃度むらプロファイルについては、倍率はそのままで補正値データに変換される。
また、上記実施形態では、画像読取部200(或いは画像形成装置5の外部の読取装置)により画像形成部100で形成された抽出用画像を読み取って、濃度むらプロファイルを抽出する例について説明したが、これに限定されず、例えば、画像形成部100内部に設けられたラインセンサ120により中間転写ベルト30に形成された抽出用画像を読み取って濃度むらプロファイルを生成するようにしてもよい。図15に、ラインセンサ120を使用して抽出用画像を読み取る場合の濃度むら抽出処理ルーチンのフローチャートを示す。なお、図15において、図5に示す処理と同じ処理を実行するステップには同一のステップ番号を付し、説明を省略する。
ステップ404において、制御部300は、画像形成部100に抽出用画像を形成させる。ステップ407では、制御部300は、ラインセンサ120により中間転写ベルト30上に転写された抽出用画像が読み取られるように、センサ制御部184に制御信号を入力し、中間転写ベルト30上に形成された抽出用画像をラインセンサ120に読み取らせる。読取結果は、制御部300に供給される。なお、この場合、記録用紙に抽出用画像を二次転写する必要はない。これにより記録用紙が無駄にならない。ステップ410以降の処理は、図5と同様であるため説明を省略する。
なお、ラインセンサ120を用いる場合においても、補正値データの倍率を調整する代わりに濃度むらプロファイルを調整するようにしてもよい。図16に、ラインセンサ120を用いて濃度むらプロファイルを生成し、且つ補正値データを生成する前に濃度むらプロファイルの倍率を調整する場合の濃度むら抽出処理ルーチンのフローチャートを示す。図16において、図5、図14、及び図15に示す処理と同じ処理を実行するステップには同一のステップ番号を付した。
なお、ラインセンサ120を使用する場合において生成され使用される変換情報は、図17(A)(B)に示すように、ラインセンサ120の出力(ラインセンサ120で読み取られた読取画像の画素値)と補正値との関係を示す変換情報となる。ラインセンサ120を使用する場合の変換情報の生成処理は、テスト画像の読取をラインセンサ120で行う以外は、図9を参照して説明した処理と同様に行えばよい。
また、ここでは、ラインセンサ120を用いて中間転写ベルト上の抽出用画像を読み取る例について説明したが、これに限定されず、例えば、感光体12近傍の現像器15下流側に、ラインセンサを設け、感光体12上に形成された現像後の抽出用画像を読み取るようにしてもよい。
また、上記実施形態では、波形分離を行う前に、まず、読取画像の各画素値について、主走査方向に画素値を平均化した平均値を求め、二次元状に画素値が分布する読取画像を、副走査方向に平均値が配列された一次元状の画像に変換して、波形分離を行う例について説明したが、これに限定されず、以下のように読取画像を処理して波形分離してもよい。
制御部300は、ステップ410において、濃度むらプロファイルを抽出する際に、図18(A)に示す抽出用画像の読取画像を、図18(B)に示すように、予め定められた分割数で主走査方向に分割する。以下、分割された各領域を分割領域と呼称する。ここで、読取画像の分割方法は、略均等に分割する分割方法でもよいし、互いに異なるサイズに分割する分割方法でもよい。制御部300は、分割領域毎に、上述したように主走査方向に画素値を平均化した平均値を求め、一次元状の画像に変換する。この状態では、図18(C)に示すように、複数の要因(回転体)の濃度むらが合成された状態であるため、分割領域毎にフーリエ変換を施して波形分離を行い、分割領域毎に回転体毎の濃度むらプロファイルを抽出する(図19(B)も参照)。
上記ステップ412(図5、図15)或いはステップ413(図14、図16)において補正値データを生成する場合には、各分割領域毎に上記説明したように補正値データを生成し、その後分割領域毎の補正値データを主走査方向に並べて分割領域毎の二次元状の補正値データを生成し、これら二次元状の補正データを更に走査方向に並べて全体の補正データを生成する(図18(D)も参照)。
このように、主走査方向に分割した分割領域毎に濃度むらプロファイルを抽出して、補正値データを生成する手法は、分割しない場合に比べて補正の精度が高まる。例えば、図18(A)や図19(A)に示すように、濃度むらの周期は同じだが、主走査方向の位置によって、位相がずれている場合を考える。図19(C)に示すように、単純に主走査方向に濃度むらプロファイルを平均化すると、濃度むらの形状も平均化されてしまう。しかしながら、図19(B)に示すように、主走査方向に分割した各分割領域毎に濃度むらプロファイルを抽出して各々補正値データを生成し、主走査方向に並べて最終的な補正値データを生成することで、当該位相のずれにも対応した補正値データが作成される。
分割数が多いほど補正の精度が高くなる。なお、主走査方向に領域分割せず且つ主走査方向に平均化せずに、読取画像の各画素値をそのまま用いて、各画素列毎にフーリエ変換を施して各回転体毎の二次元状の濃度むらプロファイルを抽出し、補正値データを生成するようにしてもよい。これにより演算量は多くなるが補正精度は高まる。
また、上記実施形態の画像形成部100には、現像ロール150a、150bの2つの現像ロールを備えた現像器15を例に挙げて説明したが、現像ロールが1つのみ備えられている現像器にも本実施形態の手法は適用可能であり、また、3つ以上の現像ロールが備えられている現像器にも適用可能である。
また、画像形成部100は、上記タンデム型の構成に限定されない。例えば、図20に示すように、回転式の現像装置718が設けられた画像形成部710であってもよい。
感光体712は図示しないモータで矢印Aの方向に回転されるように設けられている。感光体712の周囲には、帯電ロール714、露光装置716、現像装置718、一次転写器732、及びクリーニング装置722が配置されている。
帯電ロール714は、感光体712の表面を帯電し、露光装置716は、画像データに応じて、帯電した感光体712の表面をレーザビームによって露光して静電潜像を形成する。
現像装置718には、C、M、Y、K色のトナーを用いる現像器718Y、718M、718C、718Kが周方向に沿って配置されており、各々現像ローラ720を備え、内部に各々C,M,Y,Kの色のトナーを貯留している。各現像器718Y,718M,718C,718Kは、感光体712上の静電潜像をそれぞれC,M、Y、K色のトナーで現像する。現像する際には、図示しないモータによって現像装置718を回転させ、当該現像器が感光体712の潜像画像に対向するように位置合わせされる。
感光体712上に現像された各トナー画像は、一次転写器732によって矢印B方向に回転される中間転写ベルト724に順次転写されて、各トナー画像が重ね合わされる。
記録用紙収納部734から引き出しロール736で搬送路に引き出された記録用紙Pはロール対738,740によって2次転写ロール742の転写位置に搬送される。中間転写ベルト724上に形成されたトナー像はこの転写位置で記録用紙P上に転写され、定着装置744で熱定着されて不図示の排出部に排出される。
上記画像形成部710も、上記実施形態で説明したように二次元状の濃度むらを補正して印刷する画像形成部として適用される。
また、上記実施形態では、カラー画像の形成が可能な画像形成部100について説明したが、これに限定されず、例えば画像形成ユニットが1つ設けられたモノクロ印刷のみが可能な画像形成部であってもよい。
なお、画像形成装置5に設けられた制御部300で濃度むらプロファイルを抽出して補正値データを生成する機能を実行する上記例に限定されず、例えば、画像形成装置5と通信手段を介して通信可能な外部の装置を上記制御部300としても機能させ、該外部の装置で濃度むらプロファイルの抽出及び補正値データの生成を行うようにしてもよい。