ところで、近年、搬送される帯状基材(例えば、金属箔)の表面のうち上記帯状基材の幅方向両端部を除いた部位に塗膜が塗工された塗工部材について、レーザー変位計等により、塗工部材の幅方向にかかる塗膜の両エッジの位置を検出し、検出された両エッジの幅方向距離を塗膜の幅方向寸法として算出する技術が開発されている。例えば、搬送される塗工部材について、まず、レーザー変位計等により、塗工部材の幅方向について異なる複数の位置で塗工部材の厚み方向変位を測定し、塗工部材の各幅方向位置に対応する上記塗工部材の厚み方向変位のプロファイル(相関図、相関曲線)を取得する。そして、厚み方向変位の値が、予め設定した閾値と一致する幅方向位置を、それぞれ、塗膜のエッジの幅方向位置として検出する。そして、検出された2つのエッジ間の距離を、塗膜の幅方向寸法として算出する。
ところが、搬送される帯状基材の表面は平坦でないことがあり、例えば、表面が浮き上がった浮き上がり部が存在することがある。また、搬送装置から塗工部材に振動が伝わって、塗工部材の一部が微少振動することもあり得る。このため、上記測定方法では、帯状基材の浮き上がり部や微少振動等のノイズ成分の影響により、塗膜のエッジの幅方向位置を誤検知することがあった。例えば、帯状基材の幅方向両端部であって塗膜が塗工されていない塗膜未塗工部に浮き上がり部が存在し、その浮き上がり部が塗膜の厚みと同等である場合は、その浮き上がり部に対応する厚み方向変位の一部の値が閾値と一致し、その箇所を塗膜のエッジとして誤検知してしまう。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、塗膜のエッジの幅方向位置を、誤検知することなく正確に検知することができる塗膜幅測定方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の一態様は、搬送される帯状基材の表面のうち上記帯状基材の幅方向両端部を除いた部位に塗膜が塗工された塗工部材について、その幅方向にかかる上記塗膜の両エッジの位置を検出し、検出された両エッジの幅方向距離を上記塗膜の幅方向寸法として算出する塗膜幅測定方法であって、上記塗工部材の幅方向について異なる複数の位置で測定された上記塗工部材の厚み方向変位であって、上記塗工部材の各幅方向位置に対応する上記塗工部材の厚み方向変位のプロファイルを取得する取得ステップと、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルについて、第1の移動平均処理を行って、第1移動平均プロファイルを求めるステップと、上記第1移動平均プロファイルのうち、上記塗膜の幅方向両端部に位置する塗膜ダレ部に対応するプロファイルのそれぞれについて、第1の一次近似直線を求めるステップと、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルについて、上記第1の移動平均処理よりも幅方向の平均化範囲を大きくした第2の移動平均処理を行って、第2移動平均プロファイルを求めるステップと、上記第2移動平均プロファイルのうち、上記塗膜の上記塗膜ダレ部に対応するプロファイルのそれぞれについて、第2の一次近似直線を求めるステップと、上記第1の一次近似直線と上記第2の一次近似直線との交点を求め、その交点における幅方向位置を上記塗膜のエッジの幅方向位置として検出するステップと、を備える塗膜幅測定方法である。
上述の塗膜幅測定方法では、搬送される塗工部材について、その幅方向(搬送方向に直交する方向)にかかる塗膜の両エッジの位置を検出する。なお、塗工部材の搬送方向は、帯状基材(塗工部材)の長手方向に一致する。
具体的には、まず、取得ステップにおいて、搬送される塗工部材の幅方向について異なる複数の位置で測定された塗工部材の厚み方向変位のデータであって、塗工部材の各幅方向位置に対応する塗工部材の厚み方向変位のデータのプロファイルを取得する。例えば、レーザー変位計により、塗工部材の幅方向について異なる複数の位置で塗工部材の厚み方向変位を測定し、塗工部材の各幅方向位置に対応する塗工部材の厚み方向変位のデータのプロファイルを取得する。
ここで、プロファイルとは、塗工部材の幅方向位置と厚み方向変位との相関曲線(相関データ)に相当する。
その後、取得ステップにおいて取得したプロファイルについて、第1の移動平均処理を行って、第1移動平均プロファイルを求める。このように、実測した元のプロファイルについて移動平均を算出して、移動平均プロファイルに変換することで、帯状基材の浮き上がり部や微少振動の影響(ノイズ成分)をキャンセルすることができる。
次に、上記第1移動平均プロファイルのうち、塗膜の幅方向両端部に位置する塗膜ダレ部に対応するプロファイルのそれぞれについて、第1の一次近似直線を求める。
ここで、塗膜ダレ部とは、塗膜の両端部の位置で塗料が幅方向に広がった状態の部位(塗膜の端に向かうにしたがって塗膜の厚みが徐々に減少してゆき最終的に塗膜が無くなる部位)で、塗膜のエッジを含む部位である。
また、一次近似直線は、塗膜ダレ部に対応するプロファイル(相関曲線)について、例えば、最小二乗法を利用して求めることができる。
さらに、上述の塗膜幅測定方法では、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルについて、上記第1の移動平均処理よりも幅方向の平均化範囲(移動平均を算出する幅方向長さの範囲)を大きくした第2の移動平均処理を行って、第2移動平均プロファイルを求める。このように、実測した元のプロファイルについて移動平均を算出して、移動平均プロファイルに変換することで、帯状基材の浮き上がり部や微少振動の影響(ノイズ成分)をキャンセルすることができる。
その後、上記第2移動平均プロファイルのうち、塗膜の幅方向両端部に位置する塗膜ダレ部に対応するプロファイルのそれぞれについて、第2の一次近似直線を求める。
次いで、第1の一次近似直線と第2の一次近似直線との交点を求め、その交点における幅方向位置を塗膜のエッジの幅方向位置として検出する。このように、平均化範囲の異なる2つの移動平均プロファイルに基づいて、塗膜のエッジの位置を検出することで、エッジ検出精度が向上する。
以上より、上述の測定方法によれば、塗膜のエッジの幅方向位置を、誤検知することなく正確に検知することができる。
(2)さらに、上記の塗膜幅測定方法であって、前記第1移動平均プロファイル及び前記第2移動平均プロファイルのそれぞれについて、前記塗工部材の幅方向一方端側から他方端側に向かって、前記塗工部材の一定の幅方向長さ毎に、上記塗工部材の厚み方向変位の平均変化率を算出するステップと、上記平均変化率の絶対値が、予め設定した閾値より小さいか否かを判定するステップと、を備え、上記平均変化率の絶対値が上記閾値より小さいと判定した場合、当該平均変化率を算出した範囲は、前記帯状基材の幅方向両端部であって前記塗膜が塗工されていない塗膜未塗工部に対応するプロファイルであると判断し、上記平均変化率の絶対値が上記閾値以上であると判定した場合、当該平均変化率を算出した範囲は、前記塗膜ダレ部に対応するプロファイルであると判断する塗膜幅測定方法とすると良い。
上述の塗膜幅測定方法では、第1移動平均プロファイル及び前記第2移動平均プロファイルのそれぞれについて、塗工部材の幅方向一方側から他方端側に向かって、塗工部材の一定の幅方向長さ毎に、塗工部材の厚み方向変位の平均変化率を算出する。
詳細には、例えば、第1移動平均プロファイルのうち、塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向一方端側に位置するプロファイルについて、塗工部材の幅方向一方端側から中央側に向かって、塗工部材の一定の幅方向長さ毎に、塗工部材の厚み方向変位の平均変化率を算出する。さらに、第1移動平均プロファイルのうち、塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向他方端側に位置するプロファイルについて、塗工部材の幅方向中央側から他方端側に向かって、塗工部材の一定の幅方向長さ毎に、塗工部材の厚み方向変位の平均変化率を算出する。第2移動平均プロファイルについても、同様にして、それぞれの平均変化率を算出する。
そして、平均変化率の絶対値が、予め設定した閾値より小さい場合は、「当該平均変化率を算出した範囲(箇所)は、塗膜未塗工部に対応するプロファイル」であると判断する。一方、平均変化率の絶対値が閾値以上であると判定した場合は、当該平均変化率を算出した範囲は、塗膜ダレ部に対応するプロファイルであると判断する。
これにより、各移動平均プロファイルにおいて、塗膜ダレ部に対応するプロファイル(移動平均プロファイルのうち塗膜ダレ部に対応する部分)を、適切に、把握(推定)することができる。
(3)本発明の他の態様は、搬送される帯状基材の表面のうち上記帯状基材の幅方向両端部を除いた部位に塗膜が塗工された塗工部材について、その幅方向にかかる上記塗膜の両エッジの位置を検出し、検出された両エッジの幅方向距離を上記塗膜の幅方向寸法として算出する塗膜幅測定方法であって、上記塗工部材の幅方向について異なる複数の位置で測定された上記塗工部材の厚み方向変位であって、上記塗工部材の各幅方向位置に対応する上記塗工部材の厚み方向変位のプロファイルを取得する取得ステップと、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルのうち、上記帯状基材の幅方向両端部であって上記塗膜が塗工されていない塗膜未塗工部に対応するプロファイルのそれぞれについて、第1の一次近似直線を求めるステップと、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルのうち、上記塗膜未塗工部に隣接し、上記塗膜の幅方向両端部に位置する塗膜ダレ部に対応するプロファイルのそれぞれについて、第2の一次近似直線を求めるステップと、上記第1の一次近似直線と上記第2の一次近似直線との交点を求め、その交点における幅方向位置を上記塗膜のエッジの幅方向位置として検出するステップと、を備える塗膜幅測定方法である。
上述の塗膜幅測定方法でも、前述の(1)の測定方法と同様に、まず、取得ステップにおいて、搬送される塗工部材の各幅方向位置に対応する塗工部材の厚み方向変位のデータのプロファイルを取得する。
その後、上述の塗膜幅測定方法では、前述の測定方法と異なり、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルのうち、塗膜未塗工部(帯状基材の幅方向両端部であって塗膜が塗工されていない部位をいう)に対応するプロファイルのそれぞれについて、第1の一次近似直線を求める。このように、実測した元のプロファイルについて一次近似を行うことで、帯状基材の浮き上がり部や微少振動の影響(ノイズ成分)をキャンセルすることができる。
さらに、上述の塗膜幅測定方法では、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルのうち、塗膜の幅方向両端部に位置する塗膜ダレ部(塗膜未塗工部に隣接する部位)に対応するプロファイルのそれぞれについて、第2の一次近似直線を求める。これにより、塗膜ダレ部(塗膜未塗工部に隣接する部位)に対応するプロファイルにおいても、ノイズの影響をキャンセルすることができる。
その後、第1の一次近似直線と第2の一次近似直線との交点を求め、その交点における幅方向位置を塗膜のエッジの幅方向位置として検出する。このように、ノイズ成分がキャンセルされた塗膜未塗工部の一次近似直線と塗膜ダレ部の一次近似直線とに基づいて、塗膜のエッジの位置を検出することで、塗膜のエッジの幅方向位置を、誤検知することなく正確に検知することができる。
(4)さらに、上記の塗膜幅測定方法であって、前記取得ステップにおいて取得した前記プロファイルについて、前記塗工部材の幅方向一方端側から他方端側に向かって、前記塗工部材の一定の幅方向長さ毎に、上記塗工部材の厚み方向変位の平均変化率を算出するステップと、上記平均変化率の絶対値が、予め設定した閾値より小さいか否かを判定するステップと、を備え、上記平均変化率の絶対値が上記閾値より小さいと判定した場合、当該平均変化率を算出した範囲は、前記塗膜未塗工部に対応するプロファイルであると判断し、上記平均変化率の絶対値が上記閾値以上であると判定した場合、当該平均変化率を算出した範囲は、前記塗膜ダレ部に対応するプロファイルであると判断する塗膜幅測定方法とすると良い。
上述の塗膜幅測定方法では、取得ステップにおいて取得したプロファイル(実測プロファイル)について、塗工部材の幅方向一方端側から他方端側に向かって、塗工部材の一定の幅方向長さ毎に、塗工部材の厚み方向変位の平均変化率を算出する。
詳細には、例えば、取得したプロファイルのうち、塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向一方端側に位置するプロファイルについて、塗工部材の幅方向一方端側から中央側に向かって、塗工部材の一定の幅方向長さ毎に、塗工部材の厚み方向変位の平均変化率を算出する。さらに、取得したプロファイルのうち、塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向他方端側に位置するプロファイルについて、塗工部材の幅方向中央側から他方端側に向かって、塗工部材の一定の幅方向長さ毎に、塗工部材の厚み方向変位の平均変化率を算出する。
そして、平均変化率の絶対値が、予め設定した閾値より小さい場合は、「当該平均変化率を算出した範囲(箇所)は、塗膜未塗工部に対応するプロファイル」であると判断する。一方、平均変化率の絶対値が閾値以上であると判定した場合は、当該平均変化率を算出した範囲は、塗膜ダレ部に対応するプロファイルであると判断する。
これにより、取得ステップにおいて取得したプロファイルにおいて、塗膜未塗工部に対応するプロファイル(取得したプロファイルのうち塗膜未塗工部に対応する部分)と、塗膜ダレ部に対応するプロファイル(取得したプロファイルのうち塗膜ダレ部に対応する部分)とを、適切に、把握(推定)することができる。
ところで、搬送される帯状基材(塗工部材)は、搬送中にその幅方向に動く(左右に動く)ことがある。このため、従来の測定方法では、搬送される帯状基材(塗工部材)がその幅方向に動いた場合、塗膜のエッジの幅方向位置を誤検知することがあった。しかしながら、上述の測定方法によれば、搬送される帯状基材(塗工部材)がその幅方向に動くような場合でも、塗膜のエッジの幅方向位置を、誤検知することなく正確に検知することができる。
(5)本発明の他の態様は、搬送される帯状基材の表面のうち上記帯状基材の幅方向両端部を除いた部位に塗膜が塗工された塗工部材について、その幅方向にかかる上記塗膜の両エッジの位置を検出し、検出された両エッジの幅方向距離を上記塗膜の幅方向寸法として算出する塗膜幅測定方法であって、上記塗工部材の幅方向について異なる複数の位置で測定された上記塗工部材の厚み方向変位であって、上記塗工部材の各幅方向位置Xに対応する上記塗工部材の厚み方向変位Yのプロファイルを取得する取得ステップと、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルのうち上記塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向一方端側に位置するプロファイルについて、上記塗工部材の幅方向一方端側から中央側に向かって微分して、塗工部材の幅方向位置Xと、塗工部材の幅方向位置Xの変化量dXに対する厚み方向変位Yの変化量dYの割合であるdY/dXとの関係を表す第1微分プロファイルを求めるステップと、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルのうち上記塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向他方端側に位置するプロファイルについて、上記塗工部材の幅方向中央側から他方端側に向かって微分して、塗工部材の幅方向位置Xと、塗工部材の幅方向位置Xの変化量dXに対する厚み方向変位Yの変化量dYの割合であるdY/dXとの関係を表す第2微分プロファイルを求めるステップと、上記第1微分プロファイルにおいて、上記dY/dXの値が最大となる幅方向位置を、上記塗膜の一方のエッジの幅方向位置として検出するステップと、上記第2微分プロファイルにおいて、上記dY/dXの値が最小となる幅方向位置を、上記塗膜の他方のエッジの幅方向位置として検出するステップと、を備える塗膜幅測定方法である。
上述の塗膜幅測定方法でも、前述の(1)の測定方法と同様に、まず、取得ステップにおいて、搬送される塗工部材の各幅方向位置に対応する塗工部材の厚み方向変位のデータのプロファイルを取得する。
その後、上述の塗膜幅測定方法では、前述の測定方法と異なり、取得ステップにおいて取得したプロファイルを微分する。具体的には、上記プロファイルのうち塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向一方端側に位置するプロファイルについて、塗工部材の幅方向一方端側から中央側に向かって微分して、塗工部材の幅方向位置Xと、塗工部材の幅方向位置Xの変化量dXに対する厚み方向変位Yの変化量dYの割合であるdY/dXとの関係を表す第1微分プロファイルを求める。さらに、塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向他方端側に位置するプロファイルについて、上記塗工部材の幅方向中央側から他方端側に向かって微分して、dY/dXとの関係を表す第2微分プロファイルを求める。
そして、第1微分プロファイルにおいて、上記dY/dXの値が最大となる幅方向位置を、塗膜の一方のエッジの幅方向位置として検出する。通常、一方側塗膜ダレ部の立ち上がり部分(塗膜未塗工部との境界部分)における厚み方向変位Yの増加率は、帯状基材の浮き上がり部における厚み方向変位Yの増加率よりも大きくなる。このため、第1微分プロファイルにおいてdY/dXの値が最大となる幅方向位置を、塗膜のエッジの幅方向位置として検出することで、正確に、塗膜の一方のエッジの幅方向位置を検知することができる。
また、第2微分プロファイルについては、第1微分プロファイルのdY/dXの値に対し、正負が反対の関係になる。すなわち、他方側塗膜ダレ部における厚み方向変位Yの減少率は、帯状基材の浮き上がり部における厚み方向変位Yの減少率よりも大きくなる。従って、第2微分プロファイルにおいて、dY/dXの値が最小となる幅方向位置を、塗膜の他方のエッジの幅方向位置として検出することで、正確に、塗膜の他方のエッジの幅方向位置を検知することができる。
(6)さらに、前記(1)の塗膜幅測定方法であって、前記塗膜の一方のエッジの幅方向位置X11と他方のエッジの幅方向位置X12を検出した後、さらに、前記(3)の塗膜幅測定方法によって、上記塗膜の一方のエッジの幅方向位置X21と他方のエッジの幅方向位置X22を検出し、上記幅方向位置X11の値とX21の値とを比較して、X11とX21との差が許容範囲内であるか否かを判定し、さらに、上記幅方向位置X12の値とX22の値とを比較して、X12とX22との差が許容範囲内であるか否かを判定し、上記X11とX21との差が許容範囲内であり、且つ、上記X12とX22との差が許容範囲内である場合は、上記幅方向位置X11を上記塗膜の一方のエッジの幅方向位置として確定すると共に、上記幅方向位置X12を上記塗膜の他方のエッジの幅方向位置として確定する塗膜幅測定方法とすると良い。
すなわち、前記(1)の塗膜幅測定方法であって、前記塗膜の一方のエッジの幅方向位置X11と他方のエッジの幅方向位置X12を検出した後、さらに、前記取得ステップにおいて取得した前記プロファイルのうち、前記帯状基材の幅方向両端部であって前記塗膜が塗工されていない塗膜未塗工部に対応するプロファイルのそれぞれについて、第1(第3)の一次近似直線を求め、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルのうち、上記塗膜未塗工部に隣接し、上記塗膜の幅方向両端部に位置する塗膜ダレ部に対応するプロファイルのそれぞれについて、第2(第4)の一次近似直線を求め、上記第1(第3)の一次近似直線と上記第2(第4)の一次近似直線との交点を求め、その交点における幅方向位置をそれぞれ、上記塗膜の一方のエッジの幅方向位置X21と他方のエッジの幅方向位置X22として検出し、上記幅方向位置X11の値とX21の値とを比較して、X11とX21との差が許容範囲内であるか否かを判定し、さらに、上記幅方向位置X12の値とX22の値とを比較して、X12とX22との差が許容範囲内であるか否かを判定し、上記X11とX21との差が許容範囲内であり、且つ、上記X12とX22との差が許容範囲内である場合は、上記幅方向位置X11を上記塗膜の一方のエッジの幅方向位置として確定すると共に、上記幅方向位置X12を上記塗膜の他方のエッジの幅方向位置として確定する塗膜幅測定方法とすると良い。
上述の測定方法では、前記(1)に記載の塗膜幅測定方法で検出した両エッジの幅方向位置のうち一方のエッジの幅方向位置X11の値と、前記(3)に記載の塗膜幅測定方法によって検出した塗膜の両エッジの幅方向位置のうち一方のエッジの幅方向位置X21の値とを比較して、X11とX21との差が許容範囲内であるか否かを判定する。さらに、(1)の方法で検出された他方のエッジの幅方向位置X12と(2)の方法で検出された他方のエッジの幅方向位置X22とを比較して、X12とX22との差が許容範囲内であるか否かを判定する。
そして、X11とX21との差が許容範囲内であり、且つ、X12とX22との差が許容範囲内である場合は、幅方向位置X11を塗膜の一方のエッジの幅方向位置として確定し、幅方向位置X12を塗膜の他方のエッジの幅方向位置として確定する。
すなわち、前記(1)に記載の塗膜幅測定方法で検出した幅方向位置X11及びX12の値が、信頼できるものであるか否かを確認するために、前記(3)に記載の塗膜幅測定方法によって検出した塗膜のエッジの幅方向位置X21及びX22の値と比較して、それぞれの値の差が許容範囲内であるか否かを判断する。
X11とX21との差、及び、X12とX22との差が許容範囲内(誤検知とは考えられない妥当な範囲内の差)であれば、X11とX12の値は、信頼できる値(誤検知ではない正確な測定値)であると判断し、エッジの幅方向位置として確定する。
このような方法によれば、塗膜のエッジの幅方向位置を、より正確に検知することができる。
(7)さらに、上記(6)の塗膜幅測定方法であって、さらに、前記(5)の塗膜幅測定方法によって、前記塗膜の一方のエッジの幅方向位置X31と他方のエッジの幅方向位置X32を検出し、前記幅方向位置X11とX21との差が許容範囲から外れている場合、または、前記幅方向位置X12とX22との差が許容範囲から外れている場合は、上記幅方向位置X11の値とX31の値とを比較して、X11とX31との差が許容範囲内であるか否かを判定し、さらに、上記幅方向位置X12の値とX32の値とを比較して、X12とX32との差が許容範囲内であるか否かを判定し、上記X11とX31との差が許容範囲内であり、且つ、上記X12とX32との差が許容範囲内である場合は、上記幅方向位置X11を上記塗膜の一方のエッジの幅方向位置として確定すると共に、上記幅方向位置X12を上記塗膜の他方のエッジの幅方向位置として確定する塗膜幅測定方法とすると良い。
すなわち、上記(6)の塗膜幅測定方法であって、さらに、前記取得ステップにおいて取得した前記プロファイルのうち前記塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向一方端側に位置するプロファイルについて、上記塗工部材の幅方向一方端側から中央側に向かって微分して、塗工部材の幅方向位置Xと、塗工部材の幅方向位置Xの変化量dXに対する厚み方向変位Yの変化量dYの割合であるdY/dXとの関係を表す第1微分プロファイルを求め、上記取得ステップにおいて取得した上記プロファイルのうち上記塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向他方端側に位置するプロファイルについて、上記塗工部材の幅方向中央側から他方端側に向かって微分して、塗工部材の幅方向位置Xと、塗工部材の幅方向位置Xの変化量dXに対する厚み方向変位Yの変化量dYの割合であるdY/dXとの関係を表す第2微分プロファイルを求め、上記第1微分プロファイルにおいて、上記dY/dXの値が最大となる幅方向位置を、上記塗膜の一方のエッジの幅方向位置X31として検出し、上記第2微分プロファイルにおいて、上記dY/dXの値が最小となる幅方向位置を、上記塗膜の他方のエッジの幅方向位置X32として検出し、前記幅方向位置X11とX21との差が許容範囲から外れている場合、または、前記幅方向位置X12とX22との差が許容範囲から外れている場合は、上記幅方向位置X11の値とX31の値とを比較して、X11とX31との差が許容範囲内であるか否かを判定し、さらに、上記幅方向位置X12の値とX32の値とを比較して、X12とX32との差が許容範囲内であるか否かを判定し、上記X11とX31との差が許容範囲内であり、且つ、上記X12とX32との差が許容範囲内である場合は、上記幅方向位置X11を上記塗膜の一方のエッジの幅方向位置として確定すると共に、上記幅方向位置X12を上記塗膜の他方のエッジの幅方向位置として確定する塗膜幅測定方法とすると良い。
上述の測定方法では、前記(1)に記載の塗膜幅測定方法で検出した幅方向位置X11及びX12の値が、信頼できるものであるか否かを再確認するために、前記(5)に記載の塗膜幅測定方法によって検出した塗膜のエッジの幅方向位置X31及びX32の値と比較して、それぞれの値の差が許容範囲内であるか否かを判断する。幅方向位置X11とX31との差が許容範囲内であり、且つ、幅方向位置X12とX32との差が許容範囲内である場合は、幅方向位置X11及びX12は信頼できる値であると判断して、幅方向位置X11を塗膜の一方のエッジの幅方向位置として確定し、幅方向位置X12を塗膜の他方のエッジの幅方向位置として確定する。
このような測定方法によれば、塗膜のエッジの幅方向位置を、より正確に検知することができる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
本実施例1の塗膜幅測定装置1は、図1に示すように、レーザー変位計21,22と、演算装置30とを備えている。レーザー変位計21,22は、同等のレーザー変位計であり、ぞれぞれ、ローラ40によって搬送される塗工部材10について、その幅方向D1の異なる複数の位置における厚み方向変位(厚み方向D2の変位)を測定する。
なお、本実施例1では、レーザー変位計21,22として、キーエンス社製の2次元レーザー変位計(型式 LJ−G015)を用いている。
また、塗工部材10の搬送方向は、帯状基材(塗工部材)の長手方向に一致する方向であり、図1において矢印で示している。塗工部材10の幅方向D1(図1及び図2において左右方向)は、塗工部材10の搬送方向に直交する。
塗工部材10は、帯状基材11と、帯状基材11の表面のうち帯状基材11の幅方向両端部を除いた部位に塗工された塗膜13とを有する。なお、帯状基材11の幅方向両端部であって塗膜13が塗工されていない部位を、塗膜未塗工部という。塗膜未塗工部のうち、幅方向D1について帯状基材11の一方側(図1及び図2において左側)に位置する部位を、一方側塗膜未塗工部11bという(図2参照)。また、塗膜未塗工部のうち、幅方向D1について帯状基材11の他方側(図1及び図2において右側)に位置する部位を、他方側塗膜未塗工部11bという。
また、塗膜13の幅方向両端部の位置で塗料(塗膜13を形成する材料)が幅方向に広がった状態の部位(幅方向端に近づくにしたがって塗膜13の厚みが徐々に減少してゆき最終的に塗膜13が無くなる部位)を、塗膜ダレ部13b、13cという。塗膜ダレ部のうち、幅方向D1について塗膜13の一方側(図2において左側)に位置する部位を、一方側塗膜ダレ部13bという(図2参照)。また、塗膜ダレ部のうち、幅方向D1について塗膜13の他方側(図2において右側)に位置する部位を、他方側塗膜ダレ部13cという。一方側塗膜ダレ部13bは、塗膜の一方のエッジ(図2において左側のエッジ)を含む部位である。他方側塗膜ダレ部13cは、塗膜の他方のエッジ(図2において右側のエッジ)を含む部位である。
レーザー変位計21は、搬送される塗工部材10のうち、一方側(図1及び図2において左側)の塗膜未塗工部11b、及び、塗膜ダレ部13bを含む塗膜13の一方側部分について、幅方向長さ10μmピッチで、厚み方向変位を一時に測定する。なお、レーザー変位計21の幅方向測定範囲は、8mmである。従って、レーザー変位計21は、搬送される塗工部材10のうち、一方側の塗膜未塗工部11b、及び、一方側の塗膜ダレ部13bを含む塗膜13の一方側部分に対し、合計800カ所(8mm/10μm)の厚み方向変位Y(μm)を一時に測定する。なお、厚み方向変位Yの0基準(Y=0μmの位置)は、ローラ40の表面としている。
レーザー変位計22は、搬送される塗工部材10のうち、他方側(図1及び図2において右側)の塗膜未塗工部11c、及び、塗膜ダレ部13cを含む塗膜13の一方側部分について、幅方向長さ10μmピッチで、厚み方向変位を一時に測定する。レーザー変位計22の幅方向測定範囲も、8mmである。従って、レーザー変位計22は、搬送される塗工部材10のうち、一方側の塗膜未塗工部11c、及び、一方側の塗膜ダレ部13cを含む塗膜13の他方側部分に対し、合計800カ所(8mm/10μm)の厚み方向変位Yを一時に測定する。なお、厚み方向変位Yの0基準(Y=0μmの位置)は、ローラ40の表面としている。
演算装置30は、図示しないCPU、RAM、ROM等を有している。この演算装置30は、レーザー変位計21,22によって測定されたデータ(塗工部材10の幅方向位置Xに対応する厚み方向変位Yの値)から、幅方向位置Xに対応する厚み方向変位Yのプロファイル(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線)を作成し、これを取得する(図4参照)。
具体的には、レーザー変位計21によって測定されたデータから、塗工部材10の幅方向D1について一方側(図1及び図2において左側)のプロファイル(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線)を作成し、これを取得する。さらに、レーザー変位計22によって測定されたデータから、塗工部材10の幅方向D1について他方側(図1及び図2において右側)のプロファイル(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線)を作成し、これを取得する。
さらに、演算装置30は、一方側のプロファイルP11(図4参照)について、第1の移動平均処理を行って、第1移動平均プロファイルを求める。具体的には、平均化範囲を0.2mmの幅方向長さとして、一方側のプロファイル(相関曲線)P11の全体について、移動平均処理(移動平均の算出)を行って、第1移動平均プロファイル(相関曲線)PA11(図5参照)を求める。
このように、実測した一方側のプロファイルP11について移動平均を算出して、第1移動平均プロファイルPA11に変換することで、帯状基材11の浮き上がり部や微少振動の影響(ノイズ成分)をキャンセルすることができる。
さらに、演算装置30は、第1移動平均プロファイルPA11について、塗工部材の幅方向一方端側から他方端側に向かって(図5において左から右に向かって)、塗工部材10の一定の幅方向長さΔX毎(例えば、ΔX=0.2mm毎)に、塗工部材10の厚み方向変位Yの平均変化率R(=ΔY/ΔX)を算出する。
さらに、演算装置30は、一定の幅方向長さ毎に算出した平均変化率Rの絶対値が、予め設定した閾値Thより小さいか否かを判定する。平均変化率Rの絶対値が閾値Thより小さいと判定した場合、当該平均変化率Rを算出した範囲は、帯状基材11の一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイルであると判断する。一方、平均変化率Rの絶対値が閾値Th以上であると判定した場合、当該平均変化率Rを算出した範囲は、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルであると判断する。
さらに、演算装置30は、第1移動平均プロファイルPA11のうち、上述のようにして判断した一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルについて、第1の一次近似直線L11(図5参照)を求める。一次近似直線は、例えば、最小二乗法を利用して求めることができる。
さらに、演算装置30は、一方側のプロファイルP11(図4参照)について、第2の移動平均処理を行って、第2移動平均プロファイルを求める。具体的には、第1の移動平均処理よりも幅方向の平均化範囲を大きくして(例えば、平均化範囲を1.0mmの幅方向長さとして)、一方側のプロファイルP11について移動平均処理(移動平均の算出)を行って、第2移動平均プロファイル(相関曲線)PA21(図6参照)を求める。
さらに、演算装置30は、第2移動平均プロファイルPA21について、塗工部材の幅方向一方端側から他方端側に向かって(図6において左から右に向かって)、塗工部材10の一定の幅方向長さΔX毎(例えば、ΔX=0.2mm毎)に、塗工部材10の厚み方向変位Yの平均変化率R(=ΔY/ΔX)を算出する。
さらに、演算装置30は、一定の幅方向長さ毎に算出した平均変化率Rの絶対値が、予め設定した閾値Thより小さいか否かを判定する。平均変化率Rの絶対値が閾値Thより小さいと判定した場合、当該平均変化率Rを算出した範囲は、帯状基材11の一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイルであると判断する。一方、平均変化率Rの絶対値が閾値Th以上であると判定した場合、当該平均変化率Rを算出した範囲は、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルであると判断する。
さらに、演算装置30は、第2移動平均プロファイルPA21のうち、上述のようにして判断した一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルについて、第2の一次近似直線L21(図6参照)を求める。
さらに、演算装置30は、第1の一次近似直線L11と第2の一次近似直線L21との交点IPを求める(図7参照)。そして、検出した交点IPの幅方向位置Xを、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X11として検出する。
また、演算装置30は、他方側のプロファイルについても、上述した一方側のプロファイルと同様にして、第1移動平均プロファイル、第1の一次近似直線、第2移動平均プロファイル、及び、第2の一次近似直線を求める。さらに、演算装置30は、第1の一次近似直線と第2の一次近似直線との交点を求め、交点IPの幅方向位置Xを、塗膜13の他方のエッジの幅方向位置X12として検出する(図3参照)。
さらに、演算装置30は、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X11と他方のエッジの幅方向位置X12とから、塗膜13の幅寸法(塗膜幅)を算出する。
具体的には、レーザー変位計21の幅方向測定範囲は8mmであり、その幅方向測定範囲内において、一方端(図1及び図2において左端)を0mm、他方端(図1及び図2において右端)を8mmとしている。従って、幅方向位置X11の値は、レーザー変位計21の幅方向測定範囲内において、0〜8mmの範囲内のいすれかの値をとる。
レーザー変位計22の幅方向測定範囲も8mmであり、その幅方向測定範囲内において、一方端(図1及び図2において左端)を0mm、他方端を8mm(図1及び図2において右端)としている。従って、幅方向位置X12の値も、レーザー変位計22の幅方向測定範囲内において、0〜8mmの範囲内のいすれかの値をとる。
従って、塗膜13の幅寸法(塗膜幅)は、次のようにして算出することができる。レーザー変位計21の幅方向測定範囲の他方端(8mmの位置)とレーザー変位計22の幅方向測定範囲の一方端(0mmの位置)との間の距離をAmmとすると、レーザー変位計22によって測定される幅方向位置Xが0mmとなる位置は、レーザー変位計21によって測定される幅方向位置Xが0mmとなる位置から、(A+8)mmだけ離れた位置となる。従って、幅方向位置X12は、レーザー変位計21によって測定される幅方向位置Xが0mmとなる位置から、(A+8+X12)mmだけ離れた位置となる。
従って、塗膜幅B=(A+8+X12)−X11として求めることができる。例えば、A=92mm、X11=2mm、X12=5mmの場合は、塗膜幅B=(92+8+5)−2=103mmとなる。
なお、図4〜図7では、取得したプロファイル等の一部(要部)のみを拡大して示している。実際は、幅方向位置X=0mm〜8mmの範囲にわたって、プロファイル(データ)が存在する。後述する図9、図10、図12〜図15、図17〜図20、図22〜図25においても同様である。
また、帯状基材11としては、例えば、金属箔(アルミニウム箔や銅箔など)を用いることができる。また、塗膜13としては、例えば、電池の電極材料(活物質粉末など)と結着剤とを有する塗膜(電極合材層)を挙げることができる。塗膜13を形成するための塗料としては、例えば、電池の電極材料(活物質粉末など)と結着剤と溶媒とを混合した塗料(電極合材ペースト)を挙げることができる。塗工部材10としては、例えば、帯状基材11である金属箔(集電箔)の表面に、塗膜13である電極合材層が塗工された、電池用電極を挙げることができる。
次に、実施例1にかかる塗膜幅測定方法について、詳細に説明する。図3は、実施例1にかかる塗膜幅測定方法の流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、ステップS1において、演算装置30は、レーザー変位計21,22によって測定されたデータ(塗工部材10の幅方向位置Xに対応する厚み方向変位Yの値)を取得する。次いで、ステップS2に進み、レーザー変位計21によって測定されたデータから、塗工部材10の幅方向D1について一方側(図1及び図2において左側)のプロファイルP11(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線、図4参照)を取得する。
次に、ステップS3に進み、演算装置30は、一方側のプロファイルP11(図4参照)について、第1の移動平均処理を行って、第1移動平均プロファイルを求める。具体的には、平均化範囲を0.2mmの幅方向長さとして、一方側のプロファイル(相関曲線)P11の全体について、移動平均処理(移動平均の算出)を行って、第1移動平均プロファイル(相関曲線)PA11(図5参照)を求める。なお、第1移動平均プロファイルPA11は、図5において太実線で示す曲線である。
その後、ステップS4に進み、演算装置30は、第1移動平均プロファイルPA11において、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイル(曲線部分)を検出する。具体的には、サブルーチン(図8に示すフローチャート)に進み、まず、ステップR1において、第1移動平均プロファイルPA11について、塗工部材の幅方向一方端側から他方端側に向かって(図5、図9において左から右に向かって)、塗工部材10の一定の幅方向長さΔX毎(例えば、ΔX=0.2mm毎)に、塗工部材10の厚み方向変位Yの平均変化率R(=ΔY/ΔX)を算出する。
次いで、ステップR2に進み、演算装置30は、一定の幅方向長さ毎に算出した平均変化率Rの絶対値が、予め設定した閾値Thより小さいか否かを判定する。塗膜ダレ部における厚み方向変位Yの変化率の絶対値は、塗膜未塗工部における厚み方向変位Yの変化率の絶対値よりも大きくなる。なお、一方側塗膜ダレ部13bにおける厚み方向変位Yの変化率は、一方側塗膜未塗工部11bにおける厚み方向変位Yの変化率よりも大きくなる。
このため、例えば、予め、実験的に取得したプロファイルに基づいて、一方側塗膜ダレ部の平均変化率Rと一方側塗膜未塗工部の平均変化率Rと値を調査し、両者の間の値を、閾値Thとして設定することができる。そして、平均変化率Rの絶対値が閾値Thより小さいか否かを判断することで、適切に、当該平均変化率Rを算出した範囲が、塗膜未塗工部に対応するプロファイルであるか、または、塗膜ダレ部に対応するプロファイルであるかを判定することができる。
ステップR2において、平均変化率Rの絶対値が閾値Thより小さい(Yes)と判定した場合は、ステップR3に進み、当該平均変化率Rを算出した範囲は、帯状基材11の一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイルであると判断する。この事例を、図9に示す。図9において、太い実線で示す範囲が、当該平均変化率Rを算出した範囲である。
その後、ステップR5に進み、第1移動平均プロファイルPA11の全範囲のスキャン(平均変化率Rの算出)を完了したか否かを判定する。未だ、完了していない(No)と判定した場合は、再び、ステップR1に戻り、上述の処理を行う。
その後、ステップR2において、平均変化率Rの絶対値が閾値Th以上である(No)と判定した場合は、R4に進み、当該平均変化率Rを算出した範囲は、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルであると判断する。この事例を、図10に示す。図10において、太い実線で示す範囲が、当該平均変化率Rを算出した範囲である。
その後、ステップR5において、第1移動平均プロファイルPA11の全範囲のスキャン(平均変化率Rの算出)を完了した(Yes)と判定した場合は、一連のサブルーチン処理を終了して、メインルーチン(図3)に戻る。このようにして、第1移動平均プロファイルPA11において、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルの全範囲を検出する。
次に、ステップS5に進み、演算装置30は、第1移動平均プロファイルPA11のうち、上述のようにして検出した一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルについて、第1の一次近似直線L11(図5参照)を求める。一次近似直線は、例えば、最小二乗法を利用して求めることができる。なお、第1の一次近似直線L11は、図5において一点鎖線で示している。
次いで、ステップS6に進み、演算装置30は、一方側のプロファイルP11(図4参照)について、第2の移動平均処理を行って、第2移動平均プロファイルPA21を求める。具体的には、第1の移動平均処理よりも幅方向の平均化範囲を大きくして(例えば、平均化範囲を1.0mmの幅方向長さとして)、一方側のプロファイルP11について移動平均処理(移動平均の算出)を行って、第2移動平均プロファイル(相関曲線)PA21(図6参照)を求める。なお、第2移動平均プロファイルPA21は、図6において破線で示す曲線である。
その後、ステップS7に進み、演算装置30は、第2移動平均プロファイルPA21において、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイル(曲線部分)を検出する。具体的には、第2移動平均プロファイルPA21について、塗工部材の幅方向一方端側から他方端側に向かって(図6において左から右に向かって)、塗工部材10の一定の幅方向長さΔX毎(例えば、ΔX=0.2mm毎)に、塗工部材10の厚み方向変位Yの平均変化率R(=ΔY/ΔX)を算出する。
具体的には、サブルーチン(図8に示すフローチャート)に進み、前述の第1移動平均プロファイルPA11と同様に、ステップR1〜R5の処理を行って、第2移動平均プロファイルPA21において、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルの全範囲を検出する。
次いで、ステップS8に進み、演算装置30は、第2移動平均プロファイルPA21のうち、上述のようにして判断した一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルについて、第2の一次近似直線L21(図6参照)を求める。なお、第2の一次近似直線L21は、図6において一点鎖線で示している。
その後、ステップS9に進み、演算装置30は、第1の一次近似直線L11と第2の一次近似直線L21との交点IPを求める(図7参照)。そして、ステップS10に進み、検出した交点IPの幅方向位置Xを、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X11として検出する。
次に、ステップS11に進み、演算装置30は、レーザー変位計22によって測定されたデータから、塗工部材10の幅方向D1について他方側(図1及び図2において右側)のプロファイル(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線)を取得する。次いで、ステップS12に進み、演算装置30は、他方側のプロファイルについて、第1の移動平均処理を行って、他方側の第1移動平均プロファイルを求める。なお、移動平均処理(移動平均の算出)の方法は、ステップS3において説明した一方側のプロファイルP11と同様である。
その後、ステップS13に進み、演算装置30は、前述のステップS4と同様に、他方側の第1移動平均プロファイルにおいて、他方側塗膜ダレ部13cに対応するプロファイル(曲線部分)を検出する。次いで、ステップS14に進み、前述のステップS5と同様に、演算装置30は、他方側塗膜ダレ部13cに対応するプロファイルについて、第1の一次近似直線を求める。
次に、ステップS15に進み、演算装置30は、前述のステップS6と同様に、他方側のプロファイルについて、第2の移動平均処理を行って、第2移動平均プロファイルを求める。なお、第2の移動平均処理における平均化範囲は、第1の移動平均処理よりも大きくして(例えば、平均化範囲を1.0mmの幅方向長さとして)いる。次いで、ステップS16に進み、演算装置30は、前述のステップS7と同様に、他方側の第2移動平均プロファイルにおいて、他方側塗膜ダレ部13cに対応するプロファイル(曲線部分)を検出する。
その後、ステップS17に進み、演算装置30は、前述のステップS8と同様に、第2移動平均プロファイルのうち、上述のようにして判断した他方側塗膜ダレ部13cに対応するプロファイルについて、第2の一次近似直線を求める。次いで、ステップS18に進み、演算装置30は、第1の一次近似直線と第2の一次近似直線との交点を求める。そして、ステップS19に進み、交点IPの幅方向位置Xを、塗膜13の他方のエッジの幅方向位置X12として検出する。
次に、ステップS20に進み、演算装置30は、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X11と他方のエッジの幅方向位置X12とから、塗膜13の幅寸法(塗膜幅)を算出する。具体的には、前述のように、塗膜幅B=(A+8+X12)−X11として求めることができる。例えば、A=92mm、X11=2mm、X12=5mmの場合は、塗膜幅B=(92+8+5)−2=103mmとなる。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2にかかる塗膜幅測定方法ついて、図面を参照しつつ説明する。
図11は、実施例2にかかる塗膜幅測定方法の流れを示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、ステップU1において、演算装置30は、レーザー変位計21,22によって測定されたデータ(塗工部材10の幅方向位置Xに対応する厚み方向変位Yの値)を取得する。次いで、ステップU2に進み、レーザー変位計21によって測定されたデータから、塗工部材10の幅方向D1について一方側(図1及び図2において左側)のプロファイルP11(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線、図12参照)を取得する。
次に、ステップU3に進み、演算装置30は、一方側のプロファイルP11(図12参照)において、一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイル(曲線部分)、及び、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイル(曲線部分)を検出する。
具体的には、サブルーチン(図16に示すフローチャート)に進み、まず、ステップT1において、一方側のプロファイルP11について、塗工部材の幅方向一方端側から他方端側に向かって(図4において左から右に向かって)、塗工部材10の一定の幅方向長さΔX毎(例えば、ΔX=0.2mm毎)に、塗工部材10の厚み方向変位Yの平均変化率R(=ΔY/ΔX)を算出する。
次いで、ステップT2に進み、演算装置30は、一定の幅方向長さ毎に算出した平均変化率Rの絶対値が、予め設定した閾値Thより小さいか否かを判定する。塗膜ダレ部における厚み方向変位Yの変化率の絶対値は、塗膜未塗工部における厚み方向変位Yの変化率の絶対値よりも大きくなる。なお、一方側塗膜ダレ部13bにおける厚み方向変位Yの変化率は、一方側塗膜未塗工部11bにおける厚み方向変位Yの変化率よりも大きくなる。
このため、例えば、予め、実験的に取得したプロファイルに基づいて、一方側塗膜ダレ部の平均変化率Rと一方側塗膜未塗工部の平均変化率Rと値を調査し、両者の間の値を、閾値Thとして設定することができる。そして、平均変化率Rの絶対値が閾値Thより小さいか否かを判断することで、適切に、当該平均変化率Rを算出した範囲が、塗膜未塗工部に対応するプロファイルであるか、または、塗膜ダレ部に対応するプロファイルであるかを判定することができる。
ステップT2において、平均変化率Rの絶対値が閾値Thより小さい(Yes)と判定した場合は、ステップT3に進み、既に、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルを検出したか否かを判定する。ステップT3において、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルを検出していない(No)と判定した場合は、ステップT4に進み、当該平均変化率Rを算出した範囲は、帯状基材11の一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイルであると判断する。この事例を、図17に示す。図17において、太い実線で示す範囲(線分)が、当該平均変化率Rを算出した範囲である。
その後、ステップT5に進み、第1移動平均プロファイルPA11の全範囲のスキャン(平均変化率Rの算出)を完了したか否かを判定する。未だ、完了していない(No)と判定した場合は、再び、ステップT1に戻り、上述の処理を行う。
その後、ステップT2において、平均変化率Rの絶対値が閾値Th以上である(No)と判定した場合は、ステップT6に進み、既に、一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイルを検出したか否かを判定する。ステップT6において、既に、一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイルを検出している(Yes)と判定した場合は、ステップT7に進み、当該平均変化率Rを算出した範囲は、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルであると判断する。この事例を、図19に示す。図19において、太い実線で示す範囲(線分)が、当該平均変化率Rを算出した範囲である。
これに対し、ステップT6において、未だ、一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイルを検出していない(No)と判定した場合は、当該平均変化率Rを算出した範囲は、帯状基材11の一方側塗膜未塗工部11bである(詳細には、浮き上がり部等のノイズ成分を含んだ箇所)と考えられる。このため、この場合は、ステップT7に進むことなく、ステップT5に進む。この事例を、図20に示す。図20において、太い実線で示す範囲が、当該平均変化率Rを算出した範囲である。
帯状基材11の浮き上がり部や微少振動の影響(ノイズ成分)によって、一方側塗膜未塗工部11bにおいて、平均変化率Rの絶対値が閾値Th以上となる場合がある。しかしながら、上述のステップT6の判断を行うことで、帯状基材の浮き上がり部や微少振動の影響(ノイズ成分)によって、一方側塗膜未塗工部11bを、誤って一方側塗膜ダレ部13bと検知することを防止できる。
また、ステップT3において、既に一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルを検出している(Yes)と判定した場合は、当該平均変化率Rを算出した範囲は、塗膜13のうち一方側塗膜ダレ部13bよりも中央側(図2において右側)の部位であると考えられる。このため、この場合は、ステップT4に進むことなく、ステップT5に進む。この事例を、図18に示す。図18において、太い実線で示す範囲が、当該平均変化率Rを算出した範囲である。
その後、ステップT5において、一方側のプロファイルP11の全範囲のスキャン(平均変化率Rの算出)を完了した(Yes)と判定した場合は、一連のサブルーチン処理を終了して、メインルーチン(図11)に戻る。このようにして、一方側のプロファイルP11において、一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイル及び一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルの全範囲を検出する。
次に、ステップU4に進み、演算装置30は、上述のようにして検出した一方側塗膜未塗工部11bに対応するプロファイルについて、第1の一次近似直線L11(図13参照)を求める。一次近似直線は、例えば、最小二乗法を利用して求めることができる。なお、第1の一次近似直線L11は、図13において一点鎖線で示している。
このように、実測したプロファイルP11について一次近似を行うことで、帯状基材11の浮き上がり部や微少振動の影響(ノイズ成分)をキャンセルすることができる。
次に、ステップU5に進み、演算装置30は、上述のようにして検出した一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルについて、第2の一次近似直線L21(図14参照)を求める。これにより、一方側塗膜ダレ部13bに対応するプロファイルにおいても、ノイズの影響をキャンセルすることができる。
なお、第2の一次近似直線L21は、図14において一点鎖線で示している。
その後、ステップU6に進み、演算装置30は、第1の一次近似直線L11と第2の一次近似直線L21との交点IPを求める(図15参照)。そして、ステップU7に進み、検出した交点IPの幅方向位置Xを、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X21として検出する。
次に、ステップU8に進み、演算装置30は、レーザー変位計22によって測定されたデータから、塗工部材10の幅方向D1について他方側(図1及び図2において右側)のプロファイル(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線)を取得する。次いで、ステップU9に進み、演算装置30は、ステップU3と同様にして、他方側のプロファイルにおいて、他方側塗膜未塗工部11cに対応するプロファイル(曲線部分)、及び、他方側塗膜ダレ部13cに対応するプロファイル(曲線部分)を検出する。
次いで、ステップU10に進み、演算装置30は、上述のようにして検出した他方側塗膜未塗工部11cに対応するプロファイルについて、第1の一次近似直線を求める。さらに、ステップU11に進み、演算装置30は、上述のようにして検出した他方側塗膜ダレ部13cに対応するプロファイルについて、第2の一次近似直線を求める。
その後、ステップU12に進み、演算装置30は、第1の一次近似直線と第2の一次近似直線との交点を求める。そして、ステップU13に進み、検出した交点の幅方向位置Xを、塗膜13の他方のエッジの幅方向位置X22として検出する。次いで、ステップU14に進み、演算装置30は、ステップS20と同様に、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X21と他方のエッジの幅方向位置X22とから、塗膜13の幅寸法(塗膜幅)を算出する。
(実施例3)
次に、本発明の実施例3にかかる塗膜幅測定方法ついて、図面を参照しつつ説明する。
図21は、実施例3にかかる塗膜幅測定方法の流れを示すフローチャートである。
図21に示すように、まず、ステップW1において、演算装置30は、レーザー変位計21,22によって測定されたデータ(塗工部材10の幅方向位置Xに対応する厚み方向変位Yの値)を取得する。次いで、ステップW2に進み、レーザー変位計21によって測定されたデータから、塗工部材10の幅方向D1について一方側(図1及び図2において左側)のプロファイルP11(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線、図22参照)を取得する。
次いで、ステップW3に進み、一方側のプロファイルP11を微分する。具体的には、一方側プロファイルP11について、塗工部材の幅方向一方端側から中央側(図22、図23において左から右)に向かって微分して、塗工部材10の幅方向位置Xと、塗工部材10の幅方向位置Xの変化量dXに対する厚み方向変位Yの変化量dYの割合であるdY/dXとの関係を表す第1微分プロファイルDP11を求める(図23参照)。なお、一方側プロファイルP11は、塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向一方端側に位置するプロファイルに相当する。
次に、ステップW4に進み、第1微分プロファイルDP11において、上記dY/dXの値が最大となる幅方向位置Xを検出する。そして、ステップW5に進み、検出された幅方向位置Xを、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X31として検出する。なお、図23に示す例では、一方のエッジの幅方向位置X31は、2.0mmとして検出される。
通常、一方側塗膜ダレ部13bにおける厚み方向変位Yの増加率は、帯状基材11の浮き上がり部における厚み方向変位Yの増加率よりも大きくなる。このため、第1微分プロファイルDP11においてdY/dXの値が最大となる幅方向位置Xを、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X31として検出することで、正確に、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置を検知することができる。
次いで、ステップW6に進み、レーザー変位計22によって測定されたデータから、塗工部材10の幅方向D1について他方側(図1及び図2において右側)のプロファイルP12(幅方向位置Xと厚み方向変位Yとの相関曲線、図24参照)を取得する。
次いで、ステップW7に進み、他方側のプロファイルP12を微分する。具体的には、他方側プロファイルP12について、塗工部材の幅方向中央側から他方端側(図24、図25において左から右)に向かって微分して、塗工部材10の幅方向位置Xと、塗工部材10の幅方向位置Xの変化量dXに対する厚み方向変位Yの変化量dYの割合であるdY/dXとの関係を表す第2微分プロファイルDP12を求める(図25参照)。なお、他方側プロファイルP12は、塗工部材の幅方向中央位置よりも幅方向他方端側に位置するプロファイルに相当する。
次に、ステップW8に進み、第2微分プロファイルDP12において、上記dY/dXの値が最小となる幅方向位置Xを検出する。そして、ステップW9に進み、検出された幅方向位置Xを、塗膜13の他方のエッジの幅方向位置X32として検出する。なお、図25に示す例では、他方のエッジの幅方向位置X32は、3.0mmとして検出される。
通常、他方側塗膜ダレ部13cにおける厚み方向変位Yの減少率は、帯状基材11の浮き上がり部における厚み方向変位Yの減少率よりも大きくなる。このため、第1微分プロファイルDP11においてdY/dXの値が最小となる幅方向位置Xを、塗膜13の他方のエッジの幅方向位置X32として検出することで、正確に、塗膜13の他方のエッジの幅方向位置を検知することができる。
次いで、ステップW10に進み、演算装置30は、ステップS20と同様に、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X31と他方のエッジの幅方向位置X32とから、塗膜13の幅寸法(塗膜幅)を算出する。
(実施例4)
次に、本発明の実施例4にかかる塗膜幅測定方法ついて、図面を参照しつつ説明する。
図26は、実施例3にかかる塗膜幅測定方法の流れを示すフローチャートである。
図26に示すように、まず、ステップV1において、演算装置30は、前述(実施例1)のステップS1〜S19の処理を行って、一方のエッジの幅方向位置X11の値と他方のエッジの幅方向位置X12とを検出する。次いで、ステップV2に進み、演算装置30は、前述(実施例2)のステップU2〜U13の処理を行って、一方のエッジの幅方向位置X21の値と他方のエッジの幅方向位置X22とを検出する。
さらに、ステップV3に進み、演算装置30は、前述(実施例3)のステップW2〜W9の処理を行って、一方のエッジの幅方向位置X31の値と他方のエッジの幅方向位置X32とを検出する。
なお、ステップV2及びV3では、プロファイルの基になる測定データとして、ステップV1(詳細にはステップS1)において取得した測定データを用いる。従って、ステップV1〜V3では、共通のプロファイルを用いて、処理を行うことになる。
次に、ステップV4に進み、一方のエッジの幅方向位置X11の値と幅方向位置X21の値とを比較して、X11の値とX21の値との差が許容範囲内であるか否かを判定する。なお、許容範囲は、予め実験等により把握した測定誤差等を考慮して、誤検知とは考えられない妥当な範囲に設定しておく。
ステップV4において、X11の値とX21の値との差が許容範囲内である(Yes)と判定した場合は、ステップV5に進み、他方のエッジの幅方向位置X12の値と幅方向位置X22の値とを比較して、X12の値とX22の値との差が許容範囲内であるか否かを判定する。
ステップV5において、X12の値とX22の値との差が許容範囲内である(Yes)と判定した場合は、ステップV6に進み、幅方向位置X11を、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置として確定し、さらに、幅方向位置X12を、塗膜13の他方のエッジの幅方向位置として確定する。
本実施例4では、実施例1の塗膜幅測定方法で検出した幅方向位置X11及びX12の値が、信頼できるものであるか否かを確認するために、実施例2の塗膜幅測定方法によって検出した塗膜のエッジの幅方向位置X21及びX22の値と比較して、それぞれの値の差が許容範囲内であるか否かを判断する。
X11の値とX21の値との差、及び、X12の値とX22の値との差が許容範囲内(誤検知とは考えられない妥当な範囲内の差)であれば、X11とX12の値は、信頼できる値(誤検知ではない正確な測定値)であると判断し、エッジの幅方向位置として確定する。このような方法によれば、塗膜のエッジの幅方向位置を、より正確に検知することができる。
その後、ステップV7に進み、ステップS20と同様に、演算装置30は、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置X11と他方のエッジの幅方向位置X12とから、塗膜13の幅寸法(塗膜幅)を算出する。具体的には、前述のように、塗膜幅B=(A+8+X12)−X11として求めることができる。例えば、A=92mm、X11=2mm、X12=5mmの場合は、塗膜幅B=(92+8+5)−2=103mmとなる。
一方、ステップV4において、X11の値とX21の値との差が許容範囲内でない(No)と判定した場合は、ステップV8に進み、今度は、一方のエッジの幅方向位置X11の値と幅方向位置X31の値とを比較して、X11の値とX31の値との差が許容範囲内であるか否かを判定する。
ステップV8において、X11の値とX31の値との差が許容範囲内である(Yes)と判定した場合は、ステップV9に進み、他方のエッジの幅方向位置X12の値と幅方向位置X32の値とを比較して、X12の値とX32の値との差が許容範囲内であるか否かを判定する。
ステップV9において、X12の値とX32の値との差が許容範囲内である(Yes)と判定した場合は、ステップV10に進み、幅方向位置X11を、塗膜13の一方のエッジの幅方向位置として確定し、さらに、幅方向位置X12を、塗膜13の他方のエッジの幅方向位置として確定する。ステップV5において、X12の値とX22の値との差が許容範囲内でない(No)と判定した場合も、ステップV8に進み、同様な処理を行う。
なお、ステップV8において、X11の値とX31の値との差が許容範囲内でない(No)と判定した場合は、ステップV11に進み、エッジの幅方向位置Xの検出は誤検知である可能性が極めて高いので、今回のエッジ検出はNGであると判断し、塗膜幅の算出は行わない。ステップV9において、X12の値とX32の値との差が許容範囲内でない(No)と判定した場合も同様である。
このように、本実施例4では、実施例1の塗膜幅測定方法で検出した幅方向位置X11及びX12の値が、信頼できるものであるか否かを再確認するために、実施例3の塗膜幅測定方法によって検出した塗膜のエッジの幅方向位置X31及びX32の値と比較して、それぞれの値の差が許容範囲内であるか否かを判断する。幅方向位置X11とX31との差が許容範囲内であり、且つ、幅方向位置X12とX32との差が許容範囲内である場合は、幅方向位置X11及びX12は信頼できる値であると判断して、幅方向位置X11を塗膜の一方のエッジの幅方向位置として確定し、幅方向位置X12を塗膜の他方のエッジの幅方向位置として確定する。このような測定方法によれば、塗膜のエッジの幅方向位置を、より正確に検知することができる。
以上において、本発明を実施例1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜4に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。