JP2013134440A - 現像装置、該現像装置に用いられる現像方法及び該現像装置に用いられる磁性トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】静電潜像が形成される静電潜像担持体、静電潜像を現像する磁性トナー、磁性トナーを担持し搬送する磁性トナー担持体3、及び、磁性トナー担持体に当接し、磁性トナーを規制する規制部材12を備えた現像装置において、磁性トナー担持体表面の仕事関数値が特定値であり、規制部材は磁性トナーと当接する部位が特定材質であり、磁性トナーは結着樹脂、磁性粉体、及びスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有する負帯電性の磁性トナーであって、X線光電子分光分析により測定される磁性トナー表面に存在する炭素元素の存在量と硫黄元素の存在量の比が特定の範囲である。
【選択図】図3
Description
これらプリンターや複写機は近年アナログからデジタルへの移行が進み、潜像の再現性に優れ高解像度であると同時に、コンパクトである事が強く求められている。
ここで、コンパクト化と言う観点から見ると、本体だけでなく現像装置自身のコンパクト化も強く要求されており、それに伴い磁性トナー担持体をはじめとする各パーツも小型化が進んでいる。しかし、磁性トナー担持体について着目すると、磁性トナー担持体を小さくするということは濃度が出難い方向になる。これは、磁性トナー担持体を小径化する事で曲率が大きくなり、現像領域が減少する事に起因する。
このため、静電潜像担持体に対する磁性トナー担持体の周速差を大きくする(すなわち、静電潜像担持体よりも磁性トナー担持体の周速を大きくする)事で画像濃度を上げる事が可能である。しかし、静電潜像担持体と磁性トナー担持体の周速差を大きくするとトナー劣化を生じやすく、多数枚印刷後の濃度低下が顕著になりやすい。
また、現像コントラストを大きくする事により、画像濃度を上げる事が可能である。しかし、現像コントラストを大きくすると、画像のエッジ部分の電荷密度がより大きくなり、エッジ部分のトナー現像量が大きくなってしまう。この結果、画像濃度は向上するが、トナー消費量が増大してしまい、好ましくない。
これに対し、弊害無く濃度を上げる方法としてトナーの現像効率の向上が考えられる。
現像効率とは、磁性トナー担持体上に担持されたトナー量に対する、静電潜像担持体上に現像されたトナー量の比であり、この比率が高いほど現像性が高い(すなわち、高濃度となる)事を示している。
現像効率は現像装置の構成やトナーの帯電性により異なるが、一般的には磁性トナー担持体上のトナーの帯電量が高いと現像効率が高い傾向にある。また、磁性トナー担持体上のトナー量が少ないとトナーの帯電量が高い傾向にあるが、磁性トナー担持体上のトナー量が少ないと言う事は、濃度が出難いと言う事を意味する。このため、磁性トナー担持体上のトナー量が多く、且つ、磁性トナー担持体上のトナーの帯電量が高い現像装置及びトナーが求められている。
次に、コンパクト化について再び考えると、本体や現像装置の各パーツのコンパクト化の他にトナーの消費量を低減させる事により現像装置自体を小さく出来る事は明らかであり、トナーの消費量削減も強く求められている。
一般に、モノクロプリンターやコピー機は文字出力をする事が多く、いわゆるラインの載り量(ライン画像を形成するトナーの現像量)を抑える事によりトナー消費量を削減することが出来る。しかし、例えば200μm幅のライン潜像を形成し現像を行った場合、トナーの消費量を抑えようとすると実際に得られるライン幅は200μmよりもかなり細くなり、潜像の再現性が劣るものとなる。また、ベタ画像も濃度が薄く貧弱な画像となってしまう。
一方、ライン幅を200μmに保とうとするとトナーの消費量が減らないという状況に
あり、画像濃度が高く、潜像に対し忠実にラインを再現すると共に消費量を減少させると言う事は非常に困難であった。
これに対し、従来は特定の微粉量及び真密度、残留磁化を有するトナーを用いる事によりトナー消費量が削減可能であるとしている(特許文献1参照)。しかしながら、このようなトナーではベタ濃度が薄くなりやすく、濃度を上げようとすると消費量が増加すると共に、ラインが太くなってしまう。
このように、本体のコンパクト化を進める上でトナーの現像性の向上と、トナー消費量の低減は非常に重要であるが、この要望に答えるためにはまだまだ改善の余地があった。
静電潜像が形成される静電潜像担持体、前記静電潜像を現像する磁性トナー、前記静電潜像担持体に対向して設けられ前記磁性トナーを担持し搬送する磁性トナー担持体、及び、前記磁性トナー担持体に当接し、前記磁性トナー担持体に担持される磁性トナーを規制する規制部材を備えた現像装置において、
前記磁性トナー担持体は、表面の仕事関数値が4.6eV以上、4.9eV以下であり、
前記規制部材は、磁性トナーと接する部位がポリフェニレンスルフィド、及びポリオレフィンのいずれかであり、
前記磁性トナーは、
i)結着樹脂、磁性粉体、及びスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有し、
ii)負帯電性であり、
iii)X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する炭素元素の存在量をA(原子%)とし、X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する硫黄元素の存在量をE(原子%)としたときに、Aに対するEの比であるE/Aが下記式(1)を満たすことを特徴とする現像装置、該現像装置に用いられる現像方法及び該現像装置に用いられる磁性トナー。
式(1) 0.0020≦E/A≦0.0150
本発明の現像装置は、静電潜像が形成される静電潜像担持体、前記静電潜像を現像する磁性トナー、前記静電潜像担持体に対向して設けられ前記磁性トナーを担持し搬送する磁性トナー担持体、及び、前記磁性トナー担持体に当接し、前記磁性トナー担持体に担持される磁性トナーを規制する規制部材を備えた現像装置において、
前記磁性トナー担持体は、表面の仕事関数値が4.6eV以上、4.9eV以下であり、
前記規制部材は、磁性トナーと接する部位がポリフェニレンスルフィド、及びポリオレフィンのいずれかであり、
前記磁性トナーは、i)結着樹脂、磁性粉体、及びスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有し、ii)負帯電性であり、iii)X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する炭素元素の存在量をA(原子%)とし、X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する硫黄元素の存在量をE(原子%)としたときに、Aに対するEの比であるE/Aが下記式(1)を満たすことを特徴とする。
式(1) 0.0020≦E/A≦0.0150
また、本発明の現像方法は、静電潜像担持体に形成された静電潜像を、前記静電潜像担持体に対向して設けられた磁性トナー担持体に担持され、前記磁性トナー担持体に当接する規制部材によって規制された磁性トナーで現像する現像方法であって、
前記磁性トナー担持体は、表面の仕事関数値が4.6eV以上、4.9eV以下であり、
前記規制部材は、磁性トナーと接する部位がポリフェニレンスルフィド、及びポリオレフィンのいずれかであり、
前記磁性トナーは、i)結着樹脂、磁性粉体、及びスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有し、ii)負帯電性であり、iii)X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する炭素元素の存在量をA(原子%)とし、X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する硫黄元素の存在量をE(原子%)としたときに、Aに対するEの比であるE/Aが下記式(1)を満たすことを特徴とする。
式(1) 0.0020≦E/A≦0.0150
さらに、本発明の磁性トナーは、本発明の現像装置に用いられる磁性トナー(以下単にトナーともいう)である。
本発明者等は、現像効率を向上させ、トナー消費量を低減させるには、磁性トナー担持体上の磁性トナーの帯電量を高く、且つ、帯電量分布を均一にする事が非常に重要であることを見出した。そして、これらを制御する事により現像効率が高く、トナー消費量を低減する事が出来、本発明に至った。
まず現像領域における磁性トナーの挙動について考えると、磁性一成分現像法では磁性トナー担持体上から静電潜像担持体上に磁性トナーが飛翔する事で現像が行なわれる。磁性トナーが磁性トナー担持体から静電潜像担持体上に飛翔する駆動力は磁性トナー担持体に印加されたバイアスであり、バイアスに追従して磁性トナーは静電潜像担持体上に飛翔する。つまり、磁性トナーのバイアス追従性を上げる事で現像性を向上する事が可能となる。
このバイアス追従性であるが、バイアス追従性は磁性トナーの帯電量に相関があり、磁性トナーの帯電量が高い方がバイアス追従性は高い。しかし、一般には磁性トナー担持体上の磁性トナーの帯電量には分布があり、磁性トナー全体としての帯電量が高くてもその中には帯電量が低い磁性トナーも含まれる。さらに、磁性トナーの帯電量が高いと帯電量分布は広い傾向になる。これは、特に磁性一成分現像法において顕著な傾向であり、高い帯電量と狭い帯電量分布の両立は困難であった。
この原因についてであるが、本発明者らは以下のように考えている。磁性一成分現像法において、磁性トナーは磁性トナー担持体により搬送され、トナー規制部材(以下単に規
制部材ともいう)により磁性トナーの搬送量が規制される。この時、磁性トナー担持体とトナー規制部材が当接する部位(以後、規制部と呼ぶ)では、磁性トナーは次のように挙動する。
規制部では磁性トナー担持体が回転する力と規制部材からの押圧が加わり、さらに、磁性トナー担持体の凹凸の影響で磁性トナー担持体表面近傍に存在する磁性トナーはかき混ざるように入れ替わりながら搬送されていく(図1参照)。このため、磁性トナーは磁性トナー担持体との接触により帯電する。一方、トナー規制部材近傍の磁性トナーは磁性トナー担持体表面の凹凸から相対的に遠い場所に存在するため、磁性トナーはかき混ざり難い状態となる。また、一般的には磁性トナーの規制部材が正帯電性であり磁性トナーが負帯電となるため、トナー規制部材と磁性トナー間に静電的な力が働くようになる。これにより磁性トナーはトナー規制部材近傍でより動き難くなり、トナー規制部材近傍の磁性トナーは入れ替わり難くなってしまう。このため、トナー規制部材近傍の磁性トナーはかき混ざり難く、トナー規制部材表面に接している磁性トナーのみが帯電する傾向になる。
さらに、磁性トナーの帯電量を上げようとすると、トナー規制部材の当接圧を上げたり、トナー規制部材をより正帯電性の強い材質に変更したり、等の手段が一般的である。しかし、これら手段では磁性トナーの動きをより規制することになり、規制部で磁性トナーがかき混ざり難くなると共に、トナー規制部材近傍の磁性トナーはより大きな負電荷を得る事となり、結果的に磁性トナーの帯電量分布が広くなる。
これに対し、本発明者らが鋭意検討したところ、磁性トナーの規制部材としてポリフェニレンスルフィドやポリオレフィンを用い、磁性トナー担持体表面の仕事関数値を4.6以上、4.9以下とし、磁性トナー表面に存在する元素の存在量を制御する事で上記の課題を解決した。
上記のように、規制部において磁性トナーは搬送されると共にかき混ぜられ、帯電する。しかし、磁性トナー担持体近傍の磁性トナーはかき混ぜられ、磁性トナーの入れ替わりが良好に生じるのに対し、トナー規制部材近傍は磁性トナーが入れ替わり難い。これが帯電量分布を生じる理由である。これに対し、本発明者らは[1]規制部において磁性トナーの入れ替わりが良好であり、[2]磁性トナーの帯電が迅速である、この2点がそろえば帯電量が高く、帯電量分布が狭くなり現像効率が向上すると考え、本発明に至った。
まず、磁性トナーの入れ替わりであるが、これはトナー規制部材を一般的なシリコーンゴムや、ウレタン、ポリカーボネート等のトナーに比して正帯電性の部材を、ポリフェニレンスルフィド(以後、PPSと略す)やポリオレフィンに変える事で大幅に良化する。PPSやポリオレフィンはトナーに比してほぼ同電位か弱負帯電性であり、トナー規制部材近傍の磁性トナーはトナー規制部材との摺擦及び摩擦によりほとんど帯電しなくなる。
このため、トナー規制部材に対する静電的な力が極めて小さくなるため、磁性トナーがトナー規制部材に貼りつく事はなくなると考えられる。このような理由から、トナー規制部材近傍の磁性トナーも良好に入れ替わる事が可能となり、帯電量分布はより狭くなると考えられる。
しかし、トナー規制部材をPPSやポリオレフィンに変更する事により、磁性トナーの帯電量は低下する事になる。これまで述べてきたように、磁性トナーは磁性トナー担持体とトナー規制部材の両方に接し、摺擦される事で摩擦帯電する。しかし、PPSやポリオレフィンの如きトナー規制部材は磁性トナーを帯電させる能力が非常に低いため、磁性トナーの帯電は磁性トナー担持体との接触及び摺擦に依存する事になる。これにより、磁性トナーの帯電量が低下してしまう。
このため、磁性トナー担持体と磁性トナーによる帯電性の向上が必要であり、本発明においては磁性トナー担持体表面の仕事関数値を4.6eV以上、4.9eV以下とし、磁性トナー表面に存在する元素の存在量を制御する事が重要となる。
ーの帯電について考えると、磁性トナー担持体表面の仕事関数値が小さいと、磁性トナーが接触及び摺擦した際に自由電子のやり取りが生じやすく、磁性トナーが帯電し易くなる。このため、磁性トナー担持体表面の仕事関数値は4.9eV以下である事が重要である。
一方、磁性トナー担持体表面の仕事関数値が4.9eVより大きい場合、磁性トナー担持体表面と磁性トナー間で良好な自由電子の受け渡しが困難となり、磁性トナーの帯電量及び帯電性が低下し好ましくない。
また、磁性トナー担持体表面の仕事関数値が4.6eV未満であると、磁性トナーの帯電性は良好となる反面、磁性トナーの帯電量が大きくなり過ぎてしまい鏡映力が増加する。その結果、磁性トナー担持体上の磁性トナーが動き難くなり、帯電量分布が広がり好ましくない。
本発明において、磁性トナー担持体表面の仕事関数値を調整するためには、下記に挙げる導電性粒子を磁性トナー担持体の表層を構成する樹脂層中に含有させることが好適に例示できる。導電性粒子としては、金属(アルミニウム、銅、ニッケル、銀等)の微粉末、導電性金属酸化物(酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化モリブデン、及びチタン酸カリウム等)の粒子、結晶性グラファイト、各種カーボンファイバー、導電性カーボンブラック、等が挙げられる。
本発明においては、これら導電性粒子の種類を適宜選択し、その添加量を適宜調整することで、磁性トナー担持体表面の仕事関数値を調整することが可能である。
例えば、アルミニウム、銅、銀、ニッケル等の金属粉体、又は黒鉛のような仕事関数値の低い導電性粒子を多く添加することで仕事関数値を低下させることができる。一方、酸化処理カーボンブラックを添加する、導電性粒子自体の添加量を減らす等の方法により仕事関数値を上昇させることが可能である。
カーボンブラックの具体的な酸化処理方法としては公知の方法が適用できるが、例えばオゾン等による表面酸化処理法、過マンガン酸カリウムによる酸化処理法等が挙げられる。この様な方法にてカーボンブラック表面を酸化処理することにより、カーボンブラック表面にカルボキシル基やスルホン酸基等の表面官能基が付与され、その表面官能基の作用によって仕事関数値が増大する。
式(1) 0.0020≦E/A≦0.0150
式(2) 0.0030≦E/A≦0.0120
E/Aは磁性トナー表面に存在するスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体(以後、含硫黄重合体とも呼ぶ)の存在量を示している。該E/Aが上記範囲であると言う事は、十分な量の含硫黄重合体が磁性トナー表面に存在する事を意味する。磁性トナー表面に十分な量の含硫黄重合体が存在し、且つ、上記の磁性トナー担持体の表面が特定の仕事関数値を有する事により、磁性トナーの帯電の立ち上がりが早く、且つ、十分な帯電量を有するようになる。この理由についてであるが、本発明者らは以下のように考えている。
スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体は、その分子内にスルホン酸構造を有しており、スルホン酸構造は孤立電子対を複数有している。一方、磁性トナー担持体表面は先に述べたように仕事関数値が4.9eV以下と低く、自由電子を放出し易い。よって、磁性トナー表面に存在する含硫黄重合体が磁性トナー担持体表面と接触及び摺擦されると、電子のやり取りが非常に迅速に行なわれるよう
になる。このため、帯電性が低いトナー規制部材を用いても磁性トナーの帯電の立ち上がりが早く、十分な帯電量を有するようになると本発明者らは考えている。
このような理由から、E/Aは0.0020以上である事が必要である。E/Aが0.0020未満の場合、十分な帯電量が得られずに現像効率が低下する、或いはトナーのバイアス追従性が低下するために好ましくない。
一方、E/Aが0.0150よりも大きいと、磁性トナーの帯電量が大き過ぎてしまい、この場合も現像効率が低下してしまう。これは、E/Aが0.0150よりも大きいと磁性トナーの帯電量が非常に高くなり、磁性トナー担持体と磁性トナー間に働く鏡映力が大きくなりすぎてしまう。結果、磁性トナーが磁性トナー担持体から離れ難くなるためである。
このように、上記E/Aは0.0020以上、0.0150以下である事が、本発明に用いられる磁性トナー担持体と組み合わせる上では重要である。
また、上記E/Aについては、含硫黄重合体中が有するスルホン酸構造の含有量や、含硫黄重合体の添加量により制御する事が可能である。さらに、E/Aは含硫黄重合体の磁性トナー表面への露出具合を表す指標であるため、磁性トナーの製造方法等によっても制御する事が可能である。
具体的には、含硫黄重合体が有するスルホン酸構造の含有量が高いほどE/Aの値は大きくなり易い。また、含硫黄重合体の添加量が多くてもE/Aは上昇する。さらに、含硫黄重合体は極性が高い樹脂のため、例えば水系媒体中で磁性トナーを製造すると、その極性を利用する事で磁性トナー表面に含硫黄重合体を局在化させる事が可能である。このような意味で、本発明に用いる磁性トナーは水系媒体中で製造される事が好ましく、懸濁重合法を用いて製造されることはこれら効果が顕著になるためにより好ましい。
また、懸濁重合法において複数の樹脂成分を用いた場合、得られたトナー粒子は一般にコアシェル構造を取る事が知られている。該シェル層を構成する樹脂又は重合体が含硫黄重合体よりも極性が高いと、トナー粒子表面に含硫黄重合体を局在化させることが難くなる。このため、含硫黄重合体以外の樹脂でシェル層を形成する場合は、シェル層に用いる樹脂より、含硫黄重合体の酸価を高くすることが好ましい。
さらに、本発明の現像装置は、磁性トナーの消費量も低減することが可能となった。
これまで述べてきたように、磁性トナー担持体上の磁性トナーが静電潜像担持体上に飛翔する事により、現像が行なわれる。
この飛翔するトナー量についてであるが、磁性トナーは静電潜像担持体上に形成された静電潜像と磁性トナー担持体上に印加されたバイアスとの電位差、及び磁性トナーの帯電量により磁性トナーの現像する量の最大量が決まる。すなわち、ベタ黒のように電位差が大きな潜像では磁性トナーの現像量は増加し、ハーフトーンのような電位差の小さな潜像では磁性トナーの現像量は減少する。
次にトナー消費量の低減について考えると、トナー消費量の低減には同一の静電潜像に飛翔する磁性トナーの飛翔量を減少させる必要がある。すなわち、静電潜像と磁性トナー担持体上に印加されたバイアスとの「電位差」は一定で、磁性トナーの飛翔量を減少させる必要がある。ここで、磁性トナーの飛翔量について考えると、磁性トナーは上記の「電位差」を埋めるために飛翔するのであって、「電位差」が埋まった時点で磁性トナーは飛翔しないと考えられる。このため、磁性トナーの帯電量を高くする事により、少量の磁性
トナーにより「電位」が埋まり、磁性トナーの飛翔量を抑制する事が可能となる。
本発明の現像装置、及び磁性トナーについて考えると、先に述べたように、本発明において磁性トナー担持体上の磁性トナーは帯電量が高く、帯電量分布も狭い。このため、これら磁性トナーが静電潜像担持体上に飛翔すると、「電位差」を埋め易く、磁性トナーの飛翔量を抑制する事が可能である(すなわち、静電潜像に忠実に現像しつつ、トナー消費量の低減が可能となった)。
以上、これまで述べてきたように磁性トナー担持体上の磁性トナーの帯電量が高く、且つ、狭い帯電量分布とする事で、現像効率が高く、トナー消費量を抑制する事が可能となった。
これまで述べてきたように、本発明では規制部の磁性トナーの入れ替わりを良好に行なう事が非常に重要である。この磁性トナーを入替るための駆動力は磁性トナー担持体表面の凹凸である。しかしながら、磁性トナー担持体から相対的に遠い位置に存在するトナー規制部材近傍の磁性トナーは、その影響を受け難い。そこで、トナー規制部材表面にも凹凸を持たせる事で、磁性トナーの入れ替わりが良好になると考えられる。
そこで本発明者等が鋭意検討したところ、RaSが0.60μm以上、1.50μm以下であり、RaS/RaBが1.0以上、3.0以下であるとトナー消費量の低減とカブリの低減が可能であった。この理由について、本発明者らは以下のように考えている。
まず、磁性トナーを搬送するのは磁性トナー担持体であり、磁性トナーの入れ替わりの多くの部分は磁性トナー担持体表面の凹凸が担っていると考えられる。このため、磁性トナー担持体の表面粗さ(RaS)は0.60μm以上である事が好ましい。一方、磁性トナー担持体の表面粗さ(RaS)が1.50μmよりも大きいと、磁性トナーの搬送量が多すぎるために磁性トナーの入れ替わりが不十分となりやすい。このため、RaSは0.60μm以上、1.50μmである事が好ましい。
次に、トナー規制部材の磁性トナーと当接する部位の表面粗さ(RaB)に対する、磁性トナー担持体の表面粗さ(RaS)の比[RaS/RaB]が、1.0以上、3.0以下であると磁性トナーの入れ替わりがより良好となる。これは、磁性トナー担持体表面の凹凸から相対的に遠い位置に存在する磁性トナーの入れ替わりを助ける事が可能となるためであると本発明者らは考えている。
本発明における磁性トナー担持体の表面粗さ(RaS)を上記範囲にするには、例えば、磁性トナー担持体の表層の研磨状態を変える、あるいは球状炭素粒子、カーボン微粒子、グラファイト、樹脂微粒子等を添加することにより可能となる。また、トナー規制部材の表面粗さ(RaB)を調整する方法としては、トナー規制部材表面をテーパー研磨する方法等が挙げられる。
磁性トナーをコアシェル構造とし、コア層がスチレンアクリル樹脂を含有してなり、シェル層に非晶質ポリエステル樹脂を用いる事で磁性トナーの帯電の立ち上がりが良好になると共に、耐久性が向上し好ましい。
一般的に、磁性トナーが含有する磁性粉体や離型剤はトナーの帯電性を妨げる傾向にある。このため、シェル層を設ける事によりこれらの露出が防がれ、帯電の立ち上がりが良好となる。さらに、コア層にスチレンアクリル樹脂、シェル層に非晶質のポリエステル樹脂を用いると、スチレンアクリル樹脂とポリエステル樹脂が相分離し易く、シェル層が均一にコア層を覆い易くなる。このため、上記の効果が更に顕著となり好ましい。
本発明において、前記非晶質ポリエステル樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸とを重縮合することにより得られた非晶質のポリエステル樹脂であれば特に限定されない。しかし、後述の理由より、前記非晶質ポリエステル樹脂が、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を80モル%以上含有したアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合することにより得られたものであり、プロピレンオキサイド付加物の平均付加モル数が1.8以上、2.5以下であることがより好ましい。
シェル層で均一にコア層を覆う場合、シェル層に用いる樹脂の添加量を多くする事が一般的である。しかし、本発明では含硫黄重合体のトナー表面における存在量を制御する事が非常に重要であるが、シェル層を構成する非晶質ポリエステル樹脂を多量に添加すると上記E/Aが低下し易い傾向にある。このため、シェル層に用いられる非晶質ポリエステル樹脂は少ない添加量で均一にシェル層を形成する事が求められる。
そこで本発明者らが鋭意検討したところ、非晶質ポリエステル樹脂のアルコール成分を上述のようにする事でシェル層である非晶質ポリエステル樹脂が、少量であってもコア層をより均一に被覆する事が可能となった。
この理由についてであるが、上記非晶質ポリエステル樹脂はポリエステルの構造としては比較的シンプルなものであると言える。そのため、複雑な構造の他のポリエステルに比して組成が均一になり易く、少量で均一にコア層を覆う事が可能になったと考えている。
また、このような非晶質ポリエステル樹脂はガラス転移温度(Tg)が高くなるため、磁性トナーの耐久劣化を抑制し易く好ましい。さらに、上述のように非晶質ポリエステル樹脂の添加量が少量で良いため、定着性も損なう事がないので非常に好ましい。
本発明において、上記非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は75℃以上、90℃以下である事が好ましい。非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)が75℃以上であると、トナー劣化を抑制できるために耐久性が向上する。これにより耐久後であっても高い現像効率を維持でき、十分な画像濃度を得る事が出来る。
本発明の磁性トナーに使用される非晶質ポリエステル樹脂は、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはその両者を適宜選択して使用することが可能である。
本発明に使用される非晶質ポリエステル樹脂は、アルコール成分と酸成分から構成される通常のものが使用でき、両成分については以下に例示する。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ブテンジオール、オクテンジオール、シクロヘキセンジメタノール、水素化ビスフェノールA、下記式(1−1)で表されるビスフェノール誘導体、下記式(1−1)の水添物、下記式(1−2)で示されるジオール類が挙げられる。
一方、非晶質ポリエステル樹脂を構成する2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸の如きベンゼンジカルボン酸またはその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸またはその無水物が挙げられる。さらには、炭素数6から18のアルキル基またはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
さらに、アルコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルの如き多価アルコールが挙げられ、酸成分としてトリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
本発明に用いられる非晶質ポリエステル樹脂において、全成分中45モル%から55モル%がアルコール成分であり、55モル%から45モル%が酸成分であることが好ましい。
上記非晶質ポリエステル樹脂は、通常用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;およびこれら金属含有化合物など、いずれの触媒を用いても製造することができる。これら触媒の中でも特に、チタン系の触媒を用いて重縮合した非晶質ポリエステル樹脂が好ましい。
チタン系の触媒を用いて重縮合した非晶質ポリエステル樹脂は、均質なポリエステル樹脂になりやすいため、トナー粒子間でのばらつきも少なくなる。このため、特に本発明の磁性トナーの好ましい製造方法である懸濁重合法においては、磁性トナー粒子のシェル層を均一に構成することが可能となるため非常に好ましい。
上記非晶質ポリエステル樹脂は、帯電の安定性と言う観点から、酸価は1mgKOH/g以上、10mgKOH/g以下である事が好ましい。10mgKOH/g以下であることにより、磁性トナーの帯電性が安定化しやすいため、特に高温高湿度環境下での現像効率が向上しやすい。さらに、該酸価が10mgKOH/g以下であると、上記E/Aの値を制御し易く、好ましい。また、該酸価が1mgKOH/g以上であることにより、均一なシェル層を形成しやすい。
本発明において、結着樹脂100質量部に対する上記非晶質ポリエステル樹脂の含有量は1質量部乃至10質量部である事が好ましく、より好ましくは2質量部乃至8質量部である。
該非晶質ポリエステル樹脂によりシェル層を形成させる具体的手法としては、コア粒子にシェル用の微粒子を埋め込むことでも可能である。
また、本発明に好適な製造方法である水系媒体中で磁性トナーを製造する場合は、コア粒子にシェル用の超微粒子を付着させ、乾燥させる事によりシェル層を形成させる事が可
能である。さらには、溶解懸濁法、懸濁重合法においてはシェル用の非晶質ポリエステル樹脂の酸価、及び親水性を利用し、水との界面、即ち、磁性トナー表面近傍に非晶質ポリエステル樹脂を偏在せしめ、シェル層を形成する事が可能である。
上記スチレンアクリル樹脂を形成する重合性単量体としては、以下のものが例示できる。
スチレン系重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンの如きスチレン系重合性単量体が挙げられる。
アクリル系重合性単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体が挙げられる。
メタクリル系重合性単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体が挙げられる。
なお、スチレンアクリル樹脂の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。結着樹脂全量に対するスチレンアクリル樹脂の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
また、結着樹脂は、上記非晶質ポリエステル樹脂及び上記スチレンアクリル樹脂以外に、本発明の効果に影響を与えない程度に、トナーの結着樹脂に用いられる公知の樹脂を含むことができる。
本発明に用いられる含硫黄重合体は、含硫黄重合体100質量部に対し、上記スルホン酸基含有単量体が0.1質量部以上、15.0質量部以下、より好ましくは1.0質量部以上12.0質量部であると、トナーの帯電が均一になり易く好ましい。また、該含硫黄重合体の添加量は、磁性トナーを構成する結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、10.0質量部以下であることが好ましい。
スルホン酸基含有単量体と共重合体をなす上記重合性単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体あるいは多官能性重合性単量体を使用することができる。この中でも、スチレン系単量体とアクリル系単量体又はメタクリル系単量体、具体的には、上記スチレンアクリル樹脂を構成する単量体を用いると、磁性トナーが吸湿し難くなり好ましい。
含硫黄重合体の製造方法には、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、イオン重合等が利用できるが、操作性などの面から溶液重合が好ましい。
含硫黄重合体のガラス転移温度(Tg)は50℃以上、100℃以下が好ましい。ガラ
ス転移温度が50℃未満の場合には、磁性トナーの流動性、保存性が低下する傾向にあり、さらに転写性も低下する場合がある。ガラス転移温度が100℃を超える場合には、定着性が低下する傾向にある。
含硫黄重合体の酸価(mgKOH/g)は3以上、50以下が好ましく、より好ましくは5以上、30以下である。該特定の酸価を採用する事で、含硫黄重合体を磁性トナーの最表面に露出させる事が可能となり、磁性トナーの帯電量を高くする事が出来る。さらには、磁性トナーの吸湿性をも抑制でき、非常に好ましい。
なお、磁性トナーにおける磁性粉体の含有量は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7を用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで、磁性トナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性粉体量とする。
本発明の磁性トナーに用いられる磁性粉体は、四三酸化鉄、γ−酸化鉄の如き酸化鉄を主成分とするものであり、リン、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、珪素などの元素を含んでもよい。上記磁性粉体は、窒素吸着法によるBET比表面積が2.0m2/g以上、20.0m2/g以下であることが好ましく、3.0m2/g以上、10.0m2/g以下であることがより好ましい。
磁性粉体の形状としては、多面体、8面体、6面体、球形、針状、燐片状などがあるが、多面体、8面体、6面体、球形等の異方性の少ないものが、画像濃度を高める上で好ましい。
磁性粉体は、例えば下記の方法で製造することができる。具体的には第一鉄塩水溶液に鉄成分に対して当量又は当量以上の水酸化ナトリウム等のアルカリを加え、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製する。調製した水溶液のpHを7.0以上に維持しながら空気を吹き込み、水溶液を70℃以上に加温しながら水酸化第一鉄の酸化反応を行い、磁性酸化鉄粒子の芯となる種晶をまず生成する。
次に、種晶を含むスラリー状の液に、前に加えたアルカリの添加量を基準として約1当量の硫酸第一鉄を含む水溶液を加える。液のpHを5.0以上、10.0以下に維持し、空気を吹き込みながら水酸化第一鉄の反応を進め、種晶を芯にして磁性酸化鉄粒子を成長させる。この時、任意のpH及び反応温度、攪拌条件を選択することにより、磁性酸化鉄の形状及び磁気特性をコントロールすることが可能である。酸化反応が進むにつれて液のpHは酸性側に移行していくが、液のpHは5.0未満にしない方が好ましい。このように得られた磁性酸化鉄粒子を定法によりろ過、洗浄、乾燥することにより磁性酸化鉄を得ることができる。
次いで、得られた磁性酸化鉄に対してシラン化合物による表面処理を行なう事が好ましい。表面処理を気相中にて行なう場合、具体的には、pHを3.0以上、6.5以下に調整した水溶液を35℃以上、50℃以下になるように液温を調整する。この水溶液にアルコキシシランを徐々に投入し、例えばディスパー翼などを用いて均一に攪拌・分散させ、加水分解を行なう。このようにして得られた加水分解物を磁性酸化鉄に添加し、ハイスピードミキサーやヘンシェルミキサー等の攪拌・混合機にて均一に混合する。その後80℃以上、160℃以下の温度で乾燥・解砕し、処理磁性粉体を得る事が出来る。
磁性酸化鉄を表面処理するための装置としては、公知の攪拌装置を用いる事が出来る。具体的には、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機)、ハイスピードミキサー(深江パウテック)、ハイブリタイザー(奈良機械製作所)、ターボミル(ターボ工業)等が好ましい。
湿式にて表面処理を行う場合、酸化反応終了後、乾燥させたものを再分散させる、又は酸化反応終了後、洗浄、濾過して得られた磁性酸化鉄を乾燥せずに別の水系媒体中に再分
散させ、表面処理を行う。具体的には、再分散液を十分攪拌しながらアルコキシシランを添加し、加水分解後温度を上げる、或いは、加水分解後に分散液のpHをアルカリ域に調整することで表面処理を行う。
磁性酸化鉄の表面処理に用いる事が出来るシラン化合物としては、例えば一般式(I)で示されるものが挙げられる。
RmSiYn (I)
[式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1から3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基などの官能基を示し、nは1から3の整数を示す。但し、m+n=4である。]
一般式(I)で示されるシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン及び、これらの加水分解物等を挙げることができる。
上記シラン化合物を用いる場合、単独で処理する、或いは複数の種類を併用して処理することが可能である。複数の種類を併用する場合、それぞれのシラン化合物で個別に処理してもよいし、同時に処理してもよい。
用いるシラン化合物の量は磁性酸化鉄100質量部に対して0.5質量部以上、5.0質量部以下であることが好ましく、磁性酸化鉄の表面積、シラン化合物の反応性等に応じて処理剤の量を調整するとよい。
本発明に用いる離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピークのピーク温度は50℃以上、90℃以下である事が好ましい。最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上、90℃以下であると、定着時に磁性トナーが可塑化しやすく、定着性が良化する。また、高温高湿環境下で放置しても離型剤のブリーディング等も生じ難く好ましい。
磁性トナーに離型剤を用いる場合、結着樹脂100質量部に対し、離型剤を2質量部以上、30質量部以下用いる事が好ましい。2質量部以上、30質量部以下であると、定着性が向上するとともに、磁性トナーの保存安定性も良好になり易く好ましい。
とが好ましく、より好ましくは4.0以上10.0μm以下である。重量平均粒径(D4)が3.0μm以上、12.0μm以下であると良好な流動性が得られ、潜像に忠実に現像する事が出来る。このため、ドット再現性に優れた良好な画像を得る事が出来る。
本発明の磁性トナーは、平均円形度が0.960以上である事が好ましく、モード円形度が0.97以上であるとより好ましい。磁性トナーの平均円形度が0.960以上の場合、磁性トナーの形状は球形又はこれに近い形になり、流動性に優れ均一な摩擦帯電性を得られやすい。このため、耐久後半においても高い現像効率を維持し易くなるために好ましい。
本発明の磁性トナーのガラス転移温度(Tg)は40.0℃以上、70.0℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が40.0℃以上、70.0℃以下であると、良好な定着性を維持しつつ保存安定性、そして耐久性を向上できるために好ましい。
本発明の磁性トナーは粉砕法によって製造することも可能であるが、本発明で規定するE/Aを達成するためには、これまで述べてきたように水系媒体中で製造する事が好ましく、懸濁重合法を用いることがより好ましい。
懸濁重合法とは、重合性単量体及び磁性粉体(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散させて重合性単量体組成物を得る。その後、この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し同時に重合反応を行なわせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法で得られるトナー(以後「重合トナー」ともいう)は、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、帯電量の分布も比較的均一となるために好ましい。
本発明の磁性トナーを懸濁重合法で製造する具体的方法を以下に述べるがこれに限定されない。ます、上述の重合性単量体及び磁性粉体(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、その他の添加剤)を適宜加えて、ホモジナイザー、ボールミル、超音波分散機等の分散機に依って均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に懸濁する。この時、高速撹拌機もしくは超音波分散機のような分散機を使用して一気に所望のトナー粒子のサイズとするほうが、得られるトナー粒子の粒径がシャープになる。重合開始剤添加の時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時に同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前に重合性単量体又は溶媒に溶解した重合開始剤を加えることもできる。
造粒後は、通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行ない、重合を行う。
重合終了後、得られた重合体粒子を公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥することにより磁性トナー粒子が得られる。この磁性トナー粒子に、後述するような無機微粉体を混合して前記トナー粒子の表面に付着させることで、本発明の磁性トナーを得ることができる。また、製造工程(無機微粉体の混合前)に分級工程を入れ、磁性トナー粒子中に含まれる粗粉や微粉を除去することも可能である。
無機微粉体の個数平均1次粒径(D1)の測定法は、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した磁性トナーの写真を用いて行う。具体的には、少なくとも300個の無機微粉体の一次粒子の粒径を測定し、一次粒子の最大径を算術平均することによって、個数平均一次粒径(D1)を得る。
本発明で用いられる無機微粉体としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、アルミナ微粉体などが好適に例示できる。シリカ微粉体としては、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能である。
本発明において無機微粉体の添加量は、磁性トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上、5.0質量部以下である事が好ましい。無機微粉体の添加量が上記範囲であると、磁性トナーに良好な流動性を与える事が出来、定着性も阻害しないので好ましい。
なお、無機微粉体の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量することが可能である。
以下、本発明の現像装置について図を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
図3は、本発明の現像装置の一例を示す模式的断面図である。また、図2は、本発明の現像装置が組み込まれた画像形成装置の一例を示す模式的断面図である。
図2又は図3において、静電潜像が形成された像担持体である静電潜像担持体(感光体)1は、矢印R1方向に回転される。磁性トナー担持体3は、現像器4内の磁性トナー14を担持して、矢印R2方向に回転することによって、磁性トナー担持体3と静電潜像担持体(感光体)1とが対向している現像領域に磁性トナー14を搬送する。磁性トナー担持体3内には、磁性トナーを磁性トナー担持体3上に磁気的に吸引且つ保持する為に、磁石が内接されているマグネット16が配置されている。
また、静電潜像担持体(感光体)1の周囲に帯電ローラー2、転写部材(転写ローラー)5、クリーナー容器6、クリーニングブレード7、定着器8、ピックアップローラー9等が設けられている。静電潜像担持体(感光体)1は帯電ローラー2によって帯電される。そして、レーザー発生装置11によりレーザー光を静電潜像担持体(感光体)1に照射することによって露光が行われ、目的の画像に対応した静電潜像が形成される。静電潜像担持体(感光体)1上の静電潜像は現像器4内の磁性トナーで現像されてトナー画像を得る。トナー画像は転写材を介して静電潜像担持体(感光体)1に当接された転写部材(転写ローラー)5により転写材(紙)10上へ転写される。トナー画像を載せた転写材(紙)10は定着器8へ運ばれ転写材(紙)10上に定着される。また、一部静電潜像担持体(感光体)1上に残された磁性トナー14はクリーニングブレード7によりかき落とされ、クリーナー容器6に収納される。
しかし、一般に、固定タイプの帯電部材を用いた場合、帯電部材と回転する静電潜像担持体の接触を均一に保持が難しく、帯電ムラが生じ易くなってしまう。このため、静電潜
像担持体との接触を均一に保ち、均一な帯電を行う為に、静電潜像担持体と同方向に回転する帯電ローラーを用いる事がより好ましい。
帯電ローラーを用いたときの好ましいプロセス条件として、帯電ローラーの当接圧が4.9乃至490.0N/m(5.0乃至500.0g/cm)で、直流電圧もしくは、直流電圧に交流電圧を重畳したものが例示できる。交流電圧を重畳する場合、交流電圧は0.5乃至5.0kVpp、交流周波数は50乃至5kHz、直流電圧としては電圧の絶対値が200乃至1500Vである事が好ましい。なお、電圧の極性は用いる現像装置による。
帯電工程において用いられる交流電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等が使用可能である。
帯電ローラーの材質としては、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材、またこれらを発泡させたものがあげられるが、これらに限定されるものでは無い。また、導電性物質を分散せずに、或いは導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
また、帯電ローラーに用いられる芯金としては、アルミニウム、SUS等が挙げられる。帯電ローラーは、静電潜像担持体としての被帯電体に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設し、帯電ローラーと静電潜像担持体の当接部である帯電当接部を形成させる。
次に、本発明の現像装置において好ましく適用される接触転写工程について具体的に説明する。接触転写工程とは、静電潜像担持体が記録媒体を介して転写部材と当接しながらトナー像を記録媒体に静電転写するものであるが、転写部材の当接圧力としては線圧2.9N/m(3.0g/cm)以上であることが好ましく、より好ましくは19.6N/m(20.0g/cm)以上である。当接圧力としての線圧が2.9N/m(3.0g/cm)未満であると、記録媒体の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなる。
また、接触転写方法を適用した本発明の現像装置は、直径が50mm以下の小径の静電潜像担持体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、小径の静電潜像担持体の場合には、同一の線圧に対する曲率が大きく、当接部における圧力の集中が起こりやすいためである。ベルト状の静電潜像担持体でも同一の現象があると考えられるが、本発明は、転写部での曲率半径が25mm以下の画像形成装置に対しても有効である。
一般に、磁性トナー担持体上の磁性トナーを規制する規制部材(図3におけるトナー規制部材12)としては磁気カットや規制ブレードが知られているが、本発明では規制ブレードを用いることが好ましい。規制ブレードでは、前述の如き磁性トナーと当接する部位の材質をポリフェニレンスルフィド或いはポリオレフィンとすることが容易となる。
本発明において、規制部材は、ポリフェニレンスルフィド或いはポリオレフィンをシート状に成形したものをそのまま用いることもできるが、金属基体(金属弾性体)上にこれら樹脂を貼り合わせたり、コーティングしたりしたものも好適に用いることができる。
ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンを用いることができ、具体的にはノバテックPP FW4BT(日本ポリプロ株式会社)、サーモラン3855(三菱化学株式会社)を好適に用いることができる。ポリフェニレンスルフィドとしては、トレリナ(東レ株式会社)を好適に用いることができる。特に、金属弾性体上に、ポリオレフィンフィルム(ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等)、或いは、ポリフェニレンスルフィドフィルムを貼り合わせて、トナー規制部材としたものが好ましい。
また、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィンは、20質量%以下の割合であれば、帯電性等を調整するために他の樹脂、添加材を含有していても良い。
規制部材と磁性トナー担持体との当接圧力は、磁性トナー担持体母線方向の線圧としては4.9乃至118.0N/m(5乃至120g/cm)である事が好ましい。当接圧力が4.9N/mより小さい場合、磁性トナーの均一塗布が為されにくく、カブリや飛散の原因となりやすい。一方、当接圧力が118.0N/mを超えると、磁性トナーに大きな圧力がかかり、磁性トナーの劣化が起こりやすくなる。
磁性トナー担持体上のトナー層としては、7.0g/m2以上、18.0g/m2以下のトナー層を形成することが好ましい。磁性トナー担持体上のトナー量が7.0g/m2よりも小さいと十分な画像濃度が得られ難い傾向にある。これは、静電潜像担持体上に現像するトナー量は[磁性トナー担持体上のトナー量]×[静電潜像担持体に対する磁性トナー担持体の周速比]×[現像効率]で決まるが、磁性トナー担持体上のトナー量が少ないと、いくら現像効率を上げても充分な量のトナーが現像しないためである。
一方、磁性トナー担持体上のトナー量が18.0g/m2よりも多くなると、現像効率が低くても充分な画像濃度が得られるように思えるが、実際には磁性トナーの均一帯電が困難となる傾向にあり、現像効率が上がらずに充分な画像濃度が得られ難い。また、均一帯電性が損なわれる事から転写性が低下すると共に、カブリの増大を招きやすくなる傾向にある。
なお、本発明において、磁性トナー担持体上のトナー量は磁性トナー担持体の表面粗さ(RaS)、規制部材の自由長、規制部材の当接圧を変える事により任意に変える事が可能である。また、磁性トナー担持体上のトナー量の測定であるが、外径が6.5mmの吸い口に円筒ろ紙を装着する。これを掃除機に取り付け、吸引しながら磁性トナー担持体上の磁性トナーを吸い取り、吸い取ったトナー量(g)を吸い取った面積(m2)で割った値をもって磁性トナー担持体上のトナー量とする。
本発明に使用される磁性トナー担持体は、アルミニウム、ステンレススチール等の金属又は合金で形成された導電性円筒物が好ましく使用される。充分な機械的強度及び導電性を有する樹脂組成物で導電性円筒物が形成されていても良く、導電性のゴムローラーを用いても良い。
本発明に使用される磁性トナー担持体は内部に多極を有する固定されたマグネットを有している事が好ましく、磁極は3乃至10極有する事が好ましい。
本発明において、現像工程は磁性トナー担持体に対して交番電界を現像バイアスとして印加して、静電潜像担持体上の静電潜像に磁性トナーを転移させて磁性トナー像を形成する工程であることが好ましく、印加現像バイアスは直流電圧に交番電界を重畳した電圧でもよい。
交番電界の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電界の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
式(1) 0.0020≦E/A≦0.0150
<磁性トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
磁性トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、磁性トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
上記(E/A)は、X線光電子分光分析(ESCA)により表面組成分析を行い、その分析結果に基づき算出する。
上記ESCAの装置及び測定条件は、下記の通りである。
使用装置: PHI社(Physical Electronics Industries,Inc.)製 1600S型 X線光電子分光装置
測定条件:X線源 MgKα(400W)、分光領域800μmφ
なお本発明では、測定された各元素のピーク強度から、PHI社提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度(原子%)を算出する。
測定に用いる各元素の測定ピークトップの範囲は、炭素元素:283〜293eV、鉄元素:706〜730eV、硫黄元素:166〜172eVである。
測定試料としては、磁性トナーを用いるが、磁性トナーに外添剤が添加されている場合には、イソプロパノールの如き磁性トナーを溶解しない溶媒を用いて、磁性トナーを洗浄し、外添剤を取り除いた後に測定を行う。
磁性トナー担持体表面の仕事関数値は、光電子分光装置AC−2[理研計器(株)製]を用い、下記の条件で測定を行う。
・照射エネルギー:4.2eV〜6.2eV
・光量:300nW
・計数時間:10秒/1ポイント
・陽極電圧:2900V
磁性トナー担持体を1cm×1cmに切断して測定用試料片を作製する。これに4.2〜6.2eVの紫外光をエネルギー準位の低い方から高い方に向かって0.05eV間隔でスキャンする。このとき放出される光電子を計測し、その量子効率のべき乗プロットのしきい値から仕事関数値を算出する。
上記条件での測定により得られる仕事関数測定曲線を図4に示す。図4において、横軸は励起エネルギー[eV]、縦軸は放出された光電子の個数の0.5乗の値(規格化光量子収率)Yを示す。一般的に、励起エネルギー値がある閾値を超えると急激に光電子の放出、即ち規格化光量子収率が多くなり、仕事関数測定曲線が急速に立ち上がる。その立ち上がりの点を仕事関数値[Wf]と定義する。
表面粗さ(RaS)及び(RaB)は、JIS B0601(2001)の表面粗さ[具体的には、Ra:算術平均粗さ]に基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE−3500を用いて測定する。測定条件は、カットオフ0.8mm、評価長さ8mm、送り速度0.5mm/sとする。
試料が磁性トナー担持体の場合、磁性トナー担持体の中央位置と塗工両端部との中間の位置の計3箇所、更に90度磁性トナー担持体を回転した後同様に3箇所、更に90度磁性トナー担持体を回転した後同様に3箇所、計9点について各々測定し、その平均値をとる。一方、試料がトナー規制部材の場合は、磁性トナー担持体と当接する部位について、両端部と中央部、およびその各中間地点の5点について各々測定し、その平均値をとる。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流速で流し、THF試料溶液を約100μL注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント値との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として、東ソー社製あるいは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。又、検出器はRI(屈折率)検出器を用いる。尚、カ
ラムとしては市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合せ、又は、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを用いる。
また、試料は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れ、25℃で数時間放置した後、十分振とうし、THFとよく混ぜ(試料の合一体が無くなるまで)、更に12時間以上静置する。その時THF中への放置時間が24時間となるようにする。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)を使用する。)を通過させたものをゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の試料とする。又、試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結着樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mlに溶かし、イオン交換水を加えて100mlとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mlの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/l塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/l塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結着樹脂の試料2.0gを200mlの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。尚、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
黒鉛化粒子を無反射試料板に充填し、リガク社製の試料水平型強力X線回折装置 RINT/TTR−II(商品名)にてCuKα線を線源としたX線回折チャートを得た。なお、CuKα線としてモノクロメーターにより単色化したものを使用した。
このX線回折チャートから面間隔d(002)はX線回折スペクトルから黒鉛(002)面からの回折線のピーク位置を求め、フラッグの公式(下記式(3))より黒鉛d(002)を算出する。ここでCuKα線の波長λは、0.15418nmである。
黒鉛d(002)=λ/2sinθ 式(3)
測定条件:
光学系 :平行ビーム光学系
ゴニオメータ :ローター水平型ゴニオメータ(TTR−2)
管電圧/電流 :50kV/300mA
測定法 :連続法
スキャン軸 :2θ/θ
測定角度 :10°〜50°
サンプリング間隔:0.02°
スキャン速度 :4°/min
発散スリット :開放
発散縦スリット :10mm
散乱スリット :開放
受光スリット :1.00mm
<含硫黄重合体の製造例1>
還流管、撹拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び減圧装置を備えた加圧可能な反応容器に、溶媒としてメタノール250部、2−ブタノン150部及び2−プロパノール100部、モノマーとしてスチレン87部、アクリル酸ブチル12部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下AMPSと略) 1部を添加して撹拌しながら還流温度まで加熱した。これに、重合開始剤であるt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.45部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して5時間撹拌を継続し、更にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.28部を2−ブタノン20部で希釈した溶液を30分かけて滴下して、更に5時間撹拌して重合を終了した。
重合溶媒を減圧留去した後に得られた重合体を150メッシュのスクリーンを装着したカッターミルを用いて100μm以下に粗粉砕した。得られた重合体のガラス転移温度(Tg)は約70℃であった。得られた含硫黄重合体1の組成を表1に示す。
含硫黄重合体の製造例1において、使用するモノマーを表1に示す内容に変更する以外は含硫黄重合体1と同様にし、含硫黄重合体2から8を得た。得られた含硫黄重合体の組成を表1に記す。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、表2に示す、無水トリメリット酸以外のモノマー成分を、表2に示すモル比で入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。この際、触媒としては、チタン系触媒(チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート))を、酸及びアルコールのモノマー総量100部に対して、0.25部添加した。
次いで20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2(mgKOH/g)以下になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸を表2に示すモル比で添加し、常圧密閉下2時間反応後取り出し、室温まで冷却後、粉砕して非晶質ポリエステル樹脂1を得た。得られた非晶質ポリエステル樹脂1の物性を表2に示す。
表1に示すようなモノマー成分及び配合に変更したこと以外は、非晶質ポリエステル樹脂の製造例1と同様にして、非晶質ポリエステル樹脂2から7を得た。得られた非晶質ポリエステル樹脂2から7の組成及び物性を表2に示す。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.00当量以上、1.10当量以下の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対して珪素元素換算で0.50質量%となる量のSiO2を混合し、
水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.90当量以上、1.20当量以下となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた。その後、スラリー液をpH7.6に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。濾過、洗浄した後、この含水スラリー液を一旦取り出した。この時、含水サンプルを少量採取し、含水量を計っておいた。次に、この含水サンプルを乾燥せずに別の水系媒体中に投入し、撹拌すると共にスラリーを循環させながらピンミルにて再分散させ、再分散液のpHを4.8に調整した。そして、撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランカップリング剤を磁性酸化鉄100質量部に対し1.6質量部(磁性酸化鉄の量は含水サンプルから含水量を引いた値として計算した)添加し、加水分解を行った。その後、撹拌を十分行い、分散液のpHを8.6にして表面処理を行った。生成した疎水性磁性粉体をフィルタープレスにてろ過し、多量の水で洗浄した後に100℃で15分、90℃で30分乾燥し、得られた粒子を解砕処理して体積平均粒径が0.21μmの磁性粉体1を得た。
イオン交換水720質量部に0.1M−Na3PO4水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、1.0M−CaCl2水溶液67.7質量部を添加して、分散安定剤を含む水系媒体を得た。
・スチレン 78.0質量部
・n−ブチルアクリレート 22.0質量部
・ジビニルベンゼン 0.6質量部
・磁性粉体1 90.0質量部
・非晶質ポリエステル樹脂1 3.0質量部
・含硫黄重合体3 3.0質量部
上記処方を、ディスパー翼を用いて均一に分散混合して組成物を得た。この組成物を60℃に加温し、そこにエステルワックス(ベヘン酸ベヘニル)10.0質量部を添加混合し、溶解した後に重合開始剤としてジラウロイルパーオキサイド7.0質量部を溶解し、重合性単量体組成物を得た。
上記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、N2雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて12000rpmで10分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ74℃で6時間反応させた。反応終了後、懸濁液を冷却し、塩酸を加えて洗浄した後に濾過・乾燥して磁性トナー粒子1を得た。
この磁性トナー粒子1を100質量部と、疎水性シリカ微粉体[乾式法シリカ(BET比表面積:200m2/g、個数平均一次粒径(D1):12nm)100質量部をヘキサメチルジシラザン20質量部で表面処理し、次いでこの処理シリカ100質量部にジメチルシリコーンオイル10質量部で処理を行ったもの]1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合し、重量平均粒径(D4)が6.3μmの磁性トナー1を得た。
磁性トナーの製造例1において、シェル用樹脂及び含硫黄重合体を表3に示すように変更した事以外は磁性トナーの製造例1と同様にして磁性トナー2乃至15を得た。磁性トナー2乃至15の組成、及び、物性を表3に示す。なお、表3において磁性トナーを単にトナーと表記している。
コールタールピッチから溶剤分別によりβ−レジンを抽出し、これを水素添加、重質化処理を行った後、次いでトルエンにより溶剤可溶分を除去することでメソフェーズピッチを得た。そのメソフェーズピッチ粉末を微粉砕し、それを空気中において約300℃で酸化処理した後、窒素雰囲気下にて2800℃で熱処理を行い、分級を経て体積平均粒径3.4μm、黒鉛化度d(002)が0.39である黒鉛化粒子Aを得た。
次に、アンモニア触媒を使用したレゾ−ル型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名:J325)を固形分換算で100質量部、導電性カーボンブラックA(デグサ社製、商品名:SpecialBlack4)を40質量部、黒鉛化粒子Aを60質量部、及びメタノール150質量部を混合し、直径1mmのガラスビーズをメディア粒子として用いたサンドミルにて2時間分散して塗料中間体M1を得た。
さらに、前記レゾール型フェノール樹脂を固形分換算で50質量部、4級アンモニウム塩(オリエント化学社製、商品名:P−51)を30質量部、導電性球状粒子1(日本カーボン社製、商品名:ニカビーズICB0520)を30質量部、及びメタノール40質量部を混合し、直径2mmのガラスビーズをメディア粒子としたサンドミルにて45分間分散して塗料中間体J1を得た。前記塗料中間体M1、及び塗料中間体J1を混合・攪拌して塗工液B1を得た。
次いで、この塗工液B1にメタノールを添加することで固形分濃度を38%に調整した。外径10mmφ、算術平均粗さRaが0.2μmの研削加工したアルミニウム製の円筒管を回転台に立てて回転させ、両端部にマスキングを施し、エアスプレーガンを一定速度で下降させながら、塗工液B1を円筒管表面に塗工することで導電性樹脂被覆層を形成させた。なお、塗工条件は30℃/35%RHの環境下にて、塗工液の温度は恒温槽で28
℃に制御した状態で塗工を実施した。続いて熱風乾燥炉により150℃で30分間加熱して導電性樹脂被覆層を硬化させ、算術平均粗さRa(RaS)が0.96μmである磁性トナー担持体1を作製した。この磁性トナー担持体1表面の仕事関数値を測定したところ、4.8eVであった。
上記の導電性カーボンブラックA 40質量部を導電性カーボンブラックB(東海カーボン製、商品名:#5500) 10質量部に代え、黒鉛化粒子Aを90質量部に変更した事以外は、上記と同様に塗工液B2を作製した。この塗工液B2を用い、上記と同様の方法にて算術平均粗さRa(RaS)が0.96μmである磁性トナー担持体2を作製した。この磁性トナー担持体2表面の仕事関数値を測定したところ、4.6eVであった。
磁性トナー担持体の製造例1において、処方を表4に示すように変更した事以外は磁性トナー担持体の製造例1と同様にして磁性トナー担持体3から9を得た。磁性トナー担持体3から9の組成、及び、得られた磁性トナー担持体の物性を表4に示す。
(画像形成装置)
画像形成装置としてLaser Jet P1006(HP製)を用いた。静電潜像担持体には直流電圧−1100Vを印加して、感光体上を−550Vに一様に帯電した。帯電に次いで、レーザー光で画像部分を露光することにより静電潜像を形成した。この時、
暗部電位Vd=−550V、明部電位VL=−150Vとした。
感光体と磁性トナー担持体との間隙は280μmとし、磁性トナー担持体1を使用した。
次に、トナー規制部材は支持部材として厚み100μmのりん青銅板の表面に、ブレード材質として厚み100μmのポリフェニレンスルフィドフィルム(トレリナフィルム タイプ3000 東レ株式会社製)を貼り合わせたものを用いた。また、ポリフェニレンスルフィド表面をテーパー研磨し、磁性トナー担持体と当接する部位の表面粗さ(RaB)は0.48μmであった。
トナー規制部材12の現像容器への固定は図3に示すように長手方向で波打ちしないようにトナー規制部材12の片側自由端を2枚の金属弾性体13で挟み込み、ビス留めにより固定している。一方、トナー規制部材12の自由端側は先端部を磁性トナー担持体3の表面に所定の圧力で当接させて弾性変形している。トナー規制部材12は、上述のマグネット16の磁力によって磁性トナー担持体表面に引き付けられた磁性トナー14の層厚を規制するものである。本実施例ではトナー規制部材12が磁性トナー担持体3にかかる圧力を10N/mとし、磁性トナー担持体3との当接位置から自由端までの距離を2mmとした。
次いで、現像バイアスの交番電界として1.4kVpp、周波数1800Hzを印加した。なお、4ドットの縦線(170μmの静電潜像)を描いた際に、170μmのラインとなるように直流電圧は調整した。
磁性トナー1を使用し、常温常湿環境下(23℃/60%RH)にて印字率が4%の横線を連続モードで1500枚画出し試験を行った。
その結果、耐久試験前後で現像効率が高く、すなわち、画像濃度が高く、非画像部へのカブリが無い、良好な画像を得る事が出来た。また、1500枚の画出しによるトナー消費量は32mg/page(ページ)であり、トナー消費量を低減する事が出来た。磁性トナー、磁性トナー担持体、トナー規制部材の組合せを表5に、常温常湿環境下での評価結果を表6に示す。
[現像効率の評価]
<画像濃度>
画像濃度はベタ画像部を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。
<カブリ>
白画像を出力して、その反射率を東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%) = 標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(1.5%未満)
B:良好(1.5%以上2.5%未満以下)
C:普通(2.5%以上4.0%未満以下)
トナー消費量は1500枚通紙した時の現像器のトナー減少量を求め、通紙枚数で除してトナー消費量を算出した。トナー消費量の判断基準は以下の通りである。
A:トナー消費量は35mg/page以下で、非常に少ない。
B:トナー消費量は35mg/pageより多く、40mg/page以下で少ない。
C:トナー消費量は40mg/pageより多く、45mg/page以下で従来よりも
トナー消費量は少ない。
D:トナー消費量が45mg/pageより多く、50mg/page以下で、従来通りのトナー消費量
E:トナー消費量が50mg/pageより多く、トナー消費量は多い
実施例1にて、磁性トナー、磁性トナー担持体、トナー規制部材を表5のように変更した事以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。その結果、いずれの組合せにおいても耐久試験前後で実用上問題ないレベル以上の画像が得られ。トナー消費量も少なかった。評価結果を表6に示す。
<比較例1から11>
実施例1にて、磁性トナー、磁性トナー担持体、トナー規制部材を表5のように変更した事以外は実施例1と同様に画出し試験を行った。その結果、いずれの組合せにおいても1500枚後の画像濃度が1.30よりも薄く、トナー消費量が多かった。評価結果を表6に示す。
T:日本ポリプロ社製)を用いた。規制部材はいずれも実施例1と同様、100μmの、りん青銅板の表面にPC、PET、オレフィン、シリコーンのいずれかを貼り合わせ、テーパー研磨したものを用いた。
Claims (6)
- 静電潜像が形成される静電潜像担持体、前記静電潜像を現像する磁性トナー、前記静電潜像担持体に対向して設けられ前記磁性トナーを担持し搬送する磁性トナー担持体、及び、前記磁性トナー担持体に当接し、前記磁性トナー担持体に担持される磁性トナーを規制する規制部材を備えた現像装置において、
前記磁性トナー担持体は、表面の仕事関数値が4.6eV以上、4.9eV以下であり、
前記規制部材は、磁性トナーと接する部位がポリフェニレンスルフィド、及びポリオレフィンのいずれかであり、
前記磁性トナーは、
i)結着樹脂、磁性粉体、及びスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有し、
ii)負帯電性であり、
iii)X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する炭素元素の存在量をA(原子%)とし、X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する硫黄元素の存在量をE(原子%)としたときに、Aに対するEの比であるE/Aが下記式(1)
式(1) 0.0020≦E/A≦0.0150
を満たす、
ことを特徴とする現像装置。 - 前記磁性トナー担持体の表面粗さ(RaS)が0.60μm以上、1.50μm以下であり、
前記規制部材の磁性トナーと当接する部位の表面粗さ(RaB)に対する、前記磁性トナー担持体の表面粗さ(RaS)の比[RaS/RaB]が1.0以上、3.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。 - 前記磁性トナーはコアシェル構造を有し、コア層はスチレンアクリル樹脂を含有してなり、シェル層は非晶質ポリエステル樹脂を含有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
- 前記非晶質ポリエステル樹脂は、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を80モル%以上含有したアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合することにより得られたものであり、前記プロピレンオキサイド付加物の平均付加モル数が1.8以上、2.5以下であることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
- 静電潜像担持体に形成された静電潜像を、前記静電潜像担持体に対向して設けられた磁性トナー担持体に担持され、前記磁性トナー担持体に当接する規制部材によって規制された磁性トナーで現像する現像方法であって、
前記磁性トナー担持体は、表面の仕事関数値が4.6eV以上、4.9eV以下であり、
前記規制部材は、磁性トナーと接する部位がポリフェニレンスルフィド、及びポリオレフィンのいずれかであり、
前記磁性トナーは、
i)結着樹脂、磁性粉体、及びスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有し、
ii)負帯電性であり、
iii)X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する炭素元素の存在量をA(原子%)とし、X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表
面に存在する硫黄元素の存在量をE(原子%)としたときに、Aに対するEの比であるE/Aが下記式(1)
式(1) 0.0020≦E/A≦0.0150
を満たす、
ことを特徴とする現像方法。 - 静電潜像が形成される静電潜像担持体、前記静電潜像を現像する磁性トナー、前記静電潜像担持体に対向して設けられ、前記磁性トナーを担持し搬送する磁性トナー担持体、及び、前記磁性トナー担持体に当接し、前記磁性トナー担持体に担持される磁性トナーを規制する規制部材を備えた現像装置に用いられる磁性トナーにおいて、
前記磁性トナー担持体は、表面の仕事関数値が4.6eV以上、4.9eV以下であり、
前記規制部材は、磁性トナーと接する部位がポリフェニレンスルフィド、及びポリオレフィンのいずれかであり、
前記磁性トナーは、
i)結着樹脂、磁性粉体、及びスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を含有する磁性トナー粒子と、無機微粉体とを有し、
ii)負帯電性であり、
iii)X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する炭素元素の存在量をA(原子%)とし、X線光電子分光分析により測定される前記磁性トナー表面に存在する硫黄元素の存在量をE(原子%)としたときに、Aに対するEの比であるE/Aが下記式(1)
式(1) 0.0020≦E/A≦0.0150
を満たす、
ことを特徴とする磁性トナー。
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