JP2013133840A - 変速機用クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】 二つのクラッチの係合および係合解除を単一のアクチュエータで制御可能な変速機用クラッチを提供する。
【解決手段】 クラッチピストン81をセンタープレート73側へ移動させると、第1弾性体82を介してセンタープレート73を押圧して該センタープレート73およびエンドプレート72間に第1クラッチディスク76を挟持することで、駆動源Eのトルクをインナーシャフト13に伝達することができ、クラッチピストン81をセンタープレート73側へ更に移動させると、第2弾性体83を介してセンタープレート73およびプレッシャプレート間に第2クラッチディスク78を挟持することで、駆動源Eのトルクをアウターシャフト114Aに伝達することができる。これにより、単一のアクチュエータ84でクラッチピストン81を駆動するだけで、駆動源Eのトルクをアウターシャフト14Aおよびインナーシャフト13に選択的に伝達することが可能となり、変速機用クラッチの小型軽量化に寄与することができる。
【選択図】 図30

Description

本発明は、同軸内外に配置された変速機のインナーシャフトおよびアウターシャフトと原動機との間に配置され、前記原動機のトルクを前記インナーシャフトおよび前記アウターシャフトに伝達する変速機用クラッチに関する。
いわゆるAMT(オートマチック・マニュアル・トランスミッション)は、MT(マニュアル・トランスミッション)において運転者が行う変速操作をアクチュエータにより自動で行うことで、AT(オートマチック・トランスミッション)のような自動変速を可能にしたものである。しかしながら、AMTはエンジンとトランスミッションの入力軸との間に配置されたクラッチを係合解除した状態で変速を行うため、変速が行われている間にエンジンの駆動力が駆動輪に伝達されなくなり、いわゆる「トルク抜け」が発生してドライブフィールを低下させる問題がある。
そこで、エンジンのクランクシャフトに主クラッチ手段を介して第1の駆動側シャフトを接続するとともに、前記クランクシャフトに一端を直結されて前記駆動側シャフトの内部に嵌合する第2の駆動側シャフトの他端に副クラッチ手段を設け、主クラッチ手段が係合する非変速時には、第1の駆動側シャフトから所定の変速段のギヤ列を介して従動側シャフトにトルクを伝達し、主クラッチ手段が係合解除する変速時には、副クラッチ手段を滑動状態に係合して第2の駆動側シャフトのトルクを直接従動側シャフトに伝達することで変速中のトルク抜けを防止するものが、下記特許文献1により公知である。
またエンジンからのトルクが入力される共通のクラッチアウターと、径方向内外に嵌合する第1メインシャフトおよび第2メインシャフトとの間に、それぞれ独立した油圧クラッチを配置することで、第1メインシャフトおよび第2メインシャフトに選択的にトルクを伝達可能にしたものが、下記特許文献2により公知である。
特開平9−14420号公報 特開2010−276172号公報
ところで上記特許文献1に記載されたものは、主クラッチ手段および副クラッチ手段が駆動側シャフトに両端部に分離して設けられており、しかも両クラッチ手段が各々専用のアクチュエータを備えているため、両クラッチ手段の構成部品を共通化することができず、部品点数の増加、寸法の大型化、重量の増加といった問題が発生する。
また上記特許文献2に記載されたものは、二つの油圧クラッチのクラッチアウターを共通化したことで寸法の小型化を図ることが可能であるが、やはり二つの油圧クラッチが各々専用の油圧アクチュエータを備えているため、寸法の小型化には限界があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、二つのクラッチの係合および係合解除を単一のアクチュエータで制御可能な変速機用クラッチを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、同軸内外に配置された変速機のインナーシャフトおよびアウターシャフトと原動機との間に配置され、前記原動機のトルクを前記インナーシャフトおよび前記アウターシャフトに伝達する変速機用クラッチであって、前記原動機に接続されたクラッチカバーの内部に、前記原動機側から、前記インナーシャフトに接続された第1クラッチディスクと、軸方向移動可能なセンタープレートと、前記アウターシャフトに接続された第2クラッチディスクと、軸方向移動可能なプレッシャプレートと、アクチュエータで軸方向に駆動されるクラッチピストンとを順番に配置し、前記第2クラッチディスクおよび前記プレッシャプレートの径方向外側で前記クラッチピストンおよび前記センタープレート間に第1弾性体を配置し、前記クラッチピストンの前記センタープレート側への移動により、前記第1弾性体を介して前記センタープレートを押圧して該センタープレートおよび前記クラッチカバー間に前記第1クラッチディスクを挟持することで、前記駆動源のトルクを前記インナーシャフトに伝達するとともに、前記クラッチピストンの更なる移動により、前記センタープレートおよび前記プレッシャプレート間に前記第2クラッチディスクを挟持することで、前記駆動源のトルクを前記アウターシャフトに伝達することを特徴とする変速機用クラッチが提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記クラッチピストンと前記プレッシャプレートとの間に第2弾性体を配置したことを特徴とする変速機用クラッチが提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記第1弾性体は前記第2弾性体よりも軸方向長さが大きいことを特徴とする変速機用クラッチが提案される。
また請求項4に記載された発明によれば、請求項2または請求項3の構成に加えて、前記第1弾性体のばね定数は、前記第2弾性体のばね定数以上であることを特徴とする変速機用クラッチが提案される。
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記センタープレートは、前記クラッチカバーの内周面に軸方向移動可能、かつ回転不能にスプライン嵌合することを特徴とする変速機用クラッチが提案される。
尚、実施の形態の第1アウターシャフト14Aは本発明のアウターシャフトに対応し、実施の形態の第1クラッチスプリング82は本発明の第1弾性体に対応し、実施の形態の第2クラッチスプリング83は本発明の第2弾性体に対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の原動機に対応し、実施の形態のオートマチック・マニュアル・トランスミッションTは本発明の変速機に対応する。
請求項1の構成によれば、原動機に接続されたクラッチカバーの内部に、原動機側から、インナーシャフトに接続された第1クラッチディスクと、軸方向移動可能なセンタープレートと、アウターシャフトに接続された第2クラッチディスクと、軸方向移動可能なプレッシャプレートと、アクチュエータで軸方向に駆動されるクラッチピストンとを順番に配置し、第2クラッチディスクおよびプレッシャプレートの径方向外側でクラッチピストンおよび前記センタープレート間に第1弾性体を配置したので、クラッチピストンをセンタープレート側へ移動させると、第1弾性体を介してセンタープレートを押圧して該センタープレートおよびクラッチカバー間に第1クラッチディスクを挟持することで、駆動源のトルクをインナーシャフトに伝達することができ、クラッチピストンをセンタープレート側へ更に移動させると、センタープレートおよびプレッシャプレート間に第2クラッチディスクを挟持することで、駆動源のトルクをアウターシャフトに伝達することができる。これにより、単一のアクチュエータでクラッチピストンを駆動するだけで、駆動源のトルクをアウターシャフトおよびインナーシャフトに選択的に伝達することが可能となり、変速機用クラッチの小型軽量化に寄与することができる。
また請求項2の構成によれば、クラッチピストンとプレッシャプレートとの間に第2弾性体を配置したので、第2クラッチディスクがセンタープレートおよびプレッシャプレート間に挟持される瞬間に接触面圧が急激に立ち上がるのを防止し、振動や騒音の発生を抑制することができる。
また請求項3の構成によれば、第1弾性体は第2弾性体よりも軸方向長さが大きいので、クラッチピストンがストロークしたときに、第2弾性体でプレッシャプレートを介して第2クラッチディスクを押圧する前に、第1弾性体でセンタープレートを介して第1クラッチディスクを押圧することができる。
また請求項4の構成によれば、第1弾性体のばね定数を第2弾性体のばね定数以上としたので、第2弾性体によって第2クラッチディスクがセンタープレートおよびプレッシャプレート間に挟持される前に、第1弾性体の弾発力を充分に高めて第1クラッチディスクに対するクラッチカバーおよびプレッシャプレートの接触面圧を充分に確保することができる。
また請求項5の構成によれば、センタープレートをクラッチカバーの内周面に軸方向移動可能、かつ回転不能にスプライン嵌合したので、原動機からクラッチカバーに入力されたトルクをインナーシャフトおよびアウターシャフトに確実に伝達することができる。
トランスミッションのスケルトン図。 図1の2部拡大図。 図2の3部拡大図。 トランスミッションの動力伝達経路を示す模式図。 ニュートラル→1速変速段のインギヤ時の動力伝達経路の説明図。 ニュートラル→1速変速段のインギヤ時の各係合要素の係合表。 1速変速段→2速変速段のシフトアップ時の動力伝達経路の説明図。 1速変速段→2速変速段のシフトアップ時の各係合要素の係合表。 2速変速段→3速変速段のシフトアップ時の動力伝達経路の説明図。 2速変速段→3速変速段のシフトアップ時の各係合要素の係合表。 3速変速段→4速変速段のシフトアップ時の動力伝達経路の説明図。 3速変速段→4速変速段のシフトアップ時の各係合要素の係合表。 4速変速段→5速変速段のシフトアップ時の動力伝達経路の説明図。 4速変速段→5速変速段のシフトアップ時の各係合要素の係合表。 5速変速段→6速変速段のシフトアップ時の動力伝達経路の説明図。 5速変速段→6速変速段のシフトアップ時の各係合要素の係合表。 6速変速段→5速変速段のシフトダウン時の動力伝達経路の説明図。 6速変速段→5速変速段のシフトダウン時の各係合要素の係合表。 5速変速段→4速変速段のシフトダウン時の動力伝達経路の説明図。 5速変速段→4速変速段のシフトダウン時の各係合要素の係合表。 4速変速段→3速変速段のシフトダウン時の動力伝達経路の説明図。 4速変速段→3速変速段のシフトダウン時の各係合要素の係合表。 3速変速段→2速変速段のシフトダウン時の動力伝達経路の説明図。 3速変速段→2速変速段のシフトダウン時の各係合要素の係合表。 2速変速段→1速変速段のシフトダウン時の動力伝達経路の説明図。 2速変速段→1速変速段のシフトダウン時の各係合要素の係合表。 変速の種類に応じたトルクアシストの必要性および可否を示す表。 変速時のトルク伝達を説明するタイムチャート。 従来の変速時のトルク伝達を説明するタイムチャート。 メインクラッチおよびアクチュエータの構造の説明図。 メインクラッチおよびアクチュエータの作用の説明図。 クラッチピストンのストロークとクラッチ容量との関係を示すグラフ。
以下、図1〜図32に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、前進6段の自動車用のトランスミッションTはいわゆるAMT(オートマチック・マニュアル・トランスミッション)であり、平行軸式のマニュアルトランスミッションの変速スリーブをアクチュエータで操作することで自動変速を行うものである。
トランスミッションTは、相互に平行に配置されたメインシャフト11およびカウンタシャフト12を備えており、メインシャフト11は径方向内側に位置するインナーシャフト13と、軸方向に5分割されてインナーシャフト13の外周に相対回転可能に嵌合する第1〜第5アウターシャフト14A,14B,14C,14D,14Eよりなるアウターシャフト群とで構成される。
エンジンEのクランクシャフト15とメインシャフト11の一端側との間には、一体化されたメインクラッチCmおよびアシストクラッチCaが配置されており、メインクラッチCmを係合するとクランクシャフト15が第1アウターシャフト14Aに結合され、アシストクラッチCaを係合するとクランクシャフト15がインナーシャフト13に結合される。
尚、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaは、それらが共に係合する状態と、それらが共に係合解除する状態と、アシストクラッチCaが係合してメインクラッチCmが係合解除する状態とを切換可能であり、メインクラッチCmが係合してアシストクラッチCaが係合解除する状態は発生しない。
メインシャフト11の他端側には、インナーシャフト13および第5アウターシャフト14Eを接続するダブルピニオン型の遊星歯車機構Pが配置される。遊星歯車機構Pは、インナーシャフト13に固設されたサンギヤ16と、ケーシング17に固設されたキャリヤ18と、第5アウターシャフト14Eにワンウェイクラッチ19を介して接続されたリングギヤ20と、キャリヤ18に回転自在に支持されてサンギヤ16に噛合する複数のインナーピニオン21…と、キャリヤ18に回転自在に支持されてインナーピニオン21…およびリングギヤ20に同時に噛合する複数のアウターピニオン22…とを備える。遊星歯車機構Pは、インナーシャフト13および第5アウターシャフト14Eが同方向に回転するように接続し、かつインナーシャフト13の回転数に対して第5アウターシャフト14Eの回転数が僅かに低くなるように(例えば、1.00回転:0.99回転)に接続する。
ワンウェイクラッチ19は、遊星歯車機構Pに接続されたアウターレース側の回転数が、第5アウターシャフト14Eに接続されたインナーレース側の回転数を上回った場合に係合し、それ以外の場合に係合解除する。従って、インナーシャフト13および第5アウターシャフト14Eが同速度で回転する場合には、アウターレース側の回転数が遊星歯車機構Pで減速されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数以下になってワンウェイクラッチ19が係合解除する。またインナーシャフト13が回転して第5アウターシャフト14Eが停止する場合には、アウターレース側の回転数が遊星歯車機構Pで減速されてもインナーレース側が停止しているため、ワンウェイクラッチ19が係合する。第5アウターシャフト14Eが回転してインナーシャフト13が停止するとワンウェイクラッチ19は係合解除するが、本実施の形態ではそのような状況は発生しない。
第5アウターシャフト14Eに1速ドライブギヤ31が固設され、第4アウターシャフト14Dに2速ドライブギヤ32が相対回転自在に支持され、第3アウターシャフト14Cに3速ドライブギヤ33が相対回転自在に支持され、第2アウターシャフト14Bに4速ドライブギヤ34が相対回転自在に支持され、第1アウターシャフト14Aに5速ドライブギヤ35および6速ドライブギヤ36が相対回転自在に支持される。
カウンタシャフト12には、1速ドライブギヤ31に噛合する1速ドリブンギヤ37が相対回転自在に支持されるとともに、2速ドライブギヤ32に噛合する2速ドリブンギヤ38、3速ドライブギヤ33に噛合する3速ドリブンギヤ39、4速ドライブギヤ34に噛合する4速ドリブンギヤ40、5速ドライブギヤ35に噛合する5速ドリブンギヤ41および6速ドライブギヤ36に噛合する6速ドリブンギヤ42が固設される。
カウンタシャフト12に固設したファイナルドライブギヤ43がディファレンシャルギヤDのケースに固設したファイナルドリブンギヤ44に噛合し、ディファレンシャルギヤDから左右に延びるドライブシャフト45,45に左右の駆動輪W,Wが接続される。
図1および図2から明らかなように、1速ドリブンギヤ37は1速スリーブS1を介してカウンタシャフト12に結合可能であり(図1参照)、2速ドライブギヤ32は2速スリーブS2を介して第4アウターシャフト14Dに結合可能であり、3速ドライブギヤ33は3速スリーブS3を介して第3アウターシャフト14Cに結合可能であり、4速ドライブギヤ34は4速スリーブS4を介して第2アウターシャフト14Bに結合可能であり、5速ドライブギヤ35および6速ドライブギヤ36は5速−6速間スリーブS56を介して第1アウターシャフト14Aに結合可能である。1速スリーブS1、2速スリーブS2、3速スリーブS3、4速スリーブS4および5速−6速間スリーブS56は、何れもシンクロメッシュ機能を持つ周知の変速スリーブで構成される。
第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dの間には1速−2速間スリーブD12が配置され、第4アウターシャフト14Dおよび第3アウターシャフト14Cの間には2速−3速間スリーブD23が配置され、第3アウターシャフト14Cおよび第2アウターシャフト14Bの間には3速−4速間スリーブD34が配置され、第2アウターシャフト14Bおよび第1アウターシャフト14Aの間には4速−5速間スリーブD45が配置される。1速−2速間スリーブD12、2速−3速間スリーブD23、3速−4速間スリーブD34および4速−5速間スリーブD45は、何れもドグクラッチの機能を持つスリーブで構成される。
1速−2速間スリーブD12、2速−3速間スリーブD23および3速−4速間スリーブD34は基本的に同じ構造のものであり、三つの状態を切り換え可能な3ウエイ機能を有している。
図3は、1速−2速間スリーブD12、2速−3速間スリーブD23および3速−4速間スリーブD34の代表として、1速−2速間スリーブD12の構造および機能を示すものである。第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dはそれぞれスプライン51,52を備えるとともに、スリーブ53は前記スプライン51,52に係合可能なスプライン54を備える。スリーブ53の右側の端面にはドグ孔55が形成され、2速ドライブギヤ32の左側の端面には前記ドグ孔55が係合可能なドグ56が形成される。
従って、図3(A)に示すスリーブ53の左動状態では、第5アウターシャフト14E、第4アウターシャフト14Dおよび2速ドライブギヤ32が各々独立して回転可能に分離される。図3(B)に示すスリーブ53の中立状態では、2速ドライブギヤ32が第4アウターシャフト14Dから分離されたまま、スリーブ53で第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dが結合される。図3(C)に示すスリーブ53の右動状態では、スリーブ53で第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dが結合されるとともに、ドグ孔55およびドグ56が係合してスリーブ53が2速ドライブギヤ32に結合され、結局第5アウターシャフト14E、第4アウターシャフト14Dおよび2速ドライブギヤ32の三者が一体に結合される。
同様に、2速−3速間スリーブD23によれば、第4アウターシャフト14D、第3アウターシャフト14Cおよび3速ドライブギヤ33の結合状態を三つの状態に切り換え可能であり、3速−4速間スリーブD34によれば、第3アウターシャフト14C、第2アウターシャフト14Bおよび4速ドライブギヤ34の結合状態を三つの状態に切り換え可能である。
次に、図4〜図26に基づいてトランスミッションTの変速時の作用を説明する。
本実施の形態のトランスミッションTは変速時にトルク伝達が一時的に途絶えるトルク抜けを解消する機能を有するものである。各変速段が確立している間は、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eを介して駆動輪W,Wに伝達されるが、メインクラッチCmが係合解除してトルク伝達が途絶える変速中は、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa、インナーシャフト13および第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eの一部を介して駆動輪W,Wに伝達されることで、変速中のトルク抜けを防止することができる。
但し、5速変速段および6速変速段は通常のMTと同じ構造であるため、5速変速段および6速変速段を含む変速時にトルク抜けを防止する機能は発揮されない。しかしながら、高変速段での変速時には元々トルク抜けが体感され難いために実用上の支障はない。
図4は、図5、図7、図9…図25の作用説明図で使用されるトランスミッションTの動力伝達経路を模式的に示すもので、メインクラッチCm、アシストクラッチCa、ワンウェイクラッチ19が黒く塗り潰されているときは係合状態にあり、白抜きになっているときは非係合状態にあることを示している。また1速スリーブS1、2速スリーブS2、3速スリーブS3、4速スリーブS4、5速−6速間スリーブS56、1速−2速間スリーブD12、2速−3速間スリーブD23、3速−4速スリーブD34、4速−5速間スリーブD45が実線で描かれているときには動力伝達可能に接続された状態にあり、破線で描かれているときには動力伝達不能に切り離された状態にあることを示している。
図6、図8、図10…図26はメインクラッチCm、アシストクラッチCaおよび各スリーブの係合表であり、ステップ(a)〜ステップ(h)は変速過程の各ステップを示し、○印は当該ステップでの各スリーブの位置を示し、右向きおよび左向きの矢印は当該ステップでの各スリーブの移動方向を示している。
ニュートラル→1速変速段のインギヤ時の作用](図5および図6参照)
図5(A)に示すように、ニュートラル時には、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaは共に係合している。また1速−2速間スリーブD12、2速−3速間スリーブD23、3速−4速間スリーブD34および4速−5速間スリーブD45は中立状態にあることで、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eは直列に接続されている。また1速ドライブギヤ31はカウンタシャフト12から切り離され、2速ドライブギヤ32〜6速ドライブギヤ36も第2〜第5アウターシャフト14A〜14Dから切り離されている。
従って、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eおよび1速ドライブギヤ31を介して1速ドリブンギヤ37まで伝達されるが、1速ドリブンギヤ37が右動状態にある1速スリーブS1によってカウンタシャフト12から切り離されているため、カウンタシャフト12へのトルク伝達は遮断される。一方、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
図5(B)に示すように、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaを共に係合解除した後(ステップ(a)参照)、図5(C)に示すように、1速スリーブS1を左動して1速ドリブンギヤ37をカウンタシャフト12に結合する(ステップ(b)参照)。続いて、図5(D)に示すように、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaを共に係合すると(ステップ(c)参照)、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1〜第5アウターシャフト14A〜14E→1速ドライブギヤ31→1速ドリブンギヤ37→1速スリーブS1の経路でカウンタシャフト12に伝達され、更にカウンタシャフト12→ファイナルドライブギヤ43→ファイナルドリブンギヤ44→ディファレンシャルギヤD→ドライブシャフト45,45の経路で左右の駆動輪W,Wに伝達されるようになり、1速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
1速変速段→2速変速段のシフトアップ時の作用](図7および図8参照)
図7(A)に示す1速変速段の確立状態から、図7(B)に示すように、メインクラッチCmを係合解除すると(ステップ(a)参照)、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eに対するトルク伝達が遮断されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19が係合し、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa→インナーシャフト13→遊星歯車機構P→ワンウェイクラッチ19→第5アウターシャフト14E→1速ドライブギヤ31→1速ドリブンギヤ37→1速スリーブS1の経路でカウンタシャフト12に伝達されるようになり、メインクラッチCm側からのトルク伝達が遮断されても、アシストクラッチCa側からのトルク伝達を継続して変速中のトルク抜けを防止することができる。このとき、アシストクラッチCa側から伝達される回転数は遊星歯車機構Pで1%ほど減速されるが、その量は微小であるために乗員によって体感されることはない。
続いて、図7(C)に示すように、トルク循環を防止するために1速−2速間スリーブD12を左動状態に操作して第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dを切り離すとともに(ステップ(b)参照)、2速スリーブS2を左動して2速ドライブギヤ32を第4アウターシャフト14Dに結合する(ステップ(c)参照)。その間も、アシストクラッチCa側から伝達されるトルクでトルク抜けは防止されている。
続いて、図7(D)に示すように、メインクラッチCmを係合する(ステップ(d)参照)。その結果、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1〜第4アウターシャフト14A〜14D→2速スリーブS2→2速ドライブギヤ32→2速ドリブンギヤ38の経路でカウンタシャフト12に伝達され、2速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることで、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
続いて、図7(E)に示すように、後処理として1速スリーブS1を右動して1速ドリブンギヤ37をカウンタシャフト12から切り離すとともに(ステップ(e)参照)、1速−2速間スリーブD12を右動して中立状態にすることで第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dを結合する(ステップ(f)参照)。
2速変速段→3速変速段のシフトアップ時の作用](図9および図10参照)
図9(A)に示す2速変速段の確立状態から、図9(B)に示すように、1速−2速間スリーブD12を右動して右動状態にすることで、2速ドライブギヤ32を第4アウターシャフト14Dおよび第5アウターシャフト14Eに結合する(ステップ(a)参照)。続いて、図9(C)に示すように、メインクラッチCmを係合解除すると(ステップ(b)参照)、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eに対するトルク伝達が遮断されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19が係合し、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa→インナーシャフト13→遊星歯車機構P→ワンウェイクラッチ19→第5アウターシャフト14E→1速−2速間スリーブD12→2速ドライブギヤ32および2速ドリブンギヤ38の経路でカウンタシャフト12に伝達されるようになり、メインクラッチCm側からのトルク伝達が遮断されても、アシストクラッチCa側からのトルク伝達を継続して変速中のトルク抜けを防止することができる。更に、2速スリーブS2を右動して2速ドライブギヤ32を第4アウターシャフト14Dから切り離す(ステップ(c)参照)。
続いて、図9(D)に示すように、トルク循環を防止するために2速−3速間スリーブD23を左動状態に操作して第4アウターシャフト14Dおよび第3アウターシャフト14Cを切り離すとともに(ステップ(d)参照)、3速スリーブS3を左動して3速ドライブギヤ33を第3アウターシャフト14Cに結合する(ステップ(e)参照)。その間も、アシストクラッチCa側から伝達されるトルクでトルク抜けは防止されている。
続いて、図9(E)に示すように、メインクラッチCmを係合する(ステップ(f)参照)。その結果、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1〜第3アウターシャフト14A〜14C→3速スリーブS3→3速ドライブギヤ33→3速ドリブンギヤ39の経路でカウンタシャフト12に伝達され、3速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることで、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
続いて、図9(F)に示すように、後処理として1速−2速間スリーブD12を左動して中立状態にすることで2速ドライブギヤ32を第4アウターシャフト14Dおよび第5アウターシャフト14Eから切り離すとともに(ステップ(g)参照)、2速−3速間スリーブD23を右動して中立状態にすることで第4アウターシャフト14Dおよび第3アウターシャフト14Cを結合する(ステップ(h)参照)。
3速変速段→4速変速段のシフトアップ時の作用](図11および図12参照)
図11(A)に示す3速変速段の確立状態から、図11(B)に示すように、2速−3速間スリーブD23を右動して右動状態にすることで、3速ドライブギヤ33を第3アウターシャフト14Cおよび第4アウターシャフト14Dに結合する(ステップ(a)参照)。続いて、図11(C)に示すように、メインクラッチCmを係合解除すると(ステップ(b)参照)、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eに対するトルク伝達が遮断されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19が係合し、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa→インナーシャフト13→遊星歯車機構P→ワンウェイクラッチ19→第5アウターシャフト14E→1速−2速間スリーブD12→第4アウターシャフト14D→2速−3速間スリーブD23→3速ドライブギヤ33および3速ドリブンギヤ39の経路でカウンタシャフト12に伝達されるようになり、メインクラッチCm側からのトルク伝達が遮断されても、アシストクラッチCa側からのトルク伝達を継続して変速中のトルク抜けを防止することができる。更に、3速スリーブS3を右動して3速ドライブギヤ33を第3アウターシャフト14Cから切り離す(ステップ(c)参照)。
続いて、図11(D)に示すように、トルク循環を防止するために3速−4速間スリーブD34を左動状態に操作して第3アウターシャフト14Cおよび第2アウターシャフト14Bを切り離すとともに(ステップ(d)参照)、4速スリーブS4を左動して4速ドライブギヤ34を第2アウターシャフト14Bに結合する(ステップ(e)参照)。その間も、アシストクラッチCa側から伝達されるトルクでトルク抜けは防止されている。
続いて、図11(E)に示すように、メインクラッチCmを係合する(ステップ(f)参照)。その結果、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1、第2アウターシャフト14A,14B→2速スリーブS2→4速ドライブギヤ34→4速ドリブンギヤ40の経路でカウンタシャフト12に伝達され、4速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることで、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
続いて、図11(F)に示すように、後処理として2速−3速間スリーブD23を左動して中立状態にすることで3速ドライブギヤ33を第3アウターシャフト14Cから切り離すとともに(ステップ(g)参照)、3速−4速間スリーブD34を右動して中立状態にすることで第3アウターシャフト14Cおよび第2アウターシャフト14Bを結合する(ステップ(h)参照)。
4速変速段→5速変速段のシフトアップ時の作用](図13および図14参照)
図13(A)に示す4速変速段の確立状態から、図13(B)に示すように、3速−4速間スリーブD34を右動して右動状態にすることで、4速ドライブギヤ34を第1アウターシャフト14Aおよび第2アウターシャフト14Bに結合する(ステップ(a)参照)。続いて、図13(C)に示すように、メインクラッチCmを係合解除すると(ステップ(b)参照)、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eに対するトルク伝達が遮断されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19が係合し、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa→インナーシャフト13→遊星歯車機構P→ワンウェイクラッチ19→第5アウターシャフト14E→1速−2速間スリーブD12→第4アウターシャフト14D→2速−3速間スリーブD23→第3アウターシャフト14C→3速−4速間スリーブD34→第2アウターシャフト14B→4速ドライブギヤ34および4速ドリブンギヤ40の経路でカウンタシャフト12に伝達されるようになり、メインクラッチCm側からのトルク伝達が遮断されても、アシストクラッチCa側からのトルク伝達を継続して変速中のトルク抜けを防止することができる。更に、4速スリーブS4を右動して4速ドリブンギヤ40を第2アウターシャフト14Bから切り離す(ステップ(c)参照)。
続いて、図13(D)に示すように、トルク循環を防止するために4速−5速間スリーブD45を左動状態に操作して第2アウターシャフト14Bおよび第1アウターシャフト14Aを切り離すとともに(ステップ(d)参照)、5速−6速間スリーブS56を左動して左動状態にすることで5速ドライブギヤ35を第1アウターシャフト14Aに結合する(ステップ(e)参照)。その間も、アシストクラッチCa側から伝達されるトルクでトルク抜けは防止されている。
続いて、図13(E)に示すように、メインクラッチCmを係合する(ステップ(f)参照)。その結果、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1アウターシャフト14A→5速−6速間スリーブS56→5速ドライブギヤ35→5速ドリブンギヤ41の経路でカウンタシャフト12に伝達され、5速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることで、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
続いて、図13(F)に示すように、後処理として3速−4速間スリーブD34を左動して中立状態にすることで4速ドライブギヤ34を第2アウターシャフト14Bから切り離すとともに(ステップ(g)参照)、4速−5速間スリーブD45を右動して中立状態にすることで第2アウターシャフト14Bおよび第1アウターシャフト14Aを結合する(ステップ(h)参照)。
5速変速段→6速変速段のシフトアップ時の作用](図15および図16参照)
5速変速段→6速変速段のシフトアップは、高速変速段間の変速であってトルク抜けは乗員に体感され難いため、本実施の形態ではトルク抜け防止制御を行なわないことで、トランスミッションTの構造の簡素化を図っている。
図15(A)に示す5速変速段の確立状態から、図15(B)に示すように、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaを共に係合解除するとともに(ステップ(a)参照)、5速−6速間スリーブS56を右動して中立状態にすることで、5速ドライブギヤ35を第1アウターシャフト14Aから切り離す(ステップ(b)参照)。続いて、図15(C)に示すように、5速−6速間スリーブS56を右動して右動状態にすることで、6速ドライブギヤ36を第1アウターシャフト14Aに結合するとともに(ステップ(d)参照)、図15(D)に示すように、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaを共に係合することで(ステップ(d)参照)、6速ドライブギヤ36を第1アウターシャフト14Aに結合して6速変速段を確立する。この5速変速段→6速変速段のシフトアップ時の作用は、トルク抜け防止機能を持たない通常のAMTの作用と同じである。
6速変速段→5速変速段のシフトダウン時の作用](図17および図18参照)
6速変速段→5速変速段のシフトダウンは、高速変速段間の変速であってトルク抜けは乗員に体感され難いため、本実施の形態ではトルク抜け防止制御を行なわないことで、トランスミッションTの構造の簡素化を図っている。
図17(A)に示す6速変速段の確立状態から、図17(B)に示すように、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaを共に係合解除するとともに(ステップ(a)参照)、5速−6速間スリーブS56を左動して中立状態にすることで、6速ドライブギヤ36を第1アウターシャフト14Aから切り離す(ステップ(b)参照)。続いて、図17(C)に示すように、5速−6速間スリーブS56を左動して左動状態にすることで、5速ドリブンギヤ41を第1アウターシャフト14Aに結合するとともに(ステップ(d)参照)、図17(D)に示すように、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaを共に係合することで(ステップ(d)参照)、5速ドライブギヤ35を第1アウターシャフト14Aに結合して5速変速段を確立する。この6速変速段→5速変速段のシフトダウン時の作用は、トルク抜け防止機能を持たない通常のAMTの作用と同じである。
5速変速段→4速変速段のシフトダウン時の作用](図19および図20参照)
図19(A)に示す5速変速段の確立状態から、図19(B)に示すように、トルク循環を防止するために4速−5速間スリーブD45を左動して左動状態にすることで、第2アウターシャフト14Bおよび第1アウターシャフト14Aを切り離すとともに(ステップ(a)参照)、3速−4速間スリーブD34を右動して右動状態にすることで、4速ドライブギヤ34を第3アウターシャフト14Cおよび第2アウターシャフト14Bに結合する(ステップ(b)参照)。続いて、図19(C)に示すように、メインクラッチCmを係合解除すると(ステップ(c)参照)、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eに対するトルク伝達が遮断されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19が係合し、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa→インナーシャフト13→遊星歯車機構P→ワンウェイクラッチ19→第5アウターシャフト14E→1速−2速間スリーブD12→第4アウターシャフト14D→2速−3速間スリーブD23→第3アウターシャフト14C→3速−4速間スリーブD34→4速ドライブギヤ34および4速ドリブンギヤ40の経路でカウンタシャフト12に伝達されるようになり、メインクラッチCm側からのトルク伝達が遮断されても、アシストクラッチCa側からのトルク伝達を継続して変速中のトルク抜けを防止することができる。
続いて、図19(D)に示すように、5速−6速間スリーブS56を右動して中立状態にすることで、5速ドライブギヤ35を第1アウターシャフト14Aから切り離し(ステップ(d)参照)、4速−5速間スリーブD45を右動して中立状態にすることで第2アウターシャフト14Bおよび第1アウターシャフト14Aを結合し(ステップ(e)参照)、4速スリーブS4を左動して4速ドライブギヤ34を第2アウターシャフト14Bに結合する(ステップ(f)参照)。その間も、アシストクラッチCa側から伝達されるトルクでトルク抜けは防止されている。
続いて、図19(E)に示すように、メインクラッチCmを係合する(ステップ(g)参照)。その結果、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1アウターシャフト14A→4速−5速間スリーブD45→第2アウターシャフト14B→4速スリーブS4→4速ドライブギヤ34→4速ドリブンギヤ40の経路でカウンタシャフト12に伝達され、4速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることで、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。続いて、図19(F)に示すように、後処理として3速−4速間スリーブD34を左動して中立状態にすることで4速ドライブギヤ34を第2アウターシャフト14Bから切り離す(ステップ(h)参照)。
4速変速段→3速変速段のシフトダウン時の作用](図21および図22参照)
図21(A)に示す4速変速段の確立状態から、図21(B)に示すように、トルク循環を防止するために3速−4速間スリーブD34を左動して左動状態にすることで、第3アウターシャフト14Cおよび第2アウターシャフト14Bを切り離すとともに(ステップ(a)参照)、2速−3速間スリーブD23を右動して右動状態にすることで、3速ドライブギヤ33を第4アウターシャフト14Dおよび第3アウターシャフト14Cに結合する(ステップ(b)参照)。続いて、図21(C)に示すように、メインクラッチCmを係合解除すると(ステップ(c)参照)、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eに対するトルク伝達が遮断されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19が係合し、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa→インナーシャフト13→遊星歯車機構P→ワンウェイクラッチ19→第5アウターシャフト14E→1速−2速間スリーブD12→第4アウターシャフト14D→2速−3速間スリーブD23→3速ドライブギヤ33および3速ドリブンギヤ39の経路でカウンタシャフト12に伝達されるようになり、メインクラッチCm側からのトルク伝達が遮断されても、アシストクラッチCa側からのトルク伝達を継続して変速中のトルク抜けを防止することができる。
続いて、図21(D)に示すように、4速スリーブS4を右動して4速ドライブギヤ34を第2アウターシャフト14Bから切り離し(ステップ(d)参照)、3速−4速間スリーブD34を右動して中立状態にすることで第3アウターシャフト14Cおよび第2アウターシャフト14Bを結合し(ステップ(e)参照)、3速スリーブS3を左動して3速ドライブギヤ33を第3アウターシャフト14Cに結合する(ステップ(f)参照)。その間も、アシストクラッチCa側から伝達されるトルクでトルク抜けは防止されている。
続いて、図21(E)に示すように、メインクラッチCmを係合する(ステップ(g)参照)。その結果、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1アウターシャフト14A→4速−5速間スリーブD45→第2アウターシャフト14B→3速−4速間スリーブD34→第3アウターシャフト14C→3速スリーブS3→3速ドライブギヤ33→3速ドリブンギヤ39の経路でカウンタシャフト12に伝達され、3速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることで、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
続いて、図21(F)に示すように、後処理として2速−3速間スリーブD23を左動して中立状態にすることで3速ドライブギヤ33を第3アウターシャフト14Cから切り離す(ステップ(h)参照)。
3速変速段→2速変速段のシフトダウン時の作用](図23および図24参照)
図23(A)に示す3速変速段の確立状態から、図23(B)に示すように、トルク循環を防止するために2速−3速間スリーブD23を左動して左動状態にすることで、第4アウターシャフト14Dおよび第3アウターシャフト14Cを切り離すとともに(ステップ(a)参照)、1速−2速間スリーブD12を右動して右動状態にすることで、2速ドライブギヤ32を第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dに結合する(ステップ(b)参照)。続いて、図23(C)に示すように、メインクラッチCmを係合解除すると(ステップ(c)参照)、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eに対するトルク伝達が遮断されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19が係合し、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa→インナーシャフト13→遊星歯車機構P→ワンウェイクラッチ19→第5アウターシャフト14E→1速−2速間スリーブD12→2速ドライブギヤ32および2速ドリブンギヤ38の経路でカウンタシャフト12に伝達されるようになり、メインクラッチCm側からのトルク伝達が遮断されても、アシストクラッチCa側からのトルク伝達を継続して変速中のトルク抜けを防止することができる。
続いて、図23(D)に示すように、3速スリーブS3を右動して3速ドライブギヤ33を第3アウターシャフト14Cから切り離し(ステップ(d)参照)、2速−3速間スリーブD23を右動して中立状態にすることで第4アウターシャフト14Dおよび第3アウターシャフト14Cを結合し(ステップ(e)参照)、2速スリーブS2を左動して2速ドライブギヤ32を第4アウターシャフト14Dに結合する(ステップ(f)参照)。その間も、アシストクラッチCa側から伝達されるトルクでトルク抜けは防止されている。
続いて、図23(E)に示すように、メインクラッチCmを係合する(ステップ(g)参照)。その結果、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1アウターシャフト14A→4速−5速間スリーブD45→第2アウターシャフト14B→3速−4速間スリーブD34→第3アウターシャフト14C→2速−3速間スリーブD23→第4アウターシャフト14D→2速スリーブS2→2速ドライブギヤ32→2速ドリブンギヤ38の経路でカウンタシャフト12に伝達され、2速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることで、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
続いて、図23(F)に示すように、後処理として1速−2速間スリーブD12を左動して中立状態にすることで2速ドライブギヤ32を第2アウターシャフト14Bから切り離す(ステップ(h)参照)。
2速変速段→1速変速段のシフトダウン時の作用](図25および図26参照)
図25(A)に示す2速変速段の確立状態から、図25(B)に示すように、トルク循環を防止するために1速−2速間スリーブD12を左動して左動状態にすることで、第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dを切り離すとともに(ステップ(a)参照)、1速スリーブS1を左動して1速ドリブンギヤ37をカウンタシャフト12に結合する(ステップ(b)参照)。続いて、図25(C)に示すように、メインクラッチCmを係合解除すると(ステップ(c)参照)、第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eに対するトルク伝達が遮断されるため、アウターレース側の回転数がインナーレース側の回転数を上回ることでワンウェイクラッチ19が係合し、エンジンEのトルクがアシストクラッチCa→インナーシャフト13→遊星歯車機構P→ワンウェイクラッチ19→第5アウターシャフト14E→1速ドライブギヤ31→1速ドリブンギヤ37および1速スリーブS1の経路でカウンタシャフト12に伝達されるようになり、メインクラッチCm側からのトルク伝達が遮断されても、アシストクラッチCa側からのトルク伝達を継続して変速中のトルク抜けを防止することができる。
続いて、図25(D)に示すように、2速スリーブS2を右動して2速ドライブギヤ32を第2アウターシャフト14Bから切り離し(ステップ(d)参照)、1速−2速間スリーブD12を右動して中立状態にすることで第5アウターシャフト14Eおよび第4アウターシャフト14Dを結合する(ステップ(e)参照)。その間も、アシストクラッチCa側から伝達されるトルクでトルク抜けは防止されている。
続いて、図25(E)に示すように、メインクラッチCmを係合する(ステップ(g)参照)。その結果、エンジンEのトルクはメインクラッチCmから第1アウターシャフト14A→4速−5速間スリーブD45→第2アウターシャフト14B→3速−4速間スリーブD34→第3アウターシャフト14C→2速−3速間スリーブD23→第4アウターシャフト14D→1速−2速間スリーブD12→第5アウターシャフト14E→1速ドライブギヤ31→1速ドリブンギヤ37→1速スリーブS1の経路でカウンタシャフト12に伝達され、1速変速段が確立する。このとき、エンジンEのトルクはアシストクラッチCaからインナーシャフト13および遊星歯車機構Pを介してワンウェイクラッチ19に伝達されるが、インナーレース側の回転数がアウターレース側の回転数を上回ることで、ワンウェイクラッチ19は係合解除してトルク伝達が遮断される。
尚、1速変速段からニュートラルに変速するには、図25(E)の状態から、1速スリーブS1を右動して1速ドリブンギヤ37をカウンタシャフト12から切り離すだけで良い。
以上、隣接する変速段間での変速の過程を説明したが、本実施の形態によれば、隣接しない変速段間での飛び変速も可能である。飛び変速は、メインクラッチCmを係合解除してアシストクラッチCaを介してアシストトルクを伝達している間に、所望の飛び変速段の動力伝達経路を確立しておき、この状態からメインクラッチCmを係合することで達成される。
図29のタイムチャートは、トルクアシスト機能を持たない従来のAMTのシフトアップ時のトルク伝達特性を示すものである。時刻t1にクラッチの係合解除が開始されて時刻t2に係合解除が完了し、時刻t3にクラッチの係合が開始されて時刻t4に係合が完了する。シフトアップ前のエンジン回転数に比べてシフトアップ後のエンジン回転数は低くなるため、時刻t1から時刻t3までの領域でエンジン回転数が低下するが、クラッチの係合解除によりメインシャフトの回転数がエンジン回転数の低下を超えて低下することで、トランスミッションの出力トルクは時刻t1〜時刻t4の領域で大きく落ち込んでトルク抜けが発生する。
図28のタイムチャートは、トルクアシスト機能を持つ本実施の形態のAMTのシフトアップ時のトルク伝達特性を示すものである。変速中にメインクラッチCmが係合解除するために第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eの回転数は大きく落ち込むが、アシストクラッチCaは係合状態にあるためにインナーシャフト13の回転数はエンジン回転数に追従して漸減する。従って、変速中に第1〜第5アウターシャフト14A〜14Eにより伝達されるトルクが大きく落ち込んでも、その間にインナーシャフト13によりアシストトルクが伝達されることで、トランスミッションの出力トルクの落ち込みが解消されてトルク抜けが防止されることが分かる。
図27の表には、変速の種類に応じたトルク抜け防止の必要性と、本実施の形態によるトルク抜け防止の可否が示される。トルク抜け防止が必要な領域は、トルク抜け防止を行わないとドライブフィールが大幅に損なわれる領域であり、トルク抜け防止が不要な領域は、トルク抜け防止を行わなくてもドライブフィールが殆ど損なわれない領域であり、トルク抜け防止が望ましい領域は、上記二つの領域の中間の領域であり、その他の領域は変速が行われない領域である。○印は、本実施の形態によってトルク抜けが防止可能であることを示し、×印は、本実施の形態によってもトルク抜けが防止不能であることを示している。
この表から明らかなように、本実施の形態によれば、トルク抜け防止が必要な領域の全てでトルク抜け防止が可能であり、トルク抜け防止が望ましい四つの領域のうち、二つの領域でトルク抜け防止が可能であることが分かる。トルク抜け防止が望ましい四つの領域のうち、二つの領域でトルク抜け防止が不能であるのは、5速変速段および6速変速段に通常のAMTの構造を採用したためであり、5速変速段および6速変速段に1速変速段〜4速変速段と同様のトルク抜け防止機能を持たせれば、トルク抜け防止が望ましい四つの領域の全てでトルク抜けを防止することができる。
次に、図30に基づいてメインクラッチCmおよびアシストクラッチCaの構造を説明する。
エンジンEのクランクシャフト15に接続されたドラム状のクラッチカバー71はメインクラッチCmおよびアシストクラッチCaに共通する部材であって、その内周面にエンドプレート72およびセンタープレート73がスプライン嵌合74,75する。エンドプレート72はクラッチカバー71の底面に移動不能に当接するが、センタープレート73は軸線方向に移動可能である。
エンドプレート72およびセンタープレート73間に配置された第1クラッチディスク76は、メインシャフト11のインナーシャフト13の軸端にスプライン結合77され、センタープレート73を挟んで第1クラッチディスク76の反対側に配置された第2クラッチディスク78はメインシャフト11の第1アウターシャフト14Aの軸端にスプライン結合79される。
第2クラッチディスク78を挟んでセンタープレート73の反対側には、プレッシャプレート80およびクラッチピストン81が軸方向移動可能に配置されており、クラッチピストン81およびセンタープレート73間に第1クラッチスプリング82が配置されるとともに、クラッチピストン81およびプレッシャプレート80間に第2クラッチスプリング83が配置される。クラッチピストン81は電動式あるいは油圧式のアクチュエータ84に接続されており、アクチュエータ84の駆動力で軸方向に駆動される。
第1クラッチスプリング82は第2クラッチスプリング83、プレッシャプレート80および第2クラッチディスク76の径方向外側に配置されており、これにより、第1クラッチスプリング82が第2クラッチスプリング83、プレッシャプレート80および第2クラッチディスク76と干渉することが防止される。第1クラッチスプリング82は第2クラッチスプリング83よりも軸方向の長さが大きく設定され、かつ第1クラッチスプリング82のばね定数は第2クラッチスプリング83のばね定数以上に設定される。要するに、アシストクラッチCaが先に係合し、第1クラッチスプリング82が圧縮されてから、メインクラッチCmが遅れて係合するような設定になっていれば良い。
第2クラッチディスク78はメインクラッチCmを構成する主たる部材であり、第1クラッチディスク76はアシストクラッチCaを構成する主たる部材であり、その他のクラッチカバー71、エンドプレート72、センタープレート73、プレッシャプレート80、クラッチピストン81、第2クラッチスプリング83、第1クラッチスプリング82およびアクチュエータ84は、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaに共通する部材である。
次に、図30および図31に基づいて、上記構成を備えたメインクラッチCmおよびアシストクラッチCaの作用を説明する。
図30は、車両の停止中の状態であり、アクチュエータ84に接続されたクラッチピストン81のストロークがゼロになって図中左側に後退している。このとき、プレッシャプレート80およびセンタープレート73と第2クラッチディスク78との間には隙間があり、クラッチカバー71の回転は第2クラッチディスク78に伝達されないため、メインクラッチCmは係合解除した状態にある。またセンタープレート73およびエンドプレート72と第1クラッチディスク76との間には隙間があり、クラッチカバー71の回転は第1クラッチディスク76に伝達されないため、アシストクラッチCa係合解除した状態にある。
図31(A)に示すように、アクチュエータ84でクラッチピストン81を図中右側にストロークさせると、第2クラッチスプリング83に押圧されたプレッシャプレート80がセンタープレート73との間に第2クラッチディスク78を挟持する前に、第1クラッチスプリング82に押圧されたセンタープレート73がエンドプレート72との間に第1クラッチディスク76を挟持することで、クラッチカバー71の回転が第1クラッチディスク76を介してインナーシャフト13に伝達されるようになり、トランスミッションTの変速中にアシストクラッチCaを係合し、メインクラッチCmを係合解除することができる。
図31(B)に示すように、アクチュエータ84でクラッチピストン81を図中右側に更にストロークさせると、第2クラッチスプリング83に押圧されたプレッシャプレート80がセンタープレート73との間に第2クラッチディスク78を挟持することで、クラッチカバー71の回転が第2クラッチディスク78を介して第1アウターシャフト14Aに伝達されるようになり、メインクラッチCmが係合する。このとき、センタープレート73には第1クラッチスプリング82および第2クラッチスプリング83の両方の弾発力が作用し、アシストクラッチCaが係合状態に維持されるため、車両の走行中(トランスミッションTの非変速中)にメインクラッチCmおよびアシストクラッチCaの両方を係合することができる。
上述とは逆に、図31(B)の状態、つまりアシストクラッチCaおよびメインクラッチCmが共に係合した状態から、アクチュエータ84でクラッチピストン81を図中左側に後退させると、先ずメインクラッチCmが係合解除し(図31(B)参照)、次いでアシストクラッチCaが係合解除することで、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaが共に係合解除した状態となる(図30参照)。
図32は上記作用を纏めたグラフであって、横軸はクラッチピストン81のストローク、縦軸はメインクラッチCmおよびアシストクラッチCaのトルク容量である。
クラッチピストン81のストロークがゼロから増加してS1に達すると、第1クラッチスプリング82によってアシストクラッチCaが係合し、第1クラッチスプリング82の圧縮量の増加に応じてアシストクラッチCaのトルク容量が増加する。クラッチピストン81のストロークが更に増加してS4に達すると、第2クラッチスプリング83によってメインクラッチCmが係合し、第2クラッチスプリング83の圧縮量の増加に応じてメインクラッチCmのトルク容量が増加する。これと同時に、アシストクラッチCaには第1クラッチスプリング82および第2クラッチスプリング83の両方の弾発力が作用するため、アシストクラッチCaのトルク容量はストロークS4以降で急激に立ち上がる。
従って、クラッチピストン81のストロークをゼロ〜S1の範囲に制御することで、停止中にメインクラッチCmおよびアシストクラッチCaの両方を係合解除することができ、クラッチピストン81のストロークをS2〜S3の範囲に制御することで、変速中にアシストクラッチCaを係合してメインクラッチCmを係合解除することができ、クラッチピストン81のストロークをS5〜S6の範囲に制御することで、走行中にメインクラッチCmおよびアシストクラッチCaの両方を係合することができる。
以上のように、単一のアクチュエータ84でクラッチピストン81を駆動するだけで、エンジンEのトルクを第1アウターシャフト14Aおよびインナーシャフト13に選択的に伝達することが可能となり、メインクラッチCmおよびアシストクラッチCaの小型軽量化に寄与することができる。
またクラッチピストン81とプレッシャプレート80との間に第2クラッチスプリング83を配置したので、第2クラッチディスク78がセンタープレート73およびプレッシャプレート80間に挟持される瞬間に接触面圧が急激に立ち上がるのを防止し、振動や騒音の発生を抑制することができる。
また第1クラッチスプリング82は第2クラッチスプリング83よりも軸方向長さが大きいので、クラッチピストン81がストロークしたときに、第2クラッチスプリング83でプレッシャプレート84を介して第2クラッチディスク78を押圧する前に、第1クラッチスプリング82でセンタープレート73を介して第1クラッチディスク76を押圧することができる。しかも第1クラッチスプリング82のばね定数を第2クラッチスプリング83のばね定数以上としたので、第2クラッチスプリング83によって第2クラッチディスク78がセンタープレート73およびプレッシャプレート80間に挟持される前に、第1クラッチスプリング82の弾発力を充分に高めて第1クラッチディスク76に対するエンドプレート72およびプレッシャプレート73の接触面圧を充分に確保することができる。
またセンタープレート73をクラッチカバー71の内周面に軸方向移動可能、かつ回転不能にスプライン嵌合75したので、センタープレート73がクラッチカバー71に対して相対回転するのを防止し、エンジンEからクラッチカバー71に入力されたトルクをセンタープレート73からインナーシャフト13および第1アウターシャフト14Aに確実に伝達することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では走行用の原動機としてエンジンEを用いているが、エンジンE以外にモータ・ジェネレータ等の任意の原動機を用いることができる。
また第2クラッチスプリング83は省略可能であり、任意の押圧部材で置き換えることができる。
またエンドプレート72は省略可能であり、クラッチカバー71の底面をエンドプレート72として使用することができる。
13 インナーシャフト
14A 第1アウターシャフト(アウターシャフト)
71 クラッチカバー
73 センタープレート
75 スプライン嵌合
76 第1クラッチディスク
78 第2クラッチディスク
80 プレッシャプレート
81 クラッチピストン
82 第1クラッチスプリング(第1弾性体)
83 第2クラッチスプリング(第2弾性体)
84 アクチュエータ
E エンジン(原動機)
T オートマチック・マニュアル・トランスミッション(変速機)

Claims (5)

  1. 同軸内外に配置された変速機(T)のインナーシャフト(13)およびアウターシャフト(14A)と原動機(E)との間に配置され、前記原動機(E)のトルクを前記インナーシャフト(13)および前記アウターシャフト(14A)に伝達する変速機用クラッチであって、
    前記原動機(E)に接続されたクラッチカバー(71)の内部に、前記原動機(E)側から、前記インナーシャフト(13)に接続された第1クラッチディスク(76)と、軸方向移動可能なセンタープレート(73)と、前記アウターシャフト(14A)に接続された第2クラッチディスク(78)と、軸方向移動可能なプレッシャプレート(80)と、アクチュエータ(84)で軸方向に駆動されるクラッチピストン(81)とを順番に配置し、前記第2クラッチディスク(78)および前記プレッシャプレート(80)の径方向外側で前記クラッチピストン(81)および前記センタープレート(73)間に第1弾性体(82)を配置し、
    前記クラッチピストン(81)の前記センタープレート(73)側への移動により、前記第1弾性体(82)を介して前記センタープレート(73)を押圧して該センタープレート(73)および前記クラッチカバー(71)間に前記第1クラッチディスク(76)を挟持することで、前記駆動源(E)のトルクを前記インナーシャフト(13)に伝達するとともに、前記クラッチピストン(81)の更なる移動により、前記センタープレート(73)および前記プレッシャプレート(80)間に前記第2クラッチディスク(78)を挟持することで、前記駆動源(E)のトルクを前記アウターシャフト(14A)に伝達することを特徴とする変速機用クラッチ。
  2. 前記クラッチピストン(81)と前記プレッシャプレート(80)との間に第2弾性体(83)を配置したことを特徴とする、請求項1に記載の変速機用クラッチ。
  3. 前記第1弾性体(82)は前記第2弾性体(83)よりも軸方向長さが大きいことを特徴とする、請求項2に記載の変速機用クラッチ。
  4. 前記第1弾性体(82)のばね定数は、前記第2弾性体(83)のばね定数以上であることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の変速機用クラッチ。
  5. 前記センタープレート(73)は、前記クラッチカバー(71)の内周面に軸方向移動可能、かつ回転不能にスプライン嵌合(75)することを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の変速機用クラッチ。
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