JP2013133283A - ラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法 - Google Patents

ラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013133283A
JP2013133283A JP2011282999A JP2011282999A JP2013133283A JP 2013133283 A JP2013133283 A JP 2013133283A JP 2011282999 A JP2011282999 A JP 2011282999A JP 2011282999 A JP2011282999 A JP 2011282999A JP 2013133283 A JP2013133283 A JP 2013133283A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluid
temperature
raw material
stirring
gel composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011282999A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5887131B2 (ja
Inventor
Shinichi Tsukii
慎一 月井
Kunio Ando
邦雄 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=48910225&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2013133283(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2011282999A priority Critical patent/JP5887131B2/ja
Publication of JP2013133283A publication Critical patent/JP2013133283A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5887131B2 publication Critical patent/JP5887131B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】ラメラドメインの破壊が効果的に防止され、感触の優れた板状αゲル組成物を容易に製造できる方法を提供すること。
【解決手段】第1の流動体と第2の流動体とを、振動式の撹拌混合装置に供給して混合体を得る工程を含む板状αゲル組成物の製造方法である。第1の流動体として、25℃において固体の油性成分を含む原料を加熱溶融して混合させてなる油性の第1の原料と、水性の第2の原料とを混合して得られた液晶状態の流動体を用いる。第2の流動体として水性流動体を用いる。第1の流動体の供給温度は、第1の原料の固化開始温度よりも高い。第2の流動体は、第1の流動体の供給温度よりも低い温度で前記装置内に供給される。前記混合体を、第1の流動体と第2の流動体とを混合した時点での温度よりも低い温度まで冷却する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法に関する。
本出願人は先に、ラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法として、特許文献1に記載の製造方法を提案した。同文献に記載の製造方法においては、振動式撹拌混合装置内に、高温で形成された液晶又はゲルを含む流動体を連続的に供給して冷却している。この方法によれば、冷却工程においてラメラ構造を破壊することなく冷却処理が可能になり、その結果、使用感が良好で、かつ保存安定性に優れたラメラ構造を有するゲルが得られるという利点がある。
特開2010−53090号公報
前記の振動式撹拌混合装置は低剪断力のものではあるものの、該装置内で冷却される前記流動体にはある程度の剪断力が加わり、ラメラドメインのサイズが小さくなる場合がある。ラメラドメインのサイズが小さくなることは、目的とする組成物の感触が低下する原因となる。
したがって本発明の課題は、前述した従来技術の方法よりも、感触が更に向上したラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法を提供することにある。
本発明は、管状のケーシング内に、駆動軸と、該駆動軸に取り付けられた撹拌羽根とを有する撹拌体を備える振動式撹拌混合装置を用い、前記ケーシング内に第1の流動体及び第2の流動体を連続的に供給し、両流動体の混合体に前記駆動軸により軸方向の振動を与える工程を有する、ラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法であって、
第1の流動体として、25℃において固体の油性成分を1種以上含む原料を加熱溶融して混合させてなる油性の第1の原料と、水性の第2の原料とを混合して得られた液晶状態の流動体を用い、
第2の流動体として、水性の流動体を用い、
第1の流動体の供給温度が、第1の原料の固化開始温度より高く、
第2の流動体は、第1の流動体の供給温度よりも低い温度で前記振動式撹拌混合装置内に供給され、
前記混合体が前記振動式撹拌混合装置内を通過する過程において、該混合体を、第1の流動体と第2の流動体とを混合した時点での温度よりも低い温度まで冷却する、ラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、ラメラドメインが大きく、感触の優れたゲル組成物を容易に得ることができる。
図1は、本発明の製造方法を実施するための好ましい装置の一実施形態を示す模式図である。 図2は、図1に示す製造装置における振動式の撹拌混合装置の縦断面の模式図である。 図3は、図2に示す振動式の撹拌混合装置における撹拌体の要部拡大図である。 図4は、実施例1で得られたゲル組成物の光学顕微鏡写真像である。 図5は、比較例2で得られたゲル組成物の光学顕微鏡写真像である。
本発明の製造方法の目的物であるラメラ構造を有するゲル組成物とは、界面活性剤のような両親媒性分子の六方晶形の会合体からなるα型構造(ヘキサゴナル)の層間に、多量の水を保持したラメラ構造を有するゲル状の組成物、すなわちαゲル組成物のことである。このαゲル組成物は、α型構造の層が平面状に大きく広がった状態のもの、すなわち板状のαゲルを形成する組成物であることが、該αゲル組成物の感触が良好になる点から好ましい。板状αゲル組成物は、ラメラドメインのサイズが大きいほどその感触が良好であるとされている。本発明の方法によれば、ラメラドメインのサイズが大きい板状αゲル組成物を容易に製造することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の製造方法を実施するための好ましい装置の一実施形態が示されている。同図に示す装置100は、油性の第1の原料の供給部10、水性の第2の原料の供給部20を備えている。また、装置100は、第1の原料と第2の原料とを混合・乳化して、第1の流動体を調製する乳化部30を備えている。更に、装置100は、第2の流動体の供給部40を備えている。また更に、装置100は、第1の流動体と第2の流動体との撹拌混合部50も備えている。
第1の原料の供給部10は、タンク11を備えている。タンク11は、該タンク11の外側に付設されたジャケット12によって加熱又は冷却され、所定温度に調整されるようになっている。タンク11内には撹拌翼13が設置されている。撹拌翼13は、シャフト14を介してタンク11外に設置されたモータ15に接続されており、回転可能になっている。タンク11の底部には、該タンク11内に充填されている第1の原料を取り出すための管16が接続されている。管16は、後述する乳化部30に接続されている。第1の原料は、管16を通じて乳化部30に供給されるようになっている。第1の原料を定量供給することを目的として、必要に応じ、管16の途中に定量ポンプ(図示せず)を介在させてもよい。
タンク11内には、目的とするラメラ構造を有するゲル組成物の原料の一部である油性の原料が充填される。充填された該原料は、タンク11内において加熱下に混合されて流動体になる。タンク11内に充填される原料及び該原料から得られる流動体の詳細については後述する。
第2の原料の供給部20は、タンク21を備えている。タンク21内には、流動体になっている水性の第2の原料が充填されている。タンク21の底部には、該タンク21内に充填されている第2の原料を取り出すための管22が接続されている。先に述べた管16と同様に、管22も、後述する乳化部30に接続されている。水性の第2の原料は、管22を通じて乳化部30に供給されるようになっている。第2の原料を定量供給することを目的として、必要に応じ、管22の途中に定量ポンプ(図示せず)を介在させてもよい。
第1の原料の供給部10及び第2の原料の供給部20からそれぞれ供給された第1及び第2の原料は、乳化部30において混合され、乳化される。乳化部30としては、油相と水相との乳化に用いられる乳化機を特に制限なく用いることができる。例えば容器31内に撹拌翼32が配置されたタイプの乳化機を用いることができる。撹拌翼32は、シャフト33の一端に接続されている。シャフト33の他端は、容器31外に設置されたモータ34に接続されており、モータ34の回転によって撹拌翼32が回転するようになっている。更に、乳化部30は、その底部に、第1及び第2の原料から調製された乳化物からなる第1の流動体を取り出すための管35が接続されている。管35は、後述する混合撹拌部50に接続されている。第1の流動体は、管35を通じて混合撹拌部50に連続的に供給されるようになっている。
第2の流動体の供給部40は、先に述べた第2の原料の供給部20と同様に、タンク41を備えている。タンク41内には、水性の第2の流動体が充填されている。タンク41の底部には、該タンク41内に充填されている第2の流動体を取り出すための管42が接続されている。管42は、後述する混合撹拌部50に接続されている。第2の流動体は、管42を通じて混合撹拌部50に連続的に供給されるようになっている。
撹拌混合部50は撹拌混合装置51を備えている。撹拌混合装置51としては、振動式のものを用いることができる。この振動式撹拌混合装置としては、撹拌混合の対象物に対して作用する剪断力が低いにもかかわらず、混合を高効率で行い得るものを用いることが好ましい。
撹拌混合装置51は、略筒状の構造を有し、その一端側に、管35及び管42がそれぞれ接続する流入口52a,52bを有し、他端側に吐出口53を有している。吐出口53は吐出用管54に接続されている。図1においては、撹拌混合装置51が、異なる位置に2つの流入口52a,52bを有しているように表されているが、流入口の配置はこれに限られない。例えば撹拌混合装置51の一端側に流入口を1つ設け、1つの該流入口に管35及び管42の双方を接続してもよい。また、図1においては、2つの流入口52a,52bのうち、管35が接続する流入口52aが上流側に位置し、管42が接続する流入口52bが下流側に位置しているが、管35,42と流入口52a,52bとの接続関係は任意でよく、例えばこの逆でもよい。ここでいう「上流」及び「下流」とは、撹拌混合装置51内を流動する流動体の流動方向に関してのものである。
撹拌混合装置51内を流動する乳化物からなる第1の流動体は、水性の第2の流動体と合流することで顕熱冷却によって連続的に冷却される。これとともに、第1の流動体と第2の流動体とが混合されることで、目的とする組成のゲル組成物が調製される。そして、このゲル組成物は吐出口53を通じて吐出用管54の端部から吐出される。
撹拌混合装置51には、第1の流動体と第2の流動体を用いて生成したゲル組成物を、熱交換によって冷却する手段も備えられている。詳細には、撹拌混合装置51には、その略筒状の構造の外側に、流入口52a,52b側から吐出口53側に向けて4つのジャケット55,56,57,58がこの順で取り付けられている。各ジャケットにはそれぞれ冷却水が循環するようになっている。冷却水の温度は、適宣設定することが可能であり、これらのジャケットによって、第1の流動体及びゲル組成物を流入口52a,52b側から吐出口53側に向けて連続的又は段階的に冷却することができる。
図2には、振動式の撹拌混合装置51の縦断面の模式図が示されている。装置51は、管状のケーシング61内に、駆動軸62と、該駆動軸62に取り付けられた撹拌羽根63とからなる撹拌体64を備えている。駆動軸62は、バイブレータ65aによって軸方向に沿って上下振動するようになされている。
ケーシング61は、その横断面が円形である管状のものであり、その下部付近に流入口52a,52bが設けられている。ケーシング61の上部付近には吐出口53が設けられている。流入口52a,52bからそれぞれ流入した第1及び第2の流動体は、ケーシング61内を通る間に混合されて、目的とするゲル組成物となり、該ゲル組成物が吐出口53から吐出される。
ケーシング61内には、上述の撹拌体64が配されている。撹拌体64の駆動軸62は、ケーシング61の長手方向(縦方向)に延びている。駆動軸62の上端は、ジョイント65bを介してバイブレータ65aに接続されている。バイブレータ65aは、モータ(図示せず)とその出力軸に接続された公知のカム機構(図示せず)を備えている。カム機構は、回転部(図示せず)と揺動部(図示せず)からなる。回転部は、モータの出力軸に対して偏心して取り付けられている。揺動部は、回転部の偏心回転によって揺動するようになっている。そして、揺動部の揺動が駆動軸62に上下振動として伝達される。
ケーシング61の内壁には、円環状の仕切部66が複数設けられている。仕切部66はいずれも同形であり、ケーシング61の内壁から水平方向へ突出している。仕切部66の中央に形成された円孔には、駆動軸62が挿入される。この円孔の直径は、駆動軸62の直径よりも大きくなっている。隣り合う2つの仕切部によってケーシング61の内部は複数の混合室67が画成される。混合室67は、ケーシング61の長手方向(縦方向)に沿って直列配置される。
図3(a)及び(b)には、撹拌体64の要部拡大図が示されている。撹拌体64は、駆動軸62とその周面に螺旋状に取り付けられた撹拌羽根63とを備えている。同図においては、撹拌羽根63は3周の螺旋状に取り付けられている。この状態の撹拌体64を一組として、ケーシング内には、各混合室67内に撹拌体64が配されている。したがって撹拌体64の組数は、混合室67の数と同じになっている。それぞれの組の撹拌体64において、撹拌羽根63の螺旋の方向は同じになっている。
それぞれの組の撹拌体64における撹拌羽根63には1個以上の開孔68及び/又は1個以上の切り欠き69が設けられている。開孔68及び切り欠き69は、撹拌体64を駆動軸62の軸心方向からみたときに(図3(a)参照)、上下で隣り合う撹拌羽根どうしで形成位置が一致しないように設けられている。この理由は、軸方向での短絡流の発生を防止して、撹拌混合効果を高めるためである。
以上のとおりの構成を有する振動式の撹拌混合装置51としては、例えば特開平4−235729号公報に記載のもの等を用いることができる。また振動式の撹拌混合装置51として市販品を用いることもできる。そのような市販品としては、例えば冷化工業(株)製のバイブロミキサー(登録商標)が挙げられる。
以上の構成を有する装置100を用いた、ラメラ構造を有するゲル組成物の一種である板状αゲル組成物の製造方法について説明する。本製造方法においては、(i)油性成分を含む液晶状態の第1の流動体と(ii)水性の第2の流動体とを、撹拌混合装置51を用いて、混合及び冷却して、目的とするゲル組成物を製造する。第1の流動体と第2の流動体との混合及び冷却に先立ち、液晶状態の第1の流動体を調製する工程を行う。第1の流動体を調製する工程は(i−1)第1の原料を用い、油性成分を含む流動体を調製する工程と、(i−2)該流動体と、第2の原料からなる水性流動体とを混合・乳化する工程とを含んでいる。そこで、以下の説明においては、まず(i−1)及び(i−2)の工程について説明し、次いで目的とするゲル組成物を製造する工程について説明することとする。
まず(i−1)の工程においては、第1の流動体の原料の一部である第1の原料を充填する。第1の原料は、25℃において固体の油性成分(以下、「固体油性成分」ともいう。)を1種以上含んだ油性の流動体である。25℃において固体の油性成分としては、例えば脂肪族アルコール(以下、(A)成分ともいう)と界面活性剤(以下、(B)成分ともいう)とが配合されていることが好ましい。
脂肪族アルコール(A)としては、平均炭素数12〜36、特に12〜28、とりわけ18〜24を有するものが好ましい。特に好ましいものとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルラウリルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール及びイソステアリルアルコール等が挙げられる。これらの脂肪族アルコールは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。特に毛髪化粧料に配合するときには、滑らかな使用感及び柔軟性のある感触の観点から、脂肪族アルコールは、第1の流動体と第2の流動体の混合体を基準として、0.05〜20質量%配合されることが好ましく、1〜10質量%配合されることが更に好ましく、2〜5質量%配合されることが一層好ましい。
界面活性剤(B)としては、化粧品一般に用いられる非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。特に毛髪化粧料に配合するときには、髪への吸着性の観点から、陽イオン界面活性剤が好ましい。陽イオン界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム又はその塩(B−1)、第3級アミン又はその塩が好ましい。第3級アミンとしては、エーテル型第3級アミン又はその塩(B−2)、アミド型第3級アミン又はその塩(B−3)が好ましい。
[B−1:第4級アンモニウム又はその塩]
第4級アンモニウム塩としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
1−N+234- (1)
〔式(1)中、R1は炭素数16〜22の直鎖又は分岐鎖の、アルキル基又はアルケニル基を示し、R2、R3、R4はそれぞれ同一の又は異なる炭素数1〜6のアルキル基、又は−(AO)mHを示す(Aは同一の又は異なる炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは1〜6の整数を示し、その配列は任意である)、X-はハロゲン化物イオン又は炭素数1〜2のアルキル硫酸イオンを示す。〕
式(1)で表される第4級アンモニウム塩としては、第4級アンモニウムを有機酸及び/又は無機酸によって塩としたものを用いてもよいし、本発明で製造する板状αゲル組成物が毛髪化粧料である場合、該毛髪化粧料に酸を配合して、pH調整とともに組成物中で塩を形成させたものでもよい。式(1)で表される第4級アンモニウム塩としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルコキシトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
[B−2:エーテル型第3級アミン又はその塩]
エーテル型第3級アミンとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
5−O−(CH2nNR67 (2)
〔式(2)中、nは1〜6の整数、R5は炭素数6〜24の、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R6及びR7は同一の又は異なる炭素数1〜6のアルキル基、又は−(AO)mHを示す(Aは同一の又は異なる炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは1〜6の整数を示し、その配列は任意である)。〕
5は、炭素数12〜24、特に炭素数14〜22の、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。更に、R6及びR7の少なくとも一方が、炭素数1〜6のアルキル基、中でもメチル基又はエチル基であることが好ましく、特に双方が同じであることが好ましい。
一般式(2)で表されるエーテル型第3級アミンの塩としては、エーテル型第3級アミンを有機酸及び/又は無機酸によって塩としたものを用いてもよいし、本発明で製造する板状αゲル組成物が毛髪化粧料である場合、該毛髪化粧料に酸を配合して、pH調整とともに組成物中で塩を形成させてもよい。
一般式(2)で表されるエーテル型第3級アミン又はその塩としては、例えば、ヒドロキシエーテルアルキルアミン(又はその塩)、エーテルアミン(又はその塩)などが挙げられる。
[B−3:アミド型第3級アミン又はその塩]
アミド型第3級アミン又はその塩としては、例えば下記一般式(3)で表される化合物又はその塩が挙げられる。
8−CONH−(CH2h−N(R92 (3)
〔式(3)中、R8は炭素数11〜23の脂肪族炭化水素基を示し、R9は同一の又は異なる水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、hは2〜4の数を示す。〕
一般式(3)で表されるアミド型第3級アミンの塩としては、アミド型第3級アミンを有機酸及び/又は無機酸によって塩としたものを用いてもよいし、本発明で製造する板状αゲル組成物が毛髪化粧料である場合、該毛髪化粧料に酸を配合して、pH調整とともに組成物中で塩を形成させてもよい。一般式(3)で表されるアミド型第3級アミン又はその塩としては、例えば、アルキルアミドアミン(又はその塩)などが挙げられる。
(B)成分は、1種又は2種以上の界面活性剤を併用してもよい。特に、毛髪化粧料に配合するときには、使用時に良好な柔軟性及び滑り性、並びに仕上がりの髪の自然な質感を付与する効果の観点から、界面活性剤の総含有量は、第1の流動体と第2の流動体の混合体に対して0.01〜20質量%が好ましく、更には0.1〜15質量%、特に0.5〜10質量%が好ましい。
第1の原料には、(A)成分と(B)成分に加えて、脂肪酸又はその塩、芳香族スルホン酸塩、その他油性成分を配合することもできる。脂肪酸又はその塩としては、下記式(4)で表される化合物又はその塩が挙げられる。
CH3−CHR10−(CH2nCOOH (4)
〔式(4)中、R10は水素原子、メチル基又はエチル基を示し、nは14〜22の整数を示す。〕
脂肪酸又はその塩を配合する場合は、脂肪酸又はその塩が、ラメラ構造を有するゲル組成物中に0.005〜20質量%となるように配合するのが好ましい。
芳香族スルホン酸としては、芳香環を1つ含む2−ナフタレンスルホン酸、オキシベンゾンスルホン酸、又はグアイアズレンスルホン酸等が挙げられる。対イオンとしては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。中でもスルホン酸塩が好ましく、特に2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
その他油性成分としては、例えばシリコーン類、高級脂肪酸、炭化水素油、天然油、エステル油、前記(B)成分以外の脂肪族アミンとその塩が挙げられる。
第1の原料をタンク11内に充填して、該タンク11を加熱することで第1の原料を溶融させて流動体となす。この流動体は油相のものである。第1の原料の加熱温度は、固体油性成分の固化温度に応じて適宜設定することができる。加熱温度は、第1の原料の固化温度以上が好ましく、最も融点の高い固体油性成分の該固化温度よりも10℃程度高めに設定することが好ましい。加熱によって固体油性成分が溶融し、第1の原料全体が溶融して油相の流動体となる。この状態下に撹拌翼13を回転させることでタンク11内を撹拌し、第1の原料を十分に均一混合分散させる。特に限定されるものではないが、流動体の温度は、例えば60〜100℃に設定することができる。
別法として、第1の原料のうち、主として油性成分を予めホモミキサーやディスパーなどの予備分散手段(図示せず)を用いて予備分散させた後、これによって得られた予備分散物をタンク11内に充填するとともに、第1の原料のうちの残部、例えば粉体成分を該タンク11に充填し、両者を該タンク11内で加熱混合して流動体を得てもよい。
第1の原料の供給部10において、固体油性成分を含む第1の原料が十分に混合し、かつ所定の温度に達したら、タンク11の底部に取り付けられた管16を通じてタンク11内の油性の流動体を取り出す。この油性の流動体は乳化部30に供給される。乳化部30へ供給される該流動体の温度は、流動性が保たれる温度以上であればよい。
次に、(i−2)の工程について説明する。本工程においては、タンク11内に第1の原料を充填する工程とは別に、第2の原料の供給部20におけるタンク21内に、第2の原料を充填する。第2の原料は水性のものである。第2の原料としては、例えば水(イオン交換水、蒸留水、精製水)や、水に水溶性塩類や水溶性有機溶剤等を溶解した液などが用いられる。第2の原料に占める水の割合は、50質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
第1又は第2の流動体それぞれの原料には、前記成分に加えて他の成分を配合することができる。配合できる他の成分としては、例えば、カチオン化セルロース、ヒドロキシ化セルロース、高重合ポリエチレンオキサイド等の高分子化合物、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、着色剤、植物抽出エキス類、酸化チタン等のパール粉体、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ(ANTHONY L. L. HUNTING,ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS,MICELLE PRESS、発行年1983年)に記載されている成分等が挙げられる。これら他の成分は、油性であれば第1の原料に、水溶性であれば第2の原料又は第2の流動体に配合することが好ましい。
第2の原料は、タンク21の底部に取り付けられた管22を通じて取り出される。第2の原料は管22を通じて乳化部30に供給される。乳化部30へ供給される第2の原料の温度は、好ましくは第1の流動体の供給温度以下、更に好ましくは、第1の流動体の供給温度の30℃以下とすることが好ましい。
乳化部30において油相の第1の原料と水性の第2の原料とが混合されることで乳化が起こり、ラメラ液晶状態の乳化物が生じる。この乳化物が、先に述べた第1の流動体である。第1の流動体は、ラメラ液晶状態のものなので、目的とするラメラ構造を有するゲル組成物の前駆体として位置付けられるものである。乳化部30においては、ラメラ液晶状態の乳化物を首尾よく生成させる観点から、乳化の条件として、温度は第1の原料の固化開始温度以上が好ましい。ラメラ構造を有するゲル組成物を得る場合には、更に板状αゲル組成物の固化温度以下で撹拌混合することが好ましい。乳化の装置は特に限定されないが、バッチ式としてプロペラ翼、又はホモミキサーなど、連続式として高速剪断式混合機(マイルダー、ラインホモミキサー)、振動式混合機(バイブロミキサー)、又は静止型混合機(スタティックミキサー)などが挙げられる。特に高速剪断式混合機(マイルダー、ラインホモミキサー)、又は振動式混合機(バイブロミキサー)を採用することが好ましい。
上述した「第1の流動体の固化開始温度」とは、第1の流動体を、示差走査熱量計(DSC)を用い、2℃/minの加熱速度で95℃まで昇温した後、2℃/minの冷却速度で降温したときの、発熱ピークの立ち上がる温度で定義される。また、「板状αゲル組成物の固化温度」とは、板状αゲル組成物を、示差走査熱量計(DSC)を用い、2℃/minの加熱速度で95℃まで昇温した後、2℃/minの冷却速度で降温したときの、発熱ピークのピーク温度で定義される。
乳化部30に供給される油性の第1の原料と水性の第2の原料との割合は、それらの合計量を100質量%としたとき、固体油性成分を含む流動体である油性の第1の原料の割合を3〜50質量%、特に5〜20質量%に設定することが、ラメラ液晶状態の乳化物を首尾よく形成し得る点から好ましい。
以上のようにして、乳化部30において第1の流動体が得られたら、該第1の流動体と、第2の流動体の供給部40から供給された第2の流動体とを用い、撹拌混合装置51によって、目的とするゲル組成物を製造する。これら2つの流動体のうち、第1の流動体は流入口52aを通じて撹拌混合装置51に供給される。撹拌混合装置51へ供給される第1の流動体の温度は、流動性が保たれ、固体油性成分の分散性の向上の観点から、該第1の原料の固化開始温度よりも高い温度である。
上述した「第1の原料の固化開始温度」とは、該第1の原料を、示差走査熱量計(DSC)を用い、2℃/minの加熱速度で95℃まで昇温した後、2℃/minの冷却速度で降温したときの、発熱ピークの立ち上がる温度で定義される。第1の原料が固体油性成分を2種以上含有する場合、その固化開始温度とは、2種以上の固体油性成分が相溶する場合は前記と同様に定義され、2種以上の固体油性成分が相溶せず発熱ピークが多数になる場合は、固化開始温度は、最も高温側の発熱ピークの立ち上がる温度で定義される。
一方、第2の流動体は、タンク41の底部に取り付けられた管42を通じて取り出される。第2の流動体は流入口52bを通じて撹拌混合装置51に供給される。撹拌混合装置51へ供給される第2の流動体の温度は、先に述べた第1の流動体が撹拌混合装置51へ供給されるときの温度よりも低く、かつ第2の流動体が流動可能な温度に設定されている。第2の流動体の供給温度が、第1の流動体の供給温度よりも低く設定されていれば、両者の混合によって生じる乳化混合物の温度は、第1の流動体の供給温度よりも低くなる。第2の流動体の供給温度は、第1の流動体の供給温度や第1の流動体と第2の流動体の混合比によって適宜設定される。例えば0〜50℃に設定することができる。特に第2の流動体は、乳化混合物の温度が板状αゲル組成物の固化終了温度未満となる温度で撹拌混合装置51へ供給することが好ましい。
上述した「板状αゲル組成物の固化終了温度」とは、該板状αゲル組成物を、示差走査熱量計(DSC)を用い、2℃/minの加熱速度で95℃まで昇温した後、2℃/minの冷却速度で降温したときの、最も低温側の発熱ピークと低温側でのベースラインとの交点である温度で定義される。
第2の流動体は水性のものである。これと同様に、第1の流動体の原料の一部である第2の原料も水性のものである。第2の流動体は、第2の原料と同種のものでもよく、あるいは異種のものでもよい。第2の流動体の組成に関しては、先に述べた第2の原料についての説明が適宜適用される。ラメラ構造を有するゲル状組成物を安定的に製造する点から、第1の流動体の原料に成分(B)を配合する場合、成分(B)の対塩となる成分は第2の原料に配合するのが好ましく、成分(B)の対塩となる成分は第2の流動体に配合しない方が好ましい。
撹拌混合装置51に供給される第1の流動体と第2の流動体との割合は、両流動体の合計量を100質量%としたとき、ラメラ液晶状態の流動体である第1の流動体の割合を40〜90質量%、特に50〜80質量%に設定することが、板状αゲル組成物を首尾よく形成し得る点から好ましい。
撹拌混合装置51内において、ラメラ液晶状態の第1の流動体と、水性の第2の流動体とが混合して顕熱で冷却され、液晶からαゲルへの相転移が起こり、目的とするゲル組成物となる。第1の流動体が、該流動体の供給温度よりも低温で供給される第2の流動体と混合されることで、混合時点での混合体の温度は、第1の流動体の供給温度よりも低下する。
撹拌混合装置51内において第1の流動体と第2の流動体とを混合した時点でのラメラ液晶状態の混合体の温度は、目的とするゲル組成物の感触向上の観点から、該混合物の固化終了温度未満、すなわち目的とするゲル組成物の固化終了温度未満となるように、両流動体を混合することが好ましい。この理由は次のように推測される。第1の流動体であるラメラ液晶状態の流動体を冷却して、目的とするゲル組成物を得る間においては、ゲル−液晶間での相転移が生じるところ、相転移の間に第1の流動体に対して剪断力が加わるとラメラ構造が破壊されやすくなる傾向にある。ラメラ構造が破壊されるとラメラドメインのサイズが小さくなる。ラメラドメインのサイズが小さくなることは、目的とするゲル組成物の感触が低下する原因となる。そこで、両流動体を混合し、混合した時点での前記混合体の温度を、混合物の固化終了温度未満に設定することで、相移転の間でのラメラ構造の破壊を効果的に防止することができるものと推測される。
「撹拌混合装置51内において第1の流動体と第2の流動体とを混合した時点での混合体の温度」とは、第1の流動体及び第2の流動体の供給量及び比熱から計算される値であるか、又は撹拌混合装置51を用い、かつジャケットによる冷却を行わずに両流動体を混合したときに実測された値のことである。
第1の流動体と第2の流動体とを混合した時点での混合体の温度を、上述のように設定するには、第1の流動体及び第2の流動体の供給温度や供給量を適切に設定して両流動体を混合すればよい。
撹拌混合装置51内の第1及び第2の流動体の混合によって生じたラメラ液晶状態の混合体は、該撹拌混合装置51内を流動する間に、熱交換によって冷却される。熱交換による混合体の冷却は、例えば、撹拌混合装置51の外壁に備えられたジャケットに冷却液を流通させる方法により行うことができる。撹拌混合装置51には、上述のとおり4つのジャケット65,66,67,68が取り付けられている。それぞれのジャケットには、冷却液として、所定温度の冷却水が循環して、第1の流動体と第2の流動体との混合体の冷却のための熱交換が行われる。例えば、各ジャケットに約0〜約20℃の冷却水を流通させることができる。この場合、撹拌混合装置51の入り口側から出口側に向かうに連れて、4つのジャケット65,66,67,68に流通させる冷却水の温度を次第に低くしてもよく、あるいはすべて同じ温度にしてもよい。
撹拌混合装置51内において、前記の混合体は、次第に出口側へ押し出されながら、冷却液との熱交換によって冷却される。該混合体は、振動式撹拌混合装置51内を通過する過程において、第1の流動体と第2の流動体とを混合した時点での温度よりも低い温度まで冷却される。このようにして、混合体は連続的に冷却され、目的とするゲル組成物が、撹拌混合装置51の吐出口53を経て吐出用管54から吐出される。
撹拌混合装置61においては撹拌体64がその軸方向に沿って上下に振動することで、ケーシング61内を通過する前記の混合体が撹拌体64に沿った流れと、撹拌羽根63に設けられた開孔68及び切り欠き69を通る流れの乱れによって混合される。そして、冷却液との熱交換によって混合体が冷却されていくと、その流動性が低下する。この場合、混合体は、撹拌体64に沿った流れと、撹拌羽根63に設けられた開孔68及び切り欠き69を通る流れの乱れによって混合されながら冷却されるので、冷却むらが生じにくくなる。また混合されることで熱伝導性が良好になる。更に撹拌混合装置51内にはデッドスペースが殆ど存在しないので、撹拌むらが生じにくい。しかも撹拌混合装置51は、混合体の流動性が高い場合でも低い場合でも良好な撹拌混合を行うことができる。撹拌混合装置51が有するこれらの利点は、混合体が有するラメラ液晶相の過度の破壊を伴わずに該混合体を冷却でき、目的とするゲル組成物を首尾よく得ることができるという好ましい効果をもたらす。
しかも本製造方法では、先に述べた特許文献1に記載の方法と異なり、目的とするゲル組成物の前駆体である第1の流動体を、水性の第2の流動体と混合して顕熱冷却しつつ、撹拌混合装置51内で冷却するので、同文献に記載の方法に比べて、板状αゲル組成物の固化終了温度よりも高い温度条件下でゲル組成物に加わる剪断力を一層低減できる。剪断力の低減化は、ラメラ液晶相の破壊を抑制する観点から有利である。
撹拌混合装置51を用いた冷却においては、撹拌混合装置51の振動数は2〜30ストローク/s、特に10〜30ストローク/sの範囲が好ましい。更に、撹拌混合装置51で冷却される間に与えられる総振動量は、50〜10000ストローク、特に200〜1000ストロークであることが好ましい。
このようにして得られた板状αゲル組成物においては、ラメラドメインの破壊が効果的に防止されているので、使用感、特に感触が良好なものとなる。したがって、本製造方法によって製造された板状αゲル組成物は、例えば毛髪用のコンディショナ、トリートメント、ヘアリンス等の各種毛髪化粧料の他に、化粧クリーム、ジェル化粧料等の皮膚用化粧料としても有用である。なお、ゲル組成物にラメラ構造が生じているか否かは、ゲル組成物を光学顕微鏡観察することで確認できる(後述する図4及び図5参照)。
以上の本製造方法に従い得られたラメラ構造を有するαゲル組成物の組成について簡単に説明すると、該組成物は、主として固体油性成分、水、を含むものである。これらの成分の割合は、固体油性成分が好ましくは3〜20質量%、更に好ましくは5〜10質量%であり、水は好ましくは50〜97質量%、更に好ましくは90〜95質量%である。このような組成を有するゲル組成物は、上述したとおり、特に毛髪化粧料として有用である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図1に示す装置を用いて板状αゲル組成物(毛髪用コンディショナ)を製造した。第1及び第2の原料として、以下の表1及び表2に示す組成のものを用いた。また、第2の流動体として、以下の表3に示す組成のものを用いた。
第1の原料は、表1に示す成分を85℃で加熱溶融させて得た。このようにして得られた流動体と、表2に示す第2の原料(水性液)とを、プロペラ翼を用いて混合し乳化させて、液晶状態の第1の流動体を得た。乳化の条件は、乳化温度55℃、プロペラ翼の回転数150rpm、10minとした。
このようにして得られた液晶状態の第1流動体と、第2の流動体(水性液)とを、以下の表4に示す温度及び割合で振動式の撹拌混合装置51に供給し、両者を混合して混合体を得た。混合時点での混合体の温度は表4に示すとおりであった。振動式の撹拌混合装置51(冷化工業(株)製のバイブロミキサー)のジャケットに冷却水を流通させておき、該撹拌混合装置51内を流動する混合体を熱交換によって冷却するようにした。ジャケット55の温度は55℃、ジャケット56の温度は45℃、ジャケット57の温度は5℃、ジャケット58の温度は5℃に設定した。撹拌混合装置51から吐出された板状αゲル組成物の温度は表4に示すとおりであった。振動式撹拌混合装置の振動数は、10ストローク/s、振幅は約5mm、総振動量は480ストロークであった。
〔実施例2及び比較例1〕
表4に示す条件を用いる以外は、実施例1と同様にして板状αゲル組成物を得た。
〔比較例2〕
本比較例は、背景技術の項で述べた特許文献1の実施例に相当する例である。まず表1に示す成分を85℃で溶解して油相とした。これとは別に、表2及び表3に示す成分を55℃で加熱溶解して水相とした。55℃に保持された水相に、同温度の油相を添加し、プロペラ翼で分散してラメラ液晶の流動体を得た。この流動体を55℃において振動式の撹拌混合装置51(冷化工業(株)製のバイブロミキサー)に供給して冷却した。冷却の条件は表4に示すとおりである。このようにして、板状αゲル組成物を得た。
〔比較例3〕
まず表1に示す成分を85℃で溶解して油相とした。これとは別に、表2及び表3に示す成分を55℃で加熱溶解して水相とした。55℃に保持された水相に、同温度の油相を添加し、プロペラ翼で分散してラメラ液晶の流動体を得た。この流動体を室温雰囲気下においてプロペラ翼(150rpm)で30℃まで冷却した。冷却の条件は表4に示すとおりである。このようにして、αゲル組成物を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた板状αゲル組成物について、以下の方法で感触、固形物の有無、ラメラドメインのサイズ及び総合評価を行った。その結果を以下の表4に示す。また、実施例1及び比較例2について板状αゲル組成物の顕微鏡写真を撮影した。その結果を図4及び図5に示す。
〔感触〕
実施例及び比較例で得られた板状αゲル組成物をヘアコンディショナとして用い、その感触評価を専門パネラー5名に行わせた。
〔固形物の有無〕
実施例及び比較例で得られた板状αゲル組成物を透明なガラス容器に入れ、外観を観察した。直径1mm以上の白い粒子が確認された場合、固形物ありとした。
〔ラメラドメインのサイズ〕
板状αゲル組成物を水で希釈し、微分干渉顕微鏡で観察した。観察像から平均の投影面積円相当径を算出した。
〔総合評価〕
感触及び固形物の有無の結果を総合して、総合評価とした。評価基準は下記のとおりである。
◎:固形物がなく、かつ感触が特に良好
○:固形物がなく、かつ感触が良好
△:固形物がなく、かつ感触がやや良好
×:固形物があり
〔実施例3〕
図1に示す装置を用いて板状αゲル組成物(皮膚用化粧料)を製造した。第1及び第2の原料として、以下の表5及び表6に示す組成のものを用いた。また、第2の流動体として、以下の表7に示す組成のものを用いた。
第1の原料は、表5に示す成分を85℃で加熱溶融させて得た。このようにして得られた流動体と、表6に示す第2の原料(水性液)とを、ホモミキサーを用いて混合し乳化させて、液晶状態の第1の流動体を得た。乳化の条件は、乳化温度65℃、回転数7000rpm、10minとした。
このようにして得られた液晶状態の第1流動体と、第2の流動体(水性液)とを、以下の表8に示す温度及び割合で振動式の撹拌混合装置51に供給し、両者を混合して混合体を得た。混合時点での混合体の温度は表8に示すとおりであった。振動式の撹拌混合装置51(冷化工業(株)製のバイブロミキサー)のジャケットに冷却水を流通させておき、該撹拌混合装置51内を流動する混合体を熱交換によって冷却するようにした。ジャケット55の温度は55℃、ジャケット56の温度は45℃、ジャケット57の温度は5℃、ジャケット58の温度は5℃に設定した。撹拌混合装置51から吐出された板状αゲル組成物の温度は表8に示すとおりであった。振動式撹拌混合装置の振動数は、10ストローク/s、振幅は約5mm、総振動量は480ストロークであった。
〔比較例4〕
本比較例は、背景技術の項で述べた特許文献1の実施例に相当する例である。まず表5に示す成分を85℃で溶解して油相とした。これとは別に、表6及び表7に示す成分を65℃で加熱溶解して水相とした。65℃に保持された水相に、同温度の油相を添加し、ホモミキサーで分散してラメラ液晶の流動体を得た。この流動体を65℃において振動式の撹拌混合装置51(冷化工業(株)製のバイブロミキサー)に供給して冷却した。冷却の条件は表8に示すとおりである。このようにして、板状αゲル組成物を得た。
〔塗布時の感触〕
実施例3及び比較例4で得られた板状αゲル組成物を皮膚用化粧料として用い、その塗布時の感触評価を専門パネラー5名に行わせ、協議したものを評価結果とした。その結果を表8に示す。
〔乾燥後のしっとり感〕
実施例3及び比較例3で得られた板状αゲル組成物を皮膚用化粧料として用い、その乾燥後のしっとり感評価を専門パネラー5名に行わせ、協議したものを評価結果とした。その結果を表8に示す。
〔固形物の有無〕
実施例3及び比較例3で得られた板状αゲル組成物をそのまま透明なガラス容器に入れ、外観を観察した。直径1mm以上の白い粒子が確認された場合、固形物ありとした。その結果を表8に示す。
〔ラメラドメインのサイズ〕
板状αゲル組成物をそのまま微分干渉顕微鏡で観察した。観察像から平均の投影面積円相当径を算出した。結果を表8に示す。
〔総合評価〕
塗布時の感触、乾燥後のしっとり感及び固形物の有無の結果を総合して、総合評価とした。評価基準は下記のとおりである。結果を表8に示す。
○:固形物がなく、かつ塗布時の感触と乾燥後のしっとり感が良好
△:固形物がなく、かつ塗布時の感触と乾燥後のしっとり感がやや良好
×:固形物があり
表4及び表8に示す結果から明らかなように、各実施例で得られた板状αゲル組成物は、感触が良好であることが判る。このことは、ラメラドメインのサイズが大きいことから支持される。実際、図4から明らかなように、実施例1の板状αゲル組成物は、ラメラドメインのサイズが大きいものである。また各実施例で得られた板状αゲル組成物は、固形物の発生が認められないことも判る。更に各実施例で得られた板状αゲル組成物は、総合的な評価も良好であることが判る。
これに対して、第1の流動体の供給温度が、第1の原料の固化開始温度よりも低い比較例1では、この温度設定に起因して固形物が発生してしまった。特許文献1の実施例に対応する比較例2及び4では、固形物の発生は認められないものの、冷却過程においてラメラ構造が破壊され、図5に示すようにラメラドメインのサイズが小さくなり、それによって感触が低下してしまった。
10 第1の原料の供給部
20 第2の原料の供給部
30 乳化部
40 第2の流動体の供給部
50 撹拌混合部
100 製造装置

Claims (5)

  1. 管状のケーシング内に、駆動軸と、該駆動軸に取り付けられた撹拌羽根とを有する撹拌体を備える振動式撹拌混合装置を用い、前記ケーシング内に第1の流動体及び第2の流動体を連続的に供給し、両流動体の混合体に前記駆動軸により軸方向の振動を与える工程を有する、ラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法であって、
    第1の流動体として、25℃において固体の油性成分を1種以上含む原料を加熱溶融して混合させてなる油性の第1の原料と、水性の第2の原料とを混合して得られた液晶状態の流動体を用い、
    第2の流動体として、水性の流動体を用い、
    第1の流動体の供給温度が、第1の原料の固化開始温度より高く、
    第2の流動体は、第1の流動体の供給温度よりも低い温度で前記振動式撹拌混合装置内に供給され、
    前記混合体が前記振動式撹拌混合装置内を通過する過程において、該混合体を、第1の流動体と第2の流動体とを混合した時点での温度よりも低い温度まで冷却する、ラメラ構造を有するゲル組成物の製造方法。
  2. 第1の流動体と第2の流動体とを混合した時点での前記混合体の温度が、該混合体の固化終了温度未満となるように両流動体を混合する請求項1に記載の製造方法。
  3. ラメラ構造を有するゲル組成物が板状αゲル組成物である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記25℃において固体の油性成分が、脂肪族アルコールと界面活性剤とを含有する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記ラメラ構造を有するゲル組成物が、毛髪化粧料又は皮膚用化粧料である請求項1ないし4のいずれか一項に記載の製造方法。
JP2011282999A 2011-12-26 2011-12-26 ラメラ構造を有する板状αゲル組成物の製造方法 Active JP5887131B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011282999A JP5887131B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 ラメラ構造を有する板状αゲル組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011282999A JP5887131B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 ラメラ構造を有する板状αゲル組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013133283A true JP2013133283A (ja) 2013-07-08
JP5887131B2 JP5887131B2 (ja) 2016-03-16

Family

ID=48910225

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011282999A Active JP5887131B2 (ja) 2011-12-26 2011-12-26 ラメラ構造を有する板状αゲル組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5887131B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200330619A1 (en) * 2019-04-18 2020-10-22 The Regents Of The University Of Michigan Imaging phantom

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214212A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 Kao Corp 化粧料の製造方法
JP2010053090A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Kao Corp ゲル状組成物の製造方法
JP2011072310A (ja) * 2009-09-04 2011-04-14 Shiseido Co Ltd 高粘度o/wクリームの製造方法
JP2011074071A (ja) * 2009-09-04 2011-04-14 Shiseido Co Ltd O/w乳化組成物の製造方法
JP2011116687A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Kao Corp 化粧料の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008214212A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 Kao Corp 化粧料の製造方法
JP2010053090A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Kao Corp ゲル状組成物の製造方法
JP2011072310A (ja) * 2009-09-04 2011-04-14 Shiseido Co Ltd 高粘度o/wクリームの製造方法
JP2011074071A (ja) * 2009-09-04 2011-04-14 Shiseido Co Ltd O/w乳化組成物の製造方法
JP2011116687A (ja) * 2009-12-02 2011-06-16 Kao Corp 化粧料の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200330619A1 (en) * 2019-04-18 2020-10-22 The Regents Of The University Of Michigan Imaging phantom

Also Published As

Publication number Publication date
JP5887131B2 (ja) 2016-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013532047A (ja) エマルション及び/又は分散液の連続製造用乳化装置
JP5399665B2 (ja) ゲル状組成物の製造方法
JP5357660B2 (ja) 油中水型乳化化粧料の製造方法
JP3778237B2 (ja) O/w型エマルジョンの製造方法
JP5622384B2 (ja) 化粧料の製造方法
JP5887131B2 (ja) ラメラ構造を有する板状αゲル組成物の製造方法
JP5736161B2 (ja) 化粧料の製造方法
JP3952108B2 (ja) O/w型エマルションの製造方法
JP5887112B2 (ja) 板状αゲル組成物の製造方法
JP2000256188A (ja) 乳化組成物
JP2019023211A (ja) キャンデリラロウ分散組成物
JP2000189785A (ja) 乳化液体組成物の製造方法
JP6421028B2 (ja) 微細粒子分散物の製造方法
JP7085087B2 (ja) 水相中のグリセロールを含む新規なナノエマルジョン
JP5395817B2 (ja) ベシクル組成物およびその製造方法ならびにその用途
JP2005187684A (ja) 変性シリコーンエマルション及びその製造方法、並びに衣料用柔軟仕上げ剤
JP2678716B2 (ja) 真珠様光沢剤分散液の製造方法
JP6454167B2 (ja) 毛髪化粧料の製造方法
JPH09249900A (ja) 界面活性剤含有高粘性液体の製造方法
JP5221253B2 (ja) 油性化粧料の製造方法
JP2007237050A (ja) 第四級アンモニウム塩を高濃度含有する水中油型乳化物の製造方法
JPS63143935A (ja) 乳化物の製造方法
JP2594394B2 (ja) 乳化物の製造方法
JP5551818B1 (ja) ミコナゾール硝酸塩含有溶液製剤の製造方法
JP3994091B2 (ja) 高濃度液体柔軟剤組成物の連続製造方法及びそれにより得られる高濃度液体柔軟剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150707

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150902

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20151225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160215

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5887131

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250