JP2013132794A - 多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面が軟質で触感が軟らかく、しかも、発泡ブロー成形性が良好で、大幅な軽量化が可能であるブロー成形品の提供。
【解決手段】それぞれ特定の条件を満たす、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)からなる外層、ポリプロピレン系樹脂(B)を発泡させてなる中間層及びポリプロピレン系樹脂組成物(C)からなる内層の少なくとも3層からなり、外層、中間層、内層の順に積層されることを特徴とする多層ブロー成形品。
【選択図】なし

Description

本発明は、多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品に関し、さらに詳しくは、表面が軟質で触感が軟らかく、しかも、発泡ブロー成形性が良好でコスト的に有利であり、大幅な軽量化が可能である多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品に関する。
従来、ポリプロピレン系樹脂は、良好な物性及び成形性を有し、また、環境にやさしい材料として、急速にその使用範囲が拡大している。自動車部品等製品の軽量化、コストダウン、断熱性、吸音性を目的に、ブロー成形において発泡を行ういわゆる発泡ブロー成形が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
従来のポリプロピレンでは、発泡状態のパリソンを型内で加圧空気によりブローすると、溶融張力が小さいため、発泡状態の気泡が押しつぶされてしまい、十分な発泡状態の中空成形品を得ることは困難であるなど、ブロー成形性には問題があった。
また、発泡ブロー成形品としては、ダクト、自動車部品、容器、電化製品部材等(例えば、特許文献2参照)が提供されている。しかし、これらは、発泡層の溶融張力(以下、「MT」ともいう。)が高く(230℃MT≧5g)、ダイス出口直後パリソン内での発泡不良、収縮という問題があった。
近年、ポリプロピレン樹脂成形品は、自動車内装部品などでは、人が触れる部分に使用されるものも多く、表面が軟質で触感が軟らかいといった、表面の触感の良さが求められてきている。
しかし、こうした軟質で触感が柔らかいという表面の品質を保ちながら、軽量であって、ブロー成形性も良好であるという複数の特徴を兼ね備えるブロー成形品を製造することは困難であった。
こうした状況下に、従来技術における問題点を解消し、表面が軟質で触感が軟らかく、大幅な軽量化が可能である多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品を、良好な発泡ブロー成形性により、経済的に有利に製造することが求められていた。
特開2004−116956号公報 特許第3745960号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、表面が軟質で触感が軟らかく、しかも、発泡ブロー成形性が良好でコスト的に有利であり、大幅な軽量化が可能である多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品を提供することにある。
なお、本明細書において、発泡ブロー成形性が良好であるとは、耐ドローダウン性及びリターン性が良好であり、設定発泡倍率通りに発泡し、セル形態としてセル径が均一であることを意味する。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、それぞれ特定の条件を満たす、プロピレン−α−オレフィン共重合体(A)からなる外層、ポリプロピレン系樹脂(B)を特定倍率で発泡させてなる中間層及びポリプロピレン系樹脂組成物(C)からなる内層の少なくとも3層からなり、外層、中間層、内層の順に積層される多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品が、表面が軟質で触感が軟らかく、しかも、発泡ブロー成形性が良好で、大幅な軽量化が可能であることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、それぞれ下記の条件を満たす、外層、中間層及び内層の少なくとも3層からなり、外層、中間層、内層の順に積層されることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
外層:メルトフローレート(MFR、230℃、2.16Kg荷重)が0.5〜20g/10分、曲げ弾性率が150〜400MPa、デュロメータD硬さが35〜60、密度が0.89〜0.90g/cmであるポリプロピレン系樹脂(A)からなる。
中間層:下記(B11−1)〜(B11−3)の条件を満たすプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B11))とプロピレン単独重合体(成分(B12))の少なくとも2成分からなり、成分(B11)及び成分(B12)の両成分は、多段重合法によって重合して得られ、成分(B11)の含有量が1〜20重量%、成分(B12)の含有量が80〜99重量%(ただし、成分(B11)及び成分(B12)の合計を100重量%とする。)であり、かつ、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が5〜20g/10分、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定において歪硬化性を示す樹脂組成物(B1)を含有するポリプロピレン系樹脂(B)を、発泡倍率2.5倍以上で発泡させてなる。
(B11−1)α−オレフィン含量が30〜85重量%(ただし、成分(B11)を構成するモノマーの全量を100重量%とする)である。
(B11−2)固有粘度ηが5〜20dl/gである。
(B11−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が5〜15である。
内層:MFR(230℃、2.16Kg荷重)が0.1〜2.0g/10分、溶融張力(MT、230℃)が8g以上、曲げ弾性率が1000〜3000MPaであるポリプロピレン系樹脂(C)からなる。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、さらに、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が10〜1000g/10分の、プロピレン単独重合体またはプロピレン以外のα−オレフィンの含量が1重量%未満のプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B21))と、GPCにより求めたMwが50万〜1000万、プロピレン以外のα−オレフィンの含量が1〜15重量%のプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B22))の少なくとも2成分からなり、成分(B21)及び成分(B22)の両成分は、多段重合法によって重合して得られ、成分(B21)の含有量が50〜90重量%、成分(B22)の含有量が10〜50重量%(ただし、成分(B21)及び成分(B22)の合計を100重量%とする。)であり、かつ、下記(B2−1)〜(B2−3)の条件を満たす樹脂組成物(B2)を含有することを特徴とする請求項1に記載の多層ブロー成形品が提供される。
(B2−1)MFR(230℃、2.16Kg荷重)が0.1〜20g/10分である。
(B2−2)MT(230℃)と、MFR(230℃、2.16Kg荷重)の関係が以下の式(1)を満たす。
logMT>−0.97×logMFR+0.97 (1)
(B2−3)最長緩和時間(τd)が100秒以上である。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、樹脂組成物(B1)及び樹脂組成物(B2)の合計100重量%基準で、樹脂組成物(B1)を70〜97重量%、樹脂組成物(B2)を3〜30重量%の割合で含有することを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、樹脂組成物(B1)は、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定における歪硬化指数λmaxが1.2以上であることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、MT(230℃)が5g未満であることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が1〜20g/10分であることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、さらに、発泡剤を、ポリプロピレン系樹脂(B)100重量部に対して2〜5重量部の割合で含有することを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、前記内層は、前記ポリプロピレン系樹脂(C)と無機充填材とからなることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、各層の厚みの割合は、層全体の厚みを100%として、前記外層が20〜30%、前記中間層が20〜50%、前記内層が20〜50%であることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明において、さらに、下記の条件を満たすリターン層を含む少なくとも4層からなることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
リターン層:前記外層、前記中間層及び前記内層からなる群より選ばれる少なくとも1層のリターン材を含有する。
また、本発明の第11の発明によれば、第10の発明において、前記外層、前記中間層、前記リターン層、前記内層の順に積層されることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明において、前記各層の材料をパリソン状に押出し、その後金型内においてブロー成形により成形されることを特徴とする多層ブロー成形品が提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第1〜12のいずれかの発明の多層ブロー成形品からなることを特徴とする自動車内装品が提供される。
本発明は、上記した如く、多層ブロー成形品などに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、層全体の厚みが1〜5mmであることを特徴とする多層ブロー成形品。
(2)第1の発明において、ポリプロピレン系樹脂(A)は、軟質ポリプロピレンである事を特徴とする多層ブロー成形品。
(3)第7の発明において、発泡剤は、分解型発泡剤であることを特徴とする多層ブロー成形品。
(4)第8の発明において、無機充填材は、タルク、ガラス、ウィスカー及びマイカから成る群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする多層ブロー成形品。
本発明の多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品は、表面が軟質で触感が軟らかく、しかも、発泡ブロー成形性が良好でコスト的に有利であり、大幅な軽量化が可能である多層ブロー成形品であるという効果がある。
また、リターン層を設ける場合は、リターン性が良好であるという効果がある。
そのため、バンパー、サイドモール、スポイラー、インストルメントパネル、ルーフ、灯体、デッキボード等をはじめとする自動車向けブロー成形部品用途、なかでも、トリム類、コンソール等の自動車内装部品用途や、日常品、日用雑貨、バス、トイレ等の部材など住宅、建設設備向けブロー成形部品用途に、好適に用いることができる。
本発明は、それぞれ下記の条件を満たす、外層、中間層及び内層の少なくとも3層からなり、外層、中間層、内層の順に積層されることを特徴とする多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品である。
外層:メルトフローレート(MFR、230℃、2.16Kg荷重)が0.5〜20g/10分、曲げ弾性率が150〜400MPa、デュロメータD硬さが35〜60、密度が0.89〜0.90g/cmであるポリプロピレン系樹脂(A)からなる。
中間層:下記(B11−1)〜(B11−3)の条件を満たすプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B11))とプロピレン単独重合体(成分(B12))の少なくとも2成分からなり、成分(B11)及び成分(B12)の両成分は、多段重合法によって重合して得られ、成分(B11)の含有量が1〜20重量%、成分(B12)の含有量が80〜99重量%(ただし、成分(B11)及び成分(B12)の合計を100重量%とする。)であり、かつ、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が5〜20g/10分、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定において歪硬化性を示す樹脂組成物(B1)を含有するポリプロピレン系樹脂(B)を、発泡倍率2.5倍以上で発泡させてなる。
(B11−1)α−オレフィン含量が30〜85重量%(ただし、成分(B11)を構成するモノマーの全量を100重量%とする)である。
(B11−2)固有粘度ηが5〜20dl/gである。
(B11−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)により求めた重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)と数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)との比(Mw/Mn)が5〜15である。
内層:MFR(230℃、2.16Kg荷重)が0.1〜2.0g/10分、溶融張力(MT、230℃)が8g以上、曲げ弾性率が1000〜3000MPaであるポリプロピレン系樹脂(C)からなる。
以下、構成成分などの各要件について、詳細に説明する。
I.外層
1.ポリプロピレン系樹脂(A)
本発明において、外層に用いるポリプロピレン系樹脂(A)は、メルトフローレート(以下、「MFR」ともいう、230℃、2.16Kg荷重)が0.5〜20g/10分、曲げ弾性率が150〜400MPa、デュロメータD硬さが35〜60、密度が0.89〜0.90cmとの物性をすべて兼ね備えたものであることが必要である。
(1)物性
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(A)のMFRは、0.5〜20g/10分、好ましくは1〜15g/10分である。MFRが0.5g/10分未満であると、溶融延展性が低下し、表面荒れ(メルトフラクチャ)となるおそれがあり、一方、MFRが20g/10分を超えると、ドロ−ダウンが顕著となるおそれがある。
ここで、MFRは、JIS K7210(230℃、2.16Kg荷重)に準拠して測定する値である。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(A)の曲げ弾性率は、150〜400MPa、好ましくは150〜300MPaである。曲げ弾性率が150MPa未満であると、表面べた付きとなるおそれがあり、一方、曲げ弾性率が400MPaを超えると、軟質感触が悪化するおそれがある。
ここで、曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定する値である。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(A)のデュロメータD硬さ(HDD)は、35〜60、好ましくは35〜55である。HDDが35未満であると、表面べた付きになるおそれがあり、一方、HDDが60を超えると、軟質感触が悪化するおそれがある。
ここで、HDDは、JIS K7215に準拠して測定する値である。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(A)の密度は、0.89〜0.90g/cm、好ましくは0.89〜0.895g/cmである。密度が0.89g/cm未満であると、表面べた付きとなるおそれがあり、一方、密度が0.90g/cmを超えると、軟質感触が悪化するとなるおそれがある。
ここで、密度はJIS K6921−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定する値である。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(A)は、結晶性を有するポリプロピレンであってもよいが、結晶性の有無は、融点の有無により判定することができる。すなわち、ポリプロピレン系樹脂(A)に用いられる結晶性ポリプロピレンは、融点を有するものである。
融点は、示差走査熱量測定(DSC測定)で結晶の融解に基づく吸熱ピークとして測定できる。本発明に係る結晶性ポリプロピレンは、融点が好ましくは110〜175℃、より好ましくは150〜170℃、さらに好ましくは160〜170℃である。
なお、本明細書において、融点は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200)を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、50℃から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で40℃まで降温して結晶化させ1分間保持した後、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度として求めた値である。
(2)種類
本発明のポリプロピレン系樹脂(A)としては、上記の物性をすべて兼ね備えるものであれば使用することができるが、好ましく用いることができる樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと炭素数2〜10のプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、例えば、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。共重合体に用いるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどから選ばれ、なかでも、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A)としては、上記プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1等の他のα−オレフィンとのランダム共重合体及びブロック共重合体等を併用することもできる。
ポリプロピレン系樹脂(A)として用いられるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、プロピレンから得られる構造単位が100〜90重量%(ただし、100重量%を除く)、好ましくは99〜92重量%、α−オレフィンから得られる構造単位が0〜10重量%(ただし0重量%を除く)、好ましくは1〜8重量%の割合で含有されているものを用いることができる。
α−オレフィンとしては、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンなどが挙げられ、具体的には、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることができる。
α−オレフィンは、2種以上を併用することもできる。コモノマーの構造単位が上記範囲内にあると、実用上良好な剛性を保つことができる。好ましくは、エチレン含有量1〜5重量%、特に2〜4重量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体である。
ここで、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体中のプロピレンから得られる構造単位、及び、α−オレフィンから得られる構造単位は、13C−NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的には、日本電子社製FT−NMRの270MHzの装置により測定される値である。
上記プロピレン−エチレンランダム共重合体としては、特に限定されるものではないが、例えば下記(A−1)及び/又は(A−2)の特徴を満たすものが好ましく挙げられる。
(A−1)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でエチレン含量1.0〜7重量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜70重量%、第2工程で成分(A1)よりも5〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜30重量%逐次重合することで得られる。
(A−2)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が、tanδ曲線の非晶部のガラス転移による単一のピークを0℃以下に有する。
すなわち、上記の特徴(A−1)を満たすプロピレン−エチレンランダム共重合体は、逐次重合により成分(A1)と成分(A2)のブレンド状態にある共重合体である。
プロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量E(A1)については、第1工程で製造される成分(A1)は、ベタツキを抑制し、耐熱性を発現するために、融点が比較的高く、結晶性を有するプロピレン単独重合体あるいはエチレン含量が7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体である。エチレン含量が7重量%を超えると融点が低くなりすぎ耐熱性を悪化させるため、エチレン含量は7重量%以下、好ましくは6重量%以下とされる。
なお、成分(A1)はプロピレン単独重合体でも改良された柔軟性や透明性及び耐熱性を示すが、これらのバランスを最も高くできるのは、エチレン含量が0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分である。
プロピレン−エチレンランダム共重合体中に占める成分(A1)の割合が多すぎると、プロピレン−エチレンランダム共重合体の柔軟性及び透明性が悪化し、それに伴い組成物全体の透明性と柔軟性が阻害される。そこで成分(A1)の割合は70重量%以下、好ましくは60重量%以下である。一方、成分(A1)の割合が少なくなりすぎるとベタツキが増加し、耐熱性が顕著に悪化するといった問題を生じるため、成分(A1)の割合は30重量%以上、好ましくは40重量%以上である。
第2工程で製造される成分(A2)は、共重合体の柔軟性と透明性及び耐衝撃性を向上させるのに必要な成分である。そこで、成分(A2)はこの効果を充分発揮するために特定範囲のエチレン含量であることが好ましい。
すなわち、本発明のプロピレン−エチレンランダム共重合体において、成分(A1)に対し成分(A2)の結晶性は低い方が、柔軟性改良効果が大きい。そして、結晶性はエチレン含量で制御され、エチレン含量が多いほど柔軟性が高くなるため、成分(A2)中のエチレン含量E(A2)は、成分(A1)中のエチレン含量E(A1)よりも5重量%以上多くないとその効果は充分でなく、好ましくは6重量%以上、より好ましくは8重量%以上、成分(A1)よりも多くのエチレンを含む。
ここで、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差をE(gap)(=E(A2)−E(A1))と定義すると、E(gap)は5重量%以上、好ましくは6重量%以上、より好ましくは8重量%以上である。
一方、成分(A2)の結晶性を下げるためにエチレン含量を増加させ過ぎると、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差E(gap)が大きくなり、マトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取って、顕著に透明性が低下する。これは、元来ポリプロピレンはポリエチレンとの相溶性が低く、プロピレン−エチレンランダム共重合体においても、エチレン含量が異なるものの相互の相溶性は、エチレン含量の違いが大きくなると低下するためである。E(gap)の上限については、後述する固体粘弾性測定によりtanδのピークが単一になる範囲にあればよいが、そのためにはE(gap)は20重量%以下、好ましくは、18重量%以下、より好ましくは16重量%以下の範囲とされる。
プロピレン−エチレンランダム共重合体中に占める成分(A2)の割合が多すぎるとベタツキが増加し、一方、成分(A2)の割合が少なくなりすぎると柔軟性が低下する。よって、成分(A2)の割合は、成分(A1)の割合をも勘案して、70〜30重量%、好ましくは60〜40重量%の範囲となる。
成分(A1)と(A2)の各成分のエチレン含量E(A1)とE(A2)及び各成分量W(A1)とW(A2)の特定方法につき、成分(A1)と(A2)の各エチレン含量及び成分量は、重合時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、特開2005−132992号公報記載の分析(分別法)を用いることが望ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂(A)として使用されるプロピレン−エチレンランダム共重合体においては、(A−2)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する共重合体を用いることも好ましい。これらの測定法や物性等については、特開2005−132992号公報等を参照することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂(A)として使用されるプロピレン−エチレンランダム共重合体が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、透明性が顕著に悪化するという問題が生じる。
相分離構造を取っているかどうかは、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線において判別可能であり、成形品の透明性を悪化する相分離構造の回避は、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。
本発明のポリプロピレン系樹脂(A)として使用されるプロピレン−エチレンランダム共重合体は、透明性を発揮するために、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線が0℃以下に単一のピークを持つことが好ましい。
上記プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造方法としては、例えば特開2005−132992号公報記載の公知の製法で得られるものが知られている。
こうした、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の市販品としては、日本ポリプロ社製「ウェルネクス(登録商標)」シリーズのプロピレン−エチレンランダム共重合体等が挙げられる。これは、メタロセン触媒により得られる、リアクターメイドの熱可塑性エラストマー(R−TPO)とも呼ばれる軟質ポリプロピレンである。
上記のメタロセン触媒としては、具体的には、[A]下記一般式[I]で表される遷移金属化合物に、[B]アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩、からなる群より選ばれる一種以上の物質、及び[C]有機アルミニウム化合物を接触させて得られる触媒が使用される。
Figure 2013132794
[式中、A及びAは、共役五員環配位子(同一化合物内においてA及びAは同一でも異なっていてもよい)を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。]
一般式[I]中、A及びAは、共役五員環配位子(同一化合物内においてA及びAは同一でも異なっていてもよい)を示し、好ましくはそのうち少なくとも一方は、共役五員環配位子上の隣接した置換基が結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有する。そして、A及びAの共役五員環配位子は、結合性基Qに結合していない炭素に置換基を有していてもよい。上記の共役五員環配位子の典型例としては、例えば、シクロペンタジエニル基を挙げることが出来る。このシクロペンタジエニル基は、水素原子を4個有するもの[C−]であってもよく、また、上記した通り、その水素原子の幾つかが置換基で置換されているものであってもよい。
上記の置換基の1つの具体例は、炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜15の炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基、トリフェニルカルビル基などが挙げられる。上記の炭化水素基は、一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していてもよく、その置換基の末端で2種が結合して縮合環を形成してもよい。縮合環を形成したシクロペンタジエニル基の典型例としては、インデン、フルオレン、アズレン等の化合物やその誘導体である。
具体的には、シクロペンタジエニル、n−ブチルシクロペンタジエニル、インデニル、2−メチルインデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒドロインデニル、2−メチルテトラヒドロインデニル、2−メチルベンゾインデニル、2,4−ジメチルアズレニル、2−メチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル等が挙げられる。
炭化水素基以外の置換基としては、珪素、酸素、窒素、燐、硼素、硫黄などの原子を含有する炭化水素残が挙げられる。その典型例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニル硼素基、ジメトキシ硼素基、チエニル基などが挙げられる。その他の置換基としては、ハロゲン原子又はハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。その典型的例としては、塩素、臭素、沃素、フッ素、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
成分[A]として使用する遷移金属化合物は、A及びAのうち少なくとも一方が、共役五員環配位子上の隣接した置換基が結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有するものが好ましい。すなわち、A及びAのどちらか一方は、少なくとも共役五員環の隣接する炭素2原子を含めた7〜10の縮合環を形成しているものが好ましい。
Qは、2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示す。すなわち、Qは、2価の結合性基であり、AとAとを架橋する。Qの種類は特に制限されないが、その具体例としては、(イ)炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の2価の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、具体的には、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン等の不飽和炭化水素基、ハロアルキレン基、ハロシクロアルキレン基、(ロ)無置換または炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはオリゴシリレン基、(ハ)無置換または炭素数が通常1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基や、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基などが挙げられる。これらの中では、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはゲルミレン基が好ましい。
Mは、周期表第4〜6族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムの4族遷移金属、更に好ましくは、ジルコニウム又はハフニウムである。X及びYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示す。上記の各炭化水素基における炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜12である。これらの中では、水素原子、塩素原子、メチル基、イソブチル基、フェニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等のケイ素含有炭化水素基が好ましい。
成分[B]としては、アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して、成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩、からなる群より選ばれる一種以上の物質を用いる。
成分[C]としては、下記一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物が好適に使用される。
AlR3−a (2)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Pは、水素、ハロゲン、アルコキシ基またはシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。)
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。これらの中では、トリアルキルアルミニウムが好ましい。
また、成分[C]として、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類なども使用できる(尚、成分[B]がアルミノキサンの場合は、成分[C]の例示としてアルミノキサンは除く。)。
ポリプロピレン系樹脂(A)として用いられるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体としては、プロピレン単独重合体部分である結晶性ポリプロピレン部分とプロピレン・α−オレフィン共重合体部分からなるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体が挙げられる。この場合、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の含有量は、2〜35重量%が好ましく、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分のα−オレフィン含有量は、70重量%以下が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。また、結晶性ポリプロピレン部分のMFRは、30〜400g/10分が好ましく、50〜300g/10分がより好ましく、100〜200g/10分がさらに好ましい。結晶性ポリプロピレン部分のMFRとブロック共重合体全体のMFRの組合せが上記範囲を逸脱した場合、流動性や耐衝撃性、引張伸びが不良となるおそれがある。
こういったプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法としてはチーグラー触媒重合による製造方法が挙げられる。
その他、本発明のポリプロピレン系樹脂(A)としては、市販されているものとしては、日本ポリプロ社製「ノバテック SP1A103」を用いることができる。
2.その他の成分
外層には、必要に応じて他の重合体、充填剤、添加剤等の配合成分が含まれていてもよい。
外層に含まれていても良い他の重合体としては、ポリプロピレン系樹脂(A)以外のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂(A)以外のポリオレフィンとしては、エチレン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン・オクテン共重合体等のエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン・オクテン共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテン共重合体等のプロピレン系重合体、ブテン系重合体等が挙げられる。
ポリスチレンとしては、スチレン単独重合体、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α−メチルスチレン等との共重合体、スチレンとブタジエン、イソプレン等とのブロック共重合体若しくはランダム共重合体またはその水素添加物などが挙げられる。
外層に含まれていても良い充填剤としては、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状無機充填剤、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状無機充填剤、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム等の針状(ウィスカー)無機充填剤、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状無機充填剤、ガラスバルーンのようなバルン状無機充填剤、ポリエステル繊維・ケナフ・ジュート・木粉等の有機充填剤が例示される。
外層に含まれていても良い添加剤としては、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、滑剤、金属不活性剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、架橋剤、可塑剤等が挙げられる。
II.中間層
本発明において、中間層は、下記(B11−1)〜(B11−3)の条件を満たすプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B11))とプロピレン単独重合体(成分(B12))の少なくとも2成分からなり、成分(B11)及び成分(B12)の両成分は、多段重合法によって重合して得られ、成分(B11)の含有量が1〜20重量%、成分(B12)の含有量が80〜99重量%(ただし、成分(B11)及び成分(B12)の合計を100重量%とする。)であり、かつ、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が5〜20g/10分、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定において歪硬化性を示す樹脂組成物(B1)を含有するポリプロピレン系樹脂(B)を、発泡倍率2.5倍以上で発泡させてなることが必要である。
(B11−1)α−オレフィン含量が30〜85重量%(ただし、成分(B11)を構成するモノマーの全量を100重量%とする)である。
(B11−2)固有粘度ηが5〜20dl/gである。
(B11−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が5〜15である。
1.ポリプロピレン系樹脂(B)
本発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、樹脂組成物(B1)を含有するものである。
(1)樹脂組成物(B1)
本発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、樹脂組成物(B1)を含有し、樹脂組成物(B1)は、特定のプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B11))とプロピレン単独重合体(成分(B12))の少なくとも2成分からなることが必要である。
<成分(B11)>
成分(B11)はプロピレン−α−オレフィン共重合体である。
ここで、α−オレフィンとしては、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、ノネン、デケン、1メチルブテン、1メチルペンテンなどのプロピレンを除く炭素数12以内のアルケンが好ましく、中でもエチレンが特に好ましい。
α−オレフィンの含有量は、成分(B11)を構成するモノマーの全量を100重量%とした場合のα−オレフィン含量は30〜85重量%であり、好ましくは40〜60重量%である(B11−1)。
成分(B11)は、発泡気泡の成長を抑制する、すなわち連立気泡率を低くさせるのに効果的であり、また発泡成形体の耐衝撃性、粘度調整、容器成形時の延展性などを確保することができるが、α−オレフィンの含有量が30重量%より少ないと、成分(B12)との相溶性が向上し、発泡気泡の成長を抑制する効果が低減する。また、85重量%より多いと、成分(B12)との相溶性が逆に悪化しすぎてしまい、成分(B11)と成分(B12)間の界面強度が弱くなり、発泡気泡の成長を抑制する効果が低減する。
成分(B11)は、固有粘度ηが5〜20dl/gであることが必要であり、好ましくは10〜20dl/gである(B11−2)。固有粘度ηをこのような範囲とするのは、プロピレン−α−オレフィン共重合体が気泡成長を抑制するため、分子量が大きい方が気泡隔壁の伸張変形を抑える効果が高いためであり、大きすぎると気泡の成長を妨げてしまうからである。
ここでの固有粘度ηは温度135℃、溶媒にデカリンを用い、ウベローデ型毛管粘度計を用いて測定した値とする。成分(B11)の固有粘度[η]copolyを求めるためには、逐次重合途中の成分(B12)を少量抜き取って固有粘度測定を行い、さらに逐次重合終了後の成分全体の固有粘度を測定し、以下の式(3)によって求めるものとする。
成分(B11)の固有粘度=[成分全体(樹脂組成物(B1))の固有粘度−{成分(B12)の固有粘度×成分(B12)の重量分率/100}]/{成分(B11)の重量分率/100} (3)
また、成分(B11)であるプロピレン−α−オレフィン共重合体のGPCにより求めたMwとMnとの比、Mw/Mnは、5〜15であることが必要であり、好ましくは10〜15である(B11−3)。Mw/Mnは、分子量分布、多分散度と呼ばれ、分子量分布の広さを表す指標であり、プロピレン−α−オレフィン共重合体が気泡成長を抑制するため、分子量分布が広いほうが効率的に気泡隔壁の伸張変形を抑えられるためである。5以下ではその効果が発現しにくくなり、15以上のものは製造が極めて困難である。
<成分(B12)>
成分(B12)はプロピレン単独重合体である。プロピレン単独重合体(成分(B12))としては、230℃、2.16kg荷重におけるMFRが、好ましくは、2〜80g/10分、より好ましくは5〜40g/10分、さらに好ましくは10〜30g/10分であることが好ましい。MFRがこの範囲にあると、樹脂組成物の剛性と耐衝撃性、成形温度に由来する高生産速度に適した樹脂組成物を与え、MFRが2g/10分未満では、成形が困難になりやすく、一方、80g/10分を超えると、良好な耐衝撃性が得られなくなる傾向にある。
ここで、230℃におけるMFRは、JIS K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重下で測定する値である。
また、プロピレン単独重合体(成分(B12))の立体規則性は、96%以上が好ましく、96.5%以上がさらに好ましい。立体規則性が96%未満では、剛性および熱変形温度が低下しやすくなる傾向があり、成形時に成形品が変形しやすくなる恐れがある。
ここで、立体規則性は、13C−NMR法で測定する値である。
<成分(B11)と成分(B12)の組成物>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成するプロピレン系樹脂組成物は、上記した条件を満たすプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B11))を、成分(B11)及び成分(B12)の合計100重量%基準で、1〜20重量%、成分(B12)としてプロピレン単独重合体を、成分(B11)及び成分(B12)の合計100重量%基準で、80〜99重量%を含有する。
成分(B11)は、上記したように、発泡気泡の成長を抑制する効果をもたらす成分であるが、良好な機械物性等を維持するために、1〜20重量%であることが必要であり、好ましくは3〜10重量%である。1重量%より少ないと発泡気泡の成長を抑制する効果が低減し、材料の剛性は上がるが耐衝撃性が低下し、20重量%より多すぎると剛性が不足し、樹脂全体の粘度が上昇してしまい、気泡核の形成が少なくなり、気泡成長が阻害され発泡倍率が低下する。
成分(B11)と成分(B12)の好ましい含有量は、成分(B11)が3〜10重量%、成分(B12)が90〜97重量%である。
成分(B11)と成分(B12)の組成物は、多段重合法により重合して製造される。多段重合により製造することで、プロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B11))の分散が細かく出来るため、各性能が発揮でき、好ましい。
このように多段重合法によって得られた樹脂組成物(B1)は、MFR(230℃、2.16kg荷重で測定)が5〜20g/10分、好ましくは8〜15g/10分に維持されるよう、プロピレン単独重合体の分子量を調整する必要がある。MFRは、成形性、気泡状態に影響を及ぼす値であり、低すぎると気泡の成長を阻害し、発泡倍率が低下する、さらには気泡核の形成が少なくなり微細なセルが得られなくなる。高い場合、押出成形におけるドローダウンの維持等が困難になり、成形が困難になる。なお、成分(B11)、成分(B12)自体は、各々単独重合法でも、多段重合法で重合されてもよい。
さらに、本発明の樹脂組成物(B1)は、良好な気泡の成長を維持しつつ、微細で独立した気泡状態を得るため、温度180℃、歪速度10s−1において測定した、伸張粘度測定において歪硬化性を示す。特には、温度180℃、歪速度10s−1において測定した歪硬化指数λmaxは1.2以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましい。
なお、本発明における歪硬化指数λmaxの測定方法について述べる。
温度180℃、歪速度=10s−1の場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪硬化を起こす直前の粘度を直線で近似する。サンプルの作成方法は、一般的に用いられているプレス成形機を使用する。プレス成形機の温度は190℃に設定し、まず圧力を掛けない状態で90秒間予熱する。その後、脱気として30kg/cm程度の圧力で30秒間保持し、最終的に100kg/cmにて60秒間加圧して成型する。
次に得られたデータの解析方法について述べる。具体的には、まず伸張粘度を時間に対してプロットした際の各々の時刻での傾きを求めるが、それに当っては伸張粘度の測定データは離散的であることを考慮し、種々の平均法を利用する。たとえば隣接データの傾きをそれぞれ求め、周囲数点の移動平均をとる方法等が挙げられる。伸張粘度は、低歪み量の領域では、単純増加関数となり次第に一定値に漸近し、歪硬化がなければ充分な時間経過後にトルートン粘度に一致するが、歪硬化のある場合には一般的に歪み量(=歪速度×時間)1程度から、伸張粘度が時間と共に増大を始める。すなわち、上記傾きは低歪み領域では時間と共に減少傾向があるが、歪み量1程度から逆に増加傾向となり、伸張粘度を時間に対してプロットした際の曲線上に、変曲点が存在する。この増大が確認できる場合、歪硬化性を示す(歪硬化性を有する)と判定する。そこで歪み量が0.1〜2.5程度の範囲で、上記で求めた各々の時刻の傾きが最小値をとる点を求めてその点で接線を引き、直線を歪み量が4.0となるまで外挿する。歪み量4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの上記近似直線上の粘度をηlinとする。ηmax/ηlinを、λmaxと定義する。
<製造法>
樹脂組成物(B1)のプロピレン系樹脂組成物の製造法は、多段重合法により行われるが、上記した特性を有している限り、特に限定されるものではなく、公知の多段重合方法、条件の中から適宜に選択される。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56―100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照。)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照。)等のチーグラー系触媒が好ましい。
プロピレン系樹脂組成物は、重合触媒の存在下、気相重合法、液相塊状重合法、スラリー重合法等の製造プロセスを適用して、プロピレンを重合し、続いてプロピレンとα−オレフィン、特に好ましくはエチレンをランダム重合することにより得られる。前述した各特性を有するプロピレン系樹脂組成物(成分(A))を得るためには、スラリー法、気相流動床法にて、多段重合することが好ましい。
プロピレン単独重合体(成分(B12))の重合は、プロピレンの一段重合であっても、多段重合であってもかまわない。
プロピレン単独重合体の多段重合法としては、以下に示す工程(1)と工程(2)による二段重合法を、例示することができる。
工程(1):
プロピレンを、分子量調節剤としての水素の存在下で重合する。分子量が大きすぎる重合体の生成を抑制するためである。水素は、プロピレン重合体部分のMFRが好ましくは150g/10分以上になるように、添加される。水素濃度としては、全モノマー量に対して通常0.1〜40モル%の範囲から選択される。また、重合温度は通常40〜90℃、圧力は通常0.1〜5MPaの範囲から選択される。この工程(1)で得られる重合体の量は、通常全重合量の80〜99重量%となるように調整されることが好ましい。工程(1)で製造されるプロピレン重合体の量が80重量%未満であると、工程(2)で製造される高分子量のプロピレン重合体が多くなり過ぎ、成形性を損ないやすい。
工程(2):
工程(2)では、工程(1)で生成したプロピレン重合体と比べ、高分子量のプロピレン重合体を重合するために、なるべく低濃度の水素雰囲気下もしくは、実質上水素の存在しない状態で重合することが好ましい。重合は、工程(1)で生成したプロピレン重合体及び触媒の存在下、引き続いて行われる。重合温度は通常40〜90℃、圧力は通常0.1〜5MPaの範囲から選択される。この工程(2)で得られる重合体の量は、通常、好ましくは、全重合量の1〜20重量%となるように、調整される。工程(1)及び工程(2)を結合して、結果として得られる重合体全体の物性値を前述した範囲に調整できれば、いかなる組み合わせを採用してもよい。
プロピレン単独重合体(成分(B12))部分の重合に続いて、プロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B11))部分の重合を行う。プロピレン−α−オレフィン共重合体部分は、固有粘度、分子量分布(Mw/Mn)を所定の値に調整するため、高分子量のプロピレン−α−オレフィン共重合体にする必要がある。
プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の重合は、高分子量の重合体を重合するために、なるべく低濃度の水素雰囲気下もしくは、実質上水素の存在しない状態で重合することが好ましい。重合は、プロピレン単独重合体の重合工程で生成したプロピレン単独重合体及び触媒の存在下、引き続いて行われる。重合温度は通常40〜90℃、圧力は通常0.1〜5MPaの範囲から選択されることが好ましい。
(3)樹脂組成物(B2)
本発明のポリプロピレン系樹脂(B)は、樹脂組成物(B1)に加え、さらに、樹脂組成物(B2)を含有することが好ましい。
樹脂組成物(B2)は、以下を満たす、多段重合法で得られる成分(B21)及び成分(B22)から構成されるプロピレン系樹脂組成物である。
成分(B21):
MFR(230℃、2.16Kg荷重)が10〜1000g/10分のプロピレン単独重合体またはプロピレン以外のα−オレフィン含量が1重量%未満のプロピレン−α−オレフィン共重合体
成分(B22):
GPCにより求めたMwが50万〜1000万、プロピレン以外のα−オレフィンの含量が1〜15重量%のプロピレン−α−オレフィン共重合体
そして、樹脂組成物(B2)は、成分(B21)の含有量が50〜90重量%、成分(B22)の含有量が10〜50重量%(ただし、成分(B21)及び成分(B22)の合計を100重量%とする。)であり、かつ、下記(B2−1)〜(B2−3)の条件を満たすプロピレン系樹脂組成物である。
(B2−1)MFR(230℃、2.16Kg荷重)が0.1〜20g/10分である。
(B2−2)MT(230℃)と、MFR(230℃、2.16Kg荷重)の関係が以下の式(1)を満たす。
logMT>−0.97×logMFR+0.97 (1)
(B2−3)最長緩和時間(τd)が100秒以上である。
このような特性を有するプロピレン系樹脂組成物(樹脂組成物(B2))を得るための触媒系としては、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするもの、またはΠ電子共役配位子を少なくとも1個有するメタロセン系の遷移金属化合物を用いることができる。
メタロセン化合物はアルミノキサン類を助触媒として用いられることもあるし、シリカや粘土鉱物に担持されて使用されることもある。メタロセン触媒の具体的例示としては特開平8−217928号、特開平8−238731号、特開平8−183814号、特開平8−208733号、特開平8−85707号などの各公報に記載の触媒が好ましく挙げられる。
チタン含有固体触媒成分は、固体のマグネシウム化合物、四ハロゲン化チタン及び電子供与性化合物を接触させて得られる公知の担持型触媒成分、三塩化チタンを主成分として含む公知の触媒成分から選ばれる。
助触媒のアルミニウム化合物は、一般式AlR3−n(式中Rは炭素数2〜10の炭化水素基を表し、Xは塩素等のハロゲン原子、nは3≧n>1.5の数を表す)で表される。
チタン含有固体触媒成分が固体のマグネシウム化合物を含有する担体担持型触媒成分である場合は、AlR又はAlRとAlRXの混合物を使用するのが好ましく、一方、三塩化チタン又は三塩化チタンを主成分として含む触媒成分である場合はAlRXを使用するのが好ましい。
さらに上記触媒および共触媒成分の他に第三成分として公知の電子供与性化合物を使用することができる。
また、樹脂組成物(B2)を得るための重合反応は、たとえばヘキサン、ヘプタンなどの不活性溶媒の存在下でも、不存在下、即ち液体プロピレンの存在下あるいは気相プロピレン中でも行うことができる。反応は1基の重合槽を用いて回分式に行うこともできるし、2基以上の重合槽を直列につないで連続的に行うこともできる。重合の順位は、最初に成分(B21)を重合し次いで成分(B22)を重合する2段階で行う方が好ましい。なお、付加的に重合を行って3段階、4段階で行ってもよい。
触媒は、第1段階で重合前に添加されるのが一般的である。後段に於いて触媒を補充することを必ずしも排除するものではないが、樹脂のブレンドでは得られない特性を得るためには、触媒は第1段階で添加するのが好ましい。
また、プロピレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を用いることができ、特にエチレンが好ましい。
以下、最初に成分(B21)を重合し、次いで成分(B22)を重合する2段階で行う方法により、詳細に説明する。
成分(B21)を得るための工程(1)は、プロピレンあるいはプロピレンと少量の他のオレフィンを水素の存在下に重合する。水素は工程(1)で得られる重合体のMFRが10〜1000の範囲となるように制御されることが好ましい。MFRが10以下では全体の粘度が低下してしまい、微細な気泡が得られなくなり、1000より高いと、気泡の成長抑制効果が低下し、連続した気泡状態となり好ましくない。一般には水素濃度(スラリー重合においては気相部濃度、液体プロピレン中の重合あるいは気相法においてはモノマー中の含有量を指す)が1〜50mol%、好ましくは3〜30mol%添加される。プロピレンと共重合される他のオレフィンは、間欠的に添加することもできるし、プロピレン等と共に連続的に供給することもできる。工程(1)の重合温度は一般に40〜90℃であり、全重合量の50〜90重量%、好ましくは60〜80重量%を製造する。
成分(B22)を得るための工程(2)は高分子量成分を得るための重合であり、水素濃度は0.1mol%以下の実質的に無水素状態で重合を進行せしめる。工程(2)で得られる重合体(成分(B22))の重量平均分子量(Mw)は50万〜1000万であり、好ましくは80万〜500万である。Mwが50万以下では、溶融張力向上効果が低下し、気泡の成長を抑制する効果が低下し、連続した気泡状態となり好ましくない。一方、1000万を超えると、全体の粘度が低下してしまい、微細な気泡が得られなくなる。重合温度は通常40〜90℃、好ましくは50〜80℃であり、共重合コモノマーとして用いられるα−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどから選ばれ、特にエチレンが好ましい。α−オレフィンの含量は1〜15重量%であり、好ましくは3〜10重量%である。コモノマー含量が高すぎても、低すぎても高分子量成分の分散が悪くなり溶融張力向上効果が低下する。
工程(2)で得られる重合体は、成分Bを重合する全重合体の10〜50重量%であり、好ましくは20〜40重量%である。10重量%より低いと溶融張力向上効果が低下し、気泡の成長を抑制する効果が低下し、連続した気泡状態となり好ましくない。また、50重量%より多いと、全体の粘度が低下してしまい、微細な気泡が得られなくなる。
Mwは、GPCを用いて前段重合終了後に得られた重合体と最終重合体の両者を測定し、両者の差と前段重合の重合体量と最終重合体量の関係から算出することができる。工程(1)及び工程(2)で得られた最終重合体のMFRは0.1〜20g/10分であり、好ましくは0.5〜10g/10分である(B2−1)。
ここで、GPCによる重量平均分子量(Mw)の導出に関して詳細を述べる。本実施例では以下の方法によった。
使用機種:ウォーターズ社製150C
測定温度:140℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
カラム:昭和電工社製Shodex 80M/S 2本
流速:1.0mL/分
注入量:0.2mL
試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
分子量の算出:標準ポリスチレン法
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、
A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS : K=1.38×10−4、α=0.7
PE : K=3.92×10−4、α=0.733
PP : K=1.03×10−4、α=0.78
検出器:FOXBORO社製、MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
また、樹脂組成物(B2)は、温度230℃における溶融張力(MT)とMFR(230℃、2.16Kg荷重)の間に下記関係が成立することを特徴とする(B2−2)。
logMT>−0.97×logMFR+0.97 (1)
上記の関係式(1)は溶融張力と流動性のバランスを表すものであり、上式(1)を満足することは、高い溶融張力を発現しながら流動性、押出特性が良好であることに相当する。すなわち、プロピレン系樹脂組成物(成分(B))は、ブロー成形、発泡成形、熱成形等の加工特性と、押出特性とのバランスが良好であることを意味するものである。
一方、従来の汎用のポリプロピレン系樹脂組成物は、上式(1)において左辺<右辺であり、プロピレン系樹脂組成物(成分(B))に比べると同一MTにおけるMFRは小さくなるため、流動性が悪化する
ここで、MTは、東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度230℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/min、引取速度3.9m/minの条件下で測定した値である。
上記関係式(1)を満たす樹脂組成物(B2)の製造は、上述した重合法により、得ることができるが、特に好ましくは、成分(B22)を10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%にすることにより、また成分(B21)の重量平均分子量を50万〜1000万、好ましくは50万〜500万程度することにより製造することが出来る。
また、樹脂組成物(B2)は、最長緩和時間(τd)が100秒以上であることを特徴とする(B2−3)。上記τdは、応力緩和測定より求められ、変形を加えられた分子鎖が配向を変えずに緩和する配向緩和を経て、変形前のランダム状態に戻るまでの時間を意味する。このτdは、ブロー成形、発泡成形、熱成形等の加工特性と密接に関連しており、τdが大きいほど加工特性に優れるものと考えられる。τdは、高分子量成分、もしくは分岐成分のいずれか、もしくは両者の存在により長大化する傾向がみられるが、伸長粘度の非線形性とは必ずしも一致しない。すなわちτdは、伸長粘度の非線形性を規定するものではなく、伸長変形時の均一延展性を規定するものである。本発明者らが検討した結果、τdが100秒より小さい場合には、長緩和時間成分の寄与が小さくなるために加工特性に支障を来す。すなわち、τd≧100秒を満足させることが、高溶融張力を必要とする成形加工において必須の条件である。
ここで、最長緩和時間(τd)は、本実施例においては、レオメトリックス社製メカニカルスペクトロメーターRMS−800を用い、直径25mmのパラレルプレート、ギャップ1.5mmで温度200℃、240℃、歪み50、100%で緩和弾性率G(t)を測定してマスターカーブを作成する。得られたG(t)を用いて、JOURNAL OF POLYMER SCIENCE,VOL.XL,P443−456(1959)に記載の方法により、τdを算出した。
最長緩和時間(τd)が100秒以上である樹脂組成物(B2)の製造は、上述した重合法により、得ることができるが、特に好ましくは、成分(B22)を10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%にすることにより、また成分(B21)の重量平均分子量を50万〜1000万、好ましくは50万〜500万程度とすることにより製造することが出来る。
(4)樹脂組成物(B1)、樹脂組成物(B2)からなるポリプロピレン系樹脂(B)
本発明のポリプロピレン系樹脂(B)は、上記のごとく得られた樹脂組成物(B1)単独で構成することができる。好ましくは、ポリプロピレン系樹脂(B)は、樹脂組成物(B1)及び樹脂組成物(B2)により構成することができる。
樹脂組成物(B1)及び樹脂組成物(B2)を含有する場合は、樹脂組成物(B1)及び樹脂組成物(B2)の合計100重量%基準で、樹脂組成物(B1)が70〜97重量%、樹脂組成物(B2)が3〜30重量%の量比で構成することにより、発泡に適したポリプロピレン系樹脂(B)となる。樹脂組成物(B1)は気泡の微細化、押出発泡体の外観の保持、組成物全体の流動性、耐衝撃性、剛性を維持するために重要な成分であり、一方、樹脂組成物(B2)は、気泡抑制に必要な溶融張力の付与、熱成形時やブロー成型時のドローダウン性の保持に重要である。樹脂組成物(B1)が70%以下では、良好な外観の発泡体が得られず、気泡セルも粗大になり、耐衝撃性も悪化するおそれがある。一方、樹脂組成物(B2)が3重量%未満では、ドローダウン性が悪化し、熱成形時やブロー成型時の成型性が悪化する。また、生成する発泡セルの大きさも荒くなるおそれがある。
好ましい量比は、樹脂組成物(B1)が70〜96重量%、樹脂組成物(B2)が4〜30重量%であり、より好ましくは、樹脂組成物(B1)が80〜95重量%、樹脂組成物(B2)が5〜20重量%である。
ここで、固有粘度、分子量分布、プロピレン−α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量の測定方法に関して記述する。
1.使用する分析装置
・クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(以下、「CFC」と略す。)
・フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
・ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段のGPCカラムは、昭和電工社製商品名「AD806MS」を3本直列に接続して使用する。
2.CFCの測定条件
・溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
・サンプル濃度:4mg/mL
・注入量:0.4mL
・結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
・分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々「W40」、「W100」、「W140」と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
・溶出時溶媒流速:1mL/分
3.FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
CFC−FT−IRのシステム構成の概念図を図1に示した。
検出器:MCT
分解能:8cm−1
測定間隔:0.2分(12秒)
一測定当たりの積算回数:15回
4.測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。具体的な手法は上に記載したものと同じである。
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン−ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
5.プロピレン−α−オレフィン共重合体の含有量
本発明における(B11)、(B21)及び(B22)等のプロピレン−α−オレフィン共重合体の含有量は、α−オレフィンがエチレンであるプロピレン−エチレン共重合体(以下、「EP」と記載する。)を例にして説明すると、下記式(II)で定義され、以下のような手順で求められる。
EP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100+W140×A140/B140 (II)
(式(II)中、W40、W100、W140は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100、A140は、W40、W100、W140に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100、B140は、各フラクションに含まれるプロピレン−エチレン共重合体のエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、A140、B40、B100、B140の求め方は後述する。
式(II)の意味は以下の通りである。
式(II)右辺の第一項はフラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるEPの量を算出する項である。フラクション1がEPのみを含み、プロピレンホモ重合体(以下、「PP」という。)を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のEP含有量に寄与するが、フラクション1にはEP由来の成分のほかに少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、EP成分由来の量を算出する。例えばフラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるEPのエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はEP由来、残りの1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作はフラクション1の重量%(W40)からEPの寄与を算出することを意味する。右辺第二項以後も同様であり、各々のフラクションについて、EPの寄与を算出して加え合わせたものがEP含有量となる。
(1)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜3に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100、A140とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
(2)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2および3については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明ではB100=B140=100と定義する。B40、B100、B140は各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由はフラクションに混在するPPとEPを完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100、B140はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるEPの量がフラクション1に含まれるEPの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、ともに100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=B140=100として解析を行うこととしている。
(3)以下の式(III)に従い、EP含有量を求める。
EP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100+W140×A140/100 (III)
つまり、式(III)右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たないEP含有量(重量%)を示し、第二項と第三項の和であるW100×A100/100+W140×A140/100は結晶性を持つEP含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40、A100、A140は、次のようにして求める。
結晶分布の違いによって分別されたフラクション1をCFC分析装置の一部を構成するGPCカラムで分子量分布を測定した曲線、および、当該GPCカラムの後ろに接続されたFT−IRによって、分子量分布曲線に対応して測定されるエチレン含有量の分布曲線を求める。微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。
また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和が平均エチレン含有量A40となる。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。このようなCFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えばEPの大部分、もしくはPPの中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えばEP中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えばPP中特に結晶性の高い成分、およびEP中の極端に分子量が高くかつエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140に含まれるEP成分は極めて少量であり実質的には無視できる。
EP中のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100+W140×A140)/[EP] (IV)
但し、[EP]は先に求めたEP含有量(重量%)である。
EPのうち、結晶性を持たない部分のエチレン含有量(E)(重量%)は、ゴム部分の溶出がほとんど40℃以下で完了することから、B40の値をもって近似する。
しかしながら、上述のクロス分別法とFT−IRの組み合わせによる分析方法では、成分(B11)のエチレン含量が15wt%を下回り、成分(B12)との結晶性に大きな差がなくなり、温度による分別が充分に行うことが出来ないような場合では、正確な分析が難しくなる。このような場合は、逐次重合の途中で成分(B11)を抜き取っておき、その分子量(コモノマーを共重合する場合にはコモノマー含量も測定する)を測定し、さらにマテリアルバランスによる計算や逐次重合途中での重量の直接秤量等によって成分(B11)と成分(B12)の量比を決定し、さらに逐次重合終了時の成分(B11)全体のα−オレフィン含量を測定することで、以下の重量の単純な加成則を使用することで成分(B11)のコモノマー含量を求めることが好ましい。コモノマーとしてエチレンを使用する場合、以下の式(4)によって成分(B11)のエチレン含量を求めることができる。
成分(B11)のエチレン含量=[全体のエチレン含量−{成分(B11)のエチレン含量×成分(B11)の重量分率/100}]/{成分(B12)の重量分率/100} (4)
成分(B11)と成分(B12)の量比については、成分(B11)と成分(B12)の平均分子量がある程度異なるものを製造する場合には、逐次重合終了後の全体のGPC測定を行って、得られる多峰性の分子量分布曲線を市販のデータ解析ソフトウェア等を用いてピーク分離し、その重量比を計算することで求めることも可能である。
このようにして成分(A2)の量を求めた後、成分(B12)の固有粘度については、成分(B12)量と、重合途中の抜き出し品評価による成分(B11)の固有粘度及び、(Y)全体の固有粘度より、以下の式(5)で求めることが出来る。
成分(B11)の固有粘度=[(Y)全体の固有粘度−{成分(B12)の固有粘度×成分(B12)の重量分率/100}]/{成分(B11)の重量分率/100} (5)
本発明のポリプロピレン系樹脂(B)は、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が1〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは5〜20g/10分であり、さらに好ましくは5〜10g/10分である。MFRが1g/10分未満であると、発泡未成熟となるおそれがあり、一方、MFRが20g/10分を超えると、破泡となるおそれがある。
ここで、MFRは、JIS K7210(230℃、2.16Kg荷重)に準拠して測定する値である。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂(B)は、温度230℃におけるMTが5g未満、より好ましくは3g未満であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)において、温度230℃におけるMTが5g以上であると、発泡未成熟となるおそれがある。
ここで、MTは、東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度230℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/min、引取速度3.9m/minの条件下で測定した値である。
2.発泡剤
本発明の中間層を含む多層ブロー成形体を得るためには、中間層に、発泡倍率2.5倍以上で発泡させたポリプロピレン系樹脂(B)を用いることが必要である。特に、押出機内でポリプロピレン系樹脂(B)に発泡剤を添加して溶融混練する方法を用いるのが好ましい。
発泡剤の種類としては、例えば、化学発泡剤、物理発泡剤およびマイクロカプセルなどが挙げられ、発泡ブロー成形に通常使用できるものであれば、特に制限なく、用いることができる。これら発泡剤は、単独または2種以上混合して、使用することもできる。
化学発泡剤としては、無機系化学発泡剤、有機系化学発泡剤が挙げられる。
無機系化学発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどが挙げられる。有機系化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジドなどが挙げられる。化学発泡剤としては、通常のブロー成形機が安全に使用でき、成形体において均一微細な気泡が得られ易いなどの点から、無機系化学発泡剤が好ましい。
これらの化学発泡剤には、発泡成形体の気泡を安定的に均一微細にするなどのために、有機酸、有機酸金属塩、造核剤を添加することができる。有機酸としてはクエン酸が挙げられる。有機酸金属塩としてはクエン酸ナトリウムなどが挙げられる。造核剤としては、無機微粒子等が挙げられ、無機微粒子としてタルク、炭酸リチウム等が例示できる。
前記の様に、化学発泡剤は、無機系、有機系など種々挙げられるが、好ましいものとしては、重炭酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、およびこれら二種以上の混合体が挙げられ、とりわけ好ましいものとして、重炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムとクエン酸ナトリウムの組み合わせ、重炭酸ナトリウムとクエン酸の組み合わせが挙げられる。
これら化学発泡剤は、例えば、平均粒径1〜100μmの粒子に加工し、発泡ブロー成形時に、前記ポリプロピレン系樹脂(B)などにまぶして混合するなどしてから、ブロー成形機などに供給されたり、ブロー成形する際に、ブロー成形機のシリンダーの途中から注入したりして、シリンダー内などで分解して炭酸ガスなどの気体を発生するものである。
また、化学発泡剤は、取扱性、貯蔵安定性、ポリプロピレン系樹脂への分散性などの点から、ポリオレフィン系樹脂を基材としたマスターバッチとして造粒加工した後に、使用することもできる。これにより成形機のホッパーの汚染、成形体表面への粉の付着を抑制することができる。この場合、通常10〜50重量%濃度のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチとして使用されるのが好ましい。
また、一度化学発泡剤を添加し、ペレット化により化学発泡剤を分解させたものであっても良く、さらに予め、高濃度の化学発泡剤を分解させ、その残渣を添加しても良い。化学発泡剤は、ブロー成形機のシリンダー中で分解し、その発泡残渣が発泡核剤となりうる。
また、物理発泡剤としては、不活性ガス、低沸点有機溶剤の蒸気、ハロゲン系不活性溶剤の蒸気、炭酸ガス、空気などが挙げられる。不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオンなどが挙げられ、低沸点有機溶剤の蒸気としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタンなどが挙げられ、ハロゲン系不活性溶剤の蒸気としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フロン、三フッ化窒素などが挙げられる。これらの中で、蒸気にする必要が無く、安価で、環境汚染、火災の危険性が極めて少ないことから、不活性ガスや炭酸ガス、空気を使用することが好ましく、なかでも炭酸ガス、窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましく、とりわけ、炭酸ガス、窒素が好ましい。
他にも、揮発性発泡剤、分解型発泡剤等が挙げられ、揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素類及び環式脂肪族炭化水素類が、モノクロロジフロロメタン、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、P,P′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、クエン酸、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。これらは混合して用いることができる。
さらに、物理発泡剤は、超臨界状態であることが好ましく、これにより樹脂中へのガス溶融が容易になる利点がある。
物理発泡剤は、押出機内のシリンダー内などの前記ポリプロピレン樹脂組成物などに、ガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、ダイスリップから、圧力開放されることによって、発泡剤として機能するものである。
また、マイクロカプセルは、種々の熱可塑性樹脂からなるシェル内に、発泡剤(膨張剤)を内包したものである。発泡剤(膨張剤)としては、たとえば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロエタンの様な特定フレオン類や代替フレオン類、n−ペンタン、イソペンタン、イソブタン、石油エーテルの様な炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレンの様な塩素化炭化水素などが挙げられる。マイクロカプセル状発泡剤の平均粒径は、通常は2〜50μmである。
これらマイクロカプセルは、通常、前記ポリプロピレン樹脂組成物などと予め混合するなどしてからブロー成形機などに供給され、使用される。
これら発泡剤は、ポリプロピレン系樹脂(B)において、より均一微細な気泡を得るため、より発泡倍率を高めるためなどの点から、化学発泡剤と物理発泡剤を併用することが好ましく、とりわけ無機系化学発泡剤と、物理発泡剤としての炭酸ガスや窒素と併用するのが好ましい。また、分解型発泡剤単独でも好ましく用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂(B)への発泡剤の添加量は、発泡剤の種類や設備、運転条件、製品の発泡倍率等によって異なるが、ポリプロピレン系樹脂(B)100重量部に対して、2〜5重量部の割合で添加するのが好ましく、より好ましくは3〜5重量部である。
この場合の配合割合は、発泡剤の実質濃度であり、例えば、発泡剤とポリオレフィン樹脂とのマスターバッチを用いる場合は、マスターバッチ中に含有する発泡剤濃度に基づき算出される。発泡剤の配合割合が2重量部未満であると、中間層が十分に発泡しないおそれがあり、一方、配合割合が5重量部を超えると、中間層が原因となって本発明の多層ブロー成形品の衝撃強度などの機械的強度が低下したり、二次発泡現象(過剰に残存した発泡ガスによって発泡成形体部分が火膨れ状に膨れる現象)を生じたり、さらに経済的にも不利となるおそれがある。
また、物理発泡剤を用いる場合は、例えば用いるガスの注入量や注入圧力を調整することで、適宜設定する。ガスの注入量や注入圧力が不足したり、過剰であったりすると、前記の化学発泡剤の場合と同様に、中間層が十分に発泡しなかったり、中間層が原因となって本発明の多層ブロー成形品の衝撃強度などの機械的強度などが低下するおそれがある。
なお、発泡剤は、2種類以上を併用することもできる。
本発明の中間層は、発泡倍率2.5以上で発泡されたものであることが必要であり、好ましくは、発泡倍率3.0以上である。発泡倍率が2.5未満であると、軽量化にならないおそれがある。
ここで、本明細書において発泡倍率とは、多層ブロー成形品において、層構成を一定にした上で、中間層に発泡剤を添加したもの(a)と中間層に発泡剤を添加しないもの(b)を用いて、多層ブロー成形機に供給し、ダイス設定温度200℃で発泡状態のパリソンを溶融押し出しした。固化したパリソンの一部を切り出し、外層、リターン層及び内層を除去して、中間層に発泡剤を添加したもの(a)の比重と中間層に発泡剤を添加しないもの(b)の比重の比を発泡倍率とした。比重は水中置換法によって求めた。より詳しくは、発泡層厚みを基準として、(a)の重量に対する(b)の重量((b)/(a))を算出した値である。
本発明においては、外層、中間層及び内層、場合によってはリターン層が特定のものであることから、各層の相乗効果により、中間層の発泡倍率を2.5以上とすることができると考えられる。しかも、中間層の特定の発泡倍率により軽量であることに加え、表面が軟質で触感が軟らかく、しかも、ドローダウン性が低く発泡ブロー成形性、リターン性が良好である。したがって、大幅な軽量化が可能である品質の高い多層ブロー成形品を、経済的に有利に製造することができるという効果がある。
3.その他の添加剤
本発明に係る中間層においては、ポリプロピレン系樹脂(B)以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、たとえば発明効果をさらに向上させたり、他の効果を付与するなどのため、任意の添加成分を配合することができる。例えば、一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、結晶増核剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤、難燃剤等を配合することができる。
具体的には、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、ソルビトール系などの造核剤、顔料などの着色剤、フェノール系、リン系などの酸化防止剤、非イオン系などの帯電防止剤、無機化合物などの中和剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、ハロゲン化合物などの難燃剤、プロセスオイル(配合油)、可塑剤、非イオン系などの帯電防止剤、有機金属塩系などの分散剤、脂肪酸アミド系などの滑剤、窒素化合物などの金属不活性剤、非イオン系などの界面活性剤や、上記樹脂(A)〜樹脂(C)以外のポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂、フィラー、エラストマーなどを挙げることができる。これらの成分は、二種以上併用しても良く、組成物に添加しても良いし、各成分に添加されていても良く、それぞれの成分においても二種以上併用しても良い。
光安定剤や紫外線吸収剤として、例えばヒンダードアミン化合物、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系やサリシレート系などは、ポリプロピレン系樹脂組成物および多層ブロー成形品(発泡ブロー成形体)の耐候性や耐久性などの付与、向上に有効である。
具体例としては、ヒンダードアミン化合物として、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート;ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケートなどが挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、ベンゾフェノン系としては2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、サリシレート系としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート;2,4−ジ−t−ブチルフェニル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
また、造核剤として、例えば無機系、ソルビトール系、カルボン酸金属塩系や有機リン酸塩系などは、ポリプロピレン系樹脂組成物および多層ブロー成形品(発泡ブロー成形体)の剛性、耐熱性や硬度、発泡成形性などの付与、向上などに有効である。
具体例としては、無機系としてタルク;シリカなどが挙げられ、ソルビトール系として、1,3,2,4−ジベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−エチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(2’,4’−ジ−メチル−ベンジリデン)ソルビトール;1,3−p−クロロベンジリデン−2,4−p−メチル−ベンジリデン−ソルビトール;1,3,2,4−ジ−(p−プロピルベンジリデン)ソルビトールなどが挙げられ、カルボン酸金属塩系として、アルミニウム−モノ−ヒドロキシ−ジ−p−t−ブチルベンゾエート;安息香酸ナトリウム;モンタン酸カルシウムなどが挙げられ、さらに、有機リン酸塩系として、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート;ソジウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート;リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどが挙げられる。
また、着色剤として、例えば無機系や有機系の顔料などは、ポリプロピレン系樹脂組成物および多層ブロー成形品(発泡ブロー成形体)の、着色外観、見映え、風合い、商品価値、耐候性や耐久性などの付与、向上などに有効である。
具体例として、無機系顔料としては、酸化チタン;酸化鉄(ベンガラ等);クロム酸(黄鉛など);モリブデン酸;硫化セレン化物;フェロシアン化物およびカーボンブラックなどが挙げられ、有機系顔料としては、難溶性アゾレーキ;可溶性アゾレーキ;不溶性アゾキレート;縮合性アゾキレート;その他のアゾキレートなどのアゾ系顔料;フタロシアニンブルー;フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アントラキノン;ペリノン;ペリレン;チオインジゴなどのスレン系顔料;染料レーキ;キナクリドン系;ジオキサジン系;イソインドリノン系などが挙げられる。また、メタリック調やパール調にするには、アルミフレーク;パール顔料を含有させることができる。また、染料を含有させることもできる。
また、充填剤も添加することが可能であり、その種類として、無機系、有機系の充填材があるが、無機系の充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、ガラスビーズ、ベントナイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、カーボンファイバー、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、炭素繊維、軽石粉、雲母、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどが上げられ、有機系の充填材としてはPMMAビーズ、セルロース繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、籾殻、木粉、おから、タピオカ粉末、米粉、ケナフ繊維、澱粉、紙粉などが上げられる。
本発明の多層ブロー成形品の中間層は、着色剤により着色されていてもよい。これにより、深みのある色調の多層ブロー成形品が得られる。着色剤は、無機顔料、有機顔料いずれも適用することができる。
上記無機顔料としては,チタン白、酸化亜鉛、硫化亜鉛、べんがら、クロム黄、バリウム黄、群青、コバルト青、コバルト緑、カーボンブロック、及びアルミ粉、アルミフレーク、アルミ箔、パールマイカ、亜鉛粉、ブロンズ粉等の光輝材等がある。
また、上記有機顔料としては、ウォッチングレッド、パーマネントレッド、パラレッド、トルイジンマルーン、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ファーストスカイブルー、ブリリアントカーミン6B等がある。
酸化防止剤として、例えばフェノール系、リン系やイオウ系の酸化防止剤などは、ポリプロピレン系樹脂組成物および多層ブロー成形品(発泡ブロー成形体)の、耐熱安定性、加工安定性、耐熱老化性などの付与、向上などに有効である。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン;トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレートなどが挙げられる。また、リン系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト;トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)フォスファイト;トリス(2‐t‐ブチル‐4‐メチルフェニル)フォスファイトなどが挙げられる。また、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルチオジプロピオネートなどが挙げられる。
帯電防止剤として、例えば非イオン系やカチオン系などの帯電防止剤は、ポリプロピレン系樹脂組成物および多層ブロー成形品(発泡ブロー成形体)の帯電防止性の付与、向上に有効である。
具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレンアルキルアミド;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;ステアリン酸モノグリセリド;アルキルジエタノールアミン;アルキルジエタノールアミド;アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル;テトラアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
さらには、本発明の中間層には、ポリプロピレン系樹脂(B)から発泡成形体を得る際に発生する耳ロス、スケルトンなどの粉砕、もしくは希釈材として、ホモポリプロピレン、エチレン乃至は炭素数4以上のα−オレフィンプロピレンランダムコポリマー、エチレン乃至は炭素数4以上のα−オレフィンプロピレンブロックコポリマーなどや、必要に応じて改質目的として、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、スチレン系などのエラストマー、石油樹脂やシクロオレフィン系樹脂など、ポリエチレンワックスや石油ワックス、エチレン−酢ビ共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ABS樹脂などの異なる樹脂を、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することも出来る。
これらを添加するその指標としては、成分(B11)のプロピレン−α−オレフィン共重合体の全体の含有量が1〜20重量%の間で添加量を制御されることが好ましい。
III.内層
本発明において、内層は、非発泡層であって、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が0.1〜2.0g/10分、温度230℃における溶融張力(MT)が8g以上、曲げ弾性率が1000〜3000MPaであるポリプロピレン系樹脂(C)からなることが必要である。
1.ポリプロピレン系樹脂(C)
(1)物性
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(C)のMFRは、0.1〜2.0g/10分、好ましくは0.1〜0.5g/10分である。MFRが0.1g/10分未満であると、溶融延展性が低下し、パリソンの破断となるおそれがあり、一方、MFRが2.0g/10分を超えると、ドロ−ダウンが顕著となるおそれがある。
ここで、MFRは、JIS K7210(230℃、2.16Kg荷重)に準拠して測定する値である。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(C)の温度230℃におけるMTは、8g以上、好ましくは10g以上である。温度230℃におけるMTが8g未満であると、ドロ−ダウンとなるおそれがある。
ここで、MTは、東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度230℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード10mm/min、引取速度3.9m/minの条件下で測定した値である。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(C)の曲げ弾性率は、1000〜3000MPa、好ましくは1200〜3000MPaである。曲げ弾性率が1000MPa未満であると、剛性不足となるおそれがあり、一方、曲げ弾性率が3000MPaを超えると、衝撃不足となるおそれがある。
ここで、曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定する値である。
(2)種類
本発明において、ポリプロピレン系樹脂(C)は、上記物性を満たすものであればいずれも使用することができるが、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレン乃至は炭素数4以上のα−オレフィンプロピレンランダムコポリマー、エチレン乃至は炭素数4以上のα−オレフィンプロピレンブロックコポリマー、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムなどが挙げられ、これらの混合物も使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂(C)としては、発泡層との親和性、耐破泡の観点から、高溶融張力ポリプロピレンが好ましく、市販のものとしては、日本ポリプロ社製 ノバテックEC9等の結晶性樹脂、高剛性の観点から日本ポリプロ社製 ノバテックEA9FT等の高結晶樹脂、耐ドロ−ダウン性の観点から日本ポリプロ社製 EC9EV等の高溶融張力ポリプロピレンが好ましい。
2.添加剤
内層には、必要に応じて一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤、難燃剤等を配合することができる。
また、充填剤を配合することができ、充填材としては無機系または有機系の充填材があるが、無機系の充填材としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、ガラスビーズ、ベントナイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、ガラスウィスカー、カーボンファイバー、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、炭素繊維、軽石粉、雲母、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどが上げられ、有機系の充填材としてはポリメチルメタアクリレート樹脂ビーズ、セルロース繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、籾殻、木粉、おから、タピオカ粉末、米粉、ケナフ繊維などを添加することも出来る。
本発明においては、高剛性の理由から、無機充填材を配合することが好ましく、例えば、タルク、マイカ、ガラスウィスカー等を配合することができる。
無機充填材の配合量としては、ポリプロピレン系樹脂(C)100重量部に対して、0〜25重量部、好ましくは5〜20重量部添加することができる。
IV.リターン層
本発明においては、外層、中間層および内層に加えて、リターン層を設けることができる。つまり、本発明においては、外層、中間層、内層、リターン層の少なくとも4層からなる多層ブロー成形体とすることもできる。
該リターン層は、外層、中間層及び内層からなる群より選ばれる少なくとも1層のリターン材を含有するものである。成形加工、特に中空成形では、環境問題、経済性の観点からバリを回収するなどして原材料にリサイクル(リターンと呼ぶこともある)が行われることがある。そして、本願発明においては、外層、中間層及び内層の少なくとも3層からなる多層ブロー成形体を製造した際に発生するバリを回収するなどしたものを、リターン材とし、これを用いてリターン層を設けることができる。
本発明の特定の外層、中間層及び内層を用いることにより、リターン層を作成しても、発泡ブロー成形時に、パリソンが安定し、ドローダウンも見られず、発泡多層ブロー成形性が安定している。したがって、本発明においては、好ましくリターン層を設けることができ、経済的にも有利であるという効果がある。
リターン層を設ける際には、バリ、各層の再生材有効利用の理由により、外層、中間層、リターン層、内層の順に積層する多層ブロー成形品とすることが好ましい。
V.多層ブロー成形品
1.層構成
本発明の多層ブロー成形品は、上記した特定の外層、中間層及び内層の少なくとも3層からなり、外層、中間層、内層の順に積層されることが必要である。中間層は、前述したとおり、発泡倍率2.5以上で発泡されたものであることが好ましい。
各層の厚みの割合は、軟質、高発泡の理由から、層全体の厚みを100%として、外層が20〜30%、中間層が20〜50%、内層が20〜50%であることが好ましい。
層全体の厚み(肉厚)としては、1〜5mmであることが好ましく、より好ましくは、2〜4mmである。
具体的には、例えば、外層の厚さは、0.5mm〜2mmが好ましく、0.6mm〜1.5mmがより好ましい。中間層の厚さは、0.5mm〜3mmが好ましく、1mm〜2.5mmがより好ましい。内層の厚さは、0.5mm〜3mmが好ましく、1mm〜2.5mmがより好ましい。
本発明の多層ブロー成形品には、必要に応じてバリア層、接着層、リターン層等を設けることができる。これらの層の厚さはそれぞれ、層全体の厚みの10〜50%程度である。
バリア層には、ポリアミド、ポリビニルアルコールなどを用いることができる。接着層には、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどを用いることができる。
リターン層は、本発明の外層、中間層及び内層からなる群より選ばれる少なくとも1層のリターン材を含有する層であり、本発明の多層ブロー成形品の任意の場所に設けることができるが、好ましくは、外層、中間層、リターン層、内層の順に積層される多層ブロー成形品である。この順で積層された多層ブロー成形品は、各層の再生材再利用の理由により、好ましい。
また、本発明の多層ブロー成形品は、外層、中間層及び内層以外の他の層が、内層の内側、外層の外側、内層と外層の間などに設けられていてもよい。
2.製造方法
本発明の多層ブロー成形品の製造方法としては、通常、発泡多層ブロー成形に用いられる方法を採用することができ、単独、ないしは積層状態にてパリソン状に押出された樹脂を、発泡ブロー成型法にて成型する方法を採用することができる。該ブロー成型法としては特に制限されず、通常、ダイレクトブロー成形機やアキューム式ブロー成形機などを用い、ポリプロピレン系樹脂発泡中空成型品を得る方法が挙げられる。
具体的には、複数の押出機と多層ダイスを用い、前記各層の樹脂、つまり、少なくとも外層用の押出機に前記外層用樹脂を投入し、中間層用の押出機に前記中間層用樹脂を投入し、内層用の押出機に前記内層用樹脂を投入し、多層ダイスを介して、170〜250℃の多層溶融パリソンを押し出し、また、必要に応じてプリブローを行い、60℃以下に保ったブロー成形用金型、特に金型面のエアー抜き対策を施した金型に多層溶融パリソンを保持させて、その内部へエアーノズルから加圧空気(0.5〜1MPa)を吹き込んでパリソンを膨らませることによって、金型内壁へ圧接し、形状が固定されるまで空気圧を印加する多層ブロー成形方法を例示できる
3.用途
本発明の多層ブロー成形品は、表面が軟質で触感が軟らかく、軽量であり、しかも、発泡ブロー成形性が良好で、大幅な軽量化が可能である多層ブロー成形品であることから、用途としては、バンパー、サイドモール、スポイラー、インストルメントパネル、ルーフ、灯体、デッキボード等をはじめとする自動車向けブロー成形部品用途、なかでも、トリム類、コンソール等の自動車内装部品用途や、日常品、日用雑貨、バス、トイレ等の部材など住宅、建設設備向けブロー成形部品用途に、好適に用いることができる。さらには、文房具ファイル、食品容器、飲料カップ、ディスプレイ筺体、工業産業用部品、トレーなどあらゆる分野に適用可能である。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
1.評価方法、分析方法
(1)ブロー成形性:
成形材料を多層ブロー成形機(型番:6SOB、多層機、株式会社プラコー製)に供給し、ダイス設定温度200℃で発泡状態のパリソンを長さ1.2m押し出し、停止し10秒後に、パリソン長さが1.3m未満を○、パリソン長さが1.3m以上を×とした。
(2)軟質触感:
表面が軟質で触感が軟らかいことを、官能試験での感触にて、評価した。成形材料を多層ブロー成形機(型番:6SOB、多層機、株式会社プラコー製)に供給し、成形した多層ブロー成形品の表面を、素手で触れた際に、暖かさ、表面粗さ無し、柔軟感(ソフト感)を感じるものを○、冷たさ、表面荒れ、ソフト感が無いと感じるものを×とした。
(3)発泡倍率:
層構成を一定にした上で、中間層に発泡剤を添加したもの(a)と中間層に発泡剤を添加しないもの(b)を用いて、多層ブロー成形機(型番:6SOB、多層機、株式会社プラコー製)に供給し、ダイス設定温度200℃で発泡状態のパリソンを溶融押し出しした。固化したパリソンの一部を切り出し、外層、リターン層及び内層を除去して、中間層に発泡剤を添加したもの(a)の比重と中間層に発泡剤を添加しないもの(b)の比重の比を発泡倍率とした。比重は水中置換法によって求めた。より詳しくは、発泡層厚みを基準として、(a)の重量に対する(b)の重量((b)/(a))を算出した値である。
(4)MFR(単位;g/10min):
JIS K7210準拠。試験温度:230℃、荷重:21.18N。
(5)曲げ弾性率(単位;MPa):
JIS K7171に準拠。
(6)デュロメータD硬さ(HDD):
JIS K7215に準拠。
(7)密度(単位;g/cm):
JIS K6921−2:1997付属書(23℃)に準拠。
(8)歪硬化性:
前述の「歪硬化指数λmaxの測定方法」に記載した方法により測定した。
(9)溶融張力(MT、単位;g):
(株)東洋精機製キャピログラフを使用して、温度230℃に加熱した直径10mmのシリンダーに樹脂を入れ、押し込み速度10mm/分で溶融樹脂を直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスから押し出した樹脂を速度4.0m/分で引き取っていった時にプーリーに検出される張力を溶融張力(MT)とする。
(10)プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の含量およびエチレン含量:
前述の「プロピレン−α−オレフィン共重合体の含有量」に記載した方法により測定した。
(11)プロピレン−α−オレフィン共重合体の固有粘度[η]copoly
前述の「固有粘度ηは」に記載した方法により測定した。
(12)最長緩和時間:
前述の「最長緩和時間(τd)は」に記載した方法により測定した。
2.材料
(1)外層用樹脂:ポリプロピレン系樹脂(A)
(A−1):
「ニューコン NBX8HR」(日本ポリプロ株式会社製)を使用した。MFRは1.0g/10分、曲げ弾性率は300MPa、デュロメータD硬さは52、密度は0.9g/cmであった。
(A−2):
「ウェルネクス RFX4V」(日本ポリプロ株式会社製)を使用した。MFRは6g/10分、曲げ弾性率は220MPa、デュロメータD硬さは50、密度は0.89g/cmであった。
(A−3):
「ウェルネクス RPMG02VC」(日本ポリプロ株式会社製)を使用した。MFRは20g/10分、曲げ弾性率は350MPa、デュロメータD硬さは60、密度は0.89g/cmであった。
(A−4):
「ノバテック SP1A103」(日本ポリプロ株式会社製)を使用した。MFRは0.3g/10分、曲げ弾性率は500MPa、デュロメータD硬さは70、密度は0.88g/cmであった。
外層に用いるポリプロピレン系樹脂(A)について、表1にまとめた。
Figure 2013132794
(2)中間層用樹脂組成物:ポリプロピレン系樹脂(B)
(B−1):樹脂組成物(B1)
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素12リットル、および前記触媒cを10g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを20.7Kg/Hr、水素を20.6L/Hrで供給。200分後にプロピレン、水素の供給を停止した。プロピレン、水素の供給の間、器内の圧力は徐々に上昇し、最終的に0.46MPaGまで上昇。その後、残重合を行い、器内の圧力が0.35MPaになった時点で、反応器内のガスを0.03MPaGまでパージしプロピレン重合体を得た(前段重合工程)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを16.0cc導入、次いで、プロピレンを2.4Kg/Hr、エチレンを1.6Kg/Hrで供給。90分後エチレン、プロピレンの供給を停止、重合を終了した。圧力はエチレン、プロピレン供給開始時0.03MPaGであったが、供給停止時0.09MPaGであった(後段重合工程)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを2.5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム20gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、59.7Kgのサンプルを得た。得られた材料は、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が6.6重量%、α−オレフィンとしてエチレンの44.7重量%、固有粘度ηが14.8dl/g、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnが13.3、プロピレン単独重合体部分の全体に対する割合が93.4重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR(230℃、2.16kg荷重)が12g/10分、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定において歪硬化性を示し(歪硬化性「有」)、その歪硬化指数(λmax(10))が2.0のポリプロピレン系樹脂組成物であった。
(B−2):樹脂組成物(B1)
材料B−1と同様の方法にて、水素量、エチレン量を調整することにより、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が23重量%、α−オレフィンとしてエチレンの64.2重量%、固有粘度ηが7.22l/g、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnが5.1、プロピレン単独重合体部分の全体に対する割合が77重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR(230℃、2.16kg荷重)が1.2g/10分、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定において歪硬化性を示し(歪硬化性「有」)、その歪硬化指数(λmax(10))が1.9のポリプロピレン系樹脂組成物であった。
(B−3):樹脂組成物(B1)
材料B−1と同様の方法にて、水素量、エチレン量を調整することにより、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が15.8重量%、α−オレフィンとしてエチレンの56.9重量%、固有粘度ηが3.43l/g、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnが2.66、プロピレン単独重合体部分の全体に対する割合が84.2重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR(230℃、2.16kg荷重)が30g/10分、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定において歪硬化性を示し(歪硬化性「有」)、その歪硬化指数(λmax(10))が1.2のポリプロピレン系樹脂組成物であった。
(B−4):樹脂組成物(B2)
内容積200リットルのステンレス製オートクレーブにn−ヘプタン70リットル、Mg担持型チタン触媒(特開平4−348113の実施例1と同様にして調製された固体触媒)3g、およびトリエチルアルミニウム10gを加え、70℃に昇温し、水素とプロピレンを供給してMFR=50g/10minのプロピレン単独重合体を全重合体の70重量%製造した。次に水素をパージしてエチレンとプロピレンを供給し、エチレン含量10重量%、重量平均分子量480万のエチレン・プロピレン共重合体を全重合体の30重量%製造して樹脂組成物を得た。
(B−4)全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)は1g/10分、230℃でのMT値は10g、したがって、−0.97×logMFR+0.97の値は0.97であった。また、最長緩和時間(τd)は800秒であった。
中間層に用いる樹脂組成物(B1)及び樹脂組成物(B2)について、それぞれ、表2及び3にまとめた。
Figure 2013132794
Figure 2013132794
(発泡剤):
クエン酸ナトリウム分解型発泡剤「クラリアントジャパン社製:CF40E」を用いた。
(3)リターン層用組成物:
(D−1):
各層の再生材を用いた。
(4)内層用樹脂組成物:ポリプロピレン系樹脂(C)
(C−1):
「ノバテック EC9EV」(日本ポリプロ株式会社製)を使用した。MFRは0.35g/10分、230℃でのMT値は10.0g、曲げ弾性率は1200Mpaであった。
(C−2)
「ノバテック BC6C」(日本ポリプロ株式会社製)を使用した。MFRは2.5g/10分、230℃でのMT値は1.5g、曲げ弾性率は1500Mpaであった。
内層に用いるポリプロピレン系樹脂(C)について、表4にまとめた。
Figure 2013132794
3.実施例及び比較例
[実施例1]
表1〜4に示した、外層、中間層、リターン層および内層材料を用い、外層用材料をスクリュー径40mmφの外層用押出し機に、中間層用材料をスクリュー径40mmφの中間層用押出し機に、リターン層材料をスクリュー径50mmφのリターン層用押出し機に、内層用材料をスクリュー径65mmφの内層用押出し機に、それぞれ供給し、ブロー成形体(ダイスリップの温度170℃)を成形した。
成形体の肉厚は2.5mmであり、各層の厚み比は、外層1(0.5mm):発泡層4(2mm)であった。評価結果を表5に示す。
[実施例2]
中間層に含有される発泡剤を3部とした以外は、実施例1と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例3]
中間層に含有される発泡剤を5部とした以外は、実施例1と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例4]
ポリプロピレン系樹脂(B)として、樹脂組成物(B1)と樹脂組成物(B4)とを含有するものを用いた以外は、実施例3と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例5]
外層として、(A−2)からなるポリプロピレン系樹脂(A)を使用した以外は、実施例3と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例6]
外層として、(A−3)からなるポリプロピレン系樹脂(A)を使用した以外は、実施例3と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例7]
外層として、(A−3)からなるポリプロピレン系樹脂(A)を使用した以外は、実施例4と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例8]
リターン層として、(D−1)からなるリターン層用組成物を用い、層比を、リターン層10%、内層30%とした以外は、実施例4と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
[実施例9]
外層として、(A−3)からなるポリプロピレン系樹脂(A)を使用した以外は、実施例4と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
[比較例1]
中間層に含有される発泡剤を1部とした以外は、実施例1と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
[比較例2]
中間層に含有される発泡剤を6部とした以外は、実施例1と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
[比較例3]
中間層に含有されるポリプロピレン系樹脂(B)として、(B−2)を含有するものを用いた以外は、実施例3と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
[比較例4]
中間層に含有されるポリプロピレン系樹脂(B)として、(B−3)を含有するものを用いた以外は、実施例3と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
[比較例5]
外層として、(A−4)からなるポリプロピレン系樹脂(A)を使用した以外は、実施例3と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
[比較例6]
外層として、(A−4)からなるポリプロピレン系樹脂(A)を使用し、内層として(C−2)からなるポリプロピレン系樹脂(C)を使用した以外は、実施例3と同様にして多層ブロー成形体を製造し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
Figure 2013132794
Figure 2013132794
4.評価
表5及び6に示す結果から明らかなように、本発明の必須構成要件における各規定を満たす、実施例1〜9に示す多層ブロー成形品は、何れも、ブロー成形性、軟質触感および発泡倍率がいずれも良好であり、好適な性能を有している。
一方、中間層が本発明の必須構成要件を満たさない比較例1〜4は、中間層の発泡倍率が劣るものであった。
また、外層が本発明の必須構成要件を満たさない比較例5では、軟質触感が劣るものとなり、外層に加えて内層が本発明の必須構成要件を満たさない比較例6では、軟質触感に加えてブロー成形性が劣るものとなった。
以上における、各実施例と各比較例の結果からして、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかにされている。
本発明の多層ブロー成形品及びそれよりなる自動車内装品は、表面が軟質で触感が軟らかく、しかも、発泡ブロー成形性が良好で、大幅な軽量化が可能である多層ブロー成形品であるという効果がある。
そのため、バンパー、サイドモール、スポイラー、デッキボード等をはじめとする自動車向けブロー成形部品用途、なかでトリム類、コンソ−ル等の自動車内装部品用途や日常品、日用雑貨、バス、トイレ等の部材など住宅、建設設備向けブロー成形部用途に、好適に用いることができるため、その産業上の利用可能性は非常に大きい。

Claims (13)

  1. それぞれ下記の条件を満たす、外層、中間層及び内層の少なくとも3層からなり、外層、中間層、内層の順に積層されることを特徴とする多層ブロー成形品。
    外層:メルトフローレート(MFR、230℃、2.16Kg荷重)が0.5〜20g/10分、曲げ弾性率が150〜400MPa、デュロメータD硬さが35〜60、密度が0.89〜0.90g/cmであるポリプロピレン系樹脂(A)からなる。
    中間層:下記(B11−1)〜(B11−3)の条件を満たすプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B11))とプロピレン単独重合体(成分(B12))の少なくとも2成分からなり、成分(B11)及び成分(B12)の両成分は、多段重合法によって重合して得られ、成分(B11)の含有量が1〜20重量%、成分(B12)の含有量が80〜99重量%(ただし、成分(B11)及び成分(B12)の合計を100重量%とする。)であり、かつ、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が5〜20g/10分、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定において歪硬化性を示す樹脂組成物(B1)を含有するポリプロピレン系樹脂(B)を、発泡倍率2.5倍以上で発泡させてなる。
    (B11−1)α−オレフィン含量が30〜85重量%(ただし、成分(B11)を構成するモノマーの全量を100重量%とする)である。
    (B11−2)固有粘度ηが5〜20dl/gである。
    (B11−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が5〜15である。
    内層:MFR(230℃、2.16Kg荷重)が0.1〜2.0g/10分、溶融張力(MT、230℃)が8g以上、曲げ弾性率が1000〜3000MPaであるポリプロピレン系樹脂(C)からなる。
  2. ポリプロピレン系樹脂(B)は、さらに、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が10〜1000g/10分の、プロピレン単独重合体またはプロピレン以外のα−オレフィンの含量が1重量%未満のプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B21))と、GPCにより求めたMwが50万〜1000万、プロピレン以外のα−オレフィンの含量が1〜15重量%のプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(B22))の少なくとも2成分からなり、成分(B21)及び成分(B22)の両成分は、多段重合法によって重合して得られ、成分(B21)の含有量が50〜90重量%、成分(B22)の含有量が10〜50重量%(ただし、成分(B21)及び成分(B22)の合計を100重量%とする。)であり、かつ、下記(B2−1)〜(B2−3)の条件を満たす樹脂組成物(B2)を含有することを特徴とする請求項1に記載の多層ブロー成形品。
    (B2−1)MFR(230℃、2.16Kg荷重)が0.1〜20g/10分である。
    (B2−2)MT(230℃)と、MFR(230℃、2.16Kg荷重)の関係が以下の式(1)を満たす。
    logMT>−0.97×logMFR+0.97 (1)
    (B2−3)最長緩和時間(τd)が100秒以上である。
  3. ポリプロピレン系樹脂(B)は、樹脂組成物(B1)及び樹脂組成物(B2)の合計100重量%基準で、樹脂組成物(B1)を70〜97重量%、樹脂組成物(B2)を3〜30重量%の割合で含有することを特徴とする請求項2に記載の多層ブロー成形品。
  4. 樹脂組成物(B1)は、温度180℃、歪速度10s−1において測定した伸張粘度測定における歪硬化指数λmaxが1.2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品。
  5. ポリプロピレン系樹脂(B)は、MT(230℃)が5g未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品。
  6. ポリプロピレン系樹脂(B)は、MFR(230℃、2.16Kg荷重)が1〜20g/10分であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品。
  7. ポリプロピレン系樹脂(B)は、さらに、発泡剤を、ポリプロピレン系樹脂(B)100重量部に対して2〜5重量部の割合で含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品。
  8. 前記内層は、前記ポリプロピレン系樹脂(C)と無機充填材とからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品。
  9. 各層の厚みの割合は、層全体の厚みを100%として、前記外層が20〜30%、前記中間層が20〜50%、前記内層が20〜50%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品。
  10. さらに、下記の条件を満たすリターン層を含む少なくとも4層からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品。
    リターン層:前記外層、前記中間層及び前記内層からなる群より選ばれる少なくとも1層のリターン材を含有する。
  11. 前記外層、前記中間層、前記リターン層、前記内層の順に積層されることを特徴とする請求項10に記載の多層ブロー成形品。
  12. 前記各層の材料をパリソン状に押出し、その後金型内においてブロー成形により成形されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の多層ブロー成形品からなることを特徴とする自動車内装品。
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