JP2013132713A - 循環再使用研磨剤スラリー中からの異物分離除去方法と異物分離除去装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ガラス研磨において、繰り返し循環使用される研磨剤スラリー中で増加する研磨ガラス屑を、効果的、かつ連続的に除去する方法及び装置を得る。
【解決手段】
ガラスを研磨した後の研磨剤スラリーをpH5.4〜9.5に調整して、ガラス研磨屑を含む分散粒子とガラス研磨屑を含まない沈降粒子とに分離することで、研磨剤スラリーから異物を分離除去する。
【選択図】図1
ガラス研磨において、繰り返し循環使用される研磨剤スラリー中で増加する研磨ガラス屑を、効果的、かつ連続的に除去する方法及び装置を得る。
【解決手段】
ガラスを研磨した後の研磨剤スラリーをpH5.4〜9.5に調整して、ガラス研磨屑を含む分散粒子とガラス研磨屑を含まない沈降粒子とに分離することで、研磨剤スラリーから異物を分離除去する。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶パネル用や磁気ディスク、光学用ガラスなどを研磨するために循環使用する研磨用研磨剤スラリー中から被研磨材と研磨剤からなる異物を分離除去する方法と異物分離除去装置に関する。
ガラス材料の研磨には、機械的研磨作用ばかりでなく化学的研磨作用も発現することで大きい研磨速度を得ることができ、且つ研磨後の表面にスクラッチ等の傷が発生しにくいことから、近年は酸化セリウムが用いられるようになってきている。この酸化セリウム研磨剤は、通常繰り返して利用されるが、使用しているうちにガラス研磨屑が増加し、研磨速度が維持できなくなる。このため、繰り返し使用して、可能な限り研磨速度を維持する為に様々な手段が講じられている。
例えば、研磨に作用した研磨剤スラリーは、研磨装置に備え付けられた回収溝等により研磨剤スラリータンクに回収され再び送液ポンプにより供給され、研磨を繰り返す方法などが用いられている。しかし、ガラス研磨に供された研磨剤スラリーは循環を繰り返す間に研磨されたシリカ成分からなるガラス研磨屑の含有量が増加し、循環使用される研磨剤スラリーは次第に研磨速度を低下させたり、あるいはガラス表面の品質の低下を招くという課題がある。
これに対して、研磨剤スラリー廃液同士を分散容器内において高圧ジェット流として衝突させる高圧ジェット分散機と、分散した分散液及び/又は濾過フィルタに超音波を付与しながら該分散液を濾過フィルタで濾過する超音波濾過機と、分級処理を行うサイクロンとを備えた回収装置によって研磨剤スラリー廃液から研磨剤を回収循環する方法(特許文献1参照)が提案されている。
また、研磨装置から排出された排出水を遠心分離器で水と分離し、分散槽において分散剤による分散処理が行われ、さらに別の遠心分離器において粗大粒子を除去し、再調整の後、研磨装置へと循環供給し使用する方法(特許文献2参照)や濾過器により粗大不純物を除去し、限外濾過膜により濃縮するようにして研磨屑等の粗大な不純物を除去し、連続的に研磨剤を回収できる研磨剤の回収再利用方法(特許文献3参照)も提案されている。
さらに、研磨廃液を遠心分離機に導入して液分と固形分とに遠心分離し、分離乾燥した固形分を強酸中で中に含まれる研磨粉を溶解した後、中和槽で中和させて、再度遠心分離機で遠心分離することで研磨剤のみを取り出す方法(特許文献4参照)が提案されている。
しかしながら、上述の方法はいずれも、循環使用される研磨剤スラリーの特性を維持するために、循環するスラリー全体を処理する必要があることから、使用可能な研磨剤と使用済みの研磨剤の分離の為にいずれも大規模な装置が必要となり、再生回収の設備コスト等に大きな課題がある。
本発明は、研磨剤スラリーからの異物分離除去方法及び異物分離除去装置の提供を目的とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、研磨パッドとガラス研磨面間に作用してガラスを研磨した研磨剤スラリーのpHが5.4〜9.5である場合に、ガラス研磨屑であるシリカ分を含んだ安定な分散状態を維持する研磨剤スラリー成分と、ガラス研磨屑であるシリカ分を含まない沈降性の研磨剤スラリー成分からなることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下に本発明を詳細に説明する。
すなわち、本発明はガラスを研磨した後の研磨剤スラリーをpH5.4〜9.5に調整して、ガラス研磨屑を含む分散粒子とガラス研磨屑を含まない沈降粒子とに分離することを特徴とする研磨剤スラリーからの異物分離除去方法に関するものである。
本発明における研磨剤とは、酸化セリウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウムなどを主成分とするガラス研磨に用いられる研磨剤であれば特に制限はない。
本発明では、ガラスを研磨した後の研磨剤スラリーをpH5.4〜9.5に調整することが必要であり、好ましくはpH6.5以上8.2以下に調整する。pHが5.4未満の場合、ガラス研磨屑が等電位に近づき、沈降してしまい、pHが9.5より大きい場合もまた、イオン強度増加効果により沈降してしまい、研磨剤スラリーからの異物分離除去することができない。
pHを調整する方法としては、塩基性を示す物質をpH調整剤として添加することが好ましく、研磨対象が石英ガラスなどの半導体基板に用いられる場合、アルカリ金属は忌避されるので、アンモニアやフッ化アンモニウムであることがより好ましい。
ガラスを研磨した後の研磨剤スラリーをpH5.4〜9.5に調整すると、ガラス研磨屑を含む分散粒子とガラス研磨屑を含まない沈降粒子とに分離するので、前記研磨剤スラリーからガラス研磨屑を含む分散粒子だけを除去すれば、効率的に研磨剤スラリーから異物を分離除去することができる。
ガラス研磨屑を含む分散粒子を除去する方法としては、スラリータンクにpH5.4〜9.5に調整した研磨剤スラリーを流し込み、撹拌しながらオーバーフローさせる方法などが挙げられるが、特に制限はない。
次に、本発明の研磨剤スラリーからの異物分離除去方法を実現するための装置について図1の模式図を用いながら以下に説明する。
研磨装置1は、回転する研磨パッド2、研磨定盤3及び循環スラリーを吐出するスラリーノズル4からなり、研磨対象であるガラス5と研磨パッド2の間に供給された循環研磨スラリー6は、研磨装置底部から回収された後、pH調整槽7へと送液される。pH調整槽7は、攪拌羽根8とpHメータ9を備えており、研磨後のスラリーがpH5.4〜9.4であれば、循環ポンプ10により、そのままスラリー分離槽11へと送液される。一方、研磨後スラリーがpH5.4〜9.4の範囲から外れる場合には、アルカリ投入ノズル12からアルカリを投入し、研磨後スラリーのpHを5.4〜9.4に調整する。
pH5.4〜9.4であるスラリーはスラリー分離槽11に送液されて、ガラス研磨屑を含む分散粒子(分散粒子スラリー13)とガラス研磨屑を含まない沈降粒子(沈降粒子スラリー14)とに分離される。ガラス研磨屑を含む分散粒子はスラリー分離槽11の上部にとどまることによりオーバーフロー或いは送液ポンプによりスラリー回収槽16へと送られ、循環研磨スラリー経路から除外される。このスラリー分離槽は一段であってもかまわないが、ガラス研磨屑をより精度よく分離するために、二段以上あっても構わない。以上のように、ガラス等の研磨屑を伴った分散粒子を除外した後、スラリー濃度の調整のために、スラリー濃度調整槽15において、研磨剤または水の投入を行う。この場合必要に応じて比重計を備えていてもよい。
このようにスラリー濃度が調整された循環研磨剤スラリーは、再び研磨装置のスラリーノズルよりガラス等の被研磨材と研磨パッドの間に供給され研磨に供せられる。
さらに、スラリー分離槽より分離除外された上部分散粒子スラリーは、pHが4.5未満或いは、pH9.5以上に酸或いはアルカリにより調整沈殿することにより分離可能であり、本発明の装置から排出されてさらに資源回収することが可能である。
研磨屑だけを効果的に研磨剤スラリーから除外することで、研磨中の安定した研磨速度と研磨品質を維持し、同時に未使用スラリーへの全量交換の頻度を大幅に減少することができる。
ガラス研磨に使用した酸化セリウム系研磨剤スラリー(pH6.5)中に生成した2種類の粒子の粒度分布を粒度分布測定装置(島津製作所製、商品名「SALDー7100」)で分析した。結果を図2に示す。
図2における曲線Aはスラリー中で浮遊分散状態を保つ粒子の粒度分布であり、曲線Bは、スラリー中で攪拌状態から静置することで、直ちに沈殿する粒子の粒度分布であって、スラリー中の粒子構成が分散粒子と沈降粒子に分かれることが明らかである。
また、上記スラリーに対してX線粉末回折を行った。図3におけるAは、分散粒子によるものであり、シリカ分による回折ハロー(回折角2Θ(CuKα)で15°から30°)が観測されたのに対して、図3におけるBの沈降粒子では観測されなかった。
1 : 研磨装置
2 : 研磨パッド
3 : 研磨定盤
4 : スラリーノズル
5 : ガラス
6 : 循環研磨スラリー
7 : pH調整槽
8 : 攪拌羽根
9 : pHメータ
10: 循環ポンプ
11: スラリー分離槽
12: アルカリ投入ノズル
13: 分散粒子スラリー
14: 沈降粒子スラリー
15: スラリー濃度調整槽
16: スラリー回収槽
2 : 研磨パッド
3 : 研磨定盤
4 : スラリーノズル
5 : ガラス
6 : 循環研磨スラリー
7 : pH調整槽
8 : 攪拌羽根
9 : pHメータ
10: 循環ポンプ
11: スラリー分離槽
12: アルカリ投入ノズル
13: 分散粒子スラリー
14: 沈降粒子スラリー
15: スラリー濃度調整槽
16: スラリー回収槽
Claims (6)
- ガラスを研磨した後の研磨剤スラリーをpH5.4〜9.5に調整して、ガラス研磨屑を含む分散粒子とガラス研磨屑を含まない沈降粒子とに分離することを特徴とする研磨剤スラリーからの異物分離除去方法。
- 研磨剤スラリー中で塩基性を示す物質をpH調整剤として添加することを特徴とする請求項1に記載の研磨剤スラリーからの異物分離除去方法。
- アンモニア及び/またはフッ化アンモニウムをpH調整剤として添加することを特徴とする請求項1または2に記載の研磨剤スラリーからの異物分離除去方法。
- ガラスを研磨した後の研磨剤スラリーから研磨ガラス屑を除去する異物分離除去装置であって、異物分離除去装置は、ガラスを研磨した後の研磨剤スラリーを回収するpH調整槽、pH調整槽から送られるスラリーを回収するスラリー分離槽、スラリー分離槽から送られるスラリーを回収するスラリー濃度調整槽とを少なくとも含んでなり、
pH調整槽に回収されたガラスを研磨した後の研磨剤スラリーのpHを5.4〜9.5に調整した後、
スラリー分離槽でガラス研磨屑を含む分散粒子とガラス研磨屑を含まない沈降粒子とに分離させ、ガラス研磨屑を含まない沈降粒子のみをスラリー濃度調整槽に送り、
スラリー濃度調整槽で研磨剤または水を加える
ことを特徴とする異物分離除去装置。 - スラリー分離槽を2つ以上備えていることを特徴とする請求項4記載の異物分離除去装置。
- スラリー分離槽でオーバーフローしたガラス研磨屑を含む分散粒子を回収するスラリー回収槽を備えていることを特徴とする請求項4または5に記載の異物分離除去装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011284243A JP2013132713A (ja) | 2011-12-26 | 2011-12-26 | 循環再使用研磨剤スラリー中からの異物分離除去方法と異物分離除去装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110227294A (zh) * | 2019-06-17 | 2019-09-13 | 中国工程物理研究院激光聚变研究中心 | 抛光液循环过滤系统 |
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JP2001009723A (ja) * | 1999-07-02 | 2001-01-16 | Kurita Water Ind Ltd | 研磨材の回収装置 |
JP2001138237A (ja) * | 1999-11-12 | 2001-05-22 | Kurita Water Ind Ltd | 研磨材の回収方法 |
JP2004237163A (ja) * | 2003-02-04 | 2004-08-26 | Central Glass Co Ltd | 酸化セリウム研磨材の再使用方法 |
WO2013094399A1 (ja) * | 2011-12-22 | 2013-06-27 | コニカミノルタ株式会社 | 研磨材再生方法及び再生研磨材 |
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2011
- 2011-12-26 JP JP2011284243A patent/JP2013132713A/ja active Pending
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