JP2013130824A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】広い定着可能領域と保存安定性とを両立し、高温高湿環境下での帯電保持性能に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)及び離型剤を含有するコアと、ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなるシェルを含有する静電荷像現像用トナーであって、セグメント(A1)とセグメント(A2)の重量比が95/5〜60/40であり、セグメント(A1)の構成単位の由来する原料モノマーとして、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸をセグメント(A1)のカルボン酸成分中、0モル%を超えて20モル%未満含む、静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、及びその製造方法に関する。
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応した電子写真用のトナーの開発が要求されている。
高画質化に対応して、粒径分布が狭く、小粒径のトナーを得る方法として、微細な樹脂粒子等を水系媒体中で凝集、融着させてトナーを得る、凝集合一法(乳化凝集法、凝集融着法)によるトナーの製造が行われている。なかでも定着性や耐オフセット性といった熱特性を改善するために、複数種の樹脂を混合して用いる試みがなされている。
例えば、特許文献1には、低温定着性及び耐ホットオフセット性の向上を目的として、3価以上のカルボン酸由来の構成単位を2.0〜12.0モル%有する非晶質ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含有する原料ポリエステルを水系媒体中で乳化する工程、又は前記原料ポリエステルを有機溶媒と混合した後、水系媒体を添加して乳化してポリエステル粒子分散液を得て、該ポリエステル粒子分散液を凝集及び合一して得られる電子写真用トナーが開示されている。
特許文献2には、定着強度、耐オフセット性、耐熱保存性の改善を目的として、液媒体中で樹脂粒子を凝集させて形成したトナーであって、該トナーは、ラジカル重合体樹脂、着色剤および離型剤を含有するトナー内層と、その外縁に、主鎖中に不飽和結合を有するポリエステルにラジカル重合性単量体をグラフト重合させて形成したグラフト化ポリエステル樹脂を含有するトナー外層を有するトナーが開示されている。
また、特許文献3には、オフセットや光沢過多を解消し、折り目部分のトナー剥離すなわち定着強度不足のないトナーを得ることを目的として、多価アルコール及び不飽和多価カルボン酸が縮合してなるポリエステル樹脂を水系媒体中に分散し、ポリエステル樹脂粒子分散液を調整する工程と、ビニル重合性単量体及びラジカル重合開始剤を前記ポリエステル樹脂粒子分散液に添加した後、ラジカル重合反応させ、ポリエステル樹脂にビニル重合性単量体が反応した樹脂からなる樹脂粒子の分散液を調整する工程と、前記ポリエステル樹脂にビニル重合性単量体が反応した樹脂からなる樹脂粒子と、着色剤粒子の分散液とを混合し、前記樹脂粒子及び着色剤粒子を凝集してトナー粒子を形成する工程とを含むトナーの製造方法が開示されている。
国際公開第2010/27071号 特開2006−215312号公報 特開2011−95736号公報
印刷時の消費電力を低減し、高速印刷に対応するためには、低温における定着性が必要とされ、高温オフセットを抑制するためには、高温においても定着性が必要とされる。このように、広い定着可能領域を有するトナーが望まれている。
トナー中に離型剤を用いることで、その溶融特性から、得られるトナーの定着温度領域を調整することができる。しかし、離型剤は融点近傍で急激に性質が変化するため、低温及び高温の両方の温度域での定着性を確保するのは困難であった。これに対して、特許文献2に開示されているように、トナー外層を設ける等の工夫がなされているが、未だに不十分である。また、低温における定着性を確保するために融点の低い離型剤を用いるとトナーの保存安定性も低下するという問題もあった。
更に、前記特許文献1〜3に開示されているような凝集合一法(凝集融着法)においては、特に親水性成分であるポリエステルを有するためか、得られるトナーの帯電量、特に高温高湿環境下での帯電量の低下が問題となる。
本発明の課題は、広い定着可能領域と保存安定性とを両立し、高温高湿環境下での帯電保持性能に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能に影響する要因は、トナーを構成する表層の樹脂及び内部の樹脂、並びにそれらの関係にあると考えて検討を行った。その結果、結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステル及び離型剤をコア部分とし、ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメントと付加重合系樹脂からなる側鎖セグメントとから構成される特定のグラフトポリマーをシェル部分とする静電荷像現像用トナーが、広い定着可能領域と保存安定性とを両立し、高温高湿環境下での帯電保持性能に優れることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)及び離型剤を含有するコアと、ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなるシェルを含有する静電荷像現像用トナーであって、セグメント(A1)とセグメント(A2)の重量比が95/5〜60/40であり、セグメント(A1)の構成単位の由来する原料モノマーとして、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸をセグメント(A1)のカルボン酸成分中、0モル%を超えて20モル%未満含む、静電荷像現像用トナー。
〔2〕下記の工程(1)〜(3)を含む、前記〔1〕に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
工程(1):結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)並びに離型剤を含有する離型剤粒子を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程
工程(2):ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)を添加して、凝集粒子(2)を得る工程
工程(3):凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程
本発明によれば、広い定着可能領域と保存安定性とを両立し、高温高湿環境下での帯電保持性能に優れた静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)及び離型剤を含有するコアと、ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなるシェルを含有する静電荷像現像用トナーであって、セグメント(A1)とセグメント(A2)の重量比が95/5〜60/40であり、セグメント(A1)の構成単位の由来する原料モノマーとして、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸をセグメント(A1)のカルボン酸成分中、0モル%を超えて20モル%未満含む。
本発明の静電荷像現像用トナーが、広い定着可能領域と保存安定性とを両立し、高温高湿環境下での帯電保持性能に優れる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、コアシェル構造を有し、コア部分に結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)及び離型剤を含有する。コア部分に結晶性ポリエステル、非晶質ポリエステル及び離型剤を有することで印刷時に結晶性を有する結晶性ポリエステル及び離型剤の各融点領域でシャープに融解する上に、高温においても非晶質ポリエステルが急激な粘度の低下を防ぐことで広い定着可能領域を有するトナーとなるものと考えられる。
更に、シェル部分はポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなり、セグメント(A1)とセグメント(A2)の重量比が95/5〜60/40であり、セグメント(A1)の構成単位の由来する原料モノマーとして、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸をセグメント(A1)のカルボン酸成分中、0モル%を超えて20モル%未満含む。つまり、このグラフトポリマーは主鎖がポリエステル樹脂であり、側鎖が付加重合系樹脂であるが、その結合点である非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するジカルボン酸を少量含むため、比較的まばらに長鎖の付加重合系樹脂を有するものと考えられる。
主鎖部分はポリエステルを含むコア部との親和性が高く、強固に融着し、側鎖部分はトナー表面へ配向しやすくなるものと考えられる。特に本発明の側鎖の付加重合系樹脂は長鎖であるため、最外層に厚みのある付加重合系樹脂の層を形成することができ、保存安定性を高め、高温高湿環境下での帯電保持性能を有することができるものと考えられる。また、この長鎖の付加重合系樹脂側鎖を有するグラフトポリマーは、分子間で絡みあいやすいためか、あらゆる温度領域において、適度な弾性を有すると考えられ、その結果として、広い定着可能領域を有するトナーとなるものと考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分及び工程等について説明する。
[コア]
本発明の静電荷像現像用トナーにおけるコアは、トナーの定着可能領域を広くする観点から、結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)及び離型剤を含有する。
〔結晶性ポリエステル(a)〕
本発明において、結晶性ポリエステルとは、軟化点と示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最大ピーク温度との比、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される結晶性指数が0.6〜1.4のものであり、トナーの低温定着性の観点から、0.8〜1.3のものが好ましく、0.9〜1.2のものがより好ましく、1.0〜1.2のものが更に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)は、トナー製造時の樹脂粒子分散液の乳化を容易にし、分散安定性を高める観点から、分子末端に酸基を有することが好ましい。該酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸等が挙げられる。これらの中でも、樹脂の分散性と得られるトナーの保存安定性とを両立させる観点から、カルボキシル基が好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の融点は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、50〜150℃が好ましく、55〜130℃がより好ましく、60〜90℃が更に好ましく、60〜80℃が特に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の軟化点は、同様の観点から、50〜140℃が好ましく、55〜130℃がより好ましく、60〜110℃が更に好ましく、60〜85℃が特に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の数平均分子量は、トナーの定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、1,500〜50,000が好ましく、2,000〜10,000がより好ましく、3,000〜5,000が更に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の酸価は、トナーの樹脂粒子分散液の分散安定性及び帯電保持性能を向上させる観点から、5〜30mgKOH/gが好ましく、10〜27mgKOH/gがより好ましく、10〜25mgKOH/gがより好ましく、15〜25mgKOH/gが更に好ましく、15〜22mgKOH/gが更に好ましい。
なお、結晶性ポリエステル(a)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、結晶性ポリエステル(a)の融点、軟化点及び数平均分子量は、実施例記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される結晶性ポリエステル(a)中、最も重量比の大きい結晶性ポリエステル(a)の融点を、本発明における結晶性ポリエステル(a)の融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い値とする。軟化点及び数平均分子量は、全ての結晶性ポリエステル(a)を使用する比率で混合した混合物を用いて、実施例に記載の方法によって求められる。
結晶性ポリエステル(a)は、酸成分とアルコール成分とを重縮合反応させることによって製造することができる。重縮合反応の際には好ましくは触媒を用いることができる。
酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸が挙げられ、なかでもトナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
酸成分には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数1〜3のアルキルエステルも含まれる。
脂肪族ジカルボン酸は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、炭素数2〜18が好ましく、炭素数8〜12がより好ましい。
炭素数2〜18の脂肪族カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等が挙げられ、なかでもトナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
脂環式ジカルボン酸の例としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸の例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分としては、脂肪族ジオール、芳香族ジオール、ビスフェノールAの水素添加物、3価以上の多価アルコール等が挙げられ、なかでも、ポリエステルの結晶化を促進させ、トナーの定着可能領域を広くする観点から、脂肪族ジオールが好ましい。
脂肪族ジオールのなかでも、ポリエステルの結晶化を促進させ、トナーの定着可能領域を広くする観点から、α,ω−アルカンジオールが好ましい。
α,ω−アルカンジオールは、得られるトナーの定着可能領域、保存安定性及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、炭素数2〜18が好ましく、炭素数4〜12がより好ましく、炭素数6〜12が更に好ましい。
炭素数2〜18のα,ω−アルカンジオールの例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられ、なかでも得られるトナーの定着可能領域、保存安定性及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、1,6−ヘキサンジオール及び1,9−ノナンジオールが好ましく、1,9−ノナンジオールがより好ましい。
炭素数2〜18のα,ω−アルカンジオールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
芳香族ジオールの例としては、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。
3価以上の多価アルコールの例としては、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、ポリエステルの結晶化を促進する観点から、アルコール成分中、炭素数2〜18のα,ω−アルカンジオールが80〜100モル%であることが好ましく、90〜100モル%であることがより好ましい。
酸成分とアルコール成分との組合せとしては、得られるトナーの低温定着性及び耐熱保存性を向上させ、トナー飛散(トナークラウド)を抑制する観点から、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの組合せが好ましく、炭素数2〜18のα,ω−アルカンジオールと炭素数8〜12の脂肪族ジカルボン酸との組合せが更に好ましい。
触媒は、縮重合反応の効率を向上させる観点から、錫化合物、チタン化合物が好ましく、錫化合物がより好ましく、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫、酸化ジブチル錫が更に好ましい。
チタン化合物としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等が挙げられる。
触媒の使用量は、酸成分とアルコール成分との総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
縮重合反応は、反応容器に、酸成分及びアルコール成分を入れ、140〜200℃で5〜15時間維持して行うことが好ましい。更にその後、触媒を加え140〜200℃で1〜5時間維持して反応を進行させ、5.0〜20kPaに減圧して1〜10時間維持することで、結晶性ポリエステルを得る方法が好ましい。
〔非晶質ポリエステル(b)〕
本発明のトナーのコア部分には、シェル部分との密着性を高め、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、非晶質ポリエステル(b)を含有する。本発明において、非晶質ポリエステルとは、前記結晶性指数が1.4を超えるか、0.6未満の樹脂である。
トナーのコア部分における結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)の総量は、トナーの定着可能領域を向上させる観点から、トナーのコア部分、すなわち樹脂粒子(A)を構成する樹脂中好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%であり、特に好ましくは実質的に100重量%である。トナーのコア部分における結晶性ポリエステル(a)と非晶質ポリエステル(b)との重量比((a)/(b))は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、5/95〜50/50であることが好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、10/90〜25/75が更に好ましく、15/85〜20/80がより更に好ましい。
非晶質ポリエステル(b)は、酸成分とアルコール成分とを重縮合反応させることによって製造することができる。
酸成分としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸が挙げられ、なかでもジカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸と3価以上の多価カルボン酸とを併用することがより好ましい。
ジカルボン酸としては、結晶性ポリエステルとの親和性を高め、ひいてはトナーの定着性を高める観点、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、炭素数9〜14の分岐アルキル基を有するアルキルコハク酸及び/又は炭素数9〜14の分岐アルケニル基を有するアルケニルコハク酸、芳香族ジカルボン酸が好ましく、炭素数9〜14の分岐アルキル基を有するアルキルコハク酸及び/又は炭素数9〜14の分岐アルケニル基を有するアルケニルコハク酸と芳香族ジカルボン酸とを併用することがより好ましい。
炭素数9〜14の分岐アルキル基を有するアルキルコハク酸及び/又は炭素数9〜14の分岐アルケニル基を有するアルケニルコハク酸の中でも、結晶性ポリエステルとの親和性を高め、ひいてはトナーの定着性を高める観点から、炭素数9〜14の分岐アルケニル基を有するアルケニルコハク酸が好ましい。
また、結晶性ポリエステルとの親和性を高め、ひいてはトナーの定着性を高める観点から、分岐アルキル基あるいは分岐アルケニル基の炭素数は10〜14が好ましく、12〜14がより好ましい。
炭素数9〜14の分岐アルキル基を有するアルキルコハク酸及び/又は炭素数9〜14の分岐アルケニル基を有するアルケニルコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられ、トナーの定着性を高める観点から、ドデセニルコハク酸が好ましい。
分岐構造はアルキル基及びアルケニル基のいかなる部分に存在してもよいが、複数の分岐構造を有する混合物であることが非晶質ポリエステルとの相溶性を高める観点から好ましい。
炭素数9〜14の分岐アルキル基を有するアルキルコハク酸及び/又は炭素数9〜14の分岐アルケニル基を有するアルケニルコハク酸は、結晶性ポリエステルとの親和性を高め、ひいてはトナーの定着性を高める観点から、好ましくは酸成分中に30〜60モル%含有され、より好ましくは30〜50モル%含有され、更に好ましくは35〜40モル%含有される。
芳香族ジカルボン酸としては、トナーの帯電性を向上させる観点から、テレフタル酸が好ましい。
3〜5価の芳香族カルボン酸としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、なかでもトナーの保存安定性及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、トリメリット酸が好ましい。
3〜5価の芳香族カルボン酸は、トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、酸成分中に好ましくは5〜30モル%含有され、より好ましくは7〜20モル%含有され、更に好ましくは8〜15モル%含有され、更に好ましくは9〜11モル%含有される。
好ましいアルコール成分として、芳香族ジオールが挙げられ、非晶化を促進する観点から、ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)が好ましい。
非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点は、トナーの耐久性、定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、50〜70℃が好ましく、53〜65℃がより好ましく、55〜60℃が更に好ましい。
非晶質ポリエステル(b)の軟化点は、トナーの定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、70〜165℃が好ましく、70〜140℃がより好ましく、90〜140℃が更に好ましく、100〜130℃が特に好ましい。
なお、非晶質ポリエステル(b)を2種以上混合して使用する場合は、そのガラス転移点及び軟化点は、各々2種以上の非晶質ポリエステル(b)の混合物として、実施例記載の方法によって得られた値である。
非晶質ポリエステル(b)の数平均分子量は、トナーの耐久性、低温定着性及び保存安定性を向上させる観点から、1,000〜50,000が好ましく、1,500〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましく、2,000〜4,000が更に好ましい。
非晶質ポリエステル(b)の酸価は、樹脂を水性媒体中に容易に乳化させる観点から、6〜35mgKOH/gが好ましく、10〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜35mgKOH/gが更に好ましい。
非晶質ポリエステル(b)は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔着色剤〕
本発明のトナーのコアには着色剤を含有することが好ましく、コアのみに着色剤を含有することがより好ましい。着色剤の含有量は、トナーを用いて得られる印刷物の画像濃度を向上させる観点から、トナーのコアを構成する樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。
本発明に用いられる着色剤としては、顔料及び染料が挙げられ、得られる印刷物の画像濃度を向上させる観点から、顔料が好ましい。
顔料としては、シアン顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、黒色顔料が挙げられる。
シアン顔料は、フタロシアニン顔料が好ましく、銅フタロシアニンがより好ましい。イエロー顔料は、モノアゾ顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料が好ましく、マゼンタ顔料は、キナクリドン顔料、BONAレーキ顔料等の溶性アゾ顔料、ナフトールAS顔料等の不溶性アゾ顔料が好ましい。黒色顔料は、カーボンブラックが好ましい。
染料の例としては、アクリジン染料、アゾ染料、ベンゾキノン染料、アジン染料、アントラキノン染料、インジコ染料、フタロシアニン染料、アニリンブラック染料等が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
〔離型剤〕
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン;シリコーンワックス;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;鉱物・石油系ワックス;エステルワックス等の合成ワックス等が挙げられる。
植物系ワックスとしては、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が挙げられ、カルナウバワックスが好ましい。
鉱物・石油系ワックスとしては、モンタンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられ、パラフィンワックスが好ましい。
これらの離型剤は、単独で又は2種以上を併用することができ、2種以上を併用することが好ましい。特に植物系ワックスと鉱物・石油系ワックスを併用することが、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましく、カルナウバワックスとパラフィンワックスを併用することが、より好ましい。
離型剤の融点は、トナーの定着可能領域、保存安定性の観点から、60〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましく、75℃〜90℃がさらに好ましく、80〜90℃がより更に好ましい。2種以上を併用する場合、トナーの低温定着性の観点から、いずれもの融点が60〜90℃であることが好ましい。
本発明において、離型剤の融点は、実施例記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される離型剤中、最も重量比の大きい離型剤の融点を、本発明における離型剤の融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い値とする。
離型剤の使用量は、トナーの離型性を向上して定着可能領域を向上させる観点から、トナー中の樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部がより好ましい。
[シェル、及びシェルを構成するグラフトポリマー]
本発明のコアシェル型トナーにおいて、シェルはポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなる。
(ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1))
前記グラフトポリマーを構成するセグメント(A1)は、前記グラフトポリマーにおける主鎖であり、ポリエステル樹脂からなるセグメントであり、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られるポリエステル樹脂からなるセグメントである。セグメント(A1)の構成単位の由来する原料モノマー(以下、単に「セグメント(A1)の原料モノマー」ともいう)は、アルコール成分とカルボン酸成分である。
セグメント(A1)の原料モノマーであるアルコール成分としては、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、具体的には下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2013130824
一般式(I)において、R1O、R2Oはいずれもオキシアルキレン基であり、好ましくはそれぞれ独立に炭素数1〜4のオキシアルキレン基であり、より好ましくはオキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。
x及びyは、アルキレンオキサイドの付加モル数に相当し、それぞれ正の数である。さらに、カルボン酸成分との反応性を高める観点から、xとyとの和の平均値は、好ましくは2〜7、より好ましくは2〜5、更に好ましくは2〜3である。
また、x個のR1O又はy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を向上させる観点から、同一であることが好ましく、オキシプロピレン基であることがより好ましい。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
トナーの保存安定性を向上させる観点から、前記オキシプロピレン基の含有量が、前記オキシアルキレン基中、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは実質的に100モル%である。他のオキシアルキレン基としては、トナーの定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基が好ましく、オキシエチレン基がより好ましい。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、トナーの定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、アルコール成分中に好ましくは60モル%以上含有され、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは実質100モル%含有される。なお、本発明において、アルキレンオキサイド付加物とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンにオキシアルキレン基を付加した構造全体を意味するものである。
また、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物は、トナーの定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、アルコール成分中に好ましくは40〜100モル%含有され、より好ましくは60〜100モル%、更に好ましくは80〜100モル%含有される。
その他のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、アリルアルコール又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。前記アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
セグメント(A1)の原料モノマーであるカルボン酸成分には、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸、例えば不飽和脂肪族ジカルボン酸及び/又は不飽和脂環式ジカルボン酸を含む。該炭素−炭素不飽和結合の部分は、グラフトポリマー中では、セグメント(A2)との結合部分となることが好ましく、その場合、該不飽和結合は、飽和結合となる。非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸を用いることで、得られるポリエステルの主鎖に炭素−炭素不飽和結合を導入することが出来る。
非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸(不飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和脂環式ジカルボン酸)としては、フマル酸、マレイン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;テトラヒドロフタル酸等の不飽和脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。反応性の観点から、フマル酸、マレイン酸及びテトラヒドロフタル酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
カルボン酸成分中、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸の含有量は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、0モル%を超えて20モル%未満であり、好ましくは0.5〜15モル%、より好ましくは1〜5モル%、更に好ましくは1〜3モル%である。
その他のカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
これらのなかでも、トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、芳香族ジカルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸が好ましく、これらを併用することがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、前記の観点から、テレフタル酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸類、デカリンジカルボン酸類等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられ、前記の観点から、トリメリット酸が好ましい。
前記カルボン酸成分は、単独で又は2種以上が含まれていてもよい。
樹脂粒子の分散安定性を高め、トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、セグメント(A1)の酸価は、5〜40mgKOH/gであり、好ましくは5〜35mgKOH/g、より好ましくは10〜30mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜25mgKOH/gである。
また、トナーの定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、セグメント(A1)の数平均分子量は、好ましくは1,000〜10,000、より好ましくは1,500〜5,000である。
本発明において、セグメント(A1)に含有される酸基としては、カルボキシ基が、酸基のうち90モル%以上であることが好ましく、実質的に100モル%であることが好ましい。
(付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2))
前記グラフトポリマーを構成するセグメント(A2)は、付加重合性モノマー(c2)(以下、「モノマー(c2)」ともいう)に由来する構成単位からなる付加重合系樹脂からなるセグメントである。セグメント(A2)は、前記グラフトポリマーにおける側鎖である。
本発明に用いられうる付加重合性モノマー(c2)としては、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩等のスチレン類;(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜18)、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のハロゲン化ビニリデン;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物等が挙げられる。
これらのなかでは、スチレン類及び(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、なかでも、芳香族基を有する付加重合性モノマーがより好ましく、スチレン、メチルスチレン、ベンジルメタクリレート及びベンジルアクリレートが更に好ましい。これらのなかでも、モノマーの原料価格の観点、並びにトナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点からは、スチレンが特に好ましい。
芳香族基を有する付加重合性モノマーを由来とする構成単位の含有量は、トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、セグメント(A2)中、好ましくは85重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、更に好ましくは実質的に100重量%である。
前記グラフトポリマーを構成する主鎖セグメント(A1)と側鎖セグメント(A2)との重量比[主鎖セグメント(A1)/側鎖セグメント(A2)]は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、60/40〜95/5であり、好ましくは60/40〜90/10、より好ましくは65/35〜83/17、更に好ましくは65/35〜75/25である。
主鎖セグメント(A1)と側鎖セグメント(A2)がこの比率で存在することで、コアとの密着性を維持しつつ、最外層に付加重合系樹脂の比較的厚みのある層を形成させることができるため、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させることができるものと考えられる。
また、トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、グラフトポリマーの軟化点は110〜170℃が好ましく、120〜140℃がより好ましい。
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、下記の工程(1)〜(3)を含むことが好ましい。
工程(1):結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)並びに離型剤を含有する離型剤粒子を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程
工程(2):ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)を添加して、凝集粒子(2)を得る工程
工程(3):凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程
<工程(1)>
工程(1)は、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)並びに離型剤を含有する離型剤粒子を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程
本工程においては、まず、樹脂粒子(A)及び離型剤粒子を水系媒体中で混合して、混合分散液を得る。
なお、任意の成分として着色剤を混合することが好ましいが、着色剤はそれのみで別の粒子として混合してもよく、樹脂粒子(A)に含まれていてもよいが、凝集制御の観点から、樹脂粒子(A)に含まれていることが好ましい。
混合の順に制限はなく、いずれかを順に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
(樹脂粒子(A))
樹脂粒子(A)は、トナーの定着可能領域を広くする観点から、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する。
樹脂粒子(A)に含有される結晶性ポリエステル(a)は、前記トナーのコアに含有される結晶性ポリエステル(a)と同一であり、好ましい物性及び組成も同一である。
樹脂粒子(A)に含有される非晶質ポリエステル(b)も、前記トナーのコアに含有される非晶質ポリエステル(b)と同一であり、好ましい物性及び組成も同一である。
樹脂粒子(A)における結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)の総量も、前記トナーのコアと同一であり、トナーの定着可能領域を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂中好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%であり、特に好ましくは実質的に100重量%である。樹脂粒子(A)における結晶性ポリエステル(a)と非晶質ポリエステル(b)との重量比((a)/(b))は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、5/95〜50/50であることが好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、10/90〜25/75が更に好ましく、15/85〜20/80がより更に好ましい。
〔樹脂粒子(A)の製造〕
樹脂粒子(A)は、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含む樹脂及び着色剤等の前記の任意成分を水性媒体中に分散させ、樹脂粒子(A)を含有する分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
分散液を得る方法としては、樹脂等を水性媒体に添加し、分散機を用いて分散する方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して乳化する転相乳化法等が挙げられ、得られるトナーの低温定着性を向上させる観点から、転相乳化法が好ましい。以下、転相乳化法について述べる。
まず、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂、非晶質ポリエステル(b)を含む樹脂、アルカリ水溶液、及び着色剤等の前記の任意成分を溶融して混合し、樹脂混合物を得る。
前記樹脂が、複数の樹脂からなる場合には、予め、それら樹脂を混合したものを用いてもよいが、前記アルカリ水溶液及び任意成分を添加する際に同時に添加し、溶融して混合することによって得てもよい。例えば、結晶性ポリエステル(a)と非晶質ポリエステル(b)を予め、混合してもよいが、結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)、アルカリ水溶液、及び前記の任意成分を同時に溶融して混合し、樹脂混合物を得ることが、トナーの低温定着性を向上させる観点から好ましい。
また、混合の際には、樹脂の乳化安定性を向上させる観点から、界面活性剤を添加することが好ましい。
アルカリ水溶液中のアルカリは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等やアンモニアが好ましく、樹脂の分散性向上の観点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムがより好ましい。また、アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、1〜30重量%が好ましく、1〜25重量%がより好ましく、1.5〜20重量%が更に好ましい。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、なかでもノニオン性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤を併用することがより好ましく、樹脂の乳化安定性を向上させる観点から、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用することが更に好ましい。
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用する場合、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との重量比(ノニオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)は、樹脂の乳化安定性を向上させる観点から、0.3〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられ、なかでも樹脂の乳化安定性の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリチレングリコ−ルモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等が挙げられ、樹脂の乳化安定性を向上させる観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
ドデシルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。ドデシル硫酸塩としては、ドデシル硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、ドデシル硫酸ナトリウムがより好ましい。アルキルエーテル硫酸塩としては、アルキルエーテル硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、アルキルエーテル硫酸ナトリウムがより好ましい。
カチオン性界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、0.1〜10重量部が更に好ましく、0.5〜10重量部が更に好ましい。
樹脂混合物を得る方法としては、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂、非晶質ポリエステル(b)を含む樹脂、アルカリ水溶液、及び前記の任意成分、好ましくは界面活性剤を容器に入れ、撹拌器によって撹拌しながら、樹脂を溶融して均一に混合する方法が好ましい。
樹脂を溶融し混合する際の温度は、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点以上が好ましく、均質な樹脂粒子を得る観点から、より好ましくは結晶性ポリエステル(a)の融点以上がより好ましい。
次に、前記の樹脂混合物に水性媒体を添加して、転相し、樹脂粒子(A)を含有する分散液を得る。
水性媒体としては水を主成分とするものが好ましく、樹脂の乳化安定性を向上させる観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上が更に好ましく、実質100重量%が更に好ましい。水は、脱イオン水又は蒸留水が好ましい。
水以外の成分としては、エタノール、イソプロパノール等の炭素数1〜5の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のジアルキル(炭素数1〜3)ケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が用いられる。
水性媒体を添加する際の温度は、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点以上が好ましく、均質な樹脂粒子を得る観点から、結晶性ポリエステル(a)の融点以上がより好ましい。
水性媒体の添加速度は、小粒径の樹脂粒子を得る観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部/分であること好ましく、0.1〜30重量部/分であることがより好ましく、0.5〜10重量部/分であることが更に好ましく、0.5〜5重量部/分であることが更に好ましい。転相後の水性媒体の添加速度には制限はない。
水性媒体の使用量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、150〜1500重量部がより好ましく、150〜500重量部が更に好ましい。得られる樹脂粒子分散液の安定性を向上させる観点から、その固形分濃度は、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは20〜40重量%、更に好ましくは25〜35重量%である。なお、固形分は樹脂、界面活性剤等の不揮発性成分の総量である。
得られた樹脂粒子(A)を含有する分散液中の樹脂粒子(A)の体積中位粒径は0.02〜2μmであることが好ましい。高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、0.02〜1.5μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.5μmが更に好ましい。ここで、体積中位粒径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径であり、実施例記載の方法で求められる。
また、樹脂粒子の粒度分布の変動係数(CV値)(%)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、40%以下であることが好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましく、28%以下が更に好ましい。なお、CV値は、下記式で表される値であり、実施例記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒度分布の標準偏差(μm)/体積平均粒径(μm)]×100
また、樹脂粒子(A)は、樹脂のみからなる粒子であってもよいが、トナーの粒度分布をシャープにする観点から、前記の通り、着色剤を含有する混合樹脂から得られるものであることが好ましく、すなわち着色剤を含有することが好ましく、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子であることが好ましい。
樹脂粒子(A)が着色剤含有樹脂粒子である場合、着色剤の含有量は、トナーを用いて得られる印刷物の画像濃度を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。
トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、樹脂粒子(A)に含まれるポリエステル樹脂を架橋することが好ましく、オキサゾリン基を有する化合物により架橋することがより好ましい。
オキサゾリン基を有する化合物は、分子内にオキサゾリン基を複数含有するものが好ましく、オキサゾリン基を含有するポリマーがより好ましい。オキサゾリン基を含有するポリマーの重量平均分子量は、ポリエステル樹脂との反応性を高める観点から、好ましくは500〜2,000,000、より好ましくは1,000〜1,000,000である。
オキサゾリン基を含有するポリマーの市販品としては、(株)日本触媒製のエポクロスWSシリーズ(水溶性タイプ、主鎖アクリル)、Kシリーズ(エマルションタイプ、主鎖スチレン/アクリル)等が挙げられる(いずれも商品名)。
前記オキサゾリン基を有する化合物の含有量あるいは添加量は、樹脂との架橋反応性を高め、生産性を向上させる観点から、樹脂分散液中、樹脂100重量部に対して、固形分として好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
オキサゾリン基を有する化合物を添加し、混合することにより、樹脂分散液に分散している樹脂粒子(A)に含まれるポリエステル樹脂を架橋する。混合時の温度は、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜98℃である。架橋の存在は、アミド基により確認できる。
(離型剤粒子)
離型剤粒子は、凝集性の観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、ポリカルボン酸ナトリウムが好ましい。界面活性剤を使用する場合の含有量は、凝集性および得られるトナーの帯電性の観点から、離型剤100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
離型剤粒子に用いられる離型剤は、前記トナーのコアに用いたものと同一であり、好ましい離型剤も同一である。
離型剤粒子の体積中位粒径は、トナーの帯電性を向上させ、ホットオフセットを防ぐ観点から0.1〜1μmが好ましく、0.1〜0.7μmがより好ましく、0.1〜0.5μmが更に好ましい。
離型剤粒子のCV値は、トナーの帯電性を向上させる観点から、15〜50%が好ましく、15〜40%がより好ましく、15〜35%が更に好ましい。
〔離型剤粒子の製造〕
離型剤粒子は、離型剤を水性媒体に分散して離型剤粒子の分散液として得ることが好ましい。
離型剤粒子の分散液は、離型剤と水性媒体とを、界面活性剤の存在下、離型剤の融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。用いる分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機等が好ましい。
本製造で用いる水性媒体は、樹脂混合物を得る際に用いられるものが好ましく用いられる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤が好ましく、ポリカルボン酸塩がより好ましい。
ポリカルボン酸塩の例としては、トナー作製時に凝集性を高める観点から、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリマレイン酸塩等が好ましく、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩が好ましい。塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が好ましい。
ナトリウム塩は、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸−マレイン酸共重合体のナトリウム塩、ポリマレイン酸ナトリウム等が好ましく、同様の観点から、アクリル酸−マレイン酸共重合体のナトリウム塩がより好ましい。
工程(1)において、混合分散液中、樹脂粒子(A)は、10〜40重量部が好ましく、20〜30重量部がより好ましい。水系媒体は60〜90重量部が好ましく、70〜80重量部となるように混合することがより好ましい。
また、着色剤は、トナーを用いて得られる印刷物の画像濃度を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。離型剤粒子は、トナーの離型性及び帯電性を向上させる観点から、樹脂と着色剤との合計100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部がより好ましい。
混合温度は、凝集を制御して目的の粒径の粒子を得る観点から、0〜40℃が好ましい。
(凝集)
次に、混合分散液中の粒子を凝集させて、凝集粒子(1)の分散液を得る。凝集を効率的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
凝集剤は、過剰な凝集を防ぎつつ、目的の粒径のトナーを得る目的から、電解質を用いることが好ましく、塩を用いることがより好ましい。その価数としては1〜5価が好ましく、1〜2価がより好ましく、1価が更に好ましい。すなわち、1価の塩が好ましい。
1価の塩としては、アンモニウム塩が好ましい。
凝集剤の具体例としては、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が用いられる。
無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられ、硫酸アンモニウムがより好ましい。
凝集剤の使用量は、トナーの帯電性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは30重量部以下である。また、樹脂粒子の凝集を制御して目的の粒径を得る観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、更に好ましくは5重量部以上である。以上の点を考慮して、1価の塩の使用量は、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜40重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。
凝集の方法としては、混合分散液の入った容器に、凝集剤を好ましくは水溶液として滴下する。凝集剤は一時に添加してもよいし、断続的あるいは連続的に添加してもよいが、添加時及び添加終了後には、十分な撹拌を行うことが好ましい。凝集を制御して目的の粒径を得、トナーの製造時間を短縮する観点から、凝集剤の滴下時間は1〜120分が好ましい。また、滴下温度は凝集を制御して目的の粒径を得る観点から0〜50℃が好ましい。
更に凝集を促進させ、目的の粒径及び粒度分布の凝集粒子を得る観点から、凝集剤を添加した後に分散液の温度を上げて、その温度に維持することが好ましい。維持する温度としては、50〜70℃が好ましい。
得られた凝集粒子(1)の体積中位粒径は、トナーの飛散を抑制する観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは3〜6μmである。また、CV値は、好ましくは30%以下、より好ましくは28%以下、更に好ましくは25%以下である。
<工程(2)>
工程(2)は、ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)を添加して、凝集粒子(2)を得る工程である。
本工程においては、工程(1)で得られた凝集粒子(1)の分散液に、前記グラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)の分散液を添加して、凝集粒子(1)に更に樹脂粒子(C)を付着させ、凝集粒子(2)を得ることが好ましい。
〔樹脂粒子(C)の製造方法〕
本発明に用いられるグラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)の製造方法としては、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するポリエステル樹脂(c1)(以下、樹脂(c1)ともいう)を調製し、該ポリエステル樹脂(c1)の存在下、付加重合性モノマー(c2)を付加重合する方法が好ましい。
(ポリエステル樹脂(c1))
樹脂(c1)は、主鎖に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するポリエステル樹脂であり、前記ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)を構成するのに好ましいものである。なお、「非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合」は、前記した、不飽和脂肪族ジカルボン酸及び不飽和脂環式ジカルボン酸から選ばれる1種以上に由来するものである。
樹脂(c1)の原料成分は、前記セグメント(A1)と同様であり、好適な態様も同じである。
樹脂(c1)は、原料成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物を好ましくは50モル%以上含むアルコール成分を用いて得られる。
ここで、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物は、前記セグメント(A1)と同様であり、好適な構造及び好適な含有量も同じである。
樹脂(c1)の原料成分であるアルコール成分として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物とともに、これ以外のアルコール成分を使用することができる。
その他のアルコールとしては、前記セグメント(A1)の場合と同様である。アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(c1)は、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するものであり、ポリエステルの原料成分としてのカルボン酸成分として、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸を用いる。
非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸としては、前記セグメント(A1)の場合と同様であり、好適な構造及び好適な含有量も同じであり、フマル酸がより好ましい。
カルボン酸成分中、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するジカルボン酸の含有量は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、0モル%を超えて20モル%未満であり、好ましくは0.5〜15モル%、より好ましくは1〜5モル%、更に好ましくは1〜3モル%である。
その他のカルボン酸としては、前記セグメント(A1)の場合と同様であり、好適な構造及び好適な含有量も同じであり、芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。カルボン酸は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル樹脂(c1)は、例えば、前記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、触媒を用いて縮重合をすることが好ましい。触媒としては、縮重合反応の効率を高める観点から、錫化合物、チタン化合物等が挙げられる。中でも、錫化合物が好ましく、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫、酸化ジブチル錫がより好ましい。
また、本発明においては、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸を用いるため、ラジカル重合禁止剤を用いることが好ましい。ラジカル重合禁止剤は、4−t−ブチルカテコールが好ましい。
トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、樹脂(c1)の軟化点は好ましくは80〜165℃であり、ガラス転移温度は好ましくは50〜85℃である。樹脂粒子分散液の分散安定性及びトナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、樹脂(c1)の酸価は、5〜40mgKOH/gであり、好ましくは5〜35mgKOH/g、より好ましくは10〜30mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜25mgKOH/gである。
ガラス転移温度、軟化点及び酸価はいずれも用いるモノマーの種類、配合比率、縮重合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
また、トナーの定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、樹脂(c1)の数平均分子量は、好ましくは1,000〜10,000、より好ましくは1,500〜5,000である。
(付加重合性モノマー(c2))
本発明に用いられる付加重合性モノマー(c2)は、前記の付加重合系樹脂からなるセグメント(A2)の原料モノマーとして記載したものと同じである。付加重合性モノマーとしては、スチレン、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレートが好ましい。これらのなかでも、モノマーの原料価格、トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、スチレンが好ましい。
(樹脂粒子(C)の製造)
本発明に用いられるグラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)の製造方法としては、前記の通り、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するポリエステル樹脂(c1)を調製し、該ポリエステル樹脂(c1)の存在下、付加重合性モノマー(c2)を付加重合する方法が好ましい。具体的には、樹脂(c1)とモノマー(c2)とを直接混合して重合する方法、樹脂(c1)とモノマー(c2)とを有機溶媒に溶解して重合する方法等が挙げられる。特に、本発明に用いられるグラフトポリマーは、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有する非晶質ポリエステル樹脂(c1)を調製し、該ポリエステル樹脂(c1)を水性媒体と混合して、前記ポリエステル樹脂(c1)の水性分散液を得る工程、及び該水性分散液に、付加重合性モノマー(c2)を添加し重合して、グラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)の水性分散液を得る工程を含む方法によって得ることが好ましい。
ポリエステル樹脂(c1)を水性媒体と混合して、前記ポリエステル樹脂(c1)の水性分散液を得る工程である。
分散液を得る方法は、樹脂粒子(A)と同じく、樹脂等を水性媒体に添加し、分散機を用いて分散する方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して乳化する転相乳化法等が挙げられ、得られるトナーの低温定着性を向上させる観点から、転相乳化法が好ましい。以下、転相乳化法について述べる。
まず、ポリエステル樹脂(c1)を含む樹脂、アルカリ水溶液等を溶融して混合し、樹脂混合物を得る。混合の際には、樹脂の乳化安定性を向上させる観点から、界面活性剤を添加することが好ましい。
アルカリ水溶液中のアルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等やアンモニア等が挙げられるが、樹脂の分散性向上の観点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。また、アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、1〜30重量%が好ましく、1〜25重量%がより好ましく、1.5〜20重量%が更に好ましい。
界面活性剤の種類については、前述の「樹脂微粒子(A)の製造」において説明したとおりであり、なかでもノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを重量比(ノニオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)0.5〜5で併用することが好ましい。ノニオン性界面活性剤はポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、アニオン性界面活性剤はドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、これらを併用することがより好ましい。
界面活性剤の含有量は、ポリエステル樹脂(c1)100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、0.1〜10重量部が更に好ましく、0.5〜10重量部が更に好ましい。
樹脂混合物を得る方法としては、ポリエステル樹脂(c1)、アルカリ水溶液、好ましくは界面活性剤を容器に入れ、撹拌器によって撹拌しながら、樹脂を溶融して均一に混合する方法が好ましい。
樹脂を溶融し混合する際の温度は、ポリエステル樹脂(c1)のガラス転移点以上が好ましい。
次に、前記の樹脂混合物に水性媒体を添加して、転相し、樹脂粒子(C)を含有する分散液を得る。
水性媒体の種類及び含有量については、前述の「樹脂微粒子(A)の製造」において説明したとおりである。
水性媒体を添加する際の温度は、均質な樹脂粒子を得る観点から、ポリエステル樹脂(c1)のガラス転移点以上が好ましい。
水性媒体の添加速度は、小粒径の樹脂粒子を得る観点から、転相が終了するまでは、ポリエステル樹脂(c1)100重量部に対して、0.1〜50重量部/分であること好ましく、0.1〜30重量部/分であることがより好ましく、0.5〜10重量部/分であることが更に好ましく、0.5〜5重量部/分であることが更に好ましい。転相後の水性媒体の添加速度には制限はない。
水性媒体の使用量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、ポリエステル樹脂(c1)100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、150〜1500重量部がより好ましく、150〜500重量部が更に好ましい。得られる樹脂粒子分散液の安定性を向上させる観点から、その固形分濃度は、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは20〜40重量%、更に好ましくは25〜35重量%である。なお、固形分は樹脂、界面活性剤等の不揮発性成分の総量である。
得られた分散液中のポリエステル樹脂(c1)の樹脂粒子の体積中位粒径は0.02〜2μmであることが好ましい。高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、0.02〜1.5μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.5μmが更に好ましい。
また、樹脂粒子の粒度分布の変動係数(CV値)(%)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、40%以下であることが好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましく、28%以下が更に好ましい。
次に得られた水性分散液に前記付加重合性モノマー(c2)を添加し重合して、グラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)の水性分散液を得る。
付加重合性モノマー(c2)を、ポリエステル樹脂(c1)の水性分散液に添加する。添加量は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、ポリエステル樹脂(c1)と付加重合性モノマー(c2)との重量比[ポリエステル樹脂(c1)/付加重合性モノマー(c2)]で、好ましくは60/40〜95/5であり、より好ましくは60/40〜90/10、より好ましくは65/35〜83/17、更に好ましくは65/35〜75/25である。
また、撹拌の効率の点から、水等を更に加えてもよい。
更に、ポリエステル樹脂(c1)の存在下、付加重合性モノマー(c2)を重合する。
重合には、任意のラジカル重合開始剤、架橋剤等を必要に応じて添加する。ラジカル重合開始剤としては、水溶性のラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、過硫酸塩を用いることがより好ましい。
前記のポリエステル樹脂(c1)と付加重合性モノマー(c2)とを含有する混合液を加熱することで重合反応を進行させる。重合温度は、用いられる重合開始剤の種類にもよるが、例えば、過硫酸ナトリウムを用いる場合には、重合反応を効率的に行う観点から、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜90℃である。
以上のようにして得られた樹脂粒子(C)の水性分散液中のグラフトポリマーのガラス転移温度は、トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜80℃、更に好ましくは60〜70℃である。また、該グラフトポリマーの軟化点は、トナーの定着可能領域及び保存安定性を向上させる観点から、110〜170℃が好ましく、120〜140℃がより好ましい。
樹脂粒子(C)の水性分散液の固形分濃度は、樹脂粒子の分散性を高め、生産性を向上させる観点から、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%、更に好ましくは20〜30重量%である。本発明の工程(2)に用いる際には前記の濃度に調整して水性分散液として用いることが好ましい。
また、樹脂粒子(C)の水性分散液の25℃におけるpHは、樹脂粒子(C)の水性分散液の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは5〜10、より好ましくは5〜8、更に好ましくは6〜7である。
樹脂粒子(C)の水性分散液中の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、シャープな粒径分布のトナーを得て、ひいては高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、好ましくは0.02〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.80μm、更に好ましくは0.08〜0.50μmである。
工程(2)において、凝集粒子(1)を含有する分散液(凝集粒子(1)分散液)に樹脂粒子(C)を含有する分散液(樹脂粒子(C)分散液)を添加する前に、凝集粒子(1)分散液に水系媒体を添加して希釈してもよく、水系媒体を添加することが好ましい。水系媒体を添加し、所定の凝集剤濃度とすることで、凝集粒子(1)に樹脂粒子(C)をより均一に付着させることができる。
凝集粒子(1)分散液に樹脂粒子(C)分散液を添加するときには、凝集粒子(1)に樹脂粒子(C)を効率的に付着させるために、前記凝集剤を用いてもよい。
凝集粒子(1)分散液に樹脂粒子(C)分散液を添加する場合の好ましい添加方法としては、凝集剤と樹脂粒子(C)分散液とを同時に添加する方法、凝集剤と樹脂粒子(C)分散液とを交互に添加する方法、凝集粒子(1)分散液の温度を徐々に上げながら、樹脂粒子(C)分散液を添加する方法が挙げられる。このようにすることで、凝集剤濃度低下による凝集粒子(1)及び樹脂粒子(C)の凝集性の低下を防ぐことができる。トナーの生産性及び製造簡便性の観点から、凝集粒子(1)分散液の温度を徐々に上げながら、樹脂粒子(C)分散液を添加することが好ましい。
本工程における系内の温度は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、樹脂粒子(A)に含まれる結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低く、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点より3℃高い温度以下が好ましく、ガラス転移点以下がより好ましく、樹脂粒子(C)のガラス転移点より3℃高い温度以下が好ましく、ガラス転移点以下がより好ましい。当該温度範囲で凝集粒子(2)の製造を行うと、得られるトナーの定着可能領域が広がり、保存安定性が良好になる。その理由は定かではないが、凝集粒子(2)同士の融着が生じないために、粗大粒子の発生が抑制されることと、結晶性ポリエステル(a)の結晶性が維持できるためであると考えられる。
樹脂粒子(C)の添加量は、トナーの定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、樹脂粒子(C)と樹脂粒子(A)との重量比(樹脂粒子(C)/樹脂粒子(A))が、好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.1〜0.5、更に好ましくは0.2〜0.4となる量が好ましい。
樹脂粒子(A)に比べ、樹脂粒子(C)を少量添加することで、結晶性ポリエステル(a)と非晶質ポリエステル(b)が混合された、本発明のトナーのコア部分の効果を十分に発現することができ、更に高温での定着性を向上させ、耐熱保存性も向上させることができる。
樹脂粒子(C)分散液は、一定の時間をかけて連続的に添加してもよく、一時に添加してもよく、複数回に分割して添加してもよいが、一定の時間をかけて連続的に添加するか、複数回に分割して添加することが好ましい。前記のように添加することで、樹脂粒子(C)が凝集粒子(1)に選択的に付着しやすくなる。なかでも選択的な付着を促進する観点及び製造を効率的に行う観点から一定の時間を掛けて連続的に添加することが好ましい。連続的に添加する場合の時間は、均一な凝集粒子(2)を得る観点および製造時間を短縮する観点から、1〜10時間が好ましく、2〜7時間がより好ましい。
樹脂粒子(C)の全量を添加し、トナーとして適度な粒径に成長したところで凝集を停止させる。
凝集を停止させる粒径としては、体積中位粒径が、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは3〜9μm、更に好ましくは4〜6μmである。
凝集を停止させる方法としては、分散液を冷却する方法、凝集停止剤を添加する方法、分散液を希釈する方法等が挙げられるが、不必要な凝集を確実に防止する観点から、凝集停止剤を添加して凝集を停止させる方法が好ましい。
凝集停止剤としては、界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。凝集停止剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
凝集停止剤の添加量は、凝集を停止する性質の観点及びトナーへの残留を低減する観点から、系中の樹脂の総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.1〜8重量部である。凝集停止剤は、生産性を向上させる観点から、水溶液で添加することが好ましい。
工程(2)で得られる凝集粒子(2)の体積中位粒径は、トナーによって高画質の印刷物を得る観点から、1〜10μmであることが好ましく、2〜10μmがより好ましく、3〜9μmが更に好ましく、4〜6μmが更に好ましい。
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で得られた凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程であり、凝集粒子(2)中の、主として物理的にお互いに付着している状態であった各粒子が融着されて一体となり、コアシェル粒子が形成される。
融着を促進し、トナーの生産性を向上させる観点から、本工程においては、好ましくはグラフトポリマーのガラス転移点より10℃低い温度以上、より好ましくはガラス転移点以上、更に好ましくはガラス転移点より5℃高い温度以上の温度で保持する。トナーのコアシェル状態を維持し、定着可能領域を維持しつつ、保存安定性を向上させる観点から、本工程においては、好ましくはグラフトポリマーのガラス転移点より30℃高い温度以下、より好ましくは20℃高い温度以下、更に好ましくは15℃高い温度以下の温度で保持する。
グラフトポリマーのガラス転移点をTg、保持する温度をTとすると、好ましくは、T≧Tg−10℃、より好ましくはT≧Tg、更に好ましくはT≧Tg+5℃、好ましくは、T≦Tg+30℃、より好ましくはT≦Tg+20℃、更に好ましくはT≦Tg+15℃である。
また、トナーの定着可能領域を向上させる観点から、本工程においては、好ましくは結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃高い温度以下、より好ましくは融点以下の温度で保持する。
また、トナーの定着可能領域を向上させる観点から、本工程においては、好ましくは離型剤の融点以下、より好ましくは3℃低い温度以下、更に好ましくは5℃低い温度以下の温度で保持する。
本工程においては、粒子の融着を促進する観点から、好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜80℃、更に好ましくは65〜75℃で保持する。
本工程における保持時間は、粒子融着性、保存安定性、帯電性及びトナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは0.7〜18時間、更に好ましくは1〜12時間である。
高画質の画像を得る観点から、本工程で得られるコアシェル粒子の体積中位粒径は、好ましくは2〜10μm、より好ましくは2〜8μm、より好ましくは2〜7μm、更に好ましくは3〜8μm、更に好ましくは4〜6μmである。
なお、本工程で得られる融着したコアシェル粒子の平均粒径は、凝集粒子(2)の平均粒径以下であることが好ましい。すなわち、本工程において、コアシェル粒子同士の凝集、融着が生じないことが好ましい。
<後処理工程>
本発明においては、工程(3)の後に後処理工程を行ってもよく、コアシェル粒子を単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。
工程(3)で得られたコアシェル粒子は、水性媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。樹脂粒子(A)及び(C)の製造の際にノニオン性界面活性剤を用いた場合、添加したノニオン性界面活性剤も除去することが好ましいため、ノニオン性界面活性剤の曇点以下で水性溶液により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましいが、乾燥時の温度は、コアシェル粒子自体の温度が結晶性ポリエステルの融点より5℃以上低くなるようにすることが好ましく、10℃以上低くなるようにすることがより好ましい。乾燥方法としては、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等を用いることが好ましい。乾燥後の水分含量は、トナーの飛散を抑制し、帯電性を向上させる観点から、1.5重量%以下に調整することが好ましく、1.0重量%以下に調整することがより好ましい。
[静電荷像現像用トナー]
(トナー)
乾燥等を行うことによって得られたトナー粒子を本発明のトナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のようにトナー粒子の表面を処理したものを静電荷像現像用トナーとして用いることが好ましい。
得られたトナーの軟化点は、トナーの定着可能領域を向上させる観点から、好ましくは60〜140℃、より好ましくは60〜130℃、更に好ましくは60〜120℃である。また、ガラス転移点は、定着可能領域、保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。
本発明のトナーはコアシェル構造であり、シェル部分に、非晶質ポリエステル(c1)の全量のうち、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%を含有する。
トナーの体積中位粒径は、トナーによって高画質の印刷物を得、生産性を向上させる観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜8μm、更に好ましくは3〜7μm、更に好ましくは4〜6μmである。
トナーのCV値は、高画質の印刷物を得、生産性を向上させる観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは27%以下、更に好ましくは25%以下、更に好ましくは22%以下である。
トナーの円形度は、トナーのクリーニング性を向上させる観点から、0.955〜0.985が好ましく、0.958〜0.980がより好ましく、0.960〜0.975が更に好ましい。
トナーのBET比表面積は、トナーの保存安定性、及び高温高湿環境下での帯電保持性能を向上させる観点から、1.2〜2.5が好ましく、1.4〜2.2がより好ましく、1.6〜2.0が更に好ましい。
(外添剤)
本発明の静電荷像現像用トナーは、前記トナー粒子をトナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、外添剤による処理前のトナー粒子100重量部に対して、好ましくは1〜5重量部、より好ましくは2〜4重量部である。
本発明により得られる静電荷像現像用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
ポリエステル、樹脂粒子、トナー等の各性状値については次の方法により測定、評価した。
[ポリエステルの酸価]
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒はクロロホルムとした。
[ポリエステルの軟化点、吸熱の最大ピーク温度、融点、ガラス転移点及び結晶性指数]
(1)軟化点
フローテスター((株)島津製作所製、商品名:CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)吸熱の最大ピーク温度、融点及びガラス転移点
示差走査熱量計(PerkinElmer社製、商品名:Pyris 6 DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(1)とした。結晶性ポリエステルの時には該ピーク温度を融点とした。また、非晶質ポリエステルの場合に吸熱ピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移点とした。
(3)結晶性指数
示差走査熱量計(PerkinElmer社製、商品名:Pyris 6 DSC)を用いて、室温(20℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した試料をそのまま1分間静止させ、その後、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温した。観測されるピークのうち、ピーク面積が最大のピーク温度を吸熱の最大ピーク温度(2)として、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(2)(℃))により、結晶性指数を求めた。
[凝集粒子の体積中位粒径(D50)、体積平均粒径(Dv)及び粒度分布]
凝集粒子の体積中位粒径は以下の通り測定した。
・測定機:コールターマルチサイザーIII(商品名、ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:マルチサイザーIIIバージョン3.51(商品名、ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(商品名、ベックマンコールター社製)
・測定条件:凝集粒子を含有する試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、体積中位粒径(D50)を求めた。
また、粒度分布としてCV値(%)は、前記解析ソフトで表示される体積平均粒径(Dv)と標準偏差から下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(Dv))×100
[トナー(粒子)の体積中位粒径(D50)、体積平均粒径(Dv)及び粒度分布]
トナー(粒子)の体積中位粒径は以下の通り測定した。
測定機、アパチャー径、解析ソフト、電解液は、凝集粒子の体積中位粒径と同様のものを用いた。
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製、商品名:エマルゲン109P、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5重量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLにトナー測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、体積中位粒径(D50)を求めた。
また、粒度分布としてCV値(%)は、前記解析ソフトで表示される体積平均粒径(Dv)と標準偏差から下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(Dv))×100
[樹脂粒子、離型剤粒子の体積中位粒径(D50)及び粒度分布]
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機((株)堀場製作所製、商品名:LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定した。また、CV値は前記粒径測定機で表示される体積平均粒径と標準偏差から下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
[樹脂粒子分散液、離型剤粒子分散液の固形分濃度]
赤外線水分計((株)ケツト科学研究所製、商品名:FD−230)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、水分%を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(重量%)=100−M
M:水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[トナーの円形度]
・分散液の調製:コアシェル粒子の分散液は、コアシェル粒子の固形分濃度が0.001〜0.05%になるように脱イオン水で希釈して調製した。また、トナーの分散液は、5重量%ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P)水溶液5mlにトナー50mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させたのち、蒸留水20mlを添加し、さらに超音波分散機にて1分間分散させて調製した。
・測定装置:フロー式粒子像分析装置(シスメックス(株)製、商品名:FPIA−3000)
・測定モード:HPF測定モード
[トナーの定着可能温度範囲評価]
(最低定着温度)
上質紙(富士ゼロックス(株)製、J紙A4サイズ)に市販のプリンタ((株)沖データ製、商品名:Microline5400)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.42〜0.48mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を90℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.5秒の速度で定着し、印刷物を得た。
同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、定着し、印刷物を得た。
印刷物の余白部分から画像部分にかけて、メンディングテープ(3M社製、商品名:Scotchメンディングテープ810、幅18mm)を軽く貼り付けた後、500gのおもりを載せ、速さ10mm/秒で1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180度、速さ10mm/秒で剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙((株)沖データ製、エクセレントホワイト紙A4サイズ)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計(GretagMacbeth社製、商品名:SpectroEye、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、これから下記の式で定着率を算出した。
定着率=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
定着率が90%以上となる温度を最低定着温度とした。
(最高定着温度)
更に同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、前記試験を行い、ホットオフセットが発生する温度まで実施した。なお、ホットオフセットとは、定着器の温度が高温の場合に、定着ローラーにトナーが付着する現象を指す。本試験では、定着ローラーが一周した際に、紙面のベタ画像上端から87mmの部分に、定着ローラーに付着したトナーが紙面に付着した場合にホットオフセットが発生したと判断した。ホットオフセットが発生しなかった定着器の最高温度を最高定着温度とした。
(定着可能温度範囲)
最高定着温度と最低定着温度の差を定着可能温度範囲とした。定着可能温度範囲が広いほど、あらゆる温度領域で定着することができ、定着性に優れる。
[トナーの保存安定性評価]
内容積100mlの広口ポリビンにトナー20gを入れて密封し、温度55℃環境下で24時間静置した。その後、25℃の温度下で密封したまま12時間以上静置して冷却した。次いで、パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製、商品名)の振動台に、目開き250μmのフルイをセットし、その上に前記トナー20gを乗せ30秒間振動を行い、フルイ上に残ったトナー重量を測定した。数値が小さいほど、トナーの保存安定性に優れることを表す。
[トナーの帯電性評価]
LL環境(10℃、20%RH)下にてトナー2.1gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径:40μm)27.9gとを50ccの円筒形ポリプロピレン製ボトル(ニッコー社製)に入れ、縦横に10回ずつ振りプレ攪拌を行った。その後、ターブラーミキサーを用いて混合時間が1時間における帯電量を、q/mメーター(EPPING社製)を用いて測定し、LL環境下での帯電量を得た。
測定機器:EPPING社製q/m−meter
設定:
メッシュサイズ:635メッシュ(目開き:24μm、ステンレス製)
ソフトブロー
ブロー圧(600V)
吸引時間:90秒
帯電量(μC/g)=90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)
測定終了後の前記現像剤をNN環境(25℃、50%RH)下に入れて、12時間保持する。その後、NN環境から取り出した現像剤をターブラーミキサーで10分攪拌した後に測定を行い、NN環境下での帯電量とした。
測定終了後の前記現像剤をHH環境(30℃、85%RH)下に入れて、12時間保持する。その後、HH環境から取り出した現像剤をターブラーミキサーで10分攪拌した後に測定を行い、HH環境下での帯電量とした。
LL環境下での帯電量とHH環境下での帯電量の差が小さいほど、高温高湿環境下での帯電保持性能に優れる。
[ポリエステルの製造]
製造例1
(結晶性ポリエステルX1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,9−ノナンジオール3936g、セバシン酸4848gを入れた。撹拌しながら、140℃に昇温し、140℃で3時間維持した後、140℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫50gを加え、更に200℃にて1時間維持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持し、結晶性ポリエステルX1を得た。物性を表1に示す。
製造例2
(非晶質ポリエステルY1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3528g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1404g、テレフタル酸1248g、ドデセニルコハク酸無水物1541g、及びジ(2−エチルヘキサン酸)錫40gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、230℃で6時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、215℃まで冷却し、大気圧に戻した後、トリメリット酸無水物300gを入れ、215℃で1時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて3時間維持させて、非晶質ポリエステルY1を得た。物性を表1に示す。
製造例3
(非晶質ポリエステルY2の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、及びジ(2−エチルヘキサン酸)25gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、230℃で5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて1時間維持した。大気圧に戻した後、220℃に冷却して、トリメリット酸無水物480gを入れた。その後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶質ポリエステルY2を得た。物性を表1に示す。
製造例4
(非晶質ポリエステルY3の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5670g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン585g、テレフタル酸2450g及びジ(2−エチルヘキサン酸)44gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて1時間維持した。大気圧に戻した後、190℃に冷却し、フマル酸42g及びトリメリット酸207gを加え、190℃の温度下で2時間維持した後に、2時間かけて210℃まで昇温した。更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて4時間維持させて、非晶質ポリエステルY3を得た。物性を表1に示す。
製造例5
(非晶質ポリエステルY4の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5670g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン585g、テレフタル酸2390g及びジ(2−エチルヘキサン酸)45gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて1時間維持した。大気圧に戻した後、180℃に冷却し、フマル酸104g及びトリメリット酸207gを加え、180℃の温度下で2時間維持した後に、2時間かけて195℃まで昇温した。更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて4時間維持させて、非晶質ポリエステルY4を得た。物性を表1に示す。
製造例6
(非晶質ポリエステルY5の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3487g、テレフタル酸1247g及びジ(2−エチルヘキサン酸)25gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて1時間維持した。大気圧に戻した後、190℃に冷却し、フマル酸411g、tert−ブチルカテコール(重合禁止剤)2.5gを加え、190℃の温度下で1時間維持した後に、2時間かけて210℃まで昇温した。更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて4時間維持させて、非晶質ポリエステルY5を得た。物性を表1に示す。
Figure 2013130824
[樹脂粒子の製造]
製造例7
(樹脂粒子分散液A−1の製造)
撹拌機を装備したフラスコに、結晶性ポリエステルX1 90g、非晶質ポリエステルY1 510g、銅フタロシアニン顔料(商品名:ECB301、大日精化工業(株)製)45g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン150、花王(株)製)8.5g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)80g、5重量%水酸化カリウム水溶液225gを入れ、撹拌しながら、98℃に昇温して溶融し、98℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、脱イオン水1118gを6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、25℃で撹拌しながら、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液((株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−700、不揮発分25重量%、アクリル主鎖)28gを添加し、その後、95℃に温度を上げ95℃で1時間保持した。次に、25℃に冷却し、得られた乳化物を200メッシュ(目開き105μm)の金網を通して、樹脂粒子分散液A−1を得た。物性を表2に示す。
製造例8
(樹脂粒子分散液B−1の製造)
内容積5リットルの反応容器に、フラスコに、非晶質ポリエステルY3 600g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)40g及び5重量%水酸化カリウム233gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1145gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を28.0重量%に調整して、樹脂粒子分散液B−1を得た。物性を表2に示す。
製造例9
(樹脂粒子分散液B−2の製造)
製造例8において、非晶質ポリエステルY3を非晶質ポリエステルY4に変更した以外は、製造例8と同様にして、樹脂粒子分散液B−2を得た。物性を表2に示す。
製造例10
(樹脂粒子分散液B−3の製造)
内容積5リットルの反応容器に、フラスコに、非晶質ポリエステルY5 186g、非晶質ポリエステルY2 414g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)40g及び5重量%水酸化カリウム239gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1139gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を28.0重量%に調整して、樹脂粒子分散液B−3を得た。物性を表2に示す。
製造例11
(樹脂粒子分散液B−4の製造)
内容積5リットルの反応容器に、フラスコに、非晶質ポリエステルY5 312g、非晶質ポリエステルY2 288g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)40g及び5重量%水酸化カリウム231gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1146gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を28.0重量%に調整して、樹脂粒子分散液B−4を得た。物性を表2に示す。
製造例12
(樹脂粒子分散液B−5の製造)
内容積5リットルの反応容器に、フラスコに、非晶質ポリエステルY5 390g、非晶質ポリエステルY2 210g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)40g及び5重量%水酸化カリウム225gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1151gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を28.0重量%に調整して、樹脂粒子分散液B−5を得た。物性を表2に示す。
製造例13
(樹脂粒子分散液B−6の製造)
内容積5リットルの反応容器に、フラスコに、非晶質ポリエステルY5 456g、非晶質ポリエステルY2 144g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)40g及び5重量%水酸化カリウム221g及び脱イオン水50gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1106gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を28.0重量%に調整して、樹脂粒子分散液B−6を得た。物性を表2に示す。
Figure 2013130824
製造例14
(樹脂粒子分散液C−1の製造)
冷却管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積2リットルの4つ口フラスコに樹脂粒子分散液B−1 857gを添加し、窒素雰囲気下、25℃で撹拌速度200r/minにて撹拌を行った。その後、スチレンを60g添加し、更に30分間混合した。次に、撹拌しながら80℃まで1時間で昇温し、開始剤として1重量%過硫酸ナトリウム水溶液を23.3g添加し3時間重合を行った。その後、更に1重量%過硫酸ナトリウム水溶液を23.3g添加し3時間混合後、25℃まで冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を23.5重量%に調整して、樹脂粒子分散液C−1を得た。物性を表3に示す。
製造例15
(樹脂粒子分散液C−2の製造)
製造例14において、樹脂粒子分散液B−1 857gを750gに、スチレン60gを90gに、2回添加した1重量%過硫酸ナトリウム水溶液23.3gをそれぞれ35.0gに変更した以外は、製造例14と同様にして、樹脂粒子分散液C−2を得た。物性を表3に示す。
製造例16
(樹脂粒子分散液C−3の製造)
製造例14において、樹脂粒子分散液B−1 857gを911gに、スチレン60gを45gに、2回添加した1重量%過硫酸ナトリウム水溶液23.3gをそれぞれ17.5gに変更した以外は、製造例14と同様にして、樹脂粒子分散液C−3を得た。物性を表3に示す。
製造例17
(樹脂粒子分散液C−4の製造)
製造例14において、樹脂粒子分散液B−1 857gを樹脂粒子分散液B−2 1018gに、スチレン60gを15gに、2回添加した1重量%過硫酸ナトリウム水溶液23.3gをそれぞれ5.8gに変更した以外は、製造例14と同様にして、樹脂粒子分散液C−4を得た。物性を表3に示す。
製造例18
(樹脂粒子分散液C−5の製造)
製造例17において、樹脂粒子分散液B−2を樹脂粒子分散液B−3に変更した以外は、製造例17と同様にして、樹脂粒子分散液C−5を得た。物性を表3に示す。
製造例19
(樹脂粒子分散液C−6の製造)
製造例17において、樹脂粒子分散液B−2を樹脂粒子分散液B−4に変更した以外は、製造例17と同様にして、樹脂粒子分散液C−6を得た。物性を表3に示す。
製造例20
(樹脂粒子分散液C−7の製造)
製造例14において、樹脂粒子分散液B−1 857gを1050gに、スチレン60gを6gに、2回添加した1重量%過硫酸ナトリウム水溶液23.3gをそれぞれ2.3gに変更した以外は、変更した以外は、製造例14と同様にして、樹脂粒子分散液C−7を得た。物性を表3に示す。
製造例21
(樹脂粒子分散液C−8の製造)
冷却管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積2リットルの4つ口フラスコに樹脂粒子分散液B−1 536g、脱イオン水314gを添加し、窒素雰囲気下、25℃で撹拌速度200r/minにて撹拌、混合を行った。その後、スチレンを150g添加し、更に30分間混合した。次に、撹拌しながら80℃まで1時間で昇温し、開始剤として10重量%過硫酸ナトリウム水溶液を5.83g添加し3時間重合を行った。その後、更に10重量%過硫酸ナトリウム水溶液を5.83g添加し3時間混合後、25℃まで冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を23.5重量%に調整して、樹脂粒子分散液C−8を得た。物性を表3に示す。
製造例22
(樹脂粒子分散液C−9の製造)
製造例14において、樹脂粒子分散液B−1を樹脂粒子分散液B−5に変更した以外は、製造例14と同様にして、樹脂粒子分散液C−9を得た。物性を表3に示す。
製造例23
(樹脂粒子分散液C−10の製造)
製造例14において、樹脂粒子分散液B−1 857gを樹脂粒子分散液B−6 1018gに、スチレン60gを15gに、2回添加した1重量%過硫酸ナトリウム水溶液23.3gをそれぞれ5.8gに変更した以外は、製造例14と同様にして、樹脂粒子分散液C−10を得た。物性を表3に示す。
Figure 2013130824
[離型剤粒子の製造]
製造例24
(離型剤粒子分散液の製造)
1リットル容のビーカーで、脱イオン水200gにポリカルボン酸ナトリウム水溶液としてアクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液(花王(株)製、商品名:ポイズ521、有効濃度40重量%)3.8gを溶解させた後、これにカルナウバワックス((株)加藤洋行製、商品名:カルナウバワックス1号、融点83℃)5g及びパラフィンワックス(日本精鑞(株)製、商品名:HNP−9、融点75℃)45gを添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させて撹拌し、カルナウバワックスとパラフィンワックスとが一体となって溶融した溶融混合物を得た。
得られた溶融混合物を含んだ水溶液を更に90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー((株)日本精機製作所製、商品名:US−600T)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却し、ここにイオン交換水を加え、離型剤固形分20重量%に調整し、離型剤粒子分散液を得た。離型剤粒子分散液中の離型剤粒子の体積中位粒径(D50)は0.45μm、CV値は30%であった。
[トナーの製造]
実施例1
(トナー1の作製)
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積3リットルの4つ口フラスコに、樹脂粒子分散液A−1 250g、脱イオン水71g、及び離型剤粒子分散液19gを温度25℃下で混合した。次に、該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム21gを脱イオン水175gに溶解した水溶液を25℃で5分かけて滴下した後、64℃まで昇温し、凝集粒子の体積中位粒径が4.8μmになるまで、64℃で保持し、凝集粒子を含む分散液(1)を得た。
前記凝集粒子分散液(1)(全量)に66gの脱イオン水を添加し、分散液の温度を54℃に冷却した。次いで、54℃の分散液を毎時1.0℃の速度で昇温しながら、樹脂粒子分散液C−1 96gを毎分0.4mlの速度で滴下し、凝集粒子分散液(2)を得た。凝集粒子分散液(2)の物性を表4に示す。また、滴下終了後の分散液の温度は58℃であった。
凝集粒子分散液(2)に、アニオン性界面活性剤(花王株式会社製、商品名:エマール(登録商標)E27C、有効濃度27重量%)15g、脱イオン水1350gを混合した水溶液を添加した。72℃まで昇温し、72℃下で4時間保持して、粒子を融着してコアシェル粒子を得た。
得られたコアシェル粒子分散液を25℃に冷却して、分散液を吸引濾過で固形分を分離した後、脱イオン水で洗浄し、33℃で乾燥を行って、トナー粒子を得た。該トナー粒子100重量部、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名:RY50、平均粒径;0.04μm)2.5重量部、及び疎水性シリカ(キャボット社製、商品名:キャボシールTS720、平均粒径;0.012μm)1.0重量部をヘンシェルミキサーに入れ、撹拌し、150メッシュのふるいを通過させてトナー1を得た。トナーの物性及び評価を表4に示す。
実施例2〜6
(トナー2〜6の作製)
実施例1において、樹脂粒子分散液C−1を表4に示す樹脂粒子分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にして、トナー2〜6を得た。トナーの物性及び評価を表4に示す。
比較例1
(トナー7の作製)
実施例1において、樹脂粒子分散液C−1 96gを樹脂粒子分散液B−1 81gと脱イオン水16gとを混合した分散液に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー7を得た。トナーの物性及び評価を表4に示す。
比較例2〜5
(トナー8〜11の作製)
実施例1において、樹脂粒子分散液C−1を表4に示すように樹脂粒子分散液C−7〜C−10に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー8〜11を得た。トナーの物性及び評価を表4に示す。
Figure 2013130824
Figure 2013130824
表4から、実施例の静電荷像現像用トナーは、比較例の静電荷像現像用トナーに比べて、いずれも広い定着可能領域と保存安定性とを両立し、高温高湿環境下での帯電保持性能に優れることがわかる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、広い定着可能領域と保存安定性とを両立し、高温高湿環境下での帯電保持性能に優れるため、電子写真法に用いられるトナーとして好適に使用できる。本発明の製造方法によれば、このような特性を有するトナーを効率的に製造することができる。

Claims (13)

  1. 結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)及び離型剤を含有するコアと、ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなるシェルを含有する静電荷像現像用トナーであって、セグメント(A1)とセグメント(A2)の重量比が95/5〜60/40であり、セグメント(A1)の構成単位の由来する原料モノマーとして、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸をセグメント(A1)のカルボン酸成分中、0モル%を超えて20モル%未満含む、静電荷像現像用トナー。
  2. 結晶性ポリエステル(a)と非晶質ポリエステル(b)の重量比率が(a)/(b)=5/95〜30/70である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有し、その両端にカルボキシ基を有するジカルボン酸が、フマル酸、マレイン酸及びテトラヒドロフタル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記付加重合系樹脂の構成単位の由来する付加重合性モノマーが、スチレン系モノマー及び/又は(メタ)アクリル酸エステルからなる、請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記付加重合性モノマーが、スチレン、メチルスチレン、ベンジルメタクリレート及びベンジルアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 結晶性ポリエステル(a)が、炭素数4〜12のα,ω−アルカンジオールと炭素数8〜12の脂肪族カルボン酸を縮重合して得られる結晶性ポリエステルである、請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 結晶性ポリエステル(a)の融点が60〜90℃である、請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 下記の工程(1)〜(3)を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
    工程(1):結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(A)並びに離型剤を含有する離型剤粒子を凝集させて、凝集粒子(1)を得る工程
    工程(2):ポリエステル樹脂からなる主鎖セグメント(A1)及び付加重合系樹脂からなる側鎖セグメント(A2)から構成されるグラフトポリマーからなる樹脂粒子(C)を添加して、凝集粒子(2)を得る工程
    工程(3):凝集粒子(2)を融着させて、コアシェル粒子を得る工程
  9. 前記グラフトポリマーが、主鎖に非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有する非晶質ポリエステル樹脂(c1)を調製し、該ポリエステル樹脂(c1)を水性媒体と混合して、前記ポリエステル樹脂(c1)の水性分散液を得る工程、及び該水性分散液に、付加重合性モノマー(c2)を添加し重合して、グラフトポリマーの水性分散液を得る工程を含む方法によって得られるものである、請求項8に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  10. 前記非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有する非晶質ポリエステル樹脂(c1)が、グラフトポリマーの水性分散液を得る工程を含む方法によって得られるものである、請求項8又は9に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  11. 工程(3)における融着させる温度が前記グラフトポリマーのガラス転移点より10℃低い温度以上の温度である、請求項8〜10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  12. 樹脂粒子(A)が着色剤を含有するものである、請求項8〜11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  13. 工程(3)が、凝集粒子(2)と、界面活性剤とを含有する水性混合液の25℃におけるpHを2.0〜6.0に調整した後及び/又は調整しながら、凝集粒子(2)を含む系の温度を前記グラフトポリマーのガラス転移点より10℃低い温度以上の温度に保持して、融着させて、コアシェル粒子を得る工程である、請求項8〜12のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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