JP2013130685A - 静電潜像現像用トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】耐高温オフセット性、耐低温オフセット性、及び保存安定性に優れる、静電潜像現像用トナーを提供すること。
【解決手段】ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、分子量3,000〜15,000の範囲にピークを有するポリエステル樹脂中に、少なくとも着色剤、電荷制御剤、及び、炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物とを、特定の比率で含有する離型剤を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーに関する。
一般に電子写真法では、静電潜像担持体(感光体)の表面をコロナ放電等により帯電させた後、レーザ等により露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成し、さらにこのトナー像を記録媒体に転写して高品質な画像を得ている。通常トナー像の形成に使用するトナーには熱可塑性樹脂等の結着樹脂に、着色剤、電荷制御剤、離型剤等を混合して混練、粉砕、分級を行い平均粒径5〜10μmのトナー粒子としたものが用いられる。そしてトナーに流動性を付与したり、トナーの帯電量の制御を行ったり、転写されずに感光体上に残留したトナーのクリーニング性を向上させたりする目的で、シリカや酸化チタン等の無機微粉末等がトナーに外添されている。
かかるトナーに関して、省エネルギー化、装置の小型等の観点から、定着ローラーを極力加熱することなく良好に定着可能な、低温定着性に優れるトナーが望まれている。しかし、低温定着性に優れるトナーは、融点やガラス転移点の低い結着樹脂や、低融点の離型剤を使用していることが多く、一般的に、高温で保存する場合に凝集しやすいことや、加熱された定着ローラーにトナーが融着することによるオフセットが生じやすい問題がある。
かかる、課題を解決するために種々の検討が行われており、例えば、炭化水素系ワックスであって、示差走査熱量計(DSC)による測定において、低温側の吸熱ピークPが55〜90℃にあり、高温側の吸熱ピークPが90度を超え乃至150℃にあり、Pのピーク温度とPのピーク温度との差が15℃以上である、トナーの離型剤として使用される低融点ワックスと高融点ワックスとのワックス組成物が提案されている(特許文献1)。
特開平8−334920号公報
特許文献1に記載のワックス組成物を用いて得られるトナーによれば、確かに、低温定着性と、耐高温オフセット性とに優れたトナーを得やすい。しかし、特許文献1に記載のワックス組成物を用いて得られるトナーでは、低融点ワックス成分の影響により、高温での保存時にトナーが凝集しやすく、耐熱保存性が低下しやすい。
また、特許文献1に記載のワックス組成物を用いて得られるトナーでは、低融点ワックスと高融点ワックスとの組合せによっては、結着樹脂中にワックスを良好に分散させにくく、耐高温オフセット性に優れる溶融特性を示すトナーが得にくい。
さらに、特許文献1では結着樹脂について十分に検討されておらず、結着樹脂の種類によっては、結着樹脂が低温で軟化・溶融しにくいことによって、低温で定着を行う際に、低温オフセット現象が発生する場合がある。
結着樹脂が低温で軟化・溶融しにくい場合、トナーを溶融・軟化させるための熱エネルギーが不足し、定着ローラーに近い側のトナーのみが軟化・溶融し、被記録媒体(紙等)付近のトナーが十分に軟化・溶融しにくい。かかる場合、定着ローラーと軟化・溶融したトナーとの間の付着力が、被記録媒体と十分に軟化・溶融していないトナーとの間の付着力を上回ることによって、定着ローラーへのトナーの付着が生じる。
そうすると、定着ローラーに付着したトナーが、被記録媒体に付着することによって、低温オフセットが生じてしまう。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、耐高温オフセット性、耐低温オフセット性、及び高温での保存安定性に優れる、静電潜像現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、分子量3,000〜15,000の範囲にピークを有するポリエステル樹脂中に、少なくとも着色剤、電荷制御剤、及び、炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物とを、特定の比率で含有する離型剤を含む、静電潜像現像用トナーにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 少なくとも、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤を含み、
前記結着樹脂はポリエステル樹脂であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される質量基準の分子量分布において、分子量3,000〜15,000の範囲にピークを有し、
前記離型剤は、炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物とを含有し、
前記離型剤全量に対する、前記第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が5〜45質量%であり、前記第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が20〜70質量%であり、前記第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が15〜45質量%である、静電潜像現像用トナー。
(2) 前記結着樹脂中での、前記離型剤の分散径が50〜200nmである、(1)記載の静電潜像現像用トナー。
(3) 前記結着樹脂は、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、前記ピークの半値幅が3500以下である、(1)又は(2)記載の静電潜像現像用トナー。
(4) 前記ピークの半値幅が3200〜3500である、(3)記載の静電潜像現像用トナー。
本発明によれば、耐高温オフセット性、耐低温オフセット性、及び保存安定性に優れる、静電潜像現像用トナーを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の静電潜像現像用トナー(以下、トナーともいう)は、少なくとも、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤を含み、結着樹脂はポリエステル樹脂であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、分子量3,000〜15,000の範囲にピークを有し、離型剤は、炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物とを含有し、離型剤全量に対する、前記第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が5〜45質量%であり、前記第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が20〜70質量%であり、前記第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が15〜45質量%である。また、本発明のトナーは、その表面に外添剤が付着したものであってもよい。さらに、本発明のトナーは、キャリアと混合して2成分現像剤として用いることもできる。以下、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、外添剤、トナーを2成分現像剤とする場合のキャリア、静電潜像現像用トナーの製造方法について順に説明する。
〔結着樹脂〕
本発明の静電潜像現像用トナーは結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる。ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合や共縮重合によって得られるものを使用できる。ポリエステル樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。
アルコール成分としては2価又は3価以上のアルコールを使用できる。2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上のアルコール類が挙げられる。
カルボン酸成分としては2価又は3価以上のカルボン酸を使用できる。2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキル又はアルケニルコハク酸等の2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
結着樹脂として用いられるポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される質量基準の分子量分布において、分子量3,000〜15,000の範囲にピークを有する。結着樹脂の分子量分布は以下のようにして測定する。
<GPC測定方法>
室温で結着樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、濾過してサンプル溶液を得る。サンプル溶液を、THFに可溶な成分の濃度が約0.5質量%となるように調製する。得られたサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
<測定条件>
装置:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)
カラム:TSK−GEL Super HZM−H(東ソー株式会社製)
カラム:TSK−GEL Super HZM−H 2本
TSK gurdcolumn Super HZ−H 1本
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.200ml/分
サンプル注入量:10μl
測定温度:40℃
検出器:IR検出器
検量線:標準試料(TSK standard POLYSTYREN(東ソー株式会社製))から、F−380、F−128、F−40、F−10、F−4、F−1、及びA−2500を選択して作成した。
分子量分布のピークを分子量15,000超の範囲に有する場合、トナーとしての融点が高くなるため、トナーの粘度が高くなりやすく、低温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすい。一方、分子量分布のピークを分子量3,000未満の範囲に有する場合、トナーとしての融点が低くなるため、トナーの高温での保存安定性が低下しやすく、高温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすい。
また、ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布のピークの半値幅が3500以下であるのが好ましい。ピークの半値幅が3500超である場合、高分子量成分が多くなるため、高温で形成画像を定着した場合にはオフセットを抑制しやすいものの、低分子量成分も多くなるため、トナーの高温での保存安定性が低下しやすく、低温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすい。さらに、ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布のピークの半値幅が3200〜3500であるのがより好ましい。ピークの半値幅が3200未満である場合、高分子量成分が少なくなるため、保存安定性が低下しやすく、高温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすい。
また、ポリエステル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される、ポリエステル樹脂の質量に対する、ポリエステル樹脂中の分子量100,000以上の分子の質量の比率が5重量%以上であるのが好ましい。かかる比率が5質量%未満である場合、トナーの高温での保存安定性が低下しやすく、高温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすい。
ポリエステル樹脂の分子量分布は、ポリエステル樹脂の重合反応において、反応温度や、用いるモノマーの種類や、エステル化触媒の種類や量を適宜変更することにより、分子量分布の幅、ピークの分子量、及びそのピークの半値幅を調整することができる。例えば、上記列挙したモノマーのうち、3官能基以上の多官能モノマーを用いることで、分子量分布の幅を広げることができ、それによって分子量分布のピークの半値幅を広げることができる。また、重合反応に用いるエステル化触媒としては、スズ含有触媒、三酸化アンチモン、チタン含有触媒、ジルコニウム含有触媒、ゲルマニウム含有触媒、アルカリ(土類)金属触媒、及び酢酸亜鉛等が挙げられるが、中でも、チタン含有触媒をエステル化触媒として用いることで、ポリエステル樹脂の分子量分布をシャープにすることができ、それによって、分子量分布のピークの半値幅を狭めることができる。また、エステル化触媒の量を多くすることで、ポリエステル樹脂の分子量を小さくすることができる。
ポリエステル樹脂の軟化点は、80〜150℃が好ましく、90〜140℃がより好ましい。
〔着色剤〕
本発明の静電潜像現像用トナーは結着樹脂中に着色剤を含有する。トナーに含まれる着色剤は、トナー粒子の色に合わせて、公知の顔料や染料から適宜選択される。トナーに添加する好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等の黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等の黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B等の赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC等の青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等の緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等の白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、トナーを所望の色相に調整する目的等で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。具体的には、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜7質量部がより好ましい。
〔電荷制御剤〕
本発明の静電潜像現像用トナーは、必要に応じて結着樹脂中に電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルや、トナーを所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。
電荷制御剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来よりトナーに使用されている電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディープブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を官能基として有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボキシル基を有するポリエステル系樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
正帯電性の電荷制御剤として使用できる樹脂の中では、帯電量を所望の範囲内の値に容易に調節することができる点から、4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂がより好ましい。4級アンモニウム塩を官能基として有するスチレン−アクリル系共重合樹脂の調製時に、スチレン単位と共重合させる好ましいアクリル系コモノマーの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
また、4級アンモニウム塩としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、又はジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドから第4級化の工程を経て誘導される単位が用いられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ジアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としてはジメチルメタクリルアミドが挙げられ、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの具体例としては、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドが挙げられる。また、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有重合性モノマーを重合時に併用することもできる。
負帯電性の電荷制御剤の具体例としては、例えば、有機金属錯体、キレート化合物等が挙げられる。有機金属錯体、及びキレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトナートや鉄(II)アセチルアセトナート等のアセチルアセトン金属錯体、及び、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロム等のサリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらの負帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、典型的には、トナー全量を100質量部とした場合に、1.5〜15質量部が好ましく、2.0〜8.0質量部がより好ましく、3.0〜7.0質量部が特に好ましい。電荷制御剤の使用量が過少である場合、所定の極性にトナーを安定して帯電させ難いため、形成画像の画像濃度が低下したり、画像濃度を長期にわたって維持できなくなったりする場合がある。また、かかる場合、電荷制御剤が均一にトナー中に分散し難く、形成画像でのかぶりやトナーによる潜像担持部の汚染が起こりやすくなる。電荷制御剤の使用量が過多である場合、耐環境性の悪化による、高温高湿下でのトナーの帯電不良が生じやすく、その結果として形成画像の画像不良や、トナーによる潜像担持部の汚染等が起こりやすくなる。
〔離型剤〕
静電潜像現像用トナーは、トナーの定着性を向上させ、形成画像にオフセットが発生するのを抑制する目的で、離型剤を含む。本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂中に、炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物とを含み、離型剤全量に対して、第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が5〜45質量%であり、第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が20〜70質量%であり、第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が15〜45質量%である離型剤を含有する。
離型剤中の、第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の合計の含有量は、離型剤中の第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が所定の量となる限り特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100%であるのが特に好ましい。離型剤が、第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の他に含むことができる離型剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用される離型剤から適宜選択して使用できる。第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の他の離型剤の具体例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス、ライスワックス等が挙げられる。
静電潜像現像用トナーに含まれる離型剤の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、結着樹脂100質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。離型剤の使用量が過少である場合、トナーの定着性の向上や、形成画像でのオフセットの発生の抑制について所望の効果が得られなかったり、所望する濃度の画像を形成できるトナーを得にくかったりする場合がある。離型剤の使用量が過多である場合、結着樹脂から離脱する離型剤の量が増え、トナーがブロッキングしやすくなる場合がある。
ここで、第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物、第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物、及び第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物等のエステル化合物の炭素原子数とは、各エステル化合物1分子中に含まれる全炭素原子数を示す。具体的には、カルボン酸とアルコールとを反応させて得られたカルボン酸エステル化合物の場合、前記カルボン酸由来の炭素原子数と前記アルコール由来の炭素原子数の合計である。より具体的には、例えば、炭素原子数18のオクタデカン酸と炭素原子数18のオクタデカノールとを反応させて得られたカルボン酸エステル化合物の炭素原子数は、36であり、炭素原子数18のオクタデカン酸と炭素原子数19のノナデカノールとを反応させて得られたカルボン酸エステル化合物の炭素原子数は、37である。
第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物は、3種のカルボン酸エステル化合物の中で最も炭素原子数が少ないため融点が低く、定着温度が低温であっても離型剤として好適に作用する。よって、離型剤が、離型剤全量に対して、5〜45質量%の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物を結着樹脂中に含むことによって、低温で形成画像を定着した場合にオフセットの発生を抑制できる。
一方、第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物は融点が低いため、第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が過多である場合、トナーを高温で保存する際に、第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物が結着樹脂からしみ出すことによって、トナーの高温での保存安定性が低下しやすい。
また、第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物は、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、多量に含有させると、トナー中に分散しにくくなるという傾向がある。このため、離型剤中の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が過多である場合、離型剤を、結着樹脂中に好適な分散径(好ましくは、50〜200nm)で分散させにくく、所望する濃度の画像を形成できるトナーを得にくい。
第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物は、3種のカルボン酸エステル化合物の中で最も炭素原子数が多く融点が高いため、トナーの高温での保存安定性を高めることができる。
また、第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物は、3種のカルボン酸エステル化合物の中で最も炭素原子数が多いため、トナーの調製時に、結着樹脂、離型剤等を溶融混練する際の温度での粘度が高い。このため、離型剤が15〜45質量%の第3の直鎖飽和カルボン酸エスエテル化合物を含有することにより、離型剤が結着樹脂中に好適な分散径(好ましくは、50〜200nm)を有して分散しやすい。なお、結着樹脂中の離型剤の分散径を50〜200nmとすることにより、所望する濃度の画像を形成できるトナーを得やすい。
さらに、離型剤が15〜45質量%の第3の直鎖飽和カルボン酸エスエテル化合物を含有することにより、高温条件でトナーをオフセットが生じにくい、適切な状態に軟化・溶融させることができ、高温で形成画像を定着した場合にオフセットの発生を抑制できる。
第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物は、第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物との中間の炭素原子数を有するものであり、第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物及び第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の双方と親和性が高い。このため、離型剤が、20〜70質量%の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物を含む場合、第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物が良好に相溶化されやすい。このため、離型剤中の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が過多、又は過少である場合、第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物が良好に相溶化されず、トナーの高温での保存安定性を確保しにくく、高温、及び低温で形成画像を定着した場合にオフセットの発生を抑制しにくい。また、結着樹脂中での離型剤の分散径が大きくなってしまう場合があり、所望する濃度を有する画像を形成できるトナーを得にくい。
また、静電潜像現像用トナーに含有させる離型剤は、第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の中でも、炭素原子数が44のカルボン酸エステル化合物を、離型剤全量に対して20〜47質量%含むのがより好ましい。かかる場合、低温定着性、及び高温での保存安定性に優れ、形成画像にオフセットが発生しにくいトナーを得やすい。
離型剤に含まれるカルボン酸エステル化合物の炭素原子数と、その炭素原子数のカルボン酸エステル化合物の、離型剤全量に対する含有率、すなわち、離型剤に含まれるカルボン酸エステル化合物の炭素原子数分布は、例えば、ガスクロマトグラフ装置を用いて測定することができる。具体的には、例えば、ガスクロマトグラフ装置としてGC−14B(株式会社島津製作所製)を用い、カラムとしてUltra ALLOY UA17−15M−0.25F(フロンティア・ラボ株式会社製)を用い、カラム温度を、開始温度150℃から10℃/分で320℃まで昇温させ、カラム温度を同温度に33分間保持し、インジェクション温度350℃、ディテクション温度350℃で離型剤の試料を分析することによって、離型剤の炭素原子数分布を得ることができる。
また、前記離型剤は、第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物を所定量含む範囲において、炭素原子数が16〜34の直鎖飽和モノカルボン酸と、炭素原子数が16〜34の直鎖飽和モノアルコールとをエステル化することによって得られたカルボン酸エステル化合物を含むことが好ましい。
直鎖飽和モノカルボン酸は、炭素原子数が16〜34の直鎖飽和モノカルボン酸であれば特に限定されない。炭素原子数が16〜34の直鎖飽和モノカルボン酸の具体的としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、及びテトラトリアコンタン酸等が挙げられる。これらの直鎖飽和モノカルボン酸は、2種以上を組み合わせて使用できる。
直鎖飽和モノアルコールは、炭素原子数が16〜34の直鎖飽和モノアルコールであれば、特に限定されない。炭素原子数が16〜34の直鎖飽和モノアルコールの具体例としては、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、テトラコシルアルコール、ヘキサコシルアルコール、オクタコシルアルコール、トリアコシルアルコール、ドトリアコシルアルコール、及びテトラトリアコシルアルコール等が挙げられる。これらの直鎖飽和モノアルコールは、2種以上を組み合わせて使用できる。
また、離型剤は、所定の炭素原子数の分布であれば特に制限されず、エステル化により調製されたカルボン酸エステル化合物の他に、カルナバワックス等のカルボン酸エステル化合物を含むワックスを含んでいてもよい。
離型剤の酸価は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、低いことが好ましい。離型剤の酸価は、具体的には、7mgKOH/g以下が好ましく、3mgKOH/g以下がより好ましい。離型剤の酸価が高すぎる場合、得られたトナーに含まれるカルボン酸成分の影響によって、トナーの帯電性、高温保存性及び耐ブロッキング性が低下する場合がある。ここで、トナー用ワックスの酸価は、日本油化学会の「1996年版基準油脂分析試験法」のJOCS 2.3.1−96に準拠の方法により測定した値である。
また、離型剤が、炭素原子数が16〜34の直鎖飽和モノカルボン酸と、炭素原子数が16〜34の直鎖飽和モノアルコールとをエステル化することによって得られたカルボン酸エステル化合物を含む場合、離型剤中の、炭素原子数24以下の直鎖飽和モノカルボン酸の残存量が少ないほうが好ましい。具体的には、離型剤中の、炭素原子数24以下の直鎖飽和モノカルボン酸の、離型剤全量に対する含有率が、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。炭素原子数24以下の直鎖飽和モノカルボン酸の含有率が高すぎると、トナーの保存安定性及び耐ブロッキング性が低下する傾向がある。ここで、離型剤中の炭素原子数24以下の直鎖飽和モノカルボン酸の含有率は、ワックスの炭素原子数分布と同様の条件で、ガスクロマトグラフィを用いて測定することができる。
また、離型剤の透明融点は、60〜82℃が好ましく、65〜80℃がより好ましい。透明融点が低すぎる場合、トナーの保存性、特に高温保存性が低下する傾向がある。また、透明融点が高すぎる場合、低温定着性が低下する場合がある。ここで、離型剤の透明融点とは、測定対象物である離型剤が透明になる温度であり、JIS K0064に準拠する方法による測定値である。
離型剤の製造方法は特に限定されず、異なる炭素原子数の複数の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物を混合したものであっても、種々の炭素原子数の直鎖飽和カルボン酸又はその誘導体を含む混合物と、種々の炭素原子数の直鎖飽和モノアルコール又はその誘導体を含む混合物とを反応させて、合成したものであってもよい。また、炭素原子数の異なる複数の種類のカルボン酸エステル化合物を調製する方法は特に限定されず、それぞれ1種類の直鎖飽和モノカルボン酸又はその誘導体と、直鎖飽和モノアルコール又はその誘導体とをエステル化することによりカルボン酸エステル化合物を用意する方法や、天然に存在するカルナバワックス等のワックスを精製処理して、単一の炭素原子数のカルボン酸エステル化合物を取得する方法等が挙げられる。カルボン酸エステル化合物の合成に使用される直鎖飽和モノカルボン酸の誘導体としては、酸塩化物等の酸ハライドが挙げられる。カルボン酸エステル化合物の合成に使用される直鎖飽和モノアルコールの誘導体としては、アセテート、プロピオネート等が挙げられる。また、天然に存在するワックスの精製処理方法としては、抽出、蒸留、濾過、晶析、カラムクロマトグラフィ等の方法を単独、又は組み合わせて実施する方法が挙げられる。炭素原子数の異なる複数種類のカルボン酸エステル化合物は、炭素原子数既知のカルボン酸エステル化合物を購入して使用することもできる。
〔外添剤〕
静電潜像現像用トナーは、トナーの流動性、保存安定性、クリーニング性等を改良する目的で外添剤をトナー粒子の表面に付着させてもよい。
外添剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
外添剤の粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、典型的には0.01〜1.0μmが好ましい。外添剤の体積固有の抵抗値は、外添剤の表面に酸化スズ及び酸化アンチモンからなる被覆層を形成し、被覆層の厚さや、酸化スズと酸化アンチモンとの比率を変えることにより調整できる。
外添剤のトナー粒子に対する使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。外添剤の使用量は、典型的には、外添剤により処理される前のトナー100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。かかる範囲の量で外添剤を使用する場合、流動性、保存安定性、クリーニング性に優れるトナーを得やすい。
〔キャリア〕
静電潜像現像用トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、キャリアとして磁性キャリアを用いるのが好ましい。
静電潜像現像用トナーを2成分現像剤とする場合の好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂により被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、コバルト等の粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金等の粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウム等のセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、ロッシェル塩等の高誘電率物質の粒子、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリア等が挙げられる。
キャリア芯材を被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、アミノ樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、電子顕微鏡により測定される粒子径で、20〜120μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
キャリアの見掛け密度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。見掛け密度は、キャリアの組成や表面構造によって異なるが、典型的には、2000〜2500kg/mが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%が好ましい。2成分現像剤中のトナーの含有量をかかる範囲とすることにより、適度な形成画像の画像濃度を維持し、トナー飛散の抑制によって画像形成装置内部の汚染や転写紙等へのトナーの付着を抑制できる。
〔静電潜像現像用トナーの製造方法〕
静電潜像現像用トナーは、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤と、必要に応じて、任意の成分とを配合した後に、粉砕・分級により所望の粒子径に調整して得られる。また、静電潜像現像用トナーは、必要に応じてその表面に外添剤を付着させたものであってもよい。
結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤と、任意の成分とを配合してトナーを製造する方法は、結着樹脂中にこれらの成分を良好に分散できる限り特に限定されない。トナーの好適な製造方法の具体例としては、結着樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤等の成分とを混合機等により混合した後、一軸又は二軸押出機等の混練機により結着樹脂と結着樹脂に配合される成分とを溶融混練し、冷却された混練物を粉砕・分級する方法が挙げられる。トナーの平均粒子径は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、一般的には5〜10μmが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーは、結着樹脂中の離型剤の分散径が50〜200nmの範囲であるのが好ましい。結着樹脂中の離型剤の分散径は、溶融混練の条件を適宜変更することにより調整できる。例えば、押出機のスクリューのパターンを混練効果の高いパターンに変更することにより、離型剤の分散径を小さくでき、スクリューのパターンを混練効果の低いパターンに変更することにより離型剤の分散径を大きくできる。また、シリンダー温度を低くすることにより、離型剤の分散径を小さく出来、シリンダー温度を高くすることにより、離型剤の分散径を大きくすることができる。シリンダー温度が高いほど、押出機内の混合物が柔らかくなり、混合物に剪断力がかかりにくくなるためである。
結着樹脂中の離型剤の分散径は、以下の方法により測定できる。
<ワックス分散径測定方法>
トナー、又はトナーの調製時に得られる溶融混練物を試料として用いる。試料がトナーである場合、電子顕微鏡観察用の包埋樹脂にトナーを包埋して樹脂塊を調製する。試料が溶融混練物である場合、例えば、ドラムフレーカー(日本コークス工業株式会社製)等の圧延装置により溶融混練物を圧延してシートを得る。得られる、樹脂塊、又はシートから、ミクロトーム(EM UC6(Leica社製))により薄片を作成する。透過型電子顕微鏡(JSM−7401F(日本電子株式会社製))により、薄片を、倍率3000倍にて観察し、画像の縮尺からワックスの分散径を測定する。なお、ワックスの分散径の測定は、分散粒子5個以上に対して行い、測定した分散径の平均値をワックスの分散径とする。なお、試料がトナーである場合には、任意の5個以上のトナーにつき、1個ずつワックスの分散粒子の径を測定して平均径を求める。ワックスの分散粒子の径には、大きなバラツキはなく、5個以上の分散粒子について測定することにより問題のない平均径を算出できる。
また、外添剤をトナーの表面に付着させる方法は特に限定されず、従来知られる方法から適宜選択できる。具体的には、外添剤の粒子がトナーに埋め込まれないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサー等の混合機によって、外添剤による処理が行われる。
以上説明した本発明の静電潜像現像用トナーは、耐高温オフセット性、耐低温オフセット性、及び保存安定性に優れるため、種々の画像形成装置において好適に使用される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
〔調製例1〕
(ポリエステル樹脂の調製)
温度計、窒素導入管、撹拌装置、及び冷却管を備える4つ口フラスコに、ビスフェノールA(プロピレンオキサイド2.9モル付加物)12250g、ビスフェノールA(エチレンオキサイド2.0モル付加物)21125g、テレフタル酸14940g、及び酸化ジブチル錫15gを加え、窒素雰囲気下、230℃で撹拌した。得られるポリエステル樹脂が、表1に記載するポリエステル樹脂の、分子量分布のピークが存在する分子量、及びピークの半値幅となるように、反応温度等を適宜調整して、ポリエステル樹脂a〜fを得た。
得られたポリエステル樹脂a〜fの分子量分布を、前述したGPC測定方法と同様の測定方法にて、分子量分布のピークが存在する分子量、分子量分布の半値幅、及びポリエステル樹脂中の分子量100,000以上の分子の質量比率(質量%)を測定した。ポリエステル樹脂a〜fの、分子量分布のピークが存在する分子量、分子量分布の半値幅、及分子量100,000以上の分子の質量比率(質量%)を表1に記す。
Figure 2013130685
〔調製例2〕
(第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の調製)
表2に記載の飽和脂肪族モノカルボン酸と飽和脂肪族モノアルコールとを用いて、下記方法に従って、炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス1)、炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス2)、及び炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス3)を調製した。
温度計、窒素導入管、撹拌装置、及び冷却管を備える4つ口フラスコに、表2に記載の組成(炭素原子数分布)のモノカルボン酸1.34モルと、モノアルコール1.27モルとを、モノカルボン酸とモノアルコールとの総量が850gとなるように加えた。窒素気流下に、反応混合物を220℃に昇温し、副生物である水を留去しながら15時間、大気圧下で反応を行った。得られた粗エステル化合物に、トルエン20g、エタノール4g、及び粗エステル化合物の酸価の1.5倍当量に相当する濃度10質量%の水酸化カリウム水溶液を加え、70℃で30分撹拌した後に静置し、上層と下層とに分離した後に、下層(水層)を除去して、粗エステル化合物を水洗した。かかる水洗操作は、下層(水層)のpHが中性になるまで繰り返し行った。水洗後の粗エステル化合物を、1kPaの減圧条件下で180℃に加熱して溶媒を留去した後、溶融状態のエステル化合物を濾過して、カルボン酸エステル化合物を得た。
ワックス1〜3の炭素原子数の分布を以下の方法により測定したところ、ワックス1には炭素原子数32〜41のカルボン酸エステル化合物のみが含まれ、ワックス2には炭素原子数42〜46のカルボン酸エステル化合物のみが含まれ、ワックス3には炭素原子数47〜62のカルボン酸エステル化合物のみが含まれていた。
<炭素原子数分布測定方法>
ガスクロマトグラフ装置としてGC−14B(株式会社島津製作所製)を用い、カラムとしてUltra ALLOY UA17−15M−0.25F(フロンティア・ラボ株式会社製)を用いて測定を行った。カラム温度を、開始温度150℃から10℃/分で320℃まで昇温させ、カラム温度を同温度に33分間保持し、インジェクション温度350℃、ディテクション温度350℃で試料を分析した。
表2にワックス1〜ワックス3の合成に用いたモノカルボン酸、及びモノアルコールに関する、炭素原子数毎のモノカルボン酸、及びモノアルコールの含有量を示す。なお、表1に記載の、モノカルボン酸、及びモノアルコールの含有量は、モノカルボン酸、又はモノアルコールの全質量に対する質量%である。
Figure 2013130685
〔調製例3〕
調製例2で得られたワックス1〜ワックス3を、ワックス1〜ワックス3の合計質量に対して、表3に記載の比率(質量%)で混合して、ワックスA〜ワックスIを得た。
Figure 2013130685
〔実施例1〕
ポリエステル樹脂a100質量部、カーボンブラック(MA−100(三菱化学株式会社製))5質量部、電荷制御剤(N−01(オリヱント化学工業株式会社製))5質量部、及びワックスA5質量部を、ヘンシェルミキサー(20B(三井鉱山株式会社製))にて、回転数2500rpmの条件で5分間混合した。得られた混合物を、二軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))にて、回転数200rpm、シリンダー温度120℃、投入量6kg/hの条件で溶融混練した後、溶融状態の混練物を、ドラムフレーカー(三井鉱山株式会社製)により、処理速度140mm/秒、板厚3〜4mmの条件で冷却・固化した。固化した混練物を、スクリーン目開き2mmの粉砕機(ロートプレックス(アルピネ社製))により粗粉砕した後に、粉砕機(ターボミル T−250型(ターボ工業株式会社製))により微粉砕した。得られた微粉砕物を、気流式分級装置(エルボージェット,EJ−L−3(アルピネ社製))により分級して、体積平均粒子径7μmの粉砕物を得た。得られた粉砕物100質量部と、シリカ(RA200(日本アエロジル株式会社製))0.8質量部とをヘンシェルミキサー(20B(三井鉱山株式会社製))に加え、回転数2500rpmの条件で3分間混合してトナーを得た。
得られたトナーについて、以下の方法に従い、ワックス分散径、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐熱保存性について評価した。実施例1のトナーの評価結果を表3に記す。
<ワックス分散径測定方法>
トナーの調製時に得られた溶融混練物を試料として用いた。溶融混練物を、ドラムフレーカー(日本コークス工業株式会社製)により圧延してシートを得た。得られたシートから、ミクロトーム(EM UC6(Leica社製))により薄片を作成した。透過型電子顕微鏡(JSM−7401F(日本電子株式会社製))により、薄片を、倍率3000倍にて観察し、画像の縮尺からワックスの分散径を測定した。なお、ワックスの分散径の測定は、分散粒子5個以上に対して行い、測定した分散径の平均値をワックスの分散径とした。
<耐オフセット性>
用紙先端に30mm×30mmのベタ画像(トナー量は(1.5g/cm)を形成させた用紙を試験サンプルとして、ローラー/ローラー型(φ26/25)試験器(京セラミタ株式会社製のFS−C−5200DN用定着器を用いた試験器:定着ニップ幅6.2mm、線速170mm/秒)を用いて、定着温度150℃から190℃まで、10度毎に定着温度を変化させて定着させた、それぞれの試験サンプルを用い、以下の評価を行った。
(高温オフセット性評価)
180℃以上で定着されたベタ画像について、目視にて、高温オフセットの発生の有無を判断した。耐高温オフセット性の判定基準は以下の通りである。
○:高温オフセットの発生無し。
×:高温オフセットの発生有り。
(低温オフセット性評価)
160℃以下で定着されたベタ画像について、目視にて、低温オフセットの発生の有無を判断した。耐低温オフセット性の判定基準は以下の通りである。
○:低温オフセットの発生無し。
×:低温オフセットの発生有り。
<耐熱保存性評価方法>
トナー10gをガラス製サンプル瓶に秤量し、トナーの入ったサンプル瓶を、栓がされていない状態で、50℃の恒温槽(Constant Temperature Oven DKN602(ヤマト科学株式会社製))に100時間静置した。次いで、質量既知の26メッシュの篩を、パウダーテスター(TYPE PT−E 84810(ホソカワミクロン株式会社製))に取り付け、篩に高温静置後のトナーを載せ、篩前のトナーの質量を測定した。そして、レオスタット2.5の条件で20秒間トナーを篩った。次いで、篩上に残ったトナーの質量を測定し、篩い前のトナー質量に対する、篩い後の篩上のトナーの質量により、耐熱保存性を評価した。耐熱保存性の判定基準は以下の通りである。
○:メッシュ上残存トナー15質量%未満
△:メッシュ上残存トナー15〜30質量%。
×:メッシュ上残存トナー30質量%超。
〔実施例2、3、及び比較例1〜10〕
ポリエステル樹脂a100質量部に変えて、表4に記載のポリエステル樹脂を100質量部用いること、及びワックスA5質量部に変えて、表4に記載のワックスを5質量部用いることの他は、実施例1と同様にしてトナーを得た。実施例2、3、及び比較例1〜10のトナーを用いて、実施例1と同様に、ワックス分散径、耐高温オフセット性、耐低温オフセット性、及び耐熱保存性について評価した。実施例2、3、及び比較例1〜10のトナーの評価結果を表3に記す。
Figure 2013130685
Figure 2013130685
実施例1〜3によれば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、分子量3,000〜15,000の範囲にピークを有するポリエステル樹脂中に、離型剤(ワックス)全量に対する、炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス1)の含有量が5〜45質量%であり、炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス2)の含有量が20〜70質量%であり、炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス3)の含有量が15〜45質量%であるトナーは耐高温オフセット性、耐低温オフセット性、及び保存安定性に優れることが分かる。
なお、実施例1、及び実施例3のトナーは、実施例2のトナーと比較して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、ピークの半値幅が3500以下であるため、高分子量成分が少なくなりやすいものの、低分子量成分も少なくなりやすい。従って、実施例1、及び実施例3のトナーは、実施例2のトナーに比べて、保存安定性に優れることが分かる。
比較例1によれば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布のピークを分子量3,000未満の範囲に有する場合、トナーとしての融点が低くなるため、低温でのオフセットの発生を抑制できても、トナーの高温での保存安定性が低下しやすく、高温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすいことが分かる。
一方、比較例2、3によれば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布のピークを分子量15,000超の範囲に有する場合、トナーとしての融点が高くなるため、トナーの粘度が高くなりやすく、低温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすいことが分かる。
比較例4によれば、離型剤中の炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス1)の含有量が過少である場合、低温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすいことが分かる。
比較例5によれば、離型剤中の炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス2)の含有量が過少である場合、第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物が良好に相溶化されないため、トナーの高温での保存安定性が低下しやすく、高温、及び低温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすいことが分かる。
比較例6、7によれば、離型剤中の炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス3)の含有量が過少である場合、トナーの高温での保存安定性が低下しやすく、高温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすいことが分かる。
また、比較例8によれば、離型剤中の炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス1)の含有量が過多であるトナーの場合、トナーの高温での保存安定性が低下しやすく、高温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすいことが分かる。
比較例9によれば、離型剤中の炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス2)の含有量が過多である場合、第1〜第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物が良好に相溶化されないため、トナーの高温での保存安定性が低下しやすく、高温、及び低温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすいことが分かる。
比較例10によれば、離型剤中の炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物(ワックス3)の含有量が過多である場合、低温で形成画像を定着した場合にオフセットが発生しやすいことが分かる。

Claims (4)

  1. 少なくとも、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤を含み、
    前記結着樹脂はポリエステル樹脂であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される質量基準の分子量分布において、分子量3,000〜15,000の範囲にピークを有し、
    前記離型剤は、炭素原子数32〜41の第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数42〜46の第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物と、炭素原子数47〜62の第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物とを含有し、
    前記離型剤全量に対する、前記第1の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が5〜45質量%であり、前記第2の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が20〜70質量%であり、前記第3の直鎖飽和カルボン酸エステル化合物の含有量が15〜45質量%である、静電潜像現像用トナー。
  2. 前記結着樹脂中での、前記離型剤の分散径が50〜200nmである、請求項1記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記結着樹脂は、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、前記ピークの半値幅が3500以下である、請求項1又は2記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 前記結着樹脂は、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される分子量分布において、前記ピークの半値幅が3200〜3500である、請求項3記載の静電潜像現像用トナー。
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