JP2013130005A - 熱膨張性耐火組成物、シート状耐火材及び耐火構造 - Google Patents

熱膨張性耐火組成物、シート状耐火材及び耐火構造 Download PDF

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Abstract

【課題】作業環境の悪化、施工性の悪化、現場施工による品質管理の難しさといった問題点を解消することができる熱膨張性耐火組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】加熱時に膨張する耐火材に用いられる熱膨張性耐火組成物であって、ゴム系樹脂、加熱時に膨張する熱膨張成分及びホウ酸アンモニウムを含有する熱膨張性耐火組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱膨張性耐火組成物、シート状耐火材及び耐火構造に関する。
建築材料の分野においては、従来から耐火性が重要な性能の一つである。例えば、鉄骨造においては、耐火性能基準を満たすために、構造部材をなす梁、柱の鉄骨の表面を耐火性に優れた材料で被覆する方法が実施されている。
日本建築学会編集の鉄骨工事技術指針・工事現場施工編(以下、非特許文献1)には、耐火性に優れた材料としてロックウールや繊維混入けい酸カルシウム板を用いることが記載されている。また、耐火塗料も耐火材料として用いることが知られている。
「鉄骨工事技術指針・工事現場施工編」,社団法人日本建築学会,1996年2月20日,第4版,p.415−428
しかし、ロックウールは、現場で鉄骨に対してセメントや水とともに吹き付けることにより施工するが(上記非特許文献1の9.4参照)、多くの粉塵が生じるため作業環境が悪く、また形成される耐火被覆層の厚さにムラが生じやすいため品質管理が難しいという問題があった。
また、繊維混入けい酸カルシウム板を用いて鉄骨の周りを囲む方法については、厚いけい酸カルシウム板を大量のビス等で固定する必要があるため(上記非特許文献1の9.5参照)、施工性が悪く、切削時には大量の粉塵が発生するという問題があった。
さらに、耐火塗料を塗布する方法については、塗りムラが発生しやすく品質管理が難しいという問題や、所定の厚さになるまで塗装と乾燥を繰り返すため、工期が非常に長くなり施工性に劣るという問題もあった。
本発明は、従来の耐火性材料が有する作業環境の悪化、施工性の悪化、現場施工による品質管理の難しさといった問題点を解消することができる熱膨張性耐火組成物、シート状耐火材及び耐火構造を提供することを目的とする。
本発明は、加熱時に膨張する耐火材に用いられる熱膨張性耐火組成物であって、ゴム系樹脂、加熱時に膨張する熱膨張成分及びホウ酸アンモニウムを含有する熱膨張性耐火組成物を提供する。本発明者らは、ホウ酸アンモニウムが保形性に優れていることを見出し、ホウ酸アンモニウムをゴム系樹脂及び熱膨張成分とともに含有させることによって、熱膨張成分が加熱された際に飛散せず、成形性及び耐火性に優れた熱膨張性耐火組成物を得たものである。本発明の熱膨張性耐火組成物によれば、施工時における作業環境の悪化もなく、容易に曲げや切断ができるなど施工性に優れ、鉄骨にシート状に形成したものを被覆する作業で済むため、現場における品質管理にも優れたものとなる。
本発明の熱膨張性耐火組成物において、熱膨張成分は熱膨張性黒鉛であることが好ましい。熱膨張性黒鉛は加熱時に膨張する度合いが高いことから、より耐火性に優れた熱膨張性耐火組成物となる。
また、本発明は上記熱膨張性耐火組成物を含有し、シート状に成形されたシート状耐火材を提供する。本シート状耐火材は、成形性及び耐火性に優れた上記熱膨張性耐火組成物を用いるため、施工時における作業環境の悪化もなく、容易に曲げや切断ができるなど施工性に優れ、鉄骨にシート状耐火材を被覆する作業で済むため、現場における品質管理にも優れたものとなる。
さらに、本発明は、建物の構造部材と、構造部材を覆って配置される上記シート状耐火材と、を備える耐火構造を提供する。本発明の耐火構造は、成形性及び耐火性に優れた熱膨張性耐火組成物及びそのシート状耐火材を用いるため、構造部材用の耐火構造として優れた性能を有する。また、建物の構造部材は建造後の修理が極めて困難であり、建築物の長期寿命や長期安全性の観点から長期的な耐久性も求められているところ、本発明の耐火構造は、熱膨張性耐火組成物に含まれるホウ酸アンモニウムが弱アルカリ性であるため、酸性物質を含む耐火組成物に比べて耐火構造の劣化が進みにくいなど、長期的耐久性にも優れている。
本発明の耐火構造において、シート状耐火材は、厚み方向に貫通する留め具を用いて構造部材の周囲に固定されることが好ましい。シート状耐火材に含有される熱膨張性耐火組成物におけるホウ酸アンモニウムは弱アルカリ性であるため、留め具の劣化が進みにくく、構造部材からのシート状耐火材の剥離や脱落が抑制される。
本発明によれば、作業環境の悪化、施工性の悪化、現場施工による品質管理の難しさといった問題点を解消することができる熱膨張性耐火組成物、シート状耐火材及び耐火構造を提供することができる。
本発明の一実施形態であるシート状耐火材を梁に用いた耐火構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態であるシート状耐火材を梁に用いた耐火構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態であるシート状耐火材を柱に用いた耐火構造を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
本実施形態の熱膨張性耐火組成物は、ゴム系樹脂、加熱時に膨張する熱膨張成分及びホウ酸アンモニウムを含有する。
ゴム系樹脂は、特に制限されず、公知のゴム系樹脂をそのまま用いることができる。ゴム系樹脂としては、例えば、天然ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレン・酢酸ビニルゴム等が使用できる。これらのうちでも、耐老化性に優れており入手しやすく安価であるという観点から、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、が好ましい。また、これらのゴム系樹脂は、溶融温度や柔軟性等を調整するために、二種以上が併用されてもよい。
ゴム系樹脂は、本実施形態の熱膨張性耐火組成物を混練、成形する際のバインダーとして主に機能する。また、ゴム系樹脂により、熱膨張性耐火組成物を含有しシート状に成形されたシート状耐火材は容易に曲げることができ、施工性が向上する。
加熱時に膨張する熱膨張成分としては、公知のものをそのまま使用することができ、例えば、メラミン等のメラミン系化合物、尿素、チオ尿素、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N−ジニトロソ−N,N−ジメチルテレフタルアミド等のN−ニトロソ化合物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシ−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホンヒドラジド化合物、塩素化パラフィン、あるいはこれらの誘導体、熱膨張性黒鉛、ヒル石、真珠岩、黒曜石等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、二種以上併用しても良い。これらの中でも、取り扱い・入手の容易性から、メラミン等のメラミン系化合物、熱膨張性黒鉛が好ましく、熱膨張性黒鉛がより好ましい。また、加熱時の膨張倍率は、1gあたり100cc以上であることが好ましい。
熱膨張性黒鉛を用いる場合は、20〜200メッシュのものを用いることが好ましい。20メッシュよりも荒いとゴム系樹脂への混合性が悪化する傾向にあり、200メッシュよりも細かいと膨張倍率が少なくなる傾向にある。
加熱時に膨張する熱膨張成分は、加熱時に膨張することにより、本実施形態のシート状耐火材の難燃性能を高めるとともに、断熱層を形成し、火源からの距離をかせぐことで、被覆される構造部材(柱又は梁)表面の温度上昇を抑制することが可能となる。
加熱時に膨張する熱膨張成分は、ゴム系樹脂100重量部に対し、10重量部から200重量部であることが好ましく、より好ましくは15重量部から150重量部であり、さらに好ましくは20重量部から100重量部である。10重量部よりも少ないと、本実施形態のシート状耐火材を加熱した際に、膨張が不十分なために、被覆する鉄骨表面の温度上昇を抑制する効果が小さくなる傾向にある。また、200重量部よりも多いと、本実施形態の熱膨張性耐火組成物を混練してできる混練物の硬度が高くなり、成形が困難になる傾向にある。
ホウ酸アンモニウムは、例えば四ホウ酸アンモニウム水和物(NH・4HO、五ホウ酸アンモニウム水和物NH・4HO、及びこれらの無水物などが使用でき、これらの中でも五ホウ酸アンモニウム水和物NH・4HOが好ましい。
ホウ酸アンモニウムは、本実施形態のシート状耐火材が加熱され膨張した際に、熱膨張成分の保形性を高め、熱膨張成分が崩壊・剥離・脱落するのを防ぐ働きがある。また、水に溶解した場合、弱アルカリ性を示すので、熱膨張性耐火組成物に係る製造装置の錆や劣化等の影響を低減できる。
ホウ酸アンモニウムは、ゴム系樹脂100重量部に対し、70重量部から1000重量部であることが好ましく、より好ましくは100重量部から700重量部であり、さらに好ましくは150重量部から500重量部である。70重量部よりも少ないと、膨張成分の保形性を高める効果が劣る傾向にあり、1000重量部よりも多いと、本実施形態の熱膨張性耐火組成物を混練してできる混練物の硬度が高くなり、成形が困難になる傾向にある。
これらの成分の他、本実施形態の効果を低減させない範囲内で必要に応じて、例えば、充填剤、希釈剤、難燃剤、炭化剤等の各種添加剤を本実施形態の熱膨張性耐火組成物に配合することもできる。
充填剤としては例えば、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、フライアッシュ、シリカフューム、タルク、粘土、クレー、カオリン、シラス、マイカ、パーライト、珪藻土、ガラス繊維、ガラスフレーク、珪砂、珪石粉、ワラストナイト、砂、樹脂粉末(例えばEVA粉やフェノール樹脂粉など)、発泡ビーズ等が挙げられる。これらは、本実施形態のシート状耐火材が加熱され膨張された際に、骨材として残り、保形剤としてのホウ酸アンモニウムの働きを補助し、保形性を高める働きを補う。
充填剤の粒径(繊維状のものは繊維径)は1〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましい。1μm未満では保形性を補う効果が得にくくなり、100μmより大きいとゴム系樹脂への混合性が悪化しやすくなる。
希釈剤としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アルコール類、水等が挙げられる。これらは、混練時の粘性を低くし、混合性を良好にする。
難燃剤としては例えば、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、臭素化ポリスチレン、エチレンビスペンタブロモジフェニール等の臭素系難燃剤、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化脂環化合物、含塩素リン酸エステル等の塩素系難燃剤、赤リン、三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等の無機リン系難燃剤、リン酸エステル等の有機リン系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩化合物、モリブデン化合物、スズ化合物、金属酸化物等の無機系難燃剤が挙げられる。これらは、ゴム系樹脂の難燃性を高める役割を担う。
炭化剤としては例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール、デンプン、カゼイン等が挙げられる。これらは、加熱時に脱水することで炭化物を形成し、保形剤としてのホウ酸アンモニウムの働きを補助し、保形性を高める働きを補う。
さらに、本実施形態の熱膨張性耐火組成物には、公知の界面活性剤、架橋剤、製泡剤、触媒、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、ゴム軟化剤(例えばプロセスオイルやポリブテンなど)、ゴム配合油、粘着付与剤、顔料等の各種添加物も適宜含まれていてもよい。
本実施形態の熱膨張性耐火組成物は、公知のゴム練りに使われる混練装置を用いて混練することができる。混練装置としては、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が使用できる。
上記混練装置により得られる混練物は、公知のゴム成形に使われる成形装置を用いてシート状に成形することができる。成形装置としては、プレス、押出機、カレンダー成形、ロール成形等が使用できる。
ここで、酸性物質を含む耐火組成物の場合は、計量時の計量器、混練時の加圧ニーダーやバンバリーミキサーの内壁や羽根、押出時の押出機内壁や切断時の切断機が酸で劣化する恐れがある。また、面材を用いない場合はカレンダー成形時にロールが劣化する恐れもある。しかし、本実施形態の熱膨張性耐火組成物は、上述のとおり弱アルカリ性のホウ酸アンモニウムを含むため、シート成形工程などにおける劣化の問題が生じにくい点で優れる。
本実施形態のシート状耐火材の厚さは、0.5mmから10mmが好ましく、より好ましくは1mmから5mmである。シート状耐火材の厚さが0.5mm未満であると柱や梁などの構造部材を十分に耐火しにくくなる傾向にあることから好ましくなく、10mmより厚いと耐火材として高コストになる傾向にあることから好ましくない。
本実施形態のシート状耐火材は、加熱した際に主に厚み方向に膨張する。加熱時の膨張倍率は、加熱前の厚みに対し3〜30倍であることが好ましく、より好ましくは5〜20倍であり、さらに好ましくは7〜15倍である。加熱時の膨張倍率が3倍未満であると、構造部材を十分に耐火しにくくなる傾向にあることから好ましくなく、30倍より高いと構造部材への被覆を維持しにくくなる傾向にあることから好ましくない。
本実施形態のシート状耐火材は、その片面あるいは両面に面材を貼り付けることもできる。面材としては、不燃性を有するものであれば公知の物を使用できる。また、シート状耐火材が加熱膨張した際に、その膨張に追随できるように変形できるものが望ましく、アルミ箔、ガラスメッシュ付アルミ箔、ステンレス箔等の金属箔、ケイ酸カルシウム板、ケイ酸マグネシウム板、石膏ボード、木片セメント板、繊維強化セメント板等の無機物板、セラミックス紙、水酸化アルミ紙などの不燃紙、ガラス、セラミックス繊維等の不織布等が使用できる。
本実施形態のシート状耐火材に面材を貼り付ける方法としては、接着剤を用いる方法、タッカー等の機械的固定方法、圧力により密着させる方法のいずれでもよい。
本実施形態のシート状耐火材は、建物の構造部材(柱又は梁)に用いることによって、優れた耐火構造となる。以下、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるシート状耐火材を梁に用いた耐火構造を模式的に示す断面図である。図1に示すように、耐火構造20aは、構造部材である梁として設けられた鉄骨1aの外側をシート状耐火材10aが被覆しており、シート状耐火材10aの両端部分は、鉄骨1aの上部側に配置された下地2に固定部材3によって固定される。
固定部材3は、金属製の留め具、例えば鉄製のタッカーやピン、ビスなどを用いることが好ましい。固定部材3は、シート状耐火材10a及び下地2の厚み方向に貫通することによって、シート状耐火材10aを固定する。
このように、耐火構造20aは、シート状耐火材10aが鉄骨1aの外表面を被覆することにより、耐火性能に優れた耐火構造となる。すなわち、火災等により加熱されると、シート状耐火材10aが膨張し、耐火断熱層を形成する。この耐火断熱層は、本実施形態の熱膨張性耐火組成物の保形性が高いため容易に崩落しない強固なものであり、鉄骨に熱が伝わることを抑制する。
また、シート状耐火材10aと固定部材3が接触する固定部分Aにおいては、酸性物質を用いた耐火組成物を用いた場合には酸が留め具(特に金属製)やゴム系樹脂を劣化させやすいところ、本実施形態のシート状耐火材10aは弱アルカリ性のホウ酸アンモニウムを用いることから、留め具やゴム系樹脂が劣化しにくいことによりシート状耐火材10aの剥離や脱落を抑制することができるなど、長期耐久性に優れる。
図2は、本発明の一実施形態であるシート状耐火材を梁に用いた耐火構造を模式的に示す断面図である。図2に示すように、耐火構造20bは、構造部材である梁として設けられた鉄骨1aの外側をシート状耐火材10aが被覆している。シート状耐火材10aの両端部分は、鉄骨1aの上部側に配置された下地2に対して、固定部材4及び固定部材5を介して固定される。
固定部材4は、金属製の留め具、例えば鉄製のピン、ビスなどを用いることが好ましく、固定部材5は、金属製の留め具、例えば鉄製のキャップなどを用いることが好ましい。固定部材4は、一方が下地2に接着剤などで固定され、他方がシート状耐火材10aの厚み方向に貫通し、固定部材5によって固定される。
耐火構造20bも、耐火構造20aと同様に耐火性能に優れる。また、シート状耐火材10aと固定部材4が接触する固定部分Bも、本実施形態のシート状耐火材10aが弱アルカリ性のホウ酸アンモニウムを含む熱膨張性耐火組成物を用いることから、留め具や締め具、ゴム系樹脂が劣化しにくいことによりシート状耐火材10aの剥離や脱落を抑制することができるなど、長期耐久性に優れる。
図3は、本発明の一実施形態であるシート状耐火材を柱に用いた耐火構造を模式的に示す断面図である。図3に示すように、耐火構造30は、鉄骨1bの外側表面を石膏ボード6で被覆し、石膏ボード6の外側表面をシート状耐火材10bが被覆するように配置されている。ここで、シート状耐火材10bは、鉄骨1bを被覆する石膏ボード6の中央部分において固定部材3で固定されるとともに(固定部分C)、シート状耐火材10bの両端部分を重ねるようにして、固定部材3で固定される(固定部分D)。
このように、耐火構造30は、鉄骨1bをシート状耐火材10bが被覆することにより、火災等により加熱されると、シート状耐火材10bに含まれる熱膨張性耐火組成物が膨張し、耐火断熱層を形成する。ここで、本実施形態の熱膨張性耐火組成物は保形性が高いため、容易に崩落しない強固な耐火断熱層となり、鉄骨へ熱が伝わりにくくする、耐火性能に優れた耐火構造となる。また、本実施形態の熱膨張性耐火組成物は、弱アルカリ性のホウ酸アンモニウムを用いることから、固定部分C、Dにおいても留め具や樹脂が劣化しにくいことによりシート状耐火材10bの剥離や脱落を抑制することができるなど、長期耐久性に優れる。
以上、本実施形態の熱膨張性耐火組成物を用いることにより、作業環境の悪化、施工性の悪化、現場施工による品質管理の難しさといった問題点を解消することができる、耐火性能に優れたシート状耐火材を提供できる。また、建物の構造部材は建造後の修理が極めて困難であり、長期的な耐久性・安全性が求められるところ、本実施形態のシート状耐火材を用いることによって、長期耐久性に優れた耐火構造を提供することができる。
また、図1〜図3のシート状耐火材10aは、建物の構造部材(梁1a、柱1a等)に施されるものであるので、建造後の修理が極めて困難である。よって、シート状耐火材10aの剥離や脱落を抑制する必要性は極めて高い。この対策として、シート状耐火材10aを形成する熱膨張性耐火組成物は、保形剤として弱アルカリ性のホウ酸アンモニウムを用いている。この構成によれば、保形剤として酸性のものを用いる場合に比べて、固定部材3、4、5の劣化を抑制することができ、その結果、長期間に亘ってシート状耐火材10aの剥離や脱落を抑制することができる。
なお、上述した実施形態は本発明に係る熱膨張性耐火組成物、シート状耐火材及び耐火構造の実施形態を説明したものであり、本発明に係る熱膨張性耐火組成物、シート状耐火材及び耐火構造は本実施形態に記載したものに限定されるものではない。
例えば、本実施形態の熱膨張性耐火組成物及びシート状耐火材は、構造部材だけでなく、通常時に開放させ火災時に閉鎖させたい軒天井の換気スリットとして使用したり、工場生産された耐火性能のある外壁/屋根材相互の目地材や防火ドア・サッシ・シャッター等の目地材として使用することが可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた原料を以下に示す。
(ゴム系樹脂)
ブチルゴム:再生品DT999
(ホウ酸塩)
ホウ酸アンモニウム:米山化学工業、NH・4H
ホウ砂:試薬、Na・10H
無水ホウ砂:試薬、Na
ホウ酸亜鉛:早川商事、FirebrakeZB、平均粒径8.4μm
(加熱時に膨張する材料)
熱膨張性黒鉛:鈴裕化学、GREP−EG、膨張倍率180cc/g
(ゴム軟化剤)
プロセスオイル:出光興産、PA90
ポリブテン:JX日鉱日石エネルギー、HV300
(充填剤)
炭酸カルシウム:丸尾カルシウム、SuperSS、平均粒径6.8μm
ワラストナイト:巴工業、NYAD−G、繊維長600μm、繊維径40μm
珪石:珪石粉砕品、平均粒径7.3μm
EVA粉:住友化学、スミカフレックス
フェノール樹脂粉:フェノール樹脂粉砕品
(難燃剤)
水酸化アルミニウム:昭和電工、ハイジライトH21、平均粒径28μm
実施例1〜10及び比較例1〜6について、表1及び表2に示す種類及び配合量(重量部)の原料を、150mL加圧ニーダーに投入、混練し、混練物を得た。得られた混練物をプレスし、厚さ約2mmのシート状耐火材を得た。
このシート状耐火材を、100mm×100mmの大きさに切り出し、コーンカロリーメーターを用いて表面を加熱した。輻射熱は50kW/mとし、加熱時間は30分間とした。
加熱後に、シート状耐火材の膨張倍率及び保形性を測定した。膨張倍率は、試験後のシート状耐火材の厚さを試験前のシート状耐火材の厚さで除すことにより算出とした。また、保形性は、膨張部に50mm×50mm×厚さ1mmの金属板を載せ、その上から重さ100gの分銅を載せた際に、膨張部の沈みが2mm未満の場合をA(保形性あり)、2mm以上沈んでしまう場合をB(保形性なし)とした。測定結果を以下の表1及び2に示す。
Figure 2013130005
Figure 2013130005
表1に示すように、ホウ酸アンモニウムを用いた実施例1〜10のシート状耐火材は、保形性に優れていた。一方、ホウ酸アンモニウム以外のホウ酸塩を用いた比較例1〜6のシート状耐火材は、保形性に劣っていた。
1a、1b・・・鉄骨、2・・・下地、3、4、5・・・固定部材、6・・・石膏ボード、10a、10b・・・シート状耐火材。20a、20b・・・梁用耐火構造、30・・・柱用耐火構造。

Claims (5)

  1. 加熱時に膨張する耐火材に用いられる熱膨張性耐火組成物であって、
    ゴム系樹脂、加熱時に膨張する熱膨張成分及びホウ酸アンモニウムを含有する熱膨張性耐火組成物。
  2. 前記熱膨張成分が熱膨張性黒鉛である、請求項1に記載の熱膨張性耐火組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱膨張性耐火組成物を含有しシート状に成形されたシート状耐火材。
  4. 建物の構造部材と、前記構造部材を覆って配置される請求項3に記載のシート状耐火材と、を備える耐火構造。
  5. 前記シート状耐火材は、厚み方向に貫通する留め具を用いて前記構造部材の周囲に固定される請求項4に記載の耐火構造。


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