JP2013129136A - タイヤのグルービング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カッタ44は、タイヤTの外周面に縦溝Gを切削するものである。当接部52は、アーム50に設けられ、カッタ44で切削される縦溝の近傍の箇所に当接可能で外周面に当接することでカッタ44により切削される縦溝Gの深さdを決定するものである。当接部52は、アーム50側で支軸5201を介して回転可能に支持され、カッタ44で切削される縦溝Gを挟んだ外周面の箇所に当接可能な一対のローラ5202を含んで構成されている。揺動支持部54は、カッタ44がタイヤTの外周面に対して離間接近する方向に移動できるようにアーム50の基部を揺動可能に支持するものである。
【選択図】図2
Description
グルービング装置は、タイヤをその中心軸回りに回転させながら、タイヤの外周面をカッタにより切削することにより外周面の周方向に延在する縦溝を形成するものである。
この際、外周面から縦溝の底部までの距離である縦溝の深さを一定にすることが重要である。
そこで、光学式反射型変位センサーによりタイヤ外周面の振れ(外周面のタイヤ半径方向の変位量)を検出し、その検出結果に基づいてカッタ位置を補正する補正プログラムを作成しておき、次いで、この補正プログラムに基づいてカッタの位置を補正しつつカッタによる外周面の切削を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、タイヤの外周面の振れの影響を受けることなく深さが一定の縦溝を正確に形成することができると共に、構成および制御の簡素化を図る上で有利なタイヤのグルービング装置を提供することにある。
図1に示すように、タイヤのグルービング装置10は、ベース12と、タイヤ移動機構14と、タイヤ回転手段16と、支持台18と、タイヤ切削手段20と、第1の角度調整手段22と、温度調整手段24と、制御手段26とを含んで構成されている。
ベース12の後部に左右方向に延在する2本の第1のガイドレール28が設けられている。
タイヤ移動機構14は、可動フレーム30と、タイヤ支持部32と、第1、第2の駆動部34、36とを備えている。
底壁3002には、2つの第1のスライド部材38が設けられ、これら第1のスライド部材38が2本の第1のガイドレール28と係合することにより可動フレーム30が第1のガイドレール28に沿って左右方向に移動可能に支持されている。
前壁3004には、上下方向に延在する第2のガイドレール40が設けられている。
タイヤ支持部32は、第2のスライド部材42を備え、第2のスライド部材42が第2のガイドレール40に係合することによりタイヤ支持部32が第2のガイドレール40に沿って上下方向に移動可能に支持されている。
第1の駆動部34は、例えば、左右方向に延在しベース12上に設けられた送りねじ3402と、該送りねじ3402に螺合され可動フレーム30の底壁3002に設けられた雌ねじ部材3404と、送りねじを正逆方向に回転駆動する第1モータ3406などで構成するなど、従来公知の様々な構造が採用可能である。
第1モータ3406の回転方向、回転量が後述する制御手段26によって制御されることにより可動フレーム30の左右方向の位置が決定される。
第2の駆動部36は、例えば、上下方向に軸心を向けて前壁3004上に設けられた送りねじ3602と、該送りねじに螺合されタイヤ支持部32に設けられた不図示の雌ねじ部材と、送りねじ3602を正逆方向に回転駆動する第2のモータ3604で構成するなど、従来公知の様々な構造が採用可能である。
第2のモータ3604の回転方向、回転量が後述する制御手段26によって制御されることによりタイヤ支持部32の上下方向の位置が決定される。
タイヤ回転手段16は、第3のモータ1602と、第3のモータ1602およびタイヤ支持部32の間に設けられた不図示の減速機構と、タイヤTに装着され前記減速機構に連結されたスピンドルで構成するなど、従来公知の様々な構造が採用可能である。
第3のモータ1602の回転数が後述する制御手段26によって制御されることにより、第3のモータ1602の回転駆動力が減速機構を介してタイヤ支持部32に伝達されてタイヤTが所定の回転数で回転駆動される。
タイヤ切削手段20は、支持台18の上部に設けられており、タイヤ回転手段16により回転されるタイヤTの外周面をカッタ44により切削することにより外周面の周方向に延在する縦溝G(図4)を形成するものである。
本実施の形態では、タイヤ切削手段20は、1軸ステージ46と、ホルダ48と、アーム50と、カッタ44と、当接部52と、揺動支持部54と、付勢手段56と、ロール手段(不図示)とを含んで構成されている。
第4のモータ4606の回転方向、回転量が後述する制御手段26によって制御されることにより、可動体4604の前後方向の位置が決定される。
アーム50は、前後方向に延在し、先部でカッタ44を保持している。
アーム50の基部は、支軸5402を介して回転軸5401の先部に揺動可能に取着されている。
タイヤTの外周面を切削する方向に対して最も先頭に位置する刃部4402の箇所が刃先4404となっている。
すなわち、当接部52がタイヤTの外周面に当接することでカッタ44のタイヤ半径方向における位置がタイヤTの外周面の振れに正確に追従することになる。
本実施の形態では、当接部52は、アーム50側で支軸5201を介して回転可能に支持され、カッタ44で切削される縦溝Gを挟んだ外周面の箇所に当接可能な一対のローラ5202を含んで構成されている。
当接部52には、当接部52を外周面に当接させる方向の力が作用する。この力は、カッタ44がタイヤTの外周面を切削する際に発生する外周面に食い込もうとする力と、後述する付勢手段56による付勢力とを含む。
本実施の形態では、揺動支持部54は、ホルダ48、回転軸5401、支軸5402を含んで構成されている。
本実施の形態では、付勢手段56は、支軸5402の回りに巻装され、両端が揺動支持部54とアーム50とに係合されたねじりコイルばねによって構成されている。
なお、付勢手段56は、アーム50に設けられたおもりによって構成するなど従来公知の様々な構造が採用可能である。
このように付勢手段56を設けると、付勢手段56により当接部52を外周面に当接させることで、カッタ44のタイヤ半径方向の位置を安定化させ、一定の深さdの縦溝Gを正確に形成する上で有利となる。
特に、タイヤTの外周面のゴム硬度が低い場合、あるいは、縦溝Gの深さdが浅い場合のようにカッタ44の刃部4402が外周面に食い込む方向の力を十分に得られないような場合に、タイヤ半径方向の位置を安定化させる上で有利となる。
なお、カッタ44の刃部4402が外周面に食い込む力が十分に得られ、カッタ44のタイヤ半径方向の位置が安定するならば、付勢手段56を省いても良い。
ロール手段を、回転軸5401に噛合し回転軸5401を回転させる歯車機構、該歯車機構を駆動するモータで構成するなど従来公知の様々な構造が採用可能である。
ロール手段のモータの回転方向、回転量が後述する制御手段26によって制御されることにより、カッタ44のロール方向の角度が決定される。
本明細書において、角度αとは、カッタ44によりタイヤTの外周面を切削している状態で、タイヤTの外周面を切削する方向に対して最も先頭に位置する刃部4402の刃先4404(図5)を接続する仮想平面P1と、該仮想平面P1と外周面が交差する箇所を通りタイヤ半径方向外側に延在する仮想線L1とがなす角度である。
カッタ44がタイヤTの外周面に食い込もうとする力を適切に発生させ、縦溝Gの深さ方向におけるカッタ44の位置を一定に維持して深さdが一定の縦溝Gを正確に形成するために、角度αは0度以上15度以下であることが好ましく、角度αが3度以上10度以下であることがより好ましい。
本実施の形態では、第1の角度調整手段22は、タイヤTの外周面を前記の接線方向と直交する方向に沿って移動させるタイヤ移動機構14で構成されている。なお、1軸ステージ46を前記の接線方向と直交する方向に移動させる移動機構を設け、この移動機構により当接部52を前記の接線方向と直交する方向に沿って移動させることで第1の角度調整手段22を構成してもよい。
なお、タイヤTの外周面を前記の接線方向と直交する方向に沿って移動させるとは、タイヤTの外周面を前記の接線方向と直交する方向に移動させる場合と、タイヤTの外周面を前記の接線方向と直交する方向に近似した方向に移動させる場合との双方を含み、要するに角度αを調整できるようにタイヤTの外周面を移動させる方向であればよい。
また、当接部52を前記の接線方向と直交する方向に沿って移動させるとは、当接部52を前記の接線方向と直交する方向に移動させる場合と、当接部52を前記の接線方向と直交する方向に近似した方向に移動させる場合との双方を含み、要するに角度αを調整できるようにタイヤTの外周面を移動させる方向であればよい。
すなわち、図3に示すように、第2の角度調整手段58は、当接部52が当接する外周面の箇所を、該箇所を通る接線方向に沿って移動させることで角度αを調整するものである。
この場合、第2の角度調整手段58は、当接部52を前記の接線方向(前後方向)に移動させる1軸ステージ46(図1)で構成されている。
なお、可動フレーム30を前後方向に移動させる移動機構を設け、この移動機構によりタイヤTを前記の接線方向に移動させることで第2の角度調整手段58を構成してもよい。
なお、当接部52が当接する外周面の箇所を、該箇所を通る接線方向に沿って移動させるとは、当接部52が当接する外周面の箇所を、該箇所を通る接線方向に移動させる場合と、当接部52が当接する外周面の箇所を、該箇所を通る接線方向に近似した方向に移動させる場合との双方を含み、要するに角度αを調整できるように当接部52が当接する外周面の箇所を移動させる方向であればよい。
また、タイヤTを前記の接線方向に沿って移動させるとは、タイヤTを前記の接線方向に移動させる場合と、タイヤTを前記の接線方向に近似した方向に移動させる場合との双方を含み、要するに角度αを調整できるようにタイヤTを前記の接線方向に移動させる方向であればよい。
温度調整手段24は、アーム50の先部あるいはカッタ44の箇所に設けられたヒータ2402と、該ヒータ2402の温度を検出する不図示の温度センサと、前記温度センサの検出結果に基づいてヒータ2402に供給する電流を制御することでヒータ2402の温度を予め定められた温度に制御する不図示の電流制御部などを含んで構成されている。電流制御部への温度の設定は、後述する制御手段26によって行う。
カッタ44の適切な温度は、縦溝Gの形状や、縦溝Gを形成するタイヤTの外周面のゴムの種類によって異なる。
したがって、これら縦溝Gの形状やゴムの種類に応じてカッタ44の温度を適切に制御することによって外周面の切削を安定して行う上で有利となる。
また、カッタ44の適切な温度は、タイヤTの回転軸に加わるトルクや、刃物に加わる応力によっても異なる。
したがって、トルクや応力を検知し、それらトルクや応力に応じてカッタ44の温度を適切に制御することによって外周面の切削を安定して行うことができる。
例えば、図6に示すように、トルクが大きくなるほどカッタ44の温度を高くすることによって外周面の切削を安定して行うことができる。
1)第1、第2の駆動部36、1軸ステージ46のモータの回転方向、回転量の制御を行う。
2)電流制御部への温度の設定を行う。
3)タイヤ回転手段16のモータの回転および停止の制御、回転数の制御を行う。
1)縦溝Gを形成するタイヤTをタイヤ支持部32に装着する。
2)次に、制御手段26により1軸ステージ46のモータの回転方向、回転量の制御を行うことでカッタ44に対するタイヤTの前後方向の位置決めを行う。
3)次に、制御手段26により第1の駆動部34のモータの回転方向、回転量の制御を行うことでカッタ44に対するタイヤTの幅方向の位置決めを行う。これにより縦溝GのタイヤTの幅方向における位置が決定される。
4)次に、制御手段26により前記のロール手段の回転方向、回転量の制御を行うことでカッタ44のロール方向の角度を決定する。
5)次に、制御手段26により第2の駆動部36のモータの回転方向、回転量の制御を行うことでカッタ44に対するタイヤTの径方向の位置決めを行う。この際、第2の駆動部36のモータの回転方向、回転量を制御することで第1の角度調整手段22を用いた角度αの調整を同時に行う。
なお、角度αの調整は、前述した第2の角度調整手段58により当接部52が当接する外周面の箇所を、該箇所を通る接線方向に沿って移動させることで行なっても良い。
また、角度αの調整を第1の角度調整手段22および第2の角度調整手段58の双方を同時に用いて行なっても良い。
6)次に、制御手段26により前記の電流制御部への温度の設定を行う。
7)次に、制御手段26によりタイヤ回転手段16のモータの回転を開始させ、回転数の制御を行う。
これにより、カッタ44がタイヤTの外周面を切削することで外周面に周方向に延在する縦溝Gが当接部52によって決定された深さdで形成される。
1周分の縦溝Gが形成されたならば、上記2)〜7)の手順を必要な縦溝Gが形成されるまで繰り返して実施する。
また、タイヤ切削手段20が、アーム50と、当接部52と、揺動支持部54といった簡単な構成で済むことから、構成および制御の簡素化を図る上で有利となる。
なお、当接部52を、ローラ5202で構成する代わりに、タイヤTの外周面に当接する平面あるいは曲面を有する部材で構成してもよい。しかしながら、この場合は、当接部52からタイヤTの外周面に作用する摩擦抵抗力がローラ5202の場合に比較して大きくなるため、本実施の形態のように当接部52をローラ5202で構成することが好ましい。
次に第1の実施例について説明する。
第1の実施例では、角度αを以下のように設定して縦溝Gを切削した試料を作製し、外周面の振れが縦溝Gの深さに与える影響を評価した。
実験例1:角度α=0度
実験例2:角度α=3度
図7は実験例1、図8は実験例2の評価結果を示す線図であり、横軸はタイヤ位相を示し、縦軸は振れ(タイヤ半径方向の変位量)を示す。
図7、図8において、一点鎖線はタイヤTの外周面(表面)の振れ、破線は縦溝Gの溝底の振れ、実線は外周面の振れと溝底の振れとの差分を示す。
また、図9は、実験例1、2の上記差分のP−P値(ピークトゥピーク値)と、差分の積分値を示す図、図10は図9の数値を実験例1の数値を100%としたときの指数で表示した図である。指数が小さいほど評価が良い。
図9、図10に示すように、実験例2(α=3度)は、実験例1(α=0度)に比較して差分のP−P値、差分の積分値が小さく、一定の深さdの縦溝Gを正確に形成する上で有利となっている。
次に第2の実施例について説明する。
第2の実施例では、角度αを変えて差分のP−P値と、差分の積分値とを指数で評価した。
各実験例の角度αは以下のように設定した。実験例1、2は、第1の実施例と同じ結果を流用した。
実験例1:α=0度
実験例2:α=3度
実験例3:α=2度
実験例4:α=5度
実験例5:α=10度
実験例6:α=11度
実験例7:α=15度
図11に実験例1〜7の差分のP−P値および差分の積分値の指数を示す。
図11から明らかなように、角度αが3度以上10度以下の範囲において一定の深さdの縦溝Gを正確に形成する効果が高く、角度αが0度以上3度未満の範囲あるいは角度αが10度を上回り15度以下の範囲で効果が若干低下している。
これらのことから、一定の深さdの縦溝Gを正確に形成する上で、角度αは0度以上15度以下であることが好ましく、より好ましくは角度αが3度以上10度以下であることがわかる。
Claims (8)
- タイヤを該タイヤの中心軸回りに回転させるタイヤ回転手段と、
前記タイヤ回転手段により回転される前記タイヤの外周面をカッタにより切削することにより前記外周面の周方向に延在する縦溝を形成するタイヤ切削手段とを備えるタイヤのグルービング装置であって、
前記タイヤ切削手段は、
前記カッタを保持するアームと、
前記アームに設けられ、前記カッタで切削される前記縦溝の近傍の箇所に当接可能で前記外周面に当接することで前記カッタにより切削される前記縦溝の深さを決定する当接部と、
前記カッタが前記外周面に対して離間接近する方向に移動できるように前記アームを揺動可能に支持する揺動支持部と、
を備えることを特徴とするタイヤのグルービング装置。 - 前記当接部が前記外周面に当接する方向に前記アームを付勢する付勢手段を備える、
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤのグルービング装置。 - 前記カッタは、前記タイヤの外周面を切削する方向に対して直交する平面で切断した断面形状がU字状あるいはV字状を呈する刃部を有しており、
前記カッタにより前記タイヤの外周面を切削している状態で、前記タイヤの外周面を切削する方向に対して最も先頭に位置する前記刃部の刃先を接続する仮想平面と、該仮想平面と前記外周面が交差する箇所を通り前記タイヤ半径方向外側に延在する仮想線とがなす角度をαとしたとき、前記角度αは、0度以上15度以下である、
ことを特徴とする請求項1または2記載のタイヤのグルービング装置。 - 前記角度αは、3度以上10度以下である、
ことを特徴とする請求項3記載のタイヤのグルービング装置。 - 前記当接部が当接する前記外周面の箇所を、該箇所を通る接線方向と直交する方向に沿って移動させることで前記角度αを調整する第1の角度調整手段を備える、
ことを特徴とする請求項3または4記載のタイヤのグルービング装置。 - 前記当接部が当接する前記外周面の箇所を、該箇所を通る接線方向に沿って移動させることで前記角度αを調整する第2の角度調整手段を備える、
ことを特徴とする請求項3または4記載のタイヤのグルービング装置。 - 前記当接部は、前記アーム側で回転可能に支持され、前記カッタで切削される前記縦溝を挟んだ前記外周面の箇所に当接可能な一対のローラを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載のタイヤのグルービング装置。 - 前記カッタの温度を調整する温度調整手段を設けた、
ことを特徴とする請求項1乃至7に何れか1項記載のタイヤのグルービング装置。
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