以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態としての画像形成装置及びその制御方法について説明をする。なお、本欄の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や、用語の意味等を限定するものではない。
図1に示す画像形成装置100は白黒用のプリンタ、複写機、これらの複合機に適用して好適なものであり、画像形成部7、転写部16、定着装置17、通常用及び廃棄用のトレイ24,25、転写圧接離間機構80を有して構成される。
この例では、モノクロ画像を形成する画像形成部7は、感光体ドラム4、光書き込み部8、現像器9、クリーニング部18及び帯電器19を有して構成される。感光体ドラム4は像担持体の一例を構成し、トナー像を担持する。例えば、画像形成部7では帯電器19によって感光体ドラム4が所定の電位に一様に帯電される。帯電後の感光体ドラム4には、光書き込み部8によって、画像情報に基づく静電潜像が形成される。感光体ドラム4に形成された静電潜像は現像器9によって現像され、感光体ドラム4にはトナー像が形成される。
感光体ドラム4の下方には、転写部16が配設される。転写部16は感光体ドラム4に圧着され、当該感光体ドラム4と転写部16との間に用紙Pを通して感光体ドラム4上のトナー像が用紙Pに転写される。転写部16は、例えば、転写部駆動用のモータ30、転写ベルト32、転写駆動ローラ33及び、従動ローラ34を有して構成される。転写駆動ローラ33には、従動ローラ34を介して転写ベルト32が架け渡されている。転写部16は感光体ドラム4に対して圧接及び離間が可能であって、圧接時に感光体ドラム4に形成されたトナー像を用紙Pに転写するようになされる。感光体ドラム4に残留したトナー像はクリーニング部18によって除去される。
転写部16の下方には転写圧接離間機構15が配置されている。転写圧接離間機構15は、感光体ドラム4に対し、転写部16が圧接及び離間可能な構造を有しており、例えば、転写ベルト32、転写駆動ローラ33及び従動ローラ34を一体にして上部及び下部方向へ移動可能となされている。転写圧接離間機構15は感光体ドラム4に対して転写部16を圧接し、感光体ドラム4に形成されたトナー像を用紙Pに転写するようになる。
転写部16の下流側には定着装置17が設けられる。定着装置17は転写部16によって用紙Pに転写されたトナー像を定着する。定着装置17には、図示しない加圧ローラや加熱ローラが設けられている。加圧ローラ及び加熱ローラは、用紙Pに転写されたトナー画像に熱を加えて熱定着する。
定着装置17の下流側には通常用及び廃棄用のトレイ24,25が各々設けられ、この例で、トレイ24には圧接離間後、再圧接排紙制御に対応して第1枚目から順に定着後の用紙Pが正規の出力紙として排出される。又は、第1枚目がテスト通紙としてトレイ25に廃棄された後の第2枚目から順に定着後の用紙Pが排出される。トレイ25には圧接離間後、再圧接排紙制御に対応して定着後の第1枚目の用紙Pがテスト通紙として廃棄される。
なお、図1に示すp1は、当該用紙P(1枚目:以下で前紙ともいう)を転写部16に通紙した際に、当該転写部16の駆動速度(以下で転写駆動速度という)の平均値の計測を開始する位置である。位置p1は用紙Pの搬送方向に設定される。p2は、転写駆動速度の平均値の計測を完了した位置である。区間p1−p2は、転写駆動速度の平均値を計測する区間である。p3は、次の用紙P(2枚目:以下で次紙ともいう)の先端部の位置である。
また、図中に示すL1は、光書き込み部8の光照射位置から転写部16のニップ位置に至る距離(以下で露光−転写間距離という)である。光照射位置は、光書き込み部8から感光体ドラム4へ照射された光ビームの到達位置である。L2は、位置p2及びp3間の距離であり、前紙の計測/平均速度の取得を完了した位置p2から次紙の先端位置p3に至る距離である。L3は、位置p1及びp2間の距離であり、前紙の計測/平均速度を取得する位置p1から位置p2に至る距離である。
このモノクロ用の画像形成装置100では、上述の距離L1と距離L2との間には、L1<L2のような関係が設定されている。このようなL1<L2の関係を設定すると、画像形成装置100において、前紙の転写部16の転写駆動速度の計測及び、その平均速度取得が完了した後に、光書き込み部8による露光を開始しても、次紙の先端部への画像形成が間に合う構成とすることができる。すなわち、前紙(用紙P(1枚目))の転写駆動速度の計測及び、その平均速度取得の検出結果が、詳細には、ソフト的な画像を準備する時間等も必要となるが、次紙(用紙P(2枚目))の作像に反映できる機種である。
ここで、図2を参照して、第1の実施例に係る感光体ドラム4及び転写部16における離間/再圧接後の1枚目のFB制御例について説明する。この実施例では、画像形成ジョブを実行中に、転写部16の離間及び再圧着が発生した際には、当該画像形成ジョブの最初の1枚目に記憶した平均速度を基準値として使用するようにした。この基準値は毎回の再圧着後の1枚目の平均速度ではない。
図2に示す縦軸は画像倍率であり、横軸は経過時間Tである。図中、3本の一点鎖線は、下から順に、下限画像倍率V−であり、中心画像倍率V0であり、上限画像倍率V+である。四角印は該当枚数目の用紙Pを示している。
この例の排紙制御例が適用されるのは、前紙(用紙P(1枚目))の転写駆動速度の計測及びその平均速度取得の検出結果が、次紙(用紙P(2枚目))の作像に反映できる機種である。すなわち、モノクロ用の画像形成装置100によれば、転写部16の離間及び再圧接の前後の画像形成ジョブの内容は、排紙制御条件から除外し、画像形成ジョブの開始時の最初の1枚目に記憶した転写部16の平均速度を基準値(図中I参照)とする。
更に、転写部16の離間/再圧接後の第1枚目の用紙Pを転写部16に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、記憶部6から読み出した当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内に包含される場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを通常用のトレイ24に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する(図中のII,IV参照)。
なお、転写部16の離間/再圧接後の第1枚目の用紙Pを転写部16に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、記憶部6から読み出した当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲から外れる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する(図中のIII参照)。上述の排紙制御例で、転写部16の離間/再圧接後の第1枚目の用紙Pを排出する条件を第1の再圧接転写条件とする。
第1の再圧接転写条件によれば、再圧接前後の画像形成ジョブに基づく画像に関係なく、1枚目がOKの場合は、1枚目を正規の画像形成出力としてそのまま通常用のトレイ24に排紙する。1枚目がNGの場合は、1枚目をテスト通紙として廃棄用のトレイ25に排紙し、2枚目の用紙に1枚目の画像を形成し、2枚目以降を通常用のトレイ24に排紙する。
続いて、図3を参照して、画像形成装置100における転写及び排紙制御系の構成例について説明する。図3に示す画像形成装置100の転写及び排紙制御系によれば、制御部5、記憶部6及び排紙切替部27を有して構成され、転写部駆動用のモータ30、感光体ドラム駆動用のモータ40、圧接離間駆動用のモータ150、通常用及び廃棄用のトレイ24,25を制御するようになされる。制御部5、記憶部6及びモータ30,40,150は転写制御系を構成し、排紙切替部27及びトレイ24,25は排紙制御系を構成する。
制御部5は、図1に示した感光体ドラム4や、転写圧接離間機構15、転写駆動ローラ33等の各々に対応して駆動するモータ40,150,30等の制御を行うものであり、中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)やこれを動作させるプログラムを主として構成されている。
制御部5には記憶部6が接続される。記憶部6は読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)、随時情報の書き込み読出し可能なメモリ(Random Access Memory:RAM)や、不揮発メモリを有して構成されている。記憶部6には転写制御系を制御するためのシステムプログラムや、排紙制御系を制御するための制御情報が格納される。例えば、電源がオンされると、電源オン情報を検出した制御部5は、記憶部6からシステムプログラムを読み出してRAMに展開し、転写及び排紙制御システムを起動して、当該転写及び排紙制御系を制御するようになされる。
制御部5には感光体ドラム駆動用のモータ40が接続されている。モータ40の駆動軸には、駆動力伝達機構41を介して感光体ドラム4が接続されている。モータ40は、DCブラシレスモータからなる。制御部5はモータ40に所定のトルク指令値を送信する。トルク指令値はモータ40の速度やトルクを制御するPWM信号S41からなる。
モータ40はトルク指令値に基づき駆動力伝達機構41を介して感光体ドラム4を回転する。モータ40には、図示しない回転センサが取り付けられ、回転センサはモータ40の回転を検出し、ここに検出された速度情報D40は制御部5にフィードバックされる。なお、回転センサにはホール素子などの既知のものを用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。
制御部5にはモータ40の他に、転写部駆動部の一例を構成する転写部駆動用のモータ30が接続されている。モータ30の駆動軸には、駆動力伝達機構31を介して転写駆動ローラ33が接続されている。モータ30は、DCブラシレスモータからなる。制御部5はモータ30に所定のトルク指令値を送信する。トルク指令値はモータ30の速度やトルクを制御するPWM信号S31からなる。
モータ30はトルク指令値に基づき駆動力伝達機構31を介して転写駆動ローラ33を回転する。転写ベルト32は転写駆動ローラ33の回転によって所定の方向へ回動するようになる。モータ30にも、図示しない回転センサが取り付けられ、回転センサはモータ30の回転を検出し、ここに検出された速度情報D30は制御部5にフィードバックされる。なお、回転センサにはホール素子などの既知のものを用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。
制御部5にはモータ30,40の他に圧接離間駆動用のモータ150が接続されている。モータ150の駆動軸には、駆動力伝達機構151を介して転写圧接離間機構15が接続されている。モータ150は、DCブラシレスモータからなる。制御部5はモータ150に所定の動作指令値を送信する。動作指令値は転写圧接離間機構15の圧接離間動作を制御する制御信号S51である。
モータ150は動作指令値に基づき駆動力伝達機構151を介して転写圧接離間機構15を駆動する。転写圧接離間機構15は転写部16を上方向及び下方向に移動する。転写圧接離間機構15には、図示しない位置検知センサが取り付けられ、位置検知センサは転写部16の圧接及び離間時の位置を検出し、ここに検出された圧接離間情報D15は制御部5にフィードバックされる。なお、位置検知センサには反射型や、透過型の光学検知センサなどの既知のものを用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。
制御部5には排紙切替部27が接続されている。排紙切替部27は、再圧接排紙制御時、排紙制御信号S27に基づいて排紙選択制御が行われる。排紙制御信号S27は通常用及び廃棄用のトレイ24,25を選択するための信号であって、制御部5から排紙切替部27へ出力される。
再圧接排紙制御時の排紙選択制御では、例えば、転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内となる場合は、排紙制御信号S27に基づいて通常用のトレイ24を選択して、定着装置17から通常用のトレイ24へ定着処理後の用紙Pを排紙するようになる。これにより、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙P(正規出力)を通常用のトレイ24へ排紙するようになされる。
また、転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲外となる場合は、排紙制御信号S27に基づいて廃棄用のトレイ25を選択して、定着装置17から廃棄用のトレイ25へ定着処理後の用紙Pを排紙するようになる。これにより、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規出力とせずにテスト通紙として取り扱うことができる。
制御部5は、転写部駆動用のモータ30に指令値を設定して転写ベルト32を一定速度で回転駆動する定速制御及び、転写ベルト32を一定トルクで回転駆動する定トルク制御を実行する。制御部5は、例えば、転写ベルト32を感光体ドラム4に対して離間させた状態で転写部駆動用のモータ30の定速度制御をする際に検出される定速度駆動トルクに応じて、転写ベルト32を感光体ドラム4に圧接した状態で転写部駆動用のモータ30の定トルク制御を実行する。
また、制御部5は、転写ベルト32を感光体ドラム4に圧接した後、画像形成ジョブに基づく最初の第1枚目の用紙Pを転写部16に通紙した際に計測して得られた転写部駆動用のモータ30の平均速度を基準値として所定の記憶部6に記憶する。制御部5は、第2枚目以降の用紙Pを転写部16に通紙した際に転写部駆動用のモータ30の平均速度を計測し、当該モータ30の平均速度の計測値と当該モータ30の平均速度の基準値との差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
更に、制御部5は、画像形成ジョブを実行中に、転写部16の離間及び再圧接を検出すると、第1の再圧接転写条件として、画像形成ジョブの最初の第1枚目の通紙時に記憶されていた転写部駆動用のモータ30の平均速度の基準値を記憶部6から読み出し、再圧接後、第1枚目の用紙Pを転写部16に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、記憶部6から読み出した当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内に包含されているか否かを判別する。
制御部5は当該差分が速度許容範囲から外れる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。また、制御部5は、差分が速度許容範囲内となる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを通常用のトレイ24に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
続いて、図4及び図5を参照して、画像形成装置100の転写及び排紙系における制御例について説明する。この例では、第1の再圧接転写条件が適用され、前紙(用紙P(1枚目))の転写駆動速度の計測及びその平均速度取得の検出結果が、次紙(用紙P(2枚目))の作像に反映できる機種であって、モノクロ用の画像形成装置100における転写及び排紙系を制御する場合を前提とする。
これらを制御条件にして、図4に示したステップST1で制御部5は、転写部16と感光体ドラム4とが離間した状態で、転写部16及び感光体ドラム4の回転速度が一定の速度となるように、制御部5によって感光体ドラム駆動用のモータ40及び転写部駆動用のモータ30をフィードバックによって定速制御する。このときに、転写部16と感光体ドラム4の回転速度が同じ速度となるように制御してもよい。
制御部5は、転写部駆動用のモータ30を定速制御している間に、当該モータ30の定速時駆動トルクをPWM信号に基づいて検出する。制御部5は、検出された定速時駆動トルクから平均トルク指令値を算出する。トルク指令値の決定は、この他に中心値などの適宜の方法によって決定することができ、本発明としては特定の方法に限定されるものではない。
次いで、ステップST2で制御部5は、転写部16を感光体ドラム4に圧接するべく圧接離間用のモータ150を起動する。その際に検出される定速度駆動トルクに応じて、転写ベルト32を感光体ドラム4に圧接し、この状態で転写部駆動用のモータ30の定トルク制御をする。
その後、ステップST3で、制御部5は圧接完了に伴って、圧接離間用のモータ150の動作を停止する。圧接が完了すると、ステップST4で制御部5は、感光体ドラム駆動用のモータ40の定速制御を継続し、感光体ドラム4を回動する。制御部5は、転写部駆動用のモータ30に対し、ステップST2で検出された定速時駆動トルクに応じて定トルク制御を実行する。この定トルク制御により、転写部16が回転する。このとき、制御部5は、圧接後の画像形成ジョブに基づく最初の第1枚目の用紙Pを転写部16に通紙し、その際に計測して得られる転写部駆動用のモータ30の平均速度を基準値として所定の記憶部6に記憶する。
更に、制御部5は第2枚目以降の用紙Pを転写部16に通紙して転写部駆動用のモータ30の平均速度を計測する。そして、制御部5は当該モータ30の平均速度の計測値と当該モータ30の平均速度の基準値との差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
そして、ステップST5で制御部5は画像形成ジョブを実行中に、転写部16で離間及び再圧接が行われた否かを監視する。画像形成ジョブを実行中に、転写部16で離間及び再圧接が検出されない場合は、ステップST4に戻って、次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する制御を継続する。
画像形成ジョブを実行中に、上述のステップST5で制御部5は転写部16で離間及び再圧接を検出した場合、ステップST6で離間再圧接排紙制御を実行する。例えば、図5に示すステップST11に移行する。ステップST11で制御部5は、Page1の画像を感光体ドラム4に露光し、トナー像を形成する。その後、トナー像が感光体ドラム4から用紙Pに転写される。このとき、転写部駆動用のモータ30の速度を計測する。制御部5は、当該モータ30のPWM値を更新する。
その後、ステップST12で制御部5は、転写部駆動用のモータ30の平均速度の基準値と当該モータ30の平均速度の計測値との差分が速度許容範囲内に包含されているか否かに対応して制御を分岐する。このとき、制御部5は、第1の再圧接転写条件として、画像形成ジョブの最初の第1枚目の通紙時に記憶されていた転写部駆動用のモータ30の平均速度の基準値を記憶部6から読み出し、再圧接後、第1枚目の用紙Pを転写部16に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、記憶部6から読み出した当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内に包含されているか否かを判別する。
モータ30の平均速度の基準値と当該モータ30の平均速度の計測値の差分が速度許容範囲を外れる場合は、ステップST13に移行して制御部5は、当該再圧接転写条件に応じて、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排紙する。このとき、排紙切替部27は、制御部5から出力された排紙制御信号S27に基づいて廃棄用のトレイ25を選択する。制御部5はモータ30の平均速度の基準値と当該モータ30の平均速度の計測値の差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
その後、ステップST14で制御部5は、Page1の画像[再読み込み]を感光体ドラム4に露光し、トナー像を形成する。その後、トナー像が感光体ドラム4から用紙Pに転写される。このとき、転写部駆動用のモータ30の速度を計測する。制御部5は、転写部駆動用のモータ30のPWM値を更新する。その後、ステップST16に移行する。
上述のステップST12で、転写部駆動用のモータ30の平均速度の基準値と当該モータ30の平均速度の計測値との差分が速度許容範囲内に包含される場合は、ステップST15に移行して制御部5は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され、トナー像転写後に定着され、定着後の用紙Pを通常用(正規)のトレイ24に排出する。このとき、排紙切替部27は制御部50から出力された、排紙制御信号S27に基づいて通常用のトレイ24を選択する。その後、ステップST16に移行する。
ステップST16で制御部5は、Page2の画像[以降]を感光体ドラム4に露光し、トナー像を形成する。その後、トナー像が感光体ドラム4から用紙Pに転写される。このとき、転写部駆動用のモータ30の速度を計測する。制御部5は、当該モータ30のPWM値を更新する。Page2及び当該Page2の画像以降の用紙Pはフィードバック(FB)された条件なので、全て通常用(正規)のトレイ24に排紙される。このとき、排紙切替部27は制御部5から出力された、排紙制御信号S27に基づいて通常用のトレイ24を選択する。その後、ステップST17に移行する。
ステップST17で制御部5は、画像形成動作の終了を判別する。例えば、画像形成ジョブの最終ページを示すEOF(エンド・オフ・フラグ)を検出した場合は、画像形成動作(制御)を終了する。EOFを検出していない場合は、ステップST16に戻って、画像形成処理を繰り返すようになされる。
このように第1の実施例に係る画像形成装置100によれば、転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲を外れる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規出力とせずにテスト通紙として取り扱うことができる。しかも、再圧接後、第1枚目の用紙Pを転写部16に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値だけを使用して次紙時の定トルク指令値を算出して指令値を変更できるようになる。
また、制御部5は、転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内に包含される場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを通常用のトレイ24に排出するので、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規出力として取り扱うことができる。
続いて、図6を参照して、第2の実施例としての画像形成装置200における転写系及び排紙系の構成例について説明する。この例では、2次転写部70の離間再圧接の前後の画像形成ジョブに基づく画像の同一及び不同一を用紙Pに転写する条件とし、これを第2の再圧接転写条件としたとき、画像が不同一の場合は、再圧着後の1枚目の用紙Pをテスト通紙として取り扱い、2枚目以降の用紙Pを正規の出力とするようにした。画像が同一の場合は第1の実施例と同じ内容で転写系及び排紙系を制御するようにした。
図6に示す画像形成装置200は中間転写ベルト1、転写圧接離間機構15、定着装置17、通常用及び廃棄用のトレイ24,25、画像形成部60及び2次転写部70を有して構成される。
画像形成部60は例えば、カラートナー画像を形成するために、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の各作像色毎に画像形成ユニットを備えて構成される。画像形成ユニットの各々は、感光体ドラム、帯電器、光書き込み部、現像器及びクリーニング部等を有して構成される。画像形成ユニットでは帯電器によって感光体ドラムが所定の電位に一様に帯電される。帯電後の感光体ドラムには、光書き込み部によって、画像情報に基づく静電潜像が形成される。感光体ドラムに形成された静電潜像は現像器によって現像され、感光体ドラムにはトナー像が形成される。感光体ドラムに形成されたトナー像は、中間転写ベルト1に転写される(1次転写)。感光体ドラムに残留したトナー像はクリーニング部によって除去される。
画像形成部60に隣接して、像担持体の一例を構成する中間転写ベルト1が設けられる。中間転写ベルト1は無端ベルト状を有しており、画像形成部60で形成されたトナー像を担持する。中間転写ベルト1は中間転写ローラ2、従動ローラ3や、図示しない他の従動ローラに架け渡されて回動される。
中間転写ベルト1の下方には、転写部の一例を構成する2次転写部70が配設される。2次転写部70は中間転写ベルト1に近接して配置され、中間転写ベルト1に対して圧接及び離間が可能であって、圧接時に中間転写ベルト1に担持されたトナー像を用紙Pに転写するようになされる。
2次転写部70は2次転写ローラ10、転写駆動ローラ11、従動ローラ12、2次転写ベルト13及び転写部駆動用のモータ110を有して構成される。2次転写ローラ10には、転写駆動ローラ11、従動ローラ12を介して2次転写ベルト13が架け渡されている。
2次転写ローラ10の下方には転写クリーニング部14が設けられ、転写クリーニング部14はクリーニングブレード14aを有している。クリーニングブレード14aは、2次転写ローラ10に当接され、2次転写ローラ10の表面に残留したトナー剤をクリーニング可能な構造になっている。
2次転写部70の下方には転写圧接離間機構15が配置されている。転写圧接離間機構15は、中間転写ベルト1に対し、2次転写部70が圧接及び離間可能な構造を有しており、例えば、2次転写ローラ10、転写駆動ローラ11、従動ローラ12、2次転写ベルト13及び、転写クリーニング部14を一体にして上部方向へ移動可能なようになっている。
図6に示した2次転写部70は、中間転写ベルト1に対して離間した状態である。これに対して、図7に示す2次転写部70は、中間転写ベルト1に対して圧接した状態である。転写圧接離間機構15には、既知の構成を採用することができ、本発明としては特にその構成が限定されるものではない。
2次転写部70の下流側には定着装置17が設けられる。定着装置17は2次転写部70によって用紙Pに転写されたトナー像を定着する。定着装置17には、図示しない加圧ローラや加熱ローラが設けられている。加圧ローラ及び加熱ローラは、用紙Pに転写されたトナー画像に熱を加えて熱定着する。
定着装置17の下流側には通常用及び廃棄用のトレイ24,25が各々設けられ、この例では第1の実施例と異なり、トレイ24には圧接離間後、再圧接排紙制御に対応して第1枚目がテスト通紙としてトレイ25に廃棄された後、第2枚目(第1枚目再読み込み)から順に定着後の用紙Pが排出される。トレイ25には圧接離間後、再圧接排紙制御に対応して定着後の第1枚目の用紙Pが必ずテスト通紙として廃棄される。
ここで、図8A及び図8Bを参照して、第2の実施例に係る中間転写ベルト1及び2次転写部70における離間/再圧接後の1枚目のFB制御例について説明する。この実施例では、画像形成ジョブを実行中に、2次転写部70の離間及び再圧接が発生した際には、離間及び再圧接前後の画像形成ジョブに係る画像が同一又は不同一に対応して、当該画像形成ジョブの最初の1枚目に記憶した平均速度を基準値として使用するようにした。この基準値は毎回の再圧着後の1枚目の平均速度ではない。
図8A及び図8Bに示す各々の縦軸は画像倍率であり、その横軸は経過時間Tである。図中、1本の一点鎖線は、中心画像倍率V0である。四角印は該当枚数目の用紙Pを示している。この例の排紙制御例が適用されるのは、前紙(用紙P(1枚目))の転写駆動速度の計測及びその平均速度取得の検出結果が、次紙(用紙P(2枚目))の作像に反映できない機種である。モノクロ機でも中間転写ベルト1を有した機種では、確実にフィードバック(FB)制御ができないので、この例が適用される。
例えば、中間転写ベルト1を有したタンデム型のカラー用の画像形成装置200によれば、2次転写部70の離間及び再圧接の前後の画像形成ジョブに係る画像が同一又は不同一である場合を排紙制御条件に含め、画像形成ジョブの開始時の最初の1枚目に記憶した2次転写部70の平均速度を基準値として転写排紙制御を実行する(図中I参照)。
図8Aに示すように、2次転写部70の離間及び再圧接の前後の画像形成ジョブに係る画像が同一である場合であって、2次転写部70の離間/再圧接後の第1枚目の用紙Pを2次転写部70に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、記憶部6から読み出した当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内に包含される場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを通常用のトレイ24に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する(図中のII参照)。
また、2次転写部70の離間及び再圧接の前後の画像形成ジョブに係る画像が同一である場合であって、2次転写部70の離間/再圧接後の第1枚目の用紙Pを2次転写部70に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と、記憶部6から読み出した当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲から外れる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する(図中のIII参照)。
なお、図8Bに示すように2次転写部70の離間及び再圧接の前後の画像形成ジョブに係る画像が不同一である場合は、転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲から外れる場合を含めて、当該差分に無関係に、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する(図中のII’,III参照)。上述の排紙制御例で、2次転写部70の離間/再圧接後の第1枚目の用紙Pを排出する条件を第2の再圧接転写条件とする。
第2の再圧接転写条件によれば、再圧接前後の画像形成ジョブに基づく画像が同一である場合であって、1枚目がOKの場合は、1枚目を正規の画像形成出力としてそのまま通常用のトレイ24に排紙する。再圧接前後の画像形成ジョブに基づく画像が同一である場合であって、1枚目がNGの場合は、1枚目をテスト通紙として廃棄用のトレイ25に排紙し、2枚目の用紙に1枚目の画像を形成し、2枚目以降を通常用のトレイ24に排紙する。
また、再圧接前後の画像形成ジョブに基づく画像が不同一である場合は、必ず、1枚目をテスト通紙として廃棄用のトレイ25に排紙する。再圧接後の画像形成ジョブに基づく画像が不同一である場合であって、2枚目以降は判定を行うことなく、2枚目以降を通常用のトレイ24に排紙する。
続いて、図9を参照して、画像形成装置100における転写及び排紙制御系の構成例について説明する。図9に示す画像形成装置100の転写及び排紙制御系によれば、記憶部6、排紙切替部27及び制御部50を有して構成され、中間転写ベルト駆動用のモータ20、転写部駆動用のモータ110、圧接離間駆動用のモータ150、通常用及び廃棄用のトレイ24,25を制御するようになされる。制御部50、記憶部6及びモータ20,110,150は転写制御系を構成し、排紙切替部27及びトレイ24,25は排紙制御系を構成する。
制御部50は、図1に示した中間転写ベルト1や、2次転写ローラ10、転写圧接離間機構15を駆動するモータ20,110,150等の制御を行うものであり、中央処理ユニット(CPU)やこれを動作させるプログラムを主として構成されている。
制御部50には記憶部6が接続される。記憶部6はROM、RAMや、不揮発メモリを有して構成されている。記憶部6には転写制御系を制御するためのシステムプログラムや、排紙制御系を制御するための制御情報が格納される。例えば、電源がオンされると、電源オン情報を検出した制御部50は、記憶部6からシステムプログラムを読み出してRAMに展開し、転写及び排紙制御システムを起動して、当該転写及び排紙制御系を制御するようになされる。
制御部50には中間転写ベルト駆動用のモータ20が接続されている。モータ20の駆動軸には、駆動力伝達機構21を介して中間転写ローラ2が接続されている。モータ20は、DCブラシレスモータからなる。
制御部50はモータ20に所定のトルク指令値を送信する。トルク指令値はモータ20の速度やトルクを制御するPWM信号S21からなる。モータ20はトルク指令値に基づき駆動力伝達機構21を介して中間転写ローラ2を回転する。中間転写ベルト1は中間転写ローラ2の回転によって所定の方向へ回動するようになる。
モータ20には、図示しない回転センサが取り付けられ、回転センサはモータ20の回転を検出し、ここに検出された速度情報D20は制御部50にフィードバックされる。なお、回転センサにはホール素子などの既知のものを用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。
制御部50にはモータ20の他に転写駆動部の一例を構成する転写部駆動用のモータ110が接続されている。モータ110の駆動軸には、駆動力伝達機構111を介して転写駆動ローラ11が接続されている。モータ110は、DCブラシレスモータからなる。
制御部50はモータ110に所定のトルク指令値を送信する。トルク指令値はモータ110の速度やトルクを制御するPWM信号S11からなる。モータ110はトルク指令値に基づき駆動力伝達機構111を介して転写駆動ローラ11を回転する。転写駆動ローラ11は2次転写ベルト13を介して2次転写ローラ10を回転する。
モータ110にも、図示しない回転センサが取り付けられ、回転センサはモータ110の回転を検出し、ここに検出された速度情報D11は制御部50にフィードバックされる。なお、回転センサにはホール素子などの既知のものを用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。
制御部50にはモータ20,110の他に圧接離間駆動用のモータ150が接続されている。モータ150の駆動軸には、駆動力伝達機構151を介して転写圧接離間機構15が接続されている。モータ150は、DCブラシレスモータからなる。
制御部50はモータ150に所定の動作指令値を送信する。動作指令値は転写圧接離間機構15の圧接離間動作を制御する制御信号S51である。モータ150は動作指令値に基づき駆動力伝達機構151を介して転写圧接離間機構15を駆動する。転写圧接離間機構15は2次転写部70を上方向及び下方向に移動する。
転写圧接離間機構15には、図示しない位置検知センサが取り付けられ、位置検知センサは2次転写部70の圧接及び離間時の位置を検出し、ここに検出された圧接離間情報D15は制御部50にフィードバックされる。なお、位置検知センサには反射型や、透過型の光学検知センサなどの既知のものを用いることができ、本発明としては特定のものに限定されるものではない。
制御部50には排紙切替部27が接続されている。排紙切替部27は、再圧接排紙制御時、排紙制御信号S27に基づいて排紙選択制御が行われる。排紙制御信号S27は通常用及び廃棄用のトレイ24,25を選択するための信号であって、制御部50から排紙切替部27へ出力される。
再圧接排紙制御時の排紙選択制御では、例えば、離間圧接前後の画像形成ジョブに係る画像が同一である場合であって、転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と、当該モータ110の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内となる場合は、排紙制御信号S27に基づいて通常用のトレイ24を選択して、画像形成部60から通常用のトレイ24へ画像形成後の用紙Pを排紙するようになる。これにより、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙P(正規出力)を通常用のトレイ24へ排紙するようになされる。
また、離間圧接前後の画像形成ジョブに係る画像が同一である場合であって、転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と、当該モータ110の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲を外れる場合は、排紙制御信号S27に基づいて廃棄用のトレイ25を選択して、画像形成部60から廃棄用のトレイ25へ画像形成後の用紙Pを排紙するようになる。これにより、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規出力とせずにテスト通紙として取り扱うことができる。
更に、離間圧接前後の画像形成ジョブに係る画像が不同一である場合は、転写部駆動用のモータ30の平均速度の計測値と当該モータ30の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲から外れる場合を含めて、当該差分に無関係に、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排出するようになる。
制御部50は、転写部駆動用のモータ110に指令値を設定して2次転写ベルト13を一定速度で回転駆動する定速制御及び、2次転写ベルト13を一定トルクで回転駆動する定トルク制御を実行する。また、制御部50は、2次転写ベルト13を中間転写ベルト1に対して離間させた状態で転写部駆動用のモータ110の定速度制御をする際に検出される定速度駆動トルクに応じて、2次転写ベルト13を中間転写ベルト1に圧接した状態で転写部駆動用のモータ110の定トルク制御を実行する。
制御部50は、2次転写ベルト13を中間転写ベルト1に圧接した後、画像形成ジョブに基づく最初の第1枚目の用紙Pを2次転写部70に通紙した際に計測して得られた転写部駆動用のモータ110の平均速度を基準値として所定の記憶部6に記憶する。また、制御部50は、第2枚目以降の用紙Pを2次転写部70に通紙した際に転写部駆動用のモータ110の平均速度を計測し、当該モータ110の平均速度の計測値と当該モータ110の平均速度の基準値との差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
更に、制御部50は、画像形成ジョブを実行中に、2次転写部70で離間及び再圧接が行われた否かを監視し、第2の再圧接転写条件に応じて、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排出し、又は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを通常用のトレイ24に排出する。
ここに、第2の再圧接転写条件とは、2次転写部70の離間再圧接の前後の画像形成ジョブに基づく画像を用紙Pに転写する条件をいう。この条件には、離間前の画像形成ジョブに基づく画像と、圧接後の画像形成ジョブに基づく画像とが同一であるか、これらの画像が不同一であるかに対応した分岐制御が含まれる。
制御部50は、画像形成ジョブを実行中に、2次転写部70の離間及び再圧接を検出すると、第2の再圧接転写条件として、2次転写部70の離間再圧接の前後の画像形成ジョブに基づく画像が同一であるか否かを判別する。例えば、制御部50は、2次転写部70の離間再圧接の前後の画像形成ジョブに基づく画像が同一である場合は、第1の再圧接転写条件に基づいて画像形成ジョブの最初の第1枚目の通紙時に記憶されていた転写部駆動用のモータ110の平均速度の基準値を記憶部6から読み出す。
制御部50は、再圧接後、第1枚目の用紙Pを2次転写部70に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と、記憶部6から読み出した当該モータ110の平均速度の基準値との差分が許容範囲内に包含されているか否かを判別する。制御部50は、当該差分が許容範囲から外れる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
続いて、図9〜図11を参照して第2の実施例に係る中間転写、2次転写及び排紙制御例について説明する。この実施例では、第2の再圧接転写条件が適用され、前紙(用紙P(1枚目))の転写駆動速度の計測及びその平均速度取得の検出結果が、次紙(用紙P(2枚目))の作像に反映できない機種であって、カラー用の画像形成装置200における転写及び排紙系を制御する場合を前提とする。
これらを制御条件にして、図9に示すステップST21で制御部50は、2次転写ローラ10と中間転写ベルト1とが離間した状態で、2次転写ローラ10及び中間転写ベルト1の回転速度が一定の速度となるように、制御部50によって中間転写ベルト駆動用のモータ20及び転写部駆動用のモータ110をフィードバックによって定速制御する。このときに、2次転写ローラ10と中間転写ベルト1の回転速度が同じ速度となるように制御してもよく、また、2次転写ローラ10の回転速度が中間転写ベルト1の回転速度よりも大きくなるように制御してもよい。
制御部50は、転写部駆動用のモータ110を定速制御している間に、転写部駆動用のモータ110の定速時駆動トルクをPWM信号に基づいて検出する。制御部50は、検出された定速時駆動トルクから平均トルク指令値を算出する。トルク指令値の決定は、この他に中心値などの適宜の方法によって決定することができ、本発明としては特定の方法に限定されるものではない。
次いで、ステップST22で制御部50は、2次転写ローラ10を中間転写ベルト1に圧接するべく圧接離間用のモータ150を起動する。その際に検出される定速度駆動トルクに応じて、2次転写ベルト13を中間転写ベルト1に圧接し、この状態で転写部駆動用のモータ110の定トルク制御をする。
その後、ステップST23で、制御部50は圧接完了に伴って、圧接離間用のモータ150の動作を停止する。圧接が完了すると、ステップST24で制御部50は、中間転写ベルト駆動用のモータ20の定速制御を継続し、中間転写ベルト1を回動する。制御部50は、転写部駆動用のモータ110に対し、ステップST2で検出された定速時駆動トルクに応じて定トルク制御を実行する。この定トルク制御により、2次転写ローラ10が回転する。このとき、制御部50は、圧接後の画像形成ジョブに基づく最初の第1枚目の用紙Pを2次転写部70に通紙し、その際に計測して得られる転写部駆動用のモータ110の平均速度を基準値として所定の記憶部6に記憶する。
更に、制御部50は第2枚目以降の用紙Pを2次転写部70に通紙して転写部駆動用のモータ110の平均速度を計測する。そして、制御部50は転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と当該モータ110の平均速度の基準値との差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
そして、ステップST25で制御部50は画像形成ジョブを実行中に、2次転写部70で離間及び再圧接が行われた否かを監視する。画像形成ジョブを実行中に、2次転写部70で離間及び再圧接が検出されない場合は、ステップST24に戻って、次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する制御を継続する。
画像形成ジョブを実行中に、上述のステップST25で制御部50は2次転写部70で離間及び再圧接を検出した場合、ステップST26で離間/再圧接排紙制御を実行する。例えば、図11に示すステップST31に移行する。ステップST31で制御部50は離間再圧接前後の画像形成ジョブに係る管理情報を入力する。画像形成ジョブに係る管理情報には、同一画像を連続して印刷する枚数が含まれている。
ステップST32で制御部50は画像形成ジョブに係る管理情報をデコード(解析)して、離間圧接前後の画像が同一であるか不同一であるかに対応して制御を分岐する。離間圧接前後の画像形成ジョブに係る画像が同一である場合は、ステップST33で制御部50は、転写部駆動用のモータ110の平均速度の基準値と当該モータ110の平均速度の計測値との差分が速度許容範囲内に包含されているか否かに対応して制御を分岐する。このとき、制御部50は、第1の再圧接転写条件として、画像形成ジョブの最初の第1枚目の通紙時に記憶されていた転写部駆動用のモータ110の平均速度の基準値を記憶部6から読み出す。
制御部50は、再圧接後、第1枚目の用紙Pを2次転写部70に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と、記憶部6から読み出した当該モータ110の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内に包含されているか否かを判別する。
モータ110の平均速度の基準値と当該モータ110の平均速度の計測値の差分が速度許容範囲から外れる場合は、ステップST35に移行して制御部50は、当該再圧接転写条件に応じて、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを廃棄用のトレイ25に排紙する。このとき、排紙切替部27は制御部50から出力された、排紙制御信号S27に基づいて廃棄用のトレイ25を選択する。制御部50はモータ110の平均速度の基準値と当該モータ110の平均速度の計測値の差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
その後、ステップST36で制御部50は、Page1の画像[再読み込み]を画像形成部60で図示しない感光体ドラムに露光し、トナー像を形成する。その後、トナー像が感光体ドラムから中間転写ベルト1に転写される。このとき、転写部駆動用のモータ110の速度を計測する。制御部50は、転写部駆動用のモータ110のPWM値を更新する。その後、ステップST41に移行する。
また、上述のステップST34でモータ110の平均速度の基準値と当該モータ110の平均速度の計測値の差分が速度許容範囲内に包含される場合は、ステップST37に移行して制御部50は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを通常用のトレイ25に排紙する。このとき、排紙切替部27は制御部50から出力された、排紙制御信号S27に基づいて通常用のトレイ24を選択する。制御部50はモータ110の平均速度の基準値と当該モータ110の平均速度の計測値の差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
なお、上述のステップST32で離間圧接前後の画像形成ジョブに係る画像が不同一である場合は、図12に示すステップST38で制御部50は1枚目は必ずテスト通紙とするためにテスト画像を形成する。制御部50は、テスト通紙用のテスト画像を画像形成部60で図示しない感光体ドラムに露光し、テスト画像に係るトナー像を形成する。その後、トナー像が感光体ドラムから中間転写ベルト1に転写される。このとき、転写部駆動用のモータ110の速度を計測する。制御部50は、転写部駆動用のモータ110のPWM値を更新する。
その後、ステップST39に移行して、制御部50は1枚目(テスト通紙)を廃棄用のトレイ25に排紙する。このとき、排紙切替部27は制御部50から出力された、排紙制御信号S27に基づいて廃棄用のトレイ25を選択する。制御部50はモータ110の平均速度の基準値と当該モータ110の平均速度の計測値の差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
その後、ステップST40で制御部50は、Page2の画像[以降]を画像形成部60で図示しない感光体ドラムに露光し、トナー像を形成する。その後、トナー像が画像形成部60から中間転写ベルト1に転写される。このとき、転写部駆動用のモータ110の速度を計測する。制御部50は、当該モータ110のPWM値を更新する。Page2及び当該Page2の画像以降の用紙Pはフィードバック(FB)された条件なので、全て通常用(正規)のトレイ24に排紙される。このとき、排紙切替部27は制御部50から出力された、排紙制御信号S27に基づいて通常用のトレイ24を選択する。その後、ステップST42に移行する。
ステップST42で制御部50は、画像形成動作の終了を判別する。例えば、画像形成ジョブの最終ページを示すEOF(エンド・オフ・フラグ)を検出した場合は、画像形成動作(制御)を終了する。EOFを検出していない場合は、ステップST41に戻って、画像形成処理を繰り返すようになされる。
このように第2の実施例に係る画像形成装置200によれば、離間再圧接の前後の画像形成ジョブに基づく画像が同一である場合であって、転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と、当該モータ110の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲から外れる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規出力とせずにテスト通紙として取り扱うことができる。しかも、再圧接後、第1枚目の用紙Pを2次転写部70に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値を使用して次紙時の定トルク指令値を算出して指令値を変更できるようになる。
更に、画像形成装置200において、制御部50は、転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と、当該モータ110の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内となる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを通常用のトレイ24に排出し、当該差分から次紙転写時の定トルク指令値を算出して指令値を変更する。
また、画像形成装置200によれば、離間再圧接の前後の画像形成ジョブに基づく画像が同一である場合であって、制御部50は、転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と、当該モータ110の平均速度の基準値との差分が速度許容範囲内となる場合は、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規出力として取り扱うことができる。
画像形成装置100によれば、離間再圧接の前後の画像形成ジョブに基づく画像が不同一である場合は、転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値と、当該モータ110の平均速度の基準値との差分に関係なく、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規出力とせずにテスト通紙として取り扱うことができる。しかも、再圧接後、第1枚目の用紙Pを転写部に通紙した際に計測して得られる転写部駆動用のモータ110の平均速度の計測値だけを使用して次紙時の定トルク指令値を算出して指令値を変更できるようになる。
このような離間/再圧接時の排紙制御によって、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規出力とせずにテスト通紙として排紙したり、再圧接後の第1枚目のトナー像が転写され定着された用紙Pを正規の出力とすることができる。従って、2次転写ベルト13に印加される負荷の環境、経時的には長期的な変化だけではなく、画像形成動作の開始初期の短期的な変動に対しても、像担持体とのトルク関係を適正に維持し、中間転写ベルト1への不要な負荷変動を最小化して画質の低下を防ぎつつ、短期的な負荷変化により発生する画像倍率の変化も最小化できるようになる。
しかも、画像形成ジョブの実行中に転写部の離間及び再圧接が行われても、破紙を最小枚数とすることができ、ジョブ全体を通した倍率変化幅を最小化された状態に保持できるようになる。