JP2013127224A - 冷却装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】EGRクーラを最適な温度環境に維持する。
【解決手段】冷却装置の制御装置(100)は、冷却水の温度を特定する特定手段と、内燃機関の暖機未完了期間において、特定された温度がEGRクーラを暖機すべき温度領域として定められた第1温度領域にある場合に、動作モードとして、シリンダヘッド及びEGRクーラを含み且つシリンダブロック及びラジエータを含まない第1経路で冷却水が循環供給される第1動作モードが選択されるように、また特定された温度がEGRクーラを冷却すべき温度領域として第1温度領域よりも高温側で定められた第2温度領域にある場合に、動作モードとしてEGRクーラ及びラジエータを含み且つシリンダヘッド及びシリンダブロックを含まない第2経路で冷却水が循環供給される第2動作モードが選択されるように、切り替え手段を制御する制御手段とを具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷却水の循環供給により内燃機関及びEGR装置を冷却可能に構成された冷却装置を制御する冷却装置の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、内燃機関の暖機を促進するものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された電動ウォータポンプの制御装置によれば、冷却水温が低い場合にポンプを停止させ、冷却水の通水を停止することによって、電動ウォータポンプによる無駄な電力消費を抑制しつつ冷却水の沸騰を回避することが出来るとされている。
また、EGRクーラに供給される冷却水を、メインラジエータとは異なる別経路のサブラジエータにより冷却し、サブラジエータの冷却水のEGRクーラへの通水量を変化させてEGRクーラの温度を安定化させる装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、シリンダブロックやヒータ等の暖機を要する部位を効率よく暖機するための冷却装置が特許文献3に開示されている。この装置では、EGRクーラ上流に配置されたEGR触媒温度が所定温度になるまでの暖機初期において冷却水を全止めし、その後、冷却水温が所定温度となるまでの暖機中盤にはエキマニ上部(ヘッド)からEGRクーラに至る経路で冷却水を流し、冷却水温度が所定温度以上となる暖機終了段階では全流路が開放される。
尚、シリンダブロックやシリンダヘッドの変形を抑制すべく冷却水量を制限した場合にEGRクーラ中の冷却水温度が過度に上昇することを防止するためにリザーバタンクを活用する技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、特許文献5には、冷却水がラジエータを介さずにEGRクーラに流れる経路と、冷却水がエンジン及びラジエータを介してEGRクーラに流れる経路とを備える構成についての開示がある。
特開2008−169750号公報 特開2007−040141号公報 特開2009−216028号公報 特開2011−149385号公報 特開2007−263034号公報
内燃機関の暖機促進の観点からすれば、始動直後から暖機完了に至るまで冷却水の循環供給を停止させるのが望ましい。
ところで、EGRクーラは、燃焼室やエキゾーストマニホールドに近いシリンダヘッドや、シリンダヘッド下方でシリンダを収容するシリンダブロック等の高温部と較べると始動後の温度変化が緩やかであるから、その温度上昇はこれら高温部と較べて緩慢である。従って、内燃機関の未暖機期間においてEGRクーラ近傍に導かれるEGRガスの温度は低下し易い。排気の温度が過度に低下すると、排気中の水分が凝縮することによって凝縮水が発生する。
ここで、EGRガスを導くEGR流路は、高耐熱性を得られることから通常、金属材料で構成されることが多く、凝縮水の放置は、これら配管の腐食劣化を助長しかねない。即ち、EGR装置が備わる構成においては、内燃機関の未暖機時にEGRクーラの温度管理が必要となる。
これに対し、上記各種特許文献に開示されるものを含む従来の装置では、EGRガスの温度低下により発生する凝縮水を考慮した冷却水の制御はなされておらず、凝縮水がEGR装置にもたらし得る不具合を解消することは困難である。
尚、このような凝縮水の影響を排除すべく、始動時、或いは始動後適当な時間が経過した後に、EGRクーラに対しラジエータを介さない冷却水の循環供給を行うことも考えられる。然るに、そのような制御が実現し得たとしても、然るべき時間経過の後には、EGRクーラの温度が上昇し過ぎて、EGRガスの充填効率が低下する等の問題が発生する。即ち、内燃機関の未暖機時におけるEGRクーラの温度管理とは、好適には、このような過冷却及び過暖機のいずれにも対処するものである必要がある。従来の装置では、このような温度管理は不可能である。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、EGRクーラを最適な温度環境に維持し得る冷却装置の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る冷却装置の制御装置は、シリンダヘッド及びシリンダブロックを含む内燃機関と、EGRクーラを含み、前記内燃機関の排気の一部をEGRガスとして前記内燃機関の吸気系統に還流させるEGR装置と、少なくとも前記シリンダヘッド、シリンダブロック及びEGRクーラを含む冷却対象を冷却するための冷却装置とを備え、前記冷却装置が、前記冷却水を循環供給するための流路と、前記流路に設けられたラジエータと、前記流路の内部に配設された弁の開閉により、前記流路における前記冷却水の循環経路を規定する前記冷却装置の動作モードを、(1)前記冷却対象に対して前記冷却水が循環供給されない全停止モードと、(2)少なくとも前記シリンダヘッド、シリンダブロック、EGRクーラ及びラジエータに対して前記冷却水が循環供給される全通水モードと、(3)前記シリンダヘッド及びEGRクーラを含み且つ前記シリンダブロック及びラジエータを含まない第1経路で前記冷却水が循環供給される第1動作モードと、(4)前記EGRクーラ及びラジエータを含み且つ前記シリンダヘッド及びシリンダブロックを含まない第2経路で前記冷却水が循環供給される第2動作モードとを含む複数の動作モードの中から選択可能に構成される切り替え手段とを更に備えてなる車両において前記冷却装置を制御する、冷却装置の制御装置であって、前記冷却水の温度を特定する特定手段と、前記内燃機関の暖機未完了期間において、前記特定された温度が前記EGRクーラを暖機すべき温度領域として定められた第1温度領域にある場合に前記動作モードとして前記第1動作モードが選択されるように、また前記特定された温度が前記EGRクーラを冷却すべき温度領域として前記第1温度領域よりも高温側で定められた第2温度領域にある場合に前記動作モードとして前記第2動作モードが選択されるように、夫々前記切り替え手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする(請求項1)。
本発明に係る冷却装置の制御装置によれば、内燃機関の暖機未完了期間において、特定手段により特定される冷却水温が第1温度領域にある場合に第1動作モードが、第2温度領域にある場合に第2動作モードが選択される。即ち、本発明では、EGRクーラを暖機すべきか或いは冷却すべきかが、少なくとも代替的又は潜在的に判定される構成となっている。尚、このような動作モードの選択は、制御手段が切り替え手段を介して弁の開閉状態を制御することにより実現される。切り替え手段は、例えば、冷却対象に通ずる冷却水の流路に適宜設けられた弁を、機械的又は電気的に駆動することにより、当該流路の流路面積を二値的、段階的又は連続的に変化させ得る多方弁装置等であってもよい。
尚、本発明に係る冷却装置における冷却水の流路及び切り替え手段の実践的な構成及び配置態様は、上述した動作モードを実現可能である限りにおいて多義的である。例えば、冷却対象としてのシリンダブロック及びシリンダヘッドとEGRクーラとは、流路に関して直列な位置関係であっても並列な位置関係であってもよい。
第1温度領域は、予め実験的に、経験的に又は理論的に、EGRクーラを暖機すべきものとして定められた温度領域である。ここで、第1動作モードが選択された場合における冷却水の循環経路は、EGRクーラとシリンダヘッドとを含む第1経路である。
即ち、第1動作モードは、燃焼熱及び排気熱等による過剰な熱負荷に晒され易い比較的高温のシリンダヘッドを熱源として冷却水温を上昇せしめ、EGRクーラに対し限定的に循環供給することを旨とする。本発明によれば、第1動作モードによってEGRクーラの早期暖機が実現されるため、EGR非導入段階におけるEGRクーラ付近に滞留するEGRガスからの凝縮水の発生を効果的に抑制することが出来る。
尚、シリンダヘッドは高温であり且つ始動直後から大きい熱負荷に晒される。従って、冷却水温を上昇させるための熱を奪ったところで、シリンダヘッドの暖機状態が過度に悪化する可能性は低く、第1動作モードによれば、EGRクーラの暖機に供される冷却水に係る冷却水温を、内燃機関の暖機に影響を与えることなく上昇させることが出来る。また、第1動作モードでは、ラジエータが迂回されるため、EGRクーラに循環供給される冷却水が不要に冷却されることがない。更に、第1動作モードでは、シリンダブロックから熱が奪われることはないため、その点においても内燃機関の暖機効果を好適に維持することが出来る。
第1動作モードの趣旨に鑑みれば、第1温度領域は、理想的には、冷却水をEGRクーラに供給することに実践上の意義を見出せる程度の温度を下限とする温度領域である。例えば、外気温が氷点下〜摂氏数℃程度の冷間始動時を考えた場合、第1温度領域は、始動時の冷却水温よりは高温側の温度領域であるのが望ましい。このような状況下では、シリンダヘッドが熱を蓄積するのに相応の時間が必要となり、始動直後から第1動作モードを実行すると、内燃機関の暖機時間が長大化しかねないからである。
一方、第1動作モードによるこのようなEGRクーラの限定的暖機が進行する過程において、EGRによる燃焼温度の低下及びそれに伴う排気浄化(主としてNOxの低減)が要求される場合がある。EGR率の可制御範囲を拡大しようとした場合、EGRガスの温度は低い方が良い。これはEGRクーラの概念からして当然であるが、第1動作モードは、上述したようにEGRクーラの早期暖機を助長するモードであるから、冷却水温を下げる術を有さない。従って、第1動作モードが選択されたままでは、高温のEGRガスを冷却することが難しくなり、内燃機関の暖機未完了期間におけるEGRの導入効果を十分に得ることが難しくなる。
そこで、特定される冷却水温が第1温度領域よりも高温側で定められた第2温度領域にある場合、制御手段は、冷却装置の動作モードとして第2動作モードを選択する。
第2動作モードは、燃焼熱及び排気熱等による過剰な熱負荷に晒され易い比較的高温のシリンダヘッド及びシリンダブロックから冷却水への熱供与を遮断してラジエータにより効率的に冷却された冷却水をEGRクーラに循環供給することを旨とする。本発明によれば、第2動作モードによってEGRクーラによるEGRガスの効率的冷却が実現されるため、EGRガスの充填効率を高め、また筒内燃焼温度をより低下させることが出来る。
以上説明したように、本発明に係る冷却装置の制御装置によれば、冷却水温に基づいてEGRクーラに暖機が要求されているか、冷却が要求されているかを正確に判定し、的確な動作モードを選択することが出来る。また、そのような選択が可能であるように、冷却装置における流路及び切り替え手段の構成及び構造が決められている。従って、EGR装置を備えた構成において、内燃機関の早期暖機とEGRによる排気浄化効果とを両立することが可能となる。
尚、特定手段が冷却水温を特定するにあたっての実践的態様は限定されない。例えば、特定手段は、水温センサ等の直接的検出手段であってもよいし、この種の直接的検出手段からセンサ値を取得するプロセッサや制御装置の類であってもよい。或いは、特定手段は、その時点の内燃機関の動作環境や始動以後の動作条件の変化履歴等から、冷却水温を推定する手段であってもよい。このような冷却水温推定に係る実践的態様は各種公知のものがあるが、冷却水の循環供給がなされない状態においては、冷却水温に局所的な温度差が生じ易く、センサの設置箇所によっては、必ずしもセンサ値が正確な冷却水温を表さない場合がある。このような観点からは、冷却水温を推定する構成とするのも実践上有益である。
本発明に係る冷却装置の制御装置の一の態様では、前記制御手段は、前記特定された温度が前記第1温度領域よりも低温側で定められた冷間始動領域にある場合に前記動作モードとして前記全停止モードが選択されるように前記切り替え手段を制御する(請求項2)。
この態様によれば、第1温度領域よりも低温側で定められた冷間始動領域においては、動作モードとして全停止モードが選択される。即ち、冷却水の循環供給が実質的に停止される。従って、内燃機関を効率的且つ効果的に暖機することが出来る。
本発明に係る冷却装置の制御装置の他の態様では、前記第1温度領域は、所定の排気露点温度を含む温度領域である(請求項3)。
この態様によれば、第1温度領域は排気露点温度を含む温度領域として定められる。より好適には、排気露点温度を挟んで低温側及び高温側に跨る温度領域として定められる。
ここで、「排気露点温度」とは、概念的には排気中の水分が凝縮して凝縮水を生じる温度を意味するが、凝縮水が発生する条件が、内燃機関の動作条件や燃料性状等により必ずしも一定でない点に鑑みれば、実践的には、厳密にこのような温度である必要はない。例えば、予め実験的に、経験的に又は理論的に、所定以上の確率で所定以上の凝縮水が発生するものとして定められた温度や、このような温度に対し安全側にマージンを付与した(即ち、低温側の)値であってもよい。
この態様によれば、排気露点温度を含む第1温度領域において、第1動作モードが選択されることにより、EGRクーラの温度を速やかに第1温度領域相当まで上昇させることが出来る。より具体的には、このような制御手段による制御とは別に内燃機関は稼動しているのであるから、冷却水温は上昇傾向にある。従って、第1温度領域の下限値が排気露点温度未満であったとしても、冷却水温は望ましくは排気露点温度以上に上昇する。即ち、EGRクーラから熱供与を受けるEGRガスの温度も望ましくは排気露点温度以上に上昇する。
本発明に係る冷却装置の制御装置の他の態様では、前記第2温度領域は、前記内燃機関の暖機完了時に収束すべき収束値未満の温度領域である(請求項4)。
この態様によれば、第2温度領域は、内燃機関の暖機完了時に収束すべき収束値(例えば、一般的に摂氏90℃内外)未満の温度領域として定められる。従って、暖機完了後、即ち、内燃機関及びその他冷却水の供給を必要とする他の補機類が通常の冷却を必要とする状況において、当該通常の冷却を実現することが可能となり、冷却装置を効率的且つ効果的に稼動せしめることが出来る。
尚、第1温度領域と第2温度領域とを厳密に数値的に規定することは、発明の概念を規定する上では意味がないが、EGRガスの温度は、排気露点温度以上であり且つ可及的に低温である方がよいから、第1温度領域と第2温度領域との境界値は、EGRガスが排気露点温度近傍の温度領域に可及的に長きにわたって維持されるように設定されていてもよい。
本発明に係る冷却装置の制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記特定された温度が前記内燃機関の暖機完了時に収束すべき収束値に収束した場合に、前記動作モードとして前記全通水モードが選択されるように前記切り替え手段を制御する(請求項5)。
この態様によれば、内燃機関の暖機が完了したと判断され得る状況においては、冷却装置の動作モードとして全通水モードが選択される。従って、冷却水による冷却を必要とする他の補機類の冷却を好適に行うことが出来る。また、シリンダヘッド及びシリンダブロックの過剰な温度上昇を防ぐことも出来る。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムのブロック図である。 図1のエンジンシステムにおけるエンジンの概略断面図である。 冷却装置の動作モードと冷却水温との関係を例示する図である。 動作モードM2における冷却水の経路を説明するブロック図である。 動作モードM3における冷却水の経路を説明するブロック図である。 動作モードM4における冷却水の経路を説明するブロック図である。 動作モードM4における冷却水の他の経路を説明するブロック図である。 動作モードM4における冷却水の他の流路を説明する他のブロック図である。 本発明の第2実施形態に係るエンジンシステムのブロック図である。 第2実施形態の動作モードM2における冷却水の経路を説明するブロック図である。 第2実施形態の動作モードM3における冷却水の経路を説明するブロック図である。 第2実施形態の動作モードM4における冷却水の経路を説明するブロック図である。 第2実施形態の動作モードM4における冷却水の他の経路を説明する他のブロック図である。<発明の実施形態> <第1実施形態> <実施形態の構成> 始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10のブロック図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載されるシステムであり、ECU(Electronic Control Unit)100、エンジン200、EGR装置300、水温センサ400、他の補機類500及び冷却装置600を備える。
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジンシステム10の動作全体を制御可能に構成された、本発明に係る「冷却装置の制御装置」の一例たるコンピュータ装置である。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)である。ここで、図2を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200の概略断面図である。尚、図2において、図1と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、エンジン200は、金属製のシリンダブロック201A内にシリンダ201が形成された構成を有する。
このシリンダ201の内部に形成される燃焼室には、直噴インジェクタ202の燃料噴射弁の一部が露出しており、燃焼室に燃料の高圧噴霧を供給可能に構成されている。シリンダ201の内部にはピストン203が往復運動可能に設置されており、圧縮行程において燃料(軽油)と吸入空気との混合気が自着火することによって生じるピストン203の往復運動は、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換される構成となっている。
クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転角を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。クランクポジションセンサ206は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたクランク角は、一定又は不定の周期でECU100に供出される構成となっている。ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されたクランク角に基づいて、直噴インジェクタ202の燃料噴射時期等を制御する構成となっている。また、ECU100は、この検出されたクランク角を時間処理することによって、エンジン200の機関回転速度NEを算出可能に構成されている。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、絞り弁208及び吸気ポート209を順次介し、吸気バルブ210の開弁時にシリンダ201の内部に吸入される。
シリンダ201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ210の開閉に連動して開閉する排気バルブ211の開弁時に排気ポート212を介して排気管213に導かれる構成となっている。この排気ポート212及び排気ポート212と排気管213との間に介装された排気マニホールド(図示略)は、シリンダヘッド201Bに収容されている。
尚、この排気管213の図示破線枠部分には、金属材料で構成されたEGR管(不図示)の一端部が接続されている。このEGR管の他端部は、絞り弁208下流側において吸気ポート209に還流される構成となっている。
図1に戻り、EGR装置300は、エンジン200の排気の一部をEGRガスとして吸気系統に還流させることが可能な、本発明に係る「EGR装置」の一例である。EGR装置300は、EGRクーラ310を備える。
ここで、EGR装置の構成は従来各種のものが適用可能であり、図面の煩雑化を防ぐ目的から図1及び図2において省略されている。簡略的には、EGR装置300は、EGRクーラ310の他に、上述したEGR管とEGR弁とを備える。EGR弁は電磁弁であり、ECU100を介してなされるソレノイドへの通電により弁開度が段階的に変化する構成を有する。EGR管を流れるEGRガスの流量、即ち、EGR量は、吸気管207と排気管213との差圧とこの弁開度とに応じて連続的に変化する。
EGRクーラ310は、このEGR管に設けられた冷却装置であり、冷却水が封入されたウォータジャケットが周囲に張り巡らされ、この冷却水との熱交換を行うことによってEGRガスを冷却可能に構成されている。
尚、本実施形態に係るEGR装置300は、燃焼直後の排気が還流される構成(即ち、HPL(High Pressure Loop)EGR)としたが、不図示のDPF(Diesel Particulate Filter)等の排気浄化装置の下流側において排気が取り出される構成(即ち、LPL(Low Pressure Loop)EGR)
水温センサ400は、冷却水であるLLC(Long Life Coolant)の温度たる冷却水温Tclを検出可能に構成されたセンサである。水温センサ400は、後述する冷却水流路のうち、シリンダヘッド201Bの出口付近に設けられている。水温センサ400は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温Tclは、常時ECU100により把握されている。
他の補機類500は、エンジン200及びEGR装置300以外の、冷却水による冷却を必要とする補機装置である。例えば、他の補機類500は、上述したDPF等を含む。
冷却装置600は、流路内に封入された冷却水を、後述するCCV(Coolant Control Valve)620の作用により適宜選択される流路内で循環供給することによって冷却対象を冷却する、本発明に係る「冷却装置」の一例である。
冷却装置600は、電動ウォータポンプ(以下、適宜「電動W/P」と表記する)610、CCV620、切り替え弁630、サーモスタット640、ラジエータ650及びオイルクーラ660並びに図示実線で示された冷却水の流路(図示A〜Hを含む)を備える。
電動W/P610は、公知の電気駆動型渦巻き式ポンプである。電動W/P610は、不図示モータの回転力によって冷却水を吸引し、モータ回転速度Nwpに応じた量の冷却水を吐出可能に構成されている。このモータは、不図示の電力供給源(例えば、車載用12Vバッテリ、或いは他のバッテリ)等から電力の供給を受け、不図示のモータ駆動系を介して供給される制御電圧(又は制御電流)のデューティ比DTYに応じて、その回転速度たるポンプ回転速度Nwpが増減制御される構成となっている。また、このモータ駆動系は、ECU100と電気的に接続された状態にあり、ECU100によって上述したデューティ比DTYを含む動作状態が制御される構成となっている。即ち、電動W/P610は、ECU100によってその動作状態が制御される構成となっている。
CCV620は、冷却水の経路(尚、「流路」は物体としての金属製管状部材であり、「経路」は流路に方向概念を加えたものを意味する)を後述する各動作モードに応じて切り替え可能な、電磁制御弁装置であり、本発明に係る「切り替え手段」の一例である。
CCV620は、入力ポートが、電動W/P610の出力ポートと接続されており、電動W/P610から吐出される冷却水を、各出力ポートを介し各流路に分配することが出来る。より具体的には、CCV620は、励磁電流により電磁力を生じる公知のソレノイドと、当該励磁電流を付与する駆動装置と、当該電磁力により弁開度が連続的に変化する弁とを有し、各弁について独立に開度を変化させることが出来る。弁開度は、流路面積に比例しており、弁開度が100(%)である場合が全開状態に、弁開度が0(%)である場合が全閉状態に夫々対応する。即ち、CCV620は、冷却水の経路を選択する機能に加えて、選択する経路における冷却水の流量を実質的に自由に制御することが出来る。尚、上記駆動装置は、ECU100と電気的に接続されており、CCV620の動作は実質的にECU100により制御される。
CCV620は、冷却水の出力ポートを四つ備えており、夫々が流路A、B、C及びDに接続されている。流路Aは、シリンダヘッド201Bに(正確には、シリンダヘッド201Bを取り巻くウォータジャケットに)冷却水を供給する流路であり、流路Bは同様にシリンダブロック201Aに冷却水を供給する流路であり、流路Cは同様に他の補機類500に冷却水を供給する流路であり、流路Dは、後述する接続点P2に接続される流路である
切り替え弁630は、CCV620と協調的に動作状態が制御されることにより、冷却水の経路を後述する選択された動作モードに応じて切り替え可能な電磁制御弁装置である。切換え弁630は、CCV620と共に本発明に係る「切り替え手段」の一例を構成する。切り替え弁630は、冷却水の入力ポート及び出力ポートを夫々二個ずつ有する。
より具体的には、切り替え弁630は、励磁電流により電磁力を生じる公知のソレノイドと、当該励磁電流を付与する駆動装置と、当該電磁力により弁開度が全開開度(即ち、弁開度=100(%))と全閉開度(即ち、弁開度=0(%))との間で二値的に変化する弁とを有し、各弁の開度を独立に制御することが出来る。尚、上記駆動装置は、ECU100と電気的に接続されており、切り替え弁630の動作は実質的にECU100により制御される。
尚、切り替え弁630は、ケース内で弁が物理的に回転し、その回転状態に応じて入力ポートと出力ポートとの間の連通状態が変化する機械式回転弁であってもよい。
切り替え弁630の入力ポートは、流路E及び流路Fに接続されている。流路Eは、シリンダヘッド201BとEGRクーラ310とを繋ぐ流路(符号省略)と接続点P1において接続された流路である。尚、上述した水温センサ400は、この接続点P1において冷却水温Tclを検出する構成となっている。また、流路Fは、上述した流路Dと接続点P2において接続される流路である。EGRクーラ310を冷却する流路(符号省略)は、この接続点P1と接続点P2との間に設けられている。
切り替え弁630の出力ポートは、流路G及び流路Hに接続されている。流路Gは、サーモスタット640に接続された流路であり、流路Hは、電動W/P610の入力ポートに接続された流路である。
サーモスタット640は、流路Gに導かれた冷却水をオイルクーラ660に適宜供給するための切り替え弁である。サーモスタット640の内部には、流路Gと、オイルクーラ660側の流路(符号省略)及びオイルクーラ660を迂回する流路(符号省略)との連通状態を制御するための制御弁が設けられている。この制御弁は、潤滑油温がECU100により設定される設定温度以上となる場合、オイルクーラ660側の流路と流路Gとを連通させ、それ以外の場合においてオイルクーラ660を迂回する流路と流路Gとを連通させる構成となっている。
ラジエータ650は、インレットパイプ及びアウトレットパイプに連通する複数のウォータパイプが配列してなると共に、当該ウォータパイプの外周に多数の波板状のフィンを備えた公知の冷却装置である。ラジエータ650は、インレットパイプから流入した冷却水を当該ウォータパイプに導くと共に、当該ウォータパイプを流れる過程において当該フィンを介した大気との熱交換により冷却水から熱を奪う構成となっている。熱を奪われることによって相対的に冷却された冷却水は、アウトレットパイプから排出される構成となっている。
<実施形態の動作>
次に、実施形態の動作として、適宜図面を参照し、冷却装置600の動作について説明する。冷却装置600は、動作モードM1、M2、M3及びM4の四種類の動作モードを備えており、選択される動作モードに応じて冷却水を循環供給させる際の経路が異なる構成となっている。この動作モードの選択は、ECU100が水温センサ400により検出される冷却水温Tclに基づいて実行する構成となっている。
ここで、図3を参照し、冷却装置600の動作モードと冷却水温Tclとの関係について説明する。ここに、図3は、冷却水温Tclと選択される動作モードとの関係を例示する図である。
図3において、冷却水温Tclが予め設定された温度値a未満である場合、ECU100は、冷却装置600の動作モードとして動作モードM1を選択する。動作モードM1は、CCV620の四個の出力ポートが全て閉鎖されるモードであり、本発明に係る「全停止モード」の一例である。動作モードM1が選択された場合、冷却水は流路に封入された状態で流動することなく滞留する。温度値a未満の温度領域は、本発明に係る「冷間始動領域」の一例である。
また、冷却水温Tclが予め設定された温度値b(a<b)以上且つ温度値c未満である場合、ECU100は、冷却装置600の動作モードとして動作モードM2を選択する。
また、冷却水温Tclが予め設定された温度値c以上且つ温度値d未満である場合、ECU100は、冷却装置600の動作モードとして動作モードM3を選択する。
また、冷却水温Tclが予め設定された温度値d以上である場合、ECU100は、冷却装置の動作モードとして動作モードM4を選択する。尚、温度値dは、シリンダブロック201Aの暖機判定温度である温度値e未満の値である。
次に、図4乃至図7を参照し、冷却装置600の各動作モードについて説明する。ここに、図4は、動作モードM2における冷却水の経路を説明するブロック図である。また、図5は、動作モードM3における冷却水の経路を説明するブロック図である。また、図6は、動作モードM4における冷却水の経路を説明するブロック図である。また、図7は、動作モードM4における冷却水の他の経路を説明するブロック図である。これら各図において、図1と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、動作モードM2が選択された場合の冷却水の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM2が選択された場合、CCV620により流路A以外の流路が閉鎖され、切り替え弁630により流路E及び流路Gが閉鎖される。同時にCCV620により流路Aが全開状態とされ、切り替え弁630により流路F及び流路Hが全開状態とされる。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、CCV620から流路A、シリンダヘッド201B、接続点P1、EGRクーラ310、接続点P2、流路F、切り替え弁630及び流路Hを順次辿る経路で電動W/P610に戻される。
即ち、動作モードM2は、シリンダヘッド201Bから熱を付与された冷却水によりEGRクーラ310を暖機させる、本発明に係る「第1動作モード」の一例である。従って、動作モードM2が選択される温度値b以上且つ温度値c未満の温度領域は、本発明に係る「第1温度領域」の一例である。尚、温度値a以上且つ温度値b未満の温度領域は一種の過渡領域であり、流路Aに対応するCCV620の弁の弁開度が、0から100へ向かって連続的に変化させられる温度領域である。
また、温度値bは、本発明に係る排気露点温度の一例であり、流路内のEGRガスが過度に冷却されて凝縮水を生じる(実際に生じるか否かとは必ずしも関係ない)温度値として設定されている。温度値bに到達する以前から動作モードM2が選択されることにより、EGRクーラ310の温度は、理想的には速やかに温度値b以上の温度領域に移行する。従って、動作モードM2によって、EGRクーラ310付近における凝縮水の発生は防止され、EGR管の腐食等を防止することが出来る。
図5において、動作モードM3が選択された場合の冷却水の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM3が選択された場合、CCV620により流路D以外の流路が閉鎖され、切り替え弁630により流路F及び流路Hが閉鎖される。同時にCCV620により流路Dが全開状態とされ、切り替え弁630により流路E及び流路Gが全開状態とされる。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、CCV620から流路D、EGRクーラ310、接続点P1、流路E、切り替え弁630、流路G、ラジエータ650及び流路Hの一部を順次辿る経路で電動W/P610に戻される。
即ち、動作モードM3は、シリンダブロック201A及びシリンダヘッド201Bへの冷却水の供給を停止し、EGRクーラ310に循環供給される冷却水をラジエータ650により冷却させる、本発明に係る「第2動作モード」の一例である。従って、動作モードM3が選択される温度値c以上且つ温度値d未満の温度領域は、本発明に係る「第2温度領域」の一例である。
動作モードM3が選択されると、EGRクーラ310は、動作モードM2が選択された場合と反対に冷却される。従って、動作モードM2が選択され続けることによる冷却水温Tclの過度な上昇を回避することができ、EGR導入時の充填効率を上昇させ、またEGRガスの低温化を促進することによって排気を浄化することが出来る。尚、動作モードM2が選択されることによって、EGRクーラ310の温度は、可及的に長きにわたって、排気露点温度以上且つ排気露点温度近傍の温度領域に維持される。
図6において、動作モードM4が選択された場合の冷却水の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM4が選択された場合、CCV620により流路A、B、C及びDの全てが全開状態とされ、切り替え弁630により流路F及び流路Hが全閉状態に、流路E及び流路Gが全開状態とされる。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、シリンダブロック201A、シリンダヘッド201B、EGRクーラ310、他の補機類500を通過する経路で電動W/P610に戻される。即ち、動作モードM4は、本発明に係る「全通水モード」の一例である。
図7において、動作モードM4が選択された場合の冷却水の他の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM4が選択された場合には、図6に例示する経路に代えて、CCV620により流路Dを閉鎖し、流路A、B及びCを全開状態とし、切り替え弁630により流路F及び流路Hを全開状態に、流路E及び流路Gを全閉状態としてもよい。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、シリンダブロック201A、シリンダヘッド201B、EGRクーラ310、他の補機類500を通過する経路で電動W/P610に戻される。即ち、動作モードM4は、本発明に係る「全通水モード」の他の一例である。
ここで特に、図7の経路では、EGRクーラ310にはシリンダブロック201A及びシリンダヘッド201Bを通過した後の冷却水が供給される。また、冷却水はラジエータ650を迂回して電動W/P610に戻される。即ち、図7の経路は、ラジエータ650による冷却が不要である場合に電動W/P610の負荷を軽減して電動W/P610における電力消費を節減する経路である。従って、ECU100は、ラジエータ650による冷却が不要であると判断される状況では、適宜図7の経路を選択してもよい。
次に、図8を参照して、動作モードM4に相当する冷却水の流路の他の例について説明する。ここに、図8は、動作モードM4における冷却水の他の経路を説明する他のブロック図である。尚、同図において、図7と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
図8において、動作モードM4が選択された場合の冷却水の他の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM4が選択された場合には、図7に例示する経路に代えて、CCV620により流路A、B、C及びDを全開状態とし、切り替え弁630により流路F及び流路Hを全開状態に、流路E及び流路Gを全閉状態としてもよい。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、シリンダブロック201A、シリンダヘッド201B、EGRクーラ310、他の補機類500を通過する経路で電動W/P610に戻される。即ち、動作モードM4は、本発明に係る「全通水モード」の他の一例である。
ここで特に、図8の流路では、図7の流路と異なり、EGRクーラ310にエンジン200の本体部を経由しない比較的低温の冷却水を供給することが出来る。従って、EGRの効果をより向上させることが出来る。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るエンジンシステム20について説明する。
始めに、図9を参照し、第2実施形態に係るエンジンシステム20の構成について説明する。ここに、図9は、エンジンシステム20のブロック図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
尚、エンジンシステム20は、冷却装置600の代わりに冷却装置601を有する。冷却装置601は、CCV620の代わりにCCV621を、切り替え弁630の代わりに切り替え弁631を夫々備える点において冷却装置600と異なっている。
図9において、エンジンシステム20は、エンジンシステム10と異なり、冷却対象としてのシリンダヘッド201B、シリンダブロック201A、EGRクーラ310及び他の補機類500の夫々に対応する流路が全て並列の関係にある。
また、CCV621(尚、基本構成はCCV620と同様であるので説明は省略する)が、これら冷却対象の下流側に設けられている。即ち、CCV621は、CCV620と異なり、四個の入力ポート及びそれに接続された四個の流路I、J、K、Lを有し、出力ポート及びそれに接続される流路が一つとなっている。
このCCV621の出力ポートに接続された流路の下流側には切り替え弁631(尚、基本構成は切り替え弁630と同様であるので説明は省略する)が設置されている。切り替え弁631は、CCV621の出力ポートに接続された流路と接続された一つの入力ポートと、流路M及び流路Nに接続された二つの出力ポートを備える。尚、流路M、Nは、第1実施形態における流路H、Gに相当する。
次に、図10乃至図13を参照し、第1実施形態と同様に冷却装置601の各動作モード(尚、図3に相当する動作モード選択の態様は第1実施形態と同様であり、各動作モードの概念も第1実施形態と同様である)について説明する。
ここに、図10は、動作モードM2における冷却水の経路を説明するブロック図である。また、図11は、動作モードM3における冷却水の経路を説明するブロック図である。また、図12は、動作モードM4における冷却水の経路を説明するブロック図である。また、図13は、動作モードM4における冷却水の他の経路を説明するブロック図である。これら各図において、図9と重複する箇所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、動作モードM2が選択された場合の冷却水の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM2が選択された場合、CCV621により流路J及びLが閉鎖され、切り替え弁631により流路Nが閉鎖される。同時にCCV621により流路I及びKが全開状態とされ、切り替え弁631により流路Mが全開状態とされる。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、シリンダヘッド201BとEGRクーラ310に供給され、本発明に係る「第1動作モード」の他の一例が実現される。
図11において、動作モードM3が選択された場合の冷却水の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM2が選択された場合、CCV621により流路I、J及びLが閉鎖され、切り替え弁631により流路Mが閉鎖される。同時にCCV621により流路Kが全開状態とされ、切り替え弁631により流路Nが全開状態とされる。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、EGRクーラ310とラジエータ650に供給され、本発明に係る「第2動作モード」の他の一例が実現される。
図12において、動作モードM4が選択された場合の冷却水の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM4が選択された場合、CCV621により流路I、J、K及びLの全流路が全開とされ、切り替え弁631により流路Mが閉鎖され、流路Nが全開状態とされる。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、全ての冷却対象に供給され、発明に係る「全通水モード」の他の一例が実現される。
図13において、動作モードM4が選択された場合の冷却水の他の循環経路が図示太実線で例示される。
即ち、動作モードM4が選択された場合、CCV621により流路I、J、K及びLの全流路が全開とされ、切り替え弁631により流路Nが閉鎖され、流路Mが全開状態とされる。その結果、電動W/P610から吐出された冷却水は、全ての冷却対象に供給され、発明に係る「全通水モード」の他の一例が実現される。尚、図12と図13との差異は、図6と図7との差異と同様であり、ラジエータ650による冷却の有無に関する差異である。
このように第2実施形態に係るエンジンシステム20によれば、第1実施形態に係るエンジンシステム10と較べて、EGRクーラ310の暖機時に冷却水が双方に並行に流れるため、暖機性については劣るものの、エンジンシステム10と較べて構成が簡素な分、コスト面で有利である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う冷却装置の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、エンジンとEGR装置を備えたシステムにおける冷却装置に適用可能である。
10…車両、100…ECU、200…エンジン、310…EGRクーラ、600…冷却装置、610…電動W/P、610…CCV、630…切り替え弁、650…ラジエータ。

Claims (5)

  1. シリンダヘッド及びシリンダブロックを含む内燃機関と、
    EGRクーラを含み、前記内燃機関の排気の一部をEGRガスとして前記内燃機関の吸気系統に還流させるEGR装置と、
    少なくとも前記シリンダヘッド、シリンダブロック及びEGRクーラを含む冷却対象を冷却するための冷却装置とを備え、
    前記冷却装置が、
    前記冷却水を循環供給するための流路と、
    前記流路に設けられたラジエータと、
    前記流路の内部に配設された弁の開閉により、前記流路における前記冷却水の循環経路を規定する前記冷却装置の動作モードを、(1)前記冷却対象に対して前記冷却水が循環供給されない全停止モードと、(2)少なくとも前記シリンダヘッド、シリンダブロック、EGRクーラ及びラジエータに対して前記冷却水が循環供給される全通水モードと、(3)前記シリンダヘッド及びEGRクーラを含み且つ前記シリンダブロック及びラジエータを含まない第1経路で前記冷却水が循環供給される第1動作モードと、(4)前記EGRクーラ及びラジエータを含み且つ前記シリンダヘッド及びシリンダブロックを含まない第2経路で前記冷却水が循環供給される第2動作モードとを含む複数の動作モードの中から選択可能に構成される切り替え手段と
    を更に備えてなる車両において前記冷却装置を制御する、冷却装置の制御装置であって、
    前記冷却水の温度を特定する特定手段と、
    前記内燃機関の暖機未完了期間において、前記特定された温度が前記EGRクーラを暖機すべき温度領域として定められた第1温度領域にある場合に前記動作モードとして前記第1動作モードが選択されるように、また前記特定された温度が前記EGRクーラを冷却すべき温度領域として前記第1温度領域よりも高温側で定められた第2温度領域にある場合に前記動作モードとして前記第2動作モードが選択されるように、夫々前記切り替え手段を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とする冷却装置の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記特定された温度が前記第1温度領域よりも低温側で定められた冷間始動領域にある場合に前記動作モードとして前記全停止モードが選択されるように前記切り替え手段を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置の制御装置。
  3. 前記第1温度領域は、所定の排気露点温度を含む温度領域である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置の制御装置。
  4. 前記第2温度領域は、前記内燃機関の暖機完了時に収束すべき収束値未満の温度領域である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却装置の制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記特定された温度が前記内燃機関の暖機完了時に収束すべき収束値に収束した場合に、前記動作モードとして前記全通水モードが選択されるように前記切り替え手段を制御する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却装置の制御装置。
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