JP2013126792A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】後輪制御手段との通信の信頼性を簡易な構成で高めることができる。
【解決手段】車両用操舵装置1において、FR−ECU20の目標舵角算出部は、車輪の目標舵角を算出する。第1の通信線は、目標舵角算出部から目標舵角の情報が送出される。第2の通信線は、目標舵角算出部から目標舵角の情報が送出される。RR−ECU30の後輪制御部は、第1の通信線および第2の通信線から目標舵角の情報を取得し、目標舵角の情報にもとづいて後輪の転舵を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】車両用操舵装置1において、FR−ECU20の目標舵角算出部は、車輪の目標舵角を算出する。第1の通信線は、目標舵角算出部から目標舵角の情報が送出される。第2の通信線は、目標舵角算出部から目標舵角の情報が送出される。RR−ECU30の後輪制御部は、第1の通信線および第2の通信線から目標舵角の情報を取得し、目標舵角の情報にもとづいて後輪の転舵を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、後輪の転舵を制御する手段を有する車両用操舵装置に関する。
従来より、後輪の舵角をアクチュエータにより制御するシステムが知られる(特許文献1参照)。特許文献1には、目標舵角を演算する電子制御ユニットと、電子制御ユニットから入力された目標舵角情報にもとづいて後輪を操舵する後輪操舵機構とを備える。この後輪操舵機構は、目標舵角情報を受信するサーボユニット、目標舵角情報にもとづいてサーボユニットに駆動制御されるブラシレスモータと、ブラシレスモータと後輪に連結してブラシレスモータの駆動により後輪の舵角を変化させるラック軸を有する。
サーボユニットは車両の後輪側に配置され、車両前方の操舵ハンドルの操舵量を受け取って目標操舵角を演算する電子制御ユニットと通信線により通信する。特許文献1のサーボユニットは目標舵角と実舵角の偏差の情報を電子制御ユニットに送信し、電子制御ユニットは受信した偏差の前回値と今回値を比較してサーボユニットとの通信状態を監視する。
後輪制御機構は、前輪側の電子制御ユニットから目標舵角を送信される。通信線の接続不良や通信線のコンフリクトなどの外乱の影響により通信に異常があると、後輪制御機構は誤った舵角で後輪を転舵するおそれがある。特許文献1の技術においては、目標舵角と実舵角の偏差を電子制御ユニットに送信することで電子制御ユニットとサーボユニットの通信の異常を検出しているため、サーボユニットが誤った目標舵角を受け取って後輪を制御するおそれがある。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、後輪制御手段との通信の信頼性を簡易な構成で高めることにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用操舵装置は、車輪の目標舵角を算出する目標舵角算出手段と、目標舵角算出手段から目標舵角の情報が送出される第1の通信線と、目標舵角算出手段から目標舵角の情報が送出される第2の通信線と、第1の通信線および第2の通信線から目標舵角の情報を取得し、目標舵角の情報にもとづいて後輪の転舵を制御する後輪制御手段と、を備える。
この態様によると、2つの通信線から同じ目標舵角の情報を後輪制御手段にそれぞれ送出することで、後輪制御手段が受け取る目標舵角の情報の信頼性を高めることができる。
後輪制御手段は、第1の通信線を介して取得した第1の目標舵角の情報と、第2の通信線を介して取得した第2の目標舵角の情報と、を比較して第1の通信線または第2の通信線の異常を検出してもよい。これにより、後輪制御手段において目標舵角算出手段と後輪制御手段との通信の異常を簡易な構成で検出することができる。後輪制御手段は、第1の通信線および第2の通信線のうちいずれか一方の通信線から取得した目標舵角の情報を用いて後輪の転舵を制御してもよい。これにより一方の通信線からの情報を重用できる。
本発明によれば、後輪制御手段との通信の信頼性を簡易な構成で高めた車両用操舵装置を提供することができる。
図1は、車両用操舵装置1が搭載された車両を概略的に示す図である。この車両の車両用操舵装置1は、運転者によって回動操作される操舵ハンドル10を備える。操舵ハンドル10は、操舵入力軸11の上端に固定されており、操舵入力軸11の下端はFRアクチュエータ21に接続されている。FRアクチュエータ21は、伝達比可変アクチュエータであってよく、電動モータであるFRモータ22および減速機を有し、操舵入力軸11の回転量(または回転角)に対して、減速機に接続された転舵出力軸12の回転量(または回転角)を適宜変更する。
FRモータ22は、そのモータハウジングが操舵入力軸11と一体的に接続されており、運転者による操舵ハンドル10の回動操作に従って一体的に回転するようになっている。また、FRモータ22の駆動シャフトは減速機に接続されており、FRモータ22の回転力が駆動シャフトを介して減速機に伝達される。減速機は、所定のギア機構によって構成されており、転舵出力軸12は上端にてこのギア機構に接続されている。これにより減速機は、FRモータ22の回転力が駆動シャフトを介して伝達されると、ギア機構によって駆動シャフトの回転を減速して転舵出力軸12に伝達する。したがってFRアクチュエータ21は、FRモータ22の駆動シャフトを介して、操舵入力軸11と転舵出力軸12とを相対回転可能に連結している。
また車両用操舵装置1は、転舵出力軸12の下端に接続された前輪側転舵機構である前輪転舵ユニット40を備えている。前輪転舵ユニット40は、例えば、ラックアンドピニオン式を採用したギアユニットであり、転舵出力軸12の下端に一体的に組み付けられたピニオンギアの回転がラックバーに伝達されるようになっている。また、前輪転舵ユニット40には、運転者によって操舵ハンドル10に入力される操舵力(より具体的には、操舵トルク)を軽減するための電動モータであるEPS(Electric Power Steering)モータ(不図示)が設けられており、EPSモータの発生するトルク(所謂、アシスト力)がラックバーに伝達されるようになっている。
この構成により、転舵出力軸12の回転力がピニオンギアを介してラックバーに伝達されるとともに、EPSモータのアシスト力がラックバーに伝達される。これによりラックバーは、ピニオンギアからの回転力およびEPSモータのアシスト力によって軸線方向に変位し、ラックバーの両端に接続された左右前輪FW1,FW2が左右に転舵されるようになっている。
また車両用操舵装置1は、左右前輪FW1,FW2の転舵に関連して左右後輪RW1,RW2を転舵させることができる。このため、車両用操舵装置1は、左右後輪RW1,RW2を転舵させるための後輪転舵ユニット41を備えている。後輪転舵ユニット41は、左右後輪RW1,RW2を転舵させる回転駆動力を発生するRRアクチュエータ31を備え、RRアクチュエータ31はRRモータ32を有している。RRモータ32はブラシレスモータであって、RRモータ32のロータの回転角を検出するための回転角センサ33が設けられる。回転角センサ33は、ロータの回転角に対応した正弦波信号および余弦波信号を出力するレゾルバであってよい。後輪転舵ユニット41は周知のギア機構を有していて、RRモータ32の回転を減速するとともに、減速した回転運動を軸線方向運動に変換し、左右後輪RW1,RW2に伝達する。
この構成により、運転者による操舵ハンドル10の回動操作に応じて、すなわち、左右前輪FW1,FW2の転舵に合わせてRRモータ32が回転駆動し、ギア機構によって減速された回転が軸線方向運動に変換される。そして、この軸線方向運動が左右後輪RW1,RW2に伝達されて、左右後輪RW1,RWが左右に転舵されるようになっている。
車両用操舵装置1において、フロント制御装置(以下、「FR−ECU20」という)が、FRアクチュエータ21の動作を制御し、具体的にはFRモータ22の回転を制御して、前輪FW1,FW2に対して転舵角を与える。FR−ECU20およびFRアクチュエータ21は、FRシステム25を構成する。またリア制御装置(以下、「RR−ECU30」という)が、RRアクチュエータ31の動作を制御し、具体的にはRRモータ32の回転を制御して、後輪RW1,RW2に対して転舵角を与える。RR−ECU30およびRRアクチュエータ31は、RRシステム34を構成する。各ECUはCPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備えている。
図2は、FR−ECU20およびRR−ECU30の機能ブロックを示す図である。FR−ECU20は、受取部26、目標舵角算出部27、第1主送受信部28および第1副送受信部29を備える。また、RR−ECU30は、後輪制御手段として機能し、異常処理部35、異常検出部36、第2主送受信部37、第2副送受信部38および制御部39を備える。FR−ECU20は、前輪の転舵を制御するものの、RR−ECU30にとって目標舵角を算出する目標舵角算出手段である。RR−ECU30は、FR−ECU20から第1通信線50および第2通信線52を介して目標舵角データをそれぞれ取得し、目標舵角データにもとづいて後輪の転舵を制御する。
FR−ECU20とRR−ECU30は第1通信線50と、第1通信線50とは異なる経路の第2通信線52により2つの系統で接続される。第1通信線50は、FR−ECU20とRR−ECU30とを専用で接続する専用線であるため、通信の確度が高い。第2通信線52は、FR−ECU20とRR−ECU30とを接続するものの兼用の通信線であって、他の装置にも接続されて使用される。第1通信線50および第2通信線52の通信には、いずれもCAN(Controller Area Network)通信が用いられ、第1通信線50はいわゆるローカルCAN通信であって、第2通信線52はいわゆるグローバルCAN通信である。第1通信線50と第2通信線52の通信において、通信周期や通信速度が異なってもよく、データの形式が異なってもよい。
FR−ECU20において、受取部26は、操舵ハンドル10の操舵角の情報を受け取る。目標舵角算出部27は、受取部26から取得した操舵角にもとづいて車輪の目標舵角を算出する。具体的に、目標舵角算出部27は、操舵ハンドル10の操舵角の情報にもとづいて前輪の目標舵角を算出し、前輪の目標舵角にもとづいて後輪の目標舵角を算出する。目標舵角算出部27は、後輪の目標舵角を算出する場合に、回転角センサ33の回転角データおよび車両の速度を用いてよい。なお、車両用操舵装置1は前輪または後輪を目標舵角となるように転舵する。目標舵角算出部27は、算出した後輪の目標舵角データを第1主送受信部28および第1副送受信部29に送る。
第1主送受信部28は、後輪の目標舵角データをRR−ECU30の第2主送受信部37に送出し、第1副送受信部29は、後輪の目標舵角データをRR−ECU30の第2副送受信部38に送出する。第1主送受信部28および第1副送受信部29は、目標舵角算出部27から目標舵角データを取得して、同じ目標舵角データをほぼ同じタイミングで送出する。なお、FR−ECU20から送出される目標舵角データは、送出タイミングを示す時間情報を含まなくてよい。これにより目標舵角データの情報量を抑えることができ、CAN通信のトラフィック量を抑えることができる。
次にRR−ECU30において、第2主送受信部37は、第1通信線50を介して第1主送受信部28から後輪の目標舵角データを取得する。第2副送受信部38は、第2通信線52を介して第1副送受信部29から後輪の目標舵角データを取得する。
制御部39は、第2主送受信部37から取得した第1の目標舵角データにもとづいてRRアクチュエータ31を制御して後輪の転舵を制御する。これにより一方のデータをメインに用いることができる。専用線である第1通信線50を介したデータを用いることで通信の確度を高めることができる。また、制御部39は、後輪の制御に際して回転角センサ33から回転角データを取得してRRモータ32を制御する。
ところで、FR−ECU20からRR−ECU30に目標舵角データを送出するに際して、配線の接触不良や配線のコンフリクトなどの外乱の影響で通信状態に異常が生じ、制御部39がFR−ECU20の指令と異なる舵角に転舵するおそれがある。そのため、実施形態ではFR−ECU20からRR−ECU30に同じデータを2つの経路から送信し、RR−ECU30において2つの経路からのデータを比較することで、異常を検出する。
RR−ECU30において、2つの経路から取得したデータがFR−ECU20から同じタイミングで送出されたデータか不明であるため、異常検出部36は、第1の目標舵角データと第2の目標舵角データの取得時間が所定の時間内にあるか判定して、所定の時間内に収まる第1の目標舵角データと第2の目標舵角データを比較する。この所定の時間は、第1通信線50および第2通信線52の通信周期および通信速度にもとづいて設定される。これにより、同時期に送出されたデータを比較することができる。
次に異常検出部36は、第1通信線50を介して取得した第1の目標舵角データと、第2通信線52を介して取得した第2の目標舵角データとを比較して、第1通信線50または第2通信線52の異常を検出する。なお、第2の目標舵角データは、異常検出部36において異常を検出するためだけの比較用データであってよい。
具体的に異常検出部36は、第1の目標舵角データと第2の目標舵角データの差を算出し、算出した差の絶対値が所定の閾値以上であるか判定する。異常検出部36は、算出した差の絶対値が所定の閾値以上であれば異常であると判定し、所定の閾値未満であれば異常でないと判定する。所定の閾値は、目標舵角の最大量および通信速度にもとづいて設定される。異常検出部36は、異常であると判定すると、異常処理部35に異常であることを示す情報を送出する。
異常処理部35は、異常検出部36から異常であることを示す情報を受け取った場合、異常処理を実行する。異常処理において、異常処理部35は、制御部39を介して目標舵角にもとづく後輪の制御を停止し、回転角センサ33が中立の位置となるようにRRモータ32を制御する。
以上のように、FR−ECU20とRR−ECU30と2つの通信線で接続するというシンプルな構成で、RR−ECU30において通信の異常を検出することができ、システムの複雑化を抑えることができる。また、受け取ったデータをRR−ECU30側ですぐに異常判定に用いることができるため、異常の検出が迅速にできる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施形態では、目標舵角算出部27が前輪の目標舵角と後輪の目標舵角を算出し、RR−ECU30に後輪の目標舵角を送出する態様を示したが、これに限られない。たとえば、目標舵角算出部27は前輪の目標舵角を算出し、算出した前輪の目標舵角をRR−ECU30に送出し、RR−ECU30が前輪の目標舵角にもとづいて後輪の目標舵角を算出してよい。
RR−ECU30は、第1通信線50および第2通信線52を介して同じデータをFR−ECU20に送出して、FR−ECU20において第1通信線50および第2通信線52から受信した2つのデータを比較して異常の判定をしてもよい。例えばRR−ECU30は回転角センサ33の回転角データを第1通信線50および第2通信線52からそれぞれ送出し、FR−ECU20は2つの経路から受け取った回転角データの差の絶対値が所定値以上であるか判定する。FR−ECU20は所定値以上であれば、異常であると判定し、所定値未満であれば異常でないと判定する。このようにRR−ECU30と同様にFR−ECU20においても通信の異常を検出することができる。
1 車両用操舵装置、 10 操舵ハンドル、 11 操舵入力軸、 12 転舵出力軸、 20 FR−ECU、 21 FRアクチュエータ、 22 FRモータ、 25 FRシステム、 26 受取部、 27 目標舵角算出部、 28 第1主送受信部、 29 第1副送受信部、 30 RR−ECU、 31 RRアクチュエータ、 32 RRモータ、 33 回転角センサ、 34 RRシステム、 35 異常処理部、 36 異常検出部、 37 第2主送受信部、 38 第2副送受信部、 39 制御部、 40 前輪転舵ユニット、 41 後輪転舵ユニット、 50 第1通信線、 52 第2通信線。
Claims (3)
- 車輪の目標舵角を算出する目標舵角算出手段と、
前記目標舵角算出手段から前記目標舵角の情報が送出される第1の通信線と、
前記目標舵角算出手段から前記目標舵角の情報が送出される第2の通信線と、
前記第1の通信線および前記第2の通信線から前記目標舵角の情報を取得し、前記目標舵角の情報にもとづいて後輪の転舵を制御する後輪制御手段と、を備えることを特徴とする車両用操舵装置。 - 前記後輪制御手段は、前記第1の通信線を介して取得した第1の目標舵角の情報と、前記第2の通信線を介して取得した第2の目標舵角の情報とを比較して、前記第1の通信線または前記第2の通信線の異常を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵装置。
- 前記後輪制御手段は、前記第1の通信線および前記第2の通信線のうちいずれか一方の通信線から取得した前記目標舵角の情報を用いて後輪の転舵を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用操舵装置。
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