JP2013125140A - 立体画像撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストの増大をなるべく小さく抑えつつ、画像信号に現れる収差が立体視の形成に及ぼす悪影響を小さくする。
【解決手段】、被写体から発せられた光線を取り込んで後段に導く光学系であり、光軸と直交する面上の第1の方向における第1の屈折力が、第1の方向と直交する第2の方向における第2の屈折力よりも弱い対物光学系100と、対物光学系の異なる経路から出射された複数の被写体光束を視差画像として結像させる複数の結像光学系と、複数の結像光学系に対応して設けられ、複数の結像光学系により結像された視差画像を画像信号に変換する複数の撮像素子202L(R)とを備えた。
【選択図】図4

Description

本開示は、立体画像の撮影を行う立体画像撮像装置に関し、特に、画像信号に現れる収差が立体視の形成に及ぼす悪影響を小さくする技術に関する。
近年、3D(立体)映像を撮影できるカメラ(立体画像撮像装置)へのニーズが高まっている。立体画像の撮像方法としては、ハーフミラーを使用して撮影を行うビームスプリッタ方式(ハーフミラー方式)や、物理的に並べて設置した2台の撮像装置で撮影を行うサイドバイサイド方式(並立2眼式)等が知られている。これらの撮影方式では、撮像装置をリグ(Rig)と称される架台に搭載して撮影を行うため、撮像装置の装着の自由度が高くなる。例えば、立体映像を撮影する2つのレンズのレンズ間距離(基線長;以下、IAD:InterAxial Distanceと称する)や、輻輳(Convergence)や、画角などを高い自由度で選ぶことができる。
ところが、自由度が高い一方、リグに搭載するために、撮影毎の設定・調整に非常な労力と時間を要するという問題点があった。また、特にビームスプリッタ方式を採用した撮像装置のリグは大変に大掛かりな装置となり、フィールドでの撮影や取材用途には適さないといった問題もある。また、サイドバイサイド方式を適用した撮像装置では、2眼のそれぞれの光学系やイメージャがお互いに物理的に干渉するため、IADを、光学系やイメージャの配置位置により定まる一定の距離より短くすることができない。このため、例えば被写体に非常に近接して撮影を行うようなケースにおいては、被写体の後方ほんの数メートル先で3Dディスプレイに表示したときの視差が、人が快適に3D映像を視聴できるときの視差の範囲を超えてしまう。
例えば特許文献1には、複数の結像光学系の前(被写体側)に1つの対物光学系を配置する構成とすることにより、輻輳点を移動できるようにしたことが開示されている。
特開2003−5313号公報
ところで、特許文献1に示される構成によれば、対物光学系を具備したことにより、結像光学系の実際の瞳の他に、それに対応する仮想的な瞳が形成されるものと考えられる。ここでいう仮想的な瞳とは、被写体から出射される光線のうち、対物光学系を通過して結像光学系のレンズ中心を通過するすべての光線が通過する点である。すなわち、結像光学系の撮像素子に形成される画像は、その仮想的な瞳を瞳として撮影された画像と等価な画像となると言える。(以下、この仮想的な瞳のことを「実効瞳」と称する。)
したがって、2つの実効瞳間の距離が、この立体画像撮像装置の実質的なIAD(以下、この実質的なIADのことを「実効IAD」と称する)となる。そして発明者等は、対物光学系として使用するレンズの構成や配置を工夫することにより、この実効IADを、結像光学系宇光学系の配置位置により定まる物理的なIADよりも狭くすることができることを発見した。
一方で、複数の結像光学系の前に1つの対物光学系を設けることにより、対物光学系の光軸と結像光学系の光軸とが一致しなくなる。このため、対物光学系の光軸から離れた位置を通る光束による画像領域では、中心軸から離れることによって歪曲収差や倍率色収差の影響が大きくなってしまう。これにより、撮影結果の画像は、画像中心を境に収差の影響の大きい側と小さい側に分かれてしまう。
特に2眼撮像による立体視を考えた場合には、対物光学系の光学中心軸に対して左右方向にずれた位置に2つの結像光学系を配置することになるため、撮影の結果得られる視差を持った左右画像では、歪曲収差や倍率色収差の発生具合が互いに異なってしまう。図20は、1つの対物光学系と2つの結像光学系を有する立体画像撮像装置で、縦線と横線とが交わる間隔が等間隔な格子模様を、比較的広めの画角で撮影して得た結果の画像の例を示すものである。左眼用の視差画像を示す図20Aでは、画像の左端側において大きな歪曲収差が発生しており、右眼用の視差画像を示す図20Bでは、画像の右端側において大きな歪曲収差が発生していることが分かる。いずれの画像においても、水平方向に現れた歪みよりも、垂直方向に現れた歪みの方が大きいことが特徴的である。
こうした収差が起きないようにするには、収差の起きにくい光学系を設計することも一つの解である。しかし、対物光学系の後段の複数の結像光学系の光軸の間隔は比較的広めである場合が多く、このような場合には、収差の軽減を行うための対物光学系では、そのレンズ枚数が増大したり、レンズのサイズが大型化してしまう。すなわち、光学系の重量増加・高価格化につながってしまう。
また、立体画像撮像装置の信号処理回路による画像信号処理によって、収差を補正することもできる。しかし、図20に示したように垂直方向における画像の歪みが大きい場合には、その補正を行うために、ラインメモリの垂直方向の本数を、水平方向のすべての画素分用意する必要がある。しかし、ラインメモリの総量を増大させると、その分製造コストもかさんでしまう。
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、立体画像撮像装置によって仮想的に形成される複数の瞳間の距離を調整可能な立体画像撮像装置において、画像信号に現れる収差が立体視の形成に及ぼす悪影響を、製造コストをなるべく増大させずに低減することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の立体画像撮像装置は、被写体から発せられた光線を取り込んで後段に導く光学系であり、光軸と直交する面上の第1の方向における第1の屈折力が、第1の方向と直交する第2の方向における第2の屈折力よりも弱い対物光学系を備える。また、対物光学系の異なる経路から出射された複数の被写体光束を視差画像として結像させる複数の結像光学系を備える。さらに、複数の結像光学系に対応して設けられ、複数の結像光学系により結像された視差画像を画像信号に変換する複数の撮像素子を備える。
このように構成することで、第1の方向に入射した被写体光に働く屈折力は弱くなるため、撮像素子により得られる画像の第1の方向において発生する収差の現れ方を、小さくすることができる。つまり、製造コストの増大をなるべく小さく抑えつつ(収差補正用のレンズを専用に設計したり、ラインメモリの容量を増大させることなく)、画像信号に現れる収差が立体視の形成に及ぼす悪影響を小さくすることができる。
従来の、対物光学系に正レンズを使用した立体画像撮像装置の構成例を示す概略図である。 従来の、対物光学系に負レンズを使用した立体画像撮像装置の構成例を示す概略図であり、Aは対物光学系を正レンズ2枚で構成した例を示し、Bは対物光学系を負レンズと正レンズで構成した例を示し、Cは、対物光学系を正レンズと負レンズで構成した例を示す。 本開示の第1の実施の形態による立体画像撮像装置の構成例を示すブロック図である。 本開示の第1の実施の形態による立体画像撮像装置の構成例を示す斜視図である。 負のシリンドリカルレンズの光学特性を示す説明図であり、Aは斜視図であり、BおよびCは側面図である。 正のシリンドリカルレンズの光学特性を示す説明図であり、Aは斜視図であり、BおよびCは側面図である。 本開示の第1の実施の形態による立体画像撮像装置の構成例を示す概略図であり、Aは上面図であり、Bは側面図である。 本開示の第1の実施の形態による立体画像撮像装置で撮影された左右の視差画像の例を示す説明図であり、Aは左眼用の視差画像を示し、Bは右眼用の視差画像を示す。 本開示の第1の実施の形態の変形例による立体画像撮像装置の構成例を示すブロック図である。 本開示の第1の実施の形態の変形例による収差補正処理の例を示すフローチャートである。 本開示の第2の実施の形態による立体画像撮像装置の構成例を示す概略図であり、Aは上面図であり、Bは側面図である。 本開示の第2の実施の形態による立体画像撮像装置で撮影された左右の視差画像の例を示す説明図であり、Aは左眼用の視差画像を示し、Bは右眼用の視差画像を示す。 正のシリンドリカルレンズ2枚を、互いの母線が直交するように重ねて配置した場合の光線の屈折の様子を説明する説明図である。 本開示の第3の実施の形態による立体画像撮像装置の構成例を示す概略図であり、Aは上面図であり、Bは側面図である。 本開示の第3,第4の実施の形態による立体画像撮像装置で撮影された左右の視差画像の例を示す説明図であり、Aは左眼用の視差画像を示し、Bは右眼用の視差画像を示す。 本開示の第4の実施の形態による立体画像撮像装置の構成例を示す概略図であり、Aは上面図であり、Bは側面図である。 本開示の変形例による立体画像撮像装置の構成例を示す上面図である。 本開示の変形例による立体画像撮像装置の構成例を示す概略図であり、Aは上面図であり、Bは側面図である。 本開示の変形例による立体画像撮像装置の構成例を示す概略図であり、Aは上面図であり、Bは側面図である。 従来の、対物光学系を有する立体画像撮像装置によって撮影された視差画像の例を示す説明図であり、Aは左眼用の視差画像を示し、Bは右眼用の視差画像を示す。
以下、発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実効瞳が形成される原理
2.第1の実施の形態
3.第1の実施の形態の変形例
4.第2の実施の形態
5.第3の実施の形態
6.第4の実施の形態
7.各種変形例
<1.実効瞳が形成される原理>
まず、立体画像撮像装置によって実効瞳が形成される原理について、図1を参照して説明する。図1に示す立体画像撮像装置50は、対物光学系10と撮像部20Lおよび撮像部20Rとを含む。対物光学系10は、図示しない被写体を実像として結像する機能を有する。すなわち、フォーカル光学系として構成されている。図1Aは、対物光学系10として正の屈折力を有する正レンズ(凸レンズ)11pを使用し、図1Bは、対物光学系10として負の屈折力を有する負レンズ(凹レンズ)11mを使用した例を示している。
撮像部20Rと撮像部20Lは、図示せぬ結像光学系を備え、その結像光学系が、対物光学系10の異なる経路から出射された複数の被写体光束を視差画像として結像させる。そして、各結像光学系によって結像された視差画像は、撮像部20Rと20L内の図示せぬ撮像素子によって、画像信号に変換される。
図1Aは、立体画像撮像装置50を上から見た上面図である。立体画像撮像装置50は、撮像素子を構成する各画素の配置における水平方向が、地面に対して平行となるように配置または保持されているものとする。つまり、図1Aにおいて上方に示された撮像部20Lが左眼用の視差画像を生成する撮像部であり、下方に示された撮像部20Rが、右眼用の視差画像を生成する撮像部である。
図1A内の破線および実線は、撮像部20Lと撮像部20Rの図示せぬ結像光学系のレンズ中心から光線が放射されると想定した場合の、放射された光線の光路を示している。破線は、撮像部20Lと撮像部20Rの図示せぬ結像光学系のレンズ中心から放射されて対物光学系10Aの後側焦点F′を通過する光の光路を示す。破線が示すように、左右の結像光学系のレンズ中心から放射されて対物光学系10Aの後側焦点F′を通過する光線は、対物光学系10Aで屈折されて、対物光学系10pの光軸Ax1に平行な光となる。
図1Aに示す実線は、撮像部20Lと撮像部20Rの図示せぬ結像光学系のレンズ中心から放射される光のうち、各結像光学系の画角の左右両端を通る光線の光路を示す。実線で示される各光線は、対物光学系10Aによって屈折された後に、破線で示した光線と交差する。つまり、撮像部20Lと撮像部20Rの図示せぬ結像光学系のレンズ中心から放射されるすべての光は、必ずこの交点を通過することを意味する。
このため、撮像部20Lおよび撮像部20Rの図示せぬ各撮像面に結像される映像は、この交点を瞳として撮影された画像と等価なものとなる。つまり、この交点は、立体画像撮像装置50における実質的な瞳(実効瞳)であると考えられる。よって、撮像部20Lと撮像部20Rで捉えられる映像は、この交点が形成される位置にカメラを設置して撮影した映像と同じ映像になる。図1Aおよび図1Bでは、このようにして形成される実質的なカメラを、「実効カメラ20L′」および「実効カメラ20R′」として示している。
実効カメラ20L′の実効瞳(実効瞳EpL)と、実効カメラ20R′の実効瞳(実効瞳EpR)との間の距離は、立体画像撮像装置50における実質的なIAD(以下、「実効IAD」と称する)であると言える。図1Aに示した例では、実効IADは、撮像部20Rと撮像部20Lの配置により定まる物理的なIAD(以下、「物理IAD」と称する)よりも狭くなっている。つまり、立体画像撮像装置50をこのように構成することにより、左右の視差画像を撮影する各カメラ(ここでは撮像部20Lと撮像部20R)の配置間隔を狭められない状況においても、実質的に効力を持つIADである「実効IAD」を、物理IADよりも狭くすることが可能となる。
図1Bに示す、対物光学系10Bに負レンズ11mを使用した構成においても、図1Aに示した構成と同様に、実効IADを物理IADよりも狭くすることができる。
図2A〜図2Cは、対物光学系10C〜対物光学系10Eをアフォーカル光学系として構成した場合における、撮像部20Lおよび撮像部20Rと、これらに対応する実効カメラ20L′と実効カメラ20R′の位置関係を示した図である。図2において、図1と対応する箇所には同一の符号を付し重複する説明は省略する。なお、以下の説明において、各対物光学系10をそれぞれ区別する必要がない場合には、単に「対物光学系10」と称するものとする。
図2Aは、対物光学系10Cを、正レンズ2枚(正レンズ11p1と正レンズ11p2)で構成した例を示す図であり、図2Bは、対物光学系10Dを、負レンズ11mと正レンズ11pで構成し、負レンズ11mを被写体側に配置した例を示す図である。図2Cは、対物光学系10Cを、正レンズ11pと負レンズ11mで構成し、正レンズ11pを被写体側に配置した例を示す図である。
いずれの構成においても、撮像部20Lと撮像部20Rとを、それぞれの光軸が対物光学系10の光軸Axに並行になるように配置している。さらに、対物光学系10を構成する各レンズを、各レンズの間隔が各レンズの焦点距離の和となる(共焦点となる)位置に配置している。図2Aに示した例では、正レンズ11p1の後側焦点Fp1′と正レンズ11p2の前側焦点Fp2とが同一の位置に配置されるように、正レンズ11p1の後側焦点Fp1′と正レンズ11p2の位置を調整している。このような配置とすることで、アフォーカル光学系が実現される。すなわち、被写体側に配置された正レンズ11p1に対して平行に入射した光線が、撮像部20側に配置された正レンズ11p2から平行光として出射するようになる。
撮像部20Lと撮像部20Rのレンズの中心から光線が出射されると想定すると、アフォーカル光学系として構成された対物光学系10は、それらの光線、つまり平行光の間隔を異なる間隔に変換する働きをする。アフォーカル光学系によって変換される平行光の変倍率は、対物光学系10を構成する各レンズの構成を異ならせることにより変化させることができる。対物光学系10をアフォーカル光学系として構成した場合には、対物光学系10によってその倍率が変換された平行光上に、実効瞳EpLと実効瞳EpRが形成される。したがって、対物光学系10を構成する各レンズの構成を変えることにより、実効瞳EpLと実効瞳EpRとの間隔である実効IADを、物理IADよりも狭くしたり、逆に広くすることも可能となる。
対物光学系10を、図2Aに示した、2枚の正レンズ11pを共焦点の関係となる位置に配置する構成または、図2Bに示した、負レンズ11mの後ろ(撮像部20側)に正レンズ11pを配置する構成とすれば、実効IADを物理IADよりも狭くできる。図2Cに示した、正レンズ11pの後ろに負レンズ11mを配置する構成とすれば、実効IADを物理IADよりも広くすることが可能となる。
しかし、いずれの構成においても、各図に示されるように、撮像部20Lと撮像部20Rに対してそれぞれ入射する光の光路が、対物光学系10の中心付近を通るものと端(外側)付近を通るものとで異なっている。具体的には、端(外側)部分を通る光路の方が、中心近辺を通る光路よりも長くなっている。このため、図20Aに示した左眼用の視差画像においては、歪曲収差の出方が画面の左側に行くほど大きくなっており、図20Bに示した、右眼用の視差画像においては、右側に行くほど大きくなっている。
このような歪曲収差が立体視の形成に及ぼす悪影響を小さくするために、本開示の立体画像撮像装置は、対物光学系のレンズとしてアナモフィック光学系のレンズを使用するものである。アナモフィック光学系とは、その縦方向と横方向とで光の屈折率が異なる光学系であり、映画撮影用の用途で使用されることが多い。映画撮影用に使用されるケースでは、映画用のワイドスクリーンの幅の横長の映像を、フィルムのフレーム幅に合うように横方向を圧縮させる際と、圧縮して記録された映像を、元のワイドスクリーン用のサイズに戻して映写する際に使用される。最も単純な構成のレンズとしては、円柱を切り出した形状であり、光が屈折する方向と屈折しない方向を有するシリンドリカルレンズが知られている。
<2.第1の実施の形態例>
[2−1.立体画像撮像装置の構成例]
次に、図3を参照して、本開示の立体画像撮像装置1の構成例について説明する。立体画像撮像装置1は、対物光学系100と、撮像部200Lと撮像部200Rとを備える。本実施の形態では、対物光学系100をアフォーカル光学系として構成しており、対物光学系100は、被写体から発せられた光線を取り込んで後段に導く光学系であり、平行光として入射された光線は平行光として出射する。アフォーカル光学系を構成する各レンズには、アナモフィック光学系のレンズであるシリンドリカルレンズを使用している。対物光学系100の構成の詳細については、次の図4〜図7を参照して後述する。
撮像部200Lは、結像光学系201Lと撮像素子202Lを有し、撮像部200Rは、結像光学系201Rと撮像素子202Rとを有する。結像光学系201Lと結像光学系201Rは、対物光学系100の異なる経路から出射された複数の被写体光束を視差画像として結像させる。撮像素子202Lと撮像素子202Rは、水平方向および垂直方向に配置された複数の画素を有し、複数の各画素が、結像光学系201Lまたは結像光学系201Rによって結像された視差画像を画像信号に変換して出力する。
撮像部200Lと撮像部200Rの配置は、それぞれの光軸が対物光学系100の光軸Axに対して平行となる位置であり、かつ、対物光学系100の光軸Axを挟んで互いが対称となる位置に行っている。
また、立体画像撮像装置1は、信号処理部300Lおよび信号処理部300Rと、画像処理部400と、制御部500と、操作部600と、記憶部700とを備える。信号処理部300Lと信号処理部300Rは、撮像素子202Lまたは撮像素子202Rから出力された画像信号に対して、CDS(相関二重サンプリング)やAGC(Automatic Gain Control)、AWB(Auto White Balance)、AIC(Automatic Iris Control)等の信号処理を行う。
画像処理部400は、撮像素子202Lまたは撮像素子202Rから出力された左右の視差画像における光軸ずれや色ずれ、位相のずれ等を調整する。制御部500は、CPU(Central Processing Unit)等よりなり、立体画像撮像装置1を構成する各部を制御する。場合によっては、後述する記憶部700に記憶された画像データに対して所定の画像処理を行う。
操作部600は、ボタンやつまみ、スイッチ等よりなる操作入力部(図示略)を備え、これらに対して行われた操作内容に応じた操作信号を生成して出力する。記憶部700は、不揮発性メモリ等よりなり、画素信号に含まれる画素情報等が蓄積または読み出しされたり、画像データが蓄積される。なお、記憶部700を信号処理部300Lと信号処理部300Rの内部や、画像処理部400の内部に配置して、他の回路から参照されないデータを格納したり、高速アクセスを実現するためのキャッシュとして用いるようにしてもよい。
[2−2.対物光学系の構成例]
次に、図4〜図7を参照して、対物光学系100の構成の詳細について説明する。図4は、対物光学系100と撮像部200Lおよび撮像部200Rの配置の例を示す斜視図であり、立体画像撮像装置1を右斜め前の上方(被写体側)から見た場合の例を示している。図4に示すように、対物光学系100は、負の屈折力を有する負のシリンドリカルレンズ(以下、単に「負レンズ」と称する)101mと、正の屈折力を有する正のシリンドリカルレンズ(以下、単に「正レンズ」と称する)101pとよりなる。図4において、対物光学系100の光軸Axの方向をz軸として示し、撮像素子202L(および撮像素子202R)内の各撮像素子を構成する各画素における水平方向をx軸、垂直方向をy軸として示している。
図5と図6に、それぞれ負レンズ101mと正レンズ101pの構成例を示す。図5Aに示す負レンズ101mは、図中の“a”と“b”とを結ぶx軸方向に引かれた線分を含む断面(以下、「ab断面」と称する)と、図中の“c”と“c”とを結ぶy軸方向に引かれた線分を含む断面(以下、「cd断面」と称する)とを有する。図5Bは、負レンズ101mのab断面を示し、図5Cはcd断面を示す。
図5Bに示すab断面に入射する光線のうち、負レンズ101mの光軸に沿って入射される光線R1はそのまま直進するが、ab断面のそれ以外の箇所に入射する光線R2は、負レンズ101mによって屈折されて外に広がる方向に進む。
図5Cに示すcd断面には曲面が含まれないためレンズ作用を持たない。したがって、この断面に沿って入射される光線はすべて直進する。なお、図5には負レンズ101mの片面のみに曲面(凹面)を持たせた構成を例にあげたが、これに限定されるものではなく、両面が曲面である負レンズを用いてもよい。
図6Aに示す正レンズ101pは、図中の“e”と“f”とを結ぶx軸方向に引かれた線分を含む断面(以下、「ef断面」と称する)と、図中の“g”と“h”とを結ぶy軸方向に引かれた線分を含む断面(以下、「gh断面」と称する)とを有する。図6Bは、正レンズ101pのef断面を示し、図6Cはgh断面を示す。
図6Bに示すef断面に入射する光線のうち、正レンズ101pの光軸に沿って入射される光線R1はそのまま直進するが、ef断面のそれ以外の箇所に入射する光線R2は屈折し、正レンズ101pの後側焦点F′に集光する。図6Cに示すgh断面には曲面が含まれないためレンズ作用を持たない。したがって、この断面に沿って入射される光線はすべて直進する。つまり、図5および図6に示した、シリンドリカルレンズで構成された負レンズ101mと正レンズ101pは、第2の方向としてのy軸方向における第2の屈折力が、第1の方向としてのx軸方向における第1の屈折力よりも弱いことが分かる。
図4に示すように、負レンズ101mと正レンズ101pとを、そのx軸方向が、撮像部200Lと撮像部2020Rの配置方向と一致するように配置することで、各レンズに対して水平方向に入射する光線のみが屈折するようになる。図4に示す例では、撮像部20Lと撮像部200Rとを水平方向に並べて配置しているため、撮像部200Lと撮像部200Rの配置方向は、撮像素子を構成する各画素の配置における水平方向と一致している。このような配置とすることで、画像の縦方向に関しては対物光学系100での屈折は起きなくなる。
図7Aは、立体画像撮像装置1を上から見た上面図であり、図7Bは、立体画像撮像装置1を左(撮像素子202Lが配置されている側)から見た側面図である。本実施の形態では、図7Aに示すように、対物光学系100を構成する負レンズ101mと正レンズ101pとを、負レンズ101mの後側焦点Fm′と正レンズ101pの前側焦点Fpとが同一の位置となるように配置している。このように構成することにより、対物光学系100の光軸Axに対して平行に入射した光線は、負レンズ101mおよび正レンズ101pによって屈折されて、再び平行光として出射する。
また、負レンズ101mに対して角度を持って入射した光線は、負レンズ101mの主平面に到達するとその後は負レンズ101mによって屈折され、外に広がる方向に進む。この光線のうち、負レンズ101mに入射して負レンズ101mの主平面に到達するまでの光線をそのまま延長した位置に、実効瞳EpRと実効瞳EpLが形成される。そして、撮像部200Lおよび撮像部200Rの図示せぬ撮像面に結像される画像は、この実効瞳EpLと実効瞳EpRが形成される位置にカメラ(実効カメラ200L′と実効カメラ200R′)を配置して撮影された画像と等価なものとなる。
図7Aに示した例では、図2Bに示した従来の構成と同様に、実効瞳EpLと実効瞳EpRとの間隔である実効IADは、実際の撮像部200Lと撮像部200Rの配置間隔により定まる物理IADよりも狭くなっていることが分かる。つまり、アナモフィック光学系として構成された対物光学系100に入射して撮像部200Lおよび撮像部200Rによって生成される像は、その横方向が縮小倍されることになる。
一方、図7Bに示すように、対物光学系100を側面から見た場合の対物光学系100の各レンズを通過する光線の光路は、図2Bに示した従来の構成とは異なる。本開示の立体画像撮像装置1では、対物光学系100をアナモフィック光学系として構成しているため、図5Bに示されるように、対物光学系100に対してy軸方向(縦方向)に入射する光線は屈折せずに直進する。つまり、縦方向に入射する光線に対しては、アナモフィック光学系として構成した対物光学系100が薄肉平板ガラスと等価になり、屈折が起こらない。したがって、対物光学系100に入射して撮像部200Lおよび撮像部200Rによって生成される像の縦方向は、変倍されずに等倍のままとなる。
図8は、図7Aおよび図7Bに示した立体画像撮像装置1で等間隔の格子模様を撮影したときの、撮影結果の画像を模式的に示したものである。前述したように、対物光学系100に対して縦方向に入射する光線には屈折が起きないため、撮影画像における縦方向の格子模様の間隔は、対物光学系100によって変倍されない状態、すなわち、対物光学系100を外した状態で撮影された画像と同等の間隔となる。
一方、画像の横方向に関しては、対物光学系100での屈折の影響を受けるため、格子模様の横方向の幅は縮小される。ただし、図8に示した画像は、対物光学系100の歪曲収差を光学的にすべて補正しきれない場合を想定しており、この収差の影響で、格子模様は非等間隔となっている。具体的には、球面レンズにおける樽型収差と同等の歪曲収差が発生した場合を想定しており、収差がより大きく影響する左画像の左端、右画像の右端では、格子間隔は若干狭くなっている。
しかし、前述したように、立体画像撮像装置1による撮影画像の縦方向にはレンズの作用が働かないため、左右の視差画像において縦(垂直)方向の位置ずれは発生しなくなる。左右の視差画像で対応する画素が縦方向にずれていると、視聴者が立体視を行う際に疲労や違和感を覚えるとされている。対物光学系に球面レンズを使用した図20に示した例では、左右の各視差画像で歪が異なるため、画面両端での縦ずれが大きくなっており、立体視の形成に悪影響を与えてしまう。これに対して、本開示の立体画像撮像装置1では、対物光学系100をアナモフィック光学系としているため、左右の視差画像における横方向の収差と、縦方向の収差を分離することができる。これにより、斜め方向に発生する歪曲収差を抑えることが可能となる。この結果、立体視を行う際に問題となる、左右の視差画像の対応点における上下方向の位置ずれを解消することができる。
また、本実施の形態によれば、左右の視差画像間での上下方向の位置ずれが解消されるため、縦方向の収差の補正用にラインメモリの容量を増大させる必要もなくなる。また、左右の視差画像における横方向の収差と、縦方向の収差を分離できるため、対物光学系100の歪曲収差や倍率色収差を画像処理的に補正しやすくなる。すなわち、画像処理によってこれらの収差を補正できる範囲が広くなるため、歪曲収差や倍率色収差を回避するための専用のレンズを設計する必要がなくなる。これにより、レンズの巨大化・多数枚化を抑えることが可能となるため、光学系の増量が増加することおよび、製造コストが増大することを抑えることができる。
<3.第1の実施の形態の変形例>
なお、上述した第1の実施の形態では、対物光学系100をアナモフィック光学系とすることで歪曲収差の現れ方を変え、歪曲収差が立体視の形成に及ぼす悪影響を少なくする例をあげたが、これに限定されるものではない。歪曲収差を抑えるための信号処理あるいは画像処理や、視差画像におけるアスペクト比を補正するための信号処理あるいは画像処理を行うようにしてもよい。
図9に示す立体画像撮像装置1aは、歪曲収差抑制用の信号処理または画像処理と、視差画像におけるアスペクト比補正用の信号処理または画像処理を行うことを特徴とする。図9において図3と対応する箇所には同一の符号を付してあり、重複する説明は省略する。図9に示した立体画像撮像装置1aにおいて、図3に示した立体画像撮像装置1と異なる点は、信号処理部300Laと信号処理部300Raが収差補正処理を行う点と、縦横軸ずれ検出部800を備えた点と、画像処理部400aがアスペクト補正処理を行う点である。また、記憶部700aの構成も異なっている。
まず、記憶部700aの構成から説明すると、記憶部700aは、期待画像記憶部701と、観測画像保持部702と、補正パラメータ記憶部703とを有する。期待画像記憶部701には、収差が発生していない状態で撮影されることが期待される画像である、参照用の期待画像Ieが記憶される。
期待画像Ieは、例えば格子模様や水玉模様、市松模様などの、同様の模様が等間隔で規則的に現れる画像を予め参照画像Irとして用意しておき、その参照画像Irをデータ化すること等によって生成する。参照画像Irとして用意する画像は、このような規則的なパターンを有する画像である方が好ましいが、風景画像等のその他の画像を用いてもよい。もしくは、参照画像Irを立体画像撮像装置1で撮影して得られた観測画像Ioの中の、収差の少ない領域のデータを抽出し、そのデータからその他の領域のデータを推定することにより、期待画像Ieを生成してもよい。
観測画像保持部702には、参照画像Irを立体画像撮像装置1で撮影して得られた観測画像Ioが保持される。補正パラメータ記憶部703には、制御部500によって算出された収差補正用のパラメータが記憶される。収差補正用のパラメータは、画像を構成する画素毎の補正値(R,G,B値)と、画素の位置情報とが、補正テーブルとして対応付けられたものである。この収差補正用のパラメータは、信号処理部300Laと信号処理部300Raによって、期待画像Ieと観測画像Ioとを比較解析することによって生成される。
参照画像Irとして、パターンの間隔が縦方向と横方向とで等間隔であるものを用意すれば、すなわち、アスペクト比が等倍で歪曲収差も含まないものを用意すれば、その参照画像Irから生成した期待画像Ieも、アスペクト比が等倍で歪曲収差を含まないものとなる。このような期待画像Ieと観測画像Ioとを比較解析することにより生成される補正パラメータを用いて収差の補正を行うことで、歪曲収差の補正だけでなく、アスペクト比の補正も同時に行えるようになる。
なお、ここでは補正値として単にR,G,Bのカラー値を使用する場合を例にあげたが、これに限定されるものではない。例えば、補正値参照の対象となる画素の近隣の画素のカラー値も用いて補正値を参照するようにしてもよい。また、画像を構成するすべての画素に対して補正テーブルを設けなくてもよい。例えば、10画素おきに参照位置を保持しておき、補正するときに補正テーブルの参照位置を補間して、各画素に対する補正前画素の位置を算出するようにしてもよい。
信号処理部300Laおよび信号処理部300Raは、補正パラメータ記憶部703に記憶された収差補正用のパラメータを用いて、撮像素子202Lまたは撮像素子202Rから出力された画像信号に対する収差補正処理を行う。なお、本実施の形態では、収差補正処理を、左右の画像信号に対して別々に、信号処理部300Laと信号処理部300Raにて行う例をあげたが、画像処理部400aで行うようにしてもよい。また、収差補正用のパラメータの生成も、信号処理部300Laおよび信号処理部300Raではなく、画像処理部400aで行うようにしてもよい。
縦横軸ずれ検出部800は、対物光学系100の各レンズにおける縦横軸と、観測画像Ioにおける縦横軸とが一致しているか否かを判断し、一致していなかった場合に、そのずれ量を検出する。
画像処理部400aは、縦横軸ずれ検出部800で縦横軸のずれが検出された場合に、そのずれを解消するための処理を行う。具体的には、例えばアフィン変換を行うことにより、観測画像Ioにおける縦横軸を対物光学系100の各レンズにおける縦横軸に一致させる。もしくは、光軸を中心とした回転方向に対物光学系100を物理的に駆動可能な駆動機構を設け、その駆動機構で対物光学系100を回転させることによって、対物光学系100の各レンズにおける縦横軸を観測画像Ioにおける縦横軸に一致させてもよい。
本実施の形態による立体画像撮像装置1aは、収差補正パラメータの取得を行う「収差補正パラメータ取得モード」と、収差の補正を行う「補正モード」の2つのモードを備える。この2つのモードは、操作部600を介してユーザが選択できるようにしてある。図10は、これらのモードが選択された場合における補正処理の例を示すフローチャートである。
まず、ユーザによって、いずれかのモードを選択する操作が入力されると(ステップS1)、信号処理部300Laおよび信号処理部300Ra(図3参照)によって、選択されたモードが「収差補正パラメータ取得モード」であるか否かが判断される(ステップS2)。「収差補正パラメータ取得モード」でなかった場合、つまり、「補正モード」であった場合には、補正パラメータ記憶部703(図9参照)から収差補正用のパラメータが読みだされる(ステップS3)。そして、信号処理部300Laおよび信号処理部300Ra、または画像処理部400aによって、撮影画像に対する収差の補正が行われ(ステップS4)、補正後の画像が出力される(ステップS5)。
ステップS2で、ユーザによって選択されたモードが「収差補正パラメータ取得モード」であると判断された場合には、信号処理部300Laおよび信号処理部300Raによって、期待画像記憶部701から期待画像Ieが読み出される(ステップS6)。続いて、読み出された期待画像Ieと、撮影によって得られた観測画像Ioとが信号処理部300Laおよび信号処理部300Raによって比較解析され、解析結果に基づいて収差補正用のパラメータが生成される(ステップS7)。そして、生成された収差補正用のパラメータは、補正パラメータ記憶部703に記憶される(ステップS8)。
このように、対物光学系100の収差の補正を、信号処理または画像処理によって行うことで、収差の結果生じる撮影画像の横方向の位置ずれも解消することが可能となる。また、対物光学系100の収差の補正を信号処理または画像処理によって行うことで、対物光学系100の光学設計の自由度も向上させることが可能となる。また、収差補正パラメータの取得をユーザ側で行えるようにしたことにより、経年変化に伴って収差の出方が変化した場合にも、ユーザが適切に補正を行えるようになる。
なお、本実施の形態では、「収差補正パラメータ取得モード」と「補正モード」とをユーザが選択できるようにした例をあげたが、これに限定されるものではない。「収差補正パラメータ取得モード」によるパラメータの取得は、工場出荷時までに行っておき、ユーザがパラメータを修正できないように構成してもよい。
<4.第2の実施の形態>
次に、本開示の第2の実施の形態例について、図11を参照して説明する。第1の実施の形態またはその変形例として説明した立体画像撮像装置1(1a)では、対物光学系100をアナモフィック光学系とすることで、左右の視差画像の対応点における垂直方向の位置ずれを解消することができた。しかし、このような構成とすることで、実効瞳EpL(EpR)の位置に仮想的に形成される実効カメラ200L′(200R′)の画角が、実際の撮像部200L(200R)の画角よりも広くなるという現象が起きる。
この問題を解消するために、本実施の形態による立体画像撮像装置1bでは、撮像部200Lの画角と撮像部200Rの画角を両方ともカバーする大きさを持つ第1の対物光学系に加えて、各結像光学系201に対応する第2の対物光学系を備える構成とした。第1の対物光学系も第2の対物光学系も、アナモフィック光学系として構成している。さらに、第2の対物光学系を構成する各レンズの配置を、第1の対物光学系とは逆の配置とし、かつ、第2の対物光学系のアフォーカル倍率を、第1の対物光学系のアフォーカル倍率の逆倍としている。なお、ここでいう「アフォーカル倍率」とは、2つのレンズの焦点距離の比を示す。
図11Aは、立体画像撮像装置1bを上から見た上面図であり、図11Bは、立体画像撮像装置1bを左(撮像素子202Lが配置されている側)から見た側面図である。図11において、図7と対応する箇所には同一の符号を付してある。図11Aに示されるように、立体画像撮像装置1bは、対物光学系100bと、撮像部200Lおよび撮像部200Rとを備える。
対物光学系100bは、第1の対物光学系100b1と、第2の対物光学系100b2Lおよび第2の対物光学系100b2Rとよりなる。第1の対物光学系100b1は、負レンズ101mと正レンズ101pで構成され、負レンズ101mを図示せぬ被写体側に配置し、その後ろ側(被写体光の出射側)に正レンズ101pを配置している。第1の対物光学系100b1の構成は、図7Aに示した対物光学系100と同一である。
撮像部200Lと撮像部200Rの前段に第1の対物光学系100b1を配置したことによって、図7Aに示した構成と同様に、実効瞳EpLと実効瞳EpRが形成される。そして、その実効瞳EpLと実効瞳EpRとの間隔である実効IADは、撮像部200Lと撮像部200Rの配置によって定まる物理IADよりも狭くなっている。つまり、撮像部200Lと撮像部200Rの前段に第1の対物光学系100b1を配置したことにより、図7に示した構成と同様の効果を得られるようになる。
本実施の形態は、第1の対物光学系100b1の後ろ側に、第2の対物光学系を設けている。第2の対物光学系は、撮像部200L内の図示しない結像光学系に対応して設けられた第2の対物光学系100b2Lと、撮像部200L内の図示しない結像光学系に対応して設けられた第2の対物光学系100b2Lとよりなる。第2の対物光学系100b2Lと第2の対物光学系100b2Lは、そのレンズ中心が、撮像部200Lまたは撮像部200Rの図示せぬ結像光学系の光軸AxLまたは光軸AxR上に位置するように配置されている。
また、第2の対物光学系100b2Lと第2の対物光学系100b2Lは、それぞれ正レンズ101pと負レンズ101mよりなり、正レンズ101pが図示せぬ被写体側に配置され、その後ろ側に負レンズ101mが配置されている。
そして、第2の対物光学系100b2Lと第2の対物光学系100b2Rでは、それぞれを構成する各レンズの光軸方向における配置を、第1の対物光学系100b1における配置とは逆にしている。つまり、被写体側に正レンズ101pを配置し、撮像部200側に負レンズ101mを配置している。このように配置することにより、第2の対物光学系100b2Lと第2の対物光学系100b2Rの倍率が、第1の対物光学系100b1の倍率の逆倍率となる。この結果、第1の対物光学系100b1のレンズ作用によって少し広がった実効カメラ200L′または実効カメラ200R′の画角が狭まり、撮像部200Lと撮像部200Rの画角とほぼ等しくなる。
また、本実施の形態においても、第1の対物光学系100b1と、第2の対物光学系100b2Lおよび第2の対物光学系100b2Rよりなる対物光学系100bを、アナモフィック光学系として構成している。そして、それぞれの対物光学系を構成する負レンズ101mと正レンズ101pとを、そのx軸方向が図示せぬ撮像素子内の各画素の配置における水平方向と一致するように配置している。
これにより、図11Bに示されるように、対物光学系100bに対して縦方向(図中のy軸方向)に入射する光線は、屈折せずに直進する。つまり、縦方向に入射する光線に対しては、アナモフィック光学系として構成した各対物光学系が薄肉平板ガラスと等価になり、屈折が起こらない。したがって、撮像部200Lおよび撮像部200Rによって生成される像の縦方向は、変倍されずに等倍のままとなる。
図12は、図11Aおよび図11Bに示した立体画像撮像装置1bで、等間隔の格子模様を撮影したときの、撮影結果の画像を模式的に示したものである。図12Aは左眼用の視差画像を示し、図12Bは右眼用の視差画像を示す。前述したように、対物光学系100bに対して縦方向に入射する光線には屈折が起きないため、撮影画像における縦方向の格子模様の間隔は、対物光学系100bを外した状態で撮影された画像と同等の間隔となっている。
一方、画像の横方向に関しては、第1の対物光学系100b1での屈折の影響を受けるため、格子模様の横方向の幅はいったん縮小される。しかし、その後、第2の対物光学系100b2Rおよび第2の対物光学系100b2Lを通過することにより、格子模様の横方向の幅は、第1の対物光学系100b1がない状態で撮影された画像におけるものと同等の間隔となる。
なお、図12に示した画像は、対物光学系100bの歪曲収差を光学的にすべて補正しきれない場合を想定しており、この収差の影響で、格子模様は非等間隔となっている。具体的には、球面レンズにおける樽型収差と同等の歪曲収差が発生した場合を想定しており、収差がより大きく影響する左画像の左端、右画像の右端では、格子間隔は若干狭くなっている。
立体画像撮像装置1bの他のブロックの構成は、図3に示した構成としてもよく、収差の補正を信号的に行う図9に示した構成としてもよい。ただし、本実施の形態では、対物光学系100bを通過することによって画像の縦横比率が変化してしまうことはないため、図9に示した構成を適用する場合であっても、アスペクト比の補正は行う必要がない。
上述した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態によって得られる効果と同等の効果を得られる。また、これに加えて、第1の対物光学系100b1により形成される実効カメラ200L′と実効カメラ200R′の画角を、撮像部200Lと撮像部200Rの画角とほぼ同等とできるという効果が得られる。
<5.第3の実施の形態>
次に、本開示の第3の実施の形態例について、図13および図14を参照して説明する。本実施の形態では、視差画像におけるアスペクト比を、撮像部200の画角を広角化した状態で等倍に近づける目的で、第2の対物光学系100c2の配置の向きを、第1の対物光学系100c1の配置の向きに対して90°回転させることを行う。本実施の形態による立体画像撮像装置1cの構成の説明に入る前に、図13を参照して原理の説明を行う。
図13は、シリンドリカルレンズで構成した正レンズ101p1と正レンズ101p2を、配置の向きが、互いの母線が直交するように配置した場合の、各レンズを通過する光線の光路を示した図である。図13では、光線が図の上方から入射して下方に進むことを想定している。図示せぬ被写体側(上側)に配置された正レンズ101p1は、曲面を有する辺が、撮像素子202Lを含む撮像部(図示略)と、撮像素子202Lを含む撮像部の配置方向と平行となるように配置されている。ここでは、2つの撮像部を水平方向に並べて配置しているため、撮像部の配置方向は、撮像素子202Lおよび202R内の画素の配置における水平方向と一致している。また、正レンズ101p1の下に配置された正レンズ101p2は、曲面を有する辺が、撮像部200Lと撮像部200R配置方向と直交する位置に配置されている。
被写体側に配置された正レンズ101p1に対して、その母線B1沿いに入射した光線R3と光線R4は、レンズの作用を受けずにそのまま直進する。これに対して、光線R3および光線R4と平行な光線であるが、正レンズ101p1の母線B1以外の箇所に入射した光線R5は、レンズの作用を受けて内側に屈折する。
しかし、その屈折はx軸の方向(横方向)においてのみ起こり、y軸の方向(縦方向)には起きない。これにより、光線R3も光線R5も、いずれもx−z平面上の右下がりの斜線で示した平面領域Ar1上を進行する。すなわち、x軸方向に幅を持つ被写体光は、正レンズ101p1を通過することにより、その横方向の幅が縮小される。
正レンズ101p1の母線B1上に入射し、正レンズ101p1を直進した光線R3は、その下の正レンズ101p2の母線B2上に入射している。このため、正レンズ101p2のレンズの作用を受けることもなく、そのまま直進する。一方、正レンズ101p1の母線B1上に入射して正レンズ101p1を直進した光線R4は、正レンズ101p2に対しては、その母線B2からずれた位置に入射している。このため、正レンズ101p2の曲面が有するレンズの働きによって、内側に屈折する。この光線R4における屈折は、x軸の方向においてのみ起こり、y軸の方向には起きない。
これにより、光線R3も光線R4も、いずれもy−z平面上の左下がりの斜線で示した平面領域Ar2上を進行する。すなわち、y軸方向に幅を持つ被写体光は、正レンズ101p2を通過することにより、その縦方向の幅が縮小されることが分かる。このように、2枚のシリンドリカルレンズを、その母線が互いに直交するような位置に配置することで、縦横の両方向で像の幅を変倍することが可能となる。つまり、原理的には縦横方向の変倍率を同率にすることが可能であり、通常の球状の負レンズおよび正レンズで構成した対物光学系10を用いて得られる撮影結果と、同様の結果を得ることができる。
また、シリンドリカルレンズとして構成された正レンズ101p1と正レンズ101p2では、母線B方向の歪曲収差は発生しない。これにより、球面レンズの歪曲収差として知られるピンクッション型や樽型の収差のように、直線の像が曲がってしまう収差は発生しなくなる。
図14Aは、立体画像撮像装置1cを上から見た上面図であり、図14Bは、立体画像撮像装置1cを左(撮像素子202Lが配置されている側)から見た側面図である。図14において、図7,図11と対応する箇所には同一の符号を付してある。図14Aに示されるように、立体画像撮像装置1cは、アナモフィック光学系として構成された対物光学系100cと、撮像部200Lおよび撮像部200Rとを備える。
対物光学系100cは、第1の対物光学系100c1と、第2の対物光学系100c2Lおよび第2の対物光学系100c2Rとよりなる。第1の対物光学系100c1は、負レンズ101mと正レンズ101pで構成され、負レンズ101mを図示せぬ被写体側に配置し、その後ろ側(被写体光の出射側)に正レンズ101pを配置している。第1の対物光学系100c1の構成は、図7Aに示した対物光学系100と同一である。
撮像部200Lと撮像部200Rの前段に第1の対物光学系100c1を配置したことによって、図7Aに示した構成と同様に、実効瞳EpLと実効瞳EpRが形成される。そして、その実効瞳EpLと実効瞳EpRとの間隔である実効IADは、撮像部200Lと撮像部200Rの配置によって定まる物理IADよりも狭くなっている。つまり、撮像部200Lと撮像部200Rの前段に第1の対物光学系100c1を配置したことにより、図7に示した構成と同様の効果を得られるようになる。
本実施の形態は、第1の対物光学系100c1の後ろ側に、第2の対物光学系を設けている。第2の対物光学系は、撮像部200L内の図示しない結像光学系に対応して設けられた第2の対物光学系100c2Lと、撮像部200L内の図示しない結像光学系に対応して設けられた第2の対物光学系100c2Lとよりなる。第2の対物光学系100c2Lと第2の対物光学系100c2Lは、そのレンズ中心が、撮像部200Lまたは撮像部200Rの図示せぬ結像光学系の光軸AxLまたは光軸AxR上に位置するように配置されている。
また、第2の対物光学系100c2Lと第2の対物光学系100c2Rは、それぞれ負レンズ101mと正レンズ101pよりなり、負レンズ101mが図示せぬ被写体側に配置され、その後ろ側に正レンズ101pが配置されている。
そして、第2の対物光学系100c2Lと第2の対物光学系100c2Rでは、それぞれを構成する各レンズの配置の方向を、第1の対物光学系100c1における配置方向とは逆にしている。つまり、各対物光学系100c2内の正負のレンズの母線は平行だが、第1の対物光学系100c1と第2の対物光学系100c2の母線は直交する配置としている。さらに、第1の対物光学系100c1の母線が、撮像部200Lおよび撮像部200Rの配置方向(図中のx軸方向)と直交するような配置、すなわち、図中のy軸方向と並行となる位置に配置している。
このように配置することにより、図14Aに示されるように、対物光学系100cに対して横方向(図中のx軸方向)に入射する光線は、第1の対物光学系100c1に屈折され、第2の対物光学系100c2Lと第2の対物光学系100c2Rをそのまま直進する。一方、図14Bに示されるように、対物光学系100cに対して縦方向(図中のy軸方向)に入射する光線は、第1の対物光学系100c1をそのまま直進し、第2の対物光学系100c2Lと第2の対物光学系100c2Rによって屈折される。
つまり、画面の左側から入射した被写体光は、まず第1の対物光学系100c1によってその横方向の倍率が変倍され、撮像部200Lおよび200Rの横方向の画角が広角化される。これに伴って実効IADの長さも変倍(縮小)される。続いて、第2の対物光学系100c2によって縦方向の長さを変倍(縮小)され、撮像部200Lおよび200Rの縦方向の画角が広角化される。る。このとき、第1の対物光学系100c1の変倍率(アフォーカル倍率)と第2の対物光学系100c2の変倍率を併せることで、視差画像におけるアスペクト比を、球面レンズを使用した場合の例として図2Bに示した構成により得られるものとほぼ等倍とすることが可能となる。
立体画像撮像装置1cの他のブロックの構成は、図3に示した構成としてもよく、収差の補正を信号的に行う図9に示した構成としてもよい。ただし、本実施の形態では、対物光学系100cを通過することによって画像の縦横比率が変化してしまうことはないため、図9に示した構成を適用する場合であっても、アスペクト比の補正は行う必要がない。
上述した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態によって得られる効果と同等の効果を得られる。また、この効果に加えて、左右の視差画像におけるアスペクト比をほぼ等倍率とすることが可能となる。
図15は、図14Aおよび図14Bに示した立体画像撮像装置1cで、等間隔の格子模様を撮影したときの、撮影結果の画像を模式的に示したものである。図15Aは左眼用の視差画像を示し、図15Bは右眼用の視差画像を示す。前述したように、まず第1の対物光学系100c1によって視差画像の横方向の幅が変倍され、第2の対物光学系100c2Lおよび第2の対物光学系100c2Rによって、縦方向の幅が変倍される。これによって、撮影された視差画像における格子模様の間隔は、縦横方向でほぼ同一となっている。
ただし、図15に示した画像は、対物光学系100cの歪曲収差を光学的にすべて補正しきれない場合を想定しており、この収差の影響で、格子模様は非等間隔となっている。具体的には、球面レンズにおける樽型収差に相当する歪曲収差が発生した場合を想定しており、収差がより大きく影響する左画像の左端、右画像の右端では、格子間隔は若干狭くなっている。しかし、この歪曲収差はアナモフィック光学系の屈折に応じて起きるものであるため、画像の斜め方向の歪曲収差は原理的に発生しない。
なお、図14Aに示すように、第2の対物光学系100c2Lおよび100c2Rでは、レンズ中心が図示せぬ結像光学系の光軸上にあるため、第1の対物光学系100c1に比較して歪曲収差の度合いが少なくなる。これにより、図14に示した立体画像撮像装置1cにより撮影された画像信号に現れる収差は、図15に示すような、横線は歪曲することなく横線のままであり、画像の上下端に近づくにつれて横線の間隔が狭まるような歪曲収差となる。このため、複数ラインを保持しないと元の横ラインの画素を算出できない球面レンズの歪曲収差に比較して、画像処理的に扱いやすい収差とすることが可能である。
<6.第4の実施の形態>
次に、本開示の第4の実施の形態例について、図16を参照して説明する。本実施の形態では、対物光学系100dの光軸方向の長さを短縮することを目的として、アナモフィック光学系として構成した対物光学系100dを構成する各レンズの配置の向きと配置の順番を調整している。
図16Aは、立体画像撮像装置1dを上から見た上面図であり、図16Bは、立体画像撮像装置1dを左(撮像素子202Lが配置されている側)から見た側面図である。図16において、図7,図11,図14と対応する箇所には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図16に示した立体画像撮像装置1dは、視差画像の横方向の変倍を行う第1の対物光学系100d1と、縦方向の第2の対物光学系100d2とを有する。第1の対物光学系100d1は、負レンズ101m1と正レンズ101p1よりなり、いずれのレンズも、撮像部200Lの画角と撮像部200Lの画角を両方ともカバーする大きさを持つ。また、第1の対物光学系100d1は視差画像の横方向の変倍を行うことを目的としているため、曲面を有する辺が、撮像部200Lと撮像部200Rの配置方向(図中のx軸方向)と平行となるように配置される。
第2の対物光学系100d2は、負レンズ101m2と正レンズ101p2Lおよび正レンズ101p2Rよりなる。負レンズ101m2は、撮像部200Lの画角と撮像部200Lの画角を両方ともカバーする大きさに構成してあり、正レンズ101p2Lは、撮像部200Lに対応して設けられ、正レンズ101p2Rは、撮像部200Rに対応して設けられる。第2の対物光学系100d2は、視差画像の縦方向の変倍を行うことを目的としているため、曲面を有する辺が、撮像部200Lと撮像部200Rの配置方向(図中のy軸方向)と平行となるように配置される。
そして、第1の対物光学系100d1と第2の対物光学系100d2を構成する各レンズの光軸方向における配置を互い違いにしている。具体的には、被写体側から順に、負レンズ101m1、負レンズ101m2、正レンズ101p1、正レンズ101p2L(または正レンズ101p2R)という配置にしている。
立体画像撮像装置1dの他のブロックの構成は、図3に示した構成としてもよく、収差の補正を信号的に行う図9に示した構成としてもよい。ただし、本実施の形態でも、対物光学系100dを通過することによって画像の縦横比率が変化してしまうことはないため、図9に示した構成を適用する場合であっても、アスペクト比の補正は行う必要がない。
本実施の形態による立体画像撮像装置1dによる視差画像の撮影結果も、図15に示したもののようになる。すなわち、上述した第4の実施の形態によっても、第3の実施の形態により得られる効果と同等の効果を得ることができる。また、対物光学系100dをこのように構成することで、図14に示した第3の実施の形態による対物光学系100cと比較して、対物光学系100dの光軸方向の長さを短縮することが可能となる。これにより、対物光学系100d全体を、物理的なカメラである撮像部200Lと撮像部200Rの配置位置により近付けることが可能となるため、画角をカバーするためのレンズ口径を、より小さくすることができるようになる。
なお、図16に示した例では、第2の対物光学系100d2を構成するレンズのうち、撮像部200Lおよび撮像部200Rに近い側のレンズを、各撮像部200に対応して2つ設けてあるが、これに限定されるものではない。撮像部200Lおよび撮像部200Rに最も近い位置に配置されるレンズを左右で分割することで、対物光学系100d全体の軽量化を図ることが可能であるが、分割しない構成としてもよい。
このように構成することにより、第1の対物光学系100d1と第2の対物光学系100d2を構成する各レンズの光軸方向における配置順序における制限がなくなる。つまり、以下に示す組み合わせを実現可能となる。以下に示す「縦」とは、視差画像の縦方向の長さを変倍するレンズを示し、「横」とは、視差画像の横方向の長さを変倍するレンズを示す。
・縦−横−縦−横
・横−縦−横−縦
・縦−縦−横−横
・横−横−縦−縦
・縦−横−横−縦
・横−縦−縦−横
<7.各種変形例>
なお、上述した各実施の形態では、説明をわかり易くするために、対物光学系100を構成する各レンズが薄肉レンズであるものとしている。しかし、対物光学系100を、多数枚・多群のレンズやフィルタ、絞り、レンズ駆動機構などで構成してもよい。結像光学系201Lと結像光学系201Rも、多数枚・多群のレンズやフィルタや絞り、またレンズ駆動機構などで構成してもよい。
また、上述した各実施の形態では、図2Dに示した、被写体側に負レンズを配置してその後ろに正レンズを配置する構成をベースにして説明を行ったが、これに限定されるものではない。図2Aに示すような正レンズのみを用いた構成や、図2Cに示すような、被写体側に正レンズを配置してその後ろに負レンズを配置する構成に適用してもよい。もしくは、図1Aおよび図1Bに示したような対物光学系10がフォーカル光学系である場合にも適用してよい。
また、上述した各実施の形態における対物光学系100をユニット化し、市販されている一般的な3Dカメラ(立体画像撮像装置)に着脱可能に構成してもよい。一般的な3Dカメラに本開示の対物光学系100を装着すれば、そのカメラで撮影される画像に発生する歪曲収差の現れを変えることができ、歪曲収差が立体視の形成に及ぼす悪影響を小さくすることができる。
また、上述した各実施の形態において、実効IADを可変できるように構成してもよい。実効IADを変更できる構成とするには、対物光学系100αを光軸方向に移動させるための対物光学系駆動部(図示略)が必要となる。図17は、対物光学系100αをアフォーカル光学系として構成した場合の例を示す図である。アフォーカル光学系の条件を崩さずにズームを行うには、対物光学系100αを構成するレンズの枚数は最低3枚必要となる。
図17に示した例では、対物光学系100αを正レンズ101p1、負レンズ101m1、正レンズ101p2で構成しており、光軸方向における配置は、図示せぬ被写体側(図の左側)から順に、正レンズ101p1、負レンズ101m1、正レンズ101p2としている。ここで、正レンズ101p1を破線で示した位置から光軸Ax上を図示せぬ被写体側にΔだけ移動させ、正レンズ101p2を破線で示した位置からΔ′だけ移動させてみる。すると、移動前の配置により形成される、破線で示された実効IADよりも、移動後の配置により形成される、実線で示された実効IAD′の方が短くなる。これとともに、移動前と移動後とで、対物光学系100αのアフォーカル倍率も変化している。すなわち、対物光学系100αによる縦方向および/または横方向の変倍率(第1の屈折力および/または第2の屈折力)が変化している。
つまり、被写体に最も近い正レンズ101p1と、撮像部200L(200R)に最も近い正レンズ101p2とを連動して移動させることで、アフォーカル光学系を維持しつつ、かつ、実効IADの長さを所望の長さに調整することが可能となる。また、この調整に伴って、対物光学系100αのアフォーカル倍率も変化する。
なお、正レンズ101p1の移動量Δと、正レンズ101p2の移動量Δ′は、実現したい実効IADの長さによって定まる。移動量Δと移動量Δ′の組み合わせを予め定めておき、それに基づいて2つのレンズを同方向に移動させることで、容易に実効IADの長さを調整することが可能となる。
また、上述した各実施の形態では、撮像部200を2つ設けた場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、撮像部200を3つ以上設けるようにしてもよい。図18には、撮像部200を水平方向に3つ(撮像部200−1〜撮像部200−3)並べて配置した例を示しており、対物光学系としては、第1の実施の形態として示した対物光学系100を用いている。図18において、図7,図11,図14,図16と対応する箇所には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図18Aは、立体画像撮像装置1βを上から見た上面図であり、図18Bは、立体画像撮像装置1βを、横(撮像部200−3が配置されている側)から見た側面図である。撮像部200を3つ設けた場合であっても、図18Aに示すように、実効カメラ200′−1〜実効カメラ200′−3のそれぞれにおいて隣り合う他のカメラとの間隔が、物理的に配置された撮像部200−1〜撮像部200−3における間隔よりも短くなっている。より詳細には、実効カメラ200′−1〜実効カメラ200′−3のうちのいずれかのカメラにおける実効瞳Epの位置と、対物光学系100βの光軸Axとの間隔が、撮像部200のレンズ中心と光軸Axとの間隔よりも狭くなっている。
また、図18Bに示すように、対物光学系100βに対してy軸方向(縦方向)に入射する光線は屈折せずに直進する。つまり、縦方向に入射する光線に対しては、アナモフィック光学系として構成した対物光学系100βが薄肉平板ガラスと等価になり、屈折が起こらない。すなわち、撮像部200を3つ設けた場合であっても、第1の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることが可能となる。
また、複数の撮像部200を、水平方向でなく垂直方向に並べて配置する構成に適用してもよい。図19Aは、このように構成した立体画像撮像装置1γを上から見た上面図であり、図19Bは、横方向から見た場合の側面図である。図19Aおよび図19Bに示す立体画像撮像装置1γにおいては、撮像部200−1と撮像部200−2とを上下方向に並べて配置している。撮像部200をこのように配置する場合には、図19Aおよび図19Bに示すように、対物光学系100γを構成する負レンズ101mおよび正レンズ101pを、その母線が撮像部200Lおよび撮像部200Rの配置方向と直交するように配置する必要がある。このように構成することによって、第1の実施の形態によって得られる効果と同様の効果を得ることができる。
なお、図17〜図19には、対物光学系として第1の実施の形態で示した対物光学系100を用いた例を示したが、これに限定されるものではない。その他の実施の形態として説明した各立体画像撮像装置1において、撮像部200を複数個設けた場合にも、各実施の形態により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)被写体から発せられた光線を取り込んで後段に導く光学系であり、光軸と直交する面上の第1の方向における第1の屈折力が、第1の方向と直交する第2の方向における第2の屈折力よりも弱い対物光学系と、
前記対物光学系の異なる経路から出射された複数の被写体光束を視差画像として結像させる複数の結像光学系と、
前記複数の結像光学系に対応して設けられ、前記複数の結像光学系により結像された視差画像を画像信号に変換する複数の撮像素子とを備えた
立体画像撮像装置。
(2)前記対物光学系は、アナモフィック光学系である(1)に記載の立体画像撮像装置。
(3)前記対物光学系は、前記第1の方向が、前記複数の撮像素子の配置方向と直交する方向に対応し、前記第2の方向が、前記複数の撮像素子の配置方向に対応するように配置される(1)または(2)に記載の立体画像撮像装置。
(4)前記対物光学系は、第1の対物光学系と第2の対物光学系とを含み、前記第1の対物光学系と前記第2の対物光学系は、その倍率が互いに逆倍率である(1)または(2)に記載の立体画像撮像装置。
(5)前記第2の対物光学系は、前記複数の各結像光学系に対応して個別に設けられ、前記第1の対物光学系と前記結像光学系の間に配置される(1)〜(4)のいずれかに記載の立体画像撮像装置。
(6)前記対物光学系は、第1の対物光学系と第2の対物光学系とを含み、前記第1の対物光学系は、その前記第1の方向が、前記撮像素子を構成する各画素の配置における垂直方向と対応するように配置され、前記第2の対物光学系は、その前記第1の方向が、前記撮像素子を構成する各画素の配置における水平方向と対応するように配置される(1)または(2)に記載の立体画像撮像装置。
(7)前記第2の対物光学系は、前記複数の各結像光学系に対応して設けられ、前記第1の対物光学系と前記結像光学系の間に配置される(1)〜(6)のいずれかに記載の立体画像撮像装置。
(8)前記第1の対物光学系と前記第2の対物光学系の、前記第1の対物光学系の光軸の方向における配置は、前記被写体側から、前記第1の対物光学系、前記第2の対物光学系の順に行われる(1)〜(7)のいずれかに記載の立体画像撮像装置。
(9)前記対物光学系の光軸方向における位置を移動させる対物光学系駆動部を備え、前記対物光学系における前記第1の屈折力および/または第2の屈折力は、前記対物光学系駆動部による当該対物光学系の移動量によって変化する(1)または(2)に記載の立体画像撮像装置。
(10)前記対物光学系は、前記撮像部に対して着脱可能に構成される(1)または(2)に記載の立体画像撮像装置。
(11)前記撮像素子で生成された画像信号に信号処理を行う信号処理部と、
前記信号処理部で信号処理された前記画像信号に対して画像処理を行う画像処理部とをさらに備え、
前記信号処理部または前記画像処理部は、前記第2の屈折力により生じるひずみを低減させる補正を行う(1)または(2)に記載の立体画像撮像装置。
(12)前記信号処理部または前記画像処理部は、予め用意された収差を含まない期待画像と、前記画像信号による観測画像とを比較することにより、前記収差を低減させる補正用の補正パラメータを生成し、前記補正パラメータを用いて前記収差の補正を行う(1)〜(11)のいずれかに記載の立体画像撮像装置。
(13)前記対物光学系における前記第1の方向および前記第2の方向と、前記観測画像における垂直方向および水平方向とが一致しているか否かを判定する縦横軸ずれ検出部をさらに備え、
前記信号処理部または前記画像処理部は、前記縦横軸ずれ検出部による検出結果に基づいて、前記軸ずれを一致させるための補正を行う(1)〜(12)のいずれかに記載の立体画像撮像装置。
(14)前記縦横軸ずれ検出部による検出結果に基づいて、前記対物光学系を、その光軸を中心とした回転方向に移動させる対物光学系駆動機構をさらに備え、
前記対物光学系駆動機構は、前記縦横軸ずれ検出部による検出結果に応じて前記対物光学系の回転方向の位置を移動させる(1)〜(13)のいずれかに記載の立体画像撮像装置。
1,1a,1b,1c,1d…立体画像撮像装置、10,10A,10B,10C,10D,10E…対物光学系、10p…対物光学系、11m…負レンズ、11p,11p1,11p2…正レンズ、20,20L,20R…撮像部、20L′,20R′…実効カメラ、50…立体画像撮像装置、100,100b,100c,100d…対物光学系、100b1,100c1,100d1…第1の対物光学系、100b2L,100b2R…対物光学系,100c2,100c2L,100c2R,100d2…第2の対物光学系、101p,101p1,101p2,101p2L,101p2R…正レンズ、101m,101m1,101m2…負レンズ、200,200−1,200−2,200−3,200L,200R…撮像部、200′−1,200′−3,200L′,200R′…実効カメラ、201L,201R…結像光学系、202L,202R…撮像素子、300L,300La,300R,300Ra…信号処理部、400,400a…画像処理部、500…制御部、600…操作部、700,700a…記憶部、701…期待画像記憶部、702…観測画像保持部、703…補正パラメータ記憶部、800…縦横軸ずれ検出部、Ar1,Ar2…平面領域、Ax1…光軸、B1,B2…母線、Fp1′…後側焦点、Fp2…前側焦点、R1〜R5…光線

Claims (14)

  1. 被写体から発せられた光線を取り込んで後段に導く光学系であり、光軸と直交する面上の第1の方向における第1の屈折力が、第1の方向と直交する第2の方向における第2の屈折力よりも弱い対物光学系と、
    前記対物光学系の異なる経路から出射された複数の被写体光束を視差画像として結像させる複数の結像光学系と、
    前記複数の結像光学系に対応して設けられ、前記複数の結像光学系により結像された視差画像を画像信号に変換する複数の撮像素子とを備えた
    立体画像撮像装置。
  2. 前記対物光学系は、アナモフィック光学系である
    請求項1に記載の立体画像撮像装置。
  3. 前記対物光学系は、前記第1の方向が、前記複数の撮像素子の配置方向と直交する方向に対応し、前記第2の方向が、前記複数の撮像素子の配置方向に対応するように配置される
    請求項2に記載の立体画像撮像装置。
  4. 前記対物光学系は、第1の対物光学系と第2の対物光学系とを含み、前記第1の対物光学系と前記第2の対物光学系は、その倍率が互いに逆倍率である
    請求項2に記載の立体画像撮像装置。
  5. 前記第2の対物光学系は、前記複数の各結像光学系に対応して個別に設けられ、前記第1の対物光学系と前記結像光学系の間に配置される
    請求項4に記載の立体画像撮像装置。
  6. 前記対物光学系は、第1の対物光学系と第2の対物光学系とを含み、前記第1の対物光学系は、その前記第1の方向が、前記撮像素子を構成する各画素の配置における垂直方向と対応するように配置され、前記第2の対物光学系は、その前記第1の方向が、前記撮像素子を構成する各画素の配置における水平方向と対応するように配置される
    請求項2に記載の立体画像撮像装置。
  7. 前記第2の対物光学系は、前記複数の各結像光学系に対応して個別に設けられ、前記第1の対物光学系と前記結像光学系の間に配置される
    請求項6に記載の立体画像撮像装置。
  8. 前記第1の対物光学系と前記第2の対物光学系の、前記第1の対物光学系の光軸の方向における配置は、前記被写体側から、前記第1の対物光学系、前記第2の対物光学系の順に行われる
    請求項7に記載の立体画像撮像装置。
  9. 前記対物光学系の光軸方向における位置を移動させる対物光学系駆動部を備え、前記対物光学系における前記第1の屈折力および/または第2の屈折力は、前記対物光学系駆動部による当該対物光学系の移動量によって変化する
    請求項2に記載の立体画像撮像装置。
  10. 前記対物光学系は、前記結像光学系および前記撮像素子を含む記撮像部に対して着脱可能に構成される
    請求項2に記載の立体画像撮像装置。
  11. 前記撮像素子で生成された画像信号に信号処理を行う信号処理部と、
    前記信号処理部で信号処理された前記画像信号に対して画像処理を行う画像処理部とをさらに備え、
    前記信号処理部または前記画像処理部は、第2の屈折力により生じるひずみを低減させる補正を行う
    請求項2に記載の立体画像撮像装置。
  12. 前記信号処理部または前記画像処理部は、予め用意された収差を含まない期待画像と、前記画像信号による観測画像とを比較することにより、前記収差を低減させる補正用の補正パラメータを生成し、前記補正パラメータを用いて前記収差の補正を行う
    請求項11に記載の立体画像撮像装置。
  13. 前記対物光学系における前記第1の方向および前記第2の方向と、前記観測画像における垂直方向および水平方向とが一致しているか否かを判定する縦横軸ずれ検出部をさらに備え、
    前記信号処理部または前記画像処理部は、前記縦横軸ずれ検出部による検出結果に基づいて、前記軸ずれを一致させるための補正を行う
    請求項12に記載の立体画像撮像装置。
  14. 前記縦横軸ずれ検出部による検出結果に基づいて、前記対物光学系を、その光軸を中心とした回転方向に移動させる対物光学系駆動機構をさらに備え、
    前記対物光学系駆動機構は、前記縦横軸ずれ検出部による検出結果に応じて前記対物光学系の回転方向の位置を移動させる
    請求項13に記載の立体画像撮像装置。
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