JP2013125129A - 擬似カラーホログラムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カラー印刷部にだけホログラムが転写されて擬似カラーホログラム効果が発現する擬似カラーホログラムの製造方法を提供する。
【解決手段】 (1)紙101の表面にトナーを用いた電子写真法で任意の選択パターンのカラー印刷部103を設ける電子写真工程と、(2)転写基材11へ、剥離層13、レリーフホログラム層15、透明反射層17、及び紙の非印刷部には非接着でカラー印刷部には接着する接着層19からなるレリーフホログラム転写箔10の作製工程と、(3)カラー印刷部103とレリーフホログラム転写箔10の接着層19とを重ねて加熱加圧した後に、転写基材11を剥離し除去する転写工程と、からなり、転写後の紙101にはレリーフホログラムを透過して任意絵柄の選択パターンとしてカラー印刷部103を目視可能とすることで、擬似カラーホログラム効果が発現することをを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、擬似カラーホログラムの製造方法に関し、さらに詳しくは、転写型や転写機が不要で、位置合わせしなくてもカラー印刷部にだけホログラムが転写される擬似カラーホログラムの製造方法に関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「UV」は「紫外線」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
(背景技術)ホログラムは光の干渉パターンを記録したもので二次元や三次元画像を記録し、表示させることができる高度な技術であり、特にカラーホログラムは一層高度な設備と技術を必要とし、容易に製造できるものではなかった。ホログラムの中でも、レリーフホログラムはフォトレジストにホログラムの干渉縞を凹凸パターンとして記録した後、この凹凸パターンをメッキ等により型取りしたメッキ金型を用いて、透明な樹脂層の表面に型押し凹凸パターンを賦形することにより、大量に複製できる。この凹凸パターン面(レリーフ面ともいう)へ反射層を設けることで、ホログラム再生像が得られる。本願では光干渉パターンの記録以外に、凹凸パターンが単に位相回折格子模様を適当に並べたパターンや、該パターンの角度の異なる複数のパターンの集合体の場合もレリーフホログラムに含める。従来、紙やフィルムなどの被写体表面にホログラム箔を用いて、ホログラムを転写させる技術がある。即ち、被写体の表面全体又は一部にカラー印刷し、該カラー印刷部へ転写型を使用した箔押しスポット転写などの方法により転写することで、下地のカラー印刷によりホログラムに色彩効果を加えることが出来る。しかしながら、スポットでカラー印刷部にだけ転写するには専用の転写型が必要となり形状毎に転写型自体を変える必要がある。そのため、転写型のコストや転写機の位置合わせなどの欠点があった。擬似カラーホログラムの製造方法は、転写型や転写機が不要で、位置合わせしなくてもカラー印刷部にだけホログラムが転写されて擬似カラーホログラム効果が発現することが求められている。
特開平1−283583号公報 特開平4−247486号公報
(従来技術)従来、転写パターンが熱型に依存し、また、広い面積の転写では熱型の温度分布や圧力分布が不安定になるホットスタンプに代わって、感熱記録ヘッドを用いた反射型レリーフホログラムの転写方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ホットスタンプ装置による転写方法も感熱記録ヘッドによる転写方法も、ホログラム層と反対側の転写基材面から転写するホログラム部分のみを加熱するため、熱や圧力の分散現象で所望のパターンの厳密な再現が困難であり、微細なパターンの転写に適さないという欠点がある。また、本出願人は反射型レリーフホログラムの転写箔を用いて被転写基体表面の任意の選択パターン上に反射型レリーフホログラムを選択的に転写する方法において、被転写基体表面若しくは転写箔の反射層又は保護樹脂層表面の選択的パターン領域に接着剤(特許文献2の請求項6でのトナーが本願発明の接着層に相当する)を選択的に塗布し、転写箔の反射層又は保護樹脂層を被転写基体表面に向けて重ね合わせ、接着後にベースフィルムを剥離することにより、接着剤塗布領域においてのみ選択的に反射型レリーフホログラムを転写することを特徴とする反射型レリーフホログラムの選択的転写方法を開示している(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、被転写基体表面若しくは転写箔の反射層又は保護樹脂層表面の選択的パターン領域に接着剤(特許文献2の請求項6でのトナーに相当する)を選択的に塗布するもので、本願発明のように、紙表面のトナーで形成された任意の選択パターンの個別絵柄のカラー印刷部を設け、さらに、接着層を設けたホログラム転写箔を用いておらず、接着力が安定しない。さらに、(1)トナーによるカラー印刷部と接着層との両方を設けること、(2)接着層が紙の非印刷部には非接着でカラー印刷部には接着すること、及び、(3)転写後にはレリーフホログラムを透過して任意絵柄のカラー印刷部を目視可能とすることで、擬似カラーホログラム効果が発現すること、については記載も示唆もされていない。
そこで、本発明は上記のような問題点を解消するために、本発明者らは鋭意研究を進め、本発明の完成に至ったものである。その目的は、転写型や転写機が不要で、位置合わせしなくてもカラー印刷部にだけホログラムが転写されて擬似カラーホログラム効果が発現する擬似カラーホログラムの製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1の発明に係わる擬似カラーホログラムの製造方法は、紙表面のトナーで形成された任意絵柄のカラー印刷部に、前記任意絵柄よりも大きいサイズのレリーフホログラム転写箔を用いて、該レリーフホログラムを選択的に転写する擬似カラーホログラムの製造方法であって、(1)前記紙の表面に、前記トナーを用いた電子写真法で任意絵柄の選択パターンとして前記カラー印刷部を設ける電子写真工程と、(2)転写基材へ、剥離層、レリーフホログラム層、透明反射層、及び、前記紙の非印刷部には非接着でカラー印刷部には接着する接着層からなる前記レリーフホログラム転写箔の作製工程と、(3)前記紙の表面の前記カラー印刷部と、前記レリーフホログラム転写箔の前記接着層とを重ねて加熱加圧した後に、前記転写基材を剥離し除去する転写工程と、からなり、転写後の前記紙には前記レリーフホログラムを透過して任意絵柄の選択パターンとしてカラー印刷部を目視可能とすることで、擬似カラーホログラム効果が発現することを特徴とする擬似カラーホログラムの製造方法である。請求項2の発明に係わる擬似カラーホログラムの製造方法は、前記紙が上質紙、コート紙又はOCR紙のいずかであり、前記トナーが感熱定着型トナーであり、前記転写基材が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記剥離層がメラミン系樹脂であり、前記レリーフホログラム層がウレタン変性アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートオリゴマー、反応性シリコーン、ポリエチレンワックスを含む組成物の硬化層であり、前記透明反射層が硫化亜鉛又は酸化チタンであり、前記接着層がポリオレフィン系樹脂であり、前記レリーフホログラムが回折格子又は複数の回折格子の組合せからなることを特徴とする請求項1記載の擬似カラーホログラムの製造方法である。
請求項1、2の本発明によれば、転写型や転写機が不要で、位置合わせしなくてもカラー印刷部にだけホログラムが転写されて擬似カラーホログラム効果が発現する効果を奏する。
本願発明に用いるレリーフホログラム転写箔の断面図である。 紙へ転写され個別の擬似カラーホログラム効果が発現した擬似カラーホログラムの断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(擬似カラーホログラムの製造方法)本願発明の擬似カラーホログラムの製造方法は、紙101表面のトナーで形成された任意絵柄のカラー印刷部103に、前記任意絵柄よりも大きいサイズのレリーフホログラム転写箔10を用いて、該レリーフホログラムを選択的に転写する擬似カラーホログラムの製造方法であって、(1)前記紙101の表面に、前記トナーを用いた電子写真法で任意絵柄の選択パターンとして前記カラー印刷部103を設ける電子写真工程と、(2)転写基材11へ、剥離層13、レリーフホログラム層15、透明反射層17、及び、前記紙の非印刷部には非接着でカラー印刷部103には接着する接着層19からなる前記レリーフホログラム転写箔10の作製工程と、(3)前記紙101の表面の前記カラー印刷部103と、前記レリーフホログラム転写箔10の前記接着層19とを重ねて加熱加圧した後に、前記転写基材を剥離し除去する転写工程と、からなる。そして、図2に示すように、転写後の前記紙101には前記レリーフホログラムを透過して任意絵柄の選択パターンとしてカラー印刷部103を目視可能とすることで、擬似カラーホログラム効果が発現する。なお、図1は本願発明の擬似カラーホログラムの製造方法に用いるレリーフホログラム転写箔10の断面図である。さらに、前記紙101が上質紙、コート紙又はOCR紙のいずかであり、前記トナーが感熱定着型トナーであり、前記転写基材11が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記剥離層13がメラミン系樹脂であり、前記レリーフホログラム層15がウレタン変性アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートオリゴマー、反応性シリコーン、ポリエチレンワックスを含む組成物の硬化層であり、前記透明反射層17が硫化亜鉛又は酸化チタンであり、前記接着層19がポリオレフィン系樹脂であり、前記レリーフホログラムが回折格子又は複数の回折格子の組合せからなることが好ましい。
(製造工程)製造方法の工程順に、材料も含めて説明する。
(第一工程)第一工程は、(1)前記紙101の表面に、前記トナーを用いた電子写真法で任意絵柄の選択パターンとして前記カラー印刷部103を設ける電子写真工程である。
(紙)前記紙101としては、電子写真法で任意の選択パターンのカラー印刷部103を設けることができれば特に限定されるものではないが、上質紙、コート紙又はOCR紙が好ましい。
(カラー印刷部)カラー印刷部103を設ける電子写真法のトナーとしては、一般的に普通用紙に用いる顔料粒子を感熱樹脂中に分散させたり、顔料粒子を感熱樹脂で被って形成したものである感熱定着型のトナーでよく、電子写真法で定着されたトナー像部分(カラー印刷部103)には感熱接着性がある。カラーとは少なくとも2色、好ましくは黄赤藍墨の4色によるカラー印刷部103が擬似カラーホログラム効果が一層よく発現するので好ましい。
(第二工程)第二工程は、(2)転写基材11へ、剥離層13、必要に応じて保護層14、レリーフホログラム層15、透明反射層17、及び、紙101の非印刷部には非接着でカラー印刷部103には接着する接着層19からなるレリーフホログラム転写箔10の作製工程である。レリーフホログラム転写箔10の断面図を図1に示す。
(転写基材)転写基材11としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体などのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、などがあり、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。好ましい転写基材11としては、機械的強度を向上させる目的で、フィルムの厚さとしては、通常6〜100μm程度、好ましくは12〜50μm程度の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度や転写適性の点で最適である。
(剥離層)剥離層13としては、特に限定されるものではないが、例えば、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂などが適用できる。離型性樹脂は、例えば、弗素系樹脂、シリコーン、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、繊維素系樹脂などである。離型剤を含んだ樹脂は、例えば、弗素系樹脂、シリコーン、各種のワックスなどの離型剤を、添加または共重合させたアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、繊維素系樹脂などである。電離放射線で架橋する硬化性樹脂は、例えば、紫外線(UV)、電子線(EB)などの電離放射線で重合(硬化)する官能基を有するモノマー・オリゴマーなどを含有させた樹脂である。好ましくは、薄い層でも剥離性のよいメラミン系樹脂である。剥離層13の形成は、該樹脂を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコートなどの印刷又はコーティング方法で塗布し乾燥して塗膜を形成したりすれば良い。また、要すれば、温度30℃〜120℃で加熱乾燥、あるいはエージング、または電離放射線を照射して架橋させてもよい。剥離層13の厚さとしては、通常は0.01μm〜5.0μm程度、好ましくは0.5μm〜3.0μm程度である。該厚さは薄ければ薄い程良いが、0.1μm以上であればより良い成膜が得られて剥離力が安定する。
(保護層)必要に応じて設ける保護層14としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが例示できる。
熱硬化性樹脂または反応型樹脂としては、例えば、熱又は硬化剤(架橋剤)で硬化させるポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などが例示できる。また、各種の機能を持った化合物が添加剤として、分散剤、帯電防止剤、酸化防止剤、防黴剤、着色剤、溶剤等を適宜添加してもよい。
(レリーフホログラム層)レリーフホログラム層15としては、無色または着色された透明または半透明なもので、単層であっても多層であってもよく、凹凸を注型や型押しで再現できる熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、あるいは、光回折パターン情報に応じて硬化部と未硬化部とを成形することができる感光性樹脂組成物が利用できる。具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル(ポリメチルメタクリレート)、ポリスチレン、またはポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、またはトリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂であり、それぞれの単独、熱可塑性樹脂どうし、または熱硬化性樹脂同志の混合、もしくは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合等であってもよい。ラジカル重合性不飽和基を有し、熱成形性を有するものや、ラジカル重合性不飽和モノマーを添加した電離放射線硬化性樹脂組成物も利用できる。レリーフホログラム層15としては、電離放射線硬化樹脂を主成分とし、必要に応じてシリコーンやフィラーなどの添加物を含ませてもよい。好ましくは、レリーフホログラム層15がウレタン変性アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートオリゴマー、反応性シリコーン、ポリエチレンワックスを含む組成物の硬化層である。
該電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくは、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂を用い、好ましくはポリエチレンワックスを含ませて、塗布し乾燥して電離放射線で硬化させて、電離放射線硬化樹脂とすればよい。
(電離放射線硬化性樹脂)電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル等が適用でき、好ましくはウレタン変性アクリレート樹脂である。好ましいウレタン変性アクリレート樹脂としては、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」である。該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では電離放射線硬化性樹脂組成物Mと呼称する)は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂などが例示できる。具体的には、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)、ユピマーUV・V3031(三菱化学(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。即ち、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂と(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物、及び滑剤を含み、かつ、ホログラム層は(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と呼称する)である。また、必要に応じて、(メタ)アクリレートオリゴマーなどを含ませてもよい。
((メタ)アクリレートオリゴマー)(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、耐熱性のあるオリゴマーであればよく、例えば、日本合成化学社の商品名;紫光6630B、7510B、7630Bなどが例示できる。含有させる質量基準での割合としては、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」100部に対して10〜30部程度、好ましくは15〜25部である。この範囲未満では耐熱性が不足し、この範囲を超えては耐熱性はよいが、ヒビ割れしやすい。
(シリコーン)シリコーンとしてはシリコーンオイルや反応性シリコーンなどが例示できる。好ましくは反応性シリコーンで、電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化したり、1部は残留するものもある。該反応性シリコーンとしてはアクリル変性、メタクリル変性、又はエポキシ変性などで変性した反応性シリコーンで、該反応性シリコーンを含有させる質量基準での割合としては「電離放射線硬化性樹脂組成物M」100に対して、0.1〜10部程度、好ましくは0.3〜5部である。この範囲未満ではレリーフの賦型時にプレススタンパとの剥離が不十分であり、プレススタンパの汚染を防止することが困難で賦型性が悪い。また、この範囲を超えてはホログラム層面への透明反射層の密着性が低く、ホログラム層と透明反射層との間で剥離し商品価値を失ってしまう。従来のシリコーンオイルの添加では、透明反射層との密着性が悪い。
(フィラー)フィラーとしてはマイクロシリカやポリエチレンワックスが例示できる。ポリエチレンワックスとしては、ポリエチレン系樹脂の粒子やビーズが挙げられるが、好ましくは球状ビーズである。但し、ポリエチレンワックスを添加すると、箔切れ性は低下するので、その添加量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜5質量部とする。
このように、レリーフホログラム層15へ電離放射線硬化樹脂、シリコーン及びフィラーを含ませることで、次の作用効果を兼ねさせることができる。(1)電離放射線硬化前の塗布状態のレリーフホログラム層15の塗膜は指乾状態でべとつかず、ブロッキングせずに巻き取ることができるので、ロールツーロール加工ができる。(2)レリーフホログラム層15へは反応性シリコーンを含ませることで、賦型性がよいので、レリーフ構造を容易に賦型でき、賦型後に電離放射線で硬化できる。
(ホログラム層の形成)レリーフホログラム層15の形成は、上記のウレタン変性アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートオリゴマー、反応性シリコーン、ポリエチレンワックスを含ませ、さらに必要に応じて、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥して、電離放射線で反応(硬化)させればよい。ホログラム層15の厚さとしては、通常は1μm〜30μm程度、好ましくは2μm〜20μm程度である。複数回の塗布でもよい。
(ホログラム)次に、レリーフホログラム層15の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定のレリーフ構造を賦型し、硬化させる。レリーフホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。特に、レリーフホログラムを回折格子又は複数の回折格子の組合せからなるようにすることで、光が回折して虹模様を呈し、下地のカラー印刷部103と相俟って、カラー印刷部103の個別の絵柄に対して擬似カラーホログラム効果が発現する。
これらのレリーフ形状の作製方法としてはホログラム撮影記録手段を利用して作製されたホログラムや回折格子の他に、干渉や回折という光学計算に基づいて電子線描画装置等を用いて作製されたホログラムや回折格子をあげることもできる。また、ヘアライン柄や万線柄のような比較的大きなパターンなどは機械切削法でもよい。これらのホログラム及び/又は回折格子の単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。これらの原版は公知の材料、方法で作成することができ、通常、感光性材料を塗布したガラス板を用いたレーザ光干渉法、電子線レジスト材料を塗布したガラス板に電子線描画装置を用いてパターン作製する電子線描画法をなどが適用できる。
(レリーフの賦型)レリーフホログラム層15面へ、上記のレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
(レリーフの硬化)レリーフホログラム層15は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(レリーフホログラム層15)となる。電離放射線としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線などが適用できるが、紫外線(UV)が好適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。レリーフホログラム層15として、熱硬化性樹脂を用いた場合には、使用する熱硬化性樹脂の硬化条件に応じた温湿度環境下で、エージングを行い硬化させればよい。なお、保護層14に硬化性樹脂を用いた場合の硬化はレリーフホログラム層15と同時でもよく、予め硬化させておいてもよい。
(レリーフの絵柄)レリーフホログラム層15の絵柄を擬似連続絵柄とすることが好ましい。擬似連続絵柄はプレス型(スタンパという)を作成する際に、小さなレリーフ版の複数を、精度よく突合せてつなぎ目を目立たなくしたり、つなぎ目を樹脂で埋めたりすればよい。このように、擬似連続絵柄とすることで、できるだけ大きな面積、又は好ましくは全面とすることもできる。大面積又は全面のホログラム絵柄を背景とし他の任意な印刷絵柄と、同調させたり、合わせたりして、さらなる特異な意匠性を向上させることができる。
(透明反射層)透明反射層17としては、その光学的な屈折率がホログラム形成層のそれとは異なることにより、ホログラムを視認できるものとすることもできる。透明反射層17として、レリーフホログラム層15とは異なる屈折率を有するものを用いると、ほぼ無色透明な色相で、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムが視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、レリーフホログラム層15よりも光の屈折率の高い薄膜、および光の屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。アルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出てくるため、上記のようなレリーフホログラム層15とは光の屈折率が異なる物質の透明な薄膜と同じ効果を発揮するので、使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、光回折構造層24面に、200オングストローム、あるいはそれ以上の厚みになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの真空薄膜法などにより設ける。好ましくは、既存の設備及び技術で形成できる点で、硫化亜鉛又は酸化チタンである。
(接着層)接着層19としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニール酢酸ビニール共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ0.1μmから30μmの層を得る。また、好ましい接着層19としては、接着層19が紙の非印刷部には非接着でカラー印刷部103には接着する点から、ポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくは変性ポリオレフィン系樹脂で、例えば和信化学工業(株)製のプラスコートOP−2クリヤー、プラスコートOP−16クリヤーなどが例示できる。
(第三工程)第三工程は、(3)前記紙101の表面の前記カラー印刷部103と、前記レリーフホログラム転写箔10の前記接着層19とを重ねて加熱加圧した後に、前記転写基材11を剥離し除去する転写工程である。
(転写)紙101の表面のカラー印刷部103と、レリーフホログラム転写箔10の接着層19とを重ねて、全面を加熱加圧する。その後に、転写基材11を剥離し除去すると、図2に示すように、カラー印刷部103のみに、接着層19、透明反射層17、レリーフホログラム層15、必要に応じて保護層14、及び剥離層13が転写される。該加熱加圧は短時間で行えるように、転写時に上昇する接着層の実温度としては100℃以下程度、好ましくは85℃以下が好ましく、時間としては加熱加圧されている実際の転写時間としては0.5〜3.0秒程度、好ましくは1.0〜2.0秒にて行なえることが好ましい。しかしながら、実際の転写はラミネーターを用い連続走行によって紙101へ温度が奪われたり、昇温のタイムラグがあるので、転写ロール温度140〜180℃、転写速度1.0〜2.0m/min程度で行われる。転写後の紙101にはレリーフホログラムを透過して任意絵柄の選択パターンとしてカラー印刷部103が目視可能となって、擬似カラーホログラム効果が発現している。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
(参考例1)転写基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該転写基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、TCM01メジューム(大日本インキ社製、メラミン樹脂商品名)塗工液を乾燥後2μmになるように塗布し乾燥して、180℃20秒間焼き付けて、剥離層13を形成した。
該剥離層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物の作製手順>
まず、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」は以下の手順で、生成した。撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(HULS社製品、VESTANAT T1890、融点110℃)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製品、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と、造膜性樹脂(アクリル系オリゴマー)、反応性シリコーン、ポリエチレンワックス、光重合開始剤、及び溶媒を下記の組成で配合して電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B) 5部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
次に、該層は電離放射線硬化前であり、塗膜は指乾状態であった。該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。
該ホログラム層15のレリーフ面へ、厚さ50nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して、透明反射層17とした。
該透明反射層17面へ、接着層組成物として下記の接着層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し60℃で乾燥させて、接着層19を形成して、基材11/剥離層13/レリーフホログラム層15/透明反射層17/接着層19の層構成からなる参考例1のレリーフホログラム転写箔10を得た。
・<接着層組成物>
変性ポリオレフィン系樹脂
(和信化学工業社製、プラスコート、ST、OP−16クリヤー) 100部
酢酸エチル 20部
トルエン 10部
(参考例2)電離放射線硬化性樹脂組成物Mの代わりに、ユピマーUV・V3031(三菱化学社製、紫外線硬化性樹脂商品名)を用い、透明反射層17として厚さ100nmの硫化亜鉛を用いる以外は、参考例1と同様にして、参考例2のレリーフホログラム転写箔10を得た。
(参考例3)電離放射線硬化性樹脂組成物Mの代わりに、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、紫外線硬化性(電離放射線硬化性樹脂)商品名)を用いる以外は、参考例1と同様にして、参考例3のレリーフホログラム転写箔10を得た。
(実施例1〜3)紙101として四六判90kgの上質紙をA4版に切断し、キャノン社製カラーコピー機を用いて、電子写真法の4色トナーを用い、「富士山」の絵柄をカラーコピー印刷を行い、トナーで形成された任意絵柄の選択パターンとして「富士山」のカラー印刷部103を得た。該カラー印刷部103を含む紙101へ、参考例1〜3のレリーフホログラム転写箔10を重ねて、転写ロール温度が140℃、転写速度1.6m/分で連続走行するラミネーターに通した後、紙101からレリーフホログラム転写箔10の転写基材11のみを剥がした。参考例1〜3のレリーフホログラム転写箔10を用いたいずれの紙101の個別絵柄のカラー印刷部103である「富士山」の絵柄部分のみへレリーフホログラム層15及び透明反射層17が転写されていた。そして、虹色に輝く回折格子のレリーフホログラムを透過して「富士山」が目視でき、擬似カラーホログラム効果が発現していた。
(産業上の利用可能性)本発明は、パンフレット、広告物などの意匠性の高い擬似カラーホログラム効果が得られるコピー物に利用することができる。しかしながら、カラー印刷部にだけホログラムが転写されて擬似カラーホログラム効果が発現を必要とする用途であれば、特に限定されるものではない。
10:ホログラム転写箔
11:転写基材
13:剥離層
14:保護層
15:レリーフホログラム層
17:;透明反射層
19:接着層
101:紙
103:カラー印刷部

Claims (2)

  1. 紙表面のトナーで形成された任意絵柄のカラー印刷部に、前記任意絵柄よりも大きいサイズのレリーフホログラム転写箔を用いて、該レリーフホログラムを選択的に転写する擬似カラーホログラムの製造方法であって、
    (1)前記紙の表面に、前記トナーを用いた電子写真法で任意絵柄の選択パターンとして前記カラー印刷部を設ける電子写真工程と、
    (2)転写基材へ、剥離層、レリーフホログラム層、透明反射層、及び、前記紙の非印刷部には非接着でカラー印刷部には接着する接着層からなる前記レリーフホログラム転写箔の作製工程と、
    (3)前記紙の表面の前記カラー印刷部と、前記レリーフホログラム転写箔の前記接着層とを重ねて加熱加圧した後に、前記転写基材を剥離し除去する転写工程と、からなり、
    転写後の前記紙には前記レリーフホログラムを透過して任意絵柄の選択パターンとしてカラー印刷部を目視可能とすることで、擬似カラーホログラム効果が発現することを特徴とする擬似カラーホログラムの製造方法。
  2. 前記紙が上質紙、コート紙又はOCR紙のいずかであり、
    前記トナーが感熱定着型トナーであり、
    前記転写基材が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、
    前記剥離層がメラミン系樹脂であり、
    前記レリーフホログラム層がウレタン変性アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートオリゴマー、反応性シリコーン、ポリエチレンワックスを含む組成物の硬化層であり、
    前記透明反射層が硫化亜鉛又は酸化チタンであり、
    前記接着層がポリオレフィン系樹脂であり、
    前記レリーフホログラムが回折格子又は複数の回折格子の組合せからなることを特徴とする請求項1記載の擬似カラーホログラムの製造方法。
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