JP2013124473A - ガードレール用支柱の補修方法 - Google Patents
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Abstract
【構成】埋設深さが短いガードレール用支柱の補修方法であり、内部に圧力を加えることにより膨張する膨張部21を備えた内側補強材20を支柱2aの内部空間に挿入し、前記膨張部の内部に圧力を加えて該膨張部を前記支柱の内面に圧着するまで膨張させると共に、外側補強材25により外側から支柱2aを挟みつけ、該外側補強材を支柱が埋設されている躯体に固定する。
【選択図】図2
Description
図14は、一般的なガードレールの斜視図である。ガードレールにおいて防護板(ビーム)1は、支柱2a、2b、2c、・・・に所定の間隔でブラケット3a、3b、3c、・・・を介して取り付けられている。すなわち、ネジ4a、4b、4c、・・・により支柱2a、2b、2c、・・・に取り付けられたブラケット3a、3b、3cを介して、ネジ5a、5b、5c、・・・により防護板1は支柱2a、2b、2c、・・・に取り付けられている。
以上は、地上に出ている部分より埋設されている部分が長い支柱を補修する場合であるが、橋梁に用いる支柱は、構造躯体である橋梁コンクリートに設置するため、一般的なガードレール支柱と違って、十分な埋設深さを確保することができない。図16は橋梁用ガードレールの斜視図、図17は橋梁用ガードレールの上面一部拡大図及び正面一部拡大図であり、図14と同一部分には同一符号を付しており、異なる点は、1)支柱2aが橋梁コンクリート70に埋設されており、埋設長が一般的なガードレール支柱より短い点、2)補強構造(鋼製底付管、補強筋、モルタル等)により支柱の埋設部を補強している点、3)支柱の取り付けピッチを短くしている点、である。なお、支柱の露出長は600mm〜900mmに対して埋設長は250mm〜400mm程度であり、地上に出ている露出長より埋設されている部分が短い。
図18は橋梁用支柱の埋設部分の説明図であり、(A)は一部断面図、(B)は補強筋の設置位置の説明図である。円筒状の鋼製底付管71が橋梁コンクリート70の支柱埋設位置に埋め込まれ、前部補強鉄筋72、後部補強鉄筋73が該鋼製底付管71を囲むように橋梁コンクリートに埋め込まれている。支柱2aを鋼製底付管71に挿入後、該鋼製底付管と支柱との間の隙間にモルタル74を充填して硬化することにより支柱を橋梁コンクリートに固定する構成を有している。図19は別の橋梁用支柱の埋設部分の説明図であり、支柱2aが取り付けられた埋め込み型ベースプレート75をアンカー76により橋梁コンクリート中に固定する構成を有している。
そこで、腐食した支柱は切除等により撤去し、新たな支柱をベースプレートを介して地面に別途固定し、該支柱に防護板を取り付けることが行なわれている。しかし、かかる方法は、特許文献1の従来技術にも言えることであるが、支柱の地上部分を切除する必要があり、非常に手間がかかり、不経済で、しかも、新たな支柱に防護板を取付け直す作業が必要となる問題がある。
確かに車両衝突等により支柱が損壊している場合には、切除せざるを得ないが、単に地面付近で腐食しているだけの場合には、既設支柱の切除作業なしで簡便に補強する補修方法、換言すれば、既設支柱や既設防護板全体を撤去しないですむ補修方法が要望されている。
以上から、本発明の目的は、既設支柱の切除作業なしで、すなわち、既設支柱や既設防護板全体を撤去しないで、簡便に、しかも安定に埋設深さが短いガードレール用支柱を支持できる補修方法を提供することである。
上記本発明のガードレール用支柱の補修方法は、前記膨張部の内部に圧力を加えて該膨張部を前記支柱の内面に圧着するまで膨張させる工程と共に、外側補強材により外側から前記支柱を挟みつけ、該外側補強材を支柱が埋設されている構造躯体に一体的に固定する工程を備えている。
上記本発明のガードレール用支柱の補修方法は、前記膨張部の内部に圧力を加えて該膨張部を前記支柱の内面に圧着するまで膨張させる工程と共に、前記支柱の底部の内部空間を隙間充填材で充填する工程を備えている。
上記の補修方法において、前記内側補強材の長さを支柱の長さと略等しくし、支柱の内部空間の略全体を前記膨張部で圧着する。
また、本発明によれば、膨張部の内部に圧力を加えて該膨張部を前記支柱の内面に圧着するまで膨張させると共に、外側補強材により外側から前記支柱を挟みつけ、該外側補強材を支柱が埋設されている構造躯体に一体的に固定するようにしたから、ますます強固にガードレール用支柱を補強することができる。
また、本発明によれば、膨張部の内部に圧力を加えて該膨張部を前記支柱の内面に圧着するまで膨張させると共に、前記支柱の底部の内部空間を隙間充填材で充填するようにしたから、ますます強固にガードレール用支柱を補強することができる。
図1は本発明の補修方法を適用する橋梁用ガードレールの支柱の説明図であり、既設の補強構造(鋼製底付管/補強鉄筋等)の図示を省略すると共に図16と同一部分には同一符号を付している。図1において、1は防護板(ビーム)、2aは円筒状の支柱、3aはブラケット、70は橋梁コンクリートであり、点線80の内側に既設の補強構造(図18、図19参照)が配設されており、地盤付近90で腐食する。
図2は地上に出ている露出長部分より埋設深さが短いガードレール用支柱に適用できる本発明の支柱補強構造の説明図であり、図3に該支柱補強構造を設置する前の支柱の断面図を対比的に示している。図2、図3では既設の補強構造としてモルタル74のみ図示し、詳細な既設補強構造の図示を省略している。
本発明第1実施例の補修方法では、内側補強材20と外側補強材25を使用する。内側補強材20は膨張部21(図2には膨張後の状態が示されている)と、口元スリーブ22と、膨張部21の先端部を閉塞するための先端スリーブ23を備えている。膨張部21は、水あるいはエアを所定の圧力で注入すると膨張する折込み二重管構造の鋼管(可膨張鋼管)で形成されており、高耐食性亜鉛めっきされていることが望ましい。口元スリーブ22は、膨張部21の口元側に嵌めこまれる口元スリーブ22aとアダプタ用連結ネジ部22bとこれらの間を連結する連結部22cを備えている。また、内側補強材20は、先端スリーブ23が支柱内の底部に達した状態で、膨張部21が支柱2aの底部から地上に出ている部分にわたって配置し得る長さを備えている。
外側補強材25は、外側から円筒状の支柱2aを挟みつけ、支柱2aが埋設されている橋梁コンクリート(橋梁躯体)70にアンカー71を用いて固定する構造を備えている。
内側補強材20は前述のように、膨張部21、口元スリーブ22、先端スリーブ23を備えている。可膨張鋼管である膨張部21は、二重管構造を有しており、その口元部と先端部には口元スリーブ22と先端を閉塞するための先端スリーブ23がそれぞれ取り付けられている。
かかる内側補強材を製造するには、図5(1)に示すように、直径D1の鋼管材21′を用意し、押し潰し加工により直径D1の鋼管材を横に押し潰して浅い凹みを有する平ら状の加工材21″とし(図5(2))、しかる後、丸め加工により加工材21″を丸め、断面が丸みを帯びた凹状の膨張部21を形成する(図5(3))。ついで、膨張部21の口元部及び先端部に口元スリーブ22、先端スリーブ23を被嵌し、溶接により膨張部21に固着する。
口元スリーブ22は、円筒状のスリーブ部22aと、円筒状のアダプタ用連結ネジ部22bと、これらスリーブ部とアダプタ用連結ネジ部間を結合する連結部22cとで構成され、スリーブ部22aの内面には注入用アダプタとネジ結合するためのネジ22dが形成され、連結部22cには膨張部21の内部空間21aとアダプタ用連結ネジ部22bの中空部間を連通させるための連通孔22eが形成されている。膨張部21の口元端部は、連通孔22e以外の部分で連結部22cに溶接閉塞される。一方、先端スリーブ23は底部が閉じた円筒状の形状を備え、膨張部21の先端部は先端スリーブ23の該底部に溶接されて閉塞される。
図7は注入用アダプタと加圧用アダプタと内側補強材の関係説明図であり、(A)は加圧用アダプタの斜視図、(B)は注入用アダプタの斜視図、(C)は内側補強材20の斜視図である。
加圧用アダプタ40は嵌め込み部41と加圧口部42を備え、嵌め込み部41を注入用アダプタ30に嵌め込んで加圧口43より水またはエアを加圧注入するようになっている。
注入用アダプタ30は、アダプタ本体部31と該アダプタ本体部に嵌めこまれた鍔部32とで構成され、鍔部32の径は支柱2aの外形より大サイズになっている。アダプタ本体部31の内部には下端が開放された中空部31aが形成されており、下側先端には内側補強材20の口元スリーブ22にネジ結合するためのネジ部31bが形成され、上側先端部には、加圧用アダプタ40に嵌めこむための嵌め込み部31cが形成され、該嵌め込み部には中空部31aに連通する小孔31dが設けられている。加圧された水あるいはエアは加圧用アダプタ40より小孔31dを介して中空部31aに到り、該中空部を介して内側補強材20の膨張部21の内部空間に注入される。
ネジ部31bの端部から鍔部32の下側までの長さはLであり、この長さLは、注入用アダプタ30に内側補強材20をネジ結合したときの鍔部下側から内側補強材20の先端までの長さが支柱の長さと一致するように決定される。
まず、(A)に示すように、作業を行なう対象となる支柱2aについてはねじ4(図1参照)を一時的に取り外し、また補強を要する円筒状の支柱2aのキャップ(図示せず)を外す。ついで、(B)に示すように、注入用アダプタ30が取り付けられた内側補強材20を支柱2aの円筒状の内部空間2a′に、鍔部32が支柱端部に当接するまで挿入する。鍔部32が支柱端部に当接するまで挿入すれば、そのとき、先端スリーブ23は支柱の底部に到達し、膨張部21が支柱2aの底部から地上に出ている部分にわたるように配置している。
内側補強材20の挿入が完了すれば、(C)に示すように加圧用アダプタ40を注入用アダプタ30に取り付け、水あるいはエアを所定の圧力で該加圧用アダプタ、注入用アダプタを介して内側補強材20の膨張部21の内部空間に注入し、該膨張部を支柱の円筒内面に圧着するまで膨張させる。膨張圧着後、注入用アダプタ30、加圧用アダプタ40を外す((D)参照)。
ついで、図10(A)に示すように膨張部21と支柱2aの内面間に存在する隙間21b(図6(B)参照)を介して支柱底部に隙間充填材を注入する。
隙間充填材を注入後、図10(B)に示す用に橋梁コンクリート70にアンカー孔70aを穿孔し、外側補強材25の第1、第2部材26,27を支柱2aに外側から嵌め込んだ後、両部材間をボルトで結合して支柱2aを挟みつけ、しかる後、アンカー71を用いて橋梁コンクリート(橋梁躯体)70に固定する。そして、最後に、(C)に示すように支柱2aにキャップ50で蓋をして補修作業を終了する。なお、加圧膨張するために水を用いた場合、該水を内側補強材内部よりポンプで吸い出してからキャップ50で蓋をする。
前記第1実施例では地盤より上、下所定範囲の支柱内面を膨張部により膨張圧着した場合であるが、膨張部21を長くして支柱のほぼ全体を膨張圧着することもできる。図11は、かかる場合の補強構造の説明図であり、図2と同一部分には同一符号を付している。異なる点は、内側補強材の長さを支柱2aの長さと略等しくし、膨張時、支柱の内部空間の略全体を膨張部21で圧着するようにした点である。第2実施例によればより強力にガードレールを支持することが可能となる。
また、前記第1及び第2実施例では、支柱2aの補強として、内側補強材20と共に外側補強材25と隙間充填材の底部注入を併用したが、本発明の要旨は支柱2aが地上に露出している部分より底部が短いという条件下で、支柱2aに内側補強材20を強固に一体化する点にあり、外側補強材25と隙間充填材の底部注入はそれぞれ或いは両方併せて用いる必要はない。例えば、図12に示すように、支柱2aの外側補強材を省略して支柱底部に隙間充填材を密実充填することにより、内側補強材20と支柱2aの一体化を図っても良い。この際、底部注入に替えて、事前に支柱の底部にモルタル等の経時硬化性材料を所定量或いはカプセル状のものを入れておき、そこに内側補強材20を挿入するようにしても良い。
さらに、図13に示すように、外側補強材25のみを用いて支柱2aと内側補強材20の強固な一体化による支柱補強を図ることも可能であるo 内側補強材20の膨張部21が支柱2aの錆部に密着していれば、支柱2aの底部に空隙スペースがあっても一応の補強は果たされるからである。
もちろん、支柱2aにある程度の埋設長が確保されている場合には、隙間充填材も外側補強材もない図9(D)の状態であっても、支住2aの錆び部の補強とすることはできる。
20 内側補強材
21 膨張部
22 口元スリーブ
23 先端スリーブ
25 外側補強
30 注入用アダプタ
32 鍔部
40 加圧用アダプ
50 キャップ
70 橋梁コンクリート
Claims (4)
- 地上に出ている部分より埋設されている部分が短いガードレール用支柱の補修方法において、
内部に圧力を加えることにより膨張する膨張部を備えた内側補強材を前記支柱の内部空間に挿入し、該膨張部が支柱の底部から地上に出ている部分に渡るように配置させ、
前記膨張部の内部に圧力を加えて該膨張部を前記支柱の内面に圧着するまで膨張させ、
前記内側補強材の膨張部と支柱の底部から地上部までを一体化する、
ことを特徴とするガードレール用支柱の補修方法。 - 前記膨張部の内部に圧力を加えて該膨張部を前記支柱の内面に圧着するまで膨張させる工程と共に、
外側補強材により外側から前記支柱を挟みつけ、該外側補強材を支柱が埋設されている構造躯体に一体的に固定する工程、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のガードレール用支柱の補修方法。 - 前記膨張部の内部に圧力を加えて該膨張部を前記支柱の内面に圧着するまで膨張させる工程と共に、
前記支柱の底部の内部空間を隙間充填材で充填する工程、
を備えたことを特徴とする請求項1記載のガードレール用支柱の補修方法。 - 前記内側補強材の長さを支柱の長さと略等しくし、支柱の内部空間の略全体を前記膨張部で圧着する、
ことを特徴とする請求項1,2,3のいずれか記載のガードレール用支柱の補修方法。
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