JP2019031836A - 既設構造物の補修・補強方法 - Google Patents

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【課題】既設構造物の補修及び補強に係る作業の簡略化を図る。【解決手段】本発明の既設構造物の補修・補強方法は、前記既設構造物の表面から前記地盤の第1の深さまで削孔を行う一次削孔工程と、パッカーが装着された注入管の一端部を、前記一次削孔工程時に前記既設構造物に設けた孔から挿入し、前記注入管の頭部が前記既設構造物の表面から突出した状態で前記パッカーを前記孔の径方向に膨出させて前記孔を閉塞することで前記注入管を前記既設構造物に設置する設置工程と、前記既設構造物の表面から露呈される前記注入管の前記頭部から、グラウト材を注入する一次注入工程と、補強材を前記注入管を介して挿入する挿入工程と、を有することを特徴とする。【選択図】 図3

Description

本発明は、既設構造物を破壊することなく、既設構造物を補修及び補強する既設構造物の補修・補強方法に関する。
盛土、切土作業等による人工斜面や自然斜面における落石や土砂の崩壊を防ぐ目的で、モルタル、コンクリート又はセメントなどを吹き付けて地盤(地山を含む)の表面に覆工物を生成する作業や、法面に擁壁と呼ばれる土留め構造物を設置する作業が一般的に行われている。また、トンネルの施工作業においても、削孔機により削孔された穴の内壁面にセメントを吹き付けて地盤表面に覆工物を生成する作業が行われた後、ロックボルトと呼ばれる鉄筋棒を打ち込み、最後に、コンクリートを打つ作業が行われる。以下、地盤の表面に生成又は設置される覆工物や構造物を、既設構造物と称する。
既設構造物に覆われた地盤では、既設構造物の老朽化に伴い、既設構造物自体に亀裂や破損の他、地盤に染み込んだ雨水により既設構造物の背面の土砂が流出して既設構造物の背面に空洞が生じる。これらは、地震やさらなる降雨によって、既設構造物や地盤を崩壊する可能性がある。したがって、このような場合には、老朽化した既設構造物を剥ぎ取り、新たな既設構造物を生成する作業が行われることが多い。このような作業は、足場を構築する作業や、法面の近傍の道路やトンネル内を封鎖する必要があることから、作業が大掛かりになる。
近年では、既設構造物の背面にグラウト材(注入材)を注入する背面注入工法を用いることで、老朽化した既設構造物を除去することなく既設構造物を補修する方法が採用される(特許文献1、特許文献2等参照)。特許文献1では、打音調査、内視鏡、圧力計調査などにより既設構造物の背面の空洞の状況調査、また、挿入した圧力計による圧力の計測により風化度の判別を行った後、対象となる箇所をドリルを用いて削孔し、削孔箇所に注入機械のパイプを挿入した後グラウト材を注入することで、地盤と既設構造物とを一体化している。
また、特許文献2では、削孔機により削孔した穴にパッカー付きの中空鋼材を挿入し、パッカーを穴の径方向に膨出させて穴を閉塞することで中空鋼材を既設モルタル面に設置し、中空鋼材の頭部側からグラウト材を注入することで、既設モルタル面と地山との間に形成される空洞にグラウト材を充填することを開示している。この特許文献2では、注入用の穿孔と地山安定の補強材の挿入孔とを兼用すること、補強材支圧構造に注入治具を組み込み、補強材の設置と同時に注入治具の取り付けができるようにしている。
特開2009−79364号公報 特許第4927662号公報
上述した特許文献1は、地盤の風化の状況に合わせて、中抜けや崩壊対策として深さ1〜2mの鉄筋挿入工を施すことを開示している。しかしながら、鉄筋挿入工は、背面注入工法による吹付層の背面の補修作業とは別の作業として実施する必要があり、既設構造物の補修や補強作業に係る工期が長くなる。また、特許文献2に開示されるパッカー付きの中空鋼材は、グラウト材の注入後、地盤に埋設されることで、中空鋼材が地盤安定の補強材としての役割を担っている。しかしながら、埋め込まれる中空鋼材の長さを考慮すると、地盤の表層部分の安定化は図れるが、地山の深い層から崩壊することを想定したものではない。したがって、特許文献2の場合も、地山安定化のための補強材を地盤に挿入する作業を別途施工する必要がある。
本発明は、既設構造物の補修及び補強に係る作業の簡略化を図ることができるようにした既設構造物の補修・補強方法を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明の既設構造物の補修・補強方法の一実施形態は、地盤の表面に設けた既設構造物の補修・補強方法において、前記既設構造物の表面から前記地盤の第1の深さまで削孔を行う一次削孔工程と、パッカーが装着された注入管の一端部を、前記一次削孔工程時に前記既設構造物に設けた孔から挿入し、前記注入管の頭部が前記既設構造物の表面から突出した状態で前記パッカーを前記孔の径方向に膨出させて前記孔を閉塞することで前記注入管を前記既設構造物に設置する設置工程と、前記既設構造物の表面から露呈される前記注入管の前記頭部から、グラウト材を注入する一次注入工程と、補強材を前記注入管を介して挿入する挿入工程と、を有することを特徴とする。
また、前記一次注入工程により注入された前記グラウト材が硬化したことを受けて、前記グラウト材が内部に充填された前記注入管の頭部側から、前記第1の深さよりも深い第2の深さまで前記地盤の削孔を行う二次削孔工程と、前記二次削孔工程の後に実施され、前記注入管の前記頭部から前記グラウト材を注入する二次注入工程と、を有し、前記挿入工程は、前記二次注入工程の後に実施されることを特徴とする。
また、前記注入管の前記頭部にキャップを装着する工程と、前記補強材の端部に締結部材を取り付け、前記締結部材を締め付け固定する工程と、をさらに有することを特徴とする。
また、前記既設構造物の表面に覆工構造物を設けて、前記注入管の前記頭部を前記覆工構造物に埋め込む工程と、前記覆工構造物から突出する前記補強材の端部に締結部材を取り付け、前記締結部材を締め付け固定する工程と、をさらに有することを特徴とする。
この場合、前記覆工構造物は、モルタル又はセメントの吹き付けにより前記既設構造物の表面に生成されることが好ましい。
また、前記注入管は、前記グラウト材の逆流を防止する逆止弁を有することを特徴とする。
本発明によれば、既設構造物の補修及び補強に係る作業の簡略化を図ることができる。
背面注入工法で用いる注入プラグの斜視図である。 補強材の斜視図である。 第1実施形態における既設構造物の補修・補強方法の手順を示す図である。 第1実施形態における既設構造物の補修・補強方法の手順を示す図である。 第1実施形態における既設構造物の補修・補強方法の手順を示す図である。 第2実施形態における既設構造物の補修・補強方法の手順を示す図である。 第2実施形態における既設構造物の補修・補強方法の手順を示す図である。 第2実施形態における既設構造物の補修・補強方法の手順を示す図である。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
本実施形態における既設構造物の補修・補強方法は、後述する注入プラグを用いた背面注入工法により地盤と既設構造物とを一体化する補修を行うと同時に、注入プラグを介して補強材を挿入することで地盤を補強するものである。周知のように、背面注入工法は、既設構造物から地盤に跨って削孔を行い、削孔により既設構造物に生成された孔を介して、既設構造物の背面と地盤との間に発現された空洞部分にグラウト材を充填し、既設構造物と地盤とを一体化する工法である。
図1は、背面注入工法で用いる注入プラグの斜視図である。図1に示すように、注入プラグ10は、注入管11、コイル12、ワッシャ13,14、パッカー15、支圧板16及びナット17を有する。注入管11は、例えば、円筒状の鋼管が用いられる。注入管11は、軸方向における一端部の外周面にねじ部11aを有する。ねじ部11aは、ナット17が螺合される他に、後述する注入ホース36が装着される。注入管11は、外周面にねじ部11aを有する一端部に、注入管11の軸方向を長手方向とする長孔11bを有する。注入管11を介して注入されるグラウト材は、長孔11bを介してオーバーフローされる。長孔11bを介してグラウト材がオーバーフローするか否かを目視することで、作業者はグラウト材が充填されたか否かを判断することができる。以下、注入管11のねじ部11aが設けられる端部を頭部と称する。
なお、グラウト材としては、セメントと水、混和剤、砂などを混ぜた注入材であり、セメントを主成分とする他に、珪酸ナトリウム(水ガラス)やセメントペースト、フライアッシュなどを用いてもよい。
注入管11は、外周面にねじ部11aを有する一端部には、所定角度間隔で、3個のストッパ11cを有する。これらストッパ11cは、注入管11に装着されるワッシャ13が当接される。
注入管11は、軸方向における他端側に3個の開口11dを有する。3個の開口11dは、注入管11の長手方向に一定ピッチ間隔を空けて配置される。これら開口11dは、注入管11を介してグラウト材を注入する際にグラウト材が吐出される開口となる。以下、開口11dを吐出口11dと称する。
なお、注入管11は、一例として、外径21.7mm、厚み3.7mm、長さ750mmである。また、吐出口11dの直径は6mm、吐出口11dは、注入管11の他端から40mm間隔で設けられる。
コイル12は、注入管11の外周面に巻き掛けられる。コイル12は、例えば鋼材を螺旋状に巻き付けられた部材である。コイル12は、グラウト材に対する接着面積を増大させることで、グラウト材による注入プラグ10と地盤との接着強度を高める部材である。なお、本実施形態では、コイル12を有する注入プラグ10について説明しているが、コイル12を有していない注入プラグを用いることも可能である。
ワッシャ13,14は、注入管11の外径と同等又はやや大きめの内径を有する円板形状の部材である。ワッシャ13は、注入管11が有するストッパ11cに当接された状態で、パッカー15を支持する部材である。また、ワッシャ14は、軸方向の一端面がパッカー15に、軸方向の他端面が支圧板16に各々当接される。
パッカー15は、注入管11の外径と同等又はやや大きめの内径を有するゴム製の中空体である。パッカー15は、上述したワッシャ13,14に両端部が当接された状態で注入管11に装着される。
支圧板16は、注入管11の外径と同等又はやや大きめの内径と、パッカー15の外径よりも大きい外径とを有する円板形状の部材である。支圧板16は、注入プラグ10を既設構造物に設置したときに、既設構造物の表面に当接される。
ナット17は、支圧板16が装着された注入管11のねじ部11aに螺着される。ナット17は、締め付け時に注入管11のストッパ11cに近接することで、パッカー15を膨出させる部材である。詳細には、ナット17が締め付けられると、ナット17は支圧板16及びワッシャ14をストッパ11cに向けて移動させる。したがって、パッカー15の両端部に設けたワッシャ13,14間の距離が狭くなる。ワッシャ13,14間の距離が狭くなることで、パッカー15が軸方向に押圧され、注入管11の径方向に膨出される。
図2に示すように、既設構造物を補強する際に用いる補強材20は、一例として、外周面を軸方向に二面取りし、さらに、外周面にねじ加工を施した円柱状の鋼材が用いられる。補強材20の外径は、注入プラグ10の注入管11の内径よりも小さく設定される。補強材20の長さは、例えば3〜5mである。補強材20の外周面にねじ加工を施すことで、補強材20の外周面におけるグラウト材の接着面積を増大させ、グラウト材による補強材20と地盤との接着強度を高める。したがって、グラウト材による補強材20と地盤との接着強度を高めるために、円周方向に亘って延出される突条を外周面に複数配置した補強材を用いることも可能である。
なお、図1及び図2を比べた場合に、補強材20の外径は注入プラグ10の注入管11の内径よりも大きく表されているが、図1に示す注入プラグ10の尺度と、図2に示す補強材20の尺度は、説明上、異なっており、実際には補強材20の外径は注入プラグ10の注入管11の内径よりも小さい。
次に、上述した注入プラグ10及び補強材20を用いて既設構造物を補修・補強する方法について説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態では、水平な地盤に設置した既設構造物を補修・補強する場合を例に取り上げて説明する。
まず、図3(a)に示すように、既設構造物30の背面30aと地盤31との間に空洞32がある位置を特定する。既設構造物30の背面30aに空洞32がある位置の特定については、例えば打音調査、内視鏡、圧力計調査などの調査を行えばよい。
図3(b)に示すように、既設構造物30の背面30aと地盤31との間に空洞32がある位置を削孔位置とする。この削孔位置に対して、削孔機(図示省略)等を用いて、既設構造物30から地盤31の所定深さまで削孔する。ここで、所定深さは、既設構造物30の表面30bから例えば3〜5mの深さである。なお、符号33は、削孔ロッドである。
図3(c)に示すように、削孔機等により既設構造物30から地盤31の所定深さまで削孔すると、既設構造物30に孔34が生成され、また、地盤31に削孔部35が生成される。したがって、既設構造物30に生成された孔34に、上述した注入プラグ10が挿入される。注入プラグ10は、注入管11のねじ部11aにナット17を螺合している。したがって、既設構造物30の孔34から注入管11が挿入された注入プラグ10は、ナット17によって注入管11からの逸脱が防止された支圧板16と既設構造物30の表面30bとが当接された状態で保持される。
図3(d)に示すように、注入管11のねじ部11aに螺合したナット17を締め付ける。ナット17の締め付けにより、ナット17は注入管11の外周面に設けたストッパ11cに近接する。上述したように、注入プラグ10は、支圧板16が既設構造物30の表面30bに当接された状態で保持されていることから、ナット17の位置は同一位置である。その結果、ナット17が締め付けられると、注入管11が上方に移動する。ナット17の締め付けによる注入管11の上方への移動により、ストッパ11cに当接されるワッシャ13が上方に移動し、ワッシャ13とワッシャ14との間が狭くなる。ワッシャ13とワッシャ14との間が狭くなることで、ワッシャ13とワッシャ14との間に配設されるパッカー15が注入管11の径方向に膨出される。膨出されるパッカー15は、既設構造物30の孔34を閉塞する。その後、注入プラグ10が、例えば人力で引き抜けないことを確認する。これにより、注入プラグ10が既設構造物30に設置される。注入プラグ10が既設構造物30に設置された状態では、注入管11のねじ部11aが外部に露呈された状態となる。
図4(a)に示すように、注入管11のねじ部11aに注入ホース36を取り付け、グラウト材37を注入する。グラウト材37は、地盤31の削孔部35に充填された後、既設構造物30の背面30a及び地盤31の間の空洞32に充填される(図4(b)参照)。既設構造物30の背面30a及び地盤31の間の空洞32にグラウト材が充填されると、グラウト材37は、注入管11の長孔11bからオーバーフローする。グラウト材37のオーバーフローが確認されると、グラウト材37の注入が停止される。空洞32に充填されたグラウト材37が硬化することで、地盤31と既設構造物30とが一体化される。
図4(c)に示すように、グラウト材37の注入が停止された後、注入ホース36を注入プラグ10から取り外し、注入したグラウト材37が硬化する前に、補強材20を注入プラグ10の注入管11を介して挿入する。補強材20は、先端が地盤31の削孔部35の底部35aに到達するまで挿入される。
図5(a)に示すように、グラウト材37が硬化した後、例えば外部に露呈される注入管11のねじ部11aにキャップ38を取り付ける。最後に、キャップ38から露呈する補強材20に専用のナット39を螺合し、ナット39を締め付け固定する。
なお、注入管11のねじ部11aにキャップ38を取り付けた後、キャップ38から露呈する補強材20に専用のナット39を締め付け固定する代わりに、図5(b)に示すように、モルタルやセメントの吹き付けを行って、既設構造物30の表面に新たな覆工物(新設覆工物)41を生成してもよい。この場合、モルタルやセメントの吹き付けにより、注入管11のねじ部11aを新設覆工物41に埋め込む。吹き付けたモルタルやセメントが硬化した後、新設覆工物41から露呈する補強材20に専用のナット39を螺合し、ナット39を締め付け固定する。
以上のように、第1実施形態では、既設構造物30から地盤31の所定深さまで削孔することで、グラウト材37の注入と、グラウト材37の注入後の補強材20の挿入とを同時に行うことができ、グラウト材37の注入に係る孔と、補強材20の挿入に係る孔とを別個に設ける必要がなくなる。その結果、既設構造物30の補修及び補強に係る工程を簡略化することができる。
また、上述した注入プラグ10を用いた場合には、注入管11が既設構造物30及び地盤31に跨って埋め込まれる。これにより、地盤31の表層における地盤補強を行うことができるが、補強材20をさらに挿入することで、地盤31の表層だけでなく、地盤31の所定の深さまでの地盤補強を確実に実施することが可能となる。
なお、第1実施形態では、水平な地盤31の表面に設置した既設構造物30を補修及び補強する場合を例に取り上げたが、地山の法面に生成された既設覆工物に対する補修及び補強作業を行う場合にも、第1実施形態の方法を用いることも可能である。また、この他に、トンネルの造成工事においても適用することができる。トンネルの造成工事では、削孔機により削孔された穴の内壁面にセメントを吹き付けて地盤表面に覆工物を生成する作業が行われた後、ロックボルトと呼ばれる鉄筋棒を打ち込み、最後に、コンクリートを打つ作業が行われる。つまり、トンネルの場合にも、覆工物と地盤との間に空隙が発現する可能性が高い。したがって、第1実施形態の方法を用いることで、トンネルの内壁面の覆工物の補修及び補強に係る作業を行うことができる。この場合、セメントを吹き付けて地盤表面に覆工物を生成した後に第1実施形態の方法を用いてもよいし、トンネルが造成された後に、第1実施形態の方法を用いてもよい。
なお、トンネルの内壁面の補修や補強を行う場合、削孔ロッドやドリルの軸方向を水平方向に、又は上方に向けて削孔作業が実行される。その結果、注入プラグ10は、注入管11の軸方向が水平方向に、又は注入管11のねじ部11a側が下流側となるように既設覆工物に設置される場合もある。このような場合、既設覆工物に設置される注入プラグ10を介してグラウト材37を注入し、注入ホースを取り外すと、硬化していないグラウト材が注入プラグ10の注入管11から漏れ出す事象が発現する。したがって、注入プラグ10の注入管11の内部にグラウト材の逆流を防ぐ逆止弁を設ける、或いは、注入管11のねじ部11aに、グラウト材37の逆流を防ぐキャップを取り付けるなどの対策が必要である。
第1実施形態では、削孔やグラウト材の注入を各々1回の作業とした場合について説明しているが、削孔やグラウト材の注入を複数回行うことで、既設構造物30の補修及び補強を行ってもよい。削孔やグラウト材の注入を複数回行うことで、既設構造物30を補修・補強する方法について第2実施形態として説明する。
<第2実施形態>
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、水平な地盤表面に設置した既設構造物を補修・補強する場合を例に取り上げて説明する。
まず、図6(a)に示すように、既設構造物45の背面45aと地盤46との間に空洞47がある位置を特定する。
図6(b)に示すように、既設構造物45の背面45aと地盤46との間に空洞47がある位置で、削孔機等を用いて、既設構造物45から地盤46の所定深さまで削孔する(一次削孔)。ここで、所定深さは、既設構造物45の表面45bから例えば1m以下の深さである。なお、符号48は、削孔ロッドである。
図6(c)に示すように、既設構造物45から地盤46の所定深さまで削孔すると、既設構造物45に孔49が生成され、また、地盤46に削孔部50が生成される。既設構造物45に生成された孔49に、上述した注入プラグ10が挿入される。
図6(d)に示すように、注入プラグ10のねじ部11aに螺合したナット17を締め付ける。これにより、第1実施形態と同様に、パッカー15が注入管11の径方向に膨出する。したがって、膨出されるパッカー15により既設構造物45の孔49が閉塞される。このとき、注入プラグ10が、例えば人力で引き抜けないことを確認する。これにより、注入プラグ10が既設構造物45に設置される。注入プラグ10が既設構造物45に設置された状態では、注入管11のねじ部11aが外部に露呈された状態となる。
図7(a)に示すように、注入管11のねじ部11aに注入ホース51を取り付け、グラウト材52を注入する。グラウト材52は、地盤46の削孔部50に充填された後、既設構造物45の背面45a及び地盤46の間の空洞47に充填される(一次注入)。既設構造物45の背面45a及び地盤46の間の空洞47にグラウト材52が充填されると、グラウト材52は、注入管11の長孔11bからオーバーフローする。グラウト材52のオーバーフローが確認されると、グラウト材52の注入が停止される。空洞32に充填されたグラウト材37が硬化することで、地盤46と既設構造物45とが一体化される。
図7(b)に示すように、注入したグラウト材52が硬化した後、注入プラグ10の注入管11を介して、地盤46の所定深さまで削孔する(二次削孔)。削孔する深さは、既設構造物45の表面45bから例えば3〜5m程度の深さである。なお、符号53は、削孔ロッドである。削孔ロッド53の外径は、注入管11の内径よりも小さい直径である。二次削孔により、地盤46に削孔部54が生成される。
図7(c)に示すように、注入管11のねじ部11aに注入ホース51を取り付け、グラウト材55を注入する(二次注入)。なお、一次注入時に用いるグラウト材52と、二次注入時に用いるグラウト材55とは、同一のグラウト材を用いてもよいし、異なるグラウト材を用いてもよい。
図7(d)に示すように、グラウト材55を所定量注入した後、グラウト材55の注入が停止される。グラウト材55の注入が停止された後、注入ホース51を注入管11から取り外し、注入したグラウト材55が硬化する前に、補強材20を注入管11を介して挿入する。補強材20は、先端が地盤46の削孔部54の底部54aに到達するまで挿入される。
図8(a)に示すように、グラウト材55が硬化した後、例えば外部に露呈される注入管11のねじ部11aにキャップ38を取り付ける。最後に、キャップ38から露呈する補強材20に専用のナット39を螺合し、ナット39を締め付け固定する。
この場合も、第1実施形態と同様に、図8(b)に示すように、モルタルやセメントの吹き付けを行って、既設構造物の表面に新たな覆工物(新設覆工物)56を生成してもよい。この場合、モルタルやセメントの吹き付けを行って、注入管のねじ部(言い換えれば注入プラグ)を新設覆工物56に埋め込む。吹き付けたモルタルやセメントが硬化した後、新設覆工物56から露呈する補強材20に専用のナット39を螺合し、ナットを39を締め付け固定する。
以上のように、第2実施形態では、まず、既設構造物45の背面45aと地盤46との間の空洞47に対してグラウト材52を充填する補修作業に引き続いて、補強材を挿入する補強作業を実行している。第2実施形態の場合には、削孔及びグラウト材の注入を各々2回行うことから、第1実施形態と比較して作業の工程は多くなるが、各作業を確実に行うことができる。
なお、第2実施形態においても、水平な地盤の表面に設置した既設構造物を補修及び補強する場合を例に取り上げたが、地山の法面に生成された既設覆工物に対する補修及び補強作業を行う場合にも、第2実施形態の方法を用いることも可能である。
10…注入プラグ、11…注入管、15…パッカー、16…支圧板、20…補強材、30,45…既設構造物、31,46…地盤、32,47…空洞、33,48,53…削孔ロッド、35,50,54…削孔部、37,52,55…グラウト材、41,56…新設覆工物

Claims (6)

  1. 地盤の表面に設けた既設構造物の補修・補強方法において、
    前記既設構造物の表面から前記地盤の第1の深さまで削孔を行う一次削孔工程と、
    パッカーが装着された注入管の一端部を、前記一次削孔工程時に前記既設構造物に設けた孔から挿入し、前記注入管の頭部が前記既設構造物の表面から突出した状態で前記パッカーを前記孔の径方向に膨出させて前記孔を閉塞することで前記注入管を前記既設構造物に設置する設置工程と、
    前記既設構造物の表面から露呈される前記注入管の前記頭部から、グラウト材を注入する一次注入工程と、
    補強材を前記注入管を介して挿入する挿入工程と、
    を有することを特徴とする既設構造物の補修・補強方法。
  2. 請求項1に記載の既設構造物の補修・補強方法において、
    前記一次注入工程により注入された前記グラウト材が硬化したことを受けて、前記グラウト材が内部に充填された前記注入管の頭部側から、前記第1の深さよりも深い第2の深さまで前記地盤の削孔を行う二次削孔工程と、
    前記二次削孔工程の後に実施され、前記注入管の前記頭部から前記グラウト材を注入する二次注入工程と、
    を有し、
    前記挿入工程は、前記二次注入工程の後に実施されることを特徴とする既設構造物の補修・補強方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の既設構造物の補修・補強方法において、
    前記注入管の前記頭部にキャップを装着する工程と、
    前記補強材の端部に締結部材を取り付け、前記締結部材を締め付け固定する工程と、
    をさらに有することを特徴とする既設構造物の補修・補強方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の既設構造物の補修・補強方法において、
    前記既設構造物の表面に覆工構造物を設けて、前記注入管の前記頭部を前記覆工構造物に埋め込む工程と、
    前記覆工構造物から突出する前記補強材の端部に締結部材を取り付け、前記締結部材を締め付け固定する工程と、
    をさらに有することを特徴とする既設構造物の補修・補強方法。
  5. 請求項4に記載の既設構造物の補修・補強方法において、
    前記覆工構造物は、モルタル又はセメントの吹き付けにより前記既設構造物の表面に生成されることを特徴とする既設構造物の補修・補強方法。
  6. 請求項1に記載の既設構造物の補修・補強方法において、
    前記注入管は、前記グラウト材の逆流を防止する逆止弁を有することを特徴とする既設構造物の補修・補強方法。
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