JP2013124217A - 再生原料の製造方法、窒化物結晶の製造方法および窒化物結晶 - Google Patents

再生原料の製造方法、窒化物結晶の製造方法および窒化物結晶 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、アモノサーマル法により窒化物結晶を製造する際に用いた原料の再利用法を検討することにより、原料を効率良く利用し、製造コストを抑えうるようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明は、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶を成長した後の残原料に再生処理を施すことにより再生原料を製造することを特徴とする、再生原料の製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アモノサーマル法により窒化物結晶を成長させた後に残る原料を再生して再生原料を製造する方法に関する。また、本発明は該再生原料を利用した窒化物結晶の製造方法と、その製造方法により製造した窒化物結晶にも関する。
アモノサーマル法は、超臨界状態および/または亜臨界状態にあるアンモニアなどの窒素を含有する溶媒を用いて、原料の溶解−析出反応を利用して所望の窒化物結晶を製造する方法である。結晶成長へ適用するときは、アンモニアなどの窒素を含有する溶媒への原料溶解度の温度依存性を利用して温度差により過飽和状態を発生させて結晶を析出させる。具体的には、オートクレーブなどの耐圧性容器内に設けられた反応容器に原料やシードを入れて密閉し、ヒーター等で加熱することにより反応容器内に高温域と低温域を形成し、その一方において原料を溶解し、他方において結晶を成長することにより、所望の窒化物結晶を製造することができる。
アモノサーマル法では、製造しようとしている窒化物結晶と同種の窒化物結晶を原料として用いる。例えばGaN結晶を製造しようとするときは、多結晶や単結晶のGaN結晶を原料として使用する。原料として用いた窒化物結晶は、アモノサーマル法による結晶製造を行った後は鉱化剤や水や酸素等が付着しており、目視でも分かる程度に汚染されている。このような原料を、そのまま次のアモノサーマル法による窒化物結晶の原料として使用すると、原料に付着している水や酸素等が反応容器内に放出されて窒化物結晶の成長に悪影響を及ぼしたり、原料に付着している鉱化剤によって反応容器内の鉱化剤の濃度バランスを崩したりする等の弊害が生じる。このため、一度アモノサーマル法による結晶製造に用いた原料は、再利用されずに破棄されている。
一方、アモノサーマル法で用いるGaN結晶などの原料は高価であることから、アモノサーマル法を行うときには原料コストを抑えるために必要最低限の原料を反応容器内に仕込んで結晶を成長させている。しかしながら、アモノサーマル法による厳密な反応制御は極めて困難であり、原料の使用量を抑えすぎると、原料が溶解しきってしまい、結晶成長が停止する、または成長させた結晶が溶解してしまうことがあり、問題となった。一方、余裕をもって原料を使用すると高価な原料が多く残留してしまうという問題があった。
そこで発明者は、アモノサーマル法により窒化物結晶を製造する際に用いた原料の再利用法を検討することにより、原料を効率良く利用し、製造コストを抑えうるようにすることを目的として鋭意検討を重ねた。
本発明者らが分析と検討を行った結果、アモノサーマル法による結晶製造を行った後の原料の結晶表面には不純物や皮膜が存在しており、それらが次のアモノサーマル法で製造される結晶の品質に影響を与えていることが分かった。このような不純物を適切な方法により除去したうえで再生原料を用いると、意外なことに新規の原料を用いる場合よりも再生原料を用いて得られた結晶の方が着色が少なくなることが判明した。本発明は、このような知見に基づいて提供されたものであり、以下の構成を有する発明を含むものである。
[1] 反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶を成長した後の残原料に再生処理を施すことにより再生原料を製造することを特徴とする、再生原料の製造方法。
[2] 前記残原料を酸を含むエッチング液を用いてエッチングする、[1]に記載の再生原料の製造方法。
[3] 前記残原料を塩基を含むエッチング液を用いてエッチングする、[1]または[2]に記載の再生原料の製造方法。
[4] 前記残原料を溶剤を用いて処理する、[1]〜[3]のいずれかに記載の再生原料の製造方法。
[5] 前記残原料を水を用いて処理する、[1]〜[4]のいずれかに記載の再生原料の製造方法。
[6] 前記残原料を40℃以上のエッチング液、溶剤または水で処理する、[2]〜[5]のいずれかに記載の再生原料の製造方法。
[7] 前記残原料に超音波をあてて再生処理を施す、[2]〜[6]のいずれかに記載の再生原料の製造方法。
[8] 前記再生原料の長径が0.5mm以上である、[1]〜[7]のいずれかに記載の再生原料の製造方法。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の再生原料の製造方法により得られた再生原料を含む原料を反応容器内に仕込んで、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶を成長させることを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
[10] 前記再生原料の混合割合が原料全体の5〜100重量%である、[9]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[11] 反応容器内に原料を仕込んで、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶成長を行う1次成長工程と、該1次成長工程後に反応容器中に残存した残原料を回収する回収工程をさらに含み、該回収工程により回収した残原料に対して前記再生処理を行う、[9]または[10]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[12] [9]〜[11]のいずれかに記載の製造方法により製造した窒化物結晶。
本発明によれば、アモノサーマル法による窒化物結晶の製造に用いる原料の利用効率を上げ、製造コストを抑えることができる。また、また、本発明によれば、着色が抑えられており、不純物濃度が低い高品質な窒化物結晶を効率良く製造することができる。
本発明で用いることができるアモノサーマル法による結晶製造装置の模式図である。
以下において、本発明の再生原料の製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[原料の再生方法]
(特徴)
本発明の再生原料の製造方法は、アモノサーマル法のように反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶を成長した後の残原料に再生処理を施すことにより再生原料を製造する工程を含むことを特徴とする。
本発明の再生原料の製造方法において行う再生処理は、残原料に付着している不純物濃度を減少させ、次のアモノサーマル法による窒化物結晶成長用の原料として用いたときに品質がより良好な結晶を成長させることができるようにする処理である。なお、本発明でいう「残原料」には、アモノサーマル法により窒化物結晶を成長した後に反応容器内において、使用し尽くされずに残存している仕込み原料と自発核成長した多結晶が少なくとも含まれる。
(再生処理に用いる液)
本発明の再生処理に使用することができる液について、例を挙げて具体的に説明する。これらの液は、単独で用いてもよいし、複数種を用いてもよい。以下に挙げた各種液で処理することにより再生処理を施すことができるが、本明細書において各種液で「処理する」とは、各種液と残原料を接触させることを意味しており、その結果、残原料をエッチングしたり、洗浄したりすることを含む。
再生処理に用いる液として好ましいのは、下記の(1)〜(4)のうちの複数種を選択して用いる場合であり、より好ましくは(1)〜(3)のすべてを選択して用いる場合と(1)および(3)を選択して用いる場合であり、さらに好ましくは(1)〜(3)のすべてを選択して用いる場合である。
(1)酸または塩基を含むエッチング液
再生処理として、残原料を、酸を含むエッチング液および塩基を含むエッチング液の少なくとも一方を用いてエッチングすることができる。
酸を含むエッチング液としては、塩酸、硝酸、硫酸、しゅう酸、フッ酸、酢酸、王水、燐酸、過酸化水素、これらの混酸などを挙げることができる。これらの中では、塩酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、これらの混酸がより好ましく、塩酸、硫酸、これらと過酸化水素の混酸がさらに好ましい。酸の濃度が高いほど洗浄効果が高くなるため好ましい。具体的には、酸の濃度は1重量%以上にすることが好ましく、5重量%以上にすることがより好ましく、10重量%以上にすることがさらに好ましく、また、99.9重量%以下にすることが好ましい。酸を含むエッチング液を用いてエッチングすることによって、残原料の表面に付着した鉱化剤や中間体、金属汚染、有機物汚染を除去することが可能である。ここでいう中間体とは、原料と鉱化剤が物理的にもしくは化学的に結びついた状態のものを意味する。酸を含むエッチング液でエッチングすることにより、エッチング液は鉱化剤の種類によっては褐色などに着色する。
塩基を含むエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができる。これらの中では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがより好ましく、水酸化カリウムがさらに好ましい。塩基の濃度が高いほど洗浄効果が高くなるため好ましい。例えば水酸化カリウムの濃度は1重量%以上にすることが好ましく、10重量%以上にすることがより好ましく、20重量%以上にすることがさらに好ましく、また、50重量%以下にすることが好ましい。塩基を含むエッチング液を用いてエッチングすることによって、残原料の表面に付着したパーティクルを除去することが可能である。原料として窒化ガリウムを用いた場合は、原料の表面がエッチング液に溶解するため、残原料の表面に付着した鉱化剤、中間体、金属汚染、有機物汚染、パーティクルなどあらゆる汚染を除去することが可能である。窒化ガリウムが塩基を含むエッチング液に溶解するとアンモニア臭が発生する。
エッチング液の温度は、効率良くエッチングを行える温度に設定する。通常は、室温(25℃)以上とし、40℃以上にすることが好ましく、50℃以上にすることがより好ましく、60℃以上にすることがさらに好ましい。上限値は用いる溶液の沸点以下にすることが好ましく、例えば48重量%の水酸化カリウムの場合、140℃以下(48重量%KOH水溶液の沸点)にすることができる。
エッチングの具体的な態様は特に制限されず、通常のエッチング法を適宜選択して本発明に適用することができる。例えば、エッチング液を入れた槽の中に残原料を浸漬する方法、残原料をエッチング液流の中に設置する方法、エッチング液を入れた槽の中に残原料を浸漬して超音波を加える方法、エッチング液中に浸漬した残原料を搖動させる方法などを挙げることができる。好ましいのは、洗浄力が高く、設備導入コストや洗浄コストを抑えるという点で、エッチング液を入れた槽の中に残原料を浸漬して超音波を加える方法である。エッチングの時間は、30秒以上であることが好ましく、1分以上であることがより好ましく、5分以上であることがさらに好ましく、また、100時間以内であることが好ましく、75時間以内であることがより好ましく、50時間以内であることがさらに好ましい。
酸を含むエッチング液と塩基を含むエッチング液は、いずれか一方のみを用いてもよいし、両方を順次用いてもよい。また、異なる種類の酸を含むエッチング液を複数種用意して使用してもよいし、異なる種類の塩基を含むエッチング液を複数種用意して使用してもよい。また、それぞれのエッチング液は、本発明において1回のみ使用してもよいし、異なるタイミングで複数回使用してもよい。好ましいのは、酸洗浄後の残渣を除去し、酸を中和し、原料の表面を親水性にするために、酸を含むエッチング液で洗浄した後に塩基を含むエッチング液で洗浄して再生処理を行う場合である。
(2)溶剤
再生処理は、残原料に付着している不純物の少なくとも一部を溶解させることができる溶剤を用いて行うことができる。溶剤による再生処理を行うことによって、残原料の表面に付着している有機物汚染を中心に除去することが可能である。また、(1)や(3)などで洗浄した後に、再生原料をすばやく乾燥させることができる。
溶剤として、アセトン;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、などのアルコール;クロロホルム、トルエン、ガソリン等を用いることが可能であり、なかでもアセトン、メタノール、エタノール、イロプロピルアルコール、トルエンを用いることが好ましく、アセトン、メタノール、エタノール、イロプロピルアルコールを用いることがより好ましい。
再生処理では、1種類の溶剤だけを単独で用いてもよいし、複数の溶剤を混合して用いてもよい。本発明の再生処理では、異なる種類の溶剤や混合溶剤を複数種用意して使用してもよい。また、それぞれの溶剤や混合溶剤は、本発明において1回のみ使用してもよいし、異なるタイミングで複数回使用してもよい。洗浄コストを抑えるためには、1種類の溶剤だけを単独で使用して、再生処理を行う場合が好ましい。
溶剤の具体的な使用態様は特に制限されず、例えば上記のエッチング法において例示した態様を採用することが可能である。また、溶剤の温度についても、上記のエッチング法において記載した温度範囲を採用することができるが、溶剤の沸点以下の温度を採用することが好ましい。溶剤による処理時間は、30秒以上であることが好ましく、1分以上であることがより好ましく、5分以上であることがさらに好ましく、また、20時間以内であることが好ましく、10時間以内であることがより好ましく、5時間以内であることがさらに好ましい。
(3)水
再生処理は、水を用いる工程を含むことができる。水を用いて処理することにより、残原料表面に付着している水溶性の不純物を中心に除去することができる。ここでいう不純物は、必ずしもアモノサーマル法による結晶成長後の残原料表面に付着している不純物に限られず、再生処理中に用いられる酸や塩基や溶剤なども含まれる。
再生処理に用いる水は、純度が高い純水であることが好ましい。水の純度は比抵抗や導電率(比抵抗の逆数)で表される。ここでいう純水は、導電率が1μS/cm以下であるものを意味する。再生処理に用いる水の導電率は0.5μS/cm以下であるものがより好ましく、0.1μS/cm以下であるものがさらに好ましい。
水の使用態様は特に制限されず、例えば上記のエッチング法において例示した態様を採用することが可能である。また、水の温度についても、上記のエッチング法において記載した温度範囲を採用することができるが、水の沸点以下の温度を採用することが好ましい。水による処理時間は、
30秒以上であることが好ましく、1分以上であることがより好ましく、5分以上であることがさらに好ましく、また、10時間以内であることが好ましく、5時間以内であることがより好ましく、1時間以内であることがさらに好ましい。
(4)その他の液
再生処理に用いることができる上記以外の液として、界面活性剤を含んだ液、工業用洗浄剤として市販されている炭化水素系洗浄剤などを挙げることもできる。
(再生処理時の付加態様)
上記の液を用いた再生処理時には、例えば超音波処理、揺動、攪拌、液循環、濾過などを付加することが可能である。これらの態様を付加することによって、エッチング効果や洗浄効果をより高めることができる。
(A)超音波処理
超音波処理は、残原料に超音波をあてながら液と接触させることにより行うことができる。超音波処理の条件としては、通常の超音波洗浄に用いられる条件を適宜選択して採用することができる。超音波の周波数は、通常は5kHz以上とし、10kHz以上とすることが好ましく、15kHz以上とすることがより好ましく、また、通常は1000kHz以下とし、500kHz以下とすることが好ましく、250kHz以下とすることがより好ましい。超音波の条件は、処理中は一定に維持してもよいし、変化させてもよい。超音波処理の条件を変化させることによって、より効率良く不純物を除去できる場合もある。超音波処理は、残原料を上記のエッチング液と接触させながら行えば、より効率よく洗浄することができる。超音波処理は、残原料を溶剤や水と接触させながら行うことも好ましい。
(B)揺動
揺動は、残原料に振動を与えるものである。揺動は、残原料をカゴなどの容器に入れて容器を振動させることにより好ましく行うことができる。このとき、残原料をピンチなどの固定具に固定して揺動することも可能であるが、固定具との接触部分が液に接触せずに再生処理にムラが生じる危険性があるため、そのような弊害が無視できない場合は容器を用いることが好ましい。容器を振動させることによって、容器内で残原料は位置や向きを変えながら全表面を液に接触させることができる。揺動の振動数は特に制限されないが、通常は0.001m/秒以上とし、0.005m/秒以上とすることが好ましく、0.01m/秒以上とすることがより好ましく、また、通常は2m/秒以下とし、1m/秒以下とすることが好ましく、0.5m/秒以下とすることがより好ましい。
(C)攪拌
攪拌は、残原料に接触する液に対して行う。例えば、液が入った槽内に残原料を浸漬し、槽内の液を攪拌することができる。攪拌は通常の攪拌手段により行うことができる。例えば、攪拌棒や攪拌羽根のように液中を移動する手段を用いて攪拌したり、槽を回転させる手段を用いて攪拌したりすることができる。攪拌する場合は、残原料に接触する液の流速が0.001m/秒以上となるように制御することが好ましく、0.005m/秒以上となるように制御することがより好ましく、0.01m/秒以上となるように制御することがさらに好ましく、また、5m/秒以下となるように制御することが好ましく、2m/秒以下となるように制御することがより好ましく、1m/秒以下となるように制御することがさらに好ましい。
(D)液循環
液循環は、残原料に接触する液を循環させるものである。例えば、液が循環する循環流路の途中に残原料をカゴなどの容器に入れて設置する態様を挙げることができる。液の循環は、ポンプなどの循環駆動手段により行うことができる。循環速度は、残原料に接触する液の流速が、上記の攪拌の説明において記載した好ましい流速となるように制御することが好ましい。液循環を採用すれば、液の循環を止めることなく循環系内に液を注入したり循環系外へ液を排出したりすることが可能である。例えば、液の不純物濃度が一定のレベルを超えたら、一部の液を排出して新しい液を注入することにより、液の不純物濃度を下げることができる。
(E)濾過
濾過は、残原料に接触する液をフィルターに通すことにより液中に含まれている固形物を除去するものである。このような濾過は、残原料に接触させた後の液に対して行うことが好ましい。特に、液循環を採用している場合に、循環経路の中にフィルターを設置しておけば、容易に濾過を行うことができる。濾過によって、少なくとも粒径が200nm以上の固形物を除去することが好ましく、100nm以上の固形物を除去することがより好ましく、50nm以上の固形物を除去することがさらに好ましい。
(F)その他の付加態様
再生処理時に付加することができる上記以外の態様として、例えば振動なども挙げることができる。
(再生処理の手順)
本発明の再生処理では、複数種の液を用いて残原料を処理することが好ましい。このため、様々な手順により残原料を処理することができる。
好ましいのは、酸を含むエッチング液、塩基を含むエッチング液、水、溶剤の4種を少なくとも1度は用いる手順である。以下に、各種の液により処理を行う工程を、用いる液の種類ごとに各ステップとして表記して説明する。
このとき、水を用いるステップは、エッチング液を用いる複数のステップの間に洗浄ステップとして挿入することが好ましい。また、エッチング液を用いたステップは再生処理の初期に行うことが好ましい。また、溶剤を用いたステップは再生処理工程の最後に行うことが好ましい。
好ましい再生処理の手順の具体例として、以下の手順を例示することができる。
手順1:酸を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 塩基を含む エッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 酸を含むエッチング
液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 溶剤を用いたステップ
手順2:塩基を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 酸を含む
エッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 塩基を含むエッチン
グ液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 溶剤を用いたステップ
手順3:酸を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 塩基を含む
エッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 酸を含むエッチング
液を用いたステップ → 水を用いたステップ
手順4:塩基を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 酸を含む
エッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 塩基を含むエッチン
グ液を用いたステップ → 水を用いたステップ
手順5:酸を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 塩基を含む
エッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 溶剤を用いたステッ

手順6:酸を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 塩基を含む
エッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ
手順7:塩基を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 酸を含む
エッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 溶剤を用いたステッ

手順8:塩基を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 酸を含む
エッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ
手順9:酸を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ → 溶剤を用い
たステップ
手順10:酸を含むエッチング液を用いたステップ → 水を用いたステップ
上記の手順の中では、手順1、3、5、6、7、8、9、10が好ましく、手順1、3、5、6、9、10がより好ましい。
(乾燥)
残原料をエッチング液、水、溶剤などの液を用いて処理した後は、残原料を乾燥することが好ましい。乾燥は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
乾燥は、加熱しながら行うことが好ましい。乾燥温度は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。上限は例えば1000℃以下にすることができる。乾燥時間は1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましく、上限は例えば500時間以内にすることができる。加熱は、例えばオーブン中で行ったり、熱風をあてることにより行ったりすることができる。乾燥中の汚れの付着を防ぐために、HEPAフィルターにより発塵が抑制されたクリーンオーブン中で行うことが好ましい。
乾燥は、真空下で行うことも可能であり、そのような真空脱気乾燥も好ましい。
乾燥した残原料は、再生原料として保管する。保管は、水分や汚れが再付着しないように、クリーンボックス内にて行うことが好ましい。クリーンボックス内は、例えば乾燥窒素で充満されたものを採用することが好ましい。
(再生処理を行う残原料)
本発明の再生処理を行う残原料は、アモノサーマル法により窒化物結晶を成長した後に残っている原料である。アモノサーマル法では、成長させようとしている窒化物結晶と同種の窒化物結晶の単結晶や多結晶を原料として使用する。本発明では、特にIII族窒化物結晶に対して好ましく適用することができ、窒化物結晶の種類としては、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、AllnGaNなどを挙げることができる。好ましいのはGaN、AlN、AlGaN、AllnGaNであり、より好ましいのはGaNである。
アモノサーマル法による窒化物結晶の成長に先立って、反応容器内には通常は塊状の原料を仕込む。この塊状の原料はアモノサーマル法による結晶成長中に徐々に溶解してサイズが小さくなり、成長終了後は小さな塊状体として残存するか、完全に溶解する。本発明の再生処理の対象物は、このようにして残存する小さな塊状体の残結晶を少なくとも含むことが好ましい。また、本発明では、アモノサーマル法による結晶成長中に発生する自発核結晶に対して再生処理を行うこともできる。このため、結晶成長後の反応容器内に残存している仕込み原料と自発核結晶を区別なく回収して、これらを残原料として本発明の再生処理の対象物とすることができる。
このようにして回収される残原料は、通常は表面が不純物で汚染されている。例えば、GaN結晶であれば、表面が白色粉末で汚染されて白色を帯びていることが多い。これは、鉱化剤由来の成分や水分が付着しているためである。また、回収される残原料は、角が取れて丸みを帯びているのが一般的である。ただし、本発明の再生処理の対象となる残原料は、このような外形上の特徴を有するものに限定されず、幅広い回収結晶を対象とすることができる。
(再生処理による残原料の変化)
本発明の再生処理を行うことによって、残原料の表面に目視で確認できる白色粉末などの汚染物質は除去される。白色粉末の汚染物質は鉱化剤などから構成されるものと考えられるが、鉱化剤に由来する汚染物質に限定されるものではなく、広く汚染物質は除去される。また、本発明の再生処理を行うことによって、一段と角がとれて丸みを帯びるのが一般的である。
本発明の再生処理は、アモノサーマル法による窒化物結晶の成長を行うたびに何度でも実施することが可能である。最初の窒化物結晶の成長を行う前に仕込んだ原料は、アモノサーマル法による窒化物結晶の成長を行って本発明の再生処理を行うたびにサイズが小さくなるため、窒化物結晶の成長で再生原料を用いると原料溶解領域(充填領域)における原料の嵩密度を最初の窒化物結晶の成長時よりも高くすることができ、原料溶解領域への原料の充填量を増やすことができる。これにより、同じサイズの反応容器を用いた場合、再生原料を使用した方がより長期間の結晶成長が可能となる。また、再生原料と未使用の多結晶などの塊状窒化物結晶を混ぜることで任意の嵩密度に調整することも可能である。
本発明の再生処理後に得られる再生原料のサイズは、長径が0.5μm以上であるものが好ましく、1μm以上であるものがより好ましく、10μm以上であるものがさらに好ましい。上限値については特に制限されないが、例えば直径が60mm程度の反応容器を用いる場合は長径を50mm以下とすることができる。
本発明の再生処理後に得られる再生原料の嵩密度は、0.8g/cm3以上にすることが好ましく、0.9g/cm3以上にすることがより好ましく、1.0g/cm3以上にすることがさらに好ましく、1.1g/cm3以上にすることがさらに好ましく、1.9g/cm3以上にすることが特に好ましい。また、4.0g/cm3以下にすることが好ましく、3.6g/cm3以下にすることがより好ましく、3.2g/cm3以下にすることがさらに好ましく、3.0g/cm3以下にすることが特に好ましい。再生原料の「嵩密度」は、適当な容器に再生原料を充填し、充填した再生原料の単位体積あたりの重量を意味し、充填した再生原料の重量を該容器の容積で除することにより求めることができる。
上述の通り、本発明の再生処理を行うことによって、一段と角がとれて丸みを帯びる形状となることからより嵩密度の高い原料を得ることが可能になる。嵩密度が高い再生原料を用いることにより、結晶成長の際に反応容器内に仕込める原料の総量が増加し、より長時間の結晶成長が可能となるため好ましい。一方で、原料溶解領域における嵩密度を高くしすぎると、溶媒の対流が阻害されて原料の溶解速度が低下することがあるため、上記の範囲とすることが好ましい。
[窒化物結晶の製造方法]
(特徴)
本発明の窒化物結晶の製造方法は、上記の再生処理を行うことにより得られた再生原料を反応容器内に仕込んで、アモノサーマル法のような反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶を成長させることを特徴とする。本発明の製造方法では、本発明の再生方法により得られた再生原料を用いるものであれば、その他の条件は特に制限されず、通常用いられている条件を適宜選択して採用することができる。
本発明の製造方法にしたがって、本発明の再生方法により得られた再生原料を用いてアモノサーマル法を行うと、得られる窒化物結晶の着色が大幅に抑えられる。すなわち、本発明の再生原料を用いずにHVPE法などで得られる通常の原料を用いてアモノサーマル法を行うことにより得られた窒化物結晶よりも、さらに着色が小さい窒化物結晶を得ることができる。本発明の再生原料を用いて成長させた窒化物結晶は、特に種結晶と成長した領域の界面部分(成長開始部分)の着色が抑えられており、着色領域の幅も狭くなる。また、本発明の製造方法により得られる窒化物結晶は、結晶性が高くて、不純物濃度が低い。このように、本発明の製造方法によれば、高品質な窒化物結晶を製造することができる。いかなる理論にも拘泥するものではないが、本発明の再生原料を用いることによって高品質な窒化物結晶が得られるのは、再生原料となる結晶がアモノサーマル法実施中に超臨界状態または亜臨界状態の溶媒中においてメルトバックされ、それによってHVPE法などの原料製造工程中に付着した不純物(例えば反応容器中の部材を構成するカーボンなど)が除去されるためであると考えられる。結晶表面のメルトバックでは、結晶品質が悪い部分が優先して除去されるため、結果的に純度が向上した再生原料が得られているものと考えられる。
典型的な窒化物結晶の製造方法は、(1)反応容器内に原料を仕込んでアモノサーマル法により窒化物結晶成長を行う1次成長工程、(2)該1次成長工程後に反応容器中に残存した残原料を回収する回収工程、(3)該残原料に本発明の再生方法(再生処理)を行い再生原料を得る原料再生工程、および、(4)該再生原料を用いて反応容器内にてアモノサーマル法により窒化物結晶成長を行う2次成長工程をこの順に含む。従来は、1次成長工程終了後に反応容器中に残存した残原料は再利用されずに破棄されていたが、本発明によれば原料再生工程によって再生された原料を2次成長工程において有効に再利用することができる。また、従来は高価な原料を無駄にしないために、必要最小限の原料を仕込んで窒化物結晶を製造していたため、場合によっては反応中に原料が溶解しきって結晶成長が停止してしまう事態を招いていたが、原料の再利用ができる本発明によれば、1次成長工程において十分な量の原料をコストを気にすることなく仕込むことが可能である。したがって、本発明によれば1次成長工程中の反応停止を懸念することなく、低コストで効率良く高品質な窒化物結晶を製造することができる。
(原料)
アモノサーマル法による窒化物結晶の成長を開始する前に反応容器中に仕込む原料のうち、本発明の再生方法(再生処理)を行うことにより得られた再生原料の割合は、1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることがさらに好ましく、100重量%とすることも可能である。本発明の再生方法(再生処理)により得られた再生原料と他の原料を併用する場合は、他の原料として例えばHVPE法などの気相法で得られる原料、ナトリウムフラックス法やソルボサーマル法で得られる原料を使用することができる。本発明の再生方法(再生処理)により得られた再生原料と他の原料を併用すれば、成長バッチ間の原料品質のばらつきを抑えることができるという利点があり、一方、本発明の再生方法(再生処理)により得られた再生原料を100重量%用いれば、より高品質の結晶が得られるという利点がある。
(アモノサーマル法)
以下において、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶を成長させる方法としてアモノサーマル法を用いて窒化物結晶を製造する方法について詳しく説明するが、本発明で採用することができるアモノサーマル法による窒化物結晶の成長工程はこれに限定されるものではない。
1)鉱化剤の使用
アモノサーマル法に用いる鉱化剤の使用量は、鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度が0.1mol%以上となるようにすることが好ましく、0.3mol%以上となるようにすることがより好ましく、0.5mol%以上となるようにすることがさらに好ましい。また、鉱化剤に含まれるハロゲン元素の溶媒に対するモル濃度は30mol%以下となるようにすることが好ましく、20mol%以下となるようにすることがより好ましく、10mol%以下となるようにすることがさらに好ましい。濃度が低すぎる場合、溶解度が低下し成長速度が低下する傾向がある。一方濃度が濃すぎる場合、溶解度が高くなりすぎて自発核発生が増加したり、過飽和度が大きくなりすぎたりするため制御が困難になるなどの傾向がある。
2)溶媒
アモノサーマル法に用いられる溶媒としては、窒素を含有する溶媒を用いることができる。窒素を含有する溶媒としては、成長させる窒化物結晶の安定性を損なうことのない溶媒が挙げられる。前記溶媒としては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、尿素、アミン類(例えば、メチルアミンのような第1級アミン、ジメチルアミンのような第二級アミン、トリメチルアミンのような第三級アミン、エチレンジアミンのようなジアミン)、メラミン等を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
溶媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少ないことが望ましく、これらの含有量は1000ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以下であることがさらに好ましい。アンモニアを溶媒として用いる場合、その純度は通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上であり、さらに好ましくは99.999%以上であり、特に好ましくは99.9999%以上である。
3)原料
原料としては、シード上に成長させようとしている窒化物結晶を構成する元素を含む原料を用いる。好ましくは窒化物結晶の結晶原料及び/又は窒化使用とする金属であり、より好ましくは窒化ガリウム多結晶、単結晶及び/又は金属ガリウムである。結晶原料は、完全な窒化物である必要はなく、条件によってはIII族元素がメタルの状態(ゼロ価)である金属成分を含有してもよく、例えば、結晶が窒化ガリウムである場合には、窒化ガリウム多結晶および/または単結晶と金属ガリウムの混合物が挙げられる。
前記多結晶原料の製造方法は、特に制限されない。例えば、アンモニアガスを流通させた反応容器内で、金属又はその酸化物もしくは水酸化物をアンモニアと反応させることにより生成した窒化物多結晶を用いることができる。また、より反応性の高い金属化合物原料として、ハロゲン化物、アミド化合物、イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M−N結合を有する化合物などを用いることができる。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒素と反応させて作製した窒化物多結晶を用いることもできる。
本発明において原料として用いる多結晶原料に含まれる水や酸素の量は、少ないことが好ましい。多結晶原料中の酸素含有量は、通常10000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。多結晶原料への酸素の混入のしやすさは、水分との反応性又は吸収能と関係がある。多結晶原料の結晶性が悪いほど表面にNH基などの活性基が多く存在し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化物が生成する可能性がある。このため、多結晶原料としては、通常、できるだけ結晶性が高い物を使用することが好ましい。結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積もることができ、(100)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムでは2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ましくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下である。
4)反応容器
アモノサーマル法は、反応容器中で実施することができる。
前記反応容器は、窒化物結晶を成長させるときの高温高圧条件に耐え得るもの中から選択することができる。前記反応容器としては、特表2003−511326号公報(国際公開第01/024921号パンフレット)や特表2007−509507号公報(国際公開第2005/043638号パンフレット)に記載されるように反応容器の外から反応容器とその内容物にかける圧力を調整する機構を備えたものであってもよいし、そのような機構を有さないオートクレーブであってもよい。
前記反応容器は、耐圧性と耐食性を有する材料で構成されているものが好ましく、特にアンモニア等の溶媒に対する耐食性に優れたNi系の合金、ステライト(デロロ・ステライト・カンパニー・インコーポレーテッドの登録商標)等のCo系合金を用いることが好ましい。より好ましくはNi系の合金であり、具体的には、Inconel625(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標、以下同じ)、Nimonic90(Nimonicはスペシャル メタルズ ウィギン リミテッドの登録商標、以下同じ)、RENE41(Teledyne Allvac, Incの登録商標)、Inconel718(Inconelはハンティントン アロイズ カナダ リミテッドの登録商標)、ハステロイ(Haynes International,Incの登録商標)、ワスパロイ(United Technologies,Inc.の登録商標)が挙げられる。
これらの合金の組成比率は、系内の溶媒の温度や圧力条件、及び系内に含まれる鉱化剤及びそれらの反応物との反応性及び/又は酸化力・還元力、pHの条件に従い、適宜選択すればよい。これら耐圧性に特に優れる合金は、耐食性は高いとはいえ、結晶品質に影響を全く及ぼさないほどに高い耐食性を有しているわけではない。これら合金は超臨界溶媒雰囲気、特に鉱化剤を含有するより厳しい腐食環境下においてはNi、Cr、Feなどの成分が溶液中に溶け出し結晶中に取り込まれることとなる。したがって本発明では、これら耐圧性容器の内面腐食を抑制するために、内面を更に耐腐食性に優れる材料によって直接ライニングまたはコーティングする方法や、更に耐腐食性に優れる材料からなるカプセルを耐圧性容器内に配置する方法などにより反応容器を形成することが好ましい。
反応容器を構成する材料としては、白金族や貴金属が挙げられ、具体的にはルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)である。これらの材料は、単独で用いても、複数を組み合わせた合金として用いてもよい。また、本発明の効果を損なわない限り、反応容器を構成する材料としてその他の金属を含んでいてもよい。中でも優れた耐腐食性を有する白金族または白金族を含む合金を用いることが好ましく、より好ましくはPtまたはPtを含む合金であり、さらに好ましくはPtまたはPt−Ir合金である。
反応容器を構成する様態としては、特に限定されないが、耐圧性容器の内面を直接ライニングまたはコーティングする方法では、反応容器内部のアンモニア溶媒に接触し得るすべての表面をライニングまたはコーティングすることが困難であるため、耐腐食性に優れる材料からなるカプセルを耐圧性容器内に配置する方法がより好ましい様態として挙げられる。
反応容器の形状は、円筒形などをはじめとして任意の形状とすることができる。また、反応容器は立設しても横置きにしても斜めに設置して使用してもよい。
窒化物結晶の製造方法に用いることのできる反応容器を含む結晶製造装置の具体例を図1に示す。図1は、本発明で用いることができる結晶製造装置の模式図である。図1に示される結晶製造装置においては、オートクレーブ1中に反応容器として装填されるカプセル20中で結晶成長を行う。カプセル20中は、原料を溶解するための原料溶解領域9と結晶を成長させるための結晶成長領域6から構成されている。原料溶解領域9には原料8とともに溶媒や鉱化剤を入れることができ、結晶成長領域6にはシード7をワイヤーで吊すなどして設置することができる。原料溶解領域9と結晶成長領域6の間には、2つの領域を形成する区画バッフル板5が設置されている。バッフル板5の開孔率は2〜60%であるものが好ましく、3〜40%であるものがより好ましい。バッフル板の表面の材質は、反応容器であるカプセル20の材料と同一であることが好ましい。また、より耐食性を持たせ、成長させる結晶を高純度化するために、バッフル板の表面は、Ni、Ta、W、Mo、Ti、Nb、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることが好ましく、Pd、Pt、Au、Ir、pBNであることがより好ましく、Ptであることが特に好ましい。図1に示される結晶製造装置では、オートクレーブ1の内壁とカプセル20の間の空隙には、第2溶媒を充填することができるようになっている。ここには、バルブ10を介して窒素ボンベ13から窒素ガスを充填したり、アンモニアボンベ12からマスフローメーター14で流量を確認したりしながら第2溶媒としてアンモニアを充填することができる。また、真空ポンプ11により必要な減圧を行うこともできる。なお、窒化物結晶の製造方法を実施する際に用いる結晶製造装置には、バルブ、マスフローメーター、導管は必ずしも設置されていなくてもよい。
前記オートクレーブにより耐食性を持たせるためにライニングを使用することもできる。ライニングする材料として、Pt、Ir、Ag、Pd、Rh、Cu、Au及びCのうち少なくとも一種類以上の金属又は元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金又は化合物であることが好ましく、より好ましくは、ライニングがしやすいという理由でPt,Ag、Cu及びCのうち少なくとも一種類以上の金属又は元素、もしくは、少なくとも一種類以上の金属を含む合金又は化合物である。例えば、Pt単体、Pt−Ir合金、Ag単体、Cu単体やグラファイトなどが挙げられる。
5)製造工程
アモノサーマル法による窒化物結晶の成長手順について説明する。まず、反応容器内に、シード、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止する。これらを反応容器内に導入するのに先だって、反応容器内は脱気しておいてもよい。また、材料の導入時には、窒素ガスなどの不活性ガスを流通させてもよい。反応容器内へのシードの装填は、通常は、原料及び鉱化剤を充填する際に同時又は充填後に装填する。シードは、反応容器内表面を構成する貴金属と同様の貴金属製の治具に固定することが好ましい。装填後には、必要に応じて加熱脱気をしてもよい。
図1に示す製造装置を用いる場合は、反応容器であるカプセル20内にシード、窒素を含有する溶媒、原料、及び鉱化剤を入れて封止した後に、カプセル20を耐圧性容器(オートクレーブ)1内に装填し、好ましくは耐圧性容器と該反応容器の間の空隙に第2溶媒を充填して耐圧性容器を密閉する。
その後、全体を加熱して反応容器内を超臨界状態および/または亜臨界状態とする。超臨界状態では一般的には、粘度が低く、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同様の溶媒和力を有する。亜臨界状態とは、臨界温度近傍で臨界密度とほぼ等しい密度を有する液体の状態を意味する。例えば、原料充填部では、超臨界状態として原料を溶解し、結晶成長部では亜臨界状態となるように温度を変化させて超臨界状態と亜臨界状態の原料の溶解度差を利用した結晶成長も可能である。
超臨界状態にする場合、反応混合物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度に保持する。アンモニア溶媒を用いた場合、臨界点は臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaであるが、反応容器の容積に対する充填率が高ければ、臨界温度以下の温度でも圧力は臨界圧力を遥かに越える。本発明において「超臨界状態」とは、このような臨界圧力を越えた状態を含む。反応混合物は、一定の容積の反応容器内に封入されているので、温度上昇は流体の圧力を増大させる。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)及びP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流体は超臨界状態にある。
超臨界条件では、窒化物結晶の十分な成長速度が得られる。反応時間は、特に鉱化剤の反応性及び熱力学的パラメータ、すなわち温度及び圧力の数値に依存する。窒化物結晶の合成中あるいは成長中、反応容器内の圧力は120MPa以上にすることが好ましく、150MPa以上にすることがより好ましく、180MPa以上にすることがさらに好ましい。また、反応容器内の圧力は700MPa以下にすることが好ましく、500MPa以下にすることがより好ましく、350MPa以下にすることがさらに好ましく、300MPa以下にすることが特に好ましい。圧力は、温度及び反応容器の容積に対する溶媒体積の充填率によって適宜決定される。本来、反応容器内の圧力は、温度と充填率によって一義的に決まるものではあるが、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、反応容器内の温度の不均一性、及びフリー容積の存在によって多少異なる。
反応容器内の温度範囲は、下限値が500℃以上であることが好ましく、515℃以上であることがより好ましく、530℃以上であることがさらに好ましい。上限値は、700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましく、630℃以下であることがさらに好ましい。窒化物結晶を製造する際は、反応容器内における原料溶解領域の温度が、結晶成長領域の温度よりも高いことが好ましい。原料溶解領域の温度と結晶成長領域の温度との温度差(|ΔT|)は、結晶品質の維持と自発核発生結晶の制御の観点から、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましく、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましく、60℃以下であることが特に好ましい。反応容器内の最適な温度や圧力は、結晶成長の際に用いる鉱化剤や添加剤の種類や使用量等によって、適宜決定することができる。
前記の反応容器内の温度範囲、圧力範囲を達成するための反応容器への溶媒の注入割合、すなわち充填率は、反応容器のフリー容積、すなわち、反応容器に多結晶原料、及びシードを用いる場合には、シードとそれを設置する構造物の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積、またバッフル板を設置する場合には、さらにそのバッフル板の体積を反応容器の容積から差し引いて残存する容積の溶媒の沸点における液体密度を基準として、通常20〜95%、好ましくは30〜80%、さらに好ましくは40〜70%とする。
反応容器内での窒化物結晶の成長は、熱電対を有する電気炉などを用いて反応容器を加熱昇温することにより、反応容器内をアンモニア等の溶媒の亜臨界状態および/または超臨界状態に保持することにより行われる。加熱の方法、所定の反応温度への昇温速度については特に限定されないが、通常、数時間から数日かけて行われる。必要に応じて、多段の昇温を行ったり、温度域において昇温スピードを変えたりすることもできる。また、部分的に冷却しながら加熱したりすることもできる。
なお、前記の「反応温度」は、反応容器の外面に接するように設けられた熱電対、及び/又は外表面から一定の深さの穴に差し込まれた熱電対によって測定され、反応容器の内部温度へ換算して推定することができる。これら熱電対で測定された温度の平均値をもって平均温度とする。
所定の温度に達した後の反応時間については、窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化剤の種類、製造する結晶の大きさや量によっても異なるが、通常、数時間から数百日とすることができる。反応中、反応温度は一定にしてもよいし、徐々に昇温又は降温させることもできる。また、反応中に原料溶解領域と結晶成長領域との温度差を変化させてもよい。所望の結晶を生成させるための反応時間を経た後、降温させる。降温方法は特に限定されないが、ヒーターの加熱を停止してそのまま炉内に反応容器を設置したまま放冷してもかまわないし、反応容器を電気炉から取り外して空冷してもかまわない。必要であれば、冷媒を用いて急冷することも好適に用いられる。
反応容器外面の温度、あるいは推定される反応容器内部の温度が所定温度以下になった後、反応容器を開栓する。このときの所定温度は特に限定はなく、通常、−80℃〜200℃、好ましくは−33℃〜100℃である。ここで、反応容器に付属したバルブの配管接続口に配管を接続し、水などを満たした容器に通じておき、バルブを開けてもよい。さらに必要に応じて、真空状態にするなどして反応容器内のアンモニア溶媒を十分に除去した後、乾燥し、反応容器の蓋等を開けて生成した窒化物結晶及び未反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出すことができる。
なお、アモノサーマル法により窒化ガリウムを製造する場合、前記以外の材料、製造条件、製造装置、工程の詳細については特開2009−263229号公報を好ましく参照することができる。該公開公報の開示全体を本明細書に引用して援用する。
[窒化物結晶]
本発明の窒化物結晶は、本発明の再生方法(再生処理)により得られた再生原料を用いてアモノサーマル法により成長させた窒化物結晶である。上記のように、本発明の窒化物結晶は着色が抑えられており、特にシードと成長結晶との界面部分の着色が小さく、着色領域の幅が狭い。成長界面の着色は主に酸素濃度に起因しているため、着色が抑えられている本発明の窒化物結晶の酸素濃度は低いものと考えられる。また、本発明の窒化物結晶は、結晶性が高くて、不純物濃度が低いという特徴も有する。
本発明の製造方法にしたがって製造した窒化物結晶は、そのまま使用してもよいし、加工してから使用してもよい。加工する場合は、例えば窒化物結晶の表面の少なくとも一部を除去するなどの加工を施すことができる。加工の手段としては、スライス、研磨、ケミカルエッチング、ドライエッチングなどを挙げることができる。これらの加工の具体的手順は、結晶の加工法として知られているものを適宜選択して用いることができる。
本発明の製造方法にしたがって製造した窒化物結晶は、特定の方向に切断することによって所望の主面を有するウエハ(窒化物結晶基板)とすることが可能である。例えば、本発明の製造方法によって厚くて大口径のM面を有する窒化物結晶を製造した場合は、M面に平行に切り出すことにより、大口径のM面ウエハを得ることができる。また、本発明の製造方法によって大口径の半極性面を有する窒化物結晶を製造した場合は、半極性面に平行に切り出すことにより、大口径の半極性面ウエハを得ることができる。これらのウエハも、高品質であるという特徴を有する。
本発明の製造方法により製造した窒化物結晶や上記のウエハは、デバイス、即ち発光素子や電子デバイスなどの用途に好適に用いられる。本発明の窒化物結晶やウエハが用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、本発明の窒化物結晶やウエハが用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(IGBT)がある。本発明の窒化物結晶やウエハは、高品質であるという特徴を有することから、前記のいずれの用途にも適している。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(原料再生処理)
原料としてHVPE法により得られたGaN多結晶140.9gを反応容器中に仕込み、鉱化剤としてヨウ化アンモニウムを仕込み、アンモニアを充填して平均温度615℃で11日間アモノサーマル法を行うことによりGaN結晶をシード上に成長させた。GaN結晶成長の後に反応容器中に残った原料などのGaN結晶を再利用するため、次の方法で洗浄、エッチングを実施した。
はじめに、原料として仕込んだGaN結晶と反応容器の内壁に自発核成長したGaN結晶を回収した。これらの回収したGaN結晶の表面には白色を帯びた鉱化剤由来の成分や水分が付着して汚れており、形状は角が取れて丸みを帯びて結晶成長前の仕込み時よりも小さくなっていることを目視で確認した。得られた再生原料の嵩密度は3.2g/cm3であった。
次に、回収したGaN結晶を約5重量%に希釈した塩酸水溶液の槽に浸し、超音波をかけながら約1時間、洗浄を行った。洗浄前の塩酸水溶液は透明であったが洗浄後は褐色に着色していた。また、洗浄後のGaN結晶の表面には白みがかった付着物が無くなっていた。このことから、塩酸水溶液洗浄により、GaN結晶に付着していた鉱化剤由来の成分や金属汚染を除去することができたと考えられる。
つづいて、GaN結晶をカゴに入れ、オーバーフローさせた超純水槽(水の導電率0.1μS/cm以下(水の純度は導電率や比抵抗で表します)に浸し、カゴを揺動させながら約10分間すすぎ洗いをして塩酸成分や残渣を取り除いた。
次に、約120℃に加熱した45重量%水酸化カリウム水溶液の槽にGaN結晶を浸し、約12時間、エッチングを行った。エッチング後の水溶液は強いアンモニア臭がしており、GaN結晶表面が水酸化カリウムに溶けたことを確認した。これにより、塩酸洗浄とその後のすすぎ洗いで落ちなかった残渣や付着物を除去することができた。
つづいて、GaN結晶をカゴに入れ、オーバーフローさせた超純水槽に浸し、カゴを揺動させながら約10分間すすぎ洗いをして水酸化カリウム成分や残渣を取り除いた。
次に、37重量%塩酸水溶液の槽にGaN結晶を浸し、超音波をかけながら約1時間、洗浄を行い水酸化カリウムの残渣を取り除いた。このとき、水溶液の色に変化は見られず、鉱化剤由来の成分や金属汚染は十分に除去できたことを確認した。
つづいて、GaN結晶をカゴに入れ、オーバーフローさせた超純水槽に浸し、カゴを揺動させながら約10分間すすぎ洗いをして塩酸成分や残渣を取り除いた。
次に、すすぎ洗いをしたGaN結晶を乾燥するため、はじめに超音波をかけたイソプロピルアルコールの槽にGaN結晶を30分浸して水分を取り除いた。次いで、GaN結晶を約65℃に加熱したオーブンに入れ約3時間、乾燥を行った。乾燥中のオーブン内は乾燥窒素で満たし水分が原料に付着するのを抑制した。乾燥後のGaN結晶は、水分や汚れが再付着しないよう、乾燥窒素で充満されたクリーンボックス内で保管した。
(結晶成長)
RENE41製オートクレーブ1を耐圧性容器として用い、Pt−Ir製カプセル20を反応容器として結晶成長を行った。カプセルへの充填作業は十分に乾燥した窒素雰囲気グローブボックス内にて行った。原料8として上記の原料再生処理で得られたGaN結晶粒子140.93gを秤量し、カプセル下部領域(原料溶解領域9)内に設置した。
次に鉱化剤として十分に乾燥した純度99.999%のNH4Iと純度99.999%のGaF3をカプセル内に投入した。
さらに下部の原料溶解領域9と上部の結晶成長領域6の間に白金製のバッフル板5を設置した。シード7としてHVPE法により成長した六方晶系GaN単結晶のC面ウエハ(30mmx3mmx0.3mm)1枚とM面ウエハ(10mm×20mm×0.3mm)2枚を用いた。これらシード7を直径0.4mmの白金ワイヤーにより白金製シード支持枠に吊るし、カプセル上部の結晶成長領域6に設置した。
つぎにカプセル20の上部にPt−Ir製のキャップをTIG溶接により接続したのち、重量を測定した。キャップ上部に付属したチューブに図1のバルブ10と同様のバルブを接続し、真空ポンプ11に通ずるようバルブを操作し真空脱気した。その後バルブを窒素ボンベ13に通ずるように操作しカプセル内を窒素ガスにてパージを行った。前記真空脱気、窒素パージを5回行った後、真空ポンプに繋いだ状態で加熱をしてカプセル内の水分や付着ガスの脱気を行なった。カプセルを室温まで自然冷却したのちバルブを閉じ、真空状態を維持したままカプセルをドライアイスエタノール溶媒により冷却した。つづいてNH3ボンベ12に通ずるように導管のバルブを操作したのち再びバルブを開け外気に触れることなくNH3を充填した後、再びバルブを閉じた。NH3充填前と充填後の重量の差から充填量を確認した。
つづいてバルブ10が装着されたオートクレーブにカプセルを挿入した後に蓋を閉じ、オートクレーブ1の重量を計測した。次いでオートクレーブに付属したバルブ10を介して導管を真空ポンプ11に通じるように操作し、バルブを開けて真空脱気した。カプセルと同様に窒素ガスパージを複数回行った。その後、真空状態を維持しながらオートクレーブ1をドライアイスエタノール溶媒によって冷却し、一旦バルブ10を閉じた。次いで導管をNH3ボンベ12に通じるように操作した後、再びバルブ10を開け連続して外気に触れることなくNH3をオートクレーブ1に充填した後、再びバルブ10を閉じた。オートクレーブ1の温度を室温に戻し、外表面を十分に乾燥させオートクレーブ1の重量を計測した。NH3充填前の重量との差からNH3の重量を算出し充填量を確認した。
続いてオートクレーブ1を上下に2分割されたヒーターで構成された電気炉内に収納した。オートクレーブ外表面の結晶成長領域6の温度が622℃、原料溶解領域9の温度が605℃(温度差17℃)になるよう44時間かけて昇温し、設定温度に達した後、その温度にて11日間保持した。オートクレーブ内の圧力は213MPaであった。また保持中のオートクレーブ外面制御温度のバラツキは±0.3℃以下であった。
その後、オートクレーブ1の外面の温度が室温に戻るまで自然冷却し、オートクレーブに付属したバルブ10を開放し、オートクレーブ内のNH3を取り除いた。その後オートクレーブ1を計量しNH3の排出を確認した後、オートクレーブの蓋を開け、カプセル20を取り出した。カプセル上部に付属したチューブに穴を開けカプセル内部からNH3を取り除いた。カプセル内部を確認したところ、C面、M面いずれのシード上にも全面に均一に窒化ガリウム結晶が析出していた。以上の工程により、実施例1の窒化ガリウム結晶を取得した。
シード上に成長した各窒化ガリウム結晶をX線回折測定した結果、結晶系は六方晶系であり、立方晶GaNは含まれていないことが確認された。成長厚みと成長日数から成長速度を算出し、m軸、c軸、a軸それぞれの成長方向への成長速度を表1に示した。
<実施例2>
実施例2では、鉱化剤濃度を表1に記載される通りに変更して、上記の実施例1の手順と同様にしてシード上に窒化ガリウム結晶を析出させた。実施例2を実施した後にカプセル内部を確認したところ、いずれのシード上にも全面に均一に窒化ガリウム結晶が析出していた。
シード上に成長した各窒化ガリウム結晶をX線回折測定した結果、結晶系は六方晶系であり、立方晶GaNは含まれていないことが確認された。成長厚みと成長日数から成長速度を算出し、m軸、c軸、a軸それぞれの成長方向への成長速度を表1に示した。
<比較例1>
比較例1では、HVPE法により得られた多結晶GaN粒子に対して実施例1と同じ再生処理を行ったものを原料として使用し、上記の実施例1の手順と同様にしてシード上に窒化ガリウムを析出させた。ここで用いた原料の嵩密度は1.8g/cm3であった。比較例1を実施した後にカプセル内部を確認したところ、いずれのシード上にも全面に均一に窒化ガリウム結晶が析出していた。
結晶の着色を観察した結果、実施例1、2で得られた結晶よりもやや濃い着色(黄緑色)があることが確認された。これは、結晶中の不純物濃度がより高くなったことを示している。成長厚みと成長日数から成長速度を算出し、m軸、c軸、a軸それぞれの成長方向への成長速度を表1に示した。
Figure 2013124217
<比較例2>
比較例2では、GaN結晶成長の後に残った原料などのGaN結晶を再生処理せずに原料として再利用し、上記の実施例1の手順と同様にしてシード上に窒化ガリウムを析出させる。成長速度は、実施例1、2と比較して著しく低下する(不純物の影響)。結晶の着色は比較例1よりも濃くなる。
1 オートクレーブ
2 オートクレーブ内面
3 ライニング
4 ライニング内面
5 バッフル板
6 結晶成長領域
7 シード
8 原料
9 原料溶解領域
10 バルブ
11 真空ポンプ
12 アンモニアボンベ
13 窒素ボンベ
14 マスフローメーター
20 カプセル
21 カプセル内面

Claims (12)

  1. 反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶を成長した後の残原料に再生処理を施すことにより再生原料を製造することを特徴とする、再生原料の製造方法。
  2. 前記残原料を酸を含むエッチング液を用いてエッチングする、請求項1に記載の再生原料の製造方法。
  3. 前記残原料を塩基を含むエッチング液を用いてエッチングする、請求項1または2に記載の再生原料の製造方法。
  4. 前記残原料を溶剤を用いて処理する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の再生原料の製造方法。
  5. 前記残原料を水を用いて処理する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の再生原料の製造方法。
  6. 前記残原料を40℃以上のエッチング液、溶剤または水で処理する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の再生原料の製造方法。
  7. 前記残原料に超音波をあてて再生処理を施す、請求項2〜6のいずれか1項に記載の再生原料の製造方法。
  8. 前記再生原料の長径が0.5mm以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の再生原料の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の再生原料の製造方法により得られた再生原料を含む原料を反応容器内に仕込んで、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶を成長させることを特徴とする、窒化物結晶の製造方法。
  10. 前記再生原料の混合割合が原料全体の5〜100重量%である、請求項9に記載の窒化物結晶の製造方法。
  11. 反応容器内に原料を仕込んで、反応容器中で超臨界および/または亜臨界状態の溶媒存在下にて窒化物結晶成長を行う1次成長工程と、該1次成長工程後に反応容器中に残存した残原料を回収する回収工程をさらに含み、該回収工程により回収した残原料に対して前記再生処理を行う、請求項9または10に記載の窒化物結晶の製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の製造方法により製造した窒化物結晶。
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