以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図は本発明の一実施形態に係る露光装置を示す正面図で、図2は記露光装置を示す右側面図である。また、図3は露光装置の露光ユニットを示す左正面側斜視図で、図4は露光ユニットを示す右背面側斜視図である。さらに、図5は露光ユニットを示す概略説明図で、図6は露光装置の前室に搬送容器を設置した状態を示す概略断面図で、図7は露光装置の前室に設置された搬送容器を開放させた状態を示す概略断面図である。さらに、図8は露光装置の一部を示す概略説明図で、(A)は平面図、(B)は側面図であり、図9は露光装置の露光光源の一部を示す概略断面説明図である。
そして、本発明に係る露光装置の一実施形態であるマスクアライナ1は、図1および図2に示すように、予め規格された大きさの筐体2内に収容されたミニマルファブ(minimal fab)構想に基づくミニマルアライナである。ここで、このミニマルファブ構想とは、多品種少量という半導体製造市場に最適なもので、省資源・省エネルギ・省投資・高性能な多様なファブに対応でき、例えば特願2010−195996号に記載の生産をミニマル化させるミニマル生産システムを実現させるためのものである。
また、マスクアライナ1の筐体2は、上下方向に長手方向を有する略直方体状に形成されており、内部への微粒子およびガス分子のそれぞれを遮断する構造であるとともに、UV光の進入を阻止するイエロールーム構造とされている。そして、この筐体2の上側の装置上部2a内には、露光ユニット3が収容されている。また、この筐体2の下側には、装置上部2aに対する原料供給系や排気系、制御装置等を内蔵させるための装置下部2bが設けられている。
さらに、この筐体2の装置上部2aの上下方向の中間部には、この筐体2の正面側を側面視凹状に窪ませた凹状部が形成されており、この凹状部の下側の部分が、ウェハWおよびマスクMを筐体2内に搬入させるための前室2cとされている。そして、この前室2cの上面の略中央部には、搬送容器4を設置するためのシャトル収容部としての略円形状のドッキングポート2dが設けられている。ここで、この前室2cは、筐体2内への微粒子およびガス分子のそれぞれを遮断するために設けられている。すなわち、この前室2cは、搬送容器4内に収容されているウェハWまたはマスクMを外気に曝す等することなく筐体2内へ出し入れできるようにするためのPLAD(Particle Lock Air-tight Docking)システムとされている。さらに、この前室2c内には、ドッキングポート2dから搬入されてくるウェハWおよびマスクMを露光ユニット3の所定位置へ搬送するとともに、この露光ユニット3にて露光された後のウェハWおよびマスクMをドッキングポート2dへ搬出するための搬送装置5が収容されている。
さらに、露光ユニット3は、筐体2内の前室2cの後側上部のウェハ処理室2e内に収容されて取り付けられている。そして、この露光ユニット3にて露光するウェハWは、所定の大きさ、例えば直径12.5mmの円形状の一側面としての表面を有する円盤状に形成されている。そして、このウェハWには、フォトレジストが形成されているとともに、マスクとの位置合わせ用のアライメントマークが設けられている。ここで、このウェハWの外周の約1mmの部分は、パターンエリアとされずデッドスペースとされており、具体的には、真空吸着用の保持スペースとされている。また、マスクMは、ウェハWを露光するための露光パターンが予め形成されている露光マスクであって、ウェハWの大きさに等しい大きさの円盤状に形成されたものが用いられる。そして、このマスクMにもまた、ウェハWとの位置合わせ用のアライメントマークが設けられている。
次いで、搬送装置5は、例えば特開2011−96942号公報に記載のワーク搬送装置等が用いられる。このワーク搬送装置は、複数本の細長棒状の機体を順次延出させたり退出させたりして、これら機体の先端に設けられている保持部材にて保持したウェハやマスクを搬送するスライド式の伸縮アクチュエータが用いられている。
さらに、露光ユニット3は、図5に示すように、正面視矩形枠状の枠体3aを備えている。そして、この枠体3aの上側に位置する平板状の板材の中心部が開口されて開口部が形成され、この開口部の内側に平板状のマスクホルダ3bが取り付けられている。このマスクホルダ3bは、露光ステージ3fのウェハWが設置される側である上面に対向して取り付けられており、このマスクホルダ3bに設置されるウェハWに対向する側の一側面である下面にマスクMが設置される構成とされている。そして、このマスクホルダ3bには、このマスクホルダ3bの下面中央部に設置されるマスクMを、このマスクホルダ3bの下面に位置決め固定させるマスク吸着手段としてのマスク吸着固定機構3baが設けられている。
一方、露光ユニット3の枠体3aの底面部には、Zステージ3cが設置されている。このZステージ3cは、このZステージ3c上にロードセル3dおよびレベル調整機構3eを介して取り付けられた露光ステージ3fのX方向、Y方向、および傾斜角度(θ方向)のそれぞれを調整するための三次元調整構造のXYθステージである。すなわち、このXステージ3cは、露光ステージ3fを水平方向(X方向)に移動可能であるとともに、この露光ステージ3fを上下方向(Y方向)に昇降可能であり、さらにこの露光ステージ3fの傾斜角度(θ方向)が調整可能に構成されている。
ここで、この露光ステージ3fは、この露光ステージ3fの上面を、マスクホルダ3bの下面に対向した状態で取り付けられた試料台である。さらに、この露光ステージ3fには、この露光ステージ3fの上面中央部に設置されるウェハWを、この露光ステージ3fの上面に吸着固定して位置決め固定させるためのウェハ吸着手段としての試料吸着固定機構3faが設けられている。
また、レベル調整機構3eは、図5に示すように、底面側が球面状に形成された球面摺動部3eaと、この球面摺動部3eaの球面状の摺動面を受ける凹弧面状の凹部を有する保持部3ebとを備えている。さらに、このレベル調整機構3eは、球面摺動部3eaと保持部3ebとの間に、例えば窒素等の気体が供給されて浮上式とされている。そして、この保持部3ebの円弧面状の凹部に対して球面摺動部3eaを摺動させることにより、この球面摺動部3ea上に取り付けられている露光ステージ3fの角度、すなわち傾き(θ方向)が調整可能な球面摺動機構とされている。
また、ロードセル3dは、Zステージ3cにて露光ステージ3fを昇降させ、この露光ステージ3f上に設置されているウェハWを、マスクホルダ3bの下面に設置されているマスクMに接触させて位置合わせする際の力を検出し、このマスクMに対するウェハWの接触圧等の加圧力を検出するための圧力センサである。
さらに、露光ユニット3には、図8bに示すように、この露光ユニット3の露光ステージ3f上に設置されたウェハWと、マスクホルダ3bの下面に吸着固定されたマスクMとを水平出しおよびアライメントする際に、これらウェハWとマスクMとの間に介在させる3点式のボールコンタクト機構3gが取り付けられている。このボールコンタクト機構3gは、複数、例えば3つの球状体のボール3gaを備えている。これら各ボール3gaは、マスクホルダの下面に沿った周方向に等間隔に離間された位置に設置されており、細長状のボールバー3gbの先端部に固定されて取り付けられている。そして、これら各ボールバー3gbの基端側には、これらボールバー3gbを水平方向に回動させて、各ボール3gaをマスクMとウェハWとの間の外周縁に等間隔に介在させて挟持させるための駆動機構3gcが取り付けられている。
一方、搬送容器4は、外気に直接触れることにより汚染や反応等の何等かの支障を生じる物、すなわちウェハWおよびマスクMを搬送するための密封容器としてのミニマルシャトルである。具体的に、この搬送容器4は、内部への微粒子およびガス分子のそれぞれを遮断する構造であるとともに、UV光の進入を阻止するイエロールーム構造とされている。そして、この搬送容器4は、図6に示すように、下面が開口した中空円盤状の搬送容器本体4aを備えており、この搬送容器本体4aの下面に容器扉4bが着脱可能に取り付けられている。そして、この容器扉4bの上面には、ウェハWやマスクMを設置できる形状とされており、これらウェハWまたはマスクMを容器扉4bの上面に設置させた状態で、この容器扉4bを搬送容器本体4aの下面に嵌合させることによって、この搬送容器4内が密閉された状態となるように構成されている。
さらに、前室2cのドッキングポート2dは、ウェハWまたはマスクMが収容されている搬送容器4を設置するための設置ポートであって、図7に示すように、この前室2cの内側から嵌合された装置扉2daを備えている。この装置扉2daには、容器扉4bを下方に向けた状態で搬送容器4が嵌合され、この状態で、装置扉2daを下方に移動させることによって、例えば電磁石等の作用により装置扉2daとともに容器扉4bが下方へ移動し、この容器扉4b上に設置されているウェハWやマスクM等を前室2c内へ搬送可能とさせる構成となっている。
さらに、露光ユニット3の枠体3aの上部には、図1、図3および図4に示すように、ワーク検出用カメラ6と、モニタリングカメラ7と、UV照射ユニット8とのそれぞれが並列させた状態で取り付けられている。これらワーク検出用カメラ6、モニタリングカメラ7およびUV照射ユニット8は、搬送装置5にてウェハWおよびマスクMを搬送する際の搬送方向に沿って並列されており、この搬送方向に沿って移動可能なカメラ移動ステージ9上に設置されている。そして、このカメラ移動ステージ9には、駆動機構(図示せず)が取り付けられている。
ここで、ワーク検出用カメラ6は、露光ステージ3fまたはマスクホルダ3bへと搬送されたウェハWまたはマスクMを検出するものであって、例えばCCDカメラ等にて構成されている。そして、このワーク検出用カメラ6は、マスクMに予め形成されている、例えばオリフラ(Orientation Flat:オリエンテーションフラット)等の位置合せ部を検出するためのオリフラ検出用カメラである。
また、モニタリングカメラ7は、アライメント用カメラであって、マスクMのアライメントマークと、ウェハWのアライメントマークとに基づき、このウェハWに対するマスクMの位置を調整するために用いられるものである。
さらに、UV照射ユニット8は、マスクホルダ3bを介して露光ステージ3fに対向する位置に取り付けられており、この露光ステージ3f上に設置されたウェハWを、マスクホルダ3bに設置されたマスクMを介して等倍露光するためのUV光源出力ユニットである。具体的に、このUV照射ユニット8は、図9に示すように、円筒状のライト本体としての集光レンズ筒8aと、この集光レンズ筒8aの先端部に同心状に嵌合されて取り付けられた円筒状のインテグレータレンズ筒8bとを有している。そして、集光レンズ筒8a内の基端側に、露光光源となる一つのUV−LEDチップが取り付けられてLED光源8cが設けられている。このLED光源8cは、i線に相当する、例えば365nmの短波長の紫外線光を発する発光ダイオードにて構成されている。
また、集光レンズ筒8a内のLED光源8cより先端側の光軸上には、このLED光源8cから照射された紫外線光を集光させる複数、例えば4枚の第1〜第4集光レンズ8d,8e,8f,8gが取り付けられている。これら第1〜第4集光レンズ8d,〜8gのそれぞれは、図9に示すように、方凸レンズとして構成されている。さらに、これら第1〜第4集光レンズ8d,〜8gは、平面部をLED光源8c側に向け、凸面部を集光レンズ筒8aの先端側に向けた状態で直線状に並べられて、この集光レンズ筒8a内に収容されている。そして、これら第1〜第4集光レンズ8d,〜8gは、LED光源8cからの紫外線光の拡散を第1集光レンズ8d、第2集光レンズ8e、第3集光レンズ8fおよび第4集光レンズ8gにて段階的に抑制させていくことによって、このLED光源8cから照射される紫外線光を効率よく集光させている。
さらに、インテグレータレンズ筒8bの内部には、インテグレータレンズ8hが収容されている。このインテグレータレンズ8hは、断面正方形状に形成された四角柱状の複数、例えば4本のロッドレンズ8iにて構成されている。さらに、このインテグレータレンズ8hは、4本のロッドレンズ8iそれぞれの長手方向を平行にした状態で、これらロッドレンズ8iの側面同士を面接触させて正面視「田」の字状に連結された構成とされている。そして、このインテグレータレンズ8hは、第4集光レンズ8gを通過した紫外線光が各ロッドレンズ8iに入射する位置に設置されている。すなわち、このインテグレータレンズ8hは、LED光源8cから発し第1〜第4集光レンズ8d,〜8gにて集光された紫外線光を、このインテグレータレンズ8hの各ロッドレンズ8iで全反射させ、これらロッドレンズ8iを通過する紫外線光が照射する紫外線光照射面の照度分布を均一化させるものである。具体的に、このインテグレータレンズ8hは、ウェハW表面での照射範囲を±5%以内とするものである。
次に、上記一実施形態の露光装置を備えた半導体製造システムについて説明する。
図10は、露光装置を備えた半導体製造システムを示す概略説明図である。そして、図10に示すように、マスクアライナ1を含む同一の筐体2にて構成された各単位処理装置10は、半導体製造ラインを形成するためのレール状に形成されたガイドウェイ12上に載置されることで、床上に予め設定された同一の半導体製造ライン上に位置決めされる。通常の状態では、各単位処理装置10は、レシピの順序に従って、ガイドウェイ2上にフローショップ方式で配置される。図10における単位処理装置1の配置例では、単位処理装置1が所定の間隔をおいて規則的に配置されているが、各単位処理装置10を、間隙を開けないように密接配置してもよい。
各単位処理装置10には、これら単位処理装置10が、プロセス処理におけるどのような単一の処理(レシピに対応した処理)を行う装置であるかを識別するためのレシピIDが、その外側面に記録される。このレシピIDの記録には、単位処理装置10のレシピの変更等に伴って書込、読み出しが非接触により容易に行えるように、RFID(radio frequency ID)が用いられている。
また、ガイドウェイ12と平行して、マスクおよびウェハを収納する搬送容器4を搬送するための装置間搬送システムである搬送手段14が設けられている。この搬送手段14には、ベルト式やメカニカル式などの半導体製造装置に通常用いられる機構を用いることができる。また、この搬送手段14は、単位処理装置10毎に設けられる前室2cの間で、搬送容器4を搬送するように構成されている。
さらに、このように構成された半導体製造ラインの上方には、図9に示すように、単位処理装置1を再配置するためのレイアウト装置17が設けられている。このレイアウト装置17は、ガイドウェイ12と平行して配置されるガイドレール17aと、このガイドレール17aに懸垂されて移動する単位処理装置運搬部17bとを有している。そして、このレイアウト装置17は、各単位処理装置10のレシピIDの読み取り機構を有しており、中央制御装置からの制御信号に応じて、所定のレシピIDを有する単位処理装置10を選択し、選択した単位処理装置10を単位処理装置運搬部17bにより把持・運搬して所定位置に再配置することができるように構成されている。
さらに、レイアウト装置17は、多数の単位処理装置10のレイアウト変更を素早く行うのには適しているが、一方で、レイアウト装置17の設備コストが必要となる。そこで、レイアウト変更に時間を要してもかまわないか、レイアウト装置17設備費用を省くために、単位処理装置10は人が搬送してもよく、そのような人による搬送では、単位処理装置1の底部にキャスタが設けられて搬送される。
次に、上記一実施形態の露光装置を用いた露光方法について説明する。
<マスクセット工程>
まず、搬送容器4の搬送容器本体4aから容器扉4bを取り外し、この容器扉4b上にマスクMをセットしてから、この容器扉4bを搬送容器本体4bに取り付けて、このマスクMを搬送容器4にセットする。
<マスク搬入工程>
次いで、このマスクMがセットされた搬送容器4の容器扉4b側を下側に向けた状態とし、この搬送容器4をマスクアライナ1の前室2cのドッキングポート2dに嵌合させる。このとき、例えば手動モード等において、Zステージ3cおよびレベル調整機構3eを適宜駆動させ、露光ステージ3fの水平出しを行う。
この後、マスクアライナ1の前室2cのドッキングポート2dの装置扉2daを下方に移動させて、この装置扉2daとともに搬送容器4の容器扉4bを下方に移動させ、この搬送容器4から容器扉4bを取り外して開放させる。
この状態で、Zステージ3cにて露光ステージ3fが高さ調整され、この露光ステージ3fが、予め設定されたマスク受け渡し位置へ移動される。そして、例えば自動モード等とし、搬送装置5の駆動を開始させるスタートスイッチ(図示せず)を押す等して、容器扉4b上に設置されているマスクMを搬送装置5にて保持してから伸縮アクチュエータにて搬送し、露光ユニット3の露光ステージ3f上の所定位置にマスクMを設置させる。
この後、この露光ステージ3f上に設置されたマスクMは、この露光ステージ3fの試料吸着固定機構3faにて真空吸着され、この露光ステージ3f上の所定位置に吸着固定される。
次いで、予め登録されているワーク検出用カメラ6の焦点距離内の高さとなるようにZステージ3cにて露光ステージ3fが移動されて待機状態とされる。この状態で、例えば手動モード等により、ワーク検出用カメラ6を用いてマスクMのマスクパターンを目視確認しながらZステージ3cを適宜駆動させて、露光ステージ3f上のマスクMのX方向、Y方向およびθ方向の位置調整を行う。
この後、例えば手動モード等により、露光ステージ3f上のマスクMがマスクホルダ3bの下面に密着するまで、この露光ステージ3fをZステージ3cにて上昇移動させる。この状態で、マスクホルダ3bのマスク吸着固定機構3baにてマスクMを真空吸着させ、このマスクホルダ3bの下面の所定位置にマスクMを吸着固定させる。
この後、露光ステージ3fの試料吸着固定機構3faによるマスクMの吸着固定を解除させてから、この露光ステージ3fをZステージ3cにてマスク受け渡し位置へ移動させる。
さらに、例えばマスクMの搬出動作を模擬的に行う等し、搬送装置5を引き戻し動作させるとともに、ドッキングポート2dの装置扉2daを上方へ移動させ、このドッキングポート2dに嵌合された搬送容器4の搬送容器本体4aに容器扉4bを嵌合させて密封させる。
そして、この容器扉4bが取り付けられて密封された空の搬送容器4を、前室2cのドッキングポート2dから取り外す。
<ウェハ搬入工程>
次いで、露光処理前のウェハWが収容された搬送容器4を用意し、この搬送容器4の容器扉4b側を下側に向けて、マスクアライナ1のドッキングポート2dに嵌合させる。
この後、マスクアライナ1のドッキングポート2dの装置扉2daを下方に移動させて、この装置扉2daとともに搬送容器4の容器扉4bを下方に移動させ、この搬送容器4から容器扉4bを取り外して開放させる。
この状態で、例えば自動モード等とし、搬送装置5のスタートスイッチを押す等して、容器扉4b上に設置されているウェハWを搬送装置5にて保持してから伸縮アクチュエータにて搬送し、露光ユニット3の露光ステージ3f上の所定位置に設置させる。このとき、Zステージ3cにて露光ステージ3fが高さ調整され、この露光ステージ3fがウェハ受け渡し位置へ移動される。すなわち、これらマスクMとウェハWとは質量が異なるため、搬送装置5の伸縮アクチュエータの搬送ストロークの長さに応じ、この伸縮アクチュエータの長さ方向のたわみ量が異なることから、これらマスクMおよびウェハWの受け渡し位置が異なる。
さらに、露光ステージ3f上に設置されたウェハWは、この露光ステージ3の試料吸着固定機構3faにて真空吸着され、この露光ステージ3f上の所定位置に吸着固定される。この状態で、図8に示すように、駆動機構3gcが駆動され各ボールバー3gbが回動動作されてボールコンタクト機構3gの各ボール3gaがボール待機位置AからマスクMとウェハWとの間のボール挿入位置Bへと挿入される。このとき、この3点式のボールコンタクト機構3gの各ボール3gaは、ウェハW上に塗布されたフォトレジストの表面に接触してコンタクトする位置にセットされる。
次いで、予め登録されているモニタリングカメラ7のアライメント位置移動を行う。具体的には、このモニタリングカメラ7のフォーカス位置、すなわち焦点深度内に入る位置となるようにZステージ3cにて露光ステージ3hが上下調整される。
さらに、例えば手動モード等により、Zステージ3cにて露光ステージ3hを上昇移動させ、この露光ステージ3h上のウェハWをマスクMに近づけていく。このとき、ボールコンタクト機構3gの各ボール3gaがウェハW上のフォトレジストとマスクMとの間に挟まれた状態となる。このため、これら各ボール3gaによってマスクMとウェハWとが不安定な状態(平行状態でない状態)となるが、レベル調整機構3eの球面摺動部3eaに対する保持部3ebの摺動作用によって、露光ステージ3f上のウェハWとマスクMとの水平度が確保され水平出しが行われる。
次いで、これらウェハWとマスクMとを三次元的に位置合わせして水平出しした状態で、例えば手動モード等により、例えば30μm(任意設定値)ほど、マスクMとのクリアランス距離(アライメントギャップ)を確保する。この状態で、モニタリングカメラ7を用いてマスクMのアライメントマークとウェハWのアライメントマークとのそれぞれを同時に観察できる状態にする。
さらにこの状態で、例えば操作スイッチ(図示せず)を押す等し、これらマスクMおよびウェハWのアライメントマークを目視にて確認しながらZステージ3cを適宜駆動させて、露光ステージ3f上のウェハWのX方向、Y方向およびθ方向の位置調整、すなわちアライメント(位置合わせ)を行う。
そして、これらマスクMとウェハWとのアライメントが完了した後、Zステージ3cにて露光ステージ3fを下方に移動させた後、駆動機構3gcを駆動させて各ボールバー3gbを回動動作させてボールコンタクト機構3gの各ボール3gaをボール挿入位置Bからボール退避位置Aへ移動させて退避させる。
次いで、ロードセル3dにて検出される圧力値を確認しながら、マスクMに対するウェハWの加圧力を調整し、所定の加圧力となるまで露光ステージ3fを上昇させウェハWをマスクMに密着させる。
<露光工程>
そして、これらマスクMとウェハWとを密着させて重ねた後、例えば操作スイッチ(図示せず)を操作等して、駆動機構にてカメラ移動ステージ9を移動させ、これらマスクMおよびウェハW上にUV照射ユニット8を移動させる。
この状態で、例えば手動モード等とし、予めセットされている照射時間に基づいて、UV照射ユニット8のLED光源8cから紫外線光を発光させ、この紫外線光をマスクMを介してウェハWに照射させて、このウェハWを露光させる。
このとき、UV照射ユニット8のLED光源8cから発した紫外線光は、集光レンズ筒8a内の第1〜第4集光レンズ8d,〜8gを通過して集光されてから、インテグレータレンズ筒8b内のインテグレータレンズ8hを通過して、この紫外線光の紫外線光照射面の照度分布が均一化された後、マスクMを介してウェハWへと照射される。
<ウェハ搬出工程>
この後、露光ステージ3fをZステージ3cにてウェハ受け渡し位置へ移動させる。このとき、この露光ステージ3fは、マスクMとウェハWとのアライメント調整によって、露光ステージ3fの位置が微調整されているため、このアライメント調整前のウェハ受け渡し位置へ移動させる必要がある。
次いで、例えば露光終了信号を発信させ、露光ステージ3f上の露光されたウェハWを搬送装置5にて引き戻し動作させて容器扉4b上に設置させてから、ドッキングポート2dの装置扉2daを上方へ移動させ、このドッキングポート2dに嵌合された搬送容器4の搬送容器本体4aに容器扉4bを嵌合させて密封させる。
そして、この容器扉4bが取り付けられて密封され、露光されたウェハWが収容された搬送容器4を、前室2cのドッキングポート2dから取り外す。
<マスク搬出工程>
この後、空の搬送容器4を用意し、この搬送容器4の容器扉4b側を下側に向けて、マスクアライナ1のドッキングポート2dに嵌合させる。この状態で、このドッキングポート2dの装置扉2daを下方に移動させて、この装置扉2daとともに搬送容器4の容器扉4bを下方に移動させ、この搬送容器4から容器扉4bを取り外して開放させる。
次いで、例えばマスク排出スイッチ(図示せず)を押す等してマスク排出モードとする。そして、Zステージ3cにて露光ステージ3fを上昇移動させて、マスクホルダ3bの下面に吸着固定されたマスクMに露光ステージ3fを密着させる。この状態で、マスクホルダ3bのマスク吸着固定機構3baによるマスクMの吸着固定を解除させる。
この後、露光ステージ3fの試料吸着固定機構3faを駆動させ、この露光ステージ3f上にマスクMを吸着固定させてから、この露光ステージ3fをZステージ3cにてマスク受け渡し位置へ移動させる。この状態で、露光ステージ3fの試料吸着固定機構3faによるマスクMの吸着固定を解除させてから、この露光ステージ3f上のマスクMを搬送装置5にて引き戻し動作させて容器扉4b上に設置させる。
そして、ドッキングポート2dの装置扉2daを上方へ移動させ、このドッキングポート2dに嵌合された搬送容器4の搬送容器本体4aに容器扉4bを嵌合させて密封させる。さらに、この容器扉4bが取り付けられマスクMが収容された搬送容器4を、前室2cのドッキングポート2dから取り外すことによって、マスクアライナ1からマスクMが搬出される。
<作用効果>
上述のように、上記一実施形態のマスクアライナ1においては、マスクMおよびウェハWを同サイズとして、これらマスクMおよびウェハWの搬送容器4を同一とし、マスクアライナ1内へのマスクMとウェハWとの出入り口を同一とし、前室2cも1つであって、ウェハ処理室2eと前室2cとの間の、マスクMおよびウェハWを搬送する搬送装置5も同一であるため、これらに係る機械メカニズムについては、マスクMおよびウェハWのためにそれぞれ独立させて設ける場合に比べ、おおよそ1/2の機械メカニズムにすることができる。これにより、装置製造コスト、装置制御コスト、工場内装置搬送コストを大幅に削減することが可能であり、かつ装置内メカニズムが簡単にできるため、微粒子の発生源も1/2の量にでき、製造歩留まりを向上させることができる。さらに、マスクアライナ1内の搬送制御システムおよび工場搬送システムが1系統で済むので、システムがシンプルにできるとともに、応答を速くでき、かつバグを発生しにくくできる。
さらに、従来のマスクアライナでは、通常マスクを密閉容器に入れて装置間搬送したり、マスクアライナにマスク搬送容器をドッキングさせるような複雑なメカニズムは採らず、その代わりとして、クリーンルームを用いて、人間が手でマスクをマスクアライナにセットしたり、取り出したりしていた。このため、従来のようにマスクアライナにマスクとウェハとの2系統を用意することは、機械メカニズムとして高度かつ複雑で、コストアップであった。これに対し、本発明のマスクアライナ1では、ウェハWおよびマスクMの搬送が1系統に統一されるため、その点においてのクリーンルームが必要とされない。これらウェハWおよびマスクMの搬送として、密閉した搬送容器4を用い、図6および図7に示す前室2cの密閉ドッキングシステムを用いてウェハWおよびマスクMをマスクアライナ1と搬送容器4との間で密閉搬送することにより、全くクリーンルームを不要にできる。
また、マスクMとウェハWとを同サイズとし、これらマスクMおよびウェハWを1系統の搬送系(搬送装置5)での搬送を可能としたことにより、ウェハ加工製造システムそれ自体を用いて、マスクMを製造することができるようになる。すなわち、従来は、マスクとウェハとが異なるサイズであったことから、自ずとマスク向けの微細加工装置群とウェア加工装置群とが異なったものであった。このため、これらマスクおよびウェハは別の工場で製造されていた。一般に、マスクは、(洗浄)→(クロムなどのマスク材堆積)→(レジスト塗布)→(露光)→(現像)→(エッチング)→(レジスト除去)という工程で製造されている。これらの工程は、基本的にウェハ上での微細加工工程の一部である。本発明のマスクアライナ1では、マスクMとウェハWとを同一搬送できるため、一つの生産ラインで、これらマスクMおよびウェハWのそれぞれを製造することが可能となる。この結果、マスクMを外注等しなくても済むようになるから、その場で、必要に応じ短時間でマスクMを製造することが可能となるため、マスクMの製造コストを大幅に下げることが可能となる。
具体的には、ウェハWを露光ステージ3fへ搬送する搬送装置5を用い、このウェハWを露光するためのマスクMを搬送する構成とした。この結果、これらウェハWおよびマスクMを露光するたびに変更することが可能となるとともに、露光するウェハWに対応させて容易にマスクMを交換したり選択したりすることができる。このとき、搬送装置5にて搬送されるウェハW上にマスクMを重ねた状態で、このマスクMを介してウェハWを露光する構成としたことにより、このマスクMをウェハWと等しい大きさにでき、このマスクMを小型化することができる。
この場合に、これらウェハWおよびマスクMのそれぞれを直径12.5mmの円盤状としたことにより、従来から用いられているジョブショップ方式やフローショップ方式のように比較的大きな基板を用いる製造ラインに比べ、半導体となるウェハWを一枚ずつマスクMを変えながら露光することができる。よって、超少量生産かつ多品種生産に適切に対応させることができるから、超少量の半導体の製造に適しており、超少量の半導体をコストパフォーマンス良く製造することができる。
また、露光ステージ3f上にマスクホルダ3bを対向して設置させたことにより、マスクアライナ1の前室2cのドッキングポート2dに設置されたウェハWは、搬送容器4から取り出されて搬送装置5にて露光ステージ3fとマスクホルダ3bとの間へ搬送されて露光ステージ3f上に設置される。さらに、ドッキングポート2dに設置されたマスクMは、搬送容器4から取り出されて搬送装置5にて露光ステージ3fとマスクホルダ3bとの間へ搬送されてマスクホルダ3bの下面に吸着固定される。したがって、これらウェハWおよびマスクMを搬送する際の搬送装置5の搬送経路を略等しくかつ短くすることができるため、より適切かつ短時間にマスクMおよびウェハWを搬送できるとともに、これらマスクMおよびウェハWを用いた露光処理をより短時間に行うことが可能となる。
このとき、露光ステージ3fに試料吸着固定機構3faを設けたことにより、この露光ステージ3f上に設置されるマスクMやウェハWを、この露光ステージ3f上に吸着固定させた状態で、これらマスクMやウェハWの設置位置をZステージ3c等で調整できる。また、マスクホルダ3bにマスク吸着固定機構3baを設けたことにより、このマスクホルダ3bの下面に接触されるマスクMを、このマスクホルダMの下面に吸着固定させて位置決めすることができる。よって、これらマスクMおよびウェハWの位置合わせを、比較的簡単な構成で容易かつ確実に行うことができる。
また、露光ユニット3を筐体2内に収容させたマスクアライナ1としたことにより、このマスクアライナ1の筐体2や、露光ユニット3の周囲等の所定部分を、例えば黄色に着色されたアクリル板等のウェハW上のレジストを感光させる光の波長、例えば紫外線光を遮断する部材で覆う等することにより、このマスクアライナ1自体を紫外線遮断室、いわゆるイエロールームにすることができる。さらに、マスクアライナ1に搬入する前のウェハWやマスクMを搬送容器4に収容させる構成としたため、この搬送容器4を密閉式とし紫外線遮断部材で形成して、この搬送容器4内をイエロールームとすることにより、マスクアライナ1に搬入する前および搬出した後のそれぞれにおけるウェハWへの紫外線照射が防止される。したがって、これら搬送容器4およびマスクアライナ1を、紫外線遮断室(イエロールーム)に収容させる必要を無くすことができる。
さらに、マスクアライナ1自体が小型であることから、このマスクアライナ1や搬送容器4自体をイエロールームにしない場合であっても、これらマスクアライナ1および搬送容器4を収容させるための作業室を小さくすることができる。よって、従来のジョブショップ方式やフローショップ方式の製造ラインに比べ、紫外線遮断室(イエロールーム)を小さくすることもできる。
具体的には、従来のジョブショップ方式やフローショップ方式の製造ラインを有する半導体前処理工場においては、紫外線等の光を管理するイエロールームに収めなければならない塗布装置、露光装置および現像装置群の装置設置面積は、前処理工程全体の1/4程度であった。ところが、本発明のマスクアライナ1と同様に、他の塗布装置や現像装置についても、同一の筐体2内に収容させたミニマルファブ構造とした場合には、紫外線等の光を管理しなければならない領域を、従前の1/30程度まで縮小させることができる。
さらに、露光ステージ3fに対向してマスクホルダ3bを取り付けたことにより、このマスクホルダ3bに対して露光ステージ3fをZステージ3cにて三次元的に移動させて、この露光ステージ3fに設置されたウェハWと、マスクホルダ3bの下面に吸着固定されたマスクMとを位置合わせすることができる。また、マスクホルダ3bの下面に吸着固定されたマスクMと、露光ステージ3f上に設置されたウェハWとの間に、ボールコンタクト機構3gの各ボール3gaを介在させる。この状態で、Zステージ3cにて露光ステージ3fを上昇移動させて、この露光ステージ3f上のウェハWを各ボール3gaを介してマスクMに押し付けることによって、この露光ステージ3fがレベル調整機構3eにて適宜球面状に摺動し、マスクホルダ3bに設置されたマスクMに対してウェハWを平行出しすることができる。
よって、これらマスクMとウェハWとを接触させることなく、これらマスクMとウェハWとの水平出しや位置調整を行うことができるから、これらマスクMとウェハWとの位置合わせをより容易かつ正確に行うことができる。また、露光ステージ3fとマスクホルダ3bとを位置合わせした状態で、UV照射ユニット8のLED光源8cから紫外線光を照射させることにより、マスクホルダ3bに設置されたマスクMを介して、露光ステージ3fに設置されたウェハWを露光することができる。しがたって、このマスクMを介したウェハWの露光を正確に行うことができ、具体的には、ウェハW上の不完全描画領域を外周縁の0.50mm程度にできるとともに、このウェハWの露光量均一性を±3.3%程度にすることができる。
さらに、UV照射ユニット8のLED光源8cとして紫外線光を照射する発光ダイオードを用いたことにより、発熱量が少なく、露光に必要な波長の光を発するまでの立ち上がり時間が短いLED光源8cから発する紫外線光を用いて、マスクMを介したウェハWの露光ができるため、このウェハWの露光工程をより短時間かつ確実に行うことができる。
このとき、このLED光源8cから発する紫外線光を第1〜第4集光レンズ8d,〜8gにて集光させてから、インテグレータレンズ8hの各ロッドレンズ8iにて全反射させて紫外線光の紫外線光照射面の照射分布を均一化させることにより、露光するウェハW表面への紫外線の照射分布を均一化することができる。よって、このウェハWの表面をより広範囲に亘って精度良く露光することが可能となる。
さらに、例えば365nmの短波光の紫外線光を発するLED光源8cを用いたことにより、このLED光源8cから発する紫外線光で確実かつ精度良くウェハWを露光することができる。また、第1〜第4集光レンズ8d,〜8gによる集光と、インテグレータレンズ8hによる照射分布の均一化とによって、LED光源8cから発する紫外線光のウェハWへの紫外線照射範囲を±5%以内とすることにより、このウェハWの±5%以内の範囲を露光することができる。よって、このウェハWに等しい大きさのマスクMを用いた場合であっても、このウェハWの露光精度を確保することができる。
<その他>
なお、上記一実施形態においては、マスクアライナ1の露光ユニット3にて露光するウェハWとマスクMとを等しい大きさの直径12.5mmの円盤状とした。ところが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばマスクMの大きさをウェハWより一回り大きくしたり、製造する半導体の大きさ等に適合させて、これらマスクMおよびウェハWそれぞれの大きさをより大きくしたり小さくしたりすることもできる。
また、マスクホルダ3bに吸着固定されたマスクMと、露光ステージ3fに設置されたウェハWとの間にボールコンタクト機構3gのボール3gaを介在させてから、これらマスクMとウェハWとの水平出しおよびアライメントを行う構成としたが、必要に応じ、ボールコンタクト機構3gの各ボール3gaを介在させずに、これらマスクMとウェハWとの水平出しやアライメントを行う構成としても良い。
さらに、UV照射ユニット8のインテグレータレンズ8hを、断面正方形の4本のロッドレンズ8iを田の字状に組み合わせた構成としたが、例えば断面正六角形の複数のロッドレンズを蜂の巣状に組み合わせた構成としても良い。
また、マスクアライナ1の種々の処理動作については、手動モードと自動モードとを組み合わせた構成とされているが、必要に応じ、手動モードに適宜切り替えることができる構成にしたり、全自動モードとしたりすることもできる。この場合に、マスクアライナ1にマスクMを搬送した後において、マスクMの搬出動作を模擬的に行う等して搬送装置5を引き戻し動作させたが、この搬送装置5の引き戻し動作を、露光完了の模擬的信号を発生させて手動的に行ったり、予めプログラム等して自動的に行ったりできる。