以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
<第一実施形態>
本実施形態では、ホルダ付平型導体を電子機器の筐体に取り付けた状態でコネクタ2と接続する場合について説明する。具体的には、電子機器の製造時にて、ホルダ付平型導体C’が取り付けられた電子機器の筐体と、コネクタが接続された回路基板が取り付けられた上記電子機器の他の筐体とを組み立てることにより、上記ホルダ付平型導体とコネクタとが接続される。
図1は、本実施形態に係るホルダ付平型導体の組立前の斜視図であり、平型導体の前端側部分とホルダとを分離した組立前の状態で示している。図2(A)は、図1に示されるホルダを平型導体の幅方向に見た側面図、(B)は、図1に示されるホルダのIIB−IIB断面図、(C)は、(B)のホルダに平型導体が挿入されて組み立てられたホルダ付平型導体の断面図であり、(B),(C)は、いずれも上記幅方向の係止部の位置での断面を示している。図3は、ホルダ付平型導体と筐体の対応取付部とを示す斜視図であり、該ホルダ付平型導体の取付前の状態を示している。
図1に見られるように、本実施形態における平型導体Cは、該平型導体Cの挿抜方向たる前後方向(図1にて左右方向)を長手方向として延び、前端側(図1にて右端側)の上面で露呈して平型導体Cの幅方向に配列形成された回路部C1を有している。また、該平型導体Cの前端側部分の両側縁部には、上記回路部C1よりも後方位置に切欠部C2が形成されている。該切欠部C2の前縁部は、平型導体Cが抜出方向(後方)へ向けた力を受けたときに、後述するホルダ1の係止部13の係止突部13Aに対して後方に係止するための被係止部C2Aとして機能する(図2(C)参照)。また、該前端側部分の下面には、平型導体Cの補強のための補強板C3が貼付されている。
ホルダ1は、図3に見られるように、平型導体Cの前端側部分に取り付けられるようになっており、平型導体Cに取り付けられた状態で電気コネクタ2(以下、単に「コネクタ2」という)と嵌合して、該平型導体Cの回路部C1を上記コネクタ2の端子30と接続させる。以下、ホルダ1が取り付けられた平型導体Cを「ホルダ付平型導体C’」という。
ホルダ1は、合成樹脂等の電気絶縁材で作られていて、図3に見られるように、平型導体Cの前端側部分を支持するように形成されている。平型導体Cを支持するための該ホルダ1は、図1,3に見られるように、平型導体Cの幅方向に延びる薄型の略直方体外形をなす本体部11と、上記幅方向で間隔をもって位置し該本体部11から前方へ向けて柱状に延びる二つの延出部12とを有している。
上記本体部11は、平型導体Cより大きい幅寸法で前後方向に貫通形成されたスリット状の支持孔部11Aが形成されていて、該支持孔部11Aへ後方から挿通された平型導体Cを該平型導体Cの幅方向で可動に支持するようになっている(図5(A),(B)をも参照)。また、図2(C)に見られるように、該支持孔部11Aは、平型導体Cの厚さ方向(上下方向)での寸法が該平型導体Cの厚さ寸法よりも若干大きくなっていて、該平型導体Cが厚さ方向で拘束されることなく、上記幅方向で移動しやすくなっている。
上記二つの延出部12は、図1に見られるように、平型導体Cの幅寸法内に位置しているとともに(図5(A),(B)をも参照)、図2(B),(C)に見られるように、上下方向で上記支持孔部11Aと同じ寸法をもって該支持孔部11Aと連通する溝部12Aが形成されている。該溝部12Aは、前後方向で延出部12の前端寄り位置まで及んでいるとともに上記幅方向に貫通している。また、該延出部12の前端には、ホルダ1をコネクタ2に向けて案内するための案内部12Bが前方へ向けて先細り形状をなす円錐状に形成されている。このようにして、上記本体部11および延出部12が、上記支持孔部11Aと溝部12Aとで平型導体Cを支持する支持部を形成している。
上記本体部11の上壁には、U字状の切込溝により、平型導体Cに対して係止可能な二つの係止部13が形成されている。該係止部13は、図1,3に見られるように、上記支持孔部11Aの幅寸法内で該支持孔部11Aの両端部寄りに位置しており、本体部11の上壁の上記切込溝により形成された、後方へ延びる片持ち梁状の腕部をなしている。図2(B),(C)に見られるように、係止部13の後端には、下方へ向け支持孔部11Aに突入する係止突部13Aが形成されていて、図2(C)に見られるように、該係止突部13Aが平型導体Cの切欠部C2内に上方から突入して、平型導体Cが後方に移動したときに被係止部C2Aと係止するようになっている(図5(A),(B)をも参照)。該係止部13は、平型導体Cの幅方向で上記切欠部C2よりも小さい寸法で形成されている(図5(A),(B)参照)。
また、上記本体部11の下面は、後述するように、筐体4の壁部41の取付対応面41A(図3参照)に対して上方から当接することにより、下方へ向けたホルダ1の移動の規制を受ける第二下方被規制面として機能する。
既述したように、ホルダ付平型導体C’は、平型導体Cの前端側部分を、該ホルダ1の後方から本体部11の支持孔部11Aへ挿入することにより組み立てられる。ホルダ1の支持孔部11Aへ平型導体Cが挿入され、該平型導体Cの前端部がホルダ1の係止部13の係止突部13Aの後端に当接すると、該係止部13は上方へ弾性変位する。そして、該平型導体Cの挿入が進行し、平型導体Cの前端が延出部12の溝部12Aの前端に達すると、該平型導体Cの切欠部C2が前後方向での上記係止突部13Aの位置に達して、上記係止部13は弾性変位状態から開放されて自由状態に戻る。この結果、図2(C)に見られるように、上記係止突部13Aが切欠部C2内に上方から突入し、該係止突部13Aの前端面が平型導体Cの被係止部C2Aと対向して係止可能な状態となり、ホルダ付平型導体C’の組立てが完了する。
ホルダ付平型導体C’の組立てが完了した状態にて、前後方向での本体部11の位置では、平型導体Cの前端側部分の側縁部が、該平型導体Cの幅方向で、ホルダ1の支持孔部11Aの内側壁面に対して間隔をもって位置するので(図5(A)参照)、該平型導体Cはホルダ1に対して上記幅方向で上記間隔の範囲内で可動となっている。また、前後方向での延出部12の位置では、図3に見られるように、平型導体Cの前端側部分の両側縁部が各延出部12の溝部12Aから上記幅方向での外側に突出して位置し該幅方向に可動となっている。また、図3に見られるように、平型導体Cの回路部C1が二つの延出部12同士間に位置する。
図1,3に見られるように、ホルダ1は、後述する電子機器の筐体4にホルダ1を取り付けるための板状取付部14および腕状取付部15とが、上記幅方向での本体部11の両端部にそれぞれ形成されている。以下、板状取付部14と腕状取付部15とを総称して「取付部14,15」ともいう。該ホルダ1の上記本体部11および取付部14,15には、後述する筐体4の対応取付部42,43の規制面から上記幅方向、上下方向そして前後方向での移動の規制を受けるための被規制面が形成されている。以下、上記対応取付部42,43の規制面との関係で、上記本体部11および取付部14,15について、筐体4の該対応取付部42,43の構成とともに説明する。
まず、ホルダ1の本体部11、取付部14,15の説明に先立ち、図3にもとづいて、筐体4のパネルと一体成形されている対応取付部42,43の構成を説明する。図3では、図示の便宜上、筐体4のパネルの壁部41(上下方向に対して直角な板状部分)がホルダ1に対応した寸法で示されているが、実際には、該壁部41は、図3に示されているよりも、前後方向そして上記幅方向にさらに拡がって、筐体4のパネルの一部として形成されている。つまり、図3では、該壁部41のうち、ホルダ付平型導体C’が取り付けられる取付対応面41A(図3での壁部41の上面)が形成された部分だけが図示されている。
本実施形態では、ホルダ付平型導体C’は、平型導体Cが筐体4の取付対応面41Aに対して平行をなすようにして該筐体4に取り付けられる。該取付対応面41Aは、後述するように、ホルダ1の本体部11の下面に当接して該ホルダ1の下方への移動を規制するための第二下方規制面としての機能を有している。上記筐体4は、ホルダ1の板状取付部14および腕状取付部15のそれぞれに対応して、平型導体Cの幅方向で互いに間隔をもった位置で、上記壁部41から上方へ向けて突出する二つの対応取付部42,43を有している。
二つの上記対応取付部42,43のうち、上記板状取付部14に対応する第一対応取付部42は、上記幅方向に対して直角をなす主壁部42Aと、前後方向での該主壁部42Aの両端部から上記幅方向で上記第二対応取付部43側へ向けて延び前後方向に対して直角な壁面を有する前方副壁部42Bおよび後方副壁部42Cとを有している。また、上記主壁部42Aは、上下方向での中間部分が上記幅方向で貫通していて、ホルダ1の板状取付部14を受け入れるための孔部42Dが形成されている。該孔部42Dの上下方向寸法は、板状取付部14の上下方向寸法(板厚寸法)よりも若干大きくなっている。
上記孔部42Dを形成する上記主壁部42Aの上下部分をなす上壁部42Eおよび下壁部42Fのうち、上壁部42Eの下面は、ホルダ付平型導体Cが上方へ移動したときに上記板状取付部14と係止する第一上方規制面42E−1を形成している。上記下壁部42Fの上面は、ホルダ付平型導体Cが下方へ移動したときに上記板状取付部14と係止する第一下方規制面42F−1を形成している。
上記前方副壁部42Bの側端面(上記幅方向に対して直角な面)は、ホルダ付平型導体Cが幅方向で移動したときにホルダ1の本体部11と係止する第一幅規制面42B−1を形成している。該前方副壁部42Bの後面は、ホルダ付平型導体Cが前方へ移動したときに上記ホルダ1の本体部11と係止する第一前方規制面42B−2を形成している。また、上記後方副壁部42Cの前面は、ホルダ付平型導体Cが後方へ移動したときに上記ホルダ1の本体部11と係止する第一後方規制面42C−1を形成している。
二つの上記対応取付部42,43のうち、上記ホルダ1の腕状取付部15に対応する第二対応取付部43は、上記幅方向に対して直角をなす主壁部43Aと、前後方向での該主壁部43Aの両端部から上記幅方向で上記第一対応取付部42側へ向けて延びる前方副壁部43B,後方副壁部43Cとを有している。該後方副壁部43Cは、上記腕状取付部15に形成された下側爪部15Eを後方から受け入れるための四角形状の窓部43Dが前後方向に貫通して形成されている。
上記前方副壁部43Bの側端面(上記幅方向に対して直角な面)は、ホルダ付平型導体Cが幅方向で移動したときにホルダ1の本体部11と係止する第二幅規制面43B−1を形成している。該前方副壁部43Bの後面は、ホルダ付平型導体Cが前方へ移動したときに上記ホルダ1の本体部11と係止する第二前方規制面43B−2を形成している。
上記後方副壁部43Cの窓部43Dの周縁を形成する板厚面のうちの上面(上下方向に対して直角な面)は、ホルダ付平型導体Cが上方へ移動したときに、後述する腕状取付部15の下側爪部15Eと係止する第二上方規制面43D−1を形成している。また、上記後方副壁部43Cの前面は、ホルダ付平型導体Cが後方へ移動したときに上記ホルダ1の本体部11と係止する第二後方規制面43C−1を形成している。
次に、ホルダ1の説明に戻る。図1,3に見られるように、ホルダ1の板状取付部14は、上記幅方向での本体部11の一端側にて該幅方向外方へ延出する板状部として形成されている。該板状取付部14は、上下方向での上記本体部11の中間位置に形成されている。
本体部11の一端側は、上下方向に見たときに、上記板状取付部14よりも前方に位置する部分が角状に切り欠かれて段部が形成されていて、該段部をなす面のうち上記幅方向に対して直角な面は、ホルダ付平型導体Cが幅方向で移動したときに筐体4の第一対応取付部42の第一幅規制面42B−1と係止する第一幅被規制面11Bとして形成されている。また、上記段部をなす面のうち前後方向に対して直角な前側の面は、上記板状取付部14の前面と相俟って一つの平坦面を形成している。該平坦面は、ホルダ付平型導体Cが前方へ移動したときに上記第一対応取付部42の第一前方規制面42B−2と係止する第一前方被規制面11Cを形成している。
また、本体部11では、支持孔部11Aよりも上記幅方向で板状取付部14側に位置する後面が、上記板状取付部14の後面と相俟って一つの平坦面を形成している。該平坦面は、ホルダ付平型導体Cが後方へ移動したときに上記第一対応取付部42の第一後方規制面42C−1と係止する第一後方被規制面11Dを形成している。本実施形態では、ホルダ1の上記第一前方被規制面11Cと第一後方被規制面11Dとの間の前後方向での寸法は、筺体4の第一対応取付部42の第一前方規制面42B−2と第一後方規制面42C−1との間の前後方向での寸法よりも小さくなっている。
上記板状取付部14の上面は、ホルダ付平型導体Cが上方へ移動したときに上記第一対応取付部42の第一上方規制面42E−1と係止する第一上方被規制面14Aとして形成されている。また、上記板状取付部14の下面は、ホルダ付平型導体Cが下方へ移動したときに上記第一対応取付部42の第一下方規制面42F−1と係止する第一下方被規制面14Bとして形成されている。また、上記板状取付部14の上下方向および前後方向での寸法は、筐体4の第一対応取付部42の孔部42Dよりも小さくなっている。
上記本体部11の一端側に対し上記幅方向で対向位置にある該本体部11の他端側は、上下方向に見たときに、上記腕状取付部15よりも前方に位置する部分が角状に切り欠かれて段部が形成されている。該段部をなす面のうち上記幅方向に対して直角な面は、ホルダ付平型導体Cが幅方向で移動したときに筐体4の第二対応取付部43の第二幅規制面43B−1と係止する第二幅被規制面11Eを形成している。本実施形態では、ホルダ1の上記第一幅被規制面11Bと第二幅被規制面11Eとの間の上記幅方向での寸法は、筐体4の第一幅規制面42B−1と第二幅規制面43B−1との間の該幅方向での寸法よりも小さくなっている。
また、上記他端側で段部をなす面のうち前後方向に対して直角な前側の面は、ホルダ付平型導体Cが前方へ移動したときに上記第二対応取付部43の第二前方規制面43B−2と係止する第二前方被規制面11Fを形成している。また、ホルダ1の本体部11は、該本体部11の受入空間11Aの幅方向範囲外で腕状取付部15に隣接する後面が、ホルダ付平型導体Cが後方へ移動したときに上記第二対応取付部43の第二後方規制面43C−1と係止する第二後方被規制面11Gを形成している。本実施形態では、ホルダ1の第二前方被規制面11Fと第二後方被規制面11Gとの間の前後方向での寸法は、筐体4の第二対応取付部43の第二前方規制面43B−1と第二後方規制面43C−1との間の前後方向での寸法よりも小さくなっている。
上記腕状取付部15は、図1および図2(A)に見られるように、本体部11の上記幅方向での他端側で前後方向および上下方向に可撓な腕状部として形成されている。該腕状取付部15は、上下方向に対して直角な板状をなす基部15Aと、該基部15Aの前端から延びる可撓な弾性腕部15Bとを有している。該弾性腕部15Bは、上記基部15Aの前端から下方へ向けて延びてから後方へ向けて延び該基部15Aと相俟って横U字状をなす部分と、この部分の後端から上方へ向けて立ち上がる立ち上がり部分とを有している。
図2(A)によく見られるように、上記弾性腕部15Bは、上記立ち上がり部分の自由端(上端)が基部15Aよりも上方に位置している。また、該弾性腕部15Bは、その後面(図2(A)にて左端面)の上端(自由端)および下端のからそれぞれ後方へ向けて突出する上側爪部15Dおよび下側爪部15Eを有している。該上側爪部15Dは前記弾性腕部15Bを変形操作するための操作部として機能する。また、図1,図3に見られるように、腕状取付部15の上側爪部15Dと下側爪部15Eとの間の後面15Fは、後方被規制面11D,11Gよりも前方に位置している(図5(A),(B)をも参照)。該後面15Fの上下方向での寸法は、筐体4の第二対応取付部43の上面と第二上方規制面43D−1との間の上下方向での寸法よりも大きくなっている。
ホルダ1の上記腕状取付部15の下側爪部15Eの上下方向および上記幅方向での寸法は、筐体4の第二対応取付部43の窓部43Dよりも小さくなっている。該下側爪部15Eの上面は、上下方向に対して直角な面をなし、ホルダ付平型導体Cが上方へ移動したときに上記第二対応取付部43の第二上方規制面43D−1と係止する第二上方被規制面15E−1を形成している。また、該下側爪部15Eの下面は、後方へ向かうにつれて上方へ傾斜する傾斜面として形成されていて、ホルダ付平型導体C’を筐体4に取り付ける際にホルダ1の上記腕状取付部15を筐体4の上記第二対応取付部43へ向けて案内するための案内面15E−2として機能する。
次に、図3および図4にもとづいて、筐体4へのホルダ付平型導体C’の取付けについて説明する。図4は、図3の筐体4に取り付けられたホルダ付平型導体C’と回路基板Aに取り付けられたコネクタ2とを示す斜視図であり、上記ホルダ付平型導体C’とコネクタ2との接続前の状態を示している。まず、図3に見られるように、ホルダ付平型導体C’を、ホルダ1の下面が筐体4の取付対応面41Aに対面するように、該ホルダ1を該取付対応面41Aの上方に位置させる。次に、ホルダ1の板状取付部14が腕状取付部15よりも下方に位置するように該ホルダ1を傾斜させ、この姿勢を維持したまま、該板状取付部14を筐体4の第一対応取付部42の孔部42D内に挿入する(図3の一点鎖線)。
次に、上記ホルダ1の板状取付部14を上記孔部42D内に位置させたまま、該板状取付部14を支点として、腕状取付部15を下方へ向けて回動させて、腕状取付部15を筐体4の第二対応取付部43に取り付ける。該腕状取付部15の取付過程にて、該腕状取付部15が上方から上記第二対応取付部43へもたらされると、該腕状取付部15の下側爪部15Eの案内面15E−2が上記第二対応取付部43の後方副壁部43Cの上縁に当接し、該腕状取付部15が前方へ向けて弾性変位する。さらに、腕状取付部15が下方へ向けて移動して上記下側爪部15Eが窓部43Dの位置に達すると、該腕状取付部15が弾性変位状態から開放されて自由状態に戻る。この結果、図4に見られるように、上記下側爪部15Eが該窓部43D内に突入し、ホルダ付平型導体C’の取付けが完了する。
ホルダ付平型導体C’が筐体4に取り付けられると、取付前を示す図3に見られる板状取付部14は、第一対応取付部42の孔部42D内に位置していて、板状取付部14の下面たる第一下方被規制面14Bが第一対応取付部42の第一下方規制面42F−1に接面して下方へ向けて係止する。また、該板状取付部14の上面たる第一上方被規制面14Aが第一対応取付部42の第一上方規制面42E−1に対して間隔をもって対面して係止可能に位置する。一方、腕状取付部15は、下側爪部15Eが第二対応取付部43の窓部43D内に位置しており、下側爪部15Eの上面たる第二上方被規制面15E−1が第二対応取付部43の第二上方規制面43D−1に対して間隔をもって対面して係止可能に位置する。また、本体部11の下面が筐体4の取付対応面41Aに接面する。
このように、板状取付部14は、第一対応取付部42の第一上方規制面42E−1および第一下方規制面42F−1によって上記間隔を限度として上下方向での所定量以上の移動が規制される。一方、腕状取付部15は、下側爪部15Eの上面たる第二上方被規制面15E−1と第二対応取付部43の第二上方規制面43D−1との干渉による規制そしてホルダ本体11の下面と取付対応面41Aとの干渉よる規制によって上記間隔を限度として上下方向での所定量以上の移動が規制される。
したがって、ホルダ付平型導体C’に対して上方へ向けて不用意な外力が作用しても、上記第一上方被規制面14Aおよび第二上方被規制面15E−1が、第一上方規制面42E−1および上記第二上方規制面43D−1に対してそれぞれ上方へ向けて当接して係止するので、ホルダ付平型導体C’が筐体4から外れることはない。つまり、本実施形態では、上記第一上方被規制面14Aおよび第二上方被規制面15E−1は、筐体4に対するホルダ1の取付けのための取付面としての機能を有している。
また、ホルダ付平型導体C’が筐体4に取り付けられた状態にて、ホルダ1の本体部11の幅被規制面11B,11Eは、筐体4の対応取付部42,43の幅規制面42B−1,43B−1と平型導体Cの幅方向で間隔をもって対面して係止可能に位置する。したがって、ホルダ1は、上記間隔を限度として上記幅方向で所定量以上の移動が規制される。
また、ホルダ1の前方被規制面11C,11Fは、筐体4の対応取付部42,43の前方副壁部42B,43Bの前方規制面42B−2,43B−2に対してそれぞれ前後方向で間隔をもって対面して係止可能に位置する。また、ホルダ1の後方被規制面11D,11Gは、筐体4の対応取付部42,43の後方副壁部42C,43Cの後方規制面42C−1,43C−1に対してそれぞれ前後方向で若干の間隔をもって対面して係止可能に位置する。したがって、ホルダ1は、上記間隔の存在により上下方向、幅方向での移動が容易になる。
また、本実施形態では、既述したように、腕状取付部15の上側爪部15Dと下側爪部15Eとの間の後面は、後方被規制面11D,11Gよりも前方に位置している。したがって、ホルダ1が筐体4に対して後方へ移動すると、該ホルダ1の後方被規制面11D,11Gが筐体4の後方規制面42C−1,43C−1と当接し、それ以上の後方への移動が規制される。したがって、腕状取付部15の上記後面が上記第二対応取付部43の前面と当接することはない。この結果、腕状取付部15の後面が前方へ向けた力を受けて、腕状取付部15が前方へ弾性変位することがないので、腕状取付部15が対応取付42から外れることを確実に防止できる。
このように、ホルダ1は、筐体4の対応取付部42,43に対して上下方向、上記幅方向の可動間隔、そして前後方向で上記所定寸法の上記可動間隔よりも狭い若干の間隔(遊び)をもって位置しているので、この間隔の範囲内で筐体4に対して可動となっている。したがって、後述するように、筐体4に取り付けられたホルダ付平型導体C’をコネクタ2と接続させる際、上下方向、上記幅方向そして前後方向でホルダ1とコネクタ2との位置がずれていたときであっても、該ホルダ1が自動的に筐体4に対して調整移動されることにより、コネクタ2との位置合わせが可能となっている。
次に、図4にもとづいて、ホルダ付平型導体が接続されるコネクタ2の構成について説明する。コネクタ2は、回路基板A上に配される回路基板用電気コネクタであり、直方体外形をなす合成樹脂製のハウジング20と、平型導体Cの幅方向で回路部C1に対応して該ハウジング20に配列保持される端子30とを有している。上記ハウジング20は、平型導体Cの前端側部分を受け入れるためのスリット状の受入空間21が後方に向け開口して形成されている。該受入空間21は、上下方向で互いに対向して位置する上壁22および下壁23と、前壁24と、端子配列方向で互いに対向して位置し上壁22と下壁23の端部同士を連結する二つの側壁25とによって囲まれて形成されている。該受入空間21の幅寸法、換言すると端子配列方向での上記二つの側壁25の対向面同士間の寸法は平型導体Cの幅寸法とほぼ同じである(図5(A)参照)。
上記ハウジング20は、上記端子配列方向での受入空間21の範囲内での両端寄り位置に、ホルダ1の延出部12を受け入れるために上記受入空間21と連通した案内孔部26が前後方向に貫通して形成されている(図5(A),(B)をも参照)。また、二つの上記案内孔部26同士間には、複数の端子30をそれぞれ圧入保持するための複数の端子溝27が前後方向でハウジング20の全域にわたって延び上記端子配列方向で配列形成されている。
複数の端子30は、ハウジング20の前方から上記端子溝27に圧入されて保持されている。該端子30は、全体的に前後方向に延びた形状をなしており、受入空間21内へ挿入された平型導体Cの回路部C1に対して上方から接圧をもって接触する接触部(図示せず)を後端側に有するとともに、ハウジング20の前壁24からハウジング外に延出し回路基板の対応回路部(図示せず)に半田接続される接続部31を前端側に有している。
次に、図4,5にもとづいて、筐体4に取り付けられたホルダ付平型導体C’と他の筐体(図示せず)に取り付けられた回路基板Aに接続されたコネクタ2との接続動作について説明する。図5は、ホルダ付平型導体C’とコネクタ2との接続動作を、平型導体の厚さ方向での該平型導体の位置における断面で示す断面図であり、(A)は接続前の状態を示し、(B)は接続後の状態を示している。また、この図5(A),(B)では、筐体4および回路基板Aの図示は省略されている。
まず、図4に見られるように、筐体4に取り付けられたホルダ付平型導体C’を、ホルダ1の延出部12が前方へ向けて延びるような姿勢で、他の筐体(図示せず)に取り付けられた回路基板Aに半田接続されたコネクタ2の受入空間21の後方に位置させる。そして、筐体4と上記他の筐体とを組み立てるとともに、上記ホルダ付平型導体C’を上記受入空間21へ向けて挿入する。
上記ホルダ付平型導体C’の上記受入空間21への挿入過程にて、まず、延出部12の前端に形成された案内部12Bが、コネクタ2の案内孔部26内で平型導体Cの幅方向および上下方向で案内される。既述したように、ホルダ1が筐体4の対応取付部42,43に対して上記幅方向、上下方向で可動に取り付けられているので、該ホルダ1は、上記案内部12Bが上記案内孔部26によって案内されるのに伴って、該ホルダ1がコネクタ2に対して上記幅方向および上下方向で一致する位置へ移動して、コネクタ2に対するホルダ付平型導体C’の大まかな位置決めがなされる。
ホルダ付平型導体C’の挿入がさらに進行すると、平型導体Cが受入空間21内へ挿入される。該平型導体Cは、その両側縁部がコネクタ2の側壁25の内側壁面に当接し上記幅方向での位置決めがなされる。本実施形態では、平型導体Cは、ホルダ1に対して上記幅方向に可動となっているので、該受入空間21と一致する位置に向け移動することができ、該幅方向でのコネクタ2に対する平型導体Cの位置決めが自動的になされ、狭い間隔で配列されたコネクタ2の端子30の接触部に対して平型導体Cの回路部C1を正確に接続することができる。
このように、本実施形態では、平型導体Cとコネクタ2とが直接当接して幅方向での位置決めが行われるので、製造誤差等に起因してホルダ1と平型導体Cとのずれや、ホルダ1とコネクタ2とのずれが生じていた場合であっても、これらのずれの影響を受けることなく、平型導体Cの正確な位置決めがなされる。
ホルダ付平型導体C’は、図5(B)に示されるように、ホルダの延出部12の前端側部分が、前壁24を貫通して外部へ突出するまで挿入される。この結果、ホルダ1がコネクタ2と嵌合するとともに、平型導体Cの回路部C1に対してコネクタ2の端子の接触部が接圧をもって接触し該回路部C1と端子とが電気的に接続される。また、図5(B)に見られるように、平型導体Cと上記前壁24の後面との間には、前後方向で隙間が形成されており、平型導体Cが該隙間の範囲内で前後方向に可動となっている。
このように、本実施形態では、上記幅方向および上下方向にてホルダ1が筐体4に対して所定範囲内で可動となっているので、ホルダ1とコネクタ2とが平型導体の幅方向および上下方向で製造誤差等に起因してずれていたとしても、筐体同士を組み立てるだけで、自動的に該幅方向および上下方向でのホルダ1とコネクタ2との位置合わせ、さらには、平型導体Cとコネクタ2の端子30との位置合わせがなされる。
本実施形態では、ホルダ1は、板状取付部14の第一上方被規制面14Aおよび腕状取付部15の下側爪部15Eの第二上方被規制面15E−1は、筐体4へのホルダ1の取付けのための係止面としても機能する。つまり、板状取付部14および腕状取付部15は、筐体4に対するホルダ1の移動を規制するための被規制部としての機能そして筐体4へのホルダ1の取付けのための取付部としての機能の両方を有している。本実施形態では、このように被規制部と取付部とが共通部分をもって形成されているので、被規制部と取付部とを別個の部分として形成するよりも、ホルダを小型化することができる。なお、ホルダの小型化が要求されない場合には、被規制部と取付部とを別個の部分として形成してもよいことは論ずるまでもない。
本実施形態では、筐体に対するホルダ1の幅方向での移動の規制は、筐体4の幅規制面42B−1,43B−1およびホルダ1の幅被規制面11B,11Eによってなされるが、上記幅方向での規制の形態はこれに限られない。本実施形態に代わる変形例としては、例えば、板状取付部14側において、筐体4では、第一対応取付部42の主壁部42Aの内壁面(第二対応取付部43側の面)、すなわち、孔部42Dの上方および下方に位置する面を第一幅規制面とするとともに、ホルダ1では、板状取付部14が形成された本体部11の側端面、すなわち該板状取付部14の上方および下方に位置する面を第一幅被規制面とするように構成して、上記幅方向にてホルダ1の第一対応取付部42側への移動を規制してもよい。
また、腕状取付部15側において、筐体4では、第二対応取付部43の主壁部43Aの内壁面(第一対応取付部42側の面)を第二幅規制面とするとともに、ホルダ1では、腕状取付部15の側端面(上記幅方向に対して直角な面)を第二幅被規制面とするように構成して、上記幅方向にてホルダ1の第二対応取付部43側への移動を規制してもよい。
また、本実施形態のように、ホルダ1の本体部11の下面と筐体4の取付対応面41Aが当接可能である場合には、ホルダ1の板状取付部14の第一下方被規制面14Bおよび該第一下方被規制面14Bと係止可能な筐体4の第一対応取付部42の第一下方規制面42F−1は必須ではない。
本実施形態では、ホルダの取付けのための二つの対応取付部を筐体のパネルと一体成形されていることとしたが、これに代えて、二つの対応取付部および該対応取付部同士を連結する連結部を有する部品を形成し、この部品を筐体のパネルに取り付けるようにしてもよい。
<第二実施形態>
第一実施形態では、平型導体Cが筐体4の取付対応面41Aに対して平行に面して延びるようにホルダ付平型導体C’が該筐体4に取り付けられたが、本実施形態では、平型導体が筐体の取付対応面に対して直角に延びるように該筐体に取り付けられる点で第一実施形態と異なっている。本実施形態では、図6において、平型導体の構成は第一実施形態と同様であるので、同一符号を付して説明を省略し、ホルダおよび筐体の構成を中心に説明する。
本実施形態においても、第一実施形態と同様に、ホルダ付平型導体を電子機器の筐体に取り付けた状態でコネクタと接続する場合について説明する。本実施形態のホルダ付平型導体に接続されるコネクタは、図4に示される第一実施形態のコネクタ2と全く同じ構成である。図6は、本実施形態に係るホルダ付平型導体C’の組立前の斜視図であり、平型導体Cとホルダ5とを分離した状態で示している。図7は、本実施形態に係るホルダ付平型導体C’と筐体6の取付孔部62とを示す斜視図であり、該ホルダ付平型導体C’の取付前の状態を示している。
本実施形態のホルダ5は、第一実施形態のホルダ1と同様に、平型導体Cを幅方向で可動に支持する本体部51と、該本体部51から前方へ向けて延出する二つの延出部52を有していて、平型導体Cのホルダ5からの抜けを防止するための係止部53が上記本体部51の上壁に形成されている。上記本体部51、延出部52および係止部53の形状および機能は、第一実施形態の本体部11、延出部12および係止部13と同じであるので、第一実施形態と対応する部分に「40」を加えた符号を付して説明を省略する。
ホルダ付平型導体C’は、平型導体Cの前端側部分を該ホルダ5の後方から本体部51の支持孔部51Aへ挿入することにより組み立てられる。ホルダ付平型導体C’の組立ての要領は、第一実施形態と同じであるので説明は省略する。
ホルダ5は、該ホルダ5を後述の筐体6へ取り付けるための取付部54が、上記幅方向での本体部51の両端位置にて該幅方向に弾性変位可能な弾性腕部として形成されている。また、該ホルダ5は、筐体6に取り付けられた際に、筐体6に対する該ホルダ5の上記幅方向、上下方向および前方への所定量以上の移動の規制を受けるための被規制部55が、本体部11の後端側部分で形成されている。なお、規制を受ける部分は、被規制部55に限らず、本体部51および後述の端壁部56,57にも形成されている。本体部51、取付部54および被規制部55について、筐体6の取付孔部62の構成とともに説明する。
まず、ホルダ5の本体部51、取付部54および被規制部55の説明に先立ち、図7にもとづいて、筐体6の取付孔部62の構成を説明する。図7では、図3と同様に、図示の便宜上、筐体6のパネルの壁部61のうちホルダ付平型導体C’が取り付けられる取付対応面61Aが形成された部分だけが図示されている。
筐体6は、前後方向に対して直角な面をなす壁部61を貫通し、上下方向そして平型導体Cの幅方向で対称な形状をなす取付孔部62が該壁部61に形成されている。該取付孔部62は、ホルダ5の二つの取付部54のそれぞれに対応した位置で後述の取付部54の爪部54Dを受け入れる端孔部62Aと、二つの該端孔部62A同士間にて両端孔部62Aに連通しホルダ付平型導体C’の上記幅方向での平型導体Cの範囲にわたる部分を受け入れるための中央孔部62Bとを有している。
図7に見られるように、該中央孔部62Bは、上記端孔部62Aよりも上下方向での寸法が小さくなっており、該端孔部62Aの上下方向での中間位置で該端孔部62と連通している。また、筐体6の壁部61は、上記中央孔部62Bの上縁で取付孔部62内に下方へ向けて突入する上板部61Bと、該中央孔部62Bの下縁で該取付孔部62内に上方へ向けて突入する下板部61Cとが形成されている。
上記端孔部62Aとの境界をなす上板部61Bそして下板部61Cの両側端面(上記幅方向に対して直角な面)のうち上板部61Bの両側端面は、ホルダ付平型導体C’が幅方向で移動したときにそれぞれホルダ1の上側端壁部56と係止する上側幅規制面61B−1を形成している。また、該上板部61Bの下端面は、ホルダ付平型導体C’が上方へ移動したときにホルダ5の本体部51と係止する上方規制面61B−2を形成している。一方、上記下板部61Cの両側端面(上記幅方向に対して直角な面)は、ホルダ付平型導体C’が幅方向で移動したときにそれぞれホルダ1の下側端壁部57と係止する下側幅規制面61C−1を形成している。また、該下板部61Cの上端面は、ホルダ付平型導体C’が下方へ移動したときにホルダ5の本体部51と係止する下方規制面61C−2を形成している。
壁部61は、その前面(取付対応面61Aと反対側の板面)にて上記幅方向で両端孔部62Aに隣接する領域が、ホルダ付平型導体C’が後方へ移動したときに、後述するホルダ5の取付部54の爪部54Dと係止する前方規制面61Dとして形成されている(図8(B)参照)。また、該壁部61は、その後面たる取付対応面61Aにて、上板部61Bの領域、下板部61Cの領域、上記幅方向で両端孔部62Aに隣接する領域が、ホルダ付平型導体C’が前方へ移動したときにそれぞれホルダ5の被規制部55と係止する第一後方規制面61B−3、第二後方規制面61C−3、第三後方規制面61Eとして形成されている。
次に、ホルダ5の説明に戻る。図7,8に見られるように、ホルダ5の取付部54は、その板厚方向に屈曲されていて上下方向に見て前後方向に延びる二つの腕部をもつU字状をなし、腕部同士の幅を狭めるようにして上記幅方向で弾性変位可能な弾性腕部として形成されている。具体的には、U字状の該取付部54は、上記本体部51の両端側で後方へ向けて延びる内側腕部54Aと、上記幅方向で該内側腕部54Aより外側で該内側腕部54Aと並行して前後方向に延びる外側腕部54Bと、上記内側腕部54Aと外側腕部54Bの後端同士を連結する連結部54Cとを有している。
上記外側腕部54Bの前端は、前後方向で支持孔部51Aの前端縁と同位置にあり、上記幅方向で外方へ向けて突出する爪部54Dが形成されている。該爪部54Dの後面は、前後方向に対して直角な面をなし、ホルダ付平型導体C’が後方へ移動したときに筐体6の前方規制面61Dと係止する前方被係止面54D−1を形成している。また、該爪部54Dの前面は、前方へ向かうにつれて上記幅方向での内方へ傾斜する傾斜面として形成されていて、ホルダ付平型導体C’を筐体6に取り付ける際に上記取付部54を筐体6の端孔部62Aへ向けて案内するための案内面54D−2として機能する。
ホルダの上記被規制部55は、本体部51の後端側部分で前後方向に見て四角形外形の枠状をなしている。該被規制部55は、本体部51の上部および下部にて、上記幅方向で二つの取付部54を含む範囲にわたって直状に延びる上側横部55Aおよび下側横部55Bと、上下方向で直状に延び該上側横部55Aと下側横部55Bの上記幅方向での端部同士を連結する縦部55Cとを有している。上記上側横部55Aそして下側横部55Bの上下方向での寸法は、それぞれ筐体6の上板部61Bそして下板部61Cの上下方向での寸法、すなわち該筐体6の取付孔部62内への突入量より小さくなっている。
上記幅方向での支持孔部51Aの両端位置には、図6,7に見られるように、上記上側横部55Aおよび下側横部55Bの前面から前方へ向けて突出する上側端壁部56および下側端壁部57(図9(A)参照)が形成されている。上記上側端壁部56同士間そして下側端壁部57同士間の距離は、それぞれ筐体6の上板部61Bそして下板部61Cの幅寸法よりも大きくなっている。
二つの上記上側端壁部56の上記幅方向で互いに対向する内面(該幅方向に対して直角な面)は、ホルダ付平型導体C’が幅方向で移動したときに筐体6の上板部61Bの上側幅規制面61B−1と係止する上側幅被規制面56Aを形成している。一方、二つの上記下側端壁部57の上記幅方向で互いに対向する内面(該幅方向に対して直角な面)は、ホルダ付平型導体C’が幅方向で移動したときに筐体6の下板部61Cの下側幅規制面61C−1と係止する下側幅被規制面57Aとして形成されている(図9(A)参照)。
本体部51は、その上面のうち上記幅方向で上記上側端壁部56同士間に位置し上記上側横部55Aの上面よりも没している面が、筐体6の中央孔部62B内に入り込み、ホルダ付平型導体C’が上方へ移動したときに上板部61Bの上方規制面61B−2と係止する上方被規制面51Bを形成している。また、該本体部51は、その下面のうち上記幅方向で上記下側端壁部57同士間に位置し上記下側横部55Bの下面よりも没している面が、上記筐体6の中央孔部62B内に入り込み、ホルダ付平型導体C’が下方へ移動したときに筐体6の下板部61Cの下方規制面61C−2と係止する下方被規制面51Cを形成している(図9(A)参照)。
また、図6に見られるように、上記被規制部55の上側横部55Aそして下側横部55Bの前面のうち、上記幅方向で支持孔部51Aの範囲の面は、ホルダ付平型導体C’が前方へ移動したときにそれぞれ筐体6の第一後方規制面61B−3および第二後方規制面61C−3と係止する第一後方被規制面55A−1、第二後方被規制面55B−1(図9(A)参照)を形成している。一方、上記縦部55Cの前面は、ホルダ付平型導体C’が前方へ移動したときに筐体6の第三後方規制面61Eと係止する第三後方被規制面55C−1を形成している。
次に、図7ないし図9にもとづいて、筐体6へのホルダ付平型導体C’の取付けについて説明する。図8は、図7のホルダ付平型導体C’が筐体6に取り付けられた状態を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図である。図9は、図8(A)のホルダ付平型導体C’および筐体6を前方から見た側面図であり、(B)は(A)のIXB−IXB断面図であり、上下方向での該平型導体Cの位置での断面を示しており、(C)は(A)のIXC−IXC断面図であり、上下方向でのホルダ5の上側端壁部56の上端位置での断面を示している。
まず、図7に示されるように、ホルダ付平型導体C’を、ホルダ5の延出部52が前方へ延びる姿勢で、筐体6の取付孔部62の後方に位置させる。そして、この姿勢を維持したまま該ホルダ付平型導体C’を前方へ向けて移動させて上記取付孔部62に挿入する。
ホルダ付平型導体C’の取付過程にて、ホルダ5の取付部54は該取付部54の爪部54Dの案内面54D−2が、上記幅方向での上記取付孔部62の外側縁部(上下方向に延びる縁部)に当接し当接力を受けると、該取付部54の外側腕部54Bが上記幅方向で内方へ向けて弾性変位する。さらに、取付部54が前方へ向けて移動して上記爪部54Dが筐体6より前方位置に達すると、該取付部54が弾性変位状態から開放されて自由状態に戻る。この結果、図8(B)に見られるように、上記爪部54Dが筐体6の前方位置で該筐体6に対して係止可能に位置し、ホルダ付平型導体C’の取付けが完了する。
このようにしてホルダ付平型導体C’が筐体6に取り付けられると、図8(B)に示されるように、上記爪部54Dの前方被係止面54D−1が筐体6の前方規制面61Dに対して前後方向で間隔をもって対面して係止可能に位置する。また、ホルダ5の被規制部55の前面に形成された後方被規制面55A−1,55B−1,55C−1が、それぞれ筐体6の後面の後方規制面61B−3,61C−3,61Eに対して前後方向で間隔をもって対面して係止可能に位置する。
このように、ホルダ5は、筐体6の前方規制面61Dおよび後方規制面61B−3,61C−3,61Eによって上記間隔を限度として前後方向での所定量以上の移動が規制される。換言すると、ホルダ付平型導体C’に対して前方へ向けて不用意な外力が作用しても、上記後方被規制面55A−1,55B−1,55C−1が後方規制面61B−3,61C−3,61Eにそれぞれ当接して係止する。また、ホルダ付平型導体C’に対して後方へ向けて不用意な外力が作用しても、上記前方被規制面54D−1が前方規制面61Dに当接して係止する。したがって、ホルダ付平型導体C’が筐体6から外れることはない。つまり、本実施形態では、ホルダ5の上記前方規制面61Dおよび後方被規制面55A−1,55B−1,55C−1は、筐体6に対するホルダ5の取付けのための取付面としての機能を有している。
また、図9(A)に見られるように、ホルダ付平型導体C’が筐体6に取り付けられた状態にて、ホルダ5の幅被規制面56A,57Aは、それぞれ筐体6の幅規制面61B−1,61C−1と平型導体Cの幅方向で間隔をもって対面して該幅方向で係止可能に位置する。したがって、ホルダ1は、上記間隔を限度として上記幅方向での所定量以上の移動が規制される。
また、図9(A)に見られるように、ホルダ5の上方被規制面51Bは、筐体6の上方規制面61B−2に対して上下方向で間隔をもって対面して係止可能に位置する。また、ホルダ5の下方被規制面51Cは、筐体6の下方規制面61C−2に対して上下方向で間隔をもって対面して係止可能に位置する。したがって、ホルダ5は、上記間隔を限度として上下方向での所定量以上の移動が規制される。
また、本実施形態では、図9(C)に見られるように、換言すると上側幅被規制面56A同士間そして下側幅被規制面57A(図9(C)には図示せず)同士間の上記幅方向での距離(P1)は、それぞれ筐体6の上板部61Bそして下板部61C(図9(C)には図示せず)の幅寸法(P2)よりも大きい。また、上記幅方向でホルダ5の二つの取付部54にわたる範囲の寸法(外側腕部54Bの外側面同士間の距離)Q1は、筐体6の取付孔部62の幅寸法Q2よりも小さい。
本実施形態では、上記距離P1と寸法P2との差(P1−P2)は、上記寸法Q1と寸法Q2との差(Q2−Q1)よりも小さくなっている。したがって、ホルダ5が筐体6に対して幅方向に移動して、上記幅被規制面56A,57Aが筐体6の幅規制面61B−1,61C−1と係止した状態において、上記取付部54の外側腕部54Bが、取付孔部62の上記幅方向での両側端面(上下方向に延びる端面)に当接することはない。この結果、上記取付部54の外側腕部54Bが上記幅方向での内方へ向けた力を受けて係止解除方向に弾性変位することがないので、ホルダ5が筐体6から外れることを確実に防止できる。
本実施形態では、ホルダ5は、筐体6に対して上下方向、上記幅方向そして前後方向の可動間隔、そして前後方向で上記所定寸法の上記可動間隔よりも狭い若干の間隔(遊び)をもって位置しているので、この間隔の範囲内で筐体6に対して可動となっている。したがって、筐体6に取り付けられたホルダ付平型導体C’をコネクタ2と接続させる際、該ホルダ5が自動的に筐体6に対して調整移動されることにより、コネクタ2との位置合わせが可能となっている。
筐体6に取り付けられたホルダ付平型導体C’を、相手方としての他の筐体(図示せず)に取り付けられた回路基板Aに接続されたコネクタ2(図4参照)と接続するための接続動作は、第一実施形態における接続動作と同様である。つまり、コネクタ2との嵌合過程にて、該ホルダ5がコネクタ2に対して上記幅方向および上下方向で一致する位置へ移動して、コネクタ2に対するホルダ付平型導体C’の大まかな位置決めが自動的になされる。次に、該平型導体Cの両側縁部がコネクタ2の側壁25の内側壁面に当接し、平型導体Cがコネクタ2の受入空間21と一致する位置に向け移動して、該幅方向でのコネクタ2に対する平型導体Cの位置決めが自動的になされる。
第一および第二実施形態では、ホルダ付平型導体を筐体に取り付けた状態でコネクタと接続させる形態について説明したが、これに代えて、ホルダ付平型導体を筐体に取り付けることなくコネクタと接続させてもよい。かかる場合には、筐体への取付けのための取付部をホルダに形成することは必須ではない。
<第三実施形態>
第一実施形態では、コネクタ2に対するホルダ付平型導体C’の挿抜方向が前後方向であったが、本実施形態では、該挿抜方向が上下方向である点で第一実施形態と異なっている。本実施形態における平型導体Cは、回路部C1が該平型導体Cの下面で露呈している点を除き、第一実施形態と構成が同様であるので、平型導体Cについては同一符号を付して説明を省略し、ホルダおよびコネクタの構成を中心に説明する。
本実施形態では、ホルダ付平型導体を、電子機器の筐体に取り付けることなく、コネクタと接続する場合の例であり、これについて説明する。図10は、本実施形態に係るホルダ付平型導体C’とコネクタ8とを示す斜視図であり、接続前の状態を示している。本実施形態のホルダ7は、図10にて矢印で示されるように、平型導体Cの面に対して直角方向となる上方からコネクタ8に嵌合されるようになっている。該ホルダ7は、筐体への取付けのため取付部を有してない点、そして案内部が該ホルダ7の下面に形成されている点で、取付部を有し、案内部が延出部の前端に形成された第一実施形態のホルダ1と構成が異なっている。
上記ホルダ7は、第一実施形態のホルダ1と同様に、平型導体Cを幅方向で可動に支持する本体部71と、該本体部71から前方へ向けて延出する二つの延出部72を有していて、ホルダ7からの平型導体Cの抜けを防止するための係止部(図示せず)が上記本体部71の上壁に形成されている。上記本体部71そして係止部の形状および機能は、第一実施形態の本体部11そして係止部13と同じである。また、上記延出部72は、該延出部72の前端に案内部が形成されていない点を除き、第一実施形態の延出部12と形状および機能が同じである。本実施形態では、第一実施形態と対応する部分に「60」を加えた符号を付している。
図10に見られるように、ホルダ7の下面には、ホルダ7をコネクタ8に向けて案内するための案内部76が下方へ向けて先細り形状をなす円錐頭部を有する短柱状に形成されている。該案内部76は、平型導体Cの幅方向では延出部72の同位置に、そして前後方向では本体部71と延出部72との境界に位置している。
ホルダ付平型導体C’は、平型導体Cの前端側部分を、該ホルダ7の後方(図10での右方)から本体部71の支持孔部へ挿入することにより組み立てられる。ホルダ付平型導体C’の組立ての要領は、第一実施形態と同じであるので説明は省略する。
コネクタ8は、ハウジング80と、該ハウジング80に配列保持された複数の端子90とを有している。該ハウジング80は、回路基板(図示せず)の面に平行に延びる底壁81と、該底壁81の前端位置で上方へ向けて起立して上記幅方向に延びる前壁82と、該前壁82の両端部から後方へ向けて延び平型導体Cの幅方向で互いに対向する側壁83とを有している。上記幅方向での該側壁83同士間の距離は平型導体Cの幅寸法とほぼ等しくなっている。該前壁82および側壁83によって囲まれる空間は、上方からホルダ付平型導体C’を受け入れるための受入空間84として形成されている。
また、底壁81には、該底壁81の上面で前後方向に延びるとともに上記前壁82を貫通する端子溝85が上記幅方向で配列形成されていて、該端子溝85で端子90を保持している。また、該底壁81は、上記幅方向での両端寄り位置、かつ、前後方向での後端寄り位置に、該底壁81を上下方向に貫通して形成された案内孔部86が形成されている。
複数の端子90は、全体的に前後方向に延びた形状をなし、ハウジング80の前方(図10での左方)から上記端子溝85に配設されて保持されており、後述するように接触部の位置が互いに異なる第一端子91および第二端子92から成り、該第一端子91と第二端子92とが上記幅方向で交互に配列されている。該端子91,92は、平型導体Cの回路部C1に対して下方から接圧をもって接触するための接触部91A,92Aをそれぞれ端子91の後端側そして端子92の前後方向での中間位置に有している。また、該端子91,92は、回路基板の対応回路部(図示せず)に半田接続される接続部91B,92Bを前端側に有している。端子91,92がハウジング80の端子溝85で保持されている状態では、図10に示されるように、上記接触部91A,92Aが端子溝85から上方へ突出するとともに、上記接続部91B,92Bがハウジング80の前壁82からハウジング80外に延出している。
次に、図10にもとづいて、ホルダ付平型導体C’とコネクタ8との接続動作について説明する。まず、図10に見られるように、ホルダ付平型導体C’を、ホルダ1の延出部72が前方へ向けて延びるような姿勢で、回路基板(図示せず)に半田接続されたコネクタ8の上方に位置させる。次に、図10にて、矢印で示されるように、ホルダ付平型導体C’を下方へ移動させて、ホルダ7を受入空間84内へ収める。
上記ホルダ付平型導体C’を上記受入空間84内へ収める過程にて、まず、ホルダ7の案内部76が、コネクタ8の案内孔部86内で平型導体Cの幅方向および前後方向で案内される。この結果、該ホルダ7は、コネクタ8に対して上記幅方向および前後方向で一致する位置へ移動して、コネクタ2に対するホルダ付平型導体C’の大まかな位置決めがなされる。
また、平型導体Cは、その両側縁部がコネクタ8の側壁83の内側壁面に当接し上記幅方向での位置決めがなされる。本実施形態では、平型導体Cは、ホルダ7に対して上記幅方向に可動となっているので、上記幅寸法で該受入空間84と一致する位置に向け移動することができ、該幅方向でのコネクタ2に対する平型導体Cの位置決めが自動的になされる。
ホルダ付平型導体C’がさらに下方へ移動して、ホルダ7とコネクタ8との嵌合が完了すると、平型導体Cの回路部C1に対してコネクタ8の端子91,92の接触部91A,92Aが接圧をもって接触して、該回路部C1と端子91,92とが電気的に接続される。
本実施形態では、ホルダ付平型導体を筐体に取り付けずにコネクタと接続させる形態について説明したが、これに代えて、ホルダ付平型導体を筐体に取り付けた状態でコネクタと接続させてもよい。この場合には、筐体への取付けのための取付部をホルダに形成する必要がある。
第一ないし第三実施形態では、平型導体の側縁部に切欠部を形成して該切欠部の前縁部をホルダに対する被係止部としたが、これに代えて、例えば、平型導体の両側縁寄り位置に孔部を形成して、該孔部の前縁部を被係止部としてもよい。
第一ないし第三実施形態では、ホルダは二つの延出部を有することとしたが、延出部の数はこれに限られず、平型導体の幅方向で互いに間隔をもって配される三つ以上の延出部を有していてもよい。この場合、ホルダに支持される平型導体の側縁部は、複数の延出部のうち上記幅方向での両端に位置する該延出部の上記溝部から外側に突出して位置する。
第一ないし第三実施形態では、ホルダの本体部の支持孔部そして延出部の溝部へ平型導体を後方から挿通することにより、該平型導体をホルダに取り付けたが、平型導体の取付けの形態はこれに限られない。例えば、上下方向での支持孔部そして延出部の位置で分割可能な上側部材および下側部材の二つの部材を組み立ててホルダを得られるようにしておき、ホルダへの平型導体の取付時には、まず、下側部材の支持孔部そして溝部に平型導体を上方から配置した後、上側部材を下側部材に対して上方から組み立てることにより、支持孔部そして溝部内に平型導体を収容して支持するようにしてもよい。