JP2013120279A - 電子写真用部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材、弾性層及びフッ素樹脂表層を有する電子写真用部材の製造方法であって、不飽和脂肪族基含有ジメチルポリシロキサン含有シロキサンポリマーとケイ素原子に直接結合している水素原子含有シロキサンオリゴマーとを含み、不飽和脂肪族基の濃度が該水素原子の濃度よりも低い第1付加硬化型シリコーンゴム混合物を硬化させて第1シリコーンゴム層を形成し、この層の表面に、上記シロキサンオリゴマー及び上記シロキサンポリマーを含み、不飽和脂肪族基の濃度が、該水素原子の濃度よりも高い第2付加硬化型シリコーンゴム混合物の層を形成し硬化させて第2シリコーンゴム層を形成し、シリコーンゴム層間にSi−C−C−Si結合を形成させて2つのシリコーンゴム層を接着して弾性層とする工程を含む。
【選択図】図1
Description
このような定着部材において、外部熱源からの熱を効率良く定着部材の昇温に繋げ、かつ、定着工程で紙が接しない部分の定着部材の過熱を回避するために、断熱性の高いゴム層を下層とし、熱伝導性の良好なゴム層を上層とした積層構造の弾性層とすることが提案されている。
このような積層構造のゴム層とする場合において、上層と下層のゴム層間の接着性を確保するために、従来は、下層の表面にプライマー処理を施した後に、上層を形成することが行われている。(特許文献1、特許文献2)。
そこで、本発明の目的は、2層または2層以上のシリコーンゴム層を積層することによって形成された弾性層を有し、かつ、当該シリコーンゴム層同士の接着性の高い定着部材の製造方法の提供にある。
該弾性層の形成工程として、
不飽和脂肪族基含有ジメチルポリシロキサンを有するシロキサンポリマーとケイ素原子に直接結合している水素原子を有しているシロキサンオリゴマーとを含み、
不飽和脂肪族基の濃度が、ケイ素原子に直接結合している水素原子の濃度よりも低い第1の付加硬化型シリコーンゴム混合物を硬化させて第1のシリコーンゴム層を形成したのち、
該第1のシリコーンゴム層の表面に、
ケイ素原子に直接結合している水素原子を有しているシロキサンオリゴマーと、不飽和脂肪族基含有ジメチルポリシロキサンとを有するシロキサンポリマーとを含み、
不飽和脂肪族基の濃度が、ケイ素原子に直接結合している水素原子の濃度よりも高い第2の付加硬化型シリコーンゴム混合物の層を形成し、該第2の付加硬化型シリコーンゴム混合物の層を硬化させて第2のシリコーンゴム層を形成するとともに、該第1および第2のシリコーンゴム層との間にSi―C−C−Si結合を形成させることにより該第1および第2のシリコーンゴム層を接着し該弾性層となす工程を含む電子写真用部材の製造方法が提供される。
ここで、弾性層の形成材料として一般的に用いられている付加硬化型シリコーンゴムは、主剤としてのビニル基、アリル基等の不飽和脂肪族基含有のシロキサンポリマーと、架橋剤としてのケイ素原子に直接結合している水素原子を有しているシロキサンオリゴマーと、上記シロキサンポリマーおよび上記シロキサンオリゴマー間でのヒドロシリル化反応を促進させるためのPt系触媒とを含むものである。
加圧ローラ1は、予めプライマー処理された金属製円柱芯金11上に、第1のシリコーンゴム層12と第2のシリコーンゴム層13との積層体からなる弾性層を有する。
そして、第1のシリコーンゴム層は、不飽和脂肪族基の濃度が、ケイ素原子に直接結合している水素原子の濃度よりも低い、液状の付加硬化型シリコーンゴム混合物(以降、「第1の付加硬化型シリコーンゴム混合物」ともいう)の硬化物からなる。また、第2のシリコーンゴム層は、第1のシリコーンゴム層12の表面に、不飽和脂肪族基の濃度が、ケイ素原子に直接結合している水素原子の濃度よりも高い液状の付加硬化型シリコーンゴム混合物(以降、「第2の付加硬化型シリコーンゴム混合物」ともいう)を適用し、硬化させることによって形成される。ここで、第1のシリコーンゴム層の表面に形成された、第2のシリコーンゴム混合物の層を硬化させると同時に、第1のシリコーンゴム層と第2のシリコーンゴム層の接着がなされ、弾性層が形成される。
すなわち、第1のシリコーンゴム層の表面に、第2のシリコーンゴム層形成用の液状の付加硬化型シリコーンゴム混合物を適用したとき、第2のシリコーンゴム層形成用の液状の付加硬化型シリコーン混合物の主剤としてのビニル基含有シロキサンポリマーは、既に硬化している第1のシリコーンゴム層内へは浸透し難い。そのため、第1のシリコーンゴム層との界面近傍に十分な量の不飽和脂肪族基が存在することとなる。
しかし、本発明に係る加圧ローラのように、弾性層の表面が、フッ素樹脂表層で被覆されていると、弾性層への酸素の供給が制限されるため、弾性層は老化しやすい環境にあるといえる。
しかしながら、本発明に係る方法によって形成された弾性層を有する電子写真用部材は、そのような環境において、第1のシリコーンゴム層および第2のシリコーンゴム層との間の接着は強固に維持される。
1−1.芯金の周面のプライマー処理;
金属製円柱/円筒状の芯金の周面にシリコーン系プライマー処理を施す。シリコーン系プライマーは、例えばDY−39−051、DY−39−067(いずれも商品名、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)やプライマーNo.101(商品名、信越化学工業株式会社製)のような付加硬化型シリコーンゴム用プライマーを用い得る。
シリコーン系プライマーを厚み1〜10μmで塗工し、150〜200℃で15〜45分間熱処理を行なえばよい。
次に、第1のシリコーンゴム層形成用の液状の付加硬化型シリコーンゴム混合物(以降、第1のシリコーンゴム混合物)ともいう)を用いて第1のシリコーンゴム層を芯金上に形成する。
一般に、付加硬化型シリコーンゴム混合物は、不飽和脂肪族基を有するシロキサンポリマーと、ケイ素に結合した水素原子を有するシロキサンオリゴマー、およびヒドロシリル化反応の触媒、例えば、白金化合物を含む。
分子両末端が(R1)2R2SiO1/2で表され、中間単位が(R1)2SiOおよびR1R2SiOで表される直鎖状オルガノポリシロキサン、あるいは中間単位にR1SiO3/2乃至SiO4/2が含まれる分岐状オルガノポリシロキサン。
ここでR1はケイ素原子に結合した、脂肪族不飽和基を含まない1価の非置換または置換炭化水素基を表す。具体例は、以下のものが挙げられる。アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等);アリール基(フェニル基等);置換炭化水素基(例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−シアノプロピル基、3−メトキシプロピル基等)。
特に、合成や取扱いが容易で、優れた耐熱性が得られることから、R1の50%以上がメチル基であることが好ましく、すべてのR1がメチル基であることが特に好ましい。
また、R2はケイ素原子に結合した不飽和脂肪族基を表しており、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基が例示され、合成や取扱いが容易で、架橋反応も容易に行われることから、ビニル基が好ましい。
ケイ素原子に結合した水素原子の数は、1分子中に平均3個を越える数である。
特に、熱伝導性を向上させる目的では、フィラーとしては高熱伝導性であることが好ましい。具体的には、無機物、特に金属、金属化合物等を挙げることができる。
高熱伝導性フィラーの具体例は、例えば、炭化ケイ素(SiC);窒化ケイ素(Si3N4);窒化ホウ素(BN);窒化アルミニウム(AlN);アルミナ(Al2O3);酸化亜鉛(ZnO);酸化マグネシウム(MgO);シリカ(SiO2);銅(Cu);アルミニウム(Al);銀(Ag);鉄(Fe);ニッケル(Ni)等が挙げられる。
これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。高熱伝導性フィラーの平均粒径は取り扱い上、および分散性の観点から1μm以上50μm以下が好ましい。また、形状は球状、粉砕状、針状、板状、ウィスカ状などが用いられるが、分散性の観点から球状のものが好ましい。
ここで、第2のシリコーンゴム層の形成用の、液状の付加硬化型シリコーンゴム混合物(以降、「第2のシリコーンゴム混合物」ともいう)は、第1のシリコーンゴム混合物と同様に、不飽和脂肪族基を有するシロキサンポリマーと、ケイ素に結合した水素原子を有するシロキサンオリゴマー、およびヒドロシリル化反応の触媒、例えば、白金化合物を含む。これらの不飽和脂肪族基を有するシロキサンポリマー、および、ケイ素に結合した水素原子を有するシロキサンオリゴマーの具体例としては、上記した、第1のシリコーンゴム混合物に用いられるものと同様のものが挙げられる。
・リングコート法やブレードコート法で、第2のシリコーンゴム混合物を塗工し、塗工膜を硬化する方法。
・第1のシリコーンゴム層を形成後に、内面にフッ素樹脂チューブを装着した円筒状金型に第1のシリコーンゴム層を形成した芯金を装着し、第1のシリコーンゴム層とチューブ内面に第2のシリコーンゴム層の付加反応型シリコーンゴム混合物を充填し、加熱硬化する方法。
次に、該二層ローラ上に離型層としてのフッ素樹脂層を形成する。チューブを被覆する場合、或いは、フッ素樹脂塗料をコート焼成して離型層とすることができる。
PFAチューブの内径は、弾性層の外径に対して、−0.1mm〜+0.1mmのものが好適に用いられる。かかるPFAチューブを用いることで、被覆時のPFAチューブの裂け、および、PFAチューブの塑性変形による電子写真用部材の表面の不均一化を避け得る。
A.付加硬化型シリコーンゴムA:表1−1に示す付加硬化型シリコーンゴム混合物を調製した。主剤として平均分子量9万(25℃における粘度が40000mm2/s)の不飽和脂肪族基含有ジメチルポリシロキサンとしてのビニル基含有ジメチルシロキサンポリマー(ビニル基濃度0.34mol%/Si)、架橋剤としてメチルハイドロジェンポリシロキサン(25℃における粘度が30mm2/s)、触媒として白金化合物、フィラーとしてシリカ粉末を主としてなる比重1.03なる混合物。混合物中のビニル基濃度とSiH濃度の大小関係はメチルハイドロジェンポリシロキサンの添加量で調整してある。
混合物中のビニル基濃度及びSiH濃度は、フィラー等を分離した各混合物の1H−NMR分析(商品名:AL400型 FT−NMR;日本電子株式会社製)によるSi-CH3由来のピーク強度、Si-ビニルに由来するピーク、及びSi-Hに由来するピークから、ビニル基とSiHの総Siに対する相対量を算出、これと各混合物の比重等を基に特定した。
ビニル基のSiHに対する過不足分濃度(mol/m3)=混合物中のビニル基濃度(mol/m3)―混合物中のSiH濃度(mol/m3)
外径20mmのアルミ製円柱状の芯金を用意し、その周面にプライマー(商品名:DY−39−051、東レダウシリコーン株式会社製)を10μmの厚みで塗布し、150℃の熱風循環炉内に30分間放置して焼き付けた。
次いで、上記付加硬化型シリコーンゴム混合物を表2に示す組み合わせで使用して、積層構造を有する弾性層を形成した。
該塗膜の厚みは、該塗工ヘッド231と芯金21とのクリアランス、シリコーンゴム混合物の供給速度、芯金21の移動速度、などによって制御することが出来る。
こうして、第1のシリコーンゴム層の表面に、厚みが0.5mmの第2のシリコーンゴム層を形成し、厚さが3.0mmの弾性層を形成した。
図3には上記加圧ローラの密封環境下の接着性を評価する加熱定着装置の概略断面図を示す。
この加熱定着装置において、33は加熱定着部材としてのシームレス形状の定着ベルトである。この定着ベルト33を保持するために耐熱性・断熱性の樹脂によって成型された、ベルトガイド部材34が形成されている。
このベルトガイド部材34と定着ベルト33の内面とが接触する位置に熱源としてのセラミックヒータ35を具備する。
セラミックヒータ35はベルトガイド部材34の長手方向に沿って成型具備された溝部に嵌入して固定支持されている。セラミックヒータ35は、不図示の手段によって通電され発熱する。
シームレス形状の定着ベルト33はベルトガイド部材34にルーズに外嵌させてある。加圧用剛性ステイ36はベルトガイド部材34の内側に挿通してある。
加圧部材としての加圧ローラ37は上記実施例の加圧ローラである。
芯金37aの両端部を装置に不図示の手前側と奥側のシャーシ側板との間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。なお、符号37bは、加圧ローラの弾性層であり、符号37cは加圧ローラの表層である。
加圧用剛性ステイ36の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設することで、加圧用剛性ステイ36に押し下げ力を付与している。
これによってベルトガイド部材34の下面に配設したセラミックヒータ35の下面と加圧部材としての加圧ローラ37の上面とが定着ベルト33を挟んで圧接して所定の定着ニップ部38が形成される。
この定着ニップ部38に未定着トナーTによって画像が形成された、被加熱体となる被記録材Pを挟持搬送させる。これにより、トナー像を加熱、加圧する。その結果、トナー像は溶融・混色、その後、冷却されることによって被記録材上にトナー像が定着される。
一方、不飽和脂肪族基濃度が、ケイ素原子に直接結合している水素原子の濃度よりも低い付加硬化型シリコーンゴム混合物を硬化して形成された第1のシリコーンゴム層中には、未反応のケイ素原子に直接結合している水素原子が存在している。そのため、第1のシリコーンゴム層の表面とその近傍に存在する、ケイ素原子に直接結合している水素原子と、第2のシリコーンゴム層形成用の付加硬化型シリコーン混合物の塗膜中に過剰量存在する不飽和脂肪族基とが、第1のシリコーンゴム層と、第2のシリコーンゴム層形成用の付加硬化型シリコーンゴム混合物の塗膜との界面において、ヒドロシリル化反応を生じ、その結果として、第1のシリコーンゴム層と第2のシリコーンゴム層との間には、Si−C−C−Si結合が形成されているものと考えられ、これにより、第1及び第2のシリコーンゴム層間には高い接着性が生じているものと考えられる。
11 芯金
12 第一層目のシリコーンゴム層
13 第二層のシリコーンゴム層
14 フッ素樹脂層
Claims (1)
- 基材と、弾性層と、フッ素樹脂表層とを有する電子写真用部材の製造方法であって、
該弾性層の形成工程として、
不飽和脂肪族基含有ジメチルポリシロキサンを有するシロキサンポリマーとケイ素原子に直接結合している水素原子を有しているシロキサンオリゴマーとを含み、
不飽和脂肪族基の濃度が、ケイ素原子に直接結合している水素原子の濃度よりも低い第1の付加硬化型シリコーンゴム混合物を硬化させて第1のシリコーンゴム層を形成したのち、
該第1のシリコーンゴム層の表面に、
ケイ素原子に直接結合している水素原子を有しているシロキサンオリゴマーと、不飽和脂肪族基含有ジメチルポリシロキサンとを有するシロキサンポリマーとを含み、
不飽和脂肪族基の濃度が、ケイ素原子に直接結合している水素原子の濃度よりも高い第2の付加硬化型シリコーンゴム混合物の層を形成し、該第2の付加硬化型シリコーンゴム混合物の層を硬化させて第2のシリコーンゴム層を形成するとともに、該第1および第2のシリコーンゴム層との間にSi−C−C−Si結合を形成させることにより該第1および第2のシリコーンゴム層を接着し該弾性層となす工程を含むことを特徴とする電子写真用部材の製造方法。
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