JP2013119882A - 車両用変速装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】奇数段の変速ギヤが設けられた第1の入力軸7と、偶数段の変速ギヤが設けられた第2の入力軸8と、クラッチ3を介して、エンジン1の駆動軸13から動力が伝達される第1の動力伝達軸5と、駆動軸13から動力が伝達される第2の動力伝達軸6と、第1の動力伝達軸5を、第1の入力軸7及び第2の入力軸8のいずれか一方に接続可能な第1の切換手段11と、第2の動力伝達軸6を、第1の入力軸7及び第2の入力軸8のいずれか一方に接続可能な第2の切換手段12と、駆動軸13から第2の切換手段12への動力の伝達のみ許容するワンウェイクラッチ4と、奇数段または偶数段の変速ギヤを介して第1の副軸9または第2の副軸10から動力が伝達され、走行駆動輪に動力を伝達する出力軸18と、を備える。
【選択図】図1
Description
そこで、変速時におけるトルク切れを低減する技術として、上記のような2つの入力軸及び2つのクラッチを有するデュアルクラッチ式変速装置に、更に流体継手と2つのワンウェィクラッチを備え、流体継手及びワンウェイクラッチを介して常時2つの入力軸に動力を伝達可能とする構造が提案されている(特許文献1)。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、変速装置の大きさや重量の増加を抑えつつ、容易な制御で変速中のトルク切れを抑制可能な車両用変速装置を提供することにある。
また、請求項3の発明は、請求項1または2において、ワンウェイクラッチは、駆動軸と同軸線上に配置されていることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに1項において、第2の切換手段は、出力軸上に配置されていることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5において、第2の切換手段と第1の入力軸または第2の入力軸との間の変速ギヤは、第1のグループまたは第2のグループの変速段の変速ギヤと共有することを特徴とする。
更には、第2の切換手段を切換作動させることで、第2の動力伝達軸が第1の入力軸及び第2の入力軸のいずれにも選択的に接続可能であるので、変速中におけるワンウェイクラッチを介した動力伝達時に、変速ギヤの選択に応じて変速比を変化させることが可能である。したがって、変速中でのエンジン回転速度の変化を抑え、変速フィーリングを向上させることができる。
本発明の請求項2の車両用変速装置によれば、第1のグループ及び第2のグループが、奇数の変速段と偶数の変速段とに分けられるので、いずれか一方のグループの変速段でエンジンにより走行している状態からその前後の変速段に変速する際に、第1の切換手段を切換えて他方のグループの変速段に変速することができる。したがって、変速段の切断をする前に次の目標変速段を接続するプレシフトが可能となり、継ぎ目のない変速が可能となる。
また、本発明の請求項4の車両用変速装置によれば、第2の切換手段が出力軸上に配置されているので、第2の切換手段を支持する軸を追加する必要がなく、変速装置の構造の複雑化及び幅方向の寸法の増大を抑制することができる。
[第1実施例]
本発明の第1の実施形態に係る車両用変速装置は、走行駆動源としてエンジン1を横置きに搭載した車両に適用される、前進5段後進1段の変速装置である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両用変速装置の変速機部2の模式図である。
第1の動力伝達軸5は、一端部にクラッチ3を介してエンジン1の駆動軸13から動力が伝達されるとともに、他端部に第1の切換機構11(第1の切換手段)が接続されている。
第2の入力軸8は、中空状に形成され、内部に第1の動力伝達軸5が相互回転可能に挿入されて第1の動力伝達軸5と同軸に配置されるとともに、エンジン1とは反対側の端部に第1の切換機構11が接続されている。
ワンウェイクラッチ4は、第2の動力伝達軸6に介装され、第2の動力伝達軸6の一端部から他端部、即ちエンジン1の駆動軸13から切換機構前段固定ギヤ20aへの動力の伝達のみ許容する機能を有している。
第1の副軸9及び第2の副軸10は、第1の動力伝達軸5、第1の入力軸7及び第2の入力軸8と軸線が平行になるように夫々離間して配置されているとともに、エンジン1側の端部に出力ギヤ15、16が夫々固定されている。第1の副軸9及び第2の副軸10は、夫々の出力ギヤ15、16、デフ17及びドライブシャフト18(出力軸)を介して、図示しない走行駆動輪に動力を伝達可能となっている。なお、第1の副軸9及び第2の副軸10は、本発明の出力軸に含まれる。
このようなギヤ配置により、1速用固定ギヤ31aと1速用遊転ギヤ31bとで1速ギヤ31を構成し、2速用固定ギヤ32aと2速用遊転ギヤ32bとで2速ギヤ32を構成し、3速及び5速用固定ギヤ33aと3速用遊転ギヤ33bとで3速ギヤ33を構成し、4速用固定ギヤ34aと4速用遊転ギヤ34bとで4速ギヤ34を構成し、3速及び5速用固定ギヤ33aと5速用遊転ギヤ35bとで5速ギヤ35を構成し、1速用固定ギヤ31aと1速用遊転ギヤ31bとリバース用遊転ギヤ37bとでリバースギヤ37を構成する。
変速機部2には、シンクロスリーブ41、42、43が備えられており、シンクロスリーブ41〜43は、図示しないシフトフォークによって第1の副軸9または第2の副軸10の軸線に沿ってスライド移動させられる。このうち第1のシンクロスリーブ41及び第2のシンクロスリーブ42は、第1の副軸9の軸線に沿ってスライド移動可能に設置されている。第3のシンクロスリーブ43は、第2の副軸10の軸線に沿ってスライド移動可能に設置されている。
図2は、各変速段選択時での各シンクロスリーブ41〜43及び各切換機構11、12の切換状態を示す表である。図中の欄内の●は契合を示し、空白は開放(非契合)を示している(図3、図12においても同様に示す)。
まず、奇数段から偶数段への変速、例えば1速から2速への変速時について、図3〜図11を用いて説明する。
図3は、1速から2速への変速時における各動作中での、クラッチ3、第1の切換機構11、第2の切換機構12、第1のシンクロスリーブ41及び第2のシンクロスリーブ42の切換状態を示す表である。なお、1速から2速への変速中においては、第3のシンクロスリーブ43は常に契合しない開放状態である。図4〜11は、変速時における各作動状態での動力の伝達経路を示す説明図である。なお、図4〜11において、変速機部2内での動力の伝達径路を太線にて示している。
次に、図3中番号3及び図6に示すように、切換機構前段遊転ギヤ20bと3速用遊転ギヤ33bとが接続するように第2の切換機構12を作動させる(SC)(変速アシストオン)。
次に、図3中番号6に示すように、クラッチ3を契合させる。これにより、図9に示すように、エンジン1の駆動軸13から、クラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第2の入力軸8、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、第2のシンクロスリーブ42、第1の副軸9を介して、出力軸18に動力が伝達される。したがって、2速の動力伝達路が確保されることとなる(クラッチ契合)。
次に、図3中番号8及び図11に示すように、第1のシンクロスリーブ41の接続を解除させる(1速シンクロ開放)。以上により、1速から2速への変速が完了する。
次に、図12を用いて、偶数段から奇数段への変速、例えば2速から3速への変速について説明する。
2速走行中では、図12中番号1に示すように、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SB)とともに、第1の副軸9と2速用遊転ギヤ32bとが接続するように第2のシンクロスリーブ42を作動させ(S2)、クラッチ3を接続している。
次に、図12中番号3に示すように、切換機構前段遊転ギヤ20bと切換機構後段遊転ギヤ21bとが接続するように第2の切換機構12を作動させる(SD)(変速アシストオン)。
次に、図12中番号5に示すように、第1の動力伝達軸5と第1の入力軸7とが接続するように第1の切換機構11を作動させる(SA)(動力経路切換え)。
次に、図12中番号6に示すように、クラッチ3を契合させる。これで、3速の動力伝達路が確保される(クラッチ契合)。
次に、図12中番号8に示すように、第2のシンクロスリーブ42を開放させる(2速シンクロ開放)。以上により、2速から3速への変速が完了する。
なお、他の偶数段から奇数段へのアップシフト時では、上記の2速から3速への変速と同様にクラッチ3、各切換機構11、12と、変速段に応じたシンクロスリーブ41〜43とを作動制御すればよい。
以上のように、制御することで、第1の切換機構11を切換えることで、エンジン1からクラッチ3、奇数段及び偶数段のいずれか一方の変速段の変速ギヤを介して出力軸18に動力が伝達可能となるので、エンジン1は奇数段及び偶数段のいずれの変速段でも出力軸18に動力が伝達して走行可能となる。
特に、本実施形態では、第2の切換機構12を接続させることで、エンジン1からワンウェイクラッチ4、奇数段及び偶数段のいずれか一方の変速段の変速ギヤを介しても出力軸18に動力が伝達可能な構成となっている。そして、変速時に第1の切換手段11を切換えるべくクラッチ3を切断しているときにも、ワンウェイクラッチ4を介して出力軸18に動力が伝達可能であるので、変速時におけるトルク切れを抑制することができる。
本実施形態では、図13中Aで示したように、各変速段の変速時において、変速中のクラッチ3開放時に、出力トルク比が0とならず、上記のようにワンウェイクラッチ4を介したエンジン1からの動力の伝達により出力トルクが維持される。
また、第2の切換手段12が第2の副軸10上に配置されているので、第2の切換手段12を支持する軸を追加する必要がなく、変速機部2の構造の複雑化及び幅方向の寸法を抑制することができる。
[第2実施例]
上記第1の実施形態では、エンジン横置きの車両に本発明を適用しているが、エンジン縦置きの車両にも適用可能である。
本発明の第2実施形態の変速機部50は、前進6段後進1段の変速装置である。
図15に示すように、変速機部50は、エンジン1の縦置きに伴って、各動力伝達軸5、6及び各入力軸7、8が車両前後方向に延びるように配置されている。
本実施形態では、変速機部50の各遊転ギヤ31b〜33b、35b〜37bを枢支する副軸51が1本となっており、出力軸18が第1の入力軸7と同軸上にエンジン1とは反対側に配置されている。
本実施形態の変速機部50では、第2の動力伝達軸6は、第1の動力伝達軸5や副軸51と軸線が平行になるように離間して配置されている。第2の動力伝達軸6上にワンウェイクラッチ4及び第2の切換機構12が配置されている。したがって、第1の実施形態において第2の切換機構12とワンウェイクラッチ4との間に配置された切換機構前段固定ギヤ20aと切換機構前段遊転ギヤ20bとからなる変速ギヤ20が、ワンウェイクラッチ4とエンジン1の駆動軸13との間に配置されている。第2の切換機構12の後段には、切換機構後段変速ギヤ21c、21dが備えられ、切換機構後段変速ギヤ21cが6速用固定ギヤ36aと契合して第1の入力軸に7に接続され、切換機構後段変速ギヤ21dが5速用固定ギヤ35aと契合して第2の入力軸に8に接続されている。
本実施形態では、副軸51が1つとなっているので、変速機部50の幅寸法を抑えることができ、縦置きエンジン車の変速装置に適している。
[第3実施例]
図16は、本発明の第3の実施形態に係る変速装置の変速機部60の模式図である。
図16に示すように、変速機部60の第1の入力軸7には、エンジン1とは反対側から順番に2速用固定ギヤ32aと4速及び6速用固定ギヤ34aが固定され、第2の入力軸8には、エンジン1とは反対側から順番に3速用固定ギヤ33aと5速用固定ギヤ35aが固定されている。第1の副軸9には、エンジン1とは反対側から順番に、2速用遊転ギヤ32b、6速用遊転ギヤ36b、3速用遊転ギヤ33b、5速用遊転ギヤ35bが枢支されている。第2の副軸10には、エンジン1とは反対側から順番に、リバース用遊転ギヤ37b、4速用遊転ギヤ34b、切換機構後段遊転ギヤ21b、切換機構前段遊転ギヤ20bが枢支されている。
更に、本実施形態では、3速用遊転ギヤ33bと6速用遊転ギヤ36bとの間に、第1の副軸9に枢支されたワンウェイクラッチ61が設けられている。ワンウェイクラッチ61は、3速用遊転ギヤ33bから6速用遊転ギヤ36bに動力を伝達し、6速用遊転ギヤ36bから3速用遊転ギヤ33bへは動力を伝達不能とする機能を有している。
本実施形態では、1速走行中では、図17に示すように、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させるとともに(SA)、第1の副軸9と2速用遊転ギヤ32bとが接続するように第1のシンクロスリーブ41を作動させ(S2)、クラッチ3を接続している。この状態では、エンジン1の駆動軸13から、クラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第2の入力軸8、3速用固定ギヤ33a、3速用遊転ギヤ33b、ワンウェイクラッチ61、6速用遊転ギヤ36b、6速用固定ギヤ36a、第1の入力軸7、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、第1のシンクロスリーブ41、第1の副軸9を介して出力軸18に動力が伝達される。
本実施形態では、後進1速走行中では、図20に示すように、第1の動力伝達軸5と第2の入力軸8とが接続するように第1の切換機構11を作動させるとともに(SA)、第2の副軸10とリバース用遊転ギヤ37bとが接続するように第3のシンクロスリーブ43を作動させ(SR)、クラッチ3を接続している。この状態では、エンジン1の駆動軸13から、クラッチ3、第1の動力伝達軸5、第1の切換機構11、第2の入力軸8、3速用固定ギヤ33a、3速用遊転ギヤ33b、第2のワンウェイクラッチ61、6速用遊転ギヤ36b、6速用固定ギヤ36a、第1の入力軸7、2速用固定ギヤ32a、2速用遊転ギヤ32b、リバース用遊転ギヤ37b、第3のシンクロスリーブ43、第2の副軸10を介して出力軸18に動力が伝達される。
以上のように制御することで、本実施形態においても、変速中に第2の切換手段12を接続させることで、エンジン1からワンウェイクラッチ4、奇数段及び偶数段のいずれか一方の変速段の変速ギヤ31〜35を介して出力軸18に動力が伝達可能な構成となっており、変速時におけるトルク切れを抑制することができる。
[第4実施例]
本発明の車両用変速装置は、車両の走行駆動源として、エンジン1の他に、モータ70を備えたハイブリッド車の変速装置にも適用できる。
図23に示すように、変速機部2の4速用固定ギヤ34aにモータ70から動力を伝達可能な構成としている。
これにより、モータ70によって、第2の入力軸8にモータ70から動力が伝達可能であるので、モータ70によって偶数段(2速、4速)で車両を走行可能である。
2、50、60 変速機部
3 クラッチ
4 ワンウェイクラッチ
5 第1の動力伝達軸
6 第2の動力伝達軸
7 第1の入力軸
8 第2の入力軸
9 第1の副軸
10 第2の副軸
11 第1の切換機構
12 第2の切換機構
13 動力伝達軸
18 出力軸
20 変速ギヤ
21 変速ギヤ
33 3速用変速ギヤ
Claims (6)
- エンジンの駆動軸と車両の駆動輪との間の動力伝達路に介装される車両用変速装置であって、
2つのグループに分けた複数の変速段のうちの第1のグループの変速段の変速ギヤが設けられた第1の入力軸と、
前記複数の変速段のうちの第2のグループの変速段の変速ギヤが設けられた第2の入力軸と、
クラッチを介して前記駆動軸から動力が伝達される第1の動力伝達軸と、
前記駆動軸から動力が伝達される第2の動力伝達軸と、
前記第1の動力伝達軸を、前記第1の入力軸及び前記第2の入力軸のいずれか一方に選択的に接続可能な第1の切換手段と、
前記第2の動力伝達軸を、前記第1の入力軸及び前記第2の入力軸のいずれか一方に選択的に接続可能な第2の切換手段と、
前記第2の動力伝達軸に介装され、前記駆動軸から前記第2の切換手段への動力の伝達のみ許容するワンウェイクラッチと、
前記第1のグループ及び前記第2のグループの変速段の変速ギヤに選択的に接続され、当該変速ギヤを介して前記第1の入力軸または前記第2の入力軸から動力が伝達され、前記駆動輪に動力を伝達する出力軸と、
を備えたことを特徴とする車両用変速装置。 - 前記第1のグループ及び前記第2のグループは、何れか一方が奇数の変速段であり、他方が偶数の変速段であることを特徴とする請求項1に記載の車両用変速装置。
- 前記ワンウェイクラッチは、前記駆動軸と同軸線上に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用変速装置。
- 前記第2の切換手段は、前記出力軸上に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用変速装置。
- 前記ワンウェイクラッチと前記第2の切換手段との間、及び前記第2の切換手段と前記第1の入力軸または前記第2の入力軸との間に、夫々変速ギヤが介装されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用変速装置。
- 前記第2の切換手段と前記第1の入力軸または前記第2の入力軸との間の前記変速ギヤは、前記第1のグループまたは前記第2のグループの変速段の変速ギヤと共有することを特徴とする請求項5に記載の車両用変速装置。
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