JP2013119279A - 自動二輪車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の自動二輪車用空気入りタイヤは、第1の溝と第2の溝とからなる屈曲した形状の主溝と、主溝とトレッド周方向に離間して配置される補助溝とを備え、各溝の溝幅の関係を規定したことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
特に、操舵輪となる前輪タイヤのグリップ力を高めることにより、直進時のブレーキング力と旋回時の横力を向上させたタイヤが望まれている。
規定リムに規定内圧を充填したタイヤを規定荷重下で直進走行させた際にタイヤ接地面となる領域を直進時接地域と呼ぶとき、図1に示したパターンは、トレッド部の、直進時接地域Q1内に、赤道面CLを横切って傾斜する第1の傾斜溝91と、第1の傾斜溝91の各々に対応して赤道面CLを横切らないように設けられる第2の傾斜溝92とがそれぞれ多数、間隔をおいて周方向に配置されている。
第1の傾斜溝91とこれに対応する第2の傾斜溝92とは、互いに離隔し、しかも、赤道面CLに対して互いに反対向きに傾斜して設けられている。
このパターンは、サーキット走行に要求されるドライ路面でのグリップ性能を高めるために、トレッド部全面積に占める溝部面積の割合(ネガティブ率)を極めて低く抑えている。
このパターンよれば溝部分が少ないため、特にタイヤのショルダ部の磨耗を抑制することも期待できる。
さらに、このようにネガティブ率を小さくすると面外曲げ剛性が上がり、旋回時において接地面積が低下し、グリップ性能の向上が妨げられるという問題もあった。
一方で、排水性を向上させようとして、ネガティブ率を増大させると、陸部の剛性の低下により、特に、ショルダ部での磨耗が発生しやすくなり、これらのタイヤの性能はトレードオフの関係にある。
その結果、トレッドに主溝と、該主溝のタイヤ回転方向端部にタイヤ回転方向に離間して配置する補助溝とを適切な配置、形状として設け、これらの溝の溝幅を適切な関係とすることにより、タイヤ耐磨耗性及び、ドライ路面でのグリップ性能とウェット路面でのグリップ性能とを両立させることができることの新規知見を得た。
(1)一対のビード部と、前記ビード部に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部間にトロイダル状に跨るトレッドとを備え、車両装着時の回転方向が指定される自動二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記トレッドの踏面の直進時接地域内にてトレッド周方向に延びる第1の溝と、前記第1の溝の前記指定タイヤ回転方向側の端部からトレッド幅方向外側に向かって斜めに前記指定タイヤ回転方向に延びる第2の溝とからなる屈曲した主溝を備え、
さらに、前記第2の溝のトレッド幅方向外側且つ前記第2の溝の前記指定タイヤ回転方向側の端部から前記指定タイヤ回転方向に離間した位置に、トレッド幅方向外側に向かって斜めに前記指定タイヤ回転方向に延びる補助溝を有し、
前記第1の溝と前記第2の溝との連結部における前記主溝の溝幅をA(mm)、前記第2の溝の幅方向外側端部における溝幅をB(mm)、前記補助溝の溝幅をC(mm)とするとき、
A>B≧C
を満たすことを特徴とする、自動二輪車用空気入りタイヤ。
θ1<θ2
を満たす、上記(1)に記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
0.25≦d/TW≦0.45
を満たす、上記(1)又は(2)に記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
図2は、本発明の一実施形態に従う自動二輪車用タイヤ(以下「タイヤ」という)を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態のタイヤは、慣例に従い、一対のビード部1と該ビード部1に連なる一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2にトロイダル状に跨るトレッド3とを備える。
ビード部1は、ビードコア1aを有し、ビードコア1a間にはカーカス4がトロイダル状に延在し、該カーカス4のタイヤ径方向外側にベルト5を有する。
まず、図3(a)に示すように、トレッド3の接地域Qは、車両の直進時接地域Q1とQ1よりトレッド幅方向外側の外側接地域Q2とに分けられる。「直進時接地域」とは、規定リムに規定内圧を充填したタイヤを規定荷重下で直進走行させた際にタイヤ接地面となる領域のことをいう。
第1の溝6と第2の溝7とは、連結して主溝8を形成している。
また、本発明のタイヤは、第2の溝7のトレッド幅方向外側且つ第2の溝7の指定タイヤ回転方向の端部から該指定タイヤ回転方向に離間した位置に、トレッド幅方向外側に向かって斜めに指定タイヤ回転方向に延びる補助溝9を有する。
図示例では、主溝8は、タイヤ周方向に間隔を置いて、タイヤ赤道面CLを挟む一方側と他方側のトレッド面に交互に配置したパターンを形成している。補助溝9についても同様である。
ここで、「第1の溝が直進時接地域内で延びる」とは、第1の溝6の溝面積の70%以上が直進時接地域Q1内にあることを意味し、図3(a)に示すように、第1の溝6を、部分的には外側接地域Q2及びタイヤ赤道面CLを跨いだ他方のトレッド半部に配置してもよい。また、「第2の溝が外側接地域で延びる」とは、第2の溝7の溝面積の50%以上が外側接地域Q2内にあることを意味し、部分的には直進時接地域内Q1にまたがって配置しても良い。
A>B≧C
を満たす。
ここで、「連結部における主溝の溝幅A」とは、図3(b)に示すように、第1の溝と第2の溝とを屈曲した形状に連結させたときの2つの屈曲点8a、8bを結んだ線分の長さをいう。
また、「第2の溝の幅方向端部における溝幅B」とは、主溝の溝中心線 (溝の幅に対する中点を繋いでできる線) 8cの幅方向外側端点8dから幅方向内側に0.1mmの溝中心線8c上の点を8eとするとき、この点8eが溝幅の中点となるような溝幅をいう。
さらに、「補助溝の溝幅C」とは、補助溝の溝中心線9aの幅方向中央の点9bを中点とする溝幅をいう。
一方で、ウェット路面でのグリップ性能を向上させるためには、溝により接地面Q内の排水性を向上させる必要がある。
そのためには、トレッドにおける溝は外力の方向に沿った配置とすることが必要である。すなわち、かような配置とすることで、陸部が最も変形しづらくなり、外力に対する引張り剛性が維持されるからであり、また、外力の向きに発生する陸部のすべりは、溝内の水と相対的な動きをするため、排水性が向上するからである。さらに、陸部の剛性を確保できるので耐磨耗性も向上するからである。
これにより、車両の直進時において、外力による陸部の変形が抑えられて、直進時接地域Q1における接地面積が確保されるため、ドライ路面でのグリップ力が向上し、また直進時接地領域での耐磨耗性も向上する。さらに、上述のように直進時接地域Q1内における排水性も向上する。
これにより、車両の旋回時において、外力による陸部の変形が抑えられて、外側接地域Q2における接地面積が確保されるため、ドライ路面でのグリップ力が向上し、また外側接地域Q2での耐磨耗性も向上する。さらに、上述のように外側接地域内Q2における排水性も向上する。
また、陸部の剛性を確保できるため、特に補助溝が位置するショルダ部付近の耐磨耗性を向上させることもできる。
旋回時においては、キャンバー角に応じてブロックが接地面積を確保できるように変形できること、すなわち面外曲げ剛性を低減させることが有効であるが、本実施形態にかかるタイヤは、補助溝9が第2の溝7のトレッド幅方向外側且つ第2の溝7の指定タイヤ回転方向端部から該指定タイヤ回転方向に離間した位置にあることで、主溝8と補助溝9とが連結している場合に比べ、溝が旋回時の入力の方向に延びる距離が小さくなるため、該入力に対する剛性(面外曲げ剛性)を低減させ、接地面積を増加させて、旋回時におけるドライ路面でのグリップ性能を向上させることができる。
A>B≧C
を満たすことが肝要である。
自動二輪車の旋回時に、車体が倒れこみ、徐々に幅方向外側が接地していくが、車体が倒れこむほど、旋回半径が小さくなり、遠心力を支える力が必要となる。
これに対し、上記の関係式を満たすことにより、タイヤ幅方向外側ほど溝幅が狭いため陸部の剛性が高まり、ドライ路面での高いグリップ力を発生させることができるからである。
自動二輪車では、走行状態が変化するにつれて、接地面の位置が変化し、要求される性能も異なってくる。すなわち、キャンバー角が大きくなるほど、接地面はトレッド幅方向外側となるため、溝のトレッド幅方向外側ほど、よりトレッド幅方向に沿う形状とすることでドライ路面でのグリップ性能及び、耐磨耗性を向上させることができるからである。
具体的には、第2の溝のトレッド周方向に対する傾斜角度をθ1、補助溝のトレッド周方向に対する傾斜角度をθ2とするとき、
θ1<θ2
を満たすことが好ましい。
ここで、「第2の溝のトレッド周方向に対する傾斜角度」とは、第2の溝の溝中心線の幅方向両側端点8d、8fを結ぶ直線がトレッド周方向に対してなす鋭角をいう。
また、「補助溝のトレッド周方向に対する傾斜角度」とは、補助溝の溝中心線9aの幅方向両側端点9c、9dを結ぶ直線がトレッド周方向に対してなす鋭角をいう。
0.25≦d/TW≦0.45
を満たすことが好ましい。
なぜなら、0.25以上とすることにより、直進時接地領域Q1における接地性を高めることができ、高速安定性を確保できる。一方で、0.45以下とすることにより、外側接地領域Q2における剛性を確保して、領域Q2での旋回性を高めることができるからである。
これにより、直進時の高速安定性、旋回時の旋回性能をより高めることができる。
また、主溝の周方向の延在長さL1(mm)は、60〜80mm、主溝のトレッド幅方向長さW(mm)は、40〜60mm、溝深さは3.7〜5.0mmとすることが好ましい。
さらに、補助溝の長さL2(mm)は、10〜25mmとし、溝深さは2〜3.5mmとすることが好ましい。
なぜなら、20mm以下とすることで、補助溝9と主溝8とが離れすぎ、面外曲げ剛性をより十分低減させることができるからである。
さらに、補助溝9と主溝8のトレッド幅方向の離間距離Eは、1mm以上とするのが好ましい。1mm以上とすることでドライ路面でのグリップ力をより確保できるからである。
ここで発明例1〜3、比較例1〜3として、図4に示すタイプのトレッドを有する、タイヤサイズがMCR120/70ZR17M/Cの前輪タイヤを試作した。
また、従来例1として、図1に示すタイプのトレッドを有する、タイヤサイズがMCR120/70ZR17M/Cの前輪タイヤを用意した。
後輪タイヤは、タイヤサイズMCR190/50ZR17M/Cの汎用品タイヤを共通して用いた。
各タイヤの諸元は表1に示している。
《グリップ性能》
グリップ性能は、ドライ路面及びウェット路面をドライバーがテスト走行したときのフィーリングを官能評価により採点したもので絶対レベルとして満足できるレベルを100として指数化することで評価した。
なお、これらの指数は、数値が大きいほうが、性能が優れていることを表す。
《耐磨耗性》
上記走行後の直進時接地域の溝の残量から磨耗量を測定した。従来例タイヤの磨耗量を100としたときの相対値で評価し、数値が大きい方が耐磨耗性に優れていることを示す。
試験結果を以下の表2に示す。
1a ビードコア
2 サイドウォール部
3 トレッド
4 カーカス
5 ベルト
6 第1の溝
7 第2の溝
8 主溝
9 補助溝
91 傾斜溝
92 傾斜溝
Claims (3)
- 一対のビード部と、前記ビード部に連なる一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部間にトロイダル状に跨るトレッドとを備え、車両装着時の回転方向が指定される自動二輪車用空気入りタイヤにおいて、
前記トレッドの踏面の直進時接地域内にてトレッド周方向に延びる第1の溝と、前記第1の溝の前記指定タイヤ回転方向側の端部からトレッド幅方向外側に向かって斜めに前記指定タイヤ回転方向に延びる第2の溝とからなる屈曲した主溝を備え、
さらに、前記第2の溝のトレッド幅方向外側且つ前記第2の溝の前記指定タイヤ回転方向側の端部から前記指定タイヤ回転方向に離間した位置に、トレッド幅方向外側に向かって斜めに前記指定タイヤ回転方向に延びる補助溝を有し、
前記第1の溝と前記第2の溝との連結部における前記主溝の溝幅をA(mm)、前記第2の溝の幅方向外側端部における溝幅をB(mm)、前記補助溝の溝幅をC(mm)とするとき、
A>B≧C
を満たすことを特徴とする、自動二輪車用空気入りタイヤ。 - 前記第2の溝のトレッド周方向に対する傾斜角度をθ1、前記補助溝のトレッド周方向に対する傾斜角度をθ2とするとき、
θ1<θ2
を満たす、請求項1に記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。 - 前記第1の溝と前記第2の溝との、前記指定タイヤ回転方向の逆方向側の連結部のタイヤ赤道面からの幅方向の距離d(mm)は、トレッド幅TW(mm)に対して、
0.25≦d/TW≦0.45
を満たす、請求項1又は2に記載の自動二輪車用空気入りタイヤ。
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