JP2013116563A - 成形品及びその製造方法 - Google Patents

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直也 青木
Kazumasa Kondo
和匡 近藤
Kenji Masuda
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Abstract

【課題】 塗装が不要であって、高光沢で透明感があり、発色性が良く外観が優れ、しかも、表面が軟質でべとつきがなく、グリップ感、フィット感といった官能特性に優れる上に、リサイクル性が良好である成形品およびその製造方法の提供。
【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂(a)を含有する基材(A)に、フィルム(B)をインサート成形してなる成形品であって、フィルム(B)は、特定の要件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなり、厚みが90〜500μmであり、かつ、基材(A)の表面の少なくとも一部に貼合していることを特徴とする成形品及びその製造方法による。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形品及びその製造方法に関し、更に詳しくは、塗装が不要であって、高光沢で透明感があり、発色性が良く外観が優れ、しかも、表面が軟質でべとつきがなく、グリップ感、フィット感といった官能特性に優れる上に、リサイクル性が良好である成形品およびその製造方法に関する。
ポリオレフィン系樹脂の成形において、成形品の表面光沢を向上させ、表面外観を向上させるための手段が種々行われてきた。例えば、高透明フィルムを用いてインサート成形品とすることで、高光沢の成形品を得る方法が知られ、各種方法が提案されている。さらに、近年では、ポリオレフィン系樹脂成形品は、例えば、自動車内装部品などでは、人が触れる部分に使用されるものも多く、高光沢で透明感があり、外観が優れる上に、表面が軟質で、グリップ感、フィット感といった官能特性に優れるといった、表面の触感の良さも求められてきている。
高光沢の成形品については、光輝材を特定量含有する熱可塑性樹脂からなる射出成形品または射出圧縮成形品であって、前記熱可塑性樹脂と接着し、ヘイズが20%以下の熱可塑性樹脂フィルムを前記成形品表面に一体的に貼合して得られる高光沢射出成形品または高光沢射出圧縮成形品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
該成形品は、射出成形における表面光沢が向上し、深み感のあるメタリック調外観を有する射出成形品または射出圧縮成形品であり、高光沢ではあるが、軟質の触感に関する記載はない。
また、射出成形金型において、金型表面に薄い断熱層を配し、樹脂充填中の金型壁面からの冷却を一時的に遅らせスキン層を極力生じないように成形品の光沢向上を図る手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
該方法は、表面に成形欠陥が生じなく、表面光沢に優れた成形品が得られる方法ではあるが、軟質の触感に関する記載はない。
また、熱可塑性樹脂を成形加工するための金型において、金型キャビティ側に配した温度制御可能な電磁誘導加熱構造により、樹脂充填時のみ加熱する金型が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
該金型は、平滑で光沢がありうねりのない表面状態を有するプラスチック成形加工品を得ることができる金型ではあるが、全て通常の金型に手を加え改造することで効果を発現させるものであって、通常の射出成形用金型として制作された金型では効果は得られていないといった問題がある。さらに、成形品表面の軟質の触感に関する記載はない。
また、射出成形または射出圧縮成形において、熱可塑性樹脂とは溶融接着しない熱可塑性樹脂からなるフィルムを金型の表面にインサートして、得られた成形品の表面から前記フィルムを剥離して高光沢成形品を得る方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
該方法は、高光沢の成形品を製造する方法ではあるが、フィルムを剥がす工程を必要とするため、工程数の増加が避けられず、さらに、熱可塑性樹脂に繊維フィラーが適用できないといった問題がある。さらに、成形品表面の軟質の触感に関する記載はない。
表面において軟質の触感を持つ成形品については、動的架橋により製造されたオレフィン系熱可塑性エラストマーに対して、一定の成分を添加することにより得られる、自動車内装材向けの射出発泡成形用熱可塑性エラストマー組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
該組成物及びその発泡成形品は、良好な流動性を有し、ソフトな触感を呈すると推察される柔軟性を有していることが記載されているが、光沢に関する具体的なデータが示されておらず、表面光沢については表面塗装を施すことにより艶のコントロールができると記載されている。
また、特定のアクリル系ブロック共重合体と、特定のアクリル系重合体からなる熱可塑性エラストマー組成物による軟質の粉末材料を用いた、粉末成形法であるパウダースラッシュ成形法による成形品が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
該成形品は、耐熱性スクラッチ性に優れ、自動車用表皮材として使用されるものではあるが、成形時に粉末材料を複雑な形状の金型に均一付着させる必要があり、粉体流動性に優れることが要求される。それと同時に、金型に付着した粉体が溶融して無加圧下でも流動して皮膜を形成する必要から、溶融粘度が低いことも要求され、製造が簡便であるとは言い難く、また、表面光沢については記載がない。
このような自動車、家電用途に使用されるポリオレフィン製の成形品は、高級感があるところから、低光沢が要求される用途があるが(例えば、特開2002−30196号公報参照)、その一方で、光沢が要求される用途がある。
しかし、上記したとおり、高光沢といった外観特性と、表面が軟質でべとつきがなく、グリップ感、フィット感といった官能特性との両者に優れる成形品を、経済的に有利に製造することは困難であり、それ故にこのような特性を全て兼ね備えた成形品に係る検討は実質的に行われておらず、未だに達成されていない。
こうした状況下に、従来技術における問題点を解消し、高光沢で透明感があり、発色性が良く外観が優れ、しかも、表面が軟質でべとつきがなく、グリップ感、フィット感といった官能特性に優れる上に、リサイクル性が良好であるといった、複数の特徴を兼ね備える成形品を、塗装不要にて経済的に有利に製造することが求められていた。
特開平11−042676号公報 特開平2−153715号公報 特公平7−059368号公報 特開平11−123739号公報 特開2002−206034号公報 特開2006−104419号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、高光沢で透明感があり、発色性が良く外観が優れ、しかも、表面が軟質でべとつきがなく、グリップ感、フィット感といった官能特性に優れる上に、リサイクル性が良好である成形品および該成形品を塗装不要にて経済的に有利に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂(a)を含有する基材(A)の表面の少なくとも一部に、フィルム(B)が貼合されてなる成形品であって、フィルム(B)は、特定の要件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなり、厚みが90〜500μmである成形品及びその製造方法が、高光沢で透明感があり、発色性が良く、外観が優れ、しかも、表面が軟質で触感が軟らかい成形品、及び、該成形品を経済的に有利に製造できる方法であることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリオレフィン系樹脂(a)を含有する基材(A)の表面の少なくとも一部に、フィルム(B)が貼合されてなる成形品であって、
フィルム(B)は、下記の要件(1)〜(4)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなり、厚みが90〜500μmであることを特徴とする成形品が提供される。
要件(1):メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独重合体またはエチレン含量7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−1)を30〜95重量%、第2工程で成分(b−1)よりも3〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−2)を5〜70重量%、逐次重合することで得られたものである。
要件(2):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃である。
要件(3):固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
要件(4):メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ポリオレフィン系樹脂(a)は、ポリプロピレン系樹脂またはプロピレン系樹脂組成物であることを特徴とする成形品が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記プロピレン系樹脂組成物は、無機充填材および/またはゴム成分を含有することを特徴とする成形品が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、フィルム(B)は、ヘイズが15%以下であることを特徴とする成形品が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、JIS Z8741に準拠して測定された表面の60℃鏡面光沢度が、60%以上であることを特徴とする成形品が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、基材(A)表面のRスケールによるロックウェル硬度と、前記成形品のフィルム(B)が貼合された表面のRスケールによるロックウェル硬度との差が、1.0以上であることを特徴とする成形品が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明の成形品の製造方法であって、フィルム(B)を金型内にインサートする工程、引き続き、前記金型内に、基材(A)を導入して、成形する工程からなることを特徴とする成形品の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、前記成形は、射出成形法、射出圧縮成形法またはブロー成形法によることを特徴とする成形品の製造方法が提供される。
本発明の成形品は、高光沢で透明感があり、発色性が良く、外観が優れ、しかも、表面が軟質でべとつきがなく、グリップ感、フィット感といった官能特性に優れる。さらに、基材樹脂とフィルムがともにポリオレフィン系樹脂をベースとしているため、リサイクル性が良好な成形品であるという効果がある。
また、本発明の成形品の製造方法は、該成形品を既存の設備を用い塗装不要にて経済的に有利に製造するといった効果がある。
したがって、自動車用部材、日常品、日用雑貨、家庭電気製品、事務用品、スポーツ用品、建築用品、装飾用品など種々の分野に、好適に使用することができる。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂(a)を含有する基材(A)の表面の少なくとも一部に、フィルム(B)が貼合されてなる成形品であって、フィルム(B)は、下記の要件(1)〜(4)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなり、厚みが90〜500μmであることを特徴とする成形品である。
また、本発明は、上記成形品の製造方法であって、フィルム(B)を金型内にインサートする工程、引き続き、前記金型内に、基材(A)を導入して、成形する工程からなることを特徴とする成形品の製造方法である。
以下、構成成分、各工程などの各要件について、詳細に説明する。
I.成形品
1.基材(A)
本発明の成形品において、基材(A)は、ポリオレフィン系樹脂(a)を含有するものである。ポリオレフィン系樹脂(a)としては、通常の樹脂成形品に用いられる一般的なものであれば特に制限はなく、例えば低圧法ポリエチレン、中圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、もしくはエチレン・プロピレン共重合体等のエチレン系樹脂、立体規則性ポリプロピレン等のプロピレン単独重合体あるいはプロピレン・エチレン共重合体等のプロピレン系樹脂、立体規則性ポリ−1−ブテン、立体規則性ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のその他のα−オレフィン系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、プロピレン単独重合体或いはプロピレン・エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂または該ポリプロピレン系樹脂を主成分とするプロピレン系樹脂組成物を用いることが好ましい。
本発明においては、上記プロピレン系樹脂組成物として、上記ポリプロピレン系樹脂に、無機充填剤及び/又はゴム成分を配合した場合に、特に本発明の効果が顕著に発揮される。
無機充填剤は、通常、成形品に強度、剛性等を付与するため、あるいは増量などの目的で配合される。本発明で使用される無機充填剤としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ゼオライト、繊維状チタン酸カリウム、繊維状マグネシウムオキサルフェート、繊維状ホウ酸アルミニウム等のウィスカー類及び炭素繊維、ガラス繊維等を挙げることができる。
無機充填剤の配合量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、一般に1〜60重量部、好ましくは20〜60重量部配合される。無機充填剤がこの範囲で配合された材料からなる成形品において、本発明の効果が顕著に発揮される。
ゴム成分は、通常、成形品に耐衝撃性等を付与するために配合される。本発明で用いられるゴム成分としては、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・1−ブテン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴム、エチレン・オクテン共重合ゴム(ダウケミカル社製、商品名エンゲージ等)などのポリオレフィン系ゴム、スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン系ゴム等を挙げることができる。これらのゴム成分の中でも、エチレン・オクテン共重合ゴム(ダウケミカル社製、商品名エンゲージ等)、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)等のポリオレフィン系ゴムまたはスチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン系ゴムを用いることが好ましい。
これらゴム成分は、100℃で測定したムーニー粘度(ML1+4)が通常10〜200、好ましくは30〜150の範囲のものが使用される。ゴム成分の配合量は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、一般に1〜40重量部、好ましくは10〜40重量部配合される。ゴム成分がこの範囲で配合された材料からなる成形品において、本発明の効果が顕著に発揮される。
本発明においては、上記プロピレン系樹脂組成物として、耐傷付性や物性バランスなどの向上を目的として、変性ポリオレフィンの成分を添加してもよい。ここでいう変性ポリオレフィンとは、酸変性ポリオレフィン及び/またはヒドロキシ変性ポリオレフィンである。
本発明で使用することができる酸変性ポリオレフィンとしては、本発明の効果を阻害しない限りは特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。
該酸変性ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィンを、例えば、マレイン酸または無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合し、変性したものである。このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体の成分は、ポリオレフィン用モノマーとのランダムもしくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
変性のため使用される不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基及び必要に応じてヒドロキシル基やアミノ基などの官能基が導入された重合性二重結合を有する化合物が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、これらの酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩などがあり、その具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウムなどを挙げることができる。好ましくは無水マレイン酸である。
グラフト反応条件としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキシド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3などのパーオキシエステル類、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサンなどのヒドロパーオキシド類などの有機過酸化物を、前記ポリオレフィン100重量部に対して、0.001〜10重量部程度用いて、80〜300℃程度の温度で、溶融状態または溶液状態で反応させる方法が挙げられる。
該酸変性ポリオレフィンの酸変性量(グラフト率という場合がある。)は、特に限定されないが、好ましくは酸変性量が無水マレイン酸換算で、0.05〜10重量%、より好ましくは0.07〜5重量%である。
好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、物性バランスなどの点から、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
また、ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を含有する変性ポリオレフィンである。該変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を適当な部位、例えば、主鎖の末端や側鎖に有していてもよい。
ヒドロキシ変性ポリオレフィンを構成するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα−オレフィンの単独または共重合体、前記α−オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが例示できる。
好ましいヒドロキシ変性ポリオレフィンには、ヒドロキシ変性ポリエチレン(例えば、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、ヘキサンなど)とのランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリ(4−メチルペンテン−1)などが例示できる。前記反応性基を導入するための単量体としては、例えば、ヒドロキシル基を有する単量体(例えば、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど)が例示できる。
ヒドロキシル基を有する単量体による変性量は、オレフィン系樹脂に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。ヒドロキシ変性ポリオレフィンの平均分子量は特に限定されない。該ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、例えば低分子量系の場合、共役ジエンモノマーをアニオン重合などの公知の方法により重合させ、それを加水分解して得たポリマーを水素添加する方法で得ることができる。
なお、これらの変性ポリオレフィンは2種以上併用してもよい。
変性ポリオレフィンの配合割合は、前記ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜4重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。変性ポリオレフィンの配合量が0.1重量部未満であると、本発明の成形品の耐傷付性及び物性バランスが低下するおそれがある。また、配合量が5重量部を超えると、物性バランスや経済性が低下するおそれがある。
また、本発明の成形品に用いるプロピレン系樹脂組成物には、使用部品での実用性能向上を図るために、上記成分以外に酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、金属腐食抑制剤、滑剤、難燃剤、核剤、分散剤、加工性安定剤、流動性改良剤等を、目的に応じて適宜添加することができる。
また、本発明の成形品に用いるプロピレン系樹脂組成物には、使用部品での意匠性向上のために、必要に応じて着色剤や光輝材を添加してもよい。着色剤としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染色レーキ、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系等の有機顔料、或いは、金属酸化物系、クロム酸モリブデン酸系、硫化物セレン化物系、フェロシアン化物系、珪酸アルミニウム系等の無機顔料、或いは、染料等を挙げることができる。着色剤の配合量は、上記ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して1〜5重量部、好ましくは1〜3重量部の範囲内である。光輝材としては、アルミ粉、酸化チタンで表面をコートされたマイカ等が挙げられる。光輝材の配合量は、上記ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲内、好ましくは0.05〜2重量部である。
本発明の成形品に用いるプロピレン系樹脂組成物は、上述したポリプロピレン系樹脂に、必要に応じて変性ポリオレフィン、無機充填剤、ゴム成分および/またはその他の添加剤を混合することによって調製される。混合方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、特に充分な混合を行う場合には溶融混練を行うのが好ましい。溶融混練は、通常の混練機、例えば押出機やバンバリーミキサー、スーパーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなどを用いて行うことができる。押出機、特に二軸押出機を用いて混練することが好ましい。上記溶融混練は、一般に常圧下、180〜260℃、好ましくは190〜230℃の温度で行われる。
2.フィルム(B)
本発明において、フィルム(B)は、前述した基材(A)と接着し、厚みが90〜500μmの、特定の要件(1)〜(4)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなるフィルムであることが必要である。
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)
本発明において、プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)は、以下の特定の要件(1)〜(4)を満たすものである。
要件(1):メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独重合体またはエチレン含量7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−1)を30〜95重量%、第2工程で成分(b−1)よりも3〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−2)を5〜70重量%、逐次重合することで得られたものである。
要件(2):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃である。
要件(3):固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
要件(4):メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分である。
(i)要件(1)
上記要件(1)〜(4)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)としては、上記要件をすべて満たす限り、特に限定されるものではないが、逐次重合によりプロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−1)(以下、単に「成分(b−1)」ともいう。)とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−2)(以下、単に「成分(b−2)」ともいう。)のブレンド状態にあるプロピレン−エチレンブロック共重合体が挙げられる(要件(1))。
成分(b−1)中のエチレン含量E(b−1)については、第1工程で製造される成分(b−1)は、ベタツキを抑制し、耐熱性を発現するために、融点が比較的高く、結晶性を有する、プロピレン単独重合体あるいは成分(b−1)全体を基準としてエチレン含量が7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体である。エチレン含量が7重量%を超えると融点が低くなりすぎ耐熱性を悪化させるため、エチレン含量は7重量%以下、好ましくは6重量%以下とされる。
なお、成分(b−1)はプロピレン単独重合体でも改良された柔軟性や透明性及び耐熱性を示すが、これらのバランスを最も高くできるのは、エチレン含量が0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上含むプロピレン−エチレンランダム共重合体成分である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)中に占める成分(b−1)の割合が多すぎると、プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)の柔軟性及び透明性が悪化し、それに伴い組成物全体の透明性と柔軟性が阻害される。そこでプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)全体を基準として、成分(b−1)の割合は95重量%以下、好ましくは85重量%以下である。一方、成分(b−1)の割合が少なくなりすぎるとベタツキが増加し、耐熱性が顕著に悪化するといった問題を生じるため、成分(b−1)の割合は30重量%以上、好ましくは40重量%以上である。
第2工程で製造される成分(b−2)は、共重合体の柔軟性と透明性及び耐衝撃性を向上させるのに必要な成分である。そこで、成分(b−2)はこの効果を充分発揮するために特定範囲のエチレン含量であることが好ましい。
すなわち、本発明の成形品に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)において、成分(b−1)に対し成分(b−2)の結晶性は低い方が、柔軟性改良効果が大きい。そして、結晶性はエチレン含量で制御され、エチレン含量が多いほど柔軟性が高くなるため、成分(b−2)中のエチレン含量E(b−2)は、成分(b−2)全体を基準として、成分(b−1)中のエチレン含量E(b−1)よりも3重量%以上多くないとその効果は充分でなく、好ましくは6重量%以上、より好ましくは8重量%以上、成分(b−1)よりも多くのエチレンを含む。
ここで、成分(b−1)と成分(b−2)のエチレン含量の差をE(gap)(=E(b−2)−E(b−1))と定義すると、E(gap)は3重量%以上、好ましくは6重量%以上、より好ましくは8重量%以上である。
一方、成分(b−2)の結晶性を下げるためにエチレン含量を増加させ過ぎると、成分(b−1)と成分(b−2)のエチレン含量の差E(gap)が大きくなり、マトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取って、顕著に透明性が低下する。これは、元来ポリプロピレンはポリエチレンとの相溶性が低く、プロピレン−エチレンランダム共重合体においても、エチレン含量が異なるものの相互の相溶性は、エチレン含量の違いが大きくなると低下するためである。E(gap)の上限については、後述する固体粘弾性測定によりtanδのピークが単一になる範囲にあればよいが、そのためにはE(gap)は20重量%以下、好ましくは、18重量%以下、より好ましくは16重量%以下の範囲とされる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)中に占める成分(b−2)の割合が多すぎるとベタツキが増加し、耐熱性が顕著に悪化するといった問題を生じる場合がある。一方、成分(b−2)の割合が少なくなりすぎると柔軟性及び透明性が低下する。よって、プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)全体を基準として、成分(b−2)の割合は、成分(b−1)の割合をも勘案して、5〜70重量%、好ましくは15〜60重量%の範囲となる。
成分(b−1)と(b−2)の各成分のエチレン含量E(b−1)とE(b−2)及び各成分量W(b−1)とW(b−2)の特定方法につき、成分(b−1)と(b−2)の各エチレン含量及び成分量は、重合時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、特開2005−132992号公報記載の分析(分別法)を用いることが望ましい。
上記プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)の製造方法としては、例えば特開2005−132992号公報記載の公知の製法で得られるものが知られている。
こうした、プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)の市販品としては、日本ポリプロ社製「ウェルネクス(WELNEX、登録商標)」シリーズのプロピレン−エチレンブロック共重合体等が挙げられる。これは、メタロセン触媒により得られる、リアクターメイドの熱可塑性エラストマー(R−TPO)とも呼ばれる軟質ポリプロピレンである。
上記のメタロセン触媒としては、具体的には、[A]下記一般式[I]で表される遷移金属化合物に、[B]アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩、からなる群より選ばれる一種以上の物質、及び[C]有機アルミニウム化合物を接触させて得られる触媒が使用される。
Figure 2013116563
[式中、A及びAは、共役五員環配位子(同一化合物内においてA及びAは同一でも異なっていてもよい)を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。]
一般式[I]中、A及びAは、共役五員環配位子(同一化合物内においてA及びAは同一でも異なっていてもよい)を示し、好ましくはそのうち少なくとも一方は、共役五員環配位子上の隣接した置換基が結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有する。そして、A及びAの共役五員環配位子は、結合性基Qに結合していない炭素に置換基を有していてもよい。上記の共役五員環配位子の典型例としては、例えば、シクロペンタジエニル基を挙げることが出来る。このシクロペンタジエニル基は、水素原子を4個有するもの[C−]であってもよく、また、上記した通り、その水素原子の幾つかが置換基で置換されているものであってもよい。
上記の置換基の1つの具体例は、炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜15の炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基、トリフェニルカルビル基などが挙げられる。上記の炭化水素基は、一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していてもよく、その置換基の末端で2種が結合して縮合環を形成してもよい。縮合環を形成したシクロペンタジエニル基の典型例としては、インデン、フルオレン、アズレン等の化合物やその誘導体である。
具体的には、シクロペンタジエニル、n−ブチルシクロペンタジエニル、インデニル、2−メチルインデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒドロインデニル、2−メチルテトラヒドロインデニル、2−メチルベンゾインデニル、2,4−ジメチルアズレニル、2−メチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル等が挙げられる。
炭化水素基以外の置換基としては、珪素、酸素、窒素、燐、硼素、硫黄などの原子を含有する炭化水素残が挙げられる。その典型例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニル硼素基、ジメトキシ硼素基、チエニル基などが挙げられる。その他の置換基としては、ハロゲン原子又はハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。その典型的例としては、塩素、臭素、沃素、フッ素、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
成分[A]として使用する遷移金属化合物は、A及びAのうち少なくとも一方が、共役五員環配位子上の隣接した置換基が結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有するものが好ましい。すなわち、A及びAのどちらか一方は、少なくとも共役五員環の隣接する炭素2原子を含めた7〜10の縮合環を形成しているものが好ましい。
Qは、2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示す。すなわち、Qは、2価の結合性基であり、AとAとを架橋する。Qの種類は特に制限されないが、その具体例としては、(イ)炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の2価の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、具体的には、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン等の不飽和炭化水素基、ハロアルキレン基、ハロシクロアルキレン基、(ロ)無置換または炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはオリゴシリレン基、(ハ)無置換または炭素数が通常1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基や、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基などが挙げられる。これらの中では、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはゲルミレン基が好ましい。
Mは、周期表第4〜6族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムの4族遷移金属、更に好ましくは、ジルコニウム又はハフニウムである。X及びYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示す。上記の各炭化水素基における炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜12である。これらの中では、水素原子、塩素原子、メチル基、イソブチル基、フェニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等のケイ素含有炭化水素基が好ましい。
成分[B]としては、アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して、成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩、からなる群より選ばれる一種以上の物質を用いる。
成分[C]としては、下記一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物が好適に使用される。
AlR3−a (2)
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Pは、水素、ハロゲン、アルコキシ基またはシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。)
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。これらの中では、トリアルキルアルミニウムが好ましい。
また、成分[C]として、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類なども使用できる(尚、成分[B]がアルミノキサンの場合は、成分[C]の例示としてアルミノキサンは除く。)。
(ii)要件(2)
本発明の成形品に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)は、示差走査熱量計(DSC法)により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃であることが必要である(要件(2))。好ましくは、融解ピーク温度(Tm)が120〜140℃である。Tmが110℃未満のものは耐熱性を損なうばかりでなく、溶融されたプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)の冷却固化速度が遅く、成形性を悪化させる恐れがあるため好ましくなく、150℃を超えると柔軟性が悪くなる恐れがあるため好ましくない。
Tmを調整するには重合反応系へ供給するα−オレフィンの量を制御することにより容易に調整することができる。
本明細書において、Tmの具体的測定は、示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とするものである。
(iii)要件(3)
本発明の成形品に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)においては、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する共重合体を用いることが必要である(要件(3))。これらの測定法や物性等については、特開2005−132992号公報等を参照することができる。
本発明の成形品に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)が相分離構造を取る場合には、成分(b−1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(b−2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、透明性が顕著に悪化するという問題が生じる。
相分離構造を取っているかどうかは、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線において判別可能であり、成形品の透明性を悪化する相分離構造の回避は、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。
本発明の成形品に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)は、透明性を発揮するために、固体粘弾性測定におけるtanδ曲線が0℃以下に単一のピークを持つことが必要である。
(iv)要件(4)
プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜200g/10分、好ましくは1〜150g/10分、更に好ましくは2〜100g/10分、より好ましくは3〜50g/10分である(要件(4))。MFRが0.5g/10分未満であると、フィルム成形時にフィルムの表面にシャークスキンやメルトフラクチャと呼ばれる表面あれが発生し透明性や外観を著しく損なうおそれがある。一方、MFRが200g/10分を超えると、フィルム成形時のバブル安定性が悪化し、フィルムの幅や厚みが変動し製品を得ることができないおそれがある。
ここで、MFRは、JIS K7210(230℃、2.16Kg荷重)に準拠して測定する値である。
本発明の成形品に用いるプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)は、上記要件(1)〜(4)をすべて満たす必要がある。
(2)その他の成分
プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて他の重合体、充填剤、添加剤等の配合成分が含まれていてもよい。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)に含まれていてもよい他の重合体としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)以外のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート等が挙げられる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)以外のポリオレフィンとしては、エチレン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン・オクテン共重合体等のエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン・オクテン共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテン共重合体等のプロピレン系重合体、ブテン系重合体等が挙げられる。
ポリスチレンとしては、スチレン単独重合体、スチレンとアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、α−メチルスチレン等との共重合体、スチレンとブタジエン、イソプレン等とのブロック共重合体若しくはランダム共重合体またはその水素添加物などが挙げられる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)に含まれていてもよい充填剤としては、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状無機充填剤、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状無機充填剤、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム等の針状(ウィスカー)無機充填剤、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状無機充填剤、ガラスバルーンのようなバルン状無機充填剤、ポリエステル繊維・ケナフ・ジュート・木粉等の有機充填剤が例示される。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)に含まれていてもよい添加剤としては、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、滑剤、金属不活性剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、架橋剤、可塑剤等が挙げられる。
(3)フィルム(B)の物性
本発明において、フィルム(B)は、プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなり、前述した基材(A)と接着し、厚みが90〜500μmであることが必要である。
本発明の成形品は基材(A)とフィルム(B)との組み合わせにより、上記フィルム(B)は、本発明の成形品において基材(A)と良好に接着する。
また、フィルムの厚みが90μmより薄いと、成形品表面で軟質な触感が得られないおそれがある。一方、500μmより厚いと、フィルム自身の透明度が落ちるため、発色性が悪くなり、十分な外観を有する成形品が得られないおそれがある。
3.成形品の物性
本発明の成形品は、ポリオレフィン系樹脂(a)を含有する基材(A)の表面の少なくとも一部に、フィルム(B)が貼合されてなる成形品であって、フィルム(B)は、下記の要件(1)〜(4)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなり、厚みが90〜500μmであるという構成であることから、塗装が不要であって、高光沢で透明感があり、発色性が良く外観が優れ、しかも、表面が軟質でべとつきがなく、グリップ感、フィット感といった官能特性に優れる上に、リサイクル性が良好である成形品である。
本明細書において、「高光沢」とは、JIS Z8741に準拠して測定された表面の60℃鏡面光沢度によって評価することができ、好ましくは、60%以上であることを意味する。
また、「透明感がある」とは、フィルム(B)が高透明であることを意味し、フィルム(B)のヘイズによって評価することができ、好ましくは、該ヘイズが15%以下であることを意味する。また、「発色性が良い」とは、フィルム(B)が高透明であることから、基材(A)の色またはフィルムの色が鮮明であることを意味する。
また、「外観が優れる」とは、フィルム自体の表面が高光沢であると同時に、基材(A)とフィルム(B)との密着性が優れ、フィルム(B)が基材(A)から容易に剥がれないことを意味する。
また、「表面が軟質でべとつきがなく、グリップ感、フィット感といった官能特性に優れる」とは、官能試験による評価することもできるし、また、基材(A)表面のRスケールによるロックウェル硬度と、前記成形品のフィルム(B)が貼合された表面のRスケールによるロックウェル硬度との差によって評価することができ、好ましくは、前記差が、1.0以上であることを意味する。
また、前記差は10以下が好ましく、5以下が更に好ましい。前記差が10を超えると、基材(A)とフィルム(B)との貼合ができなかったり、貼合せた後も剥がれやすくなる場合がある。
さらには、基材(A)表面の10g荷重時の摩擦係数と、前記成形品のフィルム(B)が貼合された表面の10g荷重時の摩擦係数との差によって評価することができ、好ましくは、前記差が、0.5以上であることを意味する。
II.製造方法
本発明の製造方法は本発明の成形品が得られる方法であれば特に制限されず、基材(A)とフィルム(B)を圧着する方法や、インサート成形など、種々の方法によって行うことが出来る。中でもインサート成形が簡便で、本発明の効果を得ることが出来る方法であり好ましい。特に、上記の要件(1)〜(4)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなる、厚みが90〜500μmのフィルムを金型内にインサートする工程、引き続き、前記金型内に、ポリオレフィン系樹脂(a)を導入して成形する工程からなることを特徴とする方法が好ましい。
上記工程からなる方法であれば、特に限定されることなく用いることが出来るが、前記成形は、射出成形法、射出圧縮成形法またはブロー成形法によるものであることが好ましい。
1.射出成形及び射出圧縮成形
以下、本発明の製造方法の一例として、射出成形による場合について、詳説する。
射出成形用金型は、射出成形後に型開きできるように少なくとも凸金型と凹金型とから構成され、これら両金型を合わせた際に、溶融樹脂が流入する空間部(キャビティ)が形成されるようになっている。このキャビティに本発明の成形品に用いるポリオレフィン系樹脂(a)を射出充填することにより、製品が成形される。これら凹金型及び凸金型は、鋼鉄あるいは鉄を主成分とする合金、アルミニウム合金、亜鉛合金等の金属を主材質として形成されている。
本発明においては、上記射出成形用金型として、該金型内表面、すなわち凸金型と凹金型とを合わせた際に生じるこれら両金型のキャビティ内壁面に、プロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなる、厚みが90〜500μmのフィルム(B)による被覆層を設けたものを用いる。フィルム(B)が前記要件を満たさないものであると、得られる成形品に高い外観性能、特に高光沢、高面平滑性を付与することができないおそれがある。また、本発明の効果を発揮することができないおそれがある。
なお、射出圧縮成形では、樹脂の充填中は一時的にわずかにキャビティを拡大し、充填を無理なく行った後、型締め機構や金型内に組み込まれた油圧シリンダーなどを利用して、成形品の一部あるいは全面を加圧、圧縮して所定の形状を付与するが、本発明においては、上記の射出成形金型における方法と同様の方法を採用することができる。
上記フィルム(B)の厚みは、90〜500μm、好ましくは150〜300μmである。厚みが90μm未満では、成形品表面で軟質な触感が得られないおそれがあるので好ましくない。500μmを超えると、フィルム自身の透明度が落ちるため、発色性が悪くなり、十分な外観を有する成形品が得られない。
本発明では、所望により、例えば、フィルム(B)の更に表面に、また、基材(A)の更に表面に、別の層を設けることができる。
フィルム(B)は、凸金型と凹金型のキャビティ内壁面全体に設けられていてもよいが、少なくとも成形品の一部に設けられておればよく、例えば、フィルム(B)を貼合しようとする成形品面が接する何れか一方の金型のキャビティ内壁面にのみ形成しても、本発明の効果を発揮することができる。これら、フィルム(B)を貼合する部分については、その用途や目的に応じて、適宜選択することが出来る。
本発明の成形品を得るには、このようなフィルムをインサートした射出成形用金型を用い、前記ポリオレフィン樹脂(a)を射出成形機によって射出成形する方法が好ましい。射出成形は一般に、180〜250℃の樹脂温度、300〜1300kg/cmの射出圧力、20〜60℃の金型温度の条件下にて行われる。
以上により射出成形加工成形品は、JIS Z8741に準拠して測定された表面の60℃鏡面光沢度を、60%以上、好ましくは80%以上となるようにすることができる。また、表面粗度が5μm以下となるようにすることができる。すなわち、極めて良好な外観性能を有しており、この成形品により、高光沢で透明感があり、発色性が良く、外観が優れ、しかも、表面が軟質で触感が軟らかい成形品とすることができる。
2.ブロー成形
次に、以下、本発明の製造方法の一例として、ブロー成形による場合について、詳説する。
ブロー成形による成形品の製造方法としては、通常、多層ブロー成形に用いられる方法を採用することができ、単独、ないしは積層状態にてパリソン状に押出された樹脂を、ブロー成型法にて成型する方法を採用することができる。該ブロー成型法としては特に制限されず、通常、ダイレクトブロー成形機などを用い、中空成型品を得る方法が挙げられる。
具体的には、複数の押出機と多層ダイスを用い、前記各層の樹脂、つまり、少なくともフィルム(B)用の押出機にフィルム(B)用樹脂を投入し、基材(A)用の押出機に基材(A)用樹脂を投入し、多層ダイスを介して、170〜250℃の多層溶融パリソンを押し出し、また、必要に応じてプリブローを行い、60℃以下に保ったブロー成形用金型、特に金型面のエアー抜き対策を施した金型に多層溶融パリソンを保持させて、その内部へエアーノズルから加圧空気(0.5〜1MPa)を吹き込んでパリソンを膨らませることによって、金型内壁へ圧接し、形状が固定されるまで空気圧を印加する多層ブロー成形方法を例示できる
III.用途
本発明の成形品は、高光沢で透明感があり、発色性が良く、外観が優れ、しかも、表面が軟質で触感が軟らかい成形品であることから、用途としては、バンパー、サイドモール、スポイラー、インストルメントパネル、ルーフ、灯体、デッキボード等をはじめとする自動車向けブロー成形部品用途、なかでも、トリム類、コンソール等の自動車内装部品用途や、日常品、日用雑貨、バス、トイレ等の部材など住宅、建設設備向けブロー成形部品用途に、好適に用いることができる。さらには、文房具ファイル、食品容器、飲料カップ、ディスプレイ筺体、工業産業用部品、トレーなどあらゆる分野に適用可能である。
本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例で使用した射出成形機、金型、成形品形状および評価法は以下に示すとおりである。
1.製造方法、評価方法
(1)射出成形機および金型
東芝IS100GN射出成形機
成形温度:200℃
100×100×3mmt平板金型
金型温度:40℃
上記金型内にフィルム(B)をインサートし、基材(A)を上記射出成形機によって、記載の条件によって射出成形し、成形品を得た。
(2)光沢度
成形品表面の60°鏡面光沢度をJIS Z8741に規定された方法に基づき測定した。
(3)ヘイズ
貼合に用いるフィルムのヘイズをJIS K7105に規定された方法に基づき測定した。
(4)表面硬度
成形品において、基材表面と、基材にフィルムが貼合された面の表面について、それぞれの硬度をロックウェル硬度(Rスケール)にて以下の式を用いて評価した。
(ロックウェル硬度の差)=(基材表面のロックウェル硬度)−(基材のフィルム貼合面のロックウェル硬度)
上記式において、ロックウェル硬度の差が1.0以上であると触感が良好である。
(5)摩擦係数
成形品において、基材表面と、基材にフィルムが貼合された面の表面について、10g荷重下での摩擦係数をカトーテック社製の摩擦感テスターKES−SE−SR−Uにて測定し、以下の式を用いて評価した。
(摩擦係数の差)=(基材表面の摩擦係数)−(基材のフィルム貼合面の摩擦係数)
上記式において、摩擦係数の差が0.5以上であると触感が良好(グリップ感、フィット感が良い)である。
また、フィルム貼合面の摩擦係数が1.5以上であると、触感が良好(グリップ感、フィット感が良い)である。
(6)フィルム密着性
フィルム貼合成形品のフィルムと基材との密着性について、フィルムを基材樹脂から手で引き剥がした時の、フィルムの剥がれ方を下記の基準で判定した。
○フィルムが全く剥がれない。
△フィルムの変形を伴いながら剥がれる。
×フィルムが容易に剥がれる。
(7)示差走査熱量計(DSC法)により測定された融解ピーク温度(Tm)
示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とした。
(8)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線
試料は射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行い、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを持つかを確認した。
(9)MFR(単位;g/10min):
JIS K7210準拠。試験温度:230℃、荷重:21.18N。
2.材料
(1)基材(A)用樹脂
(A1):
市販されている日本ポリプロ社製「ニューコン」のうち、以下の物性を示すチーグラー系触媒で製造されたプロピレン−エチレンブロック共重合体(A1)を使用した。該共重合体樹脂は、樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が30.0g/10分であり、プロピレン単独重合体部分を75重量%含み、エチレン−プロピレン共重合体部分を25重量%含み、エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が40重量%であり、(Mw−H)/(Mw−W)が0.70であった。
なお、Mw−Hは、130000であり、Mw−Wは、185000である。
ここで、Mw−Hは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた、プロピレン単独重合体部分の重量平均分子量であり、Mw−Wは、同方法により求めた、プロピレン−エチレンブロック共重合体(A1)全体の重量平均分子量である。
(A2):
市販されている日本ポリプロ社製プロピレン−エチレンブロック共重合体(「ニューコン」と「ノバテック」との混合物)を71重量%、ゴム成分(ダウケミカル社製、エンゲージ8200)7重量%、タルク(日本タルク社製、PC25RC)22重量%とを配合した、ポリオレフィン系樹脂(A2)を使用した。該樹脂は、樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が22.0g/10分、密度が1.05g/cmであった。
(A3):
市販されている日本ポリプロ社製プロピレン−エチレンブロック共重合体「ノバテック」を68.5重量%、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(アルケマ社製OREVAC CA100、酸変性量(グラフト率)0.8重量%)を1.5重量%含有する樹脂と、ガラス繊維(日本電気硝子社製、T480H、チョップドストランド、繊維径10μm、長さ4mm)30重量%とを配合した、ポリオレフィン系樹脂(A3)を使用した。該樹脂は、樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が13.0g/10分、密度が1.12g/cmであった。
(2)フィルム(B)用樹脂
(B1):
「WELNEX」(日本ポリプロ社製)として市販されているもののうち、以下のものを使用した。これは、メタロセン系触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体(b−1)であって、第1工程でエチレン含量1.8重量%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−1)を56.0重量%、第2工程で成分(b−1)よりも9.2重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−2)を44.0重量%逐次重合することで得られたもので、DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が133.0℃で、固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が−8℃に単一のピークを有し、共重合体全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が6g/10分のものであった。
(B2):
「メリネックス」(帝人デュポンフィルム社製)として市販されているPETフィルムを使用した。なお、フィルムの厚みは200μmである。
(B3):
「WINTEC WFW4」(日本ポリプロ社製)として市販されているものを使用した。
メタロセン系触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体(B3)を使用した。これは、MFR=7.0g/10min、エチレン含量=1.9重量%のものであった。
(B4):
チーグラー系触媒で製造されたプロピレン−エチレンブロック共重合体(B4)を使用した。これは、共重合体樹脂全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が9.0g/10分であり、プロピレン単独重合体部分を90重量%含み、エチレン−プロピレン共重合体部分を10量%含み、エチレン−プロピレン共重合体部分のエチレン含量が40重量%であり、(Mw−H)/(Mw−W)が0.69のものであった。
なお、Mw−Hは、275000であり、Mw−Wは、400000である。
ここで、Mw−Hは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた、プロピレン単独重合体部分の重量平均分子量であり、Mw−Wは、同方法により求めた、プロピレン−エチレンブロック共重合体(B4)全体の重量平均分子量である。
3.実施例及び比較例
[実施例1]
表1に示したとおり、(A1)および(B1)を、それぞれ基材(A)材料及びフィルム(B)として用い、上記射出成形条件により100×100×3mmtシートを成形した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
フィルムの厚さを200μmとした以外は、実施例1と同様にして射出成形品を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
フィルムの厚さを500μmとした以外は、実施例1と同様にして射出成形品を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
基材に用いる樹脂を(A2)とした以外は、実施例2と同様にして射出成形品を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
基材に用いる樹脂を(A3)とした以外は、実施例2と同様にして射出成形品を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
フィルムに用いる樹脂を(B2)とした以外は、実施例2と同様にして射出成形品を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
フィルムに用いる樹脂を(B3)とした以外は、実施例2と同様にして射出成形品を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
フィルムに用いる樹脂を(B4)とした以外は、実施例2と同様にして射出成形品を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
フィルムの厚さを50μmとした以外は、実施例1と同様にして射出成形品を製造し、評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2013116563
4.評価
表1に示す結果から明らかなように、本発明の必須構成要件における各規定を満たす、実施例1〜5に示す成形品は、何れも、光沢、ロックウェル硬度、摩擦係数及びフィルム密着性がいずれも良好であり、好適な性能を有している。
一方、フィルム(B)を構成する樹脂の要件が本発明の要件を満たさない比較例1〜3は、性能が劣るものであった。すなわち、比較例1では、基材表面とフィルム貼合せ面のロックウェル硬度の差が1.0以上ないため、軟質な触感を有していなかった。摩擦係数の差も0.5以上ではなかった。フィルム密着性も極めて悪くフィルム貼合せ成形品にできないものであった。また、比較例2では、基材表面とフィルム貼合せ面のロックウェル硬度の差が1.0以上ないため、軟質な触感を有していなかった。摩擦係数の差も0.5以上ではなかった。また、比較例3では、フィルムのヘイズが高く十分な透明性を有していないため、発色性が悪く、外観に劣るものであった。さらに、基材表面とフィルム貼合せ面のロックウェル硬度の差が1.0以上ないため、軟質な触感を有していなかった。
また、フィルム(B)を構成する樹脂の要件を満たすが、厚みの要件を満たさない比較例4では、フィルムの厚さが薄いことから、基材表面とフィルム貼合せ面のロックウェル硬度の差が1.0以上ないため、軟質な触感を有していないものであった。
以上における、各実施例と各比較例の結果からして、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかにされている。
本発明の成形品は、表面が軟質で触感が軟らかく、しかも、発泡ブロー成形性が良好で、大幅な軽量化が可能である多層ブロー成形品であるという効果がある。
そのため、バンパー、サイドモール、スポイラー、インストルメントパネル、ルーフ、灯体、デッキボード等をはじめとする自動車向けブロー成形部品用途、なかでも、トリム類、コンソール等の自動車内装部品用途や、日常品、日用雑貨、バス、トイレ等の部材など住宅、建設設備向けブロー成形部品用途、事務用品、スポーツ用品、建築用品、装飾用品など種々の分野に、好適に用いることができるため、その産業上の利用可能性は非常に大きい。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂(a)を含有する基材(A)の表面の少なくとも一部に、フィルム(B)が貼合されてなる成形品であって、
    フィルム(B)は、下記の要件(1)〜(4)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体(b)からなり、厚みが90〜500μmであることを特徴とする成形品。
    要件(1):メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独重合体またはエチレン含量7重量%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−1)を30〜95重量%、第2工程で成分(b−1)よりも3〜20重量%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b−2)を5〜70重量%、逐次重合することで得られたものである。
    要件(2):DSC法により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃である。
    要件(3):固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有する。
    要件(4):メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜200g/10分である。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂(a)は、ポリプロピレン系樹脂またはプロピレン系樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の成形品。
  3. 前記プロピレン系樹脂組成物は、無機充填材および/またはゴム成分を含有することを特徴とする請求項2に記載の成形品。
  4. フィルム(B)は、ヘイズが15%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形品。
  5. JIS Z8741に準拠して測定された表面の60℃鏡面光沢度が、60%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形品。
  6. 基材(A)表面のRスケールによるロックウェル硬度と、前記成形品のフィルム(B)が貼合された表面のRスケールによるロックウェル硬度との差が、1.0以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形品。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形品の製造方法であって、
    フィルム(B)を金型内にインサートする工程、引き続き、前記金型内に、基材(A)を導入して、成形する工程からなることを特徴とする成形品の製造方法。
  8. 前記成形は、射出成形法、射出圧縮成形法またはブロー成形法によることを特徴とする請求項7に記載の成形品の製造方法。
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