JP2018140626A - 加飾成形体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法安定性、剛性、軽量性を有し、表面光沢や表面平滑性といった成形体表面外観や、手触りに優れた成形体を提供する。【解決手段】樹脂成形体6上に熱成形によってポリプロピレン系加飾フィルム1が貼着された加飾成形体であって、樹脂成形体6は、融解ピーク温度110℃以上、MFR0.5〜200g/10分以下のポリプロピレン系樹脂40〜99重量%と、ガラス繊維または炭素繊維1〜60重量%とを含む繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物からなり、ポリプロピレン系加飾フィルム1は、MFRが2g/10分以下のポリプロピレン系樹脂からなる層3を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、加飾成形体およびその製造方法に関する。詳しくは、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物からなる樹脂成形体の表面に熱成形によってポリプロピレン系加飾フィルムを貼着することにより得られる表面形状に優れた加飾成形体およびその加飾成形体の製造方法に関する。
ポリプロピレンは、物性、成形性、リサイクル性および経済性などに優れるため、生活資材や工業用部材として幅広く使用されている。特に、自動車部材、テレビや掃除機といった電気機器部材においては軽量化、デザイン性の改良要請が強く、これら要求を満たすためにポリプロピレンが多用されている。
上記部品の材料として使用されるポリプロピレンは、剛性や耐衝撃性、寸法安定性などの特性を高度に、バランスよく有することが必要とされており、従来からタルク、マイカ、炭酸カルシウム等の無機フィラーを配合するといった工夫がなされてきた。
しかし、近年の自動車分野においては、ハイブリット車や電気自動車といった低燃費・低排出ガス車に需要が高まりから、より一層の自動車車体の軽量化が求められており、フェンダーやバックドアといったより高剛性が必要な車体部材に対しても樹脂化要求が高まっているが、従来の無機フィラーを用いたポリプロピレン系材料では高剛性、寸法安定性といった特性が不十分であった。
このような問題に対し、ポリプロピレン樹脂に炭素繊維を配合した、寸法安定性、剛性、耐衝撃性、軽量性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献1,2を参照)。開示されたポリプロピレン系樹脂組成物からなる成形体は上述した特性に優れているが、炭素繊維はポリプロピレンとの親和性が乏しいため、成形体表面に炭素繊維とポリプロピレンとの界面に大きな溝ができ、かつ、ポリプロピレンが結晶化する際に成形体寸法が収縮して炭素繊維の繊維形状が浮き出るため、表面光沢や表面平滑性といった成形体表面外観や、手触りが著しく劣るという問題点があった。
これら外観や手触りの改良方法として、例えば特許文献3では熱可塑性樹脂に炭素繊維を含有した繊維強化プラスチックからなる成形体表面を、湿式自動ベルト研磨機にて研磨する方法が開示されているが、自動車部品の様な複雑な形状の成形体に用いることは困難であるという問題がある。
また、特許文献4によれば、繊維含有樹脂と繊維非含有樹脂と加飾フィルムの組み合わせからなる加飾成形品が提案されている。開示された技術によれば、まずインサート成形機に加飾フィルムをセットし、繊維非含有樹脂を射出成型し、繊維非含有樹脂が固化する前に、繊維非含有樹脂の内部に繊維含有樹脂を射出成型することで、フィルム表面に繊維含有樹脂が接触せず、外観に優れる加飾成形品が得られる。しかし、この方法では異なる樹脂を複数回射出するため、工程時間が長くなるばかりでなく、繊維非含有樹脂の存在により、成形品の物性が低下する問題があった。
特開2005−232413号公報 特開2005−125581号公報 特開2002−067070号公報 特開2000−158481号公報
本発明の目的は、上記の従来技術を鑑み、寸法安定性、剛性、軽量性を有しつつ、表面光沢や表面平滑性といった成形体表面外観や、手触りに優れた成形体を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究の結果、特定の繊維を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる樹脂成形体に、特定の要件を満たすポリプロピレン系樹脂からなる特定の層から構成されるポリプロピレン系加飾フィルムが貼合されるようにしたので、寸法安定性、剛性、軽量性を有しつつ、表面光沢や表面平滑性といった成形体表面外観や、手触りに優れた加飾成形体を提供することを可能とした。
本発明は以下の構成からなる。すなわち、本発明は、樹脂成形体上に熱成形によってポリプロピレン系加飾フィルムが貼着された加飾成形体であって、前記ポリプロピレン系加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含み、前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記要件(a1)〜(a4)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、下記要件(b1)〜(b2)を満たす加飾フィルムであり、前記樹脂成形体は、下記要件(ア−i)〜(ア−ii)を満たすポリプロピレン系樹脂(ア)40重量%〜99重量%と、下記要件(イ−i)を満たす繊維(イ)1重量%〜60重量%(但し、(ア)と(イ)との合計量を100重量%とする)とを含む繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)からなり、前記ポリプロピレン系加飾フィルムと前記樹脂成形体とはシール層(I)を介して貼着された成形体であることを特徴とする加飾成形体である。

ポリプロピレン系樹脂(A)
(a1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である
(a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、150℃未満である
(a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5〜3.5である
ポリプロピレン系樹脂(B)
(b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR(A)とは、関係式(b−1)を満たす
MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b−1)、
(b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b−2)を満たす
Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b−2)
ポリプロピレン系樹脂(ア)
(ア−i):融解ピーク温度Tm(ア)が、110℃以上である。
(ア−ii):MFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上200g/10分以下である。
繊維(イ)
(イ−i):繊維(イ)が、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする前記の加飾成形体である。
また本発明は、Tm(A)は、140℃以下であることを特徴とする前記の加飾成形体である。
また本発明は、前記ポリプロピレン系加飾フィルムは、前記樹脂成形体との貼着面とは反対側の面に、表面加飾層樹脂からなる表面加飾層(III)を有することを特徴とする前記の加飾成形体である。
また本発明は、前記表面加飾層樹脂は、ポリプロピレン系樹脂(D)からなり、該ポリプロピレン系樹脂(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、2g/10分を超えることを特徴とする前記の加飾成形体である。
また本発明は、前記加飾成形体の、貼着されたポリプロピレン系加飾フィルム表面側の、ISO4287/1997に準拠して測定された算術平均粗さRaが、2μm以下であることを特徴とする前記の加飾成形体である。
また本発明は、前記の加飾成形体を製造する方法であって、ポリプロピレン系加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、チャンバー内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、チャンバー内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法である。
本発明の加飾成形体によれば、特定の繊維を含むポリプロピレン系樹脂組成物からなる樹脂成形体に、特定の要件を満たすポリプロピレン系樹脂からなる特定の層から構成されるポリプロピレン系加飾フィルムが貼合されるようにしたので、寸法安定性、剛性、軽量性を有しつつ、表面光沢や表面平滑性といった成形体表面外観や、手触りに優れた加飾成形体を提供することを可能とした。
さらに、本発明の加飾成形体の製造方法によれば、その表面に穴やしわがなく、加飾フィルムと樹脂成形体の間に空気の巻き込みが無く、傷が目立たない美麗な加飾成形体を得ることができる。また、従来接着が困難であった形状が複雑な樹脂成形体に対し、加飾フィルムを綺麗に貼着することができる。さらに、このようにして得られた加飾成形体は、熱硬化性樹脂層を含まないためリサイクル時に外観や性能の低下が小さく、リサイクル適性が高い。
本発明の加飾成形体の層構成の例を示す図である。 本発明の加飾成形体の製造方法に用いる装置の概要を説明する模式的断面図である。 図2の装置内に樹脂成形体および加飾フィルムをセットした様子を説明する模式的断面図である。 図2の装置内を加熱および減圧する様子を説明する模式的断面図である。 図2の装置内で樹脂成形体に加飾フィルムを押し当てる様子を説明する模式的断面図である。 図2の装置内を大気圧に戻す又は加圧する様子を説明する模式的断面図である。 得られた加飾成形体において、不要な加飾フィルムのエッジがトリミングされた様子を説明する模式的断面図である。
本明細書において、加飾フィルムとは、成形体を装飾するためのフィルムをいう。加飾成形とは、加飾フィルムと成形体とを貼着させる成形をいう。三次元加飾熱成形とは、加飾フィルムと成形体とを貼着させる成形であって、加飾フィルムを成形体の貼着面に沿って熱成形すると同時に貼着させる工程を有し、該工程が、加飾フィルムと成形体との間に空気が巻き込まれるのを抑制するために、減圧(真空)下で熱成形を行い、加熱した加飾フィルムを成形体に貼着させ、圧力解放(加圧)により、密着させる工程である、成形をいう。以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明の加飾成形体は、樹脂成形体上に熱成形によってポリプロピレン系加飾フィルムが貼着された加飾成形体であって、前記ポリプロピレン系加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含み、前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記要件(a1)〜(a4)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、下記要件(b1)〜(b2)を満たす加飾フィルムであり、前記樹脂成形体は、下記要件(ア−i)〜(ア−ii)を満たすポリプロピレン系樹脂(ア)40重量%〜99重量%と、下記要件(イ−i)を満たす繊維(イ)1重量%〜60重量%(但し、(ア)と(イ)との合計量を100重量%とする)とを含む繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)からなり、前記ポリプロピレン系加飾フィルムと前記樹脂成形体とはシール層(I)を介して貼着された成形体であることを特徴とする加飾成形体である。

ポリプロピレン系樹脂(A)
(a1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である
(a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、150℃未満である
(a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5〜3.5である
ポリプロピレン系樹脂(B)
(b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR(A)とは、関係式(b−1)を満たす
MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b−1)、
(b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b−2)を満たす
Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b−2)
ポリプロピレン系樹脂(ア)
(ア−i):融解ピーク温度Tm(ア)が、110℃以上である。
(ア−ii):MFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上200g/10分以下である。
繊維(イ)
(イ−i):繊維(イ)が、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
ポリプロピレン系樹脂(A)
本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)を含むものである。シール層(I)は、三次元加飾熱成形の際に、樹脂成形体(基体)と接する層である。ポリプロピレン系樹脂(A)は、溶融・緩和しやすい樹脂であることが好ましい。シール層(I)を設けることにより、加飾成形体の表面に穴、しわ、空気の巻き込み等の発生が抑えられ、基体表面についた傷を目立ちにくくすることができる。
ポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)MFR(A)は、0.5g/10分を超えることが必要であり、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上である。前記の範囲であると、三次元加飾熱成形時の緩和が十分に進行し十分な接着強度を発揮することができる。MFR(A)の上限には制限はないが、100g/10分以下であることが好ましい。前記の範囲であると、物性低下による接着強度の悪化が生じることがない。
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂および後述するポリプロピレン系樹脂組成物のMFRの測定は、ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠し、230℃、2.16kg荷重の条件で測定した。単位はg/10分である。
ポリプロピレン系樹脂(A)のMw/Mnは、1.5〜3.5であり、好ましくは2〜3である。前記の範囲であると、相対的に緩和時間が長い成分が少なく、十分に緩和しやすいので好ましい。
なお、Mn、Mwは、「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算される値である。
ポリプロピレン系樹脂(A)の融点(DSC融解ピーク温度)は、150℃未満であり、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。前記の範囲であると、十分な接着強度を発揮することができる。Tm(A)が下がりすぎると、耐熱性が低下し成形体の使用において問題を生じる場合があるため、100℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上である。
本発明のポリプロピレン系樹脂(A)は、メタロセン触媒により重合されるいわゆるメタロセン触媒系プロピレン系重合体である。メタロセン触媒は活性点が単一であることから、メタロセン触媒により重合されたプロピレン系重合体は、分子量分布や結晶性分布が狭く、融解・緩和しやすいことで、多くの熱を加えることなく基体との融着が可能となる。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等の様々なタイプのプロピレン系重合体、又はそれらの組み合わせを選択することができる。プロピレン系重合体は、プロピレンモノマーを50mol%以上含んでいることが好ましい。プロピレン系重合体は、極性基含有モノマー単位を含まないものであることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、シール性の観点からは、プロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましく、プロピレン−α−オレフィン共重合体は通常、プロピレン単独重合体に比べ融点が低下するのに伴って結晶化温度も低下しているため、熱成形時により変形しやすく傷を目立たなくする効果が高い。
α−オレフィンとしては、エチレン及び炭素数が3〜8のα−オレフィンから選ばれる一種または二種以上の組み合わせ等を用いることが出来る。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)には、添加剤、フィラー、その他の樹脂成分などが含まれていてもよい。すなわち、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー、その他の樹脂成分などとの樹脂組成物(ポリプロピレン系樹脂組成物)であってもよい。添加剤、フィラー、その他の樹脂成分などの総量は、ポリプロピレン系樹脂組成物に対して95重量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂組成物のときは、ポリプロピレン系樹脂組成物が、前記のポリプロピレン系樹脂(A)の特性を有していることが好ましい。
添加剤としては、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤などの、ポリプロピレン系樹脂に用いることのできる公知の各種添加剤を配合することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤などを例示することができる。中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類等を例示することができる。光安定剤および紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などを例示することができる。
結晶核剤としては、芳香族カルボン酸金属塩、芳香族リン酸金属塩、ソルビトール系誘導体、ロジンの金属塩等、アミド系核剤を挙げることができる。これらの結晶核剤の中では、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)アルミニウム、ビス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,g][1,2,3]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩と有機化合物の複合体、p−メチル−ベンジリデンソルビトール、p−エチル−ベンジリデンソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトール、ロジンのナトリウム塩などを例示することができる。
滑剤としては、ステアリン酸アマイドなどの高級脂肪酸アマイド類などを例示することができる。帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類などを例示することができる。金属不活性剤としては、トリアジン類、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類などを例示することができる。
フィラーとしては、無機充填剤、有機充填剤などの、ポリプロピレン系樹脂に用いることのできる公知の各種充填剤を配合することができる。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ガラスファイバーやカーボンファイバーなどを例示することができる。また有機充填剤としては、架橋ゴム微粒子、熱硬化性樹脂微粒子、熱硬化性樹脂中空微粒子、などを例示することができる。
その他の樹脂成分としては、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンおよび/またはブテンを主成分とする熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー、芳香族系炭化水素樹脂、ヘテロ原子を有する極性官能基を有するポリオレフィン樹脂等を例示することができる。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。上記炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらの中では、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく用いられる。
このようなエチレン−α−オレフィンランダム共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン(株)製のカーネルシリーズ、三井化学(株)製のタフマーPシリーズ、タフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズなどが挙げられる。
プロピレンおよび/またはブテンを主成分とする熱可塑性エラストマーとしては、プロピレンを主成分とする熱可塑性エラストマー、ブテンを主成分とする熱可塑性エラストマー、プロピレンとブテンを合計した成分を主成分とする熱可塑性エラストマーが包含される。このような熱可塑性エラストマーは、プロピレンおよび/またはブテンと、プロピレンとブテン以外のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。α−オレフィンとしては、具体的にはエチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で又は組み合せて用いることができる。
このような熱可塑性エラストマーとしては、市販品として、三井化学(株)製のタフマーXMシリーズ、タフマーBLシリーズ、タフマーPNシリーズや、エクソンモービルケミカル社製のVISTAMAXXシリーズなどが挙げられる。
スチレン系エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)等が例示でき、水添されているものが特に好適に用いることができる。
市販品として、JSR(株)製のダイナロンシリーズ、クレイトンポリマージャパン(株)製のクレイトンGシリーズ、旭化成(株)製のタフテックシリーズなどが挙げられる。
芳香族系炭化水素樹脂としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン等のジシクロペンタジエン誘導体の1種または2種以上の混合物を主原料として重合して得られる炭化水素樹脂、水素化クマロン・インデン樹脂、水素化C9系石油樹脂、水素化C5系石油樹脂、C5/C9共重合系石油樹脂、水素化テルペン樹脂、水素化ロジン樹脂などが挙げられ、そして、市販の製品を使用することができ、具体的には、荒川化学(株)製のアルコンシリーズ、東燃化学(株)製のT−REZシリーズ、日本ゼオン(株)製のQuintoneシリーズ、出光興産(株)製のアイマーブシリーズなどを挙げることができる。
ヘテロ原子を有する極性官能基としては、エポキシ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基又はその金属塩、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、酸無水物基、アミノ基、イミド基、アミド基、ニトリル基、チオール基、スルホ基、イソシアネート基、ハロゲン基等が挙げられる。このような極性官能基を有するポリオレフィンの具体例としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アクリル酸変性ポリプロピレンなどの酸変性ポリプロピレン;エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、エチレン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/メタクリロニトリル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリルアミド共重合体、エチレン/メタクリルアミド共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、又はその鹸化物、エチレン/プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/ビニル単量体共重合体;塩素化ポリプロピレン塩素化ポリエチレンなどの塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。市販品としては、三井化学社製 商品名「アドマー」、三菱化学社製 商品名「モディック」、三洋化成社製 「ユーメックス」などを挙げることができる。
また、意匠性を付与するために着色することも可能であり、着色には無機顔料、有機顔料、染料等の各種着色剤を用いることが出来る。また、アルミフレークや酸化チタンフレーク、(合成)マイカ等の光輝材を使用することもできる。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー、その他の樹脂成分等を溶融混練する方法、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー等を溶融混練したものにその他の樹脂成分をドライブレンドする方法、プロピレン系重合体とその他の樹脂成分に加え添加剤、フィラー等をキャリアレジンに高濃度で分散させたマスターバッチをドライブレンドする方法等によって製造することができる。
ポリプロピレン系樹脂(B)
本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含むものである。ポリプロピレン系樹脂(B)は、前記のポリプロピレン系樹脂(A)よりも、溶融・緩和しにくい樹脂であることが好ましい。層(II)を設けることにより、熱成形時にフィルムが破断したり暴れたりすることによる外観不良の発生を抑制することが出来る。これにより、加飾フィルムが、熱成形性を改良するため、熱成形性に優れる熱硬化性樹脂層を含まなくてもよい。
ポリプロピレン系樹脂(B)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))は、MFR(A)に比べて低いことが必要であり、すなわち、MFR(B)<MFR(A)の関係を満たし、好ましくはMFR(B)≦0.5×MFR(A)、より好ましくはMFR(B)≦0.25×MFR(A)の関係を満たす。前記の範囲であると、熱成形性が良好となる。MFR(B)の下限には、MFR(A)の値によらず制限はないが、好ましくはMFR(B)≧0.01×MFR(A)である。
MFR(B)は、前記の範囲であれば特に制限はないが、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.2g/10分以上である。前記の範囲であると、熱成形の際、加飾フィルムの延展性が良好である。また、MFR(B)は、好ましくは20g/10分以下、より好ましくは15g/10分以下である。
ポリプロピレン系樹脂のDSC測定における融解ピーク温度(Tm(B))は、Tm(A)よりも高いことが必要で、Tm(B)>Tm(A)である。前記の範囲であると、熱成形性が良好となる。
Tm(B)は、前記の範囲であれば特に制限はないが、好ましくは150℃以上、より好ましくは155℃以上である。前記の範囲であると、耐熱性、耐傷つき性、耐溶剤性が良好となる。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、メタロセン触媒系プロピレン系重合体、チーグラー・ナッタ触媒系プロピレン系重合体等から選ぶことができる。チーグラー・ナッタ触媒系プロピレン系重合体が好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等の様々なタイプのプロピレン系重合体、又はそれらの組み合わせを選択することができる。プロピレン系重合体は、プロピレンモノマー由来の重合単位を50mol%以上含んでいることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)には、添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分などが含まれていてもよい。すなわち、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分などを含む樹脂組成物(ポリプロピレン系樹脂組成物)であってもよい。添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分などの総量は、ポリプロピレン系樹脂組成物に対して50重量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)がポリプロピレン系樹脂組成物のときは、ポリプロピレン系樹脂組成物が、前記のポリプロピレン系樹脂(B)の特性を有していることが好ましい。
添加剤としては、前記のポリプロピレン系樹脂(A)に含まれていてもよい添加剤等を使用することができる。
また、意匠性を付与するために着色することも可能であり、着色には無機顔料、有機顔料、染料等の各種着色剤を用いることが出来る。また、アルミフレークや酸化チタンフレーク、(合成)マイカ等の光輝材を使用することもできる。
本発明の加飾成形体が、着色された成形体として成形される場合、加飾フィルムにのみ着色剤を用いれば良いため、樹脂成形体全体に着色する場合と比べ、高価な着色剤の使用を抑制することが可能である。また着色剤を配合することに伴う物性変化を抑制することができる。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー、その他の樹脂成分等を溶融混練する方法、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー等を溶融混練したものにその他の樹脂成分をドライブレンドする方法、プロピレン系重合体とその他の樹脂成分に加え添加剤、フィラー等をキャリアレジンに高濃度で分散させたマスターバッチをドライブレンドする方法等によって製造することができる。
加飾フィルム
本発明における加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含む。加飾フィルムは、シール層(I)、層(II)の他に様々な構成を取ることが可能である。すなわち、加飾フィルムは、シール層(I)および層(II)からなる二層フィルムであっても、シール層(I)および層(II)と他の層からなる三層以上の多層フィルムであってもよい。なお、シール層(I)は、樹脂成形体(基体)に沿って貼着する。また、加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ等が施されていてもよい。
加飾フィルムは形状の自由度が大きく、加飾フィルムの端面が加飾対象の裏側まで巻き込まれることで継ぎ目が生じないため外観に優れ、さらに、加飾フィルムの表面にシボ等を付与することで様々なテクスチャーを表現できる。例えば樹脂成形体にエンボス等のテクスチャーを付与する場合、エンボスの付与された加飾フィルムを用いて三次元加飾熱成形を行えば良い。このため、エンボスを付与する成形体金型で成型する場合の課題、すなわちエンボスパターン毎に成形体金型が必要であること、曲面の金型に複雑なエンボスを施すことは非常に困難で高価であること、といった課題が解決でき、様々なパターンのエンボスを容易に付与した加飾成形体を得ることができる。
多層フィルムには、表面層、表面加飾層、印刷層、遮光層、着色層、基材層、バリア層、これらの層間に設けることができるタイレイヤー層等を含めることができる。ポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)は、多層フィルムを構成する層の内、シール層を除くいずれの層であってもよい。
多層フィルムにおいて、シール層(I)と層(II)以外の層は、好ましくは熱可塑性樹脂からなる層であり、より好ましくはポリプロピレン系樹脂からなる層である。シール層(I)と層(II)以外の層は、シール層(I)および層(II)と識別することができる限り、構成するポリプロピレン系樹脂のMFR(230℃、2.16kg荷重)は特に制限されるものではない。各層は熱硬化性樹脂を含まない層であることが好ましい。熱可塑性樹脂を用いることにより、リサイクル性が向上し、ポリプロピレン系樹脂を用いることにより、層構成の複雑化を抑制することができ、さらにリサイクル性がより向上する。
加飾フィルムが、二層フィルムであるとき、ポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)が樹脂成形体への貼着面とは逆の表面層を構成し、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)が樹脂成形体への貼着面のシール層を構成する。
加飾フィルムが三層以上の多層フィルムであるとき、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)とポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)との間に、その他の層が介在すると、基体表面の傷の浮き出しを抑制する効果が低下する場合がある。このため、多層フィルムは、樹脂成形体の貼着面側からポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)/ポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)/その他の層(複数の層を含む)という構成が好ましい。
加飾フィルムの好ましい別の態様として、樹脂成形体への貼着面とは反対側の最表面に、表面加飾層樹脂からなる表面加飾層(III)とを含む多層フィルムが挙げられる。表面加飾層樹脂は、好ましくは熱可塑性樹脂、より好ましくはポリプロピレン系樹脂(D)であるとよい。
ポリプロピレン系樹脂(D)
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(D)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(D))は、好ましくは2g/10分を超え、より好ましくは、さらにMFR(D)>MFR(B)を満たす。上記の値の範囲にすることにより、より美麗な表面テクスチャーを表現することができる。加飾フィルムの表面層にさらにポリプロピレン系樹脂(D)からなる層(III)を設けることで、熱成形性を大きく低下させることなく、光沢やシボ転写性を向上させることが出来る。またポリプロピレン系樹脂(D)を用いることにより、層構成の複雑化やリサイクル性の低下を抑制することができる。加えて、ポリプロピレン系樹脂(D)を加飾フィルムの表面加飾層に用いることで、耐溶剤性等を優れたものにすることができる。また、表面加飾層にポリプロピレン系樹脂(D)を用いることで、加飾フィルムの製造時および熱成形時の表面の転写性が向上し、熱成形時に鏡面ロールを用いれば高い光沢を有する加飾フィルムとすることが出来る。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(D)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体(ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)等の様々なタイプのプロピレン系重合体、又はそれらの組み合わせを選択することができる。プロピレン系重合体は、プロピレンモノマーを50mol%以上含んでいることが好ましい。プロピレン系重合体は、極性基含有モノマー単位を含まないものであることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂(D)は、耐油性、耐溶剤性、耐傷付き性等の観点からホモポリプロピレンが好ましい。また光沢や透明性(発色性)の観点からは、プロピレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(D)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が好ましくは2g/10分を超え、より好ましくは5g/10分以上、さらに好ましくは9g/10分以上である。ポリプロピレン系樹脂(D)のMFRを上記の値の範囲にすることにより、加飾フィルムの光沢が向上する、シボ転写性が向上する等の効果が得られ、要求される成形体の表面形状(光沢、非光沢、シボ等)について、良好な外観を有する加飾成形体を得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂(D)のMFRの上限については特に制限はないが、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下である。MFRを上記の値の範囲にすることにより、良好な耐油性、耐溶剤性、耐傷付き性等を発揮することができる。
ポリプロピレン系樹脂(D)には、添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分などが含まれていてもよい。すなわち、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分などとの樹脂組成物(ポリプロピレン系樹脂組成物)であってもよい。添加剤、フィラー、着色剤、その他の樹脂成分などの総量は、ポリプロピレン系樹脂組成物に対して50重量%以下であることが好ましい。
添加剤としては、前記のポリプロピレン系樹脂(A)に含まれていてもよい添加剤等を使用することができる。
表面加飾層(III)を構成するポリプロピレン系樹脂(D)は、シール層(I)を構成するポリプロピレン系樹脂(A)と同じであっても異なっていてもよい。
表面加飾層(III)を構成するポリプロピレン系樹脂(D)がポリプロピレン系樹脂組成物であるとき、このポリプロピレン系樹脂組成物は、シール層(I)を構成するポリプロピレン系樹脂(A)を組成するポリプロピレン系樹脂組成物と同じものであっても、異なるものであっても良い。両者のポリプロピレン系樹脂組成物が、同じものである場合には、1台の押出機でフィードブロック等を用いて、シール層(I)と表面加飾層(III)を形成することが出来るという利点を有する。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー、その他の樹脂成分等を溶融混練する方法、プロピレン系重合体と添加剤、フィラー等を溶融混練したものにその他の樹脂成分をドライブレンドする方法、プロピレン系重合体とその他の樹脂成分に加え添加剤、フィラー等をキャリアレジンに高濃度で分散させたマスターバッチをドライブレンドする方法等によって製造することができる。
本発明の加飾フィルムは、厚みが、好ましくは約20μm以上、より好ましくは約50μm以上、さらに好ましくは約80μm以上である。加飾フィルムの厚みをこのような値以上にすることにより、意匠性を付与する効果が向上し、成形時の安定性も向上し、より良好な加飾成形体を得ることが可能とある。一方、加飾フィルムの厚みは、好ましくは約2mm以下、より好ましくは約1.2mm以下、さらに好ましくは約0.8mm以下である。加飾フィルムの厚みをこのような値以下にすることにより、熱成形時の加熱に要する時間が短縮することで生産性が向上し、不要な部分をトリミングすることが容易になる。
本発明の加飾フィルムにおいて、加飾フィルム全体の厚みに占めるシール層(I)の厚みの割合は、好ましくは1〜70%であり、層(II)の厚みの割合は、好ましくは30〜99%である。加飾フィルム全体に占めるシール層(I)の厚みの割合が上記の値の範囲であれば、十分な接着強度を発揮することが出来、樹脂成形体(基体)の傷が表面に浮き出すのを抑制することが出来る。また加飾フィルム全体に占める層(II)の厚みの割合が上記の値の範囲であれば、加飾フィルムの熱成形性が不十分となることを避けることができる。
また、加飾フィルムの最表面にポリプロピレン系樹脂(D)からなる表面加飾層(III)を設けた多層フィルムにおいては、加飾フィルム中で層(III)の厚みの加飾フィルム全体の厚みに占める割合は、好ましくは30%以下である。
加飾フィルムの製造
本発明の加飾フィルムは、公知の様々な成形方法により製造することが出来る。
例えば、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)とポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を共押出成形する方法、シール層(I)および層(II)とさらに他の層とを共押出成形する方法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、他の層を熱及び圧力をかけて貼り合せる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合せるドライラミネーション法及びウェットラミネーション法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、ポリプロピレン系樹脂を溶融押出しする押出ラミネーション法やサンドラミネーション法などが挙げられる。加飾フィルムを形成するための装置としては、公知の共押出Tダイ成形機や、公知のラミネート成形機を用いることができる。この中で、生産性の観点から、共押出Tダイ成形機が好適に用いられる。
ダイスより押出された溶融状の加飾フィルムを冷却する方法としては、一本の冷却ロールにエアナイフユニットやエアチャンバーユニットより排出された空気を介して溶融状の加飾フィルムを接触させる方法や、複数の冷却ロールで圧着して冷却する方法が挙げられる。
本発明の加飾フィルムに光沢を付与する場合には、加飾フィルムの、製品の意匠面に鏡面状の冷却ロールを面転写して鏡面加工を施す方法が用いられる。
さらに、本発明の加飾フィルムの表面にシボ形状を有していてもよい。このような加飾フィルムは、ダイスより押出された溶融状態の樹脂を、凹凸形状を施したロールと平滑なロールとで直接圧着して凹凸形状を面転写する方法、平滑なフィルムを、凹凸形状を施した加熱ロールと平滑な冷却ロールとで圧接して面転写する方法等により製造することができる。シボ形状としては梨地調、獣皮調、ヘアライン調、カーボン調等が例示される。
本発明の加飾フィルムは、成膜後に熱処理してもよい。熱処理の方法としては、熱ロールで加熱する方法、加熱炉や遠赤外線ヒータで加熱する方法、熱風を吹き付ける方法等が挙げられる。
樹脂成形体
本発明において加飾される樹脂成形体(加飾対象)は、ポリプロピレン系樹脂(ア)40重量%〜99重量%と、繊維(イ)1重量%〜60重量%とからなる繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)を成形して得られた成形体である。
ポリプロピレン系樹脂(ア)
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(ア)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体、あるいは、プロピレンブロック共重合体等の公知の様々なタイプのものを選択する事ができ、下記要件(ア−i)〜(ア−ii)を満たす。
(ア−i):ポリプロピレン系樹脂(ア)の融解ピーク温度Tm(ア)が110℃以上である。
(ア−ii):ポリプロピレン系樹脂(ア)のMFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上200g/10分以下である。
ポリプロピレン系樹脂(ア)の融解ピーク温度Tm(ア)は、耐熱性の低下や剛性の低下により実用使用に問題が生じるため、110℃以上が必要であり、好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上である。融解ピーク温度Tm(ア)は、使用する触媒や、プロピレンと共重合するエチレンの含有量を調整することにより制御することができる。
ポリプロピレン系樹脂(ア)のMFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)は、0.5〜200g/10分であり、好ましくは1〜150g/10分、より好ましくは5〜100g/10分である。前記の範囲であると、ウェルド外観の低下といった成形体の製造時に生じる成形外観の悪化を抑制することができる。
ポリプロピレン系樹脂(ア)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体、あるいは、プロピレンブロック共重合体等の公知の様々なプロピレンモノマーを主原料とする様々なタイプのものを選択することが出来る。
繊維(イ)
本発明に用いられる繊維(イ)は、次の特性(イ−i)を満たす。
(イ−i):繊維(イ)が、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明に用いられる繊維(イ)は、引張弾性率および引張強度が高いため、樹脂組成物及びその成形体の剛性・耐熱性などの物性、寸法安定性(線膨張係数の低減など)、環境適応性の各向上などに寄与する特徴を有する。
また、本発明の効果が十分に得られると共に、本発明の繊維強化組成物の製造のし易さ及び経済性などの観点から、特にガラス繊維を用いることが好ましい。
また、繊維(イ)は、2種以上を併用することもでき、予めポリプロピレン系樹脂などに比較的高濃度に含有させた所謂マスターバッチとした形で使用することもできる。
また、(イ−i)の規定に該当しないタルク、マイカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ウィスカー及び有機繊維などの各種無機又は有機のフィラーを本発明効果を著しく損なわない範囲内で併用することもできる。
以下、本発明における(イ−i)に規定する各種繊維について、詳細に説明する。
ガラス繊維
ガラス繊維としては、特に限定されず用いることができ、繊維に用いられるガラスの種類としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラスなどが挙げることができ、中でもEガラスが好ましい。ガラス繊維の製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法にて製造される。
なお、ガラス繊維を2種以上を併用することもできる。
ガラス繊維の繊維長は、好ましくは、2〜20mmであり、より好ましくは、3〜10mmである。繊維長さが2mm未満であると、樹脂組成物及びその成形体の剛性などの物性を低下させるおそれがあり、一方、20mmを超えると、成形性(流動性)を低下させるおそれがある。
繊維長とは、通常のロービング状、ストランド状の繊維である場合、溶融混練する前のガラス繊維をそのまま原料として用いる場合における長さを表す。ただし、後述する溶融押出加工し、連続した多数本のガラス繊維を集合一体化したガラス繊維含有ペレットの場合は、ペレットの一辺(押出方向)の長さが、実質的にペレット中の繊維の長さと同じであるため、ペレットの一辺(押出方向)の長さを、繊維の長さとする。
ここで「実質的に」とは、具体的には、繊維含有ペレット中の繊維の個数全体を基準として、50%以上、好ましくは90%以上において、その長さがガラス繊維含有ペレットの長さ(押出方向)と同じであって、該ペレット調製の際に繊維の折損を殆ど受けないことを意味する。
繊維長は、顕微鏡により計測し、100本以上の繊維の長さの平均値を算出することにより求める。
その具体的な測定は、例えば繊維(イ)がガラス繊維の場合、ガラス繊維を界面活性剤含有水に混合し、該混合水液を薄ガラス板上に滴下拡散した後、デジタル顕微鏡(例えばキーエンス社製VHX−900型)を用いて100本以上の繊維長を測定しその平均値を算出する方法による。
また、ガラス繊維の繊維径は3〜25μmのものが好ましく、6〜20μmのものがより好ましい。繊維径が3μm未満であると、樹脂組成物及びその成形体の製造、成形時などにおいて該ガラス繊維が折損し易くなるおそれがあり、一方、25μmを超えると、繊維のアスペクト比が低下することに伴い、樹脂組成物及びその成形体の剛性などの各向上効果などが低下するおそれがある。
繊維径は、繊維を繊維長さ方向に垂直に裁断し、その断面を顕微鏡観察して直径を計測し、100本以上の繊維の直径の平均値を算出することにより求める。
ガラス繊維は、表面処理されたものも無処理のものもいずれも用いることができるが、ポリプロピレン系樹脂への分散性を向上させるなどのため、有機シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、シリコーン化合物、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどによって表面処理されているものを用いることが好ましい。
また、ガラス繊維は、集束剤で集束(表面)処理されたものを用いてもよく、集束剤の種類としては、エポキシ系集束剤、芳香族ウレタン系集束剤、脂肪族ウレタン系集束剤、アクリル系集束剤及び無水マレイン酸変性ポリオレフィン系集束剤などが挙げられる。これらの集束剤は、ポリプロピレン系樹脂との溶融混練において融解する必要があるため、200℃以下で溶融するものであることが好ましい。
表面処理に使用する有機シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができる。また、チタネートカップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。また、アルミネートカップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどを挙げることができる。また、ジルコネートカップリング剤としては、例えば、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ブチル、ジ(トリデシル)ホスフィトジルコネート;ネオペンチル(ジアリル)オキシ、トリネオデカノイルジルコネートが挙げられる。また、前記シリコーン化合物としては、シリコーンオイル、シリコーン樹脂などが挙げられる。
さらに、表面処理に使用する高級脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、カプリン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、カレイン酸、リノール酸、ロジン酸、リノレン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸などが挙げられる。また、高級脂肪酸金属塩としては、炭素数9以上の脂肪酸、例えば、ステアリン酸、モンタン酸などのナトリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩などが挙げられる。中でも、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウムが好適である。また、脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステルなどの多価アルコール脂肪酸エステル、アルファスルホン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが例示される。
前記表面処理剤の使用量は、特に制限されるわけではないが、ガラス繊維100重量部に対して0.01重量部〜5重量部が好ましく、0.1重量部〜3重量部がより好ましい。
ガラス繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップドストランド状ガラス繊維として用いることもできる。この中でも、樹脂組成物及びその成形体の低収縮性、剛性・衝撃強度などの観点から、ガラス繊維を収束したストランドを引き揃えて、2mm〜20mmに切断して得られるチョップドストランド状ガラス繊維を用いることが好ましい。
ガラス繊維の具体例としては、日本電気硝子社製(T480H)などを挙げることができる。
また、これらのガラス繊維は、予め任意の量の例えばポリプロピレン系樹脂などと、溶融押出加工して連続した多数本のガラス繊維を集合一体化し「ガラス繊維含有ペレット」として用いることができ、樹脂組成物及びその成形体の剛性などの各向上効果などをより高める観点から好ましい。
このようなガラス繊維含有ペレットの場合、前述したように繊維長は、ガラス繊維含有ペレットの長さ(押出方向)とし、2〜20mmが好ましい。
このようなガラス繊維含有ペレットの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用い
ることができる。
炭素繊維
炭素繊維としては、特に限定されず用いることができる。ここで、炭素繊維とは、微細炭素繊維とも称される例えば繊維径が500nm以下の極細のものも含まれる。なお、炭素繊維は2種以上併用することもできる。
炭素繊維の繊維長は、好ましくは、1〜20mmであり、より好ましくは、3〜10mmである。該炭素繊維の繊維の長さが1mm未満の場合、樹脂組成物及びその成形体における最終繊維長がより短くなり、樹脂組成物及びその成形体の低収縮性や剛性・衝撃強度などの物性を低下させるおそれがあり、一方、20mmを超えると、成形性(流動性)を低下させるおそれがある。
なお、炭素繊維の長さは、前述のガラス繊維と同様の方法で測定される。
炭素繊維の繊維径は、好ましくは2〜20μmであり、より好ましくは、3〜15μmである。繊維径が2μm未満であると、樹脂組成物及びその成形体の製造、成形時などにおいて炭素繊維が折損し易くなるおそれがあり、樹脂組成物及びその成形体の剛性などの物性の各向上効果などが低下するおそれがある。また、繊維径が20μmを超えると繊維のアスペクト比が低下することに伴い、樹脂組成物及びその成形体の、剛性などの各向上効果などが低下するおそれがある。
繊維径は、公知の方法で測定され、例えば、ISO11567/1995や顕微鏡観察法により測定される。
炭素繊維の種類としては、前記した様に特に限定されないが、例えばアクリロニトリルを主原料とするPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、タールピッチを主原料とするピッチ系炭素繊維、さらにはレーヨン系炭素繊維などが挙げられ、いずれも好適に用いられる。これらの本発明に対する適性はいずれも高いがどちらかといえばその組成純度や均一性などの観点からPAN系炭素繊維が好ましい。なお、これらは各々を単独使用してもよく、併用してもよい。なお、これらの炭素繊維の製造方法は特に限定されない。
炭素繊維の具体例としては、PAN系炭素繊維では、三菱レイヨン社製商品名「パイロフィル」、東レ社製商品名「トレカ」、東邦テナックス社製商品名「ベスファイト」などを挙げることができ、ピッチ系炭素繊維では、三菱樹脂社製商品名「ダイアリード」、大阪ガスケミカル社製商品名「ドナカーボ」、呉羽化学社製商品名「クレカ」などを挙げることができる。
また、これらの炭素繊維は、前述のガラス繊維と同様に、予め任意の量の例えばポリプロピレン系樹脂などと、溶融押出加工して連続した多数本の炭素繊維を集合一体化した「炭素繊維含有ペレット」として用いることもでき、樹脂組成物及びその成形体の剛性などの各向上効果などをより高める観点から好ましい。
このような炭素繊維含有ペレットの場合、前述したように炭素繊維の長さは、該炭素繊維含有ペレットの長さ(押出方向)とし、2〜20mmとすることが好ましい
炭素繊維は、通常200〜1000GPa程度の引張弾性率を有するが、本発明の樹脂組成物及びその成形体の強度や経済性などから本発明においては、200〜900GPaのものを用いるのが好ましく、200〜300GPaのものを用いるのがより好ましい。 また、炭素繊維は、通常1.7〜5g/cm程度の密度を有するが、軽量性や経済性などから1.7〜2.5g/cmの密度を有するものを用いるのが好ましい。
これらの炭素繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップド(ストランド状)カーボンファイバー(以下、単にCCFともいう。)として用いる事もでき、また必要に応じて、各種集束剤を用いて集束処理されたものであってもよい。本発明においては、樹脂組成物及びその成形体における、剛性などの物性の各向上効果などをより高めるため、このCCFを用いることが好ましい。
この様なCCFの具体例としては、PAN系炭素繊維では、三菱レイヨン社製商品名「パイロフィルチョップ」、東レ社製商品名「トレカチョップ」、東邦テナックス社製商品名「ベスファイトチョップ」などを挙げることができ、ピッチ系炭素繊維では、三菱樹脂社製商品名「ダイアリードチョップドファイバー」、大阪ガスケミカル社製商品名「ドナカーボチョップ」、呉羽化学社製商品名「クレカチョップ」などを挙げることができる。
また、炭素繊維含有ペレットにおいて、炭素繊維の含有量は、ペレット全体100重量%を基準として、20〜70重量%であることが好ましい。
炭素繊維の含有量が20重量%未満である炭素繊維含有ペレットを本発明において用いた場合、繊維強化組成物及びその成形体の低収縮性、耐傷付性、剛性・衝撃強度などの物性が低下するおそれがあり、一方、70重量%を超えるものを用いた場合には、成形性(流動性)などを低下させるおそれがある。
繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)
本発明に用いられる繊維(イ)の含有割合は、ポリプロピレン系樹脂(ア)に対して、1重量%〜60重量%、好ましくは5重量%〜55重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%である。繊維(イ)の含有割合が前記の範囲であると、低収縮性、高剛性などの優れた物性を発現される。
ここで、繊維(イ)の含有割合は実量であり、例えば、前記ガラス繊維含有ペレットを
用いる場合は、該ペレットに含有する繊維(イ)の実含有量に基づき算出する。
本発明の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)は、任意添加成分として、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、熱可塑性エラストマー、変性ポリオレフィン、分子量降下剤、潤剤、酸化防止剤などの各種任意添加成分を含有することができる。
任意添加成分は、2種以上を併用してもよく、樹脂組成物に添加してもよく、それぞれの成分においても2種以上併用することもできる。本発明において、任意添加成分の含有割合は特に限定されないが、通常、樹脂組成物100重量部において、0.01〜0.5重量部程度であり、その目的に応じて適宜選択される。
本明細書における熱可塑性エラストマーとは、オレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーなどから選ばれる熱可塑性エラストマーを表す。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを挙げることができる。
また、スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)などを挙げることができる。
さらに、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーなども挙げることができる。
中でも、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を使用すると、樹脂組成物及びその成形体において、低収縮性、触感及び衝撃強度などの性能がより優れ、経済性にも優れる傾向にあることなどの点から好ましい。
なお、熱可塑性エラストマーは、2種以上を併用することもできる。
変性ポリオレフィンは、酸変性ポリオレフィン及び/またはヒドロキシ変性ポリオレフィンであり、ポリプロピレン系樹脂(ア)と繊維(イ)との界面強度が向上することにより、樹脂組成物及びその成形体において、剛性・衝撃強度などの物性などの向上などに有効である。
酸変性ポリオレフィンとしては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。酸変性ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィンを、例えば、マレイン酸または無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合し、変性したものである。このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体の成分は、ポリオレフィン用モノマーとのランダムもしくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
また、ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を含有する変性ポリオレフィンである。該変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を適当な部位、例えば、主鎖の末端や側鎖に有していてもよい。ヒドロキシ変性ポリオレフィンを構成するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα−オレフィンの単独または共重合体、前記α−オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが例示できる。ヒドロキシ変性ポリオレフィンとして、ヒドロキシ変性ポリエチレン(例えば、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、ヘキサンなど)とのランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリ(4−メチルペンテン−1)などを挙げることができる。
分子量降下剤は、成形性(流動性)などの付与、向上に有効である。
分子量降下剤は、例えば、各種の有機過酸化物や、分解(酸化)促進剤と称されるものなどが使用でき、有機過酸化物が好適である。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイド及び2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンのグループから選ばれる1種または2種以上からなるものを挙げることができる。
潤剤は、樹脂組成物及びその成形体の成形時の離型性などの付与、向上に有効である。
潤剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイルなどを挙げることができる。
酸化防止剤は、樹脂組成物及びその成形体の品質劣化の防止に有効である。
酸化防止剤として、例えば、フェノール系、リン系やイオウ系の酸化防止剤などを挙げることができる。
また、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、ポリプロピレン系樹脂(ア)以外のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂やポリステル樹脂などの熱可塑性樹脂などを含有することができる。
これらの任意成分は、種々の製品が多くの会社から市販されており、その目的に応じて、所望の製品を入手し、使用することができる。
繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)の製造
本発明の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)は、ポリプロピレン系樹脂(ア)(以下、成分(ア)とも記す。)及び繊維(イ)を、必要に応じて任意添加成分を加え、前記含有割合で、従来公知の方法で配合し、溶融混練する混練工程を経ることにより製造することができる。
混合は、通常、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの混合機器を用いて行い、溶融混練は、通常、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー、撹拌造粒器などの混練機器を用いて(半)溶融混練し、造粒する。(半)溶融混練・造粒して製造する際には、前記各成分の配合物を同時に混練してもよく、また性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、先ず成分(ア)の一部または全部と、繊維(イ)の一部とを混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
本発明の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)は、溶融混練する混練工程を経て得られた樹脂組成物ペレット中、あるいは成形体中に存在する繊維(イ)の平均長さが0.3mm以上、好ましくは0.4mm以上2.5mm以下となる様な複合化方法にて製造するのが好ましい。
なお、本明細書において、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)ペレット中、あるいは成形体中に存在する繊維(イ)の平均長さとは、デジタル顕微鏡によって測定された値を用いて平均を算出した値を意味する。その具体的な測定は、例えば繊維(イ)がガラス繊維の場合、本発明の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)ペレットあるいは成形体を燃焼し、灰化したガラス繊維を界面活性剤含有水に混合し、該混合水液を薄ガラス板上に滴下拡散した後、デジタル顕微鏡(キーエンス社製VHX−900型)を用いて100本以上のガラス繊維長さを測定しその平均値を算出する方法による。
また、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)の好ましい製造方法としては、例えば二軸押出機による溶融混練において、例えば成分(ア)を十分に溶融混練した後、繊維(イ)をサイドフィード法などによりフィードし、繊維の折損を最小限に留めながら、集束繊維を分散させるなどの方法が挙げられる。
また、例えば成分(ア)を、ヘンシェルミキサー内で高速撹拌してこれらを半溶融状態とさせながら混合物中の繊維(イ)を混練するいわゆる撹拌造粒方法も繊維の折損を最小限に留めながら繊維を分散させ易いので好ましい製造方法の一つである。
さらに、予め繊維(イ)を除く成分を押出機などで溶融混練してペレットと成し、該ペレットと前記のガラス繊維含有ペレットや炭素繊維含有ペレットなどの所謂「繊維(イ)含有ペレット」とを混合することにより繊維強化組成物とする製造方法も前記同様の理由などで好ましい製造方法の一つである。
以上の通り、本発明の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)の好ましい製造方法としては、混練工程において、繊維(イ)以外の成分を混練した後に、繊維(イ)を加える方法を挙げることができ、容易な製造方法により本発明の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)を製造することができる。
成形体の製造
本発明の成形体は、前記方法で製造された繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)を、例えば、射出成形(ガス射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、シート成形及び中空成形などの周知の成形方法にて成形することによって得ることができる。この内、射出成形または射出圧縮成形にて得ることが好ましい。
加飾成形体
本発明において加飾される成形体(加飾対象)は繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)からなる成形体であり、非極性樹脂であることから難接着性であるが、本発明における加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)、またはポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)を含ませることにより、ポリプロピレン系樹脂からなる加飾対象と加飾フィルムが貼着することで非常に高い接着強度を発揮し、かつ加飾対象の表面に浮き出た繊維形状を加飾フィルムが覆うため、加飾成形体表面の外観が平滑となる。
加飾成形体の、貼着されたポリプロピレン系加飾フィルム表面側の、ISO4287/1997に準拠して測定された算術平均粗さRaが、2.0μm以下である必要があり、好ましくは1.8μm以下である。前記の範囲であると凹凸が感じられなくなり、良好な手触りとなる。
本発明の加飾フィルムを繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物からなる三次元形状に形成された各種成形体に貼着した加飾成形体は、低収縮性、剛性・衝撃強度などの物性に優れつつ、表面外観が平滑であることから手触りに優れ、さらに塗装や接着剤に含まれるVOCが大きく削減されるため、自動車部材、家電製品、車輛(鉄道など)、建材、日用品などとして好適に使用することができる。
図1(a)〜(b)は、樹脂成形体に加飾フィルムが貼着された加飾成形体の実施形態の断面を模式的に例示する説明図である。図1(a)〜(b)において、理解を容易にするため、層(II)の配置を特定して説明するが、加飾成形体の層構成はこれら例示に限定して解釈されるものではない。本明細書において、図面の符号1は加飾フィルム、符号2は層(II)、符号3はシール層(I)、符号4は表面加飾層(III)、符号5は樹脂成形体を示す。図1(a)および(b)は、加飾フィルムが多層フィルムからなる例である。図1(a)の加飾成形体は、加飾フィルムは層(II)およびシール層(I)からなり、樹脂成形体5の表面にシール層(I)が貼着し、シール層(I)の上に層(II)が積層する。図1(b)の加飾成形体は、加飾フィルムは層(II)、シール層(I)および表面加飾層(III)からなり、樹脂成形体5の表面にシール層(I)が貼着し、シール層(I)の上に層(II)および表面加飾層(III)がこの順に積層する。
加飾成形体の製造方法
本発明の加飾成形体の製造方法は、上述した加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ(シール層がある場合には、前記樹脂成形体と前記加飾フィルムのシール層とが対向するようにセットするステップ)、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧されたチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする。
三次元加飾熱成形は、減圧可能なチャンバーボックス中に、加飾対象と加飾フィルムをセットし、チャンバーボックス内を減圧した状態でフィルムを加熱軟化させ、加飾対象にフィルムを押し当て、チャンバーボックス内を大気圧に戻す、あるいは、加圧することで、加飾フィルムを加飾対象の表面に貼り付ける、という基本的な工程を有し、減圧下でフィルムの貼り付けを行う。これにより空気だまりが生じない、きれいな加飾成形体を得ることができる。本発明の製造方法において、三次元加飾熱成形に相応しい装置、条件であれば公知のあらゆる技術を用いることが出来る。
すなわち、チャンバーボックスは、加飾対象と加飾フィルム、および、それを押し当てるための機構、加飾フィルムを加熱するための装置等の全てを一つに納めるものでも良いし、加飾フィルムによって分割された複数のものでも良い。
また、加飾対象と加飾フィルムを押し当てるための機構は、加飾対象を移動させるもの、加飾フィルムを移動させるもの、両者を移動させるもの、いずれのタイプでもかまわない。
より具体的に代表的な成形方法を以下に例示する。
以下、図を参照しながら、三次元加飾熱成形機を用いて加飾フィルムを加飾対象に貼着する方法について例示的に説明する。
図2に示すように、この実施形態の三次元加飾熱成形機は上下にチャンバーボックス11,12を具備すると共に、前記2つのチャンバーボックス11,12内で加飾フィルム1の熱成形を行なうようにしている。上下のチャンバーボックス11,12には、真空回路(図示せず)と空気回路(図示せず)がそれぞれ配管されている。
また、上下のチャンバーボックス11,12の間には、加飾フィルム1を固定する治具13が備えられている。また、下チャンバーボックス12には、上昇・下降が可能なテーブル14が設置されており、樹脂成形体(加飾対象)5はこのテーブル14上に(治具等を介して又は直接)セットされる。上チャンバーボックス11内にはヒータ15が組み込まれており、このヒータ15により加飾フィルム1は加熱される。加飾対象5は、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物を基体とすることができる。
このような三次元加飾熱成形機としては、市販の成形機(例えば布施真空株式会社製NGFシリーズ)を使用することができる。
図3に示すように、まず上下チャンバーボックス11,12が開放された状態で、下チャンバーボックス12内のテーブル14上に加飾対象5を設置し、テーブル14を下降した状態にする。続いて、上下チャンバーボックス11,12間のフィルム固定用の治具13に加飾フィルム1をシール層(I)がある場合にはシール層(I)が基体に対向するようにセットする。
図4に示すように、上チャンバーボックス11を降下させ、上下チャンバーボックス11,12を接合させ前記ボックス内を閉塞状態とした後、それぞれのチャンバーボックス11,12内を真空吸引状態にし、ヒータ15により加飾フィルム1の加熱を行う。
加飾フィルム1を加熱軟化した後、図5に示すように、上下チャンバーボックス11,12内を真空吸引状態のまま下チャンバーボックス12内のテーブル14を上昇させる。加飾フィルム1は加飾対象5に押し付けられて、加飾対象5を被覆する。さらに図6に示すように、上チャンバーボックス11を大気圧下に開放または圧空タンクより圧縮空気を供給することにより、さらに大きな力で加飾フィルム1を加飾対象5に密着させる。
続いて、上下チャンバーボックス11,12内を大気圧下に開放し、加飾成形体6を下チャンバーボックス12から取り出す。最後に、図7に例示するように加飾成形体6の周囲にある不要な加飾フィルム1のエッジをトリミングする。
成形条件
チャンバーボックス11,12内の減圧は、空気だまりが発生しない程度であれば良く、チャンバーボックス内の圧力が10KPa以下、好ましくは3KPa、より好ましくは1KPa以下である。
また、加飾フィルム1により上下に分割された二つのチャンバーボックス11,12においては、加飾対象5と加飾フィルム1が貼り付けられる側のチャンバーボックス内圧力が本範囲であれば良く、上下のチャンバーボックス11,12の圧力を変えることで加飾フィルム1のドローダウンを抑制することも出来る。
このとき、一般的なポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは加熱時の粘度低下により、わずかな圧力変動で大きく変形および破膜することがある。
本発明の加飾フィルム1は、ドローダウンしにくいだけでなく、圧力変動によるフィルム変形にも耐性を有する。
加飾フィルム1の加熱はヒータ温度(出力)と加熱時間によって制御される。また、フィルムの表面温度を放射温度計等の温度計により測定し適切な条件の目安とすることも可能である。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂からなる加飾対象5にポリプロピレン系加飾フィルム1を貼着させるには、樹脂成形体5表面及び加飾フィルム1が十分に軟化又は融解することが必要である。
そのために、ヒータ温度は加飾対象5を構成するポリプロピレン系樹脂と加飾フィルム1を構成するポリプロピレン系樹脂の融解温度よりも高いことが必要である。ヒータ温度は、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、最も好ましくは200℃以上である。
ヒータ温度が高いほど加熱に要する時間は短縮されるが、加飾フィルム1の内部(あるいはヒータが片側にのみ設置させる場合にはヒータと反対の面)が十分に加熱されるまでに、ヒータ側の温度が高くなりすぎることで成形性の悪化を招くばかりでなく樹脂が熱劣化してしまうため、ヒータ温度は500℃以下であることが好ましく、より好ましくは450℃以下、最も好ましくは400℃以下である。
適切な加熱時間はヒータ温度によって異なるが、少なくともポリプロピレン系加飾フィルムが加熱されスプリングバックと呼ばれる張り戻りが開始するまで加熱されることが好ましい。
すなわち、ヒータによって加熱された加飾フィルムは、固体状態から加熱されることで熱膨張し結晶溶融に伴い一度たるみ、結晶融解が全体に進行すると分子が緩和することで一時的に張り戻るスプリングバックが観察され、その後、自重によって垂れ下がるという挙動を示すが、スプリングバック後には、フィルムは完全に結晶が融解しており、分子の緩和が十分であるため、十分な接着強度が得られる。
一方、加熱時間が長くなりすぎると、フィルムは自重によって垂れ下がったり、上下チャンバーボックスの圧力差により変形してしまったりするので、スプリングバック終了後、120秒未満の加熱時間であることが好ましい。
凹凸を有する複雑な形状の成形体を加飾する場合や、より高い接着力を達成する場合には、加飾フィルムを基体に密着させる際に、圧縮空気を供給することが好ましい。圧縮空気を導入した際の上チャンバーボックス内の圧力は、150kPa以上、好ましくは200kPa以上、より好ましくは250kPa以上である。上限については特に制限しないが、圧力が高すぎると機器を損傷するおそれがあるため、450kPa以下、好ましくは400kPa以下が良い。
以下、実施例として、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
1.諸物性の測定方法
(i)MFR
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
(ii)融解ピーク温度Tm:
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて10分間保持した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融解ピーク温度Tmとした。単位は℃である。
(iii)GPC測定
以下の装置と条件でGPC測定をおこないMw/Mnの算出をおこなった。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
2.使用材料
(1)ポリプロピレン系樹脂
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(A−1):メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.5)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFX4M」
(A−2):メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=25g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.4)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WSX03」
(A−3):メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=135℃、Mw/Mn=2.3)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFW4M」
(A−4)メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=3.5g/10分、Tm=143℃、Mw/Mn=2.8)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFW5T」
(A−5):メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=30g/10分、Tm=145℃、Mw/Mn=2.4)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WMG03」
(A−6):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=146℃、Mw/Mn=4.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FW3GT」
(B−1):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体(MFR=0.4g/10分、Tm=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)EA9」
(B−2):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体(MFR=2.4g/10分、Tm=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FY6」
(B−3):ポリプロピレン系樹脂(B−1)96重量%に黒色顔料MB(ポリコール興業(株)社製 EPP−K−120601)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物、MFR=0.4g/10分、Tm=161℃
(D−1):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体(MFR=10g/10分、Tm=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FA3KM」
(D−2):ポリプロピレン系樹脂(D−1)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)社製、商標名「Millad NX8000J」)を0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=164℃)
(D−3):ポリプロピレン系樹脂(A−1)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)製、商標名「Millad NX8000J」)0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=7g/10分、Tm=127℃)
(D−4):ポリプロピレン系樹脂(D−1)96重量%にMFR=11g/10分の白色顔料MB(ポリコール興業(株)製 EPP−W−59578、酸化チタン含有量80重量%)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
(D−5):ポリプロピレン系樹脂(D−1)96重量%に銀色顔料MB(トーヨーカラー(株)製 PPCM913Y−42 SILVER21X)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
(ア−1): チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体(MFR=40g/10分、Tm=158℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)MA04A」
(ア−2):日本ポリプロ(株)社製、商品名「ノバテック(登録商標)」の下記組成のグレードを用いた。
チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、プロピレン・エチレンブロック共重合体全体の融解ピーク温度Tmが161℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)が28g/10分、プロピレン・エチレン共重合体全体に対するプロピレン単独重合体部分の含有量が73重量%、プロピレン・エチレン共重合体部分の含有量が27重量%、プロピレン・エチレン共重合体部分のエチレン含有量が37重量%。
(2)繊維(イ)
(イ−1):日本電気硝子社製ガラス繊維、「T480H」、チョップドストランド、繊維径10μm、繊維長さ4mm
(イ−2):三菱レイヨン社製炭素繊維、商品名「パイロフィル TR066A」、繊維径7μm、繊維長さ6mm
(3)繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)
(ウ−1)〜(ウ−6):前記成分(ア)と(イ)を表1に示す割合で配合し、下記条件で混練・造粒して樹脂組成物ペレットを得た。
混練装置:テックノベル社製「KZW−15−MG」型二軸押出機
混練条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=400rpm、吐出量=3kg/h
なお繊維(イ)は、押出機先端から2バレル手前の位置からサイドフィーダーを用いて所定の濃度となる様にサイドフィードする方法にて配合・混練した。
Figure 2018140626
(ウ−7):日本ポリプロ社製、商品名「ファンクスター(登録商標)LR24A」、ガラス繊維含有量が40重量%、ポリプロピレン系樹脂(ア)該当成分含有量が60重量%、ガラス繊維長さ8mm
3.樹脂成形体(基体)の製造
繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ−1)〜(ウ−7)を、以下の方法で射出成型を行い、樹脂成形体(基体)を得た。
射出成形機:東芝機械株式会社製「IS100GN」、型締め圧100トン
シリンダー温度:200℃
金型温度:40℃
射出金型:幅×高さ×厚さ=120mm×120mm×3mmの平板
状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持
(実施例1)
・加飾フィルムの製造
口径40mm(直径)の押出機−1、及び口径30mm(直径)のシール層用押出機−3が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。押出機−1にポリプロピレン系樹脂(B−1)を、シール層用押出機−3にポリプロピレン系樹脂(A−1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、押出機−1の吐出量を12kg/h、シール層用押出機−3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、80℃の3m/minで回転する第1ロールに、シール層が接するようにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ50μmのシール層と、厚さ150μmの層が積層された2層の未延伸フィルムを得た。
・三次元加飾熱成形
樹脂成形体(基体)5として、上記により得られた繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ−1)からなる射出成形体を用いた。三次元加飾熱成形装置として、布施真空株式会社製「NGF−0406−SW」を用いた。図2〜7に示すように、加飾フィルム1を、冷却ロール接触面が基体に対向するとともに長手方向がフィルムのMD方向となるように、幅250mm×長さ350mmで切り出し、開口部のサイズが210mm×300mmのフィルム固定用治具13にセットした。樹脂成形体(基体)5は、フィルム固定用治具13よりも下方に位置するテーブル14上に設置された、高さ20mmのサンプル設置台の上に、ニチバン株式会社製「ナイスタック NW−K15」を介して貼り付けた。フィルム固定治具13とテーブル14をチャンバー11,12内に設置し、チャンバーを閉じてチャンバーボックス11,12内を密閉状態とした。チャンバーボックスは、加飾フィルム1を介して上下に分割されている。上下ボックスを真空吸引し、大気圧(101.3kPa)から1.0kPaまで減圧した状態で、上チャンバーボックス11上に設置された遠赤外線ヒータ15を出力80%で始動させて加飾フィルム1を加熱した。加熱中も真空吸引を継続し、最終的に0.1kPaまで減圧した。加飾フィルム1、が加熱され一時的にたるみ、その後、張り戻るスプリングバック現象が終了してから10秒後に、下チャンバーボックス12内に設置されたテーブル14を上方に移動させて、樹脂成形体(基体)5を加飾フィルム1に押し付け、直後に上チャンバーボックス11内の圧力が270kPaとなるように圧縮空気を送り込んで樹脂成形体(基体)5と加飾フィルム1を密着させた。このようにして、樹脂成形体(基体)5の上面及び側面に加飾フィルム1が貼着された三次元加飾熱成形品6を得た。
・物性評価
(1)熱成形性の評価(加飾成形体の外観)
三次元加飾熱成形時の加飾フィルムのドローダウン状態、ならびに基体に加飾フィルムを貼着した加飾成形体の加飾フィルムの貼着状態を目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムがドローダウンせずに基体と加飾フィルムとの接触が接触面全面にて同時に行われたため、接触ムラが発生せず、均一に貼着されている。
△:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムが若干ドローダウンしたため、基体中心から加飾フィルムと接触し、基体上面端部に接触ムラが発生。
×:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムが大きくドローダウンしたため、基体全面に接触ムラが発生。
(2)樹脂成形体(基体)と加飾フィルムとの接着力
株式会社ニトムズ社製「クラフト粘着テープ No.712N」を幅75mm、長さ120mmに切り出し、樹脂成形体(基体)の端部より75mm×120mmの範囲で樹脂成形体(基体)に貼り付けてマスキング処理を施した(基体表面露出部は幅45mm、長さ120mm)。樹脂成形体(基体)のマスキング面が加飾フィルムと接触するように三次元加飾熱成形装置NGF−0406−SWに設置し、三次元加飾熱成形を行った。
得られた加飾成形体の加飾フィルム面を、粘着テープの長手方向に対して垂直方向にカッターを用いて10mm幅で基体表面までカットし、試験片を作成した。得られた試験片において、基体と加飾フィルムとの接着面は幅10mm×長さ45mmである。試験片の基体部と加飾フィルム部とが180°となるように引張試験機に取付け、200mm/minの引張速度で接着面の180°剥離強度測定を行い、剥離時または破断時の最大強度(N/10mm)を5回測定し、平均した強度を接着力とした。
(3)算術平均粗さRa
加飾フィルムが貼着された加飾成形体の表面(縦1400μm、横1000μm相当面積)を、形状測定レーザマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK−X200」、倍率10倍)および観察アプリケーション(VK−H1XV)を用いて観察した。得られた観察データを、ISO4287/1997に準拠した解析アプリケーション(VK−H1XA)を用いて横方向の線粗さを任意に20点解析し、得られた算術平均粗さRaで最も高い値を算術平均粗さRaとした。
(4)触感
加飾フィルムが貼着された加飾成形体表面を手で撫で、以下に示した基準で評価した。
○:表面に浮き出た繊維形状の凹凸が感じられず、手触りが良い。
△:各所に凹凸が感じられ、手触りが悪い部分がある。
×:全体的に凹凸が感じられ、手触りが悪い。
(5)グロス
加飾フィルムが貼着された加飾成形体の中央付近の光沢(グロス)を日本電色工業(株)社製GLOSS計Gloss Meter VG2000を用いて、入射角60°で測定した。測定方法はJIS K7105−1981に準拠した。
得られた加飾成形体等の物性評価結果を表2に示す。
本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
(実施例2〜7)
実施例1記載の三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ−2)〜(ウ−7)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2にそれぞれ示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
Figure 2018140626
(実施例8〜10)
実施例1の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)を、ポリプロピレン系樹脂(A−2)〜(A−4)に変更した以外は、実施例1と同様に2層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ−6)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
(実施例11)
実施例1の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(B−1)を、ポリプロピレン系樹脂(B−2)に変更した以外は、実施例1と同様に2層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ−6)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
(実施例12〜14)
実施例11の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)を、ポリプロピレン系樹脂(A−2)、(A−3)、(A−5)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
(実施例15)
実施例1の加飾フィルムの製造において、口径40mm(直径)の押出機−1、口径30mm(直径)の表面層用押出機−2、及び口径30mm(直径)のシール層用押出機−3が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの3種3層Tダイを用いた。押出機−1にポリプロピレン系樹脂(B−1)を、表面層用押出機−2にポリプロピレン系樹脂(D−1)を、シール層用押出機−3にポリプロピレン系樹脂(A−1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、押出機−1の吐出量を12kg/h、表面層用押出機−2の吐出量を4kg/h、シール層用押出機−3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、80℃の3m/minで回転する第1ロールに、シール層が接するようにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ150μmの層と、厚さ50μmの表面加飾層と、厚さ50μmのシール層が積層された3層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ−6)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(D−1)が表面加飾層[層(III)]として、最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
Figure 2018140626
(比較例1)
繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ−1)からなる射出成形体のみを用い、実施例1記載の算術平均粗さRa評価と触感評価を行った。結果を表4に示す。
加飾フィルムが貼着されていないため、繊維形状特有の凹凸が観察され、Raも2.7μmと高いため、ざらざらとした触感であり、実用可能な表面形状ではなかった。
(比較例2〜7)
射出成形体を、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ−1)から(ウ−2)〜(ウ−7)から射出成形体に変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表4に示す。
いずれの射出成形体も加飾フィルムが貼着されていないため、繊維形状特有の凹凸が観察され、Raも2.0μmより高いため、ざらざらとした触感であり、実用可能な表面形状ではなかった。
(比較例8)
実施例11の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)を、ポリプロピレン系樹脂(A−6)に変更した以外は、実施例11と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
接着力が著しく劣る結果であった。
Figure 2018140626
(実施例16)
実施例15の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(D−2)に変更した以外は、実施例15と同様に成形、評価を行った。評価結果を表5に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(D−2)が表面加飾層[層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
(実施例17)
実施例15の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(A−1)に変更した以外は、実施例15と同様に成形、評価を行った。評価結果を表5に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであったまた、ポリプロピレン系樹脂(A−1)が表面加飾層[表面層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
(実施例18)
実施例15の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(D−3)に変更した以外は、実施例15と同様に成形、評価を行った。評価結果を表5に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(D−3)が表面加飾層[表面層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
(実施例19)
実施例15の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(D−4)に変更した以外は、実施例15と同様に成形、評価を行った。評価結果を表5に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、光沢に優れる表面加飾層(III)[表面層(III)]が白色に着色されているため、外観に優れるものであった。
(実施例20)
実施例15の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(B−1)を、ポリプロピレン系樹脂(B−3)に変更した以外は、実施例15と同様に成形、評価を行った。評価結果を表5に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、層(II)が黒色に着色されているため、外観に優れるものであった。
(実施例21)
実施例20の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(D−5)に変更した以外は、実施例20と同様に成形、評価を行った。評価結果を表5に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、層(II)が黒色に、表面加飾層(III)[表面層(III)]が銀色に着色されているため、金属調のフィルムとなり、外観に優れるものであった。
Figure 2018140626
1 加飾フィルム
2 層(II)
3 シール層(I)
4 表面加飾層(III)
5 樹脂成形体(加飾対象、基体)
6 加飾成形体
11 上チャンバーボックス
12 下チャンバーボックス
13 治具
14 テーブル
15 ヒータ

Claims (7)

  1. 樹脂成形体上に熱成形によってポリプロピレン系加飾フィルムが貼着された加飾成形体であって、前記ポリプロピレン系加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含み、前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記要件(a1)〜(a4)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、下記要件(b1)〜(b2)を満たす加飾フィルムであり、前記樹脂成形体は、下記要件(ア−i)〜(ア−ii)を満たすポリプロピレン系樹脂(ア)40重量%〜99重量%と、下記要件(イ−i)を満たす繊維(イ)1重量%〜60重量%(但し、(ア)と(イ)との合計量を100重量%とする)とを含む繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)からなり、前記ポリプロピレン系加飾フィルムと前記樹脂成形体とはシール層(I)を介して貼着された成形体であることを特徴とする加飾成形体。

    ポリプロピレン系樹脂(A)
    (a1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である
    (a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
    (a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、150℃未満である
    (a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5〜3.5である
    ポリプロピレン系樹脂(B)
    (b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR(A)とは、関係式(b−1)を満たす
    MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b−1)、
    (b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b−2)を満たす
    Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b−2)
    ポリプロピレン系樹脂(ア)
    (ア−i):融解ピーク温度Tm(ア)が、110℃以上である。
    (ア−ii):MFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上200g/10分以下である。
    繊維(イ)
    (イ−i):繊維(イ)が、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン・α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の加飾成形体。
  3. Tm(A)は、140℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾成形体。
  4. 前記ポリプロピレン系加飾フィルムは、前記樹脂成形体との貼着面とは反対側の面に、表面加飾層樹脂からなる表面加飾層(III)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加飾成形体。
  5. 前記表面加飾層樹脂は、ポリプロピレン系樹脂(D)からなり、該ポリプロピレン系樹脂(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、2g/10分を超えることを特徴とする請求項4に記載の加飾成形体。
  6. 前記加飾成形体の、貼着されたポリプロピレン系加飾フィルム表面側の、ISO4287/1997に準拠して測定された算術平均粗さRaが、2μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加飾成形体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の加飾成形体を製造する方法であって、ポリプロピレン系加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、チャンバー内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、チャンバー内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
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