JP6935759B2 - 加飾成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、上記の従来技術を鑑み、軽量で、断熱性や遮音性、クッション性、エネルギー吸収性などに優れ、表面光沢といった成形体表面外観や、手触りに優れた加飾成形体を提供することにある。
ポリプロピレン系樹脂(A)
(a1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である
(a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、150℃未満である
(a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5〜3.5である
ポリプロピレン系樹脂(B)
(b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR(A)とは、関係式(b−1)を満たす
MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b−1)、
(b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b−2)を満たす
Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b−2)
ポリプロピレン系樹脂(ア)
(i):融解ピーク温度Tmが、110℃以上である。
(ii):MFR(230℃、2.16kg荷重)が、0.01g/10分以上300g/10分以下である。
また本発明は、Tm(A)は、140℃以下であることを特徴とする前記の加飾成形体である。
また本発明は、前記表面加飾層樹脂は、ポリプロピレン系樹脂(D)からなり、該ポリプロピレン系樹脂(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、2g/10分を超えることを特徴とする前記の加飾成形体である。
さらに、本発明の加飾成形体の製造方法によれば、その表面に穴やしわがなく、加飾フィルムと樹脂成形体の間に空気の巻き込みが無く、傷が目立たない美麗な加飾成形体を得ることができる。また、従来接着が困難であった形状が複雑な樹脂成形体に対し、加飾フィルムを綺麗に貼着することができる。さらに、このようにして得られた加飾成形体は、熱硬化性樹脂層を含まないためリサイクル時に外観や性能の低下が小さく、リサイクル適性が高い。
ポリプロピレン系樹脂(A)
(a1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である
(a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.5g/10分を超える
(a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、150℃未満である
(a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5〜3.5である
ポリプロピレン系樹脂(B)
(b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR(A)とは、関係式(b−1)を満たす
MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b−1)、
(b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b−2)を満たす
Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b−2)
ポリプロピレン系樹脂(ア)
(i):融解ピーク温度Tmが、110℃以上である。
(ii):MFR(230℃、2.16kg荷重)が、0.01g/10分以上300g/10分以下である。
本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)を含むものである。シール層(I)は、三次元加飾熱成形の際に、射出発泡樹脂成形体(基体)と接する層である。ポリプロピレン系樹脂(A)は、溶融・緩和しやすい樹脂であることが好ましい。シール層(I)を設けることにより、加飾成形体の表面に穴、しわ、空気の巻き込み等の発生が抑えられ、基体表面についた傷を目立ちにくくすることができる。
なお、Mn、Mwは、「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算される値である。
α−オレフィンとしては、エチレン及び炭素数が3〜8のα−オレフィンから選ばれる一種または二種以上の組み合わせ等を用いることが出来る。
このようなエチレン−α−オレフィンランダム共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン(株)製のカーネルシリーズ、三井化学(株)製のタフマーPシリーズ、タフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズなどが挙げられる。
このような熱可塑性エラストマーとしては、市販品として、三井化学(株)製のタフマーXMシリーズ、タフマーBLシリーズ、タフマーPNシリーズや、エクソンモービルケミカル社製のVISTAMAXXシリーズなどが挙げられる。
市販品として、JSR(株)製のダイナロンシリーズ、クレイトンポリマージャパン(株)製のクレイトンGシリーズ、旭化成(株)製のタフテックシリーズなどが挙げられる。
本発明の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含むものである。ポリプロピレン系樹脂(B)は、前記のポリプロピレン系樹脂(A)よりも、溶融・緩和しにくい樹脂であることが好ましい。層(II)を設けることにより、熱成形時にフィルムが破断したり暴れたりすることによる外観不良の発生を抑制することが出来る。これにより、加飾フィルムが、熱成形性を改良するため、熱成形性に優れる熱硬化性樹脂層を含まなくてもよい。
Tm(B)は、前記の範囲であれば特に制限はないが、好ましくは150℃以上、より好ましくは155℃以上である。前記の範囲であると、耐熱性、耐傷つき性、耐溶剤性が良好となる。
本発明における加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含む。加飾フィルムは、シール層(I)、層(II)の他に様々な構成を取ることが可能である。すなわち、加飾フィルムは、シール層(I)および層(II)からなる二層フィルムであっても、シール層(I)および層(II)と他の層からなる三層以上の多層フィルムであってもよい。なお、シール層(I)は、樹脂成形体(基体)に沿って貼着する。また、加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ等が施されていてもよい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(D)のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(D))は、好ましくは2g/10分を超え、より好ましくは、さらにMFR(D)>MFR(B)を満たす。上記の値の範囲にすることにより、より美麗な表面テクスチャーを表現することができる。加飾フィルムの表面層にさらにポリプロピレン系樹脂(D)からなる層(III)を設けることで、熱成形性を大きく低下させることなく、光沢やシボ転写性を向上させることが出来る。またポリプロピレン系樹脂(D)を用いることにより、層構成の複雑化やリサイクル性の低下を抑制することができる。加えて、ポリプロピレン系樹脂(D)を加飾フィルムの表面加飾層に用いることで、耐溶剤性等を優れたものにすることができる。また、表面加飾層にポリプロピレン系樹脂(D)を用いることで、加飾フィルムの製造時および熱成形時の表面の転写性が向上し、熱成形時に鏡面ロールを用いれば高い光沢を有する加飾フィルムとすることが出来る。
本発明の加飾フィルムは、公知の様々な成形方法により製造することが出来る。
例えば、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)とポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を共押出成形する方法、シール層(I)および層(II)とさらに他の層とを共押出成形する方法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、他の層を熱及び圧力をかけて貼り合せる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合せるドライラミネーション法及びウェットラミネーション法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、ポリプロピレン系樹脂を溶融押出しする押出ラミネーション法やサンドラミネーション法などが挙げられる。加飾フィルムを形成するための装置としては、公知の共押出Tダイ成形機や、公知のラミネート成形機を用いることができる。この中で、生産性の観点から、共押出Tダイ成形機が好適に用いられる。
本発明において加飾される射出発泡樹脂成形体(加飾対象)は、ポリプロピレン系樹脂(ア)を含み、発泡倍率が1.1倍以上10倍以下の樹脂成形体であることを特徴とする加飾成形体である。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂組成物(ア)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン−α−オレフィン共重合体、あるいは、プロピレンブロック共重合体、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂等の公知の様々なタイプのものから選択されたポリプロピレン系樹脂を主成分として含み、下記要件(i)〜(ii)を満たす。
(i):融解ピーク温度Tmが、110℃以上である。
(ii):MFR(230℃、2.16kg荷重)が、0.01g/10分以上300g/10分以下である。
本発明のポリプロピレン系樹(ア)は、任意添加成分として、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、熱可塑性エラストマー、変性ポリオレフィン、分子量降下剤、潤剤、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、帯電防止剤、金属不活性剤、フィラーなどの各種任意添加成分を含有することができる。
任意添加成分は、2種以上を併用してもよい。発明において、任意添加成分の総量は、ポリプロピレン系樹脂組成物に対して50重量%以下であることが好ましく、その目的に応じて適宜選択される。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを挙げることができる。
また、スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)などを挙げることができる。
さらに、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーなども挙げることができる。
中でも、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を使用すると、樹脂組成物及びその成形体において、低収縮性、触感及び衝撃強度などの性能がより優れ、経済性にも優れる傾向にあることなどの点から好ましい。
なお、熱可塑性エラストマーは、2種以上を併用することもできる。
酸変性ポリオレフィンとしては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。酸変性ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィンを、例えば、マレイン酸または無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合し、変性したものである。このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体の成分は、ポリオレフィン用モノマーとのランダムもしくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
また、ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を含有する変性ポリオレフィンである。該変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を適当な部位、例えば、主鎖の末端や側鎖に有していてもよい。ヒドロキシ変性ポリオレフィンを構成するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα−オレフィンの単独または共重合体、前記α−オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが例示できる。ヒドロキシ変性ポリオレフィンとして、ヒドロキシ変性ポリエチレン(例えば、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、ヘキサンなど)とのランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリ(4−メチルペンテン−1)などを挙げることができる。
分子量降下剤は、例えば、各種の有機過酸化物や、分解(酸化)促進剤と称されるものなどが使用でき、有機過酸化物が好適である。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチル−ジ−パーアジペート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、メチル−エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス−t−ブチルパーオキシブタン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ−メチルブチルハイドロパーオキサイド及び2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(ハイドロパーオキシ)ヘキサンのグループから選ばれる1種または2種以上からなるものを挙げることができる。
潤剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイルなどを挙げることができる。
酸化防止剤として、例えば、フェノール系、リン系やイオウ系の酸化防止剤などを挙げることができる。中和剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類等を例示することができる。光安定剤および紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などを例示することができる。
これらの任意成分は、種々の製品が多くの会社から市販されており、その目的に応じて、所望の製品を入手し、使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂(ア)は、必要に応じて任意添加成分を加え、従来公知の方法で配合し、溶融混練する混練工程を経ることにより製造することができる。
本発明の射出発泡樹脂成形体は、ポリプロピレン系樹脂(ア)を、射出発泡成形して得ることができる。射出発泡成形には公知の射出成形条件や公知の射出成形装置を適用することができる。たとえば、キャビティ部の容積が樹脂組成物の溶融物の全体積量よりも小さくなるように、閉じた状態の金型の該キャビティ部に該樹脂組成物の溶融物を射出する工程、および、前記工程の途中および/または後に、該金型を最終成形体の容積まで開き、化学発泡剤の熱分解によって発生したガスや、窒素や二酸化炭素等のガスにより発泡させる工程を有する型開射出発泡成形方法(いわゆるコアバック法)や、樹脂が注入される金型容積に対し、減量した樹脂を金型内に注入することで発泡させるショートショット射出発泡成形方法(ショートショット法)を用いることができる。このうち、シルバーストリーク状の外観悪化が著しい物理発泡においては、ショートショット法により成形されることが好ましい。
本発明における発泡成形体の製造において、発泡剤を配合することが好ましい。
発泡剤は、プラスチックやゴム等に使用されている公知の発泡剤を問題なく使用できる。物理発泡剤、化学発泡剤(分解性発泡剤)、熱膨張剤を含有させたマイクロカプセル等、従来から使用されている発泡剤が使用できる。
なかでも、プロパン、ブタン、ペンタンのような脂肪族炭化水素および炭酸ガスが、安価かつポリプロピレン系樹脂(ア)への溶解性が高いという点から好ましい。炭酸ガスは、大気圧に対する相対圧力で7.4MPa以上、31℃以上で超臨界状態となり、ポリプロピレン系樹脂への拡散、溶解性に優れた状態になる。
ポリプロピレン系樹脂(ア)と発泡剤の混合は、タンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの一般的な混合機器を用いて行いて行われ、射出成形機のホッパーに投入される。ただし、物理発泡剤を使用する場合は、射出成形機のシリンダーに直接圧入するシステムを用いる必要がある。
本発明において加飾される成形体(加飾対象)はポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出発泡成形体であり、非極性樹脂であることから難接着性であるが、本発明における加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)を含ませることにより、ポリプロピレン系樹脂からなる加飾対象と加飾フィルムが貼着することで非常に高い接着強度を発揮し、かつ加飾対象の表面に生じたシルバーストリークやフローマークやアバタといった外観不良を加飾フィルムが覆うため、加飾成形体表面の外観が平滑となるため、加飾成形体の外観が改善される。
本発明の加飾成形体の製造方法は、上述した加飾フィルムを準備するステップ、射出発泡樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記、射出発泡樹脂成形体及び前記加飾フィルムを前記射出発泡樹脂成形体と前記加飾フィルムのシール層とが対向するようにセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記、射出発泡樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧されたチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする。
また、加飾対象と加飾フィルムを押し当てるための機構は、加飾対象を移動させるもの、加飾フィルムを移動させるもの、両者を移動させるもの、いずれのタイプでもかまわない。
以下、図を参照しながら、三次元加飾熱成形機を用いて加飾フィルムを加飾対象に貼着する方法について例示的に説明する。
続いて、上下チャンバーボックス11,12内を大気圧下に開放し、加飾成形体6を下チャンバーボックス12から取り出す。最後に、図7に例示するように加飾成形体6の周囲にある不要な加飾フィルム1のエッジをトリミングする。
チャンバーボックス11,12内の減圧は、空気だまりが発生しない程度であれば良く、チャンバーボックス内の圧力が10KPa以下、好ましくは3KPa、より好ましくは1KPa以下である。
このとき、一般的なポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは加熱時の粘度低下により、わずかな圧力変動で大きく変形および破膜することがある。
本発明の加飾フィルム1は、ドローダウンしにくいだけでなく、圧力変動によるフィルム変形にも耐性を有する。
そのために、ヒータ温度は加飾対象5を構成するポリプロピレン系樹脂と加飾フィルム1を構成するポリプロピレン系樹脂の融解温度よりも高いことが必要である。ヒータ温度は、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、最も好ましくは200℃以上である。
すなわち、ヒータによって加熱された加飾フィルムは、固体状態から加熱されることで熱膨張し結晶溶融に伴い一度たるみ、結晶融解が全体に進行すると分子が緩和することで一時的に張り戻るスプリングバックが観察され、その後、自重によって垂れ下がるという挙動を示すが、スプリングバック後には、フィルムは完全に結晶が融解しており、分子の緩和が十分であるため、十分な接着強度が得られる。
一方、加熱時間が長くなりすぎると、フィルムは自重によって垂れ下がったり、上下チャンバーボックスの圧力差により変形してしまったりするので、スプリングバック終了後、120秒未満の加熱時間であることが好ましい。
(i)MFR
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて10分間保持した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融解ピーク温度Tmとした。単位は℃である。
以下の装置と条件でGPC測定をおこないMw/Mnの算出をおこなった。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
(1)ポリプロピレン系樹脂
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(A−1):メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.5)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFX4M」
(A−2):メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=25g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.4)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WSX03」
(A−3):メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=135℃、Mw/Mn=2.3)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFW4M」
(A−4)メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=3.5g/10分、Tm=143℃、Mw/Mn=2.8)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFW5T」
(A−5):メタロセン触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=30g/10分、Tm=145℃、Mw/Mn=2.4)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WMG03」
(A−6):チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−α−オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=146℃、Mw/Mn=4.0)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FW3GT」
(B−2):日本ポリプロ(株)製、ノバテック(登録商標)FY6(チーグラー・ナッタ系触媒によるプロピレン単独重合体、MFR=2.4g/10分、Tm=161℃)96重量%に、黒色顔料MB(ポリコール興業(株)社製 EPP−K−120601)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物、MFR=2.4g/10分、Tm=161℃
(D−2):ポリプロピレン系樹脂(D−1)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)社製、商標名「Millad NX8000J」)を0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=164℃)
(D−3):ポリプロピレン系樹脂(A−1)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)製、商標名「Millad NX8000J」)0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=7g/10分、Tm=127℃)
(D−4):ポリプロピレン系樹脂(D−1)96重量%に銀色顔料MB(トーヨーカラー(株)製 PPCM913Y−42 SILVER21X)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
(ア−2):日本ポリプロ(株)社製、商品名「ノバテック(登録商標)」の下記組成のグレードを用いた。
チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、プロピレン・エチレンブロック共重合体全体の融解ピーク温度Tmが161℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)が28g/10分、プロピレン・エチレン共重合体全体に対するプロピレン単独重合体部分の含有量が73重量%、プロピレン・エチレン共重合体部分の含有量が27重量%、プロピレン・エチレン共重合体部分のエチレン含有量が37重量%。
(ア−3)ポリプロピレン系樹脂(ア−2)60重量%に、MFR=1.0のEBR(三井化学(株)社製 タフマー(登録商標)A0550S)を20重量%、無機フィラー(日本タルク(株)社製 タルクP−6、平均粒径4.0μm)を20重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物
(ア−4):ポリプロピレン系樹脂(ア−1)80質量%に、ガラス繊維(日本電気硝子社製ガラス繊維、「T480H」、チョップドストランド、繊維径7μm、繊維長さ6mm)20質量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物
化学発泡剤マスターバッチ(永和化成社製、ポリスレンEE25C、発泡剤濃度20%、発生ガス量75〜90ml/2.5g(220℃恒温下、20分))、重炭酸ナトリウム・クエン酸系、低密度ポリエチレンベース
(樹脂成形体(基体)(ア−1)の製造)
(1)射出発泡成形体の製造
ポリプロピレン系樹脂(ア−1)を用い、以下の方法で型開き射出発泡成形を行い、射出発泡樹脂成形体(基体)(ア−1)を得た。
射出成形機として、FANUC社製「α−300」、射出成形用金型として、発泡成形体を成形するための成形品部寸法が幅×高さ=400mm×200mm、厚さが可変の平板形状(今回は、金型キャビティ・クリアランス(T0)を2.0mmとした)を有するものを用いて、以下に記す方法で発泡成形を実施した。
溶融工程(A)において、ポリプロピレン系樹脂(ア−1)100重量部に対して、化学発泡剤マスターバッチを3重量部、黒色顔料MB(ポリコール興業(株)社製 EPP−K−120601)を4重量部添加し、シリンダー温度200℃に設定し溶融した。
射出工程(B)において用いられる金型は、固定型と前進及び後退が可能な可動型とから構成され、初期の金型キャビティ・クリアランス(T0)を2mmとし、前記溶融工程(A)から得られる溶融状態又は半溶融状態のポリプロピレン系樹脂組成物(温度は溶融工程(A)のシリンダー温度の200℃)を金型キャビティに射出充填した。なお、充填時間を1.0〜1.5秒とした。
射出工程(B)で充填後、1±0.5秒が経過後、発泡工程(C)において可動型を得られる発泡成形体の形状位置に相当する金型キャビティ・クリアランス(T1)を4mmまで後退させた。その後、発泡剤による膨張圧力によって金型キャビティの空隙を充填した製品を冷却し固化(金型キャビティ設定温度40℃、冷却設定時間20秒)させた。
得られた発泡成形体を、状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持した。
(1)の射出発泡成形体の製造において、発泡工程(C)を行わず、金型キャビティ設定温度40℃、冷却設定時間20秒として製品を冷却して固化させた。
得られた未発泡成形体を、状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持した。
(1)の射出発泡成形体の製造において得られた射出発泡成形体を、ダイヤモンドソーを用いて幅×高さ=120mm×120mmに切り出すことで、樹脂成形体(基体)を得た。
(1)密度の測定
射出発泡成形体、および未発泡成形体の中央部を幅×高さ=5cm×2cmに切り出し、アルファミラージュ 比重計 MDー300S(アルキメデスの原理を利用した比重計、媒体は水)を使用し、空気中と水中での重量をそれぞれ測定し、両者から両成形体の体積を求めて密度を算出した(自動算出)。
(2)厚み測定
射出発泡成形体、および未発泡成形体の中央部を幅×高さ=2cm×2cmに切り出し、ミツトヨ社製マイクロメーターを用いて厚みを測定した。
(3)発泡倍率の測定
(3−1)厚みを用いた発泡倍率の評価
発泡倍率(厚み)を、式(1)により定義した。
発泡倍率(厚み)=射出発泡成形体の厚み÷未発泡成形体の厚み・・・(式1)
(3−2)密度を用いた発泡倍率の評価
発泡倍率(密度)を、式(2)により定義した。
発泡倍率(密度)=未発泡成形体の密度÷射出発泡成形体の密度・・・(式2)
なお、射出発泡成形では、(3−1)の評価方法による発泡倍率(厚み)が同じ値を有する成形体であったとしても、射出発泡成形時の樹脂温度、金型温度、射出速度等により、成形体両表面側に形成される非発泡層(スキン層)の厚みが変動することがあるから、発泡倍率(密度)とは異なる値を示すことがある。本発明では発泡倍率は、発泡倍率(厚み)を用いる。
得られた樹脂成形体等の物性評価結果を表1に示す。なお、射出発泡成形体の厚みは、発泡工程(C)におけるキャビティ・クリアランス(T1)と一致し、未発泡成形体の厚みは、射出工程(B)におけるキャビティ・クリアランス(T0)と一致していた。
ポリプロピレン系樹脂(ア−2)〜(ア−4)を用い、樹脂成形体(基体)(ア−1)の製造と同様の方法で射出発泡成形体、未発泡成形体、樹脂成形体(基体)を得た。
得られた樹脂成形体等の物性評価結果を表1に示す。
・加飾フィルムの製造
口径40mm(直径)の押出機−1、及び口径30mm(直径)のシール層用押出機−3が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。押出機−1にポリプロピレン系樹脂(B−1)を、シール層用押出機−3にポリプロピレン系樹脂(A−1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、押出機−1の吐出量を12kg/h、シール層用押出機−3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、80℃の3m/minで回転する第1ロールに、シール層が接するようにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ50μmのシール層と、厚さ150μmの層が積層された2層の未延伸フィルムを得た。
樹脂成形体(基体)5として、上記により得られたポリプロピレン系樹脂組成物(ア−1)からなる射出発泡成形体を用いた。三次元加飾熱成形装置として、布施真空株式会社製「NGF−0406−SW」を用いた。図2〜7に示すように、加飾フィルム1を、冷却ロール接触面が基体に対向するとともに長手方向がフィルムのMD方向となるように、幅250mm×長さ350mmで切り出し、開口部のサイズが210mm×300mmのフィルム固定用治具13にセットした。樹脂成形体(基体)5は、フィルム固定用治具13よりも下方に位置するテーブル14上に設置された、高さ20mmのサンプル設置台の上に、ニチバン株式会社製「ナイスタック NW−K15」を介して貼り付けた。フィルム固定治具13とテーブル14をチャンバー11,12内に設置し、チャンバーを閉じてチャンバーボックス11,12内を密閉状態とした。チャンバーボックスは、加飾フィルム1を介して上下に分割されている。上下ボックスを真空吸引し、大気圧(101.3kPa)から1.0kPaまで減圧した状態で、上チャンバーボックス11上に設置された遠赤外線ヒータ15を出力80%で始動させて加飾フィルム1を加熱した。加熱中も真空吸引を継続し、最終的に0.1kPaまで減圧した。加飾フィルム1、が加熱され一時的にたるみ、その後、張り戻るスプリングバック現象が終了してから5秒後に、下チャンバーボックス12内に設置されたテーブル14を上方に移動させて、樹脂成形体(基体)5を加飾フィルム1に押し付け、直後に上チャンバーボックス11内の圧力が270kPaとなるように圧縮空気を送り込んで樹脂成形体(基体)5と加飾フィルム1を密着させた。このようにして、樹脂成形体(基体)5の上面及び側面に加飾フィルム1が貼着された三次元加飾熱成形品6を得た。
(1)熱成形性の評価
三次元加飾熱成形時の加飾フィルムのドローダウン状態、ならびに基体に加飾フィルムを貼着した加飾成形体の加飾フィルムの貼着状態を目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムがドローダウンせずに基体と加飾フィルムとの接触が接触面全面にて同時に行われたため、接触ムラが発生せず、均一に貼着されている。
×:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムが大きくドローダウンしたため、基体全面に接触ムラが発生。
株式会社ニトムズ社製「クラフト粘着テープ No.712N」を幅75mm、長さ120mmに切り出し、樹脂成形体(基体)の端部より75mm×120mmの範囲で樹脂成形体(基体)に貼り付けてマスキング処理を施した(基体表面露出部は幅45mm、長さ120mm)。樹脂成形体(基体)のマスキング面が加飾フィルムと接触するように三次元加飾熱成形装置NGF−0406−SWに設置し、三次元加飾熱成形を行った。
基体に加飾フィルムを貼着した加飾成形体の加飾フィルムの外観を目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:シルバーストリークや表面荒れ、繊維形状の凹凸に起因する外観不良が観察されず、平滑な外観である。
×:シルバーストリークや表面荒れ、繊維形状の凹凸に起因する外観不良が観察され、実用に適さない外観である。
加飾フィルムが貼着された加飾成形体の中央付近の光沢(グロス)を日本電色工業(株)社製GLOSS計Gloss Meter VG2000を用いて、入射角60°で測定した。測定方法はJIS K7105−1981に準拠した。
本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。
実施例1記載の三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を樹脂成形体(基体)(ア−2)〜(ア−4)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2にそれぞれ示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ、繊維形状の凹凸に起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)を、ポリプロピレン系樹脂(A−2)〜(A−4)に変更した以外は、実施例1と同様に2層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を樹脂成形体(基体)(ア−3)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(B−1)を、ポリプロピレン系樹脂(B−2)に変更した以外は、実施例1と同様に2層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を樹脂成形体(基体)(ア−3)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。
実施例8の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)を、ポリプロピレン系樹脂(A−2)、(A−3)、(A−5)にそれぞれ変更した以外は、実施例9と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、口径40mm(直径)の押出機−1、口径30mm(直径)の表面層用押出機−2、及び口径30mm(直径)のシール層用押出機−3が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの3種3層Tダイを用いた。押出機−1にポリプロピレン系樹脂(B−1)を、表面層用押出機−2にポリプロピレン系樹脂(D−1)を、シール層用押出機−3にポリプロピレン系樹脂(A−1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、押出機−1の吐出量を12kg/h、表面層用押出機−2の吐出量を4kg/h、シール層用押出機−3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、80℃の3m/minで回転する第1ロールに、シール層が接するようにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ150μmの層と、厚さ50μmの表面加飾層と、厚さ50μmのシール層が積層された3層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を樹脂成形体(基体)(ア−3)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(D−1)が表面加飾層[層(III)]として、最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例12の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(D−2)に変更した以外は、実施例12と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(D−2)が表面加飾層(III)[層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例12の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(A−1)に変更した以外は、実施例12と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(A−1)が表面加飾層(III)[層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例12の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(D−3)に変更した以外は、実施例12と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(D−3)が表面加飾層(III)[層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例12の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(D−1)を、ポリプロピレン系樹脂(D−4)に変更した以外は、実施例12と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は熱成形性および接着力に優れ、成形体の表面が加飾フィルムで覆われたため、シルバーストリークや表面荒れ起因の外観不良が観察されず、外観に優れるものであった。また、層(II)が黒色に、表面加飾層(III)[層(III)]が銀色に着色されているため、金属調のフィルムとなり、外観に優れるものであった。
樹脂成形体(基体)(ア−1)のみを用い、評価を行った。結果を表5に示す。
加飾フィルムが貼着されていないため、シルバーストリークや表面荒れが目立ち、実用可能な表面形状ではなかった。
射出発泡成形体を、樹脂成形体(基体)(ア−1)から(ア−2)〜(ア−4)に変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表5に示す。
いずれの射出発泡成形体も加飾フィルムが貼着されていないため、シルバーストリークや表面荒れ、繊維形状の凹凸に起因する外観不良が観察され、実用可能な表面形状ではなかった。
実施例8の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A−1)を、ポリプロピレン系樹脂(A−6)に変更した以外は、実施例8と同様に成形、評価を行った。評価結果を表5に示す。
接着力が著しく劣る結果であった。
2 層(II)
3 シール層(I)
4 表面加飾層(III)
5 樹脂成形体(加飾対象、基体)
6 加飾成形体
11 上チャンバーボックス
12 下チャンバーボックス
13 治具
14 テーブル
15 ヒータ
Claims (6)
- 射出発泡樹脂成形体上に熱成形によってポリプロピレン系加飾フィルムが貼着された加飾成形体であって、前記ポリプロピレン系加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)からなるシール層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなる層(II)を含み、前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記要件(a1)〜(a4)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、下記要件(b1)〜(b2)を満たす加飾フィルムであり、前記射出発泡樹脂成形体は、下記要件(i)〜(ii)を満たすポリプロピレン系樹脂(ア)を含み、発泡倍率が1.1倍以上10倍以下の樹脂成形体であり、前記ポリプロピレン系加飾フィルムと前記射出発泡樹脂成形体とはシール層(I)を介して貼着された成形体であることを特徴とする加飾成形体。
ポリプロピレン系樹脂(A)
(a1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である
(a2)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(A))は、0.
5g/10分を超える
(a3)融解ピーク温度(Tm(A))は、150℃未満である
(a4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(A))は、1.5〜3.5
である
ポリプロピレン系樹脂(B)
(b1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)(MFR(B))とMFR
(A)とは、関係式(b−1)を満たす
MFR(B)<MFR(A) ・・・ 式(b−1)、
(b2)融解ピーク温度(Tm(B))とTm(A)とは、関係式(b−2)を満たす
Tm(B)>Tm(A) ・・・ 式(b−2)
ポリプロピレン系樹脂(ア)
(i):融解ピーク温度Tmが、110℃以上である。
(ii):MFR(230℃、2.16kg荷重)が、0.01g/10分以上300g/10分以下である。 - 前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン・α−オレフィン共重合体であること
を特徴とする請求項1に記載の加飾成形体。 - Tm(A)は、140℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の加飾成
形体。 - 前記ポリプロピレン系加飾フィルムは、前記射出発泡樹脂成形体との貼着面とは反対側の面に、表面加飾層樹脂からなる表面加飾層(III)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加飾成形体。
- 前記表面加飾層樹脂は、ポリプロピレン系樹脂(D)からなり、該ポリプロピレン系樹脂(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、2g/10分を超えることを特徴とする請求項4に記載の加飾成形体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の加飾成形体を製造する方法であって、ポリプロピレン系加飾フィルムを準備するステップ、発泡倍率が1.1倍以上10倍以下の射出発泡樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記射出発泡樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、チャンバー内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記射出発泡樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、チャンバー内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
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