JP6992461B2 - 加飾成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記部品の材料として使用されるポリプロピレンは、剛性や耐衝撃性、寸法安定性などの特性を高度に、バランスよく有することが必要とされており、従来からタルク、マイカ、炭酸カルシウム等の無機フィラーを配合するといった工夫がなされてきた。
また、特許文献4によれば、繊維含有樹脂と繊維非含有樹脂と加飾フィルムの組み合わせからなる加飾成形品が提案されている。開示された技術によれば、まずインサート成形機に加飾フィルムをセットし、繊維非含有樹脂を射出成型し、繊維非含有樹脂が固化する前に、繊維非含有樹脂の内部に繊維含有樹脂を射出成型することで、フィルム表面に繊維含有樹脂が接触せず、外観に優れる加飾成形品が得られる。しかし、この方法では異なる樹脂を複数回射出するため、工程時間が長くなるばかりでなく、繊維非含有樹脂の存在により、成形品の物性が低下する問題があった。
(ア-i):融解ピーク温度Tm(ア)が、110℃以上である。
(ア-ii):MFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上200g/10分以下である。
(イ-i):繊維(イ)が、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
また本発明は、前記加飾成形体の、貼着されたポリプロピレン系加飾フィルム表面側の、ISO4287/1997に準拠して測定された算術平均粗さRaが、2μm以下であることを特徴とする前記の加飾成形体。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
(A-i’)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が20g/10分以下であること
(A-ii’)ひずみ硬化度λが1.8以上であること
また本発明は、前記樹脂組成物(A)が、下記要件(A-i”)および(A-ii”)を満たすことを特徴とする前記の加飾成形体。
(A-i”)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が12g/10分以下であること
(A-ii”)ひずみ硬化度λが2.3以上であること
また本発明は、前記ポリプロピレン系樹脂(A-1)が、架橋法以外の方法により製造されたゲルの少ないポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする前記の加飾成形体。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
(c1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である。
(c2)MFR(C)(230℃、2.16kg荷重)は、0.5g/10分を超える。
(c3)融解ピーク温度Tm(C)は、150℃未満である。
(c4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(C))は、1.5~3.5である。
(c5)ポリプロピレン系樹脂(A)の融解ピーク温度をTm(A)、ポリプロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度をTm(C)とするとき、Tm(A)とTm(C)とが、下記の関係式(5)を満たす。
Tm(A)>Tm(C) ・・・・ (5)
また本発明は、前記ポリプロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度Tm(C)は、140℃以下であることを特徴とする前記の加飾成形体。
(A-i’)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が20g/10分以下であること
(A-ii’)ひずみ硬化度λが1.8以上であること
また本発明は、前記樹脂組成物(A)が、下記要件(A-i”)および(A-ii”)を満たすことを特徴とする前記の加飾成形体。
(A-i”)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が12g/10分以下であること
(A-ii”)ひずみ硬化度λが2.3以上であること
また本発明は、前記ポリプロピレン系樹脂(A-1)が、架橋法以外の方法により製造されたゲルの少ないポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする前記の加飾成形体。
また本発明は、前記表面加飾層樹脂は、ポリプロピレン系樹脂(D)からなり、該ポリプロピレン系樹脂(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、2g/10分を超えることを特徴とする前記の加飾成形体。
さらに、本発明の加飾成形体の製造方法によれば、その表面に穴やしわがなく、加飾フィルムと樹脂成形体の間に空気の巻き込みが無く、傷が目立たない美麗な加飾成形体を得ることができる。また、従来接着が困難であった形状が複雑な樹脂成形体に対し、加飾フィルムを綺麗に貼着することができる。さらに、このようにして得られた加飾成形体は、熱硬化性樹脂層を含まないためリサイクル時に外観や性能の低下が小さく、リサイクル適性が高い。
(ア-i):融解ピーク温度Tm(ア)が、110℃以上である。
(ア-ii):MFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上200g/10分以下である。
(イ-i):繊維(イ)が、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
第2の態様として、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなるシール層(II)を含み、前記樹脂組成物(A)は、下記要件(A-i)および(A-ii)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が2g/10分を超える多層フィルム、
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
第3の態様として、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)およびポリプロピレン系樹脂(C)からなるシール層(II)を含み、前記樹脂組成物(A)は、下記要件(A-i)~(A-ii)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(C)は、下記要件(c1)~(c5)を満たす多層フィルム等を挙げることができる。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
(c1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である。
(c2)MFR(C)(230℃、2.16kg荷重)は、0.5g/10分を超える。
(c3)融解ピーク温度Tm(C)は、150℃未満である。
(c4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(C))は、1.5~3.5である。
(c5)ポリプロピレン系樹脂(A)の融解ピーク温度をTm(A)、ポリプロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度をTm(C)とするとき、Tm(A)とTm(C)とが、下記の関係式(5)を満たす。
Tm(A)>Tm(C) ・・・・ (5)
本発明の一つの態様において、加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)を含むことで、熱成形時にフィルムが破断したり暴れたりすることによる外観不良の発生を抑制することが出来る。これにより、加飾フィルムが、熱成形性を改良するため、熱成形性に優れる熱硬化性樹脂層を含まなくてもよい。樹脂組成物(A)は、ポリプロピレン系樹脂(A)だけで組成すること、およびポリプロピレン系樹脂(A)および他のポリプロピレン系樹脂のブレンドで組成することのいずれも可能である。樹脂組成物(A)が、ポリプロピレン系樹脂(A)だけで組成するとき、ポリプロピレン系樹脂(A)は、後述する要件(A-i)および(A-ii)を満たす。また樹脂組成物(A)が、ポリプロピレン系樹脂(A)および他のポリプロピレン系樹脂のブレンドで組成するとき、樹脂組成物(A)に加え、少なくともポリプロピレン系樹脂(A)が、後述する要件(A-i)および(A-ii)を満たすとよい。ポリプロピレン系樹脂(A)および他のポリプロピレン系樹脂のブレンドは、特に制限されるものではなく、ペレットおよび/またはパウダーの混合、溶融ブレンド、或は溶液ブレンドのいずれでもよく、これらの組合せでもよい。
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
(A-ii′)ひずみ硬化度λが1.8以上であること
(A-ii″)ひずみ硬化度λが2.3以上であること
λ=ηe(3.5)/{3×η*(0.01)} 式(1)
上記式(1)において、η*(0.01)は動的周波数掃引実験により測定される、測定温度180℃、角振動数ω=0.01rad/sにおける複素粘性率[単位:Pa・s]であり、複素粘性率η*は、複素弾性率G*[単位:Pa]と角振動数ωから、η*=G*/ωにて計算される。またηe(3.5)は伸長粘度測定により測定される、測定温度180℃、歪速度1.0s-1、ひずみ量3.5における伸長粘度である。
(A-i)MFR(A)が40g/10分以下であること
(A-i′)MFR(A)が20g/10分以下であること
(A-i″)MFR(A)が12g/10分以下であること
hers, 1983)に詳細な説明があるが、分岐指数g’の定義は、以下の通りである。
分岐指数g’=[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
上記定義から明らかな通り、分岐指数g’が1よりも小さな値を取ると、長鎖分岐構造が存在すると判断され、長鎖分岐構造が増えるほど分岐指数g’の値は、小さくなっていく。
[測定方法]
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社製)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN-E(Wyatt Technology社製)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社製 GMHHR-H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495-6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424-2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945-6952(2000)
13C―NMRは、上述のように、短鎖分岐構造と長鎖分岐構造を区別することができる。Macromol.Chem.Phys.2003,vol.204,1738に詳細な説明があるが、その概要は以下の通りである。
なお、本発明における13C-NMRの測定方法については下記の通りである。
試料200mgをo-ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(C6D5Br)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C-NMR測定を行った。
13C-NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行った。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施した。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
本発明における第1の態様の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)を含む。すなわち、加飾フィルムは、層(I)からなる単層フィルムであっても、層(I)と他の層からなる多層フィルムであってもよい。本発明の加飾フィルムは、層(I)の他に様々な構成を取ることが可能である。また本発明の加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ、等が施されていてもよい。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
ポリプロピレン系樹脂(A)としては、前記のポリプロピレン系樹脂(A)、樹脂組成物(A)及び層(I)の記載をそのまままたは適宜読み替えて適用することができる。
本発明の加飾フィルムは、樹脂成形体(基体)との貼着面に、ポリプロピレン系樹脂(B)からなるシール層(II)を含むことで、基体表面についた傷を目立ちにくくすることができ、これにより製品不良を削減可能にする。
このようなエチレン-α-オレフィンランダム共重合体の市販品としては、日本ポリエチレン(株)製のカーネルシリーズ、三井化学(株)製のタフマーPシリーズ、タフマーAシリーズ、デュポンダウ社製エンゲージEGシリーズなどが挙げられる。
このような熱可塑性エラストマーとしては、市販品として、三井化学(株)製のタフマーXMシリーズ、タフマーBLシリーズ、タフマーPNシリーズや、エクソンモービルケミカル社製のVISTAMAXXシリーズなどが挙げられる。
市販品として、JSR(株)製のダイナロンシリーズ、クレイトンポリマージャパン(株)製のクレイトンGシリーズ、旭化成(株)製のタフテックシリーズなどが挙げられる。
第2の態様の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなるシール層(II)を含む。加飾フィルムは、層(I)、シール層(II)の他に様々な構成を取ることが可能である。
すなわち、加飾フィルムは、層(I)およびシール層(II)からなる二層フィルムであっても、層(I)およびシール層(II)と他の層からなる多層フィルムであってもよい。なお、シール層(II)は、樹脂成形体(基体)に沿って貼着する。また、加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ、等が施されていてもよい。
ポリプロピレン系樹脂(D)としては、前記のポリプロピレン系樹脂(D)及び表面加飾層(III)の記載をそのまままたは適宜読み替えて適用することができる。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
(c1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である。
(c2)MFR(C)(230℃、2.16kg荷重)は、0.5g/10分を超える。
(c3)融解ピーク温度Tm(C)は、150℃未満である。
(c4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(C))は、1.5~3.5である。
(c5)ポリプロピレン系樹脂(A)の融解ピーク温度をTm(A)、ポリプロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度をTm(C)とするとき、Tm(A)とTm(C)とが、下記の関係式(5)を満たす。
Tm(A)>Tm(C) ・・・・ (5)
ポリプロピレン系樹脂(A)としては、前記のポリプロピレン系樹脂(A)、樹脂組成物(A)及び層(I)の記載をそのまままたは適宜読み替えて適用することができる。
第3の態様の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(C)からなるシール層(II)を含むものである。シール層(II)は、三次元加飾熱成形の際に、樹脂成形体(基体)と接する層である。ポリプロピレン系樹脂(C)は、溶融・緩和しやすい樹脂であることが好ましい。シール層(II)を設けることにより、加飾成形体の表面に穴、しわ、空気の巻き込み等の発生が抑えられ、基体表面についた傷を目立ちにくくすることができる。
なお、Mn、Mwは、「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算される値である。
α-オレフィンとしては、エチレン及び炭素数が3~8のα-オレフィンから選ばれる一種または二種以上の組み合わせ等を用いることが出来る。
第3の態様の加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)およびポリプロピレン系樹脂(C)からなるシール層(II)を含む。加飾フィルムは、シール層(II)、層(I)の他に様々な構成を取ることが可能である。すなわち、加飾フィルムは、シール層(II)および層(I)からなる二層フィルムであっても、シール層(II)および層(I)と他の層からなる三層以上の多層フィルムであってもよい。なお、シール層(I)は、樹脂成形体(基体)に沿って貼着する。また、加飾フィルムは、その表面にシボ、エンボス、印刷、サンドプラスト、スクラッチ等が施されていてもよい。
ポリプロピレン系樹脂(D)としては、前記のポリプロピレン系樹脂(D)及び表面加飾層(III)の記載をそのまままたは適宜読み替えて適用することができる。
本発明の加飾フィルムは、公知の様々な成形方法により製造することが出来る。
例えば、層(I)を押出成形する方法、層(I)と層(II)を共押出成形する方法、層(I)および層(II)とさらに他の層とを共押出成形する方法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、他の層を熱及び圧力をかけて貼り合せる熱ラミネーション法、接着剤を介して貼り合せるドライラミネーション法及びウェットラミネーション法、あらかじめ押出成形した一方の層の片方の面の上に、ポリプロピレン系樹脂を溶融押出しする押出ラミネーション法やサンドラミネーション法などが挙げられる。加飾フィルムを形成するための装置としては、公知の共押出Tダイ成形機や、公知のラミネート成形機を用いることができる。この中で、生産性の観点から、共押出Tダイ成形機が好適に用いられる。
本発明において加飾される樹脂成形体(加飾対象)は、ポリプロピレン系樹脂(ア)40重量%~99重量%と、繊維(イ)1重量%~60重量%とからなる繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)を成形して得られた成形体である。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(ア)は、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン-α-オレフィン共重合体、あるいは、プロピレンブロック共重合体等の公知の様々なタイプのものを選択する事ができ、下記要件(ア-i)~(ア-ii)を満たす。
(ア-i):ポリプロピレン系樹脂(ア)の融解ピーク温度Tm(ア)が110℃以上である。
(ア-ii):ポリプロピレン系樹脂(ア)のMFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上200g/10分以下である。
本発明に用いられる繊維(イ)は、次の特性(イ-i)を満たす。
(イ-i):繊維(イ)が、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明に用いられる繊維(イ)は、引張弾性率および引張強度が高いため、樹脂組成物及びその成形体の剛性・耐熱性などの物性、寸法安定性(線膨張係数の低減など)、環境適応性の各向上などに寄与する特徴を有する。
ガラス繊維としては、特に限定されず用いることができ、繊維に用いられるガラスの種類としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラスなどが挙げることができ、中でもEガラスが好ましい。ガラス繊維の製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法にて製造される。
なお、ガラス繊維を2種以上を併用することもできる。
ここで「実質的に」とは、具体的には、繊維含有ペレット中の繊維の個数全体を基準として、50%以上、好ましくは90%以上において、その長さがガラス繊維含有ペレットの長さ(押出方向)と同じであって、該ペレット調製の際に繊維の折損を殆ど受けないことを意味する。
その具体的な測定は、例えば繊維(イ)がガラス繊維の場合、ガラス繊維を界面活性剤含有水に混合し、該混合水液を薄ガラス板上に滴下拡散した後、デジタル顕微鏡(例えばキーエンス社製VHX-900型)を用いて100本以上の繊維長を測定しその平均値を算出する方法による。
ガラス繊維の具体例としては、日本電気硝子社製(T480H)などを挙げることができる。
このようなガラス繊維含有ペレットの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
炭素繊維としては、特に限定されず用いることができる。ここで、炭素繊維とは、微細炭素繊維とも称される例えば繊維径が500nm以下の極細のものも含まれる。なお、炭素繊維は2種以上併用することもできる。
なお、炭素繊維の長さは、前述のガラス繊維と同様の方法で測定される。
繊維径は、公知の方法で測定され、例えば、ISO11567/1995や顕微鏡観察法により測定される。
また、炭素繊維は、通常1.7~5g/cm3程度の密度を有するが、軽量性や経済性などから1.7~2.5g/cm3の密度を有するものを用いるのが好ましい。
炭素繊維の含有量が20重量%未満である炭素繊維含有ペレットを本発明において用いた場合、繊維強化組成物及びその成形体の低収縮性、耐傷付性、剛性・衝撃強度などの物性が低下するおそれがあり、一方、70重量%を超えるものを用いた場合には、成形性(流動性)などを低下させるおそれがある。
本発明に用いられる繊維(イ)の含有割合は、ポリプロピレン系樹脂(ア)に対して、1重量%~60重量%、好ましくは5重量%~55重量%、より好ましくは10重量%~50重量%である。繊維(イ)の含有割合が前記の範囲であると、低収縮性、高剛性などの優れた物性を発現される。
ここで、繊維(イ)の含有割合は実量であり、例えば、前記ガラス繊維含有ペレットを用いる場合は、該ペレットに含有する繊維(イ)の実含有量に基づき算出する。
任意添加成分は、2種以上を併用してもよく、樹脂組成物に添加してもよく、それぞれの成分においても2種以上併用することもできる。本発明において、任意添加成分の含有割合は特に限定されないが、通常、樹脂組成物100重量部において、0.01~0.5重量部程度であり、その目的に応じて適宜選択される。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α-オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α-オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどを挙げることができる。
また、スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン-エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン-エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン-エチレン・ブチレン-エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレン共重合体エラストマー(SBBS)などを挙げることができる。
さらに、エチレン-エチレン・ブチレン-エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーなども挙げることができる。
中でも、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)及びエチレン・プロピレン共重合体エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種を使用すると、樹脂組成物及びその成形体において、低収縮性、触感及び衝撃強度などの性能がより優れ、経済性にも優れる傾向にあることなどの点から好ましい。
なお、熱可塑性エラストマーは、2種以上を併用することもできる。
酸変性ポリオレフィンとしては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。酸変性ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-α-オレフィン-非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン-芳香族モノビニル化合物-共役ジエン化合物共重合ゴムなどのポリオレフィンを、例えば、マレイン酸または無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合し、変性したものである。このグラフト共重合は、例えば上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。また、不飽和カルボン酸またはその誘導体の成分は、ポリオレフィン用モノマーとのランダムもしくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
また、ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を含有する変性ポリオレフィンである。該変性ポリオレフィンは、ヒドロキシル基を適当な部位、例えば、主鎖の末端や側鎖に有していてもよい。ヒドロキシ変性ポリオレフィンを構成するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、4-メチルペンテン-1、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα-オレフィンの単独または共重合体、前記α-オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが例示できる。ヒドロキシ変性ポリオレフィンとして、ヒドロキシ変性ポリエチレン(例えば、低密度、中密度または高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体など)、ヒドロキシ変性
ポリプロピレン(例えば、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレンホモポリマー、プロピレンとα-オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、ヘキサンなど)とのランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリ(4-メチルペンテン-1)などを挙げることができる。
分子量降下剤は、例えば、各種の有機過酸化物や、分解(酸化)促進剤と称されるものなどが使用でき、有機過酸化物が好適である。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、t-ブチルパーアセテート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3、t-ブチル-ジ-パーアジペート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、メチル-エチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス-(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルキュミルパーオキサイド、1,1-ビス-(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス-(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス-t-ブチルパーオキシブタン、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジ-イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、p-サイメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラ-メチルブチルハイドロパーオキサイド及び2,5-ジ-メチル-2,5-ジ-(ハイドロパーオキシ)ヘキサンのグループから選ばれる1種または2種以上からなるものを挙げることができる。
潤剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸ブチル、シリコーンオイルなどを挙げることができる。
酸化防止剤として、例えば、フェノール系、リン系やイオウ系の酸化防止剤などを挙げることができる。
これらの任意成分は、種々の製品が多くの会社から市販されており、その目的に応じて、所望の製品を入手し、使用することができる。
本発明の繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)は、ポリプロピレン系樹脂(ア)(以下、成分(ア)とも記す。)及び繊維(イ)を、必要に応じて任意添加成分を加え、前記含有割合で、従来公知の方法で配合し、溶融混練する混練工程を経ることにより製造することができる。
さらに、予め繊維(イ)を除く成分を押出機などで溶融混練してペレットと成し、該ペレットと前記のガラス繊維含有ペレットや炭素繊維含有ペレットなどの所謂「繊維(イ)含有ペレット」とを混合することにより繊維強化組成物とする製造方法も前記同様の理由などで好ましい製造方法の一つである。
本発明の成形体は、前記方法で製造された繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)を、例えば、射出成形(ガス射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、シート成形及び中空成形などの周知の成形方法にて成形することによって得ることができる。この内、射出成形または射出圧縮成形にて得ることが好ましい。
本発明において加飾される成形体(加飾対象)は繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)からなる成形体であり、非極性樹脂であることから難接着性であるが、本発明における加飾フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)、またはポリプロピレン系樹脂(B)からなるシール層(II)、またはポリプロピレン系樹脂(C)からなるシール層(II)を含ませることにより、ポリプロピレン系樹脂からなる加飾対象と加飾フィルムが貼着することで非常に高い接着強度を発揮し、かつ加飾対象の表面に浮き出た繊維形状を加飾フィルムが覆うため、加飾成形体表面の外観が平滑となる。
本発明の加飾成形体の製造方法は、上述した加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムを、前記樹脂成形体と前記加飾フィルムのシール層とが対向するようにセットするステップ、前記チャンバーボックス内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、前記減圧されたチャンバーボックス内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする。
また、加飾対象と加飾フィルムを押し当てるための機構は、加飾対象を移動させるもの、加飾フィルムを移動させるもの、両者を移動させるもの、いずれのタイプでもかまわない。
以下、図を参照しながら、三次元加飾熱成形機を用いて加飾フィルムを加飾対象に貼着する方法について例示的に説明する。
続いて、上下チャンバーボックス11,12内を大気圧下に開放し、加飾成形体6を下チャンバーボックス12から取り出す。最後に、図7に例示するように加飾成形体6の周囲にある不要な加飾フィルム1のエッジをトリミングする。
チャンバーボックス11,12内の減圧は、空気だまりが発生しない程度であれば良く、チャンバーボックス内の圧力が10KPa以下、好ましくは3KPa、より好ましくは1KPa以下である。
このとき、一般的なポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは加熱時の粘度低下により、わずかな圧力変動で大きく変形および破膜することがある。
本発明の加飾フィルム1は、ドローダウンしにくいだけでなく、圧力変動によるフィルム変形にも耐性を有する。
そのために、ヒータ温度は加飾対象5を構成するポリプロピレン系樹脂と加飾フィルム1を構成するポリプロピレン系樹脂の融解温度よりも高いことが必要である。ヒータ温度は、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上、最も好ましくは200℃以上である。
すなわち、ヒータによって加熱された加飾フィルムは、固体状態から加熱されることで熱膨張し結晶溶融に伴い一度たるみ、結晶融解が全体に進行すると分子が緩和することで一時的に張り戻るスプリングバックが観察され、その後、自重によって垂れ下がるという挙動を示すが、スプリングバック後には、フィルムは完全に結晶が融解しており、分子の緩和が十分であるため、十分な接着強度が得られる。
一方、加熱時間が長くなりすぎると、フィルムは自重によって垂れ下がったり、上下チャンバーボックスの圧力差により変形してしまったりするので、スプリングバック終了後、120秒未満の加熱時間であることが好ましい。
(i)MFR
ISO 1133:1997 Conditions Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
(ii)ひずみ硬化度λ
ひずみ硬化度λの求め方は、前述した方法で行った。このとき、剪断粘度の値として用いるη*(0.01)、伸長粘度の値として用いるηe(3.5)は以下の方法で測定を行った。また、このとき測定に用いた試料は、温度180℃、加圧10MPaの条件で1時間プレスすることで厚さ0.7mmおよび2mmの平板に成形したものであり、厚さ0.7mmの試料を伸長粘度測定に、2mmの試料を動的周波数掃引実験に用いた。
Rheometric Scientific社製ARESを用いて、動的周波数掃引実験を行った。測定ジオメトリには直径25mmの平行円板を使用した。装置制御ソフトウェアTA Orchestratorを用い、測定モードDynamic Frecuency Sweep Testにて測定を実施した。試料は上記の方法で作成した厚さ2mmのプレス成形体を用いた。測定温度は180℃とした。角振動数ωは0.01~100rad/sの間を、対数スケールで等間隔となるように一桁あたり5点測定した。
試料の低剪断速度での粘度を示す指標として、ω=0.01rad/sにおける複素粘性率η*(0.01)[単位:Pa・s]を採用する。なお、複素粘性率η*は、複素弾性率G*[単位:Pa]とωから、η*=G*/ωにて計算される。
(ii-2)伸長粘度ηe(3.5)
Rheometric Scientific社製ARESの測定治具に、ティーエーインスツルメント社製 Extensional Viscosity Fixtureを使用して伸長粘度測定を行った。装置制御ソフトウェアTA Orchestratorを用い、測定モードExtensional Viscosity Testにて測定を実施した。試料は上記の方法で成形した厚さ0.7mmの試験片を用いた。試験片の幅は10mm、長さ18mmとした。歪速度は1.0s-1、測定温度は180℃である。その他の測定パラメータは以下のように設定した。
Sampling Mode:log
Points Per Zone:200
Solid Density:0.9
Melt Density:0.8
Prestretch Rate:0.05s-1
Relaxation after Prestretch:30sec
本条件で、少なくとも測定開始からの時間3.7秒までのデータを採取する。ソフトウェアにより、伸長粘度の時間依存性データが得られる。得られた伸長粘度カーブの、時間3.5sec(すなわち歪量3.5)の時点での伸長粘度の値をηe(3.5)[単位:Pa・s]とした。
示差走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて10分間保持した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度を融解ピーク温度Tmとした。単位は℃である。
以下の装置と条件でGPC測定をおこないMw/Mnの算出をおこなった。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10-4、α=0.7
PP:K=1.03×10-4、α=0.78
(1)ポリプロピレン系樹脂
以下のポリプロピレン系樹脂を用いた。
(A-1-1):マクロマー共重合法により製造された長鎖分岐を有するプロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「WAYMAX(登録商標)MFX3」、MFR=9g/10分、ひずみ硬化度λ=7.8、Tm=154℃、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=0.85、13C-NMRの測定により長鎖分岐構造を有することを確認。
(A-1-2):マクロマー共重合法により製造された長鎖分岐を有するプロピレン単独重合体、日本ポリプロ(株)製、商品名「WAYMAX(登録商標)MFX8」、MFR=1g/10分、ひずみ硬化度λ=9.7、Tm=154℃、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’=0.89、13C-NMRの測定により長鎖分岐構造を有することを確認。
(A-1-3):ポリプロピレン系樹脂(A-1-1)96重量%に黒色顔料MB(ポリコール興業(株)社製 EPP-K-120601)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物、MFR=9g/10分、ひずみ硬化度λ=7.3、Tm=154℃
(A-2-1):通常の(長鎖分岐を有さない)プロピレン単独重合体(MFR=10g/10分、Tm=161℃)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FA3KM」
(B-2):チーグラー・ナッタ系触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=146℃、Mw/Mn=4.3)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FW3GT」
(C-1):メタロセン系触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.5)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFX4M」
(C-2):メタロセン系触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=25g/10分、Tm=125℃、Mw/Mn=2.4)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WSX03」
(C-3):メタロセン系触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=7g/10分、Tm=135℃、Mw/Mn=2.3)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFW4M」
(C-4):メタロセン系触媒によるプロピレン-α-オレフィン共重合体(MFR=3.5g/10分、Tm=143℃、Mw/Mn=2.8)、日本ポリプロ(株)製、商品名「ウィンテック(登録商標)WFW5T」
(D-2):ポリプロピレン系樹脂(C-1)100重量部に、造核剤(ミリケン・ジャパン(株)製、商標名「Millad NX8000J」)0.4重量部ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=7g/10分、Tm=127℃)
(D-3):ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)96重量%にMFR=11g/10分の白色顔料MB(ポリコール興業(株)製 EPP-W-59578、酸化チタン含有量80重量%)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
(D-4):ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)96重量%に銀色顔料MB(トーヨーカラー(株)製 PPCM913Y-42 SILVER21X)を4重量%ブレンドしたポリプロピレン系樹脂組成物(MFR=10g/10分、Tm=161℃)
(ア-2):日本ポリプロ(株)社製、商品名「ノバテック(登録商標)」の下記組成のグレードを用いた。
チーグラー・ナッタ触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、プロピレン・エチレンブロック共重合体全体の融解ピーク温度Tmが161℃、MFR(230℃、2.16kg荷重)が28g/10分、プロピレン・エチレン共重合体全体に対するプロピレン単独重合体部分の含有量が73重量%、プロピレン・エチレン共重合体部分の含有量が27重量%、プロピレン・エチレン共重合体部分のエチレン含有量が37重量%。
(イ-1):日本電気硝子社製ガラス繊維、「T480H」、チョップドストランド、繊維径10μm、繊維長さ4mm
(イ-2):三菱レイヨン社製炭素繊維、商品名「パイロフィル TR066A」、繊維径7μm、繊維長さ6mm
(ウ-1)~(ウ-6):前記成分(ア)と(イ)を表1に示す割合で配合し、下記条件で混練・造粒して樹脂組成物ペレットを得た。
混練装置:テックノベル社製「KZW-15-MG」型2軸押出機
混練条件:押出温度=200℃、スクリュー回転数=400rpm、吐出量=3kg/h
なお繊維(イ)は、押出機先端から2バレル手前の位置からサイドフィーダーを用いて所定の濃度となる様にサイドフィードする方法にて配合・混練した。
以下の樹脂を用いた。
(E-1):エチレン-ブテンランダム共重合体(MFR=6.8g/10分、Tm=66℃、密度=0.885g/cm3、エチレン含量=84重量%): 三井化学(株)製、商品名「タフマーA4085S」
(E-2):エチレン-オクテンランダム共重合体(MFR=2.0g/10分、Tm=77℃、密度=0.885g/cm3、エチレン含量=85重量%):デュポンダウ社製、商品名「エンゲージEG8003」
(E-3):エチレン-ヘキセンランダム共重合体(MFR=3.5g/10分、Tm=60℃、密度=0.880g/cm3、エチレン含量=76重量%):日本ポリエチレン(株)製、商品名「カーネルKS340T」
(E-4):プロピレン-ブテンランダム共重合体(MFR=7.0g/10分、Tm=75℃、密度=0.885g/cm3、プロピレン含量=69重量%、ブテン含量=31重量%):三井化学(株)製、商品名「タフマーXM7070」
(E-5):ブテン単独重合体(MFR=5.0g/10分、Tm=125℃、密度=0.915g/cm3): 三井化学(株)製、商品名「タフマーBL4000」
(E-6):プロピレン-エチレン-ブテンランダム共重合体(MFR=6.0g/10分、Tm=160℃、密度=0.868g/cm3、プロピレン含量=84重量%、エチレン含量=9重量%、ブテン含量=7重量%):三井化学(株)製、商品名「タフマーPN2060」
(E-7):プロピレン-エチレンランダム共重合体(MFR=8.0g/10分、Tm=61℃、密度=0.871g/cm3、プロピレン含量=89重量%、エチレン含量=11重量%):エクソンモービルケミカル社製、商品名「VISTAMAXX3000」
(E-8):スチレン系エラストマー(SEBS):クレイトンポリマージャパン(株)製、商品名「クレイトンG1645」
(E-9):水添スチレン系エラストマー(HSBR):JSR(株)製、商品名「ダイナロン1320P」
(E-10):脂環族系炭化水素樹脂:荒川化学(株)製、商品名「アルコンーP125」
(E-11):無水マレイン酸変性ポリオレフィン(MFR=7.0g/10分):三菱化学(株)製、商品名「モディックAP(登録商標)F534A」
繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-1)~(ウ-7)を、以下の方法で射出成型を行い、樹脂成形体(基体)を得た。
射出成形機:東芝機械株式会社製「IS100GN」、型締め圧100トン
シリンダー温度:200℃
金型温度:40℃
射出金型:幅×高さ×厚さ=120mm×120mm×3mmの平板
状態調整:温度23℃、湿度50%RHの恒温恒湿室にて5日間保持
・加飾フィルムの製造
口径40mm(直径)の押出機-1が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmのTダイを用いた。押出機-1にポリプロピレン系樹脂(A-1-1)を投入し、樹脂温度240℃、吐出量を12kg/hの条件で溶融押出を行った。溶融押出されたフィルムを、80℃の3m/minで回転する第1ロールにエアナイフで押付けながら冷却固化させ、厚さ150μmの単層の未延伸フィルムを得た。
樹脂成形体(基体)5として、上記により得られた繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-1)からなる射出成形体を用いた。
三次元加飾熱成形装置として、布施真空株式会社製「NGF-0406-SW」を用いた。図2~7に示すように、加飾フィルム1を、冷却ロール接触面が基体に対向するとともに長手方向がフィルムのMD方向となるように、幅250mm×長さ350mmで切り出し、開口部のサイズが210mm×300mmのフィルム固定用治具13にセットした。樹脂成形体(基体)5は、フィルム固定用治具13よりも下方に位置するテーブル14上に設置された、高さ20mmのサンプル設置台の上に、ニチバン株式会社製「ナイスタック NW-K15」を介して貼り付けた。フィルム固定治具13とテーブル14をチャンバー11,12内に設置し、チャンバーを閉じてチャンバーボックス11,12内を密閉状態とした。チャンバーボックスは、加飾フィルム1を介して上下に分割されている。上下ボックスを真空吸引し、大気圧(101.3kPa)から1.0kPaまで減圧した状態で、上チャンバーボックス11上に設置された遠赤外線ヒータ15を出力80%で始動させて加飾フィルム1を加熱した。加熱中も真空吸引を継続し、最終的に0.1kPaまで減圧した。加飾フィルム1、が加熱され一時的にたるみ、その後、張り戻るスプリングバック現象が終了してから20秒後に、下チャンバーボックス12内に設置されたテーブル14を上方に移動させて、樹脂成形体(基体)5を加飾フィルム1に押し付け、直後に上チャンバーボックス11内の圧力が270kPaとなるように圧縮空気を送り込んで樹脂成形体(基体)5と加飾フィルム1を密着させた。このようにして、樹脂成形体(基体)5の上面及び側面に加飾フィルム1が貼着された三次元加飾熱成形品6を得た。
(1)熱成形性の評価(加飾成形体の外観)
三次元加飾熱成形時の加飾フィルムのドローダウン状態、ならびに基体に加飾フィルムを貼着した加飾成形体の加飾フィルムの貼着状態を目視にて観察し、以下に示した基準で評価した。
○:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムがドローダウンせずに基体と加飾フィルムとの接触が接触面全面にて同時に行われたため、接触ムラが発生せず、均一に貼着されている。
×:三次元加飾熱成形時に、加飾フィルムが大きくドローダウンしたため、基体全面に接触ムラが発生。
株式会社ニトムズ社製「クラフト粘着テープ No.712N」を幅75mm、長さ120mmに切り出し、樹脂成形体(基体)の端部より75mm×120mmの範囲で樹脂成形体(基体)に貼り付けてマスキング処理を施した(基体表面露出部は幅45mm、長さ120mm)。樹脂成形体(基体)のマスキング面が加飾フィルムと接触するように三次元加飾熱成形装置NGF-0406-SWに設置し、三次元加飾熱成形を行った。
加飾フィルムが貼着された加飾成形体の表面(縦1400μm、横1000μm相当面積)を、形状測定レーザマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK-X200」、倍率10倍)および観察アプリケーション(VK-H1XV)を用いて観察した。得られた観察データを、ISO4287/1997に準拠した解析アプリケーション(VK-H1XA)を用いて横方向の線粗さを任意に20点解析し、得られた算術平均粗さRaで最も高い値を算術平均粗さRaとした。
加飾フィルムが貼着された加飾成形体表面を手で撫で、以下に示した基準で評価した。
○:表面に浮き出た繊維形状の凹凸が感じられず、手触りが良い。
△:各所に凹凸が感じられ、手触りが悪い部分がある。
×:全体的に凹凸が感じられ、手触りが悪い。
加飾フィルムが貼着された加飾成形体の中央付近の光沢(グロス)を日本電色工業(株)社製GLOSS計Gloss Meter VG2000を用いて、入射角60°で測定した。測定方法はJIS K7105-1981に準拠した。
本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例1記載の三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-2)~(ウ-7)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2にそれぞれ示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例1記載の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-1-1)を、表2に記載したポリプロピレン系樹脂(A-1-1)および(A-2-1)のブレンド(樹脂組成物(A))に変更し、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-6)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例1記載の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-1-1)をポリプロピレン系樹脂(A-1-2)に変更し、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-6)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例12記載の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-1-2)を、表2に記載したポリプロピレン系樹脂(A-1-2)および(A-2-1)のブレンド(樹脂組成物(A))に変更した以外は、実施例12と同様に成形、評価を行った。評価結果を表3に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、口径40mm(直径)の押出機-1、及び口径30mm(直径)の表面層用押出機-2が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。押出機-1にポリプロピレン系樹脂(A-1-1)を、表面層用押出機-2にポリプロピレン系樹脂(A-2-1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、押出機-1の吐出量を8kg/h、表面層用押出機-2の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、80℃、3m/minで回転する冷却ロールに、ポリプロピレン系樹脂(A-1-1)からなる層が接するように冷却固化させ、厚さ150μmの層と、厚さ50μmの表面加飾層とが積層された2層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-6)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)が表面加飾層[層(III)]として、最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、口径40mm(直径)の押出機-1、及び口径30mm(直径)のシール層用押出機-3が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの2種2層Tダイを用いた。押出機-1にポリプロピレン系樹脂(A-1-1)を、シール層用押出機-3にポリプロピレン系樹脂(B-1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、押出機-1の吐出量を8kg/h、シール層用押出機-3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、80℃、3m/minで回転する冷却ロールに、シール層が接するように冷却固化させ、厚さ150μmの層と、厚さ50μmの表面加飾層とが積層された2層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-6)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例18記載の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(B-1)を、ポリプロピレン系樹脂(B-2)に変更した以外は、実施例18と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例1の加飾フィルムの製造において、口径40mm(直径)の押出機-1、口径30mm(直径)の表面層用押出機-2、及び口径30mm(直径)のシール層用押出機-3が接続された、リップ開度0.8mm、ダイス幅400mmの3種3層Tダイを用いた。押出機-1にポリプロピレン系樹脂(A-1-1)を、表面層用押出機-2にポリプロピレン系樹脂(A-2-1)を、シール層用押出機-3にポリプロピレン系樹脂(B-1)をそれぞれ投入し、樹脂温度240℃、押出機-1の吐出量を8kg/h、表面層用押出機-2の吐出量を4kg/h、シール層用押出機-3の吐出量を4kg/hの条件で溶融押出を行った。
溶融押出されたフィルムを、80℃、3m/minで回転する冷却ロールに、シール層が接するように冷却固化させ、厚さ100μmの層と、厚さ50μmの表面加飾層と、厚さ50μmのシール層が積層された3層の未延伸フィルムを得た。
上記の加飾フィルム製造で得られた未延伸フィルムを用い、三次元加飾熱成形において、樹脂成形体(基体)5を繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-6)に変更した以外は、実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)が表面加飾層[層(III)]として、最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例18の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(B-1)を、ポリプロピレン系樹脂(C-1)~(C-4)にそれぞれ変更した以外は、実施例18と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例20の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(B-1)を、ポリプロピレン系樹脂(C-1)に変更した以外は、実施例20と同様に成形、評価を行った。評価結果を表4に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)が表面加飾層[層(III)]として、最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-1)からなる射出成形体のみを用い、実施例1記載の算術平均粗さRa評価と触感評価を行った。結果を表5に示す。
加飾フィルムが貼着されていないため、繊維形状特有の凹凸が観察され、Raも2.7μmと高いため、ざらざらとした触感であり、実用可能な表面形状ではなかった。
射出成形体を、繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ-1)から(ウ-2)~(ウ-7)から射出成形体に変更した以外は、比較例1と同様に評価を行った。結果を表5に示す。
いずれの射出成形体も加飾フィルムが貼着されていないため、繊維形状特有の凹凸が観察され、Raも2.0μmより高いため、ざらざらとした触感であり、実用可能な表面形状ではなかった。
実施例20の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)を、ポリプロピレン系樹脂(D-1)に変更した以外は、実施例20と同様に成形、評価を行った。評価結果を表6に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(D-1)が表面加飾層[層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例20の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)を、ポリプロピレン系樹脂(C-1)に変更した以外は、実施例20と同様に成形、評価を行った。評価結果を表6に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、ポリプロピレン系樹脂(C-1)が表面加飾層[層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例20の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)を、ポリプロピレン系樹脂(D-2)に変更した以外は、実施例20と同様に成形、評価を行った。評価結果を表6に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、造核剤が添加されたポリプロピレン系樹脂(D-2)が表面加飾層[層(III)]として最表面側に積層されたことで、光沢に優れる結果であった。
実施例20の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)を、ポリプロピレン系樹脂(D-3)に変更した以外は、実施例20と同様に成形、評価を行った。評価結果を表6に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、光沢に優れる表面加飾層(III)[表面層(III)]が白色に着色されているため、外観に優れるものであった。
実施例20の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-1-1)を、ポリプロピレン系樹脂(A-1-3)に変更した以外は、実施例20と同様に成形、評価を行った。評価結果を表6に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、層(I)が黒色に着色されているため、外観に優れるものであった。
実施例30の加飾フィルムの製造において、ポリプロピレン系樹脂(A-2-1)を、ポリプロピレン系樹脂(D-4)に変更した以外は、実施例30と同様に成形、評価を行った。評価結果を表6に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。また、層(I)が黒色に、表面加飾層(III)が銀色に着色されているため、金属調のフィルムとなり、外観に優れるものであった。
実施例20の加飾フィルムの製造において、シール層用押出機-3に投入したポリプロピレン系樹脂(B-1)を、ポリプロピレン系樹脂(B-1)とその他の樹脂(E-1)とを重量比が70:30となるようにブレンドしたものに変更した以外は、実施例20と同様に成形、評価を行った。評価結果を表7に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例32の加飾フィルムの製造において、その他の樹脂(E-1)を、その他樹脂(E-2)~(E-9)に変更した以外は、実施例32と同様に成形、評価を行った。評価結果を表7に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例32の加飾フィルムの製造において、その他の樹脂(E-1)を、その他樹脂(E-10)に変更し、ポリプロピレン系樹脂(B-1)とその他の樹脂(E-10)との重量比を85:15に変更した以外は、実施例32と同様に成形、評価を行った。評価結果を表7に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
実施例32の加飾フィルムの製造において、その他の樹脂(E-1)を、その他樹脂(E-11)に変更した以外は、実施例32と同様に成形、評価を行った。評価結果を表7に示す。
いずれも本発明の要件を全て満足しているため、得られた加飾成形体は外観および接着力に優れ、繊維形状特有の凹凸が感じられず、手触りに優れるものであった。
2 層(I)
3 シール層(II)
4 表面加飾層(III)
5 樹脂成形体(加飾対象、基体)
6 加飾成形体
11 上チャンバーボックス
12 下チャンバーボックス
13 治具
14 テーブル
15 ヒータ
Claims (13)
- 樹脂成形体とポリプロピレン系加飾フィルムが貼着している積層体構造の熱成形品である加飾成形体であって、前記樹脂成形体は、下記要件(ア-i)~(ア-ii)を満たすポリプロピレン系樹脂(ア)40重量%~99重量%と、下記要件(イ-i)を満たす繊維(イ)1重量%~60重量%(但し、(ア)と(イ)との合計量を100重量%とする)とを含む繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物(ウ)からなる成形体であり、前記ポリプロピレン系加飾フィルムが、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)を含み、前記樹脂組成物(A)は、下記要件(A-i)および(A-ii)を満たし、前記ポリプロピレン系加飾フィルムは、前記樹脂成形体との貼着面とは反対側の面に、表面加飾層樹脂からなる表面加飾層(III)を有し、前記表面加飾層樹脂は、ポリプロピレン系樹脂(D)からなり、該ポリプロピレン系樹脂(D)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、2g/10分を超えることを特徴とする加飾成形体。
(ア-i):融解ピーク温度Tm(ア)が、110℃以上である。
(ア-ii):MFR(ア)(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上200g/10分以下である。
(イ-i):繊維(イ)が、ガラス繊維、炭素繊維からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること - 前記加飾成形体の、貼着されたポリプロピレン系加飾フィルム表面側の、ISO4287/1997に準拠して測定された算術平均粗さRaが、2μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の加飾成形体。
- 前記ポリプロピレン系加飾フィルムが、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)およびポリプロピレン系樹脂(B)からなるシール層(II)を含み、前記樹脂組成物(A)は、下記要件(A-i)および(A-ii)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(B)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が2g/10分を超える多層加飾フィルムであり、該多層加飾フィルムと前記樹脂成形体とが、シール層(II)を介して貼着されたことを特徴とする請求項1または2に記載の加飾成形体。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること - 前記樹脂組成物(A)が、下記要件(A-i’)および(A-ii’)を満たすことを特徴とする請求項3に記載の加飾成形体。
(A-i’)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が20g/10分以下であること
(A-ii’)ひずみ硬化度λが1.8以上であること - 前記樹脂組成物(A)が、下記要件(A-i”)および(A-ii”)を満たすことを特徴とする請求項3に記載の加飾成形体。
(A-i”)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が12g/10分以下であること
(A-ii”)ひずみ硬化度λが2.3以上であること - 前記ポリプロピレン系樹脂(A)が、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A-1)であることを特徴とする請求項3に記載の加飾成形体。
- 前記ポリプロピレン系加飾フィルムが、ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物(A)からなる層(I)およびポリプロピレン系樹脂(C)からなるシール層(II)を含み、前記樹脂組成物(A)は、下記要件(A-i)~(A-ii)を満たし、前記ポリプロピレン系樹脂(C)は、下記要件(c1)~(c5)を満たす多層加飾フィルムであり、該多層加飾フィルムと前記樹脂成形体とが、シール層(II)を介して貼着されたことを特徴とする請求項1または2に記載の加飾成形体。
(A-i)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が40g/10分以下であること
(A-ii)ひずみ硬化度λが1.1以上であること
(c1)メタロセン触媒系プロピレン系重合体である。
(c2)MFR(C)(230℃、2.16kg荷重)は、0.5g/10分を超える。
(c3)融解ピーク温度Tm(C)は、150℃未満である。
(c4)GPC測定により得られる分子量分布(Mw/Mn(C))は、1.5~3.5である。
(c5)ポリプロピレン系樹脂(A)の融解ピーク温度をTm(A)、ポリプロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度をTm(C)とするとき、Tm(A)とTm(C)とが、下記の関係式(5)を満たす。
Tm(A)>Tm(C) ・・・・ (5) - 前記ポリプロピレン系樹脂(C)は、プロピレン・α-オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項7に記載の加飾成形体。
- 前記ポリプロピレン系樹脂(C)の融解ピーク温度Tm(C)は、140℃以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の加飾成形体。
- 前記樹脂組成物(A)が、下記要件(A-i’)および(A-ii’)を満たすことを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の加飾成形体。
(A-i’)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が20g/10分以下であること
(A-ii’)ひずみ硬化度λが1.8以上であること - 前記樹脂組成物(A)が、下記要件(A-i”)および(A-ii”)を満たすことを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の加飾成形体。
(A-i”)MFR(A)(230℃、2.16kg荷重)が12g/10分以下であること
(A-ii”)ひずみ硬化度λが2.3以上であること - 前記ポリプロピレン系樹脂(A)が、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(A-1)であることを特徴とする請求項7~11のいずれかに記載の加飾成形体。
- 請求項1~12のいずれかに記載の加飾成形体を製造する方法であって、ポリプロピレン系加飾フィルムを準備するステップ、樹脂成形体を準備するステップ、減圧可能なチャンバーボックス中に、前記樹脂成形体及び前記加飾フィルムをセットするステップ、チャンバー内を減圧するステップ、前記加飾フィルムを加熱軟化させるステップ、前記樹脂成形体に前記加飾フィルムを押し当てるステップ、チャンバー内を大気圧に戻す又は加圧するステップを含むことを特徴とする加飾成形体の製造方法。
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