JP2013116514A - パイプの切断端部用の面取り矯正器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 合成樹脂製の内層と外層の間に金属製の中間層が介設されてなる三層型のパイプの切断端部を面取りする面取り矯正器具1であり、把持部2と、略柱状の挿入部4と、を備え、パイプの切断端の内周縁を面取りする内側面取り部11を挿入部4の外周面上に設け、パイプの切断端の外周縁を面取りする外側面取り部13を、把持部2又は挿入部4から内側面取り部11と相互に対向するように差し出すとともに、面取り作業時にパイプの切断端と摺接する内側面取り部11のエッジ11Aと外側面取り部13のエッジ12Aとを、把持部2側へ向かうにつれ相互に接近する傾斜状とした。
【選択図】 図1
Description
通常、上記パイプは、ハサミ状のパイプカッター等によって所望の長さに切断されるが、該パイプの端部の切断面は、鋭利なものとなりやすく、またバリが形成されたりするので、切断したままの状態の該パイプの端部を上記管継手の受口部や挿口部に挿入すると、該パイプの切断端がパッキンに引っ掛かり、該パッキンがパッキン溝から離脱する等して外れることで、あるいは該切断端の鋭利な切断面によりパッキンが傷つけられてしまうことで、所定の止水性能を発揮出来なくなってしまうことがある。
更にパイプカッター等で切断されたパイプの切断端は、切断時に押し潰されることで、高確率で非真円形状に変形することがあり、上記管継手の受口部や挿口部への挿入抵抗が大きくなったり、パイプとパッキンが均一に当接せずに止水性能が劣化してしまったりするおそれがある。
そこで、特許文献1の管端修正器や特許文献2の管端修正具に示されるようなものが提供されている。
特許文献1の管端修正器は、パイプの切断端から内側へ、断面形状が略真円の挿入部(円形矯正軸)を押し込んで回転させることで、該パイプの断面形状を略真円形状に修正し、また挿入部の根端の把持部に突起を設けてその稜線部分で該パイプの切断端を内側および外側に押圧して変形せしめることによって面取りを行っている。特許文献2の管端修正具は、断面形状が略真円の挿入部(中管軸部)をパイプの切断端から内側へ押し込むとともに、該挿入部の根端に設けられたバイトをパイプの切断端の内側に当接させ、該バイトで切削することによって面取りを行っている。
しかし、上記三層型のパイプは、切断面に金属製の中間層が露出されてしまうので、上記管継手が該中間層と異なる種類の金属製のものであると、水の流動によって該中間層と該管継手との間に電食(起電腐食)が発生してしまうという問題がある。
そして、上記三層型のパイプに上記従来の管端修正器や管端修正具を使用した場合、これらは管端を変形あるいは切削することで面取りを行うため、端面に金属製の中間層が露出されたままであるので電食の発生を抑制することができず、また内層や外層のみが変形あるいは切削されることで中間層が大きく露出されることで却って電食の発生を助長してしまうという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、三層型のパイプにおいて、切断端の内周縁及び外周縁を面取りすることができるとともに、切断面に金属製の中間層が露出されることを抑制することができるパイプの切断端部用の面取り矯正器具を提供することにある。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記内側面取り部と上記外側面取り部とで上記把持部側の端部間には、面取り作業時に上記パイプの切断端面と摺接する端面摺接部を設けたことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具の発明において、上記内側面取り部及び上記外側面取り部を上記把持部から離れた部位にそれぞれ設けることで、上記パイプの切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合に該切断端の先端が入り込むマージン部分を、該内側面取り部及び該外側面取り部と、該把持部との間に設けたことを要旨とする。
本発明の面取り矯正器具は、挿入部の外周面上に突設された内側面取り部及び外側面取り部の各エッジを、パイプの切断端の内周縁及び外周縁に対してそれぞれ摺動させることで面取りを行う。また面取り矯正器具の使用対象となるパイプは、合成樹脂製の内層と外層の間に金属製の中間層が介設されてなる三層型のものである。そしてパイプの切断端は、その形状の矯正時において、金属製の上記中間層と上記内側面取り部との間で合成樹脂製の上記内層が押し潰されて内周縁を面取りされ、金属製の上記中間層と上記外側面取り部との間で合成樹脂製の上記外層が押し潰されて外周縁を面取りされる。
上記内側面取り部のエッジと上記外側面取り部のエッジとは、上記把持部側へ向かうにつれ相互に接近する傾斜状とされている。このため、上記面取り時のパイプの内層と外層は、押し潰されるときの変形の応力を逃がすために把持部側へ押し延ばされ、該押し延ばされた部位で切断面に露出した中間層を覆う。
従って、本発明の面取り矯正器具は、パイプの切断端の形状を矯正する際、上記内側面取り部及び上記外側面取り部が面取りする際に押し延ばした内層及び外層の少なくとも何れか一方により、切断面に露出した中間層を覆うように構成されている。このため、パイプを継手と接続する際に、該パイプの金属製の中間層が、異なる種類の金属製の継手と直接的に接触することを抑制することができる。
また上記内側面取り部と上記外側面取り部とで上記把持部側の端部間に端面摺接部を設けた場合、上記内層あるいは上記外層の面取りする際に押し延ばされた部位が、該端面摺接部と上記パイプの切断面との間で押し潰され、該切断面に圧接されるので、押し延ばした内層及び外層の少なくとも何れか一方により、切断面に露出した中間層を、効果的に覆うことができる。
また上記内側面取り部及び上記外側面取り部を上記把持部から離れた部位に配してマージン部分を設けることで、上記パイプの切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合には、該切断端の先端が該マージン部分に入り込むので、該パイプの切断端の形状の矯正時に該先端が上記把持部に当たらず、該パイプの推進が妨げられない。結果、上記パイプにおいて、切断端の内周縁及び外周縁の全周を上記内側面取り部及び上記外側面取り部に接触させることができ、面取り作業を好適に行うことができる。
本発明にあっては、金属製の中間層を有する三層型のパイプの切断端部において、切断端の内周縁及び外周縁を面取りすることができるとともに、切断面に金属製の中間層が露出されることを抑制することができる。
図1に示すように、面取り矯正器具1は、把持部2と、該把持部2の一面である基面3から差し出された柱状の挿入部4と、を備えている。
上記把持部2は、円盤状に形成されており、その周面には該把持部2を握りやすくするための凹部が形成されている。
上記挿入部4は、断面形状が円形状の柱状、つまり円柱状に形成されている。該挿入部4においては、その両端のうち上記把持部2側の一端を根端、他端を先端とする。
なお、本発明において上記把持部2の形状は、特に限定されるものではなく、例えば矩形状、棒状、平面視で三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状としてもよい。また上記挿入部4の形状は、パイプ内に挿入可能な柱状であれば、特に限定されるものではなく、その断面形状が例えば三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であってもよく、また内部が中空の柱状、つまりは筒状としてもよい。
上記第1矯正リング6は、上記挿入部4の外周面上で先端側の部位に突設されている。該第1矯正リング6は、上記挿入部4の軸線に沿う面における断面形状が山型をなすように、上記挿入部4の外周面から突設されている。また該第1矯正リング6の断面形状は、上記挿入部4の先端側となる半部(先端半部)と、上記挿入部4の根端側となる半部(根端半部)とで非対称になっており、該先端半部の外面6Aは、根端半部の外面に比べて緩斜面とされている。
上記第2矯正リング7は、上記挿入部4の外周面上で根端側の部位に突設されている。該第2矯正リング7は、上記挿入部4の軸線に沿う面における断面形状が山型をなすように、上記挿入部4の外周面から突設されている。また該第2矯正リング7の断面形状は、先端半部と、根端半部とで対称になっている。
上記挿入部の外周面で上記第1矯正リング6及び上記第2矯正リング7を除く部分は、縮径部とされている。該縮径部は、上記パイプ9と上記挿入部4との接触部分を、上記縮径部を除く部分に限ることで、上記パイプ9と上記挿入部4との接触面積を小さくしている。具体的に本実施形態では、挿入部4の外周面上で、(1)該第1矯正リング6よりも先端部分、(2)該第1矯正リング6と第2矯正リング7との間の部分、(3)該第2矯正リング7よりも根端部分、の合計3つの縮径部が設けられている。
また上記挿入部4の根端には、斜面部8Aを介して大径部8が拡径形成されている。
なお上記矯正リングを設ける個数は、特に限定されるものではなく、例えば一個の矯正リングのみを設けたり、三個以上の矯正リングが設けたりしてもよい。また本実施形態のように、同じ高さの矯正リングを二個以上設ける場合、パイプ9が該矯正リングによって安定に支持されるという効果を奏する。
上記挿入部4の外周面上からは、上記把持部2から離れた部位である上記大径部8から上記内側面取り部11の直近位置までの範囲において、薄板状のプレート12が外方へ差し出されている。該プレート12は、上記内側面取り部11を内側に囲むように、先端部がL字状に切り欠かれており、この切り欠かれた内側は、上記パイプ9の切断端が押し込まれる押込部12Aとされている(図4〜図6参照)。そして上記挿入部4の外周面上から差し出された上記プレート12の上記押込部12Aの内側面において、上記内側面取り部11と相互に対向する位置には、外側面取り部13が設けられている。
図3に示すように、該内側面取り部11の稜線であるエッジ11Aは、断面形状が先鋭状とされている。
また外側面取り部13の稜線であるエッジ13Aは、断面形状が先鋭状とされている。
そして上記内側面取り部11のエッジ11Aと、上記外側面取り部13のエッジ13Aとは、上記把持部2側へ向かうにつれ相互に接近する傾斜状をなしている(図2参照)。
上記端面摺接部14は、形状矯正時に先端縁14Aに摺接される上記パイプ9の切断面を好適に押し潰すことができるように構成されている(図3参照)。
上記したように、内側面取り部11は、上記把持部2から離れた部位に配置されており、該内側面取り部11と相互に対向する位置に設けられた外側面取り部13もまた、上記把持部2から離れた部位に配置されている。(図2参照)。そして、該内側面取り部11及び該外側面取り部13と、上記把持部2と、の間には、上記パイプ9の切断端の先端が入り込むマージン部分15が設けられている。具体的に本実施形態でマージン部分15は、端面摺接部14の先端から、上記斜面部8Aの外周面上で上記第2矯正リング7の頂部から上記挿入部4に沿って伸びる延長線が当たる位置までの範囲に設定されている(図2参照)。
上記面取り矯正器具1を使用したパイプ9の切断端部の矯正時には、まず上記挿入部4の先端が、該パイプ9の切断端部の内側に挿入される。
次いで、該パイプ9を手などで支持した状態で、上記把持部2を片手で把持しながら該挿入部4の軸線を中心に回転させつつ、該挿入部4の略全体が該パイプの内側に挿入されるように、該パイプの切断端部と上記把持部2とを相互に接近させる。
上記のように該挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプの内側に挿入する過程で、該パイプの切断端部は、該挿入部4上の上記第1矯正リング6の緩斜面からなる外面6Aを乗り越えつつ、該第1矯正リング6を通過することで、その形状が略真円状に矯正されてゆく。また上記挿入部4には上記縮径部が設けられているので、パイプ端部に挿入部4を挿入する力と把持部2を回転させる力とが軽減される。
図4(b)に示すように、該パイプ9の切断端は、上記プレート12の上記押込部12Aに押し込まれつつ、その端面の外周縁に上記外側面取り部13のエッジ13Aが摺接されることで、該パイプ9の外層P2が、該外側面取り部13と該パイプ9の中間層Mとの間で押し潰されて、面取りされる。このようにして押し潰された外層P2は、応力によって横方向(挿入部4の軸線方向)へ広がろうとするが、該パイプ9の切断端部が上記押込部12Aに押し込まれる力と、該外側面取り部13によって押さえ付けられる力と、によって、該応力をエッジ13Aに沿って把持部2側(挿入部4の根端方向)へ逃がそうとする。その結果、該外層P2は把持部2側へ押し延ばされ、該押し延ばされた部位でパイプ9の切断面に露出している中間層Mを覆う。
図4(c)に示すように、上記パイプ9の切断端の内周縁についても上記外周縁と同様に、上記内側面取り部11のエッジ11Aが摺接されることで、該パイプ9の内層P1が内側面取り部11と該パイプ9の中間層Mとの間で押し潰されて面取りされ、かつ把持部2側へ押し延ばされて、該押し延ばされた部位でパイプ9の切断面に露出している中間層Mを覆う。
図5に示すように、パイプ9の切断端9Aにおいて、先端部分91Bが上記プレート12の上記押込部12Aに押し込まれた状態にある場合は、該先端部分91Bの内周縁及び外周縁が、内側面取り部11及び外側面取り部13に接触する。
上記の状態のまま、上記挿入部4を、その軸線を中心に回転させつつ、略全体を該パイプ9の内側に挿入すると、該挿入部4が該パイプ9の内側を回転しながら推し進む際に、図6に示すように、該パイプ9の先端部分91Bは、上記マージン部分15へ至る。
上記マージン部分15においては、上記したように把持部2が上記内側面取り部11及び上記外側面取り部13から離れた位置にあるので、該切断端9Aの先端部分91Bが把持部2等(本実施形態であれば大径部8の斜面部8A)に当接まで、該挿入部4がパイプ9の内側へ推し進むことを阻害する障害は無い。
そして、該挿入部4が該パイプ9の内側を回転しながら推し進むことに伴い、該パイプ9の切断端9Aは、その先端部分91Bから奥端部分92Bの全周にわたって面取りが行われる。
また図7に示すように、上記挿入部4の軸線AXに対する垂直面に対して上記パイプ9の切断面9Bが角度θだけ傾いていたとすると、パイプ9の外径をdとすれば、斜めになった切断端9Aの長さΔL=d・tanθであり、マージン部分15の長さはΔL以上(≧ΔL)に設定することが望ましい。
上記面取り矯正器具1に使用する材料は、合成樹脂や金属等、特に限定はされないが、生産性を高めるという観点から合成樹脂である熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、熱可塑性樹脂のなかでもポリアセタールは、耐摩耗性に優れ、パイプ9に対する摺動性を向上させることが出来るため、面取り矯正器具1に使用する材料としてより好ましい。
上記外側面取り部13は、上記プレート12によって設けられることに限らず、上記内側面取り部11と相互対向する位置に設けられるのであれば、例えば上記把持部2の基面3や上記大径部8の斜面部8Aから柱状の支持体を上記挿入部4と平行に差し出し、該支持体の先端に外側面取り部13を形成してもよい。
2 把持部
4 挿入部
6 第1矯正リング
7 第2矯正リング
9 パイプ
9A 切断端部
9B 端面
11 内側面取り部
13 外側面取り部
11A,12A エッジ
14 端面摺接部
15 マージン部分
Claims (3)
- 合成樹脂製の内層と外層の間に金属製の中間層が介設されてなる三層型のパイプを切断した後に、該パイプの切断された端部を面取りするとともに、該端部の形状を矯正するべく使用されるパイプの切断端部用の面取り矯正器具であって、
把持部と、
該把持部から延設された略柱状の挿入部と、
を備え、
上記パイプの切断端の内周縁を面取りする内側面取り部を上記挿入部の外周面上に設け、上記パイプの切断端の外周縁を面取りする外側面取り部を、上記把持部又は上記挿入部から上記内側面取り部と相互に対向するように差し出すとともに、
面取り作業時に上記パイプの切断端と摺接する上記内側面取り部のエッジと上記外側面取り部のエッジとを、上記把持部側へ向かうにつれ相互に接近する傾斜状とした
ことを特徴とするパイプの切断端部用の面取り矯正器具。 - 上記内側面取り部と上記外側面取り部とで上記把持部側の端部間には、面取り作業時に上記パイプの切断面と摺接する端面摺接部を設けた
請求項1に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具。 - 上記内側面取り部及び上記外側面取り部を上記把持部から離れた部位にそれぞれ設けることで、上記パイプの切断端が該パイプの軸に対して傾斜している場合に該切断端の先端が入り込むマージン部分を、該内側面取り部及び該外側面取り部と、該把持部との間に設けた
請求項1又は請求項2に記載のパイプの切断端部用の面取り矯正器具。
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